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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125839
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】アレーアンテナ、及びアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/36 20060101AFI20220822BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220822BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220822BHJP
   H04B 7/0413 20170101ALI20220822BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20220822BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20220822BHJP
   H02J 50/23 20160101ALI20220822BHJP
【FI】
H01Q3/36
H01Q21/06
H04B7/06 150
H04B7/0413 300
H04W16/26
H04W16/28
H02J50/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023649
(22)【出願日】2021-02-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、5Gの超小型衛星通信への展開に向けたフェーズドアレイ無線機の研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】白根 篤史
【テーマコード(参考)】
5J021
5K067
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021CA06
5J021DB03
5J021FA06
5J021FA17
5J021FA31
5J021GA02
5J021HA01
5J021JA09
5K067AA22
5K067AA43
5K067EE08
5K067KK02
(57)【要約】
【課題】任意の方向に通信電波の中継を行うと共に、消費電力を低減することができるアレーアンテナ、及びアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アレーアンテナは、給電装置から送信された給電電波を受信すると共に、受信した通信用の電波を中継して中継電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ部と、各前記アンテナ素子において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部と、各前記アンテナ素子において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部と、前記電力により駆動され前記移相調整部を制御して各前記アンテナ素子から送信される前記送信信号の位相を個別に調整し、前記送信信号に基づいて前記アンテナ部から送信される前記中継電波のビーム方向を調整する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置から送信された給電電波を受信すると共に、受信した通信用の電波を中継して中継電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ部と、
各前記アンテナ素子において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部と、
各前記アンテナ素子において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部と、
前記電力により駆動され前記移相調整部を制御して各前記アンテナ素子から送信される前記送信信号の位相を個別に調整し、前記送信信号に基づいて前記アンテナ部から送信される前記中継電波のビーム方向を調整する制御部と、を備える、
アレーアンテナ。
【請求項2】
前記移相調整部は、各前記アンテナ素子に対応して設けられた複数の移相調整回路を備え、
前記制御部は、各前記移相調整回路において前記送信信号の位相を調整し、前記ビーム方向を調整する、
請求項1に記載のアレーアンテナ。
【請求項3】
前記制御部は、通信対象である通信装置の方向に前記中継電波の前記ビーム方向を調整する、
請求項1または2に記載のアレーアンテナ。
【請求項4】
前記アンテナ部と異なる位置に設けられた他のアンテナ部を備え、
前記制御部は、前記移相調整部を制御して前記送信信号を生成し、前記他のアンテナ部から前記送信信号に基づく前記中継電波を送信する、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載のアレーアンテナ。
【請求項5】
前記制御部は、前記移相調整部を制御して前記アンテナ部において受信した前記信号を低周波に周波数変換したIF信号を生成し、前記アンテナ部から他のアンテナ部に前記IF信号を送信し、前記他のアンテナ部における他の移相調整部を制御して前記IF信号を高周波に変調した前記送信信号を生成し、前記ビーム方向が調整された前記中継電波を送信する、
請求項2から4のうちいずれか1項に記載のアレーアンテナ。
【請求項6】
移相調整回路は、前記送信信号において、I成分と前記I成分と直交するQ成分を有する直交位相信号を生成し、前記直交位相信号において前記I成分の大きさ及び前記Q成分の大きさを個別に調整して合成し位相を調整する、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載のアレーアンテナ。
【請求項7】
移相調整回路は、位相調整のための複数のトランジスタを備え、
前記制御部は、前記移相調整回路を制御して前記送信信号の位相調整量に応じた個数の前記トランジスタへのスイッチングを行う、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載のアレーアンテナ。
【請求項8】
給電電波を送信する給電装置と、
前記給電電波を受信すると共に、受信した通信用の電波を中継して中継電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ部と、
各前記アンテナ素子において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部と、
各前記アンテナ素子において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部と、
前記電力により駆動され前記移相調整部を制御して各前記アンテナ素子から送信される前記送信信号の位相を個別に調整し、前記送信信号に基づいて前記アンテナ部から送信される前記中継電波のビーム方向を調整する制御部と、を備える、
アンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を低減するアレーアンテナ、及びアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代通信(5G)ネットワークの普及に伴い、高速大容量通信を可能とする通信サービスの増加が見込まれている。5G通信においては、例えば28GHz帯の高周波の電波を利用した通信が行われる。28GHz帯の高周波の電波は、回折が発生し難く、伝搬損失が発生するため通信が困難となる場合がある。従って5G通信においては、指向性を有するフェーズドアレーアンテナを用いてミリ波帯の電波により通信することが研究されている。
【0003】
フェーズドアレーアンテナは、複数のアンテナ素子が配列されたアンテナ部から任意の方向に送信電波のビームを送信する。フェーズドアレーアンテナは、送受信アンテナの間に遮蔽物が無い環境における通信(見通し内通信)に適用される場合が多い。
【0004】
従来、基地局のアンテナと通信対象との間に障害物が存在する領域に対して基地局から送信された電波を受信し、通信対象に対して無線中継を行う無線中継装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された無線中継装置は、基地局と、基地局から送信される電波を受信するアンテナ部と、アンテナ部に無線給電すると共に、受信電波に含まれる信号に基づいて送信信号を生成し、室内に向けて送信信号に基づく中継電波を送信する中継装置とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-028015号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】J. Pang, et al., “A 28-GHz CMOS Phased-Array Beamformer Supporting Dual-Polarized MIMO with Cross-Polarization Leakage Cancellation” VLSI Circuits, June 2020.
