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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125880
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】LEDランプ照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20220822BHJP
   F21V 15/04 20060101ALI20220822BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20220822BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220822BHJP
   F21K 9/232 20160101ALI20220822BHJP
   F21K 9/238 20160101ALI20220822BHJP
   F21K 9/237 20160101ALI20220822BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220822BHJP
【FI】
F21V19/00 110
F21V15/04
F21V31/00 100
F21V17/00 152
F21K9/232
F21K9/238
F21K9/237
F21V31/00 300
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023706
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰久
【テーマコード(参考)】
3K011
3K013
3K014
【Fターム(参考)】
3K011EC00
3K013BA01
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、特徴あるランプパッキンを備えた新規なLEDランプ照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係るLEDランプ照明装置は、口金付きLEDランプと、前記LEDランプを装着するソケットと、前記口金の一部の周囲を覆い、前記LEDランプのネック部と前記ソケットとの間隙に配置されたランプパッキンとを備え、前記ランプパッキンは弾性体からなり、前記ソケットと前記LEDランプの一部との間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されている。
【選択図】 図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金付きLEDランプと、
前記LEDランプを装着するソケットと、
前記口金の一部の周囲を覆い、前記LEDランプのネック部と前記ソケットとの間隙に配置されたランプパッキンとを備え、
前記ランプパッキンは弾性体からなり、前記ソケットと前記LEDランプの一部との間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されている、LEDランプ照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDランプ照明装置において、
前記ランプパッキンは、前記ソケットの上部端面と前記LEDランプの前記口金につながる構成部材の傾斜面との間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されている、LEDランプ照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のLEDランプ照明装置において、
前記ランプパッキンは、円筒形の形状であり、上部端面及び下部端面は、当接する部材の接合面に適合するよう傾斜端面に形成されている、LEDランプ照明装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のLEDランプ照明装置において、
前記LEDランプの外球は、ネック部にネジ部がモールド成形されたガラス製であり、
前記口金の長さは、標準的な口金長より延長された長口金タイプであり、該口金の内部にLED点灯回路が収納されている、LEDランプ照明装置。
【請求項5】
ランプパッキン付きLEDランプであって、
前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、
かつ前記口金のシェル部はネック部接続部までネジ山が形成されており、
前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備え、
