(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125865
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】汚染土壌の原位置浄化システム及び汚染土壌の原位置浄化方法
(51)【国際特許分類】
B09C 1/06 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
B09C1/06 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023687
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】土田 充
(72)【発明者】
【氏名】小松 大祐
(72)【発明者】
【氏名】中島 邦将
(72)【発明者】
【氏名】平澤 卓也
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA41
4D004AB02
4D004AB03
4D004AB05
4D004AB06
4D004AB07
4D004AC07
4D004CA22
4D004CA41
4D004CB02
4D004CB31
4D004CC03
4D004DA06
(57)【要約】
【課題】加熱効率を高められる汚染土壌の原位置浄化システム及び汚染土壌の原位置浄化方法。
【解決手段】汚染物質で汚染された汚染土壌が存在する処理対象領域A1の少なくとも一部に加熱処理を施す1以上の加熱井戸10と、処理対象領域A1の領域内に位置し、前記加熱処理により生じた前記汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引する1以上の吸引井戸20と、処理対象領域A1の領域内又は周囲に位置し、処理対象領域A1に流入する地下水よりも温度が高い水を、処理対象領域A1に注入する1以上の注水井戸30と、を有する、汚染土壌の原位置浄化システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質で汚染された汚染土壌が存在する処理対象領域の少なくとも一部に加熱処理を施す1以上の加熱井戸と、
前記処理対象領域の領域内に位置し、前記加熱処理により生じた前記汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引する1以上の吸引井戸と、
前記処理対象領域の領域内又は周囲に位置し、前記処理対象領域に流入する地下水よりも温度が高い水を、前記処理対象領域に注入する1以上の注水井戸と、を有する、汚染土壌の原位置浄化システム。
【請求項2】
前記吸引井戸に接続された気液分離装置を有する、請求項1に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
【請求項3】
前記吸引井戸に接続された熱交換器を有する、請求項1又は2に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
【請求項4】
前記熱交換器で得られる熱を前記注水井戸から注入する前記水の熱源として利用する、請求項3に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
【請求項5】
汚染物質で汚染された汚染土壌が存在する処理対象領域の少なくとも一部に加熱処理を施す加熱工程と、
前記加熱処理により生じた前記汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引する吸引工程と、
前記処理対象領域の領域内又は周囲に、前記処理対象領域に流入する地下水よりも温度が高い水を注入する注水工程と、を有する、汚染土壌の原位置浄化方法。
【請求項6】
前記加熱工程における加熱温度が60℃以上である、請求項5に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
【請求項7】
前記汚染物質が揮発性有機化合物、油分、水銀、ポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類から選択される1種以上である、請求項5又は6に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
【請求項8】
前記吸引工程の後に、前記流体から熱を得る熱交換工程を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
【請求項9】
前記熱交換工程で得られた前記熱を、前記注水工程で注入する前記水の熱源として利用する、請求項8に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染土壌の原位置浄化システム及び汚染土壌の原位置浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
揮発性有機化合物(VOC)等で汚染された汚染土壌を浄化する方法としては、掘削して除去する方法(掘削除去法)が知られている。
しかし、掘削除去法では、汚染土壌を大量に搬出、運搬しなければならず、膨大なコストを要していた。