【非特許文献2】J. Dunworth, et al., “A 28 GHz Bulk-CMOS Dual-Polarization Phased-Array Transceiver with 24 Channels for 5G User and Basestation Equipment,” ISSCC, pp.70-71, Feb. 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された技術によれば、基地局からの電波を中継する中継装置は室内に存在する通信装置に対して中継電波のビーム方向を調整するものでは無かった。
【0008】
本発明は、任意の方向に通信電波の中継を行うと共に、消費電力を低減することができるアレーアンテナ、及びアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、給電装置から送信された給電電波を受信すると共に、受信した通信用の電波を中継して中継電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ部と、各前記アンテナ素子において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部と、各前記アンテナ素子において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部と、前記電力により駆動され前記移相調整部を制御して各前記アンテナ素子から送信される前記送信信号の位相を個別に調整し、前記送信信号に基づいて前記アンテナ部から送信される前記中継電波のビーム方向を調整する制御部と、を備えるアレーアンテナである。
【0010】
本発明によれば、アンテナ部が給電装置により無線給電された給電電波に基づいて電力を生成するため、電源が設けられていない位置にアンテナ部が設置されていても、中継電波のビーム方向を調整して、中継電波を通信対象に送信することができる。本発明によれば、給電電波に基づいて中継電波を送信するため、消費電力を低減することができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、前記移相調整部が各前記アンテナ素子に対応して設けられた複数の移相調整回路を備え、前記制御部は、各前記移相調整回路において前記送信信号の位相を調整し、前記ビーム方向を調整してもよい。
【0012】
本発明によれば、各アンテナ素子から送信される電波の位相を個別に調整することで、アンテナ部から放射される中継電波のビーム方向を任意の方向に調整することができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、前記制御部が通信対象の通信装置の方向に前記中継電波の前記ビーム方向を調整してもよい。
【0014】
本発明によれば、給電電波に基づいて通信対象に対して中継電波のビーム方向を調整した中継電波を送信するため、消費電力を低減することができる。
【0015】
また、本発明の一態様は、前記アンテナ部と異なる位置に設けられた他のアンテナ部を備え、前記制御部は、前記移相調整部を制御して前記送信信号を生成し、前記他のアンテナ部から前記送信信号に基づく前記中継電波を送信してもよい。
【0016】
本発明によれば、アンテナ部において中継電波を送信しにくい領域に対して他のアンテナ部を設けることにより、アンテナ部において受信した送信電波に基づいて、他のアンテナ部から中継電波を送信することができる。
【0017】
また、本発明の一態様は、前記制御部が前記移相調整部を制御して前記アンテナ部において受信した前記信号を低周波に周波数変換したIF信号を生成し、前記アンテナ部から他のアンテナ部に前記IF信号を送信し、前記他のアンテナ部における他の移相調整部を制御して前記IF信号を高周波に変調した前記送信信号を生成し、前記ビーム方向が調整された前記中継電波を送信してもよい。
【0018】
本発明によれば、アンテナ部と他のアンテナ部との間にコンクリート壁等の高周波の通信用電波を透過しにくい材質が存在していても、これらの材質を透過するように調整された低周波のIF信号を用いることにより、アンテナ部と他のアンテナ部との間において通信することができる。
【0019】
また、本発明の移相調整回路は、前記送信信号において、I成分と前記I成分と直交するQ成分を有する直交位相信号を生成し、前記直交位相信号において前記I成分の大きさ及び前記Q成分の大きさを個別に調整して合成し位相を調整してもよい。
