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特開2022-125879安全性評価システム及び安全性評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125879
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】安全性評価システム及び安全性評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220822BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023705
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】前 孝宏
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD17
2G024BA30
2G024CA22
2G024CA30
2G024FA01
2G024FA11
(57)【要約】
【課題】安全性を客観的に評価する。
【解決手段】安全性評価システム1は、工事現場内の物体を検出するセンサ2のセンサ部8と、センサ2が検出した検出結果を記憶する記憶部14の検出結果記録部22と、検出結果記録部22に記憶された検出結果に基づき物体の動線を作成する動線作成部24と、動線に基づき工事現場内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価部28と、安全性情報を出力する表示部6の評価結果出力部36とを設ける。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定領域内の物体を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出結果を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記検出結果に基づき前記物体の動線を作成する動線作成部と、
前記動線に基づき前記特定領域内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価部と、
前記安全性情報を出力する出力部と
を有する安全性評価システム。
【請求項2】
前記安全性評価部は、
複数の前記物体の動線が所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所の方が、複数の前記物体の動線が所定期間内において所定距離範囲内に位置しない箇所よりも、安全性が低いと評価する
請求項1に記載の安全性評価システム。
【請求項3】
前記安全性評価部は、
複数の前記物体の動線が所定期間内において交わる箇所の方が、複数の前記物体の動線が所定期間内において交わらない箇所よりも、安全性が低いと評価する
請求項2に記載の安全性評価システム。
【請求項4】
前記安全性評価部は、
前記動線において安全性が低いと評価した箇所を提示する前記安全性情報を生成する
請求項2に記載の安全性評価システム。
【請求項5】
前記安全性評価部は、
前記動線における安全性が低いと評価した箇所毎に安全性スコアを算出し、安全性が低いと評価した箇所の前記安全性スコアの合計値に基づき、総合的な安全性を提示する前記安全性情報を生成する
請求項2に記載の安全性評価システム。
【請求項6】
前記安全性評価部は、
複数の前記物体の動線が所定期間内において交わる箇所の方が、複数の前記物体の動線が所定期間内において交わらないものの所定距離範囲内に位置する箇所よりも、安全性が低いと評価する
請求項5に記載の安全性評価システム。
【請求項7】
前記検出部により検出された前記物体の種類を識別する識別部
をさらに有し、
前記安全性評価部は、
前記識別部により人と識別された物体の動線と、前記識別部により車と識別された物体の動線とが所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所の方が、前記識別部により車と識別された物体の動線同士が所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所よりも安全性が低いと評価する
請求項2に記載の安全性評価システム。
【請求項8】
前記検出部により検出された前記物体の種類を識別する識別部
をさらに有し、
前記安全性評価部は、
前記識別部により人と識別された物体の動線と、前記識別部により車と識別された物体の動線とが所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所の方が、前記識別部により人と識別された物体の動線同士が所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所よりも安全性が低いと評価する
請求項2に記載の安全性評価システム。
【請求項9】
前記安全性評価部は、
前記検出部により検出された前記物体の動線と、予め記録された理想的な動線との差異に基づき、安全性を評価する
請求項1に記載の安全性評価システム。
【請求項10】
特定領域内の物体を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出した検出結果を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記記憶部に記憶された前記検出結果に基づき前記物体の動線を作成する動線作成ステップと、
