(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125894
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】水膨張性止水組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/12 20060101AFI20220822BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220822BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20220822BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20220822BHJP
F16J 15/3284 20160101ALI20220822BHJP
C08K 3/22 20060101ALN20220822BHJP
C08L 33/02 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
C09K3/12
C09K3/10 Z
C08L21/00
F16J15/10 V
F16J15/3284
C08K3/22
C08L33/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023725
(22)【出願日】2021-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 真佐之
(72)【発明者】
【氏名】高津 知道
【テーマコード(参考)】
3J040
3J043
4H017
4J002
【Fターム(参考)】
3J040FA06
3J043CB13
4H017AA02
4H017AA04
4H017AA31
4H017AB01
4H017AC06
4H017AD06
4H017AE03
4J002AB03X
4J002AC01W
4J002AC033
4J002AC03W
4J002AC063
4J002AC07W
4J002AC08W
4J002AC09W
4J002AE033
4J002AE053
4J002BB18W
4J002BG01X
4J002BG04W
4J002BG10X
4J002BG12X
4J002BP02W
4J002CN024
4J002DA048
4J002DE066
4J002DE078
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4J002DE108
4J002DE146
4J002DG018
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4J002EK018
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4J002EV128
4J002EV168
4J002EW047
4J002FD023
4J002FD027
4J002FD144
4J002FD148
4J002FD154
4J002FD158
4J002GJ00
4J002GL00
(57)【要約】
【課題】可撓性、止水性、及び安定性に優れたシール材を製造可能な水膨張性止水組成物を提供する。
【解決手段】本発明によれば、(1)架橋可能なゴム、(2)吸水性樹脂、(3)脱水剤、(4)軟化剤、(5)架橋剤および架橋促進剤を含有してなる水膨張性止水組成物であって、前記架橋可能なゴム100質量部に対し、前記吸水性樹脂が5~200質量部、前記脱水剤が2~20質量部、前記軟化剤が10~60質量部、前記架橋剤と架橋促進剤の合計が0.5~15質量部で、架橋促進剤が0~1.5質量部である、水膨張性止水組成物が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)架橋可能なゴム、(2)吸水性樹脂、(3)脱水剤、(4)軟化剤、(5)架橋剤および架橋促進剤を含有してなる水膨張性止水組成物であって、
前記架橋可能なゴム100質量部に対し、前記吸水性樹脂が5~200質量部、前記脱水剤が2~20質量部、前記軟化剤が10~60質量部、前記架橋剤と架橋促進剤の合計が0.5~15質量部で、架橋促進剤が0~1.5質量部である、水膨張性止水組成物。
【請求項2】
前記吸水性樹脂が、ポリアクリル酸部分中和物架橋体である、請求項1に記載の水膨張性止水組成物。
【請求項3】
前記架橋可能なゴムが、クロロプレンゴムである、請求項1又は請求項2に記載の水膨張性止水組成物。
【請求項4】
前記軟化剤が、菜種油である、請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の水膨張性止水組成物。
【請求項5】
