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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125801
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】磁気センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20220822BHJP
   G01R 33/06 20060101ALI20220822BHJP
   G01R 15/20 20060101ALI20220822BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20220822BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G01R33/02 V
G01R33/06
G01R15/20 B
G01R19/165 E
H01L43/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023597
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】大川 秀一
【テーマコード(参考)】
2G017
2G025
2G035
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AC07
2G017AD55
2G017BA09
2G017CB02
2G017CB15
2G017CB20
2G025EC09
2G035AD18
2G035AD19
5F092AA01
5F092AB01
(57)【要約】
【課題】微弱な電流によって生じる測定対象磁界を高感度に検出可能な磁気センサを提供する。
【解決手段】磁気センサ1は、磁気ギャップG1を介して磁気結合する磁性体層21,22及び磁気ギャップG1によって形成される磁路上に配置された感磁素子31を有するセンサチップ10と、磁性体層21と磁気結合する外部磁性体41と、外部磁性体41に巻回され、測定対象磁界を発生させる電流Iが流れる測定電流コイルC1とを備える。このように、センサチップ10に感磁素子31と磁性体層21,22を集積していることから、磁気ギャップG1を非常に狭く設計することができるとともに、漏洩磁界の多くを感磁素子31に印加することができる。これにより、測定電流コイルC1に流れる電流Iが微弱であっても、電流Iによって生じる磁界を高感度に検出することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ギャップを介して磁気結合する第1及び第2の磁性体層と、前記磁気ギャップによって形成される磁路上に配置された感磁素子とを有するセンサチップと、
前記第1の磁性体層と磁気結合する第1の外部磁性体と、
前記第1の外部磁性体に巻回され、測定対象磁界を発生させる電流が流れる第1の測定電流コイルと、を備えることを特徴とする磁気センサ。
【請求項2】
前記第2の磁性体層と磁気結合する第2の外部磁性体をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項3】
前記第2の外部磁性体に巻回され、前記第1の測定電流コイルと直列に接続された第2の測定電流コイルをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の磁気センサ。
【請求項4】
前記第1の外部磁性体は、前記第1の磁性体層と磁気結合する第1の部分と、前記第2の磁性体層と磁気結合する第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分を繋ぐ第3の部分を有しており、
前記第1の測定電流コイルは、前記第3の部分に巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気センサ。
【請求項5】
前記第1及び第2の磁性体層は、前記磁気ギャップに近づくにつれて幅が狭くなる平面形状を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項6】
前記第1の外部磁性体は、前記第1の磁性体層と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項7】
前記第1の測定電流コイルは、前記センサチップ側にオフセットして前記第1の外部磁性体に巻回されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項8】
前記第1の測定電流コイルによって生じる磁界を打ち消す補償コイルをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の磁気センサ。
【請求項9】
前記補償コイルは、前記第1の外部磁性体に巻回されていることを特徴とする請求項8に記載の磁気センサ。
【請求項10】