前記ランプパッキンのランプ軸線に沿った全長は前記口金のシェル部全長より短く、
前記ランプパッキンの内径は前記口金のシェル部外径に対して±10%の大きさに設定されている、ランプパッキン付きLEDランプ。
【請求項6】
ランプパッキン付きLEDランプであって、
前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、
かつ前記口金のシェル部はネック部接続部までネジ山が形成されており、
前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備え、
前記ランプパッキンのランプ軸線に沿った全長は前記口金のシェル部全長より短く、
前記ランプパッキンは略円筒形であり、前記ランプパッキンの長さは該ランプパッキンの厚さの2倍以上である、ランプパッキン付きLEDランプ。
【請求項7】
口金付きLEDランプと、前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備えたランプパッキン付きLEDランプであって、
前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、
前記ランプパッキンは、弾性体からなり、該ランプパッキンのランプ軸線方向の長さRPL mmは、前記口金のランプ軸線方向の長さをCAL mmとすると、
(1) E26形口金の場合、CAL-25mm<RPL≦CAL-10mmの範囲内であり、
(2) E39形口金の場合、CAL-41mm<RPL≦CAL-26mmの範囲内である、ランプパッキン付きLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDランプ照明装置に関する。口金付きLEDランプとこれを取り付けるソケットとの間隙に配置される新規なランプパッキンを備えたLEDランプ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱電球に比較して、LEDランプは、長寿命、高信頼性、低消費電力、低発熱性、高い発光効率等の利点を有するため、白熱電球の代替品として広く普及されつつある。白熱電球用の照明設備をそのまま利用する形態として、白熱電球の外観や形状を継承して、LED素子をガラス外球又は樹脂製の外球に内蔵し、口金を経由して給電されるLEDランプ照明装置が販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-119228「LEDランプ」(公開日:2016.06.30)出願人:岩崎電気株式会社
【特許文献2】特開2019-212473「LEDランプ」(公開日:2019.12.12)出願人:岩崎電気株式会社
【特許文献3】実用新案登録第3156168号「照明器具用パッキン及びその照明器具用パッキンを備えた照明器具」(発行日:2009/12/17)実用新案権者:鍋清株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDランプ照明装置において、LEDランプの口金を取り付けている外球端部とこれをねじ込む受金を内蔵したソケットとの間には、間隙が存在する。この間隙には、防水、感電防止、防振等のため、ランプパッキンが配置されている。
【0005】
従来、このランプパッキンに関して、上記特許文献に示すような提案がなされている。
しかし、特許文献1に開示するランプは投光器に内蔵して使用されるものであり、ランプパッキンは防振用であって、防水機能については考慮されていない。
特許文献2に開示するランプパッキンは、LEDランプ照明装置を量産する場合には作業性の面で難がある。
【0006】
LEDランプ照明装置のランプパッキンに関しては、例えば屋外用の場合は確実な防水機能、人手で触っても安全な感電防止機能、振動発生時にLEDランプとソケットが緩まないようにする防振機能、LEDランプ照明装置を量産する場合には良好な作業性等の諸機能・特性が求められる。
【0007】
そこで、本発明は、特徴あるランプパッキンを備えた新規なLEDランプ照明装置を提供することを目的とする。
更に、本発明は、新規なランプパッキン付きLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑みて、本発明に係るLEDランプ照明装置は、その発明の一面において、口金付きLEDランプと、前記LEDランプを装着するソケットと、前記口金の一部の周囲を覆い、前記LEDランプのネック部と前記ソケットとの間隙に配置されたランプパッキンとを備え、前記ランプパッキンは弾性体からなり、前記ソケットと前記LEDランプの一部との間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されている。