【0003】
こうした問題に対し、例えば、特許文献1には、汚染物質を含む処理対象領域に熱を加え、汚染物質の一部を気化させてこれを吸引し、処理対象領域から除去する、汚染土壌の原位置浄化方法が提案されている。特許文献1の発明によれば、原位置の加熱及び蒸気抽出により汚染物質の除去効率を高めることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、気化した汚染物質を吸引する際、地下水や加熱水蒸気を吸引するため、処理対象領域の水頭が低下して、外部から地下水等が流入する。このため、処理対象領域の地中温度が著しく低下して、加熱効率が低下する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、加熱効率を高められる汚染土壌の原位置浄化システム及び汚染土壌の原位置浄化方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を有する。
[1]汚染物質で汚染された汚染土壌が存在する処理対象領域の少なくとも一部に加熱処理を施す1以上の加熱井戸と、
前記処理対象領域の領域内に位置し、前記加熱処理により生じた前記汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引する1以上の吸引井戸と、
前記処理対象領域の領域内又は周囲に位置し、前記処理対象領域に流入する地下水よりも温度が高い水を、前記処理対象領域に注入する1以上の注水井戸と、を有する、汚染土壌の原位置浄化システム。
[2]前記吸引井戸に接続された気液分離装置を有する、[1]に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
[3]前記吸引井戸に接続された熱交換器を有する、[1]又は[2]に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
[4]前記熱交換器で得られる熱を前記注水井戸から注入する前記水の熱源として利用する、[3]に記載の汚染土壌の原位置浄化システム。
【0008】
[5]汚染物質で汚染された汚染土壌が存在する処理対象領域の少なくとも一部に加熱処理を施す加熱工程と、
前記加熱処理により生じた前記汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引する吸引工程と、
前記処理対象領域の領域内又は周囲に、前記処理対象領域に流入する地下水よりも温度が高い水を注入する注水工程と、を有する、汚染土壌の原位置浄化方法。
[6]前記加熱工程における加熱温度が60℃以上である、[5]に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
[7]前記汚染物質が揮発性有機化合物、油分、水銀、ポリ塩化ビフェニル及びダイオキシン類から選択される1種以上である、[5]又は[6]に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
[8]前記吸引工程の後に、前記流体から熱を得る熱交換工程を有する、[5]~[7]のいずれかに記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
[9]前記熱交換工程で得られた前記熱を、前記注水工程で注入する前記水の熱源として利用する、[8]に記載の汚染土壌の原位置浄化方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の汚染土壌の原位置浄化システム及び汚染土壌の原位置浄化方法によれば、加熱効率を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る汚染土壌の原位置浄化システムの構成を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る汚染土壌の原位置浄化システムの井戸の配置を概略的に示す平面図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る汚染土壌の原位置浄化システムの構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の汚染土壌の原位置浄化システム(以下、「原位置浄化システム」ともいう。)は、加熱井戸と、吸引井戸と、注水井戸とを有する。原位置浄化システムは、汚染土壌が存在する処理対象領域を加熱して汚染物質を揮発させ、土壌を浄化するシステムである。揮発した汚染物質は、吸引井戸によって吸引される。このとき、処理対象領域の一部について地下水の水位が低下する。このため、処理対象領域の外部から低水温(例えば、10℃)の地下水が流入する。原位置浄化システムは、流入する地下水に代えて温水(例えば、25℃)を注入して、加熱井戸による加熱効率を高めるものである。
以下、本発明の原位置浄化システムの第一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
[第一実施形態]