前記第1の測定電流コイルは、前記補償コイルよりも前記センサチップ側に巻回されていることを特徴とする請求項9に記載の磁気センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は磁気センサに関し、特に、微弱な測定対象磁界を発生させる電流によって生じる磁界を検出する磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測定対象磁界を発生させる電流によって生じる磁界を検出する磁気センサ(電流センサ)が開示されている。特許文献1に記載された磁気センサは、磁気ギャップを有する環状磁心と、環状磁心に巻回され、測定対象磁界を発生させる電流が流れるコイルと、磁気ギャップ内に配置された感磁素子とを備えている。かかる構成により、磁気ギャップを通過する漏洩磁界の一部が感磁素子に印加されるため、コイルに流れる電流の電流量を感磁素子によって測定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-128711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、環状磁心に形成される磁気ギャップは比較的サイズが大きいことから、漏洩磁界の広がりも大きい。このため、コイルに流れる電流が微弱である場合、感磁素子に印加される磁界成分が少なくなり、測定対象磁界を発生させる電流の電流量を高感度に測定することが困難であった。
【0005】
したがって、本発明は、微弱な測定対象磁界を高感度に検出可能な磁気センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による磁気センサは、磁気ギャップを介して磁気結合する第1及び第2の磁性体層と磁気ギャップによって形成される磁路上に配置された感磁素子とを有するセンサチップと、第1の磁性体層と磁気結合する第1の外部磁性体と、第1の外部磁性体に巻回され、測定対象磁界を発生させる電流が流れる第1の測定電流コイルとを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、センサチップに感磁素子と第1及び第2の磁性体層を集積していることから、磁気ギャップを非常に狭く設計することができるとともに、漏洩磁界の多くを感磁素子に印加することができる。これにより、第1の測定電流コイルに流れる測定対象磁界を発生させる電流が微弱であっても、測定対象磁界を高感度に検出することが可能となる。
【0008】
本発明による磁気センサは、第2の磁性体層と磁気結合する第2の外部磁性体をさらに備えていても構わない。これによれば、第1及び第2の磁性体層を介して、検出すべき磁界が第1及び第2の外部磁性体を通過することから、より高感度に磁界を検出することが可能となる。この場合、本発明による磁気センサは、第2の外部磁性体に巻回され、第1の測定電流コイルと直列に接続された第2の測定電流コイルをさらに備えていても構わない。これによれば、より多く磁界を感磁素子に印加することが可能となる。
【0009】
本発明において、第1の外部磁性体は、第1の磁性体層と磁気結合する第1の部分と、第2の磁性体層と磁気結合する第2の部分と、第1の部分と第2の部分を繋ぐ第3の部分を有しており、第1の測定電流コイルは第3の部分に巻回されていても構わない。これによれば、第1の外部磁性体を介して第1及び第2の磁性体層がループ状に接続されることから、閉磁路に近い構造を得ることが可能となる。
【0010】
本発明において、第1及び第2の磁性体層は、磁気ギャップに近づくにつれて幅が狭くなる平面形状を有していても構わない。これによれば、感磁素子に磁界がより集中することから、より多く磁界を感磁素子に印加することが可能となる。
【0011】
本発明において、第1の外部磁性体は、第1の磁性体層と重なる位置に設けられていても構わない。これによれば、第1の外部磁性体を通過する磁界を効率よく第1の磁性体層に印加することが可能となる。
【0012】
本発明において、第1の測定電流コイルは、センサチップ側にオフセットして第1の外部磁性体に巻回されていても構わない。これによれば、第1の外部磁性体を通過する磁界を効率よく第1の磁性体層に印加することが可能となる。
【0013】
本発明による磁気センサは、第1の測定電流コイルによって生じる磁界を打ち消す補償コイルをさらに備えていても構わない。これによれば、いわゆるクローズドループ制御を行うことが可能となる。この場合、補償コイルは、第1の外部磁性体に巻回されていても構わない。これによれば、補償コイルのターン数を十分に確保することが可能となる。さらにこの場合、第1の測定電流コイルは、補償コイルよりもセンサチップ側に巻回されていても構わない。これによれば、第1の測定電流コイルによって生じる磁界を効率よく感磁素子に印加することが可能となる。補償コイルは、センサチップ内に一体形成されていても構わない。
【発明の効果】
【0014】
このように、本発明は、微弱な測定対象磁界を高感度に検出可能な磁気センサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(a)は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の構成を示す略平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の構成を示す略断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の構成を示す略断面図である。
図4図4は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の構成を示す略断面図である。