【0009】
更に、上記LEDランプ照明装置において、前記ランプパッキンは、前記ソケットの上部端面と前記LEDランプの前記口金につながる構成部材の傾斜面との間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されていてもよい。
【0010】
更に、上記LEDランプ照明装置において、前記ランプパッキンは、円筒形の形状であり、上部端面及び下部端面は、当接する部材の接合面に適合するよう傾斜端面に形成されていてもよい。
【0011】
更に、上記LEDランプ照明装置において、前記LEDランプの外球は、ネック部にネジ部がモールド成形されたガラス製であり、前記口金の長さは、標準的な口金長より延長された長口金タイプであり、該口金の内部にLED点灯回路が収納されている。
【0012】
更に、本発明に係るランプパッキン付きLEDランプは、その発明の一面において、前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、かつ前記口金のシェル部はネック部接続部までネジ山が形成されており、前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備え、前記ランプパッキンのランプ軸線に沿った全長は前記口金のシェル部全長より短く、前記ランプパッキンの内径は前記口金のシェル部外径に対して±10%の大きさに設定されている。
【0013】
更に、本発明に係るランプパッキン付きLEDランプは、その発明の一面において、前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、かつ前記口金のシェル部はネック部接続部までネジ山が形成されており、前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備え、前記ランプパッキンのランプ軸線に沿った全長は前記口金のシェル部全長より短く、前記ランプパッキンは略円筒形であり、前記ランプパッキンの長さは該ランプパッキンの厚さの2倍以上である。
【0014】
更に、本発明に係るランプパッキン付きLEDランプは、その発明の一面において、口金付きLEDランプと、前記口金の一部の周囲を覆うランプパッキンとを備えたランプパッキン付きLEDランプであって、前記LEDランプは、口金の長さが標準的な口金長より延長された長口金を有し、前記ランプパッキンは、弾性体からなり、該ランプパッキンのランプ軸線方向の長さRPL mmは、前記口金のランプ軸線方向の長さをCAL mmとすると、(1) E26形口金の場合、CAL-25mm<RPL≦CAL-10mmの範囲内であり、(2) E39形口金の場合、CAL-41mm<RPL≦CAL-26mmの範囲内である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特徴あるランプパッキンを備えた新規なLEDランプ照明装置を提供することができる。
更に、本発明によれば、新規なランプパッキン付きLEDランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A図1Aは、従来のLEDランプ照明装置を説明する図である。
図1B図1Bは、図1Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキンを説明する図である。
図2A図2Aは、従来の別のLEDランプ照明装置を説明する図である。
図2B図2Bは、図2Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキンを説明する図である。
図3A図3Aは、特許文献3(実用新案登録第3156168号)の図3である。
図3B図3Bは、図3Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキンを説明する図である。
図4A図4Aは、本実施形態に係るLEDランプ照明装置を説明する図である。
図4B図4Bは、図4Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキンを説明するための部分拡大図である。
図5図5は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置の製造時において、ランプパッキンを装着する工程を説明する図である。
図6図6は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置のLEDランプをソケットに装着した状態を説明する部分拡大図である。