本実施形態は、処理対象領域の深度と、難透水層(地下水が浸透しにくい地層)の深度との差が大きい場合の原位置浄化システムである。本実施形態では、処理対象領域の深さ方向下方及び処理対象領域の水平方向外周部から地下水が流入する。このため、本実施形態の原位置浄化システムでは、処理対象領域の深さ方向下方及び処理対象領域の水平方向外周部に温水を注入する。
【0013】
≪汚染土壌の原位置浄化システム≫
図1の原位置浄化システム1は、加熱井戸10と、吸引井戸20と、注水井戸30と、熱交換器40と、気液分離装置50と、排ガス処理装置60と、排液処理装置70と、を有する。吸引井戸20と熱交換器40とは、配管L1で接続されている。熱交換器40と気液分離装置50とは、配管L2で接続されている。気液分離装置50と排ガス処理装置60とは、配管L3で接続されている。排ガス処理装置60には、配管L4が接続されている。気液分離装置50と排液処理装置70とは、配管L5で接続されている。排液処理装置70には、配管L6が接続されている。
図中の矢印は、熱エネルギーや水等の流体の移動方向を示す。
【0014】
本実施形態では、
図1に示すように、土壌の浄化が必要な処理対象領域A1は、地中において遮水壁Wにより仕切られている。このため、処理対象領域A1の水平方向外周部からの地下水の流入を防げる。遮水壁Wとしては、例えば、鋼製の矢板を連ねた連続壁や、コンクリート製の壁、水ガラス等による遮水等が挙げられる。遮水壁Wは、例えば、地中の深さ方向に打ち込まれ、上端は、地表面に到達し、下端は注水井戸30の下端よりも深い位置まで到達している。処理対象領域A1には、地下水の水位面Lが形成されている。
【0015】
加熱井戸10は、汚染物質で汚染された汚染土壌に加熱処理を施すためのものである。加熱井戸10は、処理対象領域A1内において複数設けられている。加熱井戸10は、地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
加熱井戸10としては、例えば、加熱具を有する筒状体等が挙げられる。加熱具としては、例えば、自身が発熱する加熱ヒーター、通電により周囲の土壌に加熱処理を施せる電極、高温の水蒸気等が挙げられる。筒状体には、高温の水蒸気を注入できる複数の小穴が設けられていてもよい。
【0016】
吸引井戸20は、加熱井戸10による加熱処理によって生じた汚染物質を含む流体の少なくとも一部を吸引して、土壌から汚染物質を除去するためのものである。吸引井戸20は、処理対象領域A1内において複数設けられている。吸引井戸20は、地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
吸引井戸20としては、例えば、吸引具を有する筒状体等が挙げられる。吸引具としては、例えば、真空ポンプ等、陰圧を可能にする器具が挙げられる。真空ポンプとブロワーと水中ポンプとを組み合わせて陰圧を作り、吸引具としてもよい。
【0017】
注水井戸30は、処理対象領域A1に流入する地下水よりも温度が高い水(温水)を、処理対象領域A1に注入するためのものである。注水井戸30は、処理対象領域A1内において複数設けられている。注水井戸30は、地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
注水井戸30としては、例えば、処理対象領域A1に温水を注入できる筒状体等が挙げられる。筒状体は、断熱性を有することが好ましい。筒状体には、温水が透過できる複数の小穴が設けられていてもよい。筒状体には、内部を通流する水を加温できる加熱具が設けられていてもよい。
【0018】
図2に示すように、加熱井戸10は、複数個設けられている。複数の加熱井戸10は、平面視で直線状に並ぶように配置され、処理対象領域A1の水平方向の外周部を形成している。平面視で、処理対象領域A1の水平方向の内部領域には、複数の加熱井戸10が、千鳥配置となるように設けられている。複数の加熱井戸10を千鳥配置とすることで、処理対象領域A1の内部の汚染土壌に均一な加熱処理を施すことができる。平面視における加熱井戸10相互の間隔d1は、例えば、1~6mが好ましく、2~4mがより好ましい。間隔d1が上記下限値以上であると、加熱井戸10の本数を減数できる。間隔d1が上記上限値以下であると、加熱処理の効率を高めることができ、汚染物質の除去効率をより高められる。
【0019】
吸引井戸20は、複数個設けられている。平面視で、処理対象領域A1の水平方向の内部領域には、複数の吸引井戸20が千鳥配置となるように設けられている。複数の吸引井戸20を千鳥配置とすることで、処理対象領域A1の内部の汚染物質を含む流体を均一に吸引できる。平面視における吸引井戸20相互の間隔d2は、例えば、2~12mが好ましく、3~8mがより好ましい。間隔d2が上記下限値以上であると、吸引井戸20の本数を減数できる。間隔d2が上記上限値以下であると、汚染物質を充分吸引でき、汚染物質の除去効率をより高められる。
【0020】
注水井戸30は、複数個設けられている。処理対象領域A1の水平方向の外周部に沿って、平面視で直線状に並ぶように複数の注水井戸30が配置されている。本実施形態において、複数の注水井戸30は、複数の加熱井戸10が並ぶ直線と同じ直線上に配置されている。平面視で、処理対象領域A1の水平方向の内部領域には、複数の注水井戸30が千鳥配置となるように設けられている。複数の注水井戸30を千鳥配置とすることで、処理対象領域A1の内部に均一に温水を注入できる。平面視における注水井戸30相互の間隔d3は、例えば、1~6mが好ましく、2~4mがより好ましい。間隔d3が上記下限値以上であると、注水井戸30の本数を減数できる。間隔d3が上記上限値以下であると、加熱効率をより高められる。