図5図5は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の構成を示す略断面図である。
図6図6は、第5の実施形態において用いるセンサチップ10の構成を説明するための略平面図である。
図7図7は、本発明の第6の実施形態による磁気センサ6の構成を示す略断面図である。
図8図8は、本発明の第7の実施形態による磁気センサ7の構成を示す略断面図である。
図9図9は、本発明の第8の実施形態による磁気センサ8の構成を示す略断面図である。
図10図10は、第8の実施形態の変形例による磁気センサ8aの構成を示す略断面図である。
図11図11は、本発明の第9の実施形態による磁気センサ9の構成を示す略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1(a)は、本発明の第1の実施形態による磁気センサ1の構成を示す略平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示すA-A線に沿った略断面図である。
【0018】
図1に示すように、第1の実施形態による磁気センサ1は、センサチップ10と、センサチップ10と重なるように配置された外部磁性体41と、外部磁性体41に巻回された測定電流コイルC1とを備えている。センサチップ10は、素子形成面であるxy面に形成された感磁素子31と、感磁素子31を覆う保護膜11と、保護膜11上に設けられた磁性体層21,22と、磁性体層21,22を覆う保護膜12とを備えている。
【0019】
感磁素子31は、磁束の向きによって電気抵抗が変化する素子であれば特に限定されず、例えばMR素子などを用いることができる。感磁素子31の固定磁化方向はx方向である。磁性体層21,22は、パーマロイなどの高透磁率材料からなる薄膜である。磁性体層21,22は、x方向を幅方向とする磁気ギャップG1を介して磁気結合する。そして、感磁素子31は、磁気ギャップG1によって形成される磁路上に配置されており、これにより、磁性体層21,22を通過するx方向の磁界が感磁素子31に印加される。本発明において、感磁素子31を磁性体層21と磁性体層22の間に位置することは必須でなく、磁性体層21,22からなる磁気ギャップG1の近傍、つまり、磁気ギャップG1によって形成される磁路上に感磁素子31が配置されていれば足りる。例えば、磁気ギャップG1のx方向における幅よりも感磁素子31のx方向における幅の方が大きく、これにより、z方向から見て磁性体層21,22と感磁素子31がオーバーラップしていても構わない。
【0020】
外部磁性体41は、フェライトなどの高透磁率材料によって構成された、x方向を長手方向とする棒状体である。外部磁性体41の中央区間には、測定対象電流Iが流れる測定電流コイルC1が巻回されている。また、外部磁性体41のx方向における一端は、z方向から見て磁性体層21と重なっており、これにより外部磁性体41と磁性体層21が磁気結合している。測定電流コイルC1のコイル軸はx方向であり、これにより測定電流コイルC1に測定対象電流Iが流れると、外部磁性体41にはx方向の測定対象磁界が発生する。外部磁性体41に発生したx方向の測定対象磁界は磁性体層21に印加され、磁気ギャップG1を介して磁性体層22に流れる。これにより、磁気ギャップG1に配置された感磁素子31は、測定電流コイルC1によって生じた測定対象磁界の方向及び強さを検出することができ、その結果、測定対象電流Iの電流量を検出することが可能となる。つまり、本実施形態による磁気センサ1は、測定対象電流Iの電流量を検出する電流センサとして機能する。
【0021】
このように、本実施形態による磁気センサ1は、環状磁心に設けられた磁気ギャップに感磁素子を配置するのではなく、測定電流コイルC1が巻回された外部磁性体41と磁性体層21を磁気結合させ、磁性体層21と磁性体層22の間の磁気ギャップG1に感磁素子31を配置している。そして、感磁素子31及び磁性体層21,22はいずれもセンサチップ10に集積された要素であることから、磁気ギャップG1を非常に狭く設計することができるとともに、磁気ギャップG1と感磁素子31の位置関係を高精度に設計することができる。これにより、測定対象電流Iが微弱であっても、測定電流コイルC1によって生じた測定対象磁界を高感度に検出することが可能となる。
【0022】
<第2の実施形態>
図2は、本発明の第2の実施形態による磁気センサ2の構成を示す略断面図である。
【0023】
図2に示すように、第2の実施形態による磁気センサ2は、外部磁性体42と測定電流コイルC2が追加されている点において、第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
外部磁性体42は、外部磁性体41と同じ高透磁率材料によって構成された、x方向を長手方向とする棒状体である。外部磁性体42の中央区間には、測定電流コイルC2が巻回されている。測定電流コイルC2は、測定電流コイルC1と直列に接続されている。このため、測定電流コイルC2にも測定対象電流Iが流れる。外部磁性体42のx方向における一端は、z方向から見て磁性体層22と重なっており、これにより外部磁性体42と磁性体層22は磁気結合する。測定電流コイルC1,C2のコイル軸はいずれもx方向であり、これにより測定電流コイルC1,C2に測定対象電流Iが流れると、外部磁性体41,42にはx方向の測定対象磁界が発生する。