前記動線に基づき前記特定領域内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価ステップと、
前記安全性情報を出力する出力ステップと
を有する安全性評価方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全性評価システム及び安全性評価方法に関し、事故が発生しやすい工事現場や製造現場の安全性を評価する安全性評価装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人を検知するセンサを設置し特定領域に人が侵入したことを検知して警報を出す警備システムがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-178761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような警備システムは、現場の安全性を客観的に評価するものではなかった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、安全性を客観的に評価し得る安全性評価システム及び安全性評価方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の安全性評価システムにおいては、特定領域内の物体を検出する検出部と、検出部が検出した検出結果を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された検出結果に基づき物体の動線を作成する動線作成部と、動線に基づき特定領域内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価部と、安全性情報を出力する出力部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明の安全性評価方法においては、特定領域内の物体を検出する検出ステップと、検出ステップにおいて検出した検出結果を記憶部に記憶する記憶ステップと、記憶部に記憶された検出結果に基づき物体の動線を作成する動線作成ステップと、動線に基づき特定領域内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価ステップと、安全性情報を出力する出力ステップとを設けるようにした。
【0008】
これにより本発明は、特定領域内の物体がどのように移動したかに基づき特定領域内における安全性を評価しユーザに提示できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全性を客観的に評価し得る安全性評価システム及び安全性評価方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態による安全性評価システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態による安全性評価処理手順を示すフローチャートである。
図3】座標変換の様子を示す図である。
図4】第1の実施の形態による安全性評価を示す図である。
図5】第1の実施の形態による評価結果画像を示す図である。
図6】第1の実施の形態による評価結果表示画面を示す図である。
図7】第2の実施の形態による安全性評価システムの全体構成を示す図である。
図8】第2の実施の形態による現場状況評価処理手順を示すフローチャートである。
図9】第2の実施の形態による現場状況評価を示す図である。
図10】第2の実施の形態による評価結果画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0012】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.安全性評価システムの構成]
図1に示すように安全性評価システム1は、センサ2、処理装置4及び表示部6により構成されている。
【0013】
[1-1-1.センサの構成]
センサ2は、安全性が評価される例えば工事現場に設置されており、センサ部8及びセンサデータ取得部10を有している。センサ部8は、物体の位置を計測するカメラやレーザー等の装置であり、工事現場における、人、車両や重機等を検出する。ここで、車両とは、輸送用の車である。また重機とは、土木又は建築の作業に使われる建設機械(特殊車両)である。以下では、車両と重機とをまとめて、車とも呼ぶ。センサデータ取得部10は、センサ部8が計測したカメラ画像やLiDAR点群等のデータであるセンサデータをセンサ部8から取得し、処理装置4における物体検出部16へ送信する。
【0014】
[1-1-2.処理装置の構成]
処理装置4は、工事現場においてセンサ2と同じ箇所に設置されており、例えばコンピュータにより構成され、センサデータを基に工事現場における安全性の評価を行う。この処理装置4は、制御部12及び記憶部14を有している。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)により構成されており、記憶部14から所定のプログラムを読み出して処理装置4を統轄制御する。この制御部12は、物体検出部16、物体識別部18、座標変換部20、検出結果記録部22、動線作成部24、動線記録部26及び安全性評価部28として機能する。