【0020】
本発明によれば、直交位相信号を生成することにより、直交成分毎に付加する位相量を任意に調整することができる。
【0021】
また、本発明の一態様は、移相調整回路は、位相調整のための複数のトランジスタを備え、前記制御部は、前記移相調整回路を制御して前記送信信号の位相調整量に応じた個数の前記トランジスタへのスイッチングを行ってもよい。
【0022】
本発明によれば、スイッチングするトランジスタの個数を調整することにより実効的なトランジスタのサイズを変更し、付加する位相量の調整をすることができる。
【0023】
本発明の一態様は、給電電波を送信する給電装置と、前記給電電波を受信すると共に、受信した通信用の電波を中継して中継電波を送信する複数のアンテナ素子を有するアンテナ部と、各前記アンテナ素子において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部と、各前記アンテナ素子において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部と、前記電力により駆動され前記移相調整部を制御して各前記アンテナ素子から送信される前記送信信号の位相を個別に調整し、前記アンテナ部から送信される前記中継電波のビーム方向を調整する制御部と、を備えるアンテナ装置である。
【0024】
給電装置が給電電波をアンテナ部に送信することにより、アンテナ部に無線給電することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、任意の方向に通信電波の中継を行うと共に、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る通信システムの構成を概略的に示す図である。
図2】アンテナ部の具体的な構成を示す図である。
図3】通信システムの構成を示すブロック図である。
図4】アンテナ部の回路構成を概略的に示す図である。
図5】アンテナ部の送信側の回路構成を概念的に示す図である。
図6】アンテナ装置における無線給電の性能試験の結果を示す図である。
図7】アンテナ素子の配列数と、発生する電力との関係を示す図である。
図8】アンテナ部における中継電波の強度に関する測定結果を示す図である。
図9】アンテナ部から送信される中継電波のビームの方向、強度の測定結果を示す図である。
図10】アンテナ装置における受信信号と送信信号との比較結果を示す図である。
図11】アンテナ装置における発電能力と消費電力の性能を示す図である。
図12】変形例に係る通信システムの構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1及び図2に示されるように、通信システム1は、電波を送受信する基地局20と、基地局20から送信される電波を中継するアンテナ装置Fと、アンテナ装置Fに中継された電波を受信する移動局30とを備える。
【0028】
基地局20は、例えば、複数のアンテナ素子22が配列されたアンテナ部21を備える。アンテナ部21は、送信する電波のビーム方向を任意に調整するフェーズドアレーアンテナである。基地局20は、移動局30との間に建物等の遮蔽物Sが存在しない場合、移動局30の方向に送信電波のビーム方向を調整し移動局30と見通し内通信を行う。基地局20は、所定の位置に固定された通信装置であってもよいし、移動可能な通信装置であってもよい。
【0029】
図示するように、基地局20は、移動局30との間に遮蔽物Sが存在して見通し内通信ができない場合、アンテナ装置Fの方向に送信電波のビーム方向を調整し、アンテナ装置Fにより電波を中継して移動局30と通信を行う。基地局20は、所定の周波数帯の電波(例えば、28GHz帯)により移動局30と通信する。
【0030】
移動局30は、例えば、ユーザが所持する携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末等の移動可能な通信装置である。移動局30は、所定の位置に固定された通信装置であってもよい。移動局30は、基地局20との間において見通し内通信を行う。移動局30は、遮蔽物Sの影響により基地局20からの電波を受信しにくい領域に移動し、見通し内通信ができない場合がある。
【0031】