【0021】
注水井戸30と、注水井戸30に隣接する加熱井戸10との平面視における間隔d4は、例えば、0.5~3mが好ましく、1~2mがより好ましい。間隔d4が上記下限値以上であると、注水井戸30の本数を減数できる。間隔d4が上記上限値以下であると、加熱効率をより高められる。
注水井戸30と、注水井戸30に隣接する吸引井戸20との平面視における間隔d5は、例えば、0.5~3mが好ましく、1~2mがより好ましい。間隔d5が上記下限値以上であると、注水井戸30の本数を減数できる。間隔d5が上記上限値以下であると、加熱効率をより高められる。
【0022】
熱交換器40は、吸引井戸20によって吸引された高温の流体を冷却する装置である。
熱交換器40としては、吸引井戸20によって吸引された高温の流体を冷却できればよく、例えば、冷媒を通流させたプレート式熱交換器、コイル式熱交換器、シェルアンドチューブ式熱交換器等が挙げられる。
【0023】
気液分離装置50は、吸引井戸20によって吸引された汚染物質を含む流体を気体と液体とに分離する装置である。
気液分離装置50としては、汚染物質を含む流体を気体と液体とに分離できればよく、例えば、冷却機能を備える凝縮器等が挙げられる。
【0024】
排ガス処理装置60は、気液分離装置50によって分離された、汚染物質を含む気体から汚染物質を除去する装置である。
排ガス処理装置60としては、例えば、吸着剤が充填された吸着槽を有する耐圧容器、高温で加熱して内部の気体を熱分解できる熱分解装置等が挙げられる。排ガス処理装置60は、1台を単独で用いてもよく、2台以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
排液処理装置70は、気液分離装置50によって分離された、汚染物質を含む液体から汚染物質を除去する装置である。
排液処理装置70としては、公知の水処理装置を適用できる。水処理装置としては、例えば、吸着剤が充填された吸着槽を有する濾過装置、吸着剤が充填された吸着槽を有する吸着装置、膜分離装置、加圧浮上装置、凝集沈殿装置、曝気装置等が挙げられる。排液処理装置70は、1台を単独で用いてもよく、2台以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
配管L1としては、例えば、金属や樹脂製の配管等が挙げられる。
配管L2~L6としては、配管L1と同様の配管が挙げられる。配管L1~L6の素材は、互いに異なっていてもよく、同じでもよい。
【0027】
≪汚染土壌の原位置浄化方法≫
本発明の汚染土壌の原位置浄化方法(以下、単に「原位置浄化方法」ともいう。)は、加熱工程と、吸引工程と、注水工程とを有する。
本実施形態の原位置浄化方法について、原位置浄化システム1を用いた原位置浄化方法を例にして説明する。
【0028】
まず、加熱井戸10で、処理対象領域A1の少なくとも一部に加熱処理を施す(加熱工程)。
原位置浄化方法は、加熱工程を有することで、処理対象領域A1内の汚染物質を汚染土壌から脱着、又は汚染地下水から汚染物質を気化回収できる。
加熱工程では、処理対象領域A1の少なくとも一部に加熱処理を施せばよいが、汚染物質の除去効率を高める観点から、処理対象領域A1の出来るだけ広範囲に加熱処理を施すことが好ましく、処理対象領域A1の全体に加熱処理を施すことがより好ましい。
【0029】
汚染物質としては、例えば、揮発性有機化合物(VOC)、油分、水銀、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、ダイオキシン類等が挙げられる。
VOCとしては、例えば、ベンゼン、トルエン、ハロゲン化炭化水素(例えば、トリクロロエチレン等)等が挙げられる。
油分としては、例えば、炭素数5~44の炭化水素等が挙げられる。炭素数5~18の炭化水素は、主に気体として回収できる。炭素数19以上の炭化水素であっても、粘度を低下させることで液体として回収可能である。これらの炭化水素は飽和炭化水素でもよく、不飽和炭化水素でもよい。これらの炭化水素は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよく、環状でもよい。これらの炭化水素の具体例としては、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。
水銀としては、例えば、金属水銀、無機水銀、有機水銀が挙げられる。無機水銀としては、例えば、酸化水銀、硫化水銀、塩化水銀(Hg2Cl2、HgCl2)、硝酸水銀等が挙げられる。有機水銀としては、例えば、アルキル水銀(例えば、メチル水銀、エチル水銀)、フェニル水銀(例えば、酢酸フェニル水銀)等が挙げられる。
【0030】