【0015】
記憶部14は、HDDやフラッシュメモリ等により構成されており、座標変換情報保存部30、検出結果保存部32及び動線保存部34を有している。座標変換情報保存部30は、座標変換情報を予め記録している。この座標変換情報は、センサデータ上で検知した物体の位置を、安全性を評価する工事現場の現場図面上での位置に変換する情報である。検出結果保存部32は、後述する検出結果情報を蓄積して保存する。動線保存部34は、後述する動線情報を蓄積して保存する。
【0016】
物体検出部16は、センサ2から取得したセンサデータに基づき、工事現場における人、車両及び重機等の物体を検出する。物体識別部18は、物体検出部16が検出した物体の種類を識別する。ここで、物体の種類を識別するとは、検出された物体が人、車両又は重機の何れであるかを識別すると共に、車種及び重機の種類を識別することである。物体検出部16及び物体識別部18は、例えば、人、車両及び重機の外観の特徴を事前に学習し、学習をした特徴を用いてセンサデータから物体を検出及び識別する、所謂機械学習の技術を用いて、センサデータの物体の検出及び識別を行う。
【0017】
座標変換部20は、座標変換情報保存部30に記録された座標変換情報に基づいて、センサデータ上で検知した物体の位置を、安全性を評価する工事現場の現場図面上での位置に変換する。図3に、センサ2がカメラであった場合の座標変換の様子を示す。図3の左側に、カメラであるセンサ2のセンサデータであるカメラ画像Icを示す。このカメラ画像Icには、カメラが設置された位置及び向きから撮影された状態の人Hや重機V等が映っている。図3の右側に、工事現場を俯瞰した状態の図である現場図面画像Dcsを示す。工事現場を撮影するカメラCAMは、工事現場の上の高所等、工事現場を俯瞰できるような位置に設置されることは現実的には困難であるため、工事現場の上の高所よりも地面寄りに設置される。座標変換情報は、そのように設置されたカメラCAMの位置及び向きに応じて、俯瞰された状態の図ではないカメラ画像Icを、俯瞰された状態の図である現場図面画像Dcsに変換する情報である。
【0018】
座標変換部20は、座標変換情報保存部30に記録された上述の座標変換情報に基づいて、カメラ画像Icを現場図面画像Dcsに変換する。なお、センサ2にカメラ以外が使用された場合も、座標変換部20は、カメラと同様に、検知された物体のセンサ2上の位置を、現場図面画像Dcs上の位置に変換する。
【0019】
検出結果記録部22は、物体検出部16が検出した物体の種類と、座標変換部20が変換した現場図面上での物体の位置と、物体検出部16が物体を検出した時間等の、検出された結果である検出結果情報を、検出結果保存部32に保存する。
【0020】
動線作成部24は、検出結果保存部32に保存された検出結果情報に基づいて、検出した物体が現場図面画像Dcs上においてどこからどこへ移動したかという動線を示す動線情報を作成する。このとき動線作成部24は、例えば、図4に示す現場図面画像Dcs1及びDcs2(以下ではまとめて現場図面画像Dcsとも呼ぶ)のような、現場図面画像Dcsにおける人Hの動線である人動線FLh(破線で示す)と、重機Vの動線である重機動線FLv(実線で示す)と、車両の動線である車両動線(図示せず)とを作成する。以下では、人動線FLh、重機動線FLv及び車両動線をまとめて動線FLとも呼ぶ。具体的に動線作成部24は、例えば1日や1週間等の所定期間内における工事現場内での全ての動線を重ね合わせて動線情報を作成する。動線記録部26は、動線作成部24で作成された動線情報を動線保存部34に蓄積するように保存する。
【0021】
安全性評価部28は、動線保存部34に蓄積された動線情報の分析を行うことにより工事現場の安全性を評価し、評価結果を示す評価結果情報を表示部6における評価結果出力部36へ送信する。このとき安全性評価部28は、現場図面画像Dcs1(図4)のように、動線FL同士が交わっている箇所が存在する場合、該箇所を警告箇所Pwとする。安全性評価部28は、現場図面画像Dcs1の動線FLの場合、人動線FLhと重機動線FLvとが交わる2箇所の警告箇所Pwが存在することを検出する。一方、安全性評価部28は、現場図面画像Dcs2(図4)のように、動線FL同士が所定距離範囲内である、例えば1[m]以内に近づいている箇所が存在する場合、該箇所を注意箇所Pnとする。このとき安全性評価部28は、動線FL同士が所定距離範囲内に近づいている箇所が長い距離続いている場合、動線FL同士が所定距離範囲内に近づいている箇所を、例えば5[m]毎に区切って1箇所の注意箇所Pnとして判定する。安全性評価部28は、現場図面画像Dcs2の動線FLの場合、人動線FLhと動線FLとが近接する1箇所の注意箇所Pnが存在することを検出する。警告箇所Pwは、注意箇所Pnのように動線FL同士が近接はしているものの交わってはいない箇所と比較して、動線FL同士が交わっているため、例えば人Hと重機Vとが接触してしまう可能性が注意箇所Pnよりも高いと考えられ、注意箇所Pnよりも危険度が一層高い箇所であると言える。
【0022】
これに対し安全性評価部28は、1箇所の注意箇所Pnの安全性スコアを1点、1箇所の警告箇所Pwの安全性スコアを5点とし、所定期間内の現場図面画像Dcsにおける安全性スコアを加算して工事現場の合計安全性スコアを算出する。具体的に、図5に示す現場図面画像Dcs3においては、1箇所の注意箇所Pn(安全性スコア1点)と2箇所の警告箇所Pw(安全性スコア5点)とが存在するため、合計安全性スコアは11点となる。この合計安全性スコアが高いほど、工事現場における危険度が高いと言える。