アンテナ装置Fは、基地局20から送信される電波を中継して移動局30に送信するリレーノードである。また、アンテナ装置Fは、移動局30から送信される電波を中継して基地局20に送信する。基地局20は、既知の位置検知方法に基づいてアンテナ装置Fの位置を推定する。アンテナ装置Fは、所定の位置に固定された通信装置であってもよいし、移動可能な通信装置であってもよい。基地局20は、アンテナ装置Fの方向に送信電波R1のビーム方向を調整してアンテナ装置Fに送信電波R1を送信する。また、アンテナ装置Fは、既知の位置検知方法に基づいて移動局30の位置を推定する。
【0032】
図示するように基地局20及び移動局30は、1つずつ示されているが、アンテナ装置Fは、2つ以上の基地局20と通信してもよく、2つ以上の移動局30と通信してもよい。アンテナ装置Fは、例えば、電波を送受信するアレーアンテナ2と、アレーアンテナ2に電源を供給する給電電波を送信する給電装置10とを備える。給電装置10は、無線給電によりアレーアンテナ2に電力を供給する。
【0033】
給電装置10は、複数のアンテナ素子12が配列されたアンテナ部11を備える。アンテナ部11は、送信する電波のビーム方向を調整して送信するフェーズドアレーアンテナである。給電装置10は、例えば、所定の周波数帯(例えば、24Ghz)の給電電波を生成する。給電装置10は、アレーアンテナ2の位置に給電電波のビーム方向を調整し、給電電波を送信する。
【0034】
アレーアンテナ2は、例えば、複数のアンテナ素子4が配列されたアンテナ部3を備える(図2参照)。アンテナ部3は、送信する電波のビーム方向を任意に調整するフェーズドアレーアンテナである。アンテナ部3は、例えば、シート状に形成された板状体3Aの表面に複数のアンテナ素子4がマトリクス状に配置されている。板状体3Aの裏面には、例えば、後述のアンテナ素子4における電波の送受信を制御するための後述の構成に係るチップが実装されている。
【0035】
アンテナ部3は、例えば、建物の壁等に貼り付けられる。アレーアンテナ2は、外部電源が接続されておらず、電源を設置することが困難な場所に設置される。アレーアンテナ2は、給電装置10から受信した給電電波R2に基づいて動作する。
【0036】
以下、通信システム1の具体的な構成について説明する。
【0037】
図3に示されるように、基地局20は、例えば、電波を送受信する複数のアンテナ素子22を有するアンテナ部21と、電波の送受信に関する回路を有する送受信部23と、送受信部23を制御する制御部24を備える。送受信部23は、複数のアンテナ素子22から送信される電波の位相を個別に調整しアンテナ部21から放射される送信電波R1のビーム方向を調整する移相調整回路を有する。送受信部23は、制御部24により制御される。
【0038】
アンテナ装置Fにおいて給電装置10は、給電電波R2を送信する複数のアンテナ素子12を有するアンテナ部11と、給電電波を生成し送信する通信部13と、通信部13を制御する制御部14とを備える。給電装置10は、例えば、アレーアンテナ2から離間した位置に設置されている。給電装置10は、例えば、電源が確保可能な位置に設置される。給電装置10は、アレーアンテナ2との間に遮蔽物が無い位置に設置される。
【0039】
通信部13は、複数のアンテナ素子12から送信される給電電波R2の信号を生成する。給電電波R2は、例えば、所定のマイクロ波の周波数帯(例えば、24GHz帯)の電磁波である。通信部13は、複数のアンテナ素子12から送信される給電電波R2の位相を個別に調整しアンテナ部11から給電電波R2を送信する。通信部13は、アレーアンテナ2と給電装置10との位置関係が固定されている場合、予め設定された位相差を与えた給電電波R2を各アンテナ素子12から放射し、アレーアンテナ2が設置された方向に対して給電電波R2のビームを送信する。
【0040】
制御部14は、通信部13を制御して給電電波R2の送信の開始、停止を行う。制御部14は、例えば、アレーアンテナ2が送信電波R1を受信した所定のタイミングにおいて送信した所定の制御信号に基づいて、通信部13を制御してアンテナ部11から給電電波R2を送信する。また、制御部14は、通信部13を制御してアレーアンテナ2に定常的に給電電波R2を送信してもよい。
【0041】
アレーアンテナ2は、受信した給電電波R2に基づいて電力を生成し、生成した電力に基づいて、受信した送信電波R1を移動局30に送信する受動型のフェーズドアレーアンテナである。アレーアンテナ2は、送受信において指向性を有する無線通信を可能とする。
【0042】