PCBとしては、例えば、3,3’,4,4’-テトラクロロビフェニル、3,4,4’,5-テトラクロロビフェニル、3,3’,4,4’,5-ペンタクロロビフェニル、3,3’,4,4’,5,5’-ヘキサクロロビフェニル、2,3,3’,4,4’-ペンタクロロビフェニル、2,3,3’,4,4’,5-ヘキサクロロビフェニル、2,3,3’,4,4’,5,5’-ヘプタクロロビフェニル等が挙げられる。
ダイオキシン類としては、例えば、2,3,7,8-テトラクロロパラジオキシン、2,3,4,7,8-ペンタクロロジベンゾフラン等が挙げられる。
【0031】
本実施形態の原位置浄化方法は、いわゆる原位置熱脱着法である。原位置熱脱着法の加熱方式としては、例えば、電気加熱ヒーター式、電気抵抗式、スチーム式等の方式が挙げられる。原位置熱脱着法の加熱方式としては、加熱温度が高く、土壌を均一に加熱しやすいこと、処理可能な汚染物質の種類が多いことから、電気加熱ヒーター式が好ましい。
【0032】
加熱処理を施す際の加熱温度は、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。加熱温度が上記下限値以上であると、汚染物質の気化、分解が促進され、より多くの汚染物質を除去できる。加熱温度の上限値は高いほど好ましいが、現実的には、350℃程度である。
加熱処理を施す際の加熱温度は、熱電対や温度センサ等を取り付けたモニタリング井戸(不図示)等により測定できる。
【0033】
上述した電気加熱ヒーター式は、加熱温度100℃以上で処理対象領域A1を加熱する方式である。
加熱温度100℃以上で処理対象領域A1を加熱することで、土壌の間隙に含まれる水分を蒸発させ、土壌の粒子間の間隙を拡張し、かつ、脱着した汚染物質を水蒸気で連行できるため、汚染物質を土壌からより効率よく除去できる。
【0034】
吸引井戸20を起動する。例えば、吸引井戸20に接続された真空ポンプ(不図示)を作動させて吸引井戸20の内部圧力を陰圧にする。次いで、ブロワー(不図示)と水中ポンプ(不図示)とを起動することで、汚染物質を含む流体が吸引井戸20に吸引される(吸引工程)。
原位置浄化方法は、吸引工程を有することで、処理対象領域A1で脱着された汚染物質を土壌から除去できる。
【0035】
吸引工程における吸引井戸20の内部圧力は、特に限定されず、例えば、100kPa以下(大気圧以下)であればよい。吸引工程における吸引井戸20の内部圧力が上記上限値以下であると、土壌に付着した汚染物質の脱着が促進され、より効率よく汚染物質を除去できる。吸引工程における吸引井戸20の内部圧力の下限値は特に限定されず、例えば、0.1Paとされる。
【0036】
加熱工程の前、加熱工程の後又は加熱工程と同時に、注水井戸30を介して、処理対象領域A1の領域内に、処理対象領域A1に流入する地下水よりも温度が高い水(温水)を注入する(注水工程)。
吸引井戸20によって汚染物質を含む流体が吸引されると、処理対象領域A1の地下水の水位面Lが低下して、遮水壁Wの外部から処理対象領域A1へ地下水が流入する。地下水が処理対象領域A1へ流入すると、処理対象領域A1の温度が低下して、加熱井戸10による加熱効率が低下することが懸念される。原位置浄化方法は、注水工程を有することで、処理対象領域A1に温水を注入できる。このため、遮水壁Wの外部からの地下水の流入による、処理対象領域A1の温度の低下を防止できる。その結果、加熱井戸10による加熱効率をさらに高められる。
注水工程では、例えば、注水井戸30に接続された注水ポンプ(不図示)により、処理対象領域A1の領域内に温水を注入できる。
【0037】
注水工程で注入する水の温度は、処理対象領域A1に流入する地下水の温度よりも高ければよい。注入する水と地下水との温度差は、例えば、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。注入する水と地下水との温度差が上記下限値以上であると、加熱井戸10による加熱効率をより高められる。注入する水と地下水との温度差の上限値は特に限定されず、例えば、95℃とされる。
注入する水と地下水との温度差は、熱電対や温度センサ等を取り付けたモニタリング井戸(不図示)等により測定できる。
【0038】
注水工程で注入する水の温度は、例えば、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。注水工程で注入する水の温度が上記下限値以上であると、加熱井戸10による加熱効率をより高められる。加熱井戸10による加熱効率をより高める観点から、注水工程で注入する水の温度は高いほど好ましい。注水工程で注入する水の温度の上限値は、例えば、99℃とされる。
【0039】
注水工程で注入する水の注入量は、特に限定されず、流入する地下水の水温、地下水の流速、処理対象領域A1の土壌の土質(透水性)等に応じて調整できる。
【0040】
注水工程で注入する水は、汚染物質の濃度が地下浸透基準を満たす必要があることから、水道水等、外部から調達した水であることが好ましい。
注水工程で注入する水は、後述する熱交換工程で得られる熱を熱源として温めることが好ましい。熱交換工程で得られる熱を、注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用することで、水を温めるためのエネルギーを節約でき、環境負荷を低減できる。
【0041】