【0023】
続いて安全性評価部28は、合計安全性スコアが0~1点の場合は総合判定結果が「安全」、合計安全性スコアが2~4点の場合は総合判定結果が「要注意」、合計安全性スコアが5点以上の場合は総合判定結果が「危険」と判定する。このため安全性評価部28は、例えば合計安全性スコアが11点の場合、この工事現場における総合評価結果を「危険」と判断する。このように安全性評価部28は、安全性スコアを、注意箇所Pn及び警告箇所Pwのそれぞれの数の分だけ加算し、算出した合計安全性スコアの値に応じて、総合評価結果を、「安全」、「要注意」又は「危険」の3段階で評価する。
【0024】
安全性評価部28は、動線FL、注意箇所Pn及び警告箇所Pwが表示された現場図面画像Dcs3を示す図5に示す評価結果画像IMr1と、総合評価結果とを、評価結果情報として表示部6へ送信する。
【0025】
[1-1-3.表示部の構成]
表示部6(図1)は、工事現場の安全に責任を持つ人である例えば現場責任者等が作業をする事務所等に設置されており、評価結果出力部36を有している。評価結果出力部36は、例えばディスプレイにより構成されており、処理装置4から受信した評価結果情報を出力することにより、工事現場の安全性の評価結果を現場責任者に提示する。
【0026】
評価結果出力部36は、評価結果情報により示される、図6に示す評価結果表示画面DIPを表示する。この評価結果表示画面DIPは、総合判定結果表示部50及び改善箇所指摘済現場図表示部52を有している。総合判定結果表示部50は、安全性評価部28が判定した総合評価結果を表示する。改善箇所指摘済現場図表示部52は、上述した評価結果画像IMr1を表示する。この評価結果画像IMr1は、動線FLと共に注意箇所Pn及び警告箇所Pwが表示された現場図面画像Dcs3(図5)を表示する。これにより表示部6は、現場責任者に対し、工事の安全性を向上させるために改善すべき箇所を明確に示すことができる。
【0027】
[1-2.安全性評価処理]
次に、処理装置4による安全性評価処理の具体的な処理手順について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。制御部12は、記憶部14から安全性評価処理プログラムを読み出して実行することにより図2に示す安全性評価処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0028】
ステップSP1において制御部12は、センサデータをセンサデータ取得部10から取得し、ステップSP2へ移る。ステップSP2において制御部12は、取得したセンサデータから工事現場内に存在する物体を物体検出部16により検出し、検出した物体の種類の識別を物体識別部18により行い、ステップSP3へ移る。ステップSP3において制御部12は、座標変換情報保存部30に記録された座標変換情報に基づいて、センサデータ上で検知した物体の位置を現場図面上の位置に座標変換部20により変換し、ステップSP4へ移る。ステップSP4において制御部12は、検出結果情報を検出結果記録部22により検出結果保存部32に保存し、ステップSP5へ移る。
【0029】
ステップSP5において制御部12は、検出結果保存部32に保存された検出結果情報に基づいて、動線情報を動線作成部24により作成し該動線情報を動線記録部26により動線保存部34に保存し、ステップSP6へ移る。ステップSP6において制御部12は、動線保存部34に保存された所定期間内の動線情報に基づいて工事現場の安全性を安全性評価部28により評価し、評価結果情報を表示部6における評価結果出力部36へ送信し、ステップSP7へ移り、安全性評価処理手順RT1を終了する。
【0030】
表示部6の評価結果出力部36は、処理装置4の安全性評価部28から取得した評価結果情報を図6に示す評価結果表示画面DIPとして表示することにより、評価結果を現場責任者等に提示する。
【0031】
[1-3.効果等]
以上の構成において安全性評価システム1は、工事現場において所定期間内における動線FL同士が交わる警告箇所Pwと、動線FL同士が近接する注意箇所Pnとを検出し、警告箇所Pwと注意箇所Pnとの安全性スコアを合計して合計安全性スコアを算出することにより、工事現場の安全性を評価するようにした。すなわち安全性評価システム1は、複数の物体の動線FLが所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所を検出し、工事現場の安全性を評価するようにした。また安全性評価システム1は、総合判定結果表示部50を評価結果表示画面DIPに表示することにより、現場責任者に対し、工事現場における安全性を提示するようにした。これにより安全性評価システム1は、現場責任者に対し、工事現場における総合的な危険性をひと目で現場責任者に視認させることができ、工事現場の状況の安全性に関する改善が必要か否かを認識させ、接触事故を防ぐことができる。
【0032】
また安全性評価システム1は、警告箇所Pw及び注意箇所Pnを評価結果表示画面DIPに表示させるようにした。このため安全性評価システム1は、工事現場における危険な箇所をひと目で現場責任者に視認させることができ、工事現場において改善すべき箇所を明確に認識させることができる。