【0025】
このように、本実施形態による磁気センサ2は、磁性体層22と磁気結合する外部磁性体42を備えるとともに、外部磁性体42に測定電流コイルC2が巻回されていることから、測定対象電流Iによって生じた測定対象磁界をより高感度に検出することが可能となる。
【0026】
<第3の実施形態>
図3は、本発明の第3の実施形態による磁気センサ3の構成を示す略断面図である。
【0027】
図3に示すように、第3の実施形態による磁気センサ3は、外部磁性体41の形状が第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
本実施形態においては、外部磁性体41が第1~第3の部分41a~41cを有している。第1の部分41aは、磁性体層21と重なることによって磁性体層21と磁気結合する部分であり、第2の部分41bは、磁性体層22と重なることによって磁性体層22と磁気結合する部分である。また、第3の部分41cは、第1の部分41aと第2の部分41bを繋ぐ部分であり、測定電流コイルC1は第3の部分41cに巻回されている。第1~第3の部分41a~41cは一体的であっても構わないし、それぞれ異なる部材を接着又は結合したものであっても構わない。
【0029】
かかる構成により、外部磁性体41と磁性体層21,22によって閉磁路に近いループ状の磁路が形成されることから、測定対象電流Iが微弱であっても、測定対象電流Iによって生じた測定対象磁界を効率よく感磁素子31に印加することが可能となる。
【0030】
<第4の実施形態>
図4は、本発明の第4の実施形態による磁気センサ4の構成を示す略断面図である。
【0031】
図4に示すように、第4の実施形態による磁気センサ4は、外部磁性体41が略リング状である点において、第3の実施形態による磁気センサ3と相違している。その他の基本的な構成は第3の実施形態による磁気センサ3と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
本実施形態によれば、外部磁性体41における磁界の流れがよりスムーズとなることから、測定対象電流Iによって生じた測定対象磁界をより効率よく感磁素子31に印加することが可能となる。
【0033】
<第5の実施形態>
図5は、本発明の第5の実施形態による磁気センサ5の構成を示す略断面図である。また、図6は、第5の実施形態において用いるセンサチップ10の構成を説明するための略平面図である。図5に示す断面は、図6のA-A線に沿った断面に対応している。
【0034】
図5及び図6に示すように、第5の実施形態による磁気センサ5は、センサチップ10の構造及び外部磁性体41の長手方向が異なる点において、第1の実施形態による磁気センサ1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態による磁気センサ1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
第5の実施形態において用いるセンサチップ10は、4つの感磁素子31~34と3つの磁性体層21~23を有している。感磁素子31~34の固定磁化方向は、互いに同じ向き(例えばx方向におけるプラス側)に揃えられている。磁性体層21は、磁性体層22と磁性体層23に挟まれるように配置されている。磁性体層21と磁性体層22の間には2つの磁気ギャップG1,G2が形成され、磁性体層21と磁性体層23の間には2つの磁気ギャップG3,G4が形成される。そして、磁気ギャップG1~G4によって形成される磁路上にそれぞれ感磁素子31~34が配置されている。
【0036】
さらに、本実施形態においては、外部磁性体41の長手方向がz方向であり、その一端が磁性体層21と重なるように配置されている。外部磁性体41に巻回された測定電流コイルC1のコイル軸はz方向である。これにより、測定電流コイルC1に測定対象電流Iが流れると、外部磁性体41にはz方向の測定対象磁界が発生する。外部磁性体41に発生したz方向の磁界は磁性体層21に印加され、その半分は磁気ギャップG1,G2を介して磁性体層22に流れ、残りの半分は磁気ギャップG3,G4を介して磁性体層23に流れる。磁気ギャップG1~G4を通過する磁界は、それぞれ感磁素子31~34に印加される。
【0037】
そして、感磁素子31~34をフルブリッジ接続すれば、単一の感磁素子31を用いた場合と比べ、測定対象電流Iによって生じた磁界をより高感度に検出することが可能となる。しかも、本実施形態では、磁性体層21~23は、磁気ギャップG1~G4に近づくにつれて幅が狭くなる平面形状を有していることから、感磁素子31~34に磁界がより集中する。これにより、より多く磁界を感磁素子31~34に印加することが可能となる。また、2つの感磁素子(例えば感磁素子31,33)を用い、これらをハーフブリッジ接続しても構わない。
【0038】
<第6の実施形態>
図7は、本発明の第6の実施形態による磁気センサ6の構成を示す略断面図である。
【0039】
図7に示すように、第6の実施形態による磁気センサ6は、外部磁性体42,43が追加されている点において、第5の実施形態による磁気センサ5と相違している。その他の基本的な構成は第5の実施形態による磁気センサ5と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