シール材として用いられる、請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の水膨張性止水組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材を製造可能な水膨張性止水組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水膨張性止水組成物を用いて製造されたシール材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水膨張性止水組成物を用いて製造されたシール材は、水に接すると水を吸収して体積が膨張することによって止水性を発揮する。このようなシール材は、止水性能が優れていることに加えて、使い勝手の点からある程度の可撓性を有することが望まれている。さらに、長期間使用を継続しても安定した止水性能が発揮されることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、可撓性、止水性、及び安定性に優れたシール材を製造可能な水膨張性止水組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、(1)架橋可能なゴム、(2)吸水性樹脂、(3)脱水剤、(4)軟化剤、(5)架橋剤および架橋促進剤を含有してなる水膨張性止水組成物であって、前記架橋可能なゴム100質量部に対し、前記吸水性樹脂が5~200質量部、前記脱水剤が2~20質量部、前記軟化剤が10~60質量部、前記架橋剤と架橋促進剤の合計が0.5~15質量部で、架橋促進剤が0~1.5質量部である、水膨張性止水組成物が提供される。
【0007】
本発明者が鋭意検討を行ったところ、上記組成の組成物が上記課題を解決可能であることを見出し、本発明の完成に到った。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】止水性能評価に用いた鋼製止水試験機の概要図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.水膨張性止水組成物の組成
本発明に係る水膨張性止水組成物は、(1)架橋可能なゴム、(2)吸水性樹脂、(3)脱水剤、(4)軟化剤、(5)架橋剤および架橋促進剤を含有してなる。
【0010】
(1)架橋可能なゴム
架橋可能なゴムとしては、架橋剤によって架橋ができ強度が向上するゴムであれば特に制限されることは無いが、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム等が挙げられる。これらのうち、耐水性の観点から、クロロプレンゴムが好ましい。
【0011】
(2)吸水性樹脂
吸水性樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉-アクリロニトリルグラフト重合体の加水分解物、澱粉-アクリル酸グラフト重合体の中和物、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物、カルボキシメチルセルロース架橋体、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、架橋イソブチレンーマレイン酸共重合体、2ーアクリルアミドー2ーメチルプロパンスルホン酸とアクリル酸の架橋体、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、カルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩等が知られている。これらのうち、水膨張と乾燥による収縮を繰り返しても水膨張性が低下しにくいポリアクリル酸部分中和物架橋体が好ましい。
【0012】
吸水性樹脂の使用量は、架橋可能なゴム100質量部に対して5~200質量部であり、15~145質量部が好ましく、25~90質量部がさらに好ましい。吸水性樹脂が少なすぎると水膨張性が不十分で止水性が悪くなる場合があり、吸水性樹脂が多すぎるとゴムに亀裂が入りやすくなり、その結果、止水性が悪くなる場合がある。架橋可能なゴム100質量部に対する、吸水性樹脂の使用量は、例えば、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、145、150、160、170、180、190、200質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0013】
(3)脱水剤
架橋可能なゴムが架橋される架橋工程での加熱により、材料中に含まれる水分が水蒸気となり、その水蒸気が架橋ゴム中に気泡を発生させるため、本発明では、水分を奪う目的で脱水剤が使用される。脱水剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、酸化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等が挙げられる。これらのうち、脱水性が良好な酸化カルシウムが好ましい。
【0014】
脱水剤の使用量は、架橋可能なゴム100質量部に対して、2~20質量部であり、3.5~13質量部が好ましく、4~9質量部がさらに好ましい。脱水剤が少なすぎると気泡の発生の抑制が不十分な場合があり、脱水剤が多すぎると水膨張性が悪くなる場合がある。架橋可能なゴム100質量部に対する、吸水性樹脂の使用量は、例えば、2、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0015】
(4)軟化剤
軟化剤としては、パラフィン系又はナフテン系のプロセスオイル、植物油、流動パラフィン等のパラフィン類、ワックス類、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸系又はリン酸系のエステル系可塑剤、ステアリン酸又はそのエステル類、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブテン等の液状ゴムが挙げられる。
【0016】