【0033】
さらに安全性評価システム1は、警告箇所Pwの安全性スコアを注意箇所Pnよりも高くするようにした。このため安全性評価システム1は、工事現場における危険性の度合いに応じた合計安全性スコアを算出できる。
【0034】
以上の構成によれば安全性評価システム1は、特定領域としての工事現場内の物体を検出するセンサ2のセンサ部8と、センサ2が検出した検出結果を記憶する記憶部14の検出結果記録部22と、検出結果記録部22に記憶された検出結果に基づき物体の動線を作成する動線作成部24と、動線に基づき工事現場内における安全性を評価し安全性情報を生成する安全性評価部28と、安全性情報を出力する表示部6の評価結果出力部36とを設けるようにした。これにより安全性評価システム1は、工事現場内の物体がどのように移動したかに基づき工事現場内における安全性を評価し現場責任者に提示できる。
【0035】
[2.第2の実施の形態]
[2-1.安全性評価システムの構成]
図1と対応する部材に同一符号を付した図7に示すように、第2の実施の形態による安全性評価システム101は、第1の実施の形態による安全性評価システム1と比較して、処理装置4に代わる処理装置104と、表示部6に代わる表示部106とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。センサ2は、第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。安全性評価システム101は、工事現場の安全性を担保する理想的な状態との差異を評価することにより、工事現場の安全性を評価し、改善すべき状態となったことを警告する。
【0036】
[2-1-1.処理装置の構成]
第2の実施の形態による処理装置104は、第1の実施の形態による処理装置4と比較して、制御部12に代わる制御部112と、記憶部14に代わる記憶部114とを有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による制御部112は、第1の実施の形態による制御部12と比較して、安全性評価部28に代わる現場状況評価部40を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。第2の実施の形態による記憶部114は、第1の実施の形態による記憶部14と比較して、理想動線保存部42が追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。物体検出部16、物体識別部18、座標変換部20、検出結果記録部22、動線作成部24、動線記録部26、座標変換情報保存部30、検出結果保存部32及び動線保存部34は、第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。また動線作成部24は、例えば、第1の実施の形態における所定期間よりも短い1時間等の所定期間内における工事現場内での全ての動線を重ね合わせて動線情報を作成する。
【0037】
理想動線保存部42は、工事現場の安全性を保つために理想的な動線FLの状態を示す動線情報が保存されている。この理想的な動線FLの状態を示す動線情報は、現場責任者が予め設定し理想動線保存部42に保存したものである。
【0038】
現場状況評価部40は、動線保存部34に保存された動線情報により示される現在の工事現場の動線FLと、理想動線保存部42に予め保存されている動線情報により示される理想状態の動線FLとを比較することにより、工事現場の安全性が保たれているかを評価する。
【0039】
ここで、図9に示す現場図面画像Dcs4により示される人理想動線FLhiを、理想状態の人Hの動線とする。また、現場図面画像Dcs4により示される重機理想動線FLviを、理想状態の重機Vの動線とする。以下では、人理想動線FLhi、重機理想動線FLvi及び車両理想動線(図示せず)をまとめて理想動線FLiとも呼ぶ。図9に示す現場図面画像Dcs4には、理想状態の動線である理想動線FLiが示されており、この理想動線FLiの情報が理想動線保存部42に予め記憶されている。また図9に示す現場図面画像Dcs5は、工事現場における所定期間内の実際の動線FLが示されている。この現場図面画像Dcs5は、動線保存部34に記憶されている。
【0040】
このとき現場状況評価部40は、現場図面画像Dcs4と現場図面画像Dcs5との2つの画像の差分画像IMdを作成し該2つの画像における動線の重なり具合を検出することにより、安全性を評価する。実際には現場状況評価部40は、差分画像IMdに現れる現場図面画像Dcs4と現場図面画像Dcs5とにおいて動線が重なっていない箇所の画素数を検出する。具体的に現場状況評価部40は、現場図面画像Dcs4と現場図面画像Dcs5との差分画像IMd(図9)を作成する。この差分画像IMdには、理想動線FLiと動線FLとで位置が異なっている箇所である差分動線FLdが残る。現場状況評価部40は、差分動線FLdの画素数が所定の閾値(例えば10画素以上)を越えたか否かを判定し、差分動線FLdの画素数が所定の閾値を越えた箇所を差異大箇所Pdとして設定する。この差異大箇所Pdは、例えば理想動線FLiを遮る物が工事現場に置かれている等の理由で工事現場の安全性が保たれていないと判断され、改善が必要な箇所である。現場状況評価部40は、動線FL及び差異大箇所Pdが表示された現場図面画像Dcs6を示す図10に示す評価結果画像IMr101を評価結果情報として表示部106へ送信する。