図7図7は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置のランプパッキンの形状を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るLEDランプ照明装置の実施形態に関し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。ここで、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。本出願書類では、ランプ単体を示す場合を「LEDランプ」と称し、LEDランプ及びこれを装着するソケット等を含めた場合を「LEDランプ照明装置」と称する。なお、本実施形態に係るLEDランプ照明装置は、主として、ランプパッキンに特徴がある。そのため、本出願人は、ランプパッキンを装着した状態でLEDランプを販売する計画もあり、この場合は「ランプパッキン付きLEDランプ」と称する。
【0018】
[従来技術]
(従来のLEDランプ照明装置及びランプパッキン)
図1Aは、従来のLEDランプ照明装置100を説明する図であり、図1Bは、これに使用されているランプパッキン800を説明する図であり、左側が斜視図であり、右側が断面図である。LEDランプ照明装置100は、一端に口金600が形成されたLEDランプ200と、このランプを取り付けるソケット400とを備えている。LEDランプ200の透光性カバー200aの内部にLEDユニット(図示せず。)が収納されている。透光性カバー200aは、筐体200bによって支持され、筐体と一体化された連結部材200cの周囲に口金600が形成されている。口金600は、ソケット400の凹部に配置された受金500にねじ込まれ、口金を介してLEDユニットに給電される。
【0019】
LEDランプ200の口金600とソケット400との間隙には、円筒形状のランプパッキン800が配置されている。このランプパッキン800は防振用であり、密封筐体の中で使用されることを前提としているため、パッキン下端が口金とソケットとの間隙に入り込んで直接接触を防いでいるものの、水が入る程度の隙間があってもよく、防水機能は考慮していない。
【0020】
(従来の別のLEDランプ照明装置及びランプパッキン)
図2Aは、従来の別のLEDランプ照明装置200を説明する図であり、図2Bは、これに使用されているランプパッキン810を説明する図であり、左側が斜視図であり、右側が断面図である。LEDランプ照明装置200は、一端に口金610が形成されたLEDランプ210と、このランプを取り付けるソケット410とを備えている。
【0021】
LEDランプ210の口金610とソケット410との間隙には、図2Bに示すような円筒形状のランプパッキン810が配置されている。LEDランプ210のネック部は、ランプパッキン810の上端部内面に形成された溝がはまる形状に成形されているため、LEDランプ210とランプパッキン810とは密着固定されている。また円筒形状のランプパッキン810は、内部に形成された溝810aにソケット410の上端部を圧入するタイプのため、ソケットとの密着性には優れている。しかし、この圧入作業工程がネックとなり、LEDランプ照明装置200を量産する場合には生産性を向上することが困難である。またLEDランプ210のネック部形状が複雑になるため、ガラス外球に適用するには樹脂成型品のネック部を付加する必要があり、製造コストが高くなる。
【0022】
(更に従来の別のLEDランプ照明装置及びランプパッキン)
図3Aは、特許文献3(実用新案登録第3156168号)の図3であり、図3Bは、図3Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキンを説明する図である。
【0023】
特許文献3には口金部9(=15+17+19+21)に外嵌される環状のパッキン1をソケット23の端面と本体基端部11に接触させて防水構造としているLEDランプ3(照明器具)が開示されている。特許文献3に開示されたパッキン1は、ランプ3をソケット23にねじ込んだ状態でパッキン1の上下面がソケット23とランプ3の基端部11との間で押圧されて密着する必要がある。すなわち特許文献3のLEDランプ3は、特定の深さのソケットに対してパッキン1の厚さ分長い口金部を設ける必要がある。
【0024】
特許文献3では口金部を延長するために、口金の金具とは別にカラー15が設けられている。また特許文献3の段落0027には、パッキン1とカラー15との間に隙間があってもよいと記載されているが、その場合ランプ3をソケット23に取り付ける際にパッキン1が落下する恐れがある。落下させないためには、特許文献3の請求項3に規定されているように、パッキン1の内径はカラー外径より小さいという規定が必要となっている。また特許文献3のパッキン23は口金部9のシェル17を覆っていないため、感電防止機能を有してはいない。
【0025】
[本実施形態]
(LEDランプ照明装置)