吸引工程で吸引された汚染物質を含む流体は、吸引井戸20に接続された配管L1を介して熱交換器40へと供給される。本実施形態では、複数の吸引井戸20で吸引された流体が熱交換器40へと供給される。熱交換器40では、高温(例えば、100℃以上)の流体を冷却して、熱を得る(熱交換工程)。本実施形態の原位置浄化方法は、熱交換工程を有することで、得られた熱を、注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用できる。注水工程で注入する水を温めるためのエネルギーを節約でき、環境負荷を低減できることから、熱交換工程で得られる熱を、注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用することが好ましい。
熱交換器40で冷却された流体は、配管L2を介して気液分離装置50へと供給される。
【0042】
気液分離装置50へと供給された流体は、さらに冷却され、汚染物質を含む気体と汚染物質を含む液体とに分離される(気液分離工程)。本実施形態の原位置浄化方法は、気液分離工程を有することで、汚染物質を含む流体を気体と液体とに分離でき、汚染物質をより効率よく分離、除去できる。
気液分離工程では、汚染物質を含む流体を40℃以下に冷却することが好ましい。汚染物質を含む流体を40℃以下に冷却することで、排ガス処理装置60での気体の処理量を低減でき、汚染物質の除去効率をより高められる。
気液分離工程で得られた汚染物質を含む気体は、配管L3を介して排ガス処理装置60へと供給される。
気液分離工程で得られた汚染物質を含む液体は、配管L5を介して排液処理装置70へと供給される。
【0043】
排ガス処理装置60へと供給された汚染物質を含む気体は、吸着剤と接触する。吸着剤と接触することで、気体に含まれる汚染物質が吸着剤に吸着され、清浄な処理済ガスが得られる(排ガス処理工程)。本実施形態の原位置浄化方法は、排ガス処理工程を有することで、汚染物質を含む気体から汚染物質を分離、除去できる。
排ガス処理装置60として熱分解装置を採用する場合、排ガス処理工程としては、熱分解によって汚染物質を無害な物質に分解して処理する方法(熱分解処理法)を用いてもよい。熱分解処理法を採用する場合、排ガス処理装置60で得られる熱を、熱交換器40とは異なる熱交換器(不図示)を介して、注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用してもよい。
【0044】
吸着剤としては、特に限定されず、例えば、竹炭、ヤシ殻炭、粉末活性炭、粒状活性炭等の活性炭、ゼオライト、活性アルミナ等が挙げられる。吸着剤としては、汚染物質の吸着能に優れる観点から、活性炭が好ましく、その中でも原位置浄化システム1の運転管理が容易な点から、粒状活性炭がより好ましい。
【0045】
処理済ガスにおける汚染物質の濃度は、例えば、環境基準以下が好ましく、定量下限値以下がより好ましい。
処理済ガスにおける汚染物質の濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィーにより測定できる。
【0046】
排ガス処理工程で得られた処理済ガスは、配管L4を介して原位置浄化システム1の外部に排出される。
【0047】
排液処理装置70へと供給された汚染物質を含む液体は、吸着剤と接触する。吸着剤と接触することで、液体に含まれる汚染物質が吸着剤に吸着され、清澄な処理水が得られる(排液処理工程)。本実施形態の原位置浄化方法は、排液処理工程を有することで、汚染物質を含む液体から汚染物質を分離、除去できる。
排液処理工程における吸着剤は、第一排ガス処理工程における吸着剤と同様である。
【0048】
処理水における汚染物質の濃度は、環境負荷を低減する観点から、例えば、排水基準以下が好ましく、環境基準以下がより好ましく、定量下限値以下がさらに好ましい。
排水基準としては、例えば、汚染物質がトリクロロエチレン(TCE)の場合、0.1mg/Lが挙げられる。
環境基準としては、例えば、汚染物質がTCEの場合、0.01mg/Lが挙げられる。
定量下限値としては、例えば、汚染物質がTCEの場合、0.005mg/Lが好ましく、0.002mg/Lがより好ましく、0.001mg/Lがさらに好ましい。
処理水における汚染物質の濃度は、汚染物質がVOCの場合、例えば、JIS K0125:2016に記載の方法に準じて測定できる。
【0049】
なお、汚染物質がVOCの場合、排液処理装置70で吸着剤による処理を行わず、曝気により液体中のVOCを気相に移行させ、排水基準以下にして排出してもよい。この場合、排ガス処理工程で、処理済ガスにおけるVOCの濃度を環境基準以下にして大気中に排出することが好ましい。
【0050】
排液処理工程で得られた処理水は、配管L7を介して原位置浄化システム1の外部に排出される。
【0051】
本実施形態の原位置浄化システム1によれば、注水井戸30を有することで、処理対象領域A1に温水を注入できる。このため、遮水壁Wの外部からの地下水の流入を防止でき、処理対象領域A1の温度の低下を防止できる。その結果、加熱井戸10による加熱効率をさらに高められる。