アレーアンテナ2は、給電装置10から送信された給電電波R2を受信すると共に、送信側の通信装置から送信された電波を受信して受信側の通信装置に中継電波を送信する複数のアンテナ素子4を有するアンテナ部3と、各アンテナ素子4において受信した受信電波に含まれる信号の位相を変化させた送信信号を生成する移相調整部5と、各アンテナ素子4において受信した給電電波に基づいて電力を生成する電源部7と、電源部7により生成された電力により駆動され移相調整部5を制御する制御部6と、を備える。
【0043】
電源部7は、例えば、アンテナ部3において受信した給電電波R2に基づいて電源用の電力を生成する。
【0044】
制御部6は、例えば、電源部7により生成された電力に基づいて、移相調整部5を制御する。制御部6は、例えば、移相調整部5を制御して、各アンテナ素子4から送信される送信信号の位相を個別に調整し、アンテナ部3から送信される中継電波R3のビーム方向を調整する。即ち、制御部6は、移相調整部5を制御して、基地局20の通信対象である通信装置の方向にアンテナ部3から放射される中継電波のビーム方向を調整する。制御部6は、移動局30から基地局20への中継においても同様にアンテナ部3から放射される中継電波のビーム方向を調整する。
【0045】
移相調整部5は、例えば、各アンテナ素子に対応して設けられた後述の複数の移相調整回路を備える。制御部6は、各移相調整回路において送信信号の位相を調整し、ビーム方向を調整する。移相調整部5の内容の詳細な説明については後述する。制御部6は、例えば、移相調整部5を制御して基地局20から受信した送信電波R1の到来方向と異なる方向に存在する移動局30に向けて中継電波R3を送信する。
【0046】
次に、アレーアンテナ2の具体的な回路構成について説明する。
【0047】
図4に示されるように、アレーアンテナ2は、例えば、各アンテナ素子4から受信した電波に基づいて受信信号を生成する受信側(RX)側の回路2Rと、受信信号に基づいて送信信号を生成すると共に、送信信号に基づいて各アンテナ素子4から送信電波を放射する送信側(TX)の回路2Tとを備える。回路2Rと回路2Tとは、アンテナ部3を共有している。
【0048】
受信側の回路2Rには、電源部7を構成する2個の4対1のパワーコンバイナ7Aと、2個のパワーコンバイナ7Aにそれぞれ設けられた2個のLC整流器7Bが設けられている。パワーコンバイナ7Aは、例えば、各アンテナ素子4が受信した給電電波R2に基づいて発生した複数の伝送路上の交流電流を合成する。LC整流器7Bは、合成した交流電流を整流し、電源電力を生成する。電源部7は、この他、生成した電力を蓄電する二次電池、キャパシタ等を備えていてもよい。
【0049】
送信側の回路2Tには、例えば、移相調整部5が設けられている。移相調整部5は、複数のアンテナ素子4における電波の送受信における位相を個別に制御する移相調整回路を備える。移相調整回路は、例えば、各アンテナ素子4に個別に対応して設けられた複数の移相器5Aと、移相器5Aに入力する直交位相信号を生成するI/Q信号発生器5Bと、送受信信号を中間周波数として例えば、4GHzのIF(Intermediate Frequency)信号に変換する変換部5C等により構成されている。
【0050】
移相器5Aは、アンテナ素子4において送受信される送受信信号の位相を調整する。複数の移相器5Aにより複数のアンテナ素子4から送信される送信電波により生成される電波のビーム方向が調整される。即ち、複数の移相器5Aを有するアンテナ部3から放射される電波は、ビーム方向が調整され(ビームフォーミングされ)送信される。
【0051】
I/Q信号発生器5Bは、変換部5Cにより生成されたIF信号を28GHzにアップコンバートした信号を生成する。直交位相信号は、例えば、4GHzのIF信号に基づいて入力信号の振幅を保持しつつ位相のみ変化させるオールパスフィルター(APF:不図示)によって生成される。
【0052】
I/Q信号発生器5Bは、IF信号をアップコンバートして生成した信号に基づいて直交するI成分及びQ成分の直交位相信号を分離して生成する。I/Q信号発生器5Bにおいて生成された直交位相信号は、移相器5Aに入力される。I/Q信号発生器5Bにより、2ビットのシンボルに対応する信号が生成される。
【0053】
図5に示されるように、移相器5Aは、I成分の信号を入力し位相を調整する第1移相器5AIと、Q成分の信号を入力し位相を調整する第2移相器5AQとを備える。図において、I成分の信号及びQ成分の信号に任意の位相差を発生させる移相器5Aが例示されている。第1移相器5AIは、I成分の大きさを調整する。第2移相器5AQは、Q成分の大きさを調整する。