図4Aは、本実施形態に係るLEDランプ照明装置を説明する図である。LEDランプ照明装置10は、LEDランプ2及びこれを装着するソケット4から成る。LEDランプ2は、LED素子(図示せず。)を内蔵したガラス外球2aと、ネジ込み形の口金6(雄ネジを形成した筒型電極。「E型口金」ともいう。)とを有している。
【0026】
ソケット4は、上面から所定の深さの凹部4aが形成され、受金(筒型の雌ネジを形成した筒型電極。図示せず。)が配置されている。LEDランプ2の口金6がソケット4の受金にネジ込まれ、ランプを固定すると共にランプに給電している。ソケット4には、LEDランプ照明装置の設置場所に応じて、取り付け用金具4cが設けられる。符号CLは、ランプ軸線を表示する。LEDランプ2とソケット4の接合部の周囲を取り囲むように、ランプパッキン8が設けられている。
【0027】
なお、ランプ外球2aとソケット4の上部(この部分は「ランプホルダ」ともいう。)との間隙にもパッキン14が配置されている。しかし、本実施形態の特徴は、ランプパッキン8にあり、パッキン14は直接関係がないため説明を省略する。
【0028】
図4Bは、図4Aに示すLEDランプ照明装置に使用されているランプパッキン8の詳細を説明するための部分拡大図である。図4Bではランプパッキン8で隠れているが、図5の右側の図で分かるように、口金6は外球2aのネックの傾斜部2bまでねじ込まれており、傾斜部2bと口金6のシェルは直接接触している。すなわち特許文献3のランプのようにパッキンを保持するためのカラーが無いランプにも本発明は適用できる。
【0029】
ランプパッキン8は、概して、口金6の周囲を密着包囲する円筒形状から成る。ランプパッキン8は、絶縁性、耐熱性、防水性、弾力性及び良好な熱伝導性を有する任意の弾性体から形成されている。典型的には、ランプパッキン8は、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等から形成される。
【0030】
ランプパッキン8の下端部8bは、ソケット4の上部端面4bに当接し、矢印に示すように、ランプ軸線に沿って上方に押圧されている。ランプパッキン8の上端部8aは、LEDランプ2のネック傾斜部2bに当接し、破線枠8cで示す部分ではネックの傾斜部2bに沿って直径が拡がるように弾性変形するが、それ以上はランプ軸線に沿った上方移動が阻止されている。
【0031】
換言すれば、ランプパッキン8は、LEDランプ2aのネック傾斜部2bとソケット4の上部端面4bとの間で、ランプ軸線方向に所定の外力が加わった圧縮状態で位置決めされ保持されている。ランプパッキン8はLEDランプ2のネック部から口金6のシェル(ねじ部)上部までを連続して覆っており、口金6の上部がソケット4から飛び出していても人間が不注意に触って感電することが無い。
【0032】
特にガラス外球のランプでは、ネック部にネジ形状を成形するとひずみを生じやすい。そのため、樹脂成型のランプのようにネック部付近に複雑な形状の構成要素を形成することが困難である。本発明のパッキンを使用すれば、通常の(白熱ランプと同様の)形状を有する外球ネック部にパッキンを嵌合させ、ソケットと外球との密閉構造を容易に得ることができる。
【0033】
(ランプパッキンを装着する手順)
図5は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置の製造時において、ランプパッキンを装着する工程を説明する図である。図の左側は、装着工程のフロー図であり、右側は、各工程におけるランプパッキン装着過程の説明図である。なお、各ランプ外球の下半分に斜線が付されているが、これは外球内面に形成された反射膜の領域を示している。LEDランプには、反射膜ありと反射膜なしの両方のランプがある。
【0034】
ステップS1で、ランプ口金6にランプパッキン8を挿入する。
ステップS2で、ソケット4に装着し、ランプパッキン8の下部端面8bをソケット4の上部端面4bに当接する。
ステップS3で、ランプ2をソケット4に押し込んで口金6をねじ込むことにより、ランプパッキン8を上方に摺動移動する。
ステップS4で、ランプパッキン8の上部8aがランプ2のネック傾斜部2bの表面を滑りながら弾性変形して係合し(図4Bの破線枠8cで示す部分)、ランプパッキン8は適正位置で停止する。このように、ランプパッキン8は、特別な位置決め装置を使用することなく、自動的に適正な箇所に位置決めされ、ソケット4の上方に向けた押圧によりランプのネック傾斜部2bに高い密着力で係合保持される。
【0035】
また上記S1のステップの状態でパッキン付きLEDランプを出荷し、現地で既設の白熱電球用ソケットに取り付けることによりLEDランプ装置を完成させることもできる。
【0036】
(ランプパッキンの仕様)