本実施形態の原位置浄化システム1によれば、熱交換器40で得られる熱を注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用できる。このため、注水工程で注入する水を温めるためのエネルギーを節約でき、環境負荷を低減できる。
【0052】
[第二実施形態]
本実施形態は、処理対象領域の深度と、難透水層の深度との差が小さく、かつ、処理対象領域周辺の地下水の流速が小さく、処理対象領域の水平方向外周部に遮水壁を打設しない場合の原位置浄化システムである。本実施形態では、処理対象領域の水平方向外周部から地下水が流入する。このため、本実施形態の原位置浄化システムでは、処理対象領域の水平方向外周部に温水を注入する。この際、処理対象領域の地表面に近い箇所から、処理対象領域の深さ方向下端に近い箇所にわたって、温水を注入することが好ましい。
【0053】
≪原位置浄化システム≫
図3に、本発明の第二実施形態に係る原位置浄化システムの概略図を示す。第一実施形態と同じ構成には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
図3に示すように、本実施形態の原位置浄化システム2は、加熱井戸10と、吸引井戸20と、注水井戸32と、熱交換器40と、気液分離装置50と、排ガス処理装置60と、排液処理装置70と、を有する。吸引井戸20と熱交換器40とは、配管L1で接続されている。熱交換器40と気液分離装置50とは、配管L2で接続されている。気液分離装置50と排ガス処理装置60とは、配管L3で接続されている。排ガス処理装置60には、配管L4が接続されている。気液分離装置50と排液処理装置70とは、配管L5で接続されている。排液処理装置70には、配管L6が接続されている。
図中の矢印は、熱エネルギーや水等の流体の移動方向を示す。
本実施形態の原位置浄化システム2は、遮水壁Wを有しない領域に適用される点、注水井戸30に代えて注水井戸32を有する点で、第一実施形態の原位置浄化システム1と異なる。
【0055】
本実施形態の原位置浄化システム2では、処理対象領域A2の周囲に遮水壁Wを有しない。このため、吸引井戸20によって汚染物質を含む流体が吸引されると、処理対象領域A2の地下水の水位面Lが低下して、処理対象領域A2の周囲から地下水が流入する。地下水が処理対象領域A2へ流入すると、処理対象領域A2の温度が低下して、加熱井戸10による加熱効率が低下することが懸念される。本実施形態の原位置浄化システム2は、注水井戸32を有することで、処理対象領域A2に温水を注入できる。このため、処理対象領域A2の周囲からの地下水の流入による、処理対象領域A2の温度の低下を防止できる。その結果、加熱井戸10による加熱効率をさらに高められる。
【0056】
注水井戸32は、処理対象領域A2に流入する地下水よりも温度が高い水(温水)を、処理対象領域A2に注入するためのものである。注水井戸32は、処理対象領域A2の周囲に複数設けられている。注水井戸32は、地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
注水井戸32としては、例えば、温水が透過できる複数の小穴を有する筒状体等が挙げられる。筒状体は、断熱性を有することが好ましい。筒状体には、内部を通流する水を加温できる加熱具が設けられていてもよい。
【0057】
加熱井戸10の配置は、第一実施形態の加熱井戸10の配置と同様である。
吸引井戸20の配置は、第一実施形態の吸引井戸20の配置と同様である。
注水井戸32の配置は、第一実施形態の注水井戸30の配置と同様である。
【0058】
≪汚染土壌の原位置浄化方法≫
本実施形態の原位置浄化方法は、加熱工程と、吸引工程と、注水工程とを有する。
本実施形態の原位置浄化方法は、原位置浄化システム2を用いて汚染土壌を浄化すること以外は、第一実施形態の原位置浄化方法と同様である。
【0059】
本実施形態の原位置浄化システム2によれば、注水井戸32を有することで、処理対象領域A2に温水を注入できる。このため、処理対象領域A2の外部からの地下水の流入による処理対象領域A2の温度の低下を防止できる。その結果、加熱井戸10による加熱効率をさらに高められる。
本実施形態の原位置浄化システム2によれば、熱交換器40で得られる熱を注水工程で注入する水を温めるための熱源として利用できる。このため、注水工程で注入する水を温めるためのエネルギーを節約でき、環境負荷を低減できる。
【0060】
以上、本発明の原位置浄化システム及び原位置浄化方法について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、熱交換器40を有するが、原位置浄化システムは、熱交換器を有していなくてもよい。ただし、熱交換器で得られる熱を有効利用し、環境負荷を低減できることから、原位置浄化システムは、熱交換器を有することが好ましい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、熱交換器40を有するが、原位置浄化システムは、熱交換器40以外の熱交換器を有していてもよい。熱交換器40以外の熱交換器としては、例えば、排ガス処理装置に接続された熱交換器等が挙げられる。熱交換器40以外の熱交換器を有することで、得られる熱をさらに有効利用し、環境負荷をさらに低減できる。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、気液分離装置50を有するが、原位置浄化システムは、気液分離装置を有していなくてもよい。ただし、汚染物質を含む流体を気体と液体とに分離して、汚染物質をより効率よく分離、除去できることから、原位置浄化システムは、気液分離装置を有することが好ましい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、排液処理装置70を有するが、原位置浄化システムは、排液処理装置を有していなくてもよい。ただし、汚染物質を含む液体から汚染物質を分離、除去できることから、原位置浄化システムは、排液処理装置を有することが好ましい。