【0054】
第1移相器5AIは、位相のシフト量に応じたサイズに可変するMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタを有する。第1移相器5AIは、例えば、複数の並列接続されたMOSトランジスタにより形成されている。第1移相器5AIは、複数の並列接続されたMOSトランジスタのうちゲート入力されてオン状態となるMOSトランジスタの数に応じて実効的なMOSトランジスタのサイズを変更し、位相のシフト量を調整する。第1移相器5AIは、位相のシフト量が調整できるのであればMOSトランジスタだけでなくバイポーラトランジスタ等の他のトランジスタを有していてもよい。
【0055】
第2移相器5AQは、位相のシフト量に応じたサイズに可変するMOSトランジスタを有する。第2移相器5AQは、例えば、複数の並列接続されたMOSトランジスタにより形成されている。即ち、移相調整回路は、位相調整のための複数のMOSトランジスタを備える。
【0056】
第2移相器5AQは、複数の並列接続されたMOSトランジスタのうちゲート入力されてオン状態となるMOSトランジスタの個数に応じて実効的なMOSトランジスタのサイズを変更し、位相のシフト量を調整する。即ち、制御部6は、移相調整回路を制御し、送信信号の位相調整量に応じた個数のMOSトランジスタチップへのスイッチングを行い、アンテナ部3から放射される中継電波R3のビーム方向を調整する。
【0057】
第1移相器5AI及び第2移相器5AQにおけるMOSトランジスタのサイズは、送信電波の送信方向が固定されている場合、送信電波のビーム方向に応じた位相差を発生するように固定されていてもよい。
【0058】
第1移相器5AI及び第2移相器5AQのオン/オフのスイッチングは、制御部6により制御されたI/Q信号発生器5Bにより行われる。制御部6は、I/Q信号発生器5Bを制御して第1移相器5AI及び第2移相器5AQにおける直交位相信号に付加される位相量を任意に調整する。制御部6は、I/Q信号発生器5Bを制御して、直交位相信号においてI成分とQ成分との90°の位相差を保持しつつ、大きさが調整されたI成分と大きさが調整されたQ成分とを合成し、送信信号の位相を調整する。上述したアレーアンテナ2における回路構成は、一例であり、送信電波に基づいてアンテナ素子4から送信される電波の位相量を任意に調整し中継電波のビーム方向を調整可能であれば他の回路構成が適用されてもよい。
【0059】
上記構成により、アレーアンテナ2は、受信した電波をリレー中継する際に、各アンテナ素子4において受信した給電電波R2に基づいて電力を生成し、生成した電力に基づいて各アンテナ素子4から送信される送信信号の位相を個別に調整し、アンテナ部3から放射される中継電波R3のビーム方向を調整して中継電波を送信することができる。アレーアンテナ2は、中継電波R3の生成自体には電力を消費せずに位相調整の制御において電力を消費するため、消費電力を大幅に低減することができる。
【0060】
図6には、アンテナ装置Fにおける無線給電の性能試験の結果が示されている。試験において、アレーアンテナ2の各アンテナ素子4における受信電力(PWPT)に対して発生する電力(mW)が測定された。発生する電力は、24GHzの給電電波R2の電力、角度、および給電装置10からの距離によって異なる。
【0061】
測定条件は、給電装置10から0.2m離間した位置において、4×8のマトリクス状に配置された32個のアンテナ素子4が配列されているアンテナ部3から24GHzの給電電波R2を受信した場合に電源部7において発生する電力が測定された。
【0062】
この測定では、0°方向において2.3dBmの受信電力を有するアンテナ素子4を有するアンテナ部3から3.1mWの電力が生成された。これは、24GHzでの受信電力密度として6.7mW/cmに相当する。但し、この電力変換には、電源部7における各アンテナ素子4が受信した電力の合成と結線によって生じる挿入損失が含まれる。
【0063】
図7には、アンテナ部3におけるアンテナ素子4の配列数と、電源部7において発生する電力との関係が示されている。図示するように、アンテナ部3におけるアンテナ素子4の配列数と、発生する電力とは比例関係にある。
【0064】