図6は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置10のLEDランプ2をソケット4に装着した状態を説明する部分拡大図である。発明者等は、LEDランプ照明装置の試作を通じて、ランプパッキン8のサイズに関して好ましい寸法仕様を決定した。
【0037】
ランプパッキンの内径RPiは、口金を下に向けてもランプパッキンが落下しない寸法を上限値とし、口金に対するランプパッキンの装着作業性が失われない寸法を下限値とした。この結果、ランプパッキンの内径RPiは、口金外径の-10%≦内径RPi≦口金外径の+10%の範囲内とした。
【0038】
ランプパッキンの厚みRPtは、ランプパッキンをポリウレタンゴム又はシリコンゴムで形成した場合、常識的な最大寸法を上限値とし、装着性、押圧変形時の反発力の確保のための最小厚みを下限値とした。この結果、ランプパッキンの厚みRPtは、1.5mm≦厚みRPt≦15mmの範囲内とした。
【0039】
ランプパッキンの長さRPLは、口金のタイプによって異なってくる。ここで、図6に示すように、各部のランプ軸線方向の寸法[mm]を次のように称する。
NSL:ネック傾斜部の長さ
RPL:ランプパッキンの長さ
PAE:ランプパッキンが傾斜部を覆う長さ
CAL:口金の長さ
CAE:延長分(長口金タイプ)
CAS:標準的な口金長
「長口金タイプ」とは、口金付きLEDランプを既存の白熱電球用ソケットに装着した場合に、LEDランプの点灯回路を口金内に隠して外観上白熱電球と同じようにするため、標準的な口金長と比較して延長した口金長の口金の形式である。また、LEDランプをソケット4に取り付けた場合、ソケット4の上端は、標準的な口金長の上端と同じ位置になる。ランプパッキン8の上端部をランプのネック傾斜部に突き当てて位置決めするため、ランプパッキンの長さRPLは、延長分CAE+ランプパッキンが傾斜部を覆う長さPAE、として規定する(RPL=CAE+PAE)。
【0040】
ランプパッキンが傾斜部を覆う長さPAEは、最小はゼロより大きく、最大で15mm程度で十分である(0<PAE≦15mm)。
【0041】
(1) E26形口金の場合、標準的な口金長CASは25mmである。従って、延長分CAEは、口金の長さCAL-25mmとなる(CAE=CAL-25mm)。なお、口金長25mmのE26形口金は正確にはE26/25と記載し、口金径/口金長さを意味する。但し多くの場合、口金長さを省略してE26と表示する。口金長が25mm以外のE26口金も存在するが、その場合は必ずE26/27のようにスラッシュの後に口金長を明記する。また主に海外向けランプにE27という型式のE口金も使用されているが、外径がE26系とほぼ変わらないため、口金長が同じなら同じパッキンを使用することができる。
RPL=CAE+PAEにおいて、CAE=CAL-25mmであり、0<PAE≦15mmであるため、ランプパッキンの長さRPLは、CAL-25mm<RPL≦CAL-25mm+15mm、即ち、CAL-25mm<RPL≦CAL-10mmの範囲内である。
【0042】
(2) E39形口金の場合、標準的な口金長CASは41mmである。従って、延長分CAEは、口金の長さCAL-41mmとなる(CAE=CAL-41mm)。なお、E26型と同様、E39形にも口金長41mm以外の口金があり、その場合は必ずスラッシュの後に口金長を明記する。また主に海外向けランプにE40という型式のE口金も使用されているが、外径がE39系とほぼ変わらないため、口金長が同じなら同じパッキンを使用することができる。
RPL=CAE+PAEにおいて、CAE=CAL-41mmであり、0<PAE≦15 mmであるため、ランプパッキンの長さRPLは、CAL-41mm<RPL≦CAL-41mm+15mm、即ち、CAL-41mm<RPL≦CAL-26mmの範囲内である。
【0043】
なおランプパッキンが傾斜部を覆う長さの延長分PAEは、口金のサイズに関わらず、ランプパッキンを適用するランプの傾斜部形状に合わせて決定することが好ましい。すなわちランプ傾斜部が口金6のシェル17に接触する箇所で傾斜部のランプ軸線CLに対する傾斜角が90度に近い場合には、PAEは最小値(0mmよりは大)に近い寸法が好ましい。一方傾斜角が15度程度と小さい場合には、PAEは最大値に近い値を選択することが好ましい。
【0044】
ランプパッキンの長さRPLは、ランプパッキンの厚みRPtの2倍以上が好ましい。ランプパッキン付きLEDランプにおいて、ランプパッキンが口金に挿入容易であり且つ脱落しないことが好ましいが、そのためにはランプパッキン内径が口金外径より大きく(例えば口金外径の107%で)、且つランプ軸線CL方向の長さがランプパッキンの厚みRPtの2倍以上必要なためである。またランプパッキン上下端部にテーパー部を設ける場合には、ランプパッキンの厚みRPtは、上述の「1.5mm」より端部を薄くすることができるが、好ましくは、最低0.8mm以上とする。感電保護のために十分な安全性を確保するには絶縁体としてのパッキンの厚みが0.8mm以上必要なためである。また本実施形態では、ソケット4にLEDランプ2aを取り付けた場合、ランプのネック傾斜部2bはソケットの凹部4aに収納されているが、それでも口金6及びソケット受金部の絶縁性を確保するために0.8mmが必要である。