外部磁性体42,43は、いずれもセンサチップ10の裏面及び側面を覆うとともに、それぞれ磁性体層22,23と重なることにより磁気結合する突起部42a,43aを有している。これにより、外部磁性体41から磁性体層21を介して磁性体層22,23に流れる磁界が効率よく外部磁性体42,43に印加されることから、漏洩磁界が低減され、より多くの磁界を感磁素子31~34に印加することが可能となる。
【0041】
<第7の実施形態>
図8は、本発明の第7の実施形態による磁気センサ7の構成を示す略断面図である。
【0042】
図8に示すように、第7の実施形態による磁気センサ7は、外部磁性体42,43の代わりに一体化された外部磁性体44が追加されるとともに、測定電流コイルC2が追加されている点において、第6の実施形態による磁気センサ6と相違している。その他の基本的な構成は第6の実施形態による磁気センサ6と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0043】
外部磁性体44は、センサチップ10の裏面及び側面を覆うとともに、磁性体層22,23と重なることにより磁気結合する突起部42a,43aを有している。外部磁性体44は、z方向に延在し、外部磁性体41とほぼ同じ太さを有する棒状部を有しており、この棒状部に測定電流コイルC2が巻回されている。測定電流コイルC2は、測定電流コイルC1と直列に接続されており、このため測定対象電流Iが流れる。
【0044】
このように、本実施形態による磁気センサ7は、外部磁性体41,44にそれぞれ測定電流コイルC1,C2が巻回されていることから、測定対象電流Iによって生じた測定対象磁界をより高感度に検出することが可能となる。しかも、本実施形態では、測定電流コイルC1,C2がいずれもセンサチップ10側にオフセットして巻回されている。つまり、測定電流コイルC1,C2を外部磁性体41,44の軸方向における中央部に巻回するのではなく、測定電流コイルC1についてはセンサチップ10により近づくよう-z方向にオフセットして巻回され、測定電流コイルC2についてはセンサチップ10により近づくよう+z方向にオフセットして巻回されている。これにより、感磁素子31~34に印加されない漏洩磁界が減少することから、外部磁性体41,44を通過する磁界を効率よく感磁素子31~34に印加することが可能となる。
【0045】
<第8の実施形態>
図9は、本発明の第8の実施形態による磁気センサ8の構成を示す略断面図である。
【0046】
図9に示すように、第8の実施形態による磁気センサ8は、外部磁性体41と外部磁性体44を繋ぐ外部磁性体45が設けられ、測定電流コイルC1が外部磁性体45に巻回されている点において、第7の実施形態による磁気センサ7と相違している。その他の基本的な構成は第7の実施形態による磁気センサ7と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0047】
本実施形態においては、外部磁性体41,44と磁性体層21~23によって閉磁路に近いループ状の磁路が形成されることから、測定対象電流Iによって生じた測定対象磁界を効率よく感磁素子31~34に印加することが可能となる。ここで、外部磁性体41,44,45は、それぞれ別部材であっても構わないし、単一の部材であっても構わない。また、外部磁性体41,44,45が直線的である点は必須でなく、図10に示す変形例による磁気センサ8aのように、リング状の外部磁性体46を用いても構わない。
【0048】
<第9の実施形態>
図11は、本発明の第9の実施形態による磁気センサ9の構成を示す略断面図である。
【0049】
図11に示すように、第9の実施形態による磁気センサ9は、外部磁性体41に補償コイルC3が巻回されている点において、第6の実施形態による磁気センサ6と相違している。その他の基本的な構成は第6の実施形態による磁気センサ6と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
補償コイルC3は、測定電流コイルC1によって生じる磁界を打ち消すものであり、測定電流コイルC1とは逆方向に電流が流れる。このような補償コイルC3を用いれば、いわゆるクローズドループ制御を行うことが可能となる。補償コイルC3については、外部磁性体41に巻回するのではなくセンサチップ10に集積しても構わないが、外部磁性体41に巻回することにより、補償コイルC3のターン数を十分に確保することが可能となる。
【0051】
測定電流コイルC1と補償コイルC3の巻回位置については特に限定されないが、図11に示す例のように、測定電流コイルC1を補償コイルC3よりもセンサチップ10側に巻回することにより、測定電流コイルC1によって生じる磁界を効率よく感磁素子31~34に印加することが可能となる。また、補償コイルの一部又は全部をセンサチップ10に集積しても構わない。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
1~9 磁気センサ
10 センサチップ
11,12 保護膜
21~23 磁性体層
31~34 感磁素子
41~46 外部磁性体
41a 第1の部分
41b 第2の部分
41c 第3の部分
42a,43a 突起部
C1,C2 測定電流コイル
C3 補償コイル
G1~G4 磁気ギャップ
I 測定対象電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11