【0041】
[2-1-2.表示部の構成]
第2の実施の形態による表示部106は、第1の実施の形態による表示部6と同様に現場責任者等が作業をする事務所等に設置されており、表示部6と比較して、評価結果出力部36に代わる評価結果出力部136を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。評価結果出力部136は、評価結果出力部36と同様に処理装置104に接続されたディスプレイにより構成されており、処理装置104から受信した評価結果情報を出力することにより、工事現場の安全性に関する現場状況の評価結果を現場責任者に提示する。
【0042】
評価結果出力部136は、評価結果情報により示される評価結果画像IMr101(図10)を表示する。これにより表示部106は、現場責任者に対し、差異大箇所Pdを提示し、工事の安全性を向上させるために改善すべき箇所を明確に示すことができる。また表示部106は、内蔵されたスピーカから音声を出力することにより、差異大箇所Pdが発生したこと、すなわち、現在の工事現場において、理想的な動線から大きく外れた動線が発生したことを現場責任者に通知する。
【0043】
[2-2.現場状況評価処理]
次に、処理装置104による現場状況評価処理の具体的な処理手順について、図2と対応するステップに同一符号を付した図8に示すフローチャートを用いて説明する。第2の実施の形態による現場状況評価処理手順RT101は、第1の実施の形態による安全性評価処理手順RT1と比較して、ステップSP6に代わるステップSP106が追加されている点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0044】
制御部112は、記憶部114から現場状況評価処理プログラムを読み出して実行することにより図8に示す現場状況評価処理手順RT101を開始し、ステップSP1へ移る。ステップSP1~SP5において制御部112は、安全性評価処理手順RT1と同様の処理を行い、ステップSP106へ移る。
【0045】
ステップSP106において制御部112は、理想動線保存部42に予め保存されている理想動線FLiの動線情報と、動線保存部34に保存された所定期間内の動線情報とに基づいて工事現場の安全性に関する現場状況を現場状況評価部40により評価し、評価結果を示す評価結果情報を表示部106における評価結果出力部136へ送信し、ステップSP7へ移り、現場状況評価処理手順RT101を終了する。
【0046】
表示部106の評価結果出力部136は、処理装置104の現場状況評価部40から取得した評価結果情報に基づき評価結果画像IMr101を表示することにより、評価結果を現場責任者等に提示する。
【0047】
[2-3.効果等]
以上の構成において処理装置104は、理想動線FLiが示された現場図面画像Dcs4と、所定期間内の実際の動線FLが示された現場図面画像Dcs5との差分画像IMdを作成し、差分動線FLdの画素数が閾値を越えた場合、工事現場の安全性が保たれていないと判断するようにした。このため処理装置104は、工事現場の動線FLが理想状態に近いか否かを常に監視し、工事現場の状況が安全性を担保できない状態になった場合に、速やかに現場責任者に通知し改善させることにより、工事現場等の重大事故を未然に防ぐことができる。
【0048】
その他、第2の実施の形態による安全性評価システム101は、第1の実施の形態による安全性評価システム1と同様の作用効果を奏し得る。
【0049】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、処理装置4が、各動線FLが移動した時刻も考慮し、時刻が近い動線FLが交わる場合のみを注意及び警告の対象としても良い。また処理装置4は、物体識別部18で特定した人、車両や重機等の物体の種類を考慮し、これら物体の種類に応じて安全性スコアを変更しても良い。その場合、例えば、人動線FLhと車(車両及び重機)の動線とが近接する箇所の方が、車の動線と車の動線とが近接する箇所よりもより一層危険であると判定しても良い。又は、人動線FLhと車の動線とが近接する箇所の方が、人動線FLhと人動線FLhとが近接する箇所よりもより一層危険であると判定しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0050】
また上述した第1の実施の形態においては、処理装置4が、複数の物体の動線FLが所定期間内において所定距離範囲内に位置する箇所を検出する場合について述べた。本発明はこれに限らず、処理装置4が、例えば、物体の動線FLが掘削された穴の所定距離範囲内に所定期間内において位置する箇所を検出しても良い。この場合、安全性評価システム1は、現場責任者に対し、穴への転落事故の発生に関する安全性を提示でき、転落事故を防止できる。
【0051】
さらに上述した第2の実施の形態においては、処理装置104が、理想動線FLiが示された現場図面画像Dcs4と、工事現場における所定期間内の実際の動線FLが示された現場図面画像Dcs5との差分画像IMdにおける差分動線FLdの画素数が所定の閾値を超えた箇所を差異大箇所Pdとして設定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、処理装置104が、例えば理想動線FLiを示す数式と実際の動線FLを示す数式とを比較する等、他の種々の方法により理想動線FLiと実際の動線FLとを比較しても良い。