【0045】
ランプパッキンの硬度RPhは、ショア硬度で40~60の範囲内とした。この硬度測定には、タイプAデュロメータ(JIS K 6253準拠)を使用している。実施例では、硬度RPh=50(ショアA50)であった。
【0046】
(ランプパッキンの形状)
図7は、本実施形態に係るLEDランプ照明装置10のランプパッキン8の形状を説明する図である。(A)が典型例であり、(B)及び(C)は変形例である。各例で左は斜視図、右は断面図である。
【0047】
(A)は、典型例であり、ランプパッキン8-1は、円筒形状である。上部端面8aは平らな(言い換えれば、軸線に垂直方向の)円環状である。下部端面(図示せず。)も同様である。
【0048】
(B)に示す変形例は、ランプ2のネック傾斜部2bに当接するランプパッキン8-2の上部端面8aを、傾斜部2bに適合する形状としている。具体的には、円環状の上部端面8aは、内周を外周より低くした傾斜端面としている。これにより、ランプのネック傾斜部2bとランプパッキンの上部端面8aの密着面積が一層拡大し、密着性が向上する。
図には示していないが、ソケット4の上部端面4bに当接するランプパッキンの下部端面8bを、上部端面4bに適合する形状としてもよい。図4Bに示す例では、ソケット4の円環状の上部端面4bは、内周を外周より低くした傾斜端面となっている。これに適合するように、ランプパッキンの円環状の下部端面8bを、内周を外周より低くした傾斜端面としてもよい。これにより、ソケット4の上部端面4bとランプパッキンの下部端面8bの密着面積が一層拡大し、密着性が向上する。
【0049】
(C)に示す変形例は、ランプ2のネック傾斜部2bに当接するランプパッキン8-3の上部を部分的に厚くしている。ランプパッキンの厚みRPtが部分的に拡大することより、ランプのネック傾斜部2bとの密着強度が一層拡大、密着性が向上する。
図には示していないが、ソケット4の上部端面4bに当接するランプパッキンの下部を部分的に厚くしてもよい。
【0050】
更に、(C)に示すように部分的に厚くした上部端面及び下部端面を、(B)に示すように当接部材の形状に適合するように傾斜端面としてもよい。
【0051】
(ランプ外球の形状)
本実施形態は、主として、ランプパッキンの形状に特徴がある。従って、口金付きLEDランプである限り、ランプ外球は任意の形状であってよい。例えば、ランプ外球は、図には示していないが、BT形、管形(T形)、ボール形、電球形(なす形)等の任意の形状であってよい。
【0052】
[本実施形態の利点・効果]
(1)口金付きLEDランプではほとんどの場合、LEDランプの口径は口金の口径より大きいので、ランプ外球(図6の場合)又は連結部材(図1A及び図2Aの場合)には必然的に傾斜面が存在する。ランプパッキンが上方に押圧されることにより、その上部は弾性変形で拡大し、これら傾斜面に重なった状態で係合保持される。
【0053】
(2)以上説明した本実施形態に係るLEDランプ照明装置によれば、新規なランプパッキンを採用することにより、照明装置の製造時に、ランプパッキンが適正な箇所に自動的に位置決めされ、且つソケットとランプの傾斜部の間でランプ軸線方向に押圧された状態で保持される。このため、ランプパッキンは一端でソケットに対して強固に密着し、他端でランプに対して強固に密着している。このような新規なランプパッキンを備えたLEDランプ照明装置は、従来技術と比較して新規な照明装置であり、従来技術に基づき容易に想起できるものではない。
【0054】
以上、本発明に係るLEDランプ照明装置の実施形態の一例を説明したが、これに限定されない。これら実施形態に対する追加、削除、変更、改良は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0055】
次の符号の説明は、本実施形態(図4A図7)に使用された参照符号に関する。
2:LEDランプ、 2a:ガラス外球、 2b:ネック傾斜部、 4:ソケット、 4a:凹部、 4b:上部端面、 4c:取り付け用金具、 6:口金,E形口金、 8:ランプパッキン、 8a:上端部、 8b:下端部、 10:LEDランプ照明装置、 14:パッキン、 17:シェル
CL:ランプ軸線
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7