【0061】
例えば、第二実施形態の原位置浄化システム2は、処理対象領域A2の周囲に注水井戸32を有するが、原位置浄化システムは、処理対象領域の内部に注水井戸を有していてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、処理対象領域A1の水平方向の外周部に沿って、平面視で直線状に並ぶように複数の加熱井戸10が配置され、処理対象領域A1の水平方向の内部領域には、複数の加熱井戸10が、千鳥配置となるように設けられている。
しかし、加熱井戸は、平面視で直線状に並ぶように配置されていなくてもよく、円や楕円の円周上に位置するように配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。また、処理対象領域の内部領域において、加熱井戸は、平面視で格子状に配置されていてもよく、ハニカム状に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、処理対象領域A1の水平方向の内部領域に複数の吸引井戸20が、平面視で千鳥配置となるように設けられている。
しかし、吸引井戸は、平面視で格子状に配置されていてもよく、ハニカム状に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、処理対象領域A1の水平方向の外周部に沿って、平面視で直線状に並ぶように複数の注水井戸30が配置され、処理対象領域A1の水平方向の内部領域には、複数の注水井戸30が、千鳥配置となるように設けられている。
しかし、注水井戸は、平面視で直線状に並ぶように配置されていなくてもよく、円や楕円の円周上に位置するように配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。また、処理対象領域の内部領域において、注水井戸は、平面視で格子状に配置されていてもよく、ハニカム状に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、複数の加熱井戸10が並ぶ直線と同じ直線上に複数の注水井戸30が配置されている。
しかし、複数の注水井戸30は、複数の吸引井戸20が並ぶ直線と同じ直線上に配置されていてもよく、不規則に配置されていてもよい。
加熱井戸、吸引井戸及び注水井戸の数は、上述した実施形態で例示した数に限られず、1つの処理対象領域に対して1つ以上あればよい。
吸引井戸は、均等に複数の加熱井戸をカバーするように配置されることが好ましい。
注水井戸は、均等に複数の加熱井戸をカバーするように配置されることが好ましい。
注水井戸は、均等に複数の吸引井戸をカバーするように配置されることが好ましい。
【0062】
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、排液処理装置70で得られる処理水を系外に排出しているが、原位置浄化システムは、処理水を注水井戸で注入する水として利用してもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、加熱井戸10と吸引井戸20とを有するが、原位置浄化システムは、1つの井戸が加熱井戸と吸引井戸とを兼ねていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、加熱井戸10が地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
しかし、加熱井戸は、地中において、水平方向に延びるように配置されていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、吸引井戸20が地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
しかし、吸引井戸は、地中において、水平方向に延びるように配置されていてもよい。
例えば、第一実施形態の原位置浄化システム1は、注水井戸30が地表面から下方の深さ方向に延びるように配置されている。
しかし、注水井戸は、地中において、水平方向に延びるように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,2…原位置浄化システム、10…加熱井戸、20…吸引井戸、30,32…注水井戸、40…熱交換器、50…気液分離装置、60…排ガス処理装置、70…排液処理装置、A1,A2…処理対象領域、W…遮水壁、L…水位面、L1~L6…配管