【0052】
さらに上述した第2の実施の形態においては、処理装置104が、所定期間内の実際の動線FLにおいて理想動線FLiと所定距離以上離れている箇所を差異大箇所Pdと判定しても良い。又は、差分動線FLdにおける理想動線FLiと所定期間内の実際の動線FLとの間の面積が所定面積よりも大きい箇所を差異大箇所Pdと判定しても良い。
【0053】
さらに上述した第1の実施の形態においては、処理装置4が、所定期間である例えば1日や1週間単位で、工事現場内での全ての動線を重ね合わせた動線情報を分析する場合について述べた。本発明はこれに限らず、リアルタイムで工事現場内での動線を重ね合わせた動線情報を分析し、警告箇所Pw又は注意箇所Pnを検出する度に、逐一評価結果情報を表示部6へ送信しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0054】
さらに上述した第1の実施の形態においては、処理装置4を工事現場においてセンサ2と同じ箇所に設置されたコンピュータにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、処理装置4を、クラウド上に設置したり、現場責任者が作業する事務所に設置したコンピュータ等としても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0055】
さらに上述した第1の実施の形態においては、評価結果出力部36を現場責任者等が作業をする事務所等に設置されたディスプレイにより構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、現場責任者等が保有する携帯端末、工事の発注業者に設置されたコンピュータや、保険業者の発注業者に設置されたコンピュータ等により評価結果出力部36を構成し、評価結果情報を安全性評価部28からそれら携帯端末やコンピュータ等へ送信しても良い。第2の実施の形態においても同様である。
【0056】
さらに上述した第1の実施の形態においては、処理装置4は、1台のカメラCAMにより撮影されたカメラ画像Icに基づき安全性を評価する場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えば工事現場の面積が広い場合、2台以上の複数台のカメラCAMにより撮影されたカメラ画像Icに基づき安全性を評価しても良い。その場合、それぞれのセンサ2に、物体検出部16、物体識別部18、座標変換部20、検出結果記録部22、座標変換情報保存部30及び検出結果保存部32を組み込み、それぞれのセンサ2においてセンサデータに基づき物体の検出及び識別と座標変換とを行い検出結果情報を検出結果保存部32に保存し、処理装置4は、これら複数台のセンサ2からそれぞれの検出結果情報を取得して集約し、該検出結果情報に基づき動線情報を作成して安全性評価を行っても良い。又は、センサ部8及びセンサデータ取得部10のみを有する複数台のセンサ2から処理装置4がセンサデータを取得して集約し、該処理装置4がセンサデータに基づき物体の検出及び識別と座標変換とを行い検出結果情報を検出結果保存部32に保存し、該検出結果情報に基づき動線情報を作成して安全性評価を行っても良い。
【0057】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0058】
さらに上述した第1の実施の形態においては、検出部としてのセンサ2と、記憶部としての検出結果保存部32と、動線作成部としての動線作成部24と、安全性評価部としての安全性評価部28と、出力部としての表示部6とによって、安全性評価システムとしての安全性評価システム1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる検出部と、記憶部と、動線作成部と、安全性評価部と、出力部とによって、安全性評価システムを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、現場の安全性を評価する種々のシステムでも利用できる。
【符号の説明】
【0060】
1、101……安全性評価システム、2……センサ、4、104……処理装置、6、106……表示部、8……センサ部、10……センサデータ取得部、12、112……制御部、14、114……記憶部、16……物体検出部、18……物体識別部、20……座標変換部、22……検出結果記録部、24……動線作成部、26……動線記録部、28……安全性評価部、30……座標変換情報保存部、32……検出結果保存部、34……動線保存部、36、136……評価結果出力部、40……現場状況評価部、42……理想動線保存部、50……総合判定結果表示部、52……改善箇所指摘済現場図表示部、Ic……カメラ画像、CAM……カメラ、Dcs1、Dcs2、Dcs3、Dcs4、Dcs5、Dcs6……現場図面画像、H……人、V……重機、FLh……人動線、FLv……重機動線、FLi……理想動線、FLd……差分動線、Pw……警告箇所、Pn……注意箇所、Pd……差異大箇所、IMr1、IMr101……評価結果画像、DIP……評価結果表示画面、IMd……差分画像。

図1
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