図示するように測定結果に基づいて、16×16のマトリクス状に配置された256個のアンテナ素子4を有するアンテナ部3において、アンテナ素子4が0.2mの離間距離で1.7dBmの受信電力の性能を有する場合、アンテナ部3から受信した給電電波R2に基づいて25.0mWの発電が可能であると推定される。
【0065】
図8には、アンテナ部3における中継電波R3の強度に関する測定結果が示されている。図示するように、中継電波R3の強度に対してアンテナ部3の等価等方輻射電力(Equivalent Isotropically Radiated Power:EIRP)は、比例関係となる。
【0066】
EIRPは、4×8のマトリクス状に配置された32個のアンテナ素子4を有するアンテナ部3における0.2m離間した距離で測定された。EIRPは、比例関係の領域が終了すると非線形領域が生じる。EIRPの非線形領域において、比例関係式から1dB低下した1dB圧縮ポイントは、-2.2dBmであった。
【0067】
図9には、アンテナ部3から送信される中継電波R3のビームの方向、強度の測定結果が示されている。アンテナ装置Fにおいて中継電波R3は、平面方位角15°毎のビームパターンの後方散乱について測定された。
【0068】
図10には、アンテナ装置Fにおける受信信号と送信信号との比較結果が示されている。図示するように、5Gモバイルネットワーク用に設定された5GNR(New Radio)信号の送受信においてスペクトル、エラーベクトル振幅(Error Vector Modulation:EVM)、および隣接チャネル漏洩電力比(Adjacent Channel Leakage Ratio:ACLR)が測定された。測定結果により、アンテナ装置Fは、受信信号に基づいて様々な変調信号に対して正確な送信信号を生成し、中継電波R3を送信可能である。
【0069】
図11には、アンテナ装置Fにおける発電能力と消費電力の測定結果が示されている。アンテナ装置Fによれば、消費電力が0.03mW/パス程度でビーム方向を制御してリレー動作が実現される。比較例として、非特許文献1及び非特許文献2に記載されたアレーアンテナの消費電力が示されている。比較例に係るアンテナは、受信した送信電波に基づいて中継電波を生成して送信する構成を有する。アンテナ装置Fによれば、比較例に比して中継電波の送信において消費電力を大幅に低減可能である。
【0070】
アンテナ装置Fによれば、給電装置10の無線給電により3.1mWの電力を生成することができる。従って、アンテナ装置Fによれば、給電装置10から受信した給電電波R2に基づいてリレー制御に必要な電力を十分に発電することができる。
【0071】
上述したようにアンテナ装置Fによれば、アレーアンテナ2において外部電源を用いずに任意の方向に通信電波の中継を行うことができる。アンテナ装置Fによれば、アレーアンテナ2は、給電装置10に無線給電されることにより電力を生成することができ、外部電源が設置されていない任意の位置に固定することができる。アンテナ装置Fによれば、基地局20から送信される送信電波を、給電装置10から供給される給電電波R2により発生する電力に比して小さい消費電力によりリレー中継することができる。アンテナ装置Fによれば、受信した電波をリレー中継する際に、ビーム方向を任意に調整して中継電波を送信することができる。
【0072】
アンテナ装置Fによれば、受信した電波をリレー中継する際に、各アンテナ素子4において受信した給電電波に基づいて電力を生成することができ、生成した電力に基づいて各アンテナ素子4から送信される送信信号の位相を個別に調整しビーム方向を調整して中継電波を送信することができる。アンテナ装置Fによれば、生成した電力は、中継電波の位相の調整の制御に対して用いるため、消費電力を大幅に低減することができる。
【0073】
[変形例]
以下、変形例に係る通信システムについて説明する。以下の説明においては、上記実施形態と同一の構成については、同一の名称及び符号を用い、重複する説明については適宜省略する。
【0074】
図12に示されるように、通信システム1Aは、壁W等の遮蔽物に遮蔽された空間に中継電波を送信するものである。壁Wは、例えば、建物のコンクリート壁である。壁Wの一面WX側は、例えば、建物の外部空間である。壁Wの他面WY側は、例えば、建物の室内等の内部空間である。壁Wの一面WX側には、基地局20と、給電装置10Xが配置されている。基地局20は、例えば、28GHzの周波数帯の送信電波R1を送信する。送信電波R1は、壁Wを透過せず、他面WY側の移動局30に届かない。
【0075】
以下、壁Wの一面WX側と他面WY側において重複する構成において、一面WX側については符号にXを追加し、壁Wの他面WY側については符号にYを適宜追加して説明する。
【0076】
通信システム1Aは、壁Wの一面WX側においてアンテナ部3Xが設けられている。壁Wの他面WY側において他のアンテナ部3Yが設けられている。アンテナ部3Yは、アンテナ部3Xに対応する位置に背中合わせに配置されている。アンテナ部3Xは、給電装置10Xから給電電波R2Xを受信し、電力を生成する。アンテナ部3Xは、基地局20から送信電波R1を受信する。
【0077】
アンテナ部3Xにおいて、給電装置10Xから送信される給電電波R2Xに基づいて電力が生成される。アンテナ部3Xにおいて、基地局20から送信された送信電波R1が受信される。アンテナ部3Xにおいて、制御部6Xは、生成された電力に基づいて、移相調整部5Xを制御して、受信した送信電波R1に含まれる信号を低周波に周波数変換したIF信号を生成する。制御部6Xは、例えば、移相調整部5Xを制御して4GHzのIF信号を生成する。
【0078】
制御部6Xは、移相調整部5Xを制御して、IF信号を他のアンテナ部3Y側に送信する。このとき、IF信号が壁Wを透過する周波数帯であれば、有線接続されていなくても壁Wを介して他のアンテナ部3YにIF信号を送信することができる。4GHz帯に変換されたIF信号は、壁Wを透過してアンテナ部3Yにおいて受信される。アンテナ部3Xと他のアンテナ部3Yとは、有線接続が可能であれば有線によりIF信号を送受信してもよい。
【0079】
アンテナ部3Yにおいて、給電装置10Yから送信される給電電波R2Xに基づいて電力が生成される。アンテナ部3Yにおいて、生成された電力に基づいて駆動される他の制御部6Yは、他の移相調整部5Yを制御して、受信したIF信号を高周波に変調した送信信号を生成する。制御部6Yは、移相調整部5Yを制御して各アンテナ素子4Yから送信される送信信号の位相を個別に調整し、アンテナ部3Yからビーム方向が調整された中継電波R3を移動局30に向けて送信する。
【0080】
通信システム1Aにおいて、アンテナ部3Yは、壁Wに関してアンテナ部3Xと背中合わせに配置されているだけでなく、アンテナ部3Xと異なる他の位置に設けられていてもよい。
【0081】
アンテナ部3Yは、壁Wの一面WX側においてアンテナ部3Xと離間した異なる他の位置に設けられていてもよい。この場合、アンテナ部3Xとアンテナ部3Yとは、信号を送受信するために有線接続されていてもよい。アンテナ部3Yは、給電装置10Xを共用してもよい。
【0082】
上述したように通信システム1Aによれば、壁Wに遮蔽された室内空間に位置する移動局30に送信電波R1をリレーした中継電波R3を送信することができる。通信システム1Aによれば、アンテナ部3Xにおいて送信電波R1を受信し、他のアンテナ部3Yからビーム方向を調整して中継電波R3を室内の移動局30に向けて送信することができる。
【0083】
上述した実施形態における制御部6,6X,6Y,14,24は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、アレーアンテナ2において、給電装置10から受信した給電電波に基づいて、送信電波のパワーを増幅して送信するためのアンプ回路が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1、1A…通信システム、2…アレーアンテナ、2R、2T…回路、3…アンテナ部、3A…板状体、3X…アンテナ部、3Y…アンテナ部、4…アンテナ素子、4Y…アンテナ素子、5…移相調整部、5A…移相器、5AI…第1移相器、5AQ…第2移相器、5B…I/Q信号発生器、5C…変換部、5X、5Y…移相調整部、6…制御部、6X、6Y…制御部、7…電源部、7A…パワーコンバイナ、7B…LC整流器、10、10X、10Y…給電装置、11…アンテナ部、12…アンテナ素子、13…通信部、14…制御部、20…基地局、21…アンテナ部、22…アンテナ素子、23…送受信部、24…制御部、30…移動局、F…アンテナ装置、R1…送信電波、R2、R2X…給電電波、R3…中継電波、S…遮蔽物、W…壁、WX…一面、WY…他面
図1
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