植物油としては、亜麻仁油、エゴマ油、オリーブオイル、グレープシート、コーン油、ごま油、こめ油、大豆油、菜種油、パーム油、ひまわり油、べに花油、綿実油、落花生油等が挙げられる。
【0017】
架橋可能なゴムがクロロプレンゴムである場合には、水中への溶出量の観点から、軟化剤は、菜種油であることが好ましい。
【0018】
軟化剤の含有量は、架橋可能なゴム100質量部に対して10~60質量部であり、21~52質量部が好ましく、30~46質量部がさらに好ましい。軟化剤が少なすぎると可撓性が不十分になる場合があり、軟化剤が多すぎると水中への溶出量が多くなってしまう場合がある。架橋可能なゴム100質量部に対する、軟化剤の使用量は、例えば、10、15、20、21、25、30、35、40、45、46、50、52、55、60質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
(5)架橋剤および架橋促進剤
架橋剤および架橋促進剤は、架橋可能なゴムの架橋およびその促進を目的に使用されるものである。
【0020】
架橋剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、硫黄、ポリスルフィド等の硫黄系化合物、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、p-キノンジオキシム、p、p'-ジベンゾイルキノンオキシム等のオキシム化合物、t-ブチルハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物系化合物等が挙げられる。これらの中では、硫黄系化合物が好ましく、その硫黄系化合物と、それ以外のものを組み合わせて使用してもよい。
【0021】
以下のゴムについては、以下の架橋剤が特に好ましい。
【0022】
・クロロプレンゴム:硫黄系化合物、金属酸化物、オキシム化合物、有機過酸化物系化合物
・エチレン・プロピレン・ジエンゴム:硫黄系化合物、オキシム化合物、有機過酸化物系化合物
・ブチルゴム:硫黄系化合物、オキシム化合物
【0023】
架橋促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドやテトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系化合物、2-メルカプトベンゾチアゾールやジベンゾチアゾールジスルフィド等のチアゾール系化合物、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛やジブチルジチオカルバミン酸亜鉛等のカルバミン酸塩系化合物、n-ブチルアルデヒドアニリン等のアルデヒドアミン系化合物、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系化合物、ジオルソトリルグアニジンやジオルソニトリルグアニジン等のグアニジン系化合物、エチレンチオウレア、チオカルバニリド、ジエチルチオウレア、トリメチルチオウレア等のチオウレア系化合物、酸化亜鉛などの化合物が挙げられる。架橋促進剤は、これらの単体だけでなく、2種以上のものを組み合わせて使用してもよい。
【0024】
以下のゴムについては、以下の架橋促進剤が特に好ましい。クロロプレンゴムでは、金属酸化物は架橋剤として働くため、金属酸化物以外のものを架橋促進剤として用いることが好ましい。
【0025】
・クロロプレンゴム:チウラム系化合物、チアゾール系化合物、グアニジン系化合物、チオウレア系化合物
・エチレン・プロピレン・ジエンゴム:チウラム系化合物、チアゾール系化合物、カルバミン酸塩系化合物、アルデヒドアミン系化合物、スルフェンアミド系化合物、酸化亜鉛
・ブチルゴム:チアゾール系化合物、カルバミン酸塩系化合物、酸化亜鉛
【0026】
架橋剤および架橋促進剤の使用量の合計は、架橋可能なゴム100質量部あたり0.5~15質量部が好ましく、7.5~10.2質量部がさらに好ましく、8.7~9.9質量部が最も好ましい。架橋剤および架橋促進剤の使用量の合計が少なすぎると水膨張時の形状保持性が悪く、止水性や抽出率および繰返し性も悪くなる場合がある。また、架橋剤および架橋促進剤の使用量の合計が多すぎると水膨張性が不十分になる場合がある。架橋可能なゴム100質量部に対する、架橋剤および架橋促進剤の使用量の合計は、例えば、0.5、1.0、3.0、5.0、7.5、8.0、8.7、9.9、10.2、14.0、15.0質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0027】
架橋可能なゴム100質量部に対する、架橋剤の使用量は、例えば0.5~15.0質量部であり、具体的には、0.5、1.0、3.0、5.0、7.0、9.0、11.0、13.0、14.0、15.0質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。架橋可能なゴム100質量部に対する、架橋促進剤の使用量は、例えば、0~1.5質量部であり、具体的には、0、0.5、0.7、0.9、1.2、1.5質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0028】
(6)添加剤
本発明の水膨張性止水組成物では、この他に必要に応じ、通常のゴムに使用される無機充填剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、粘着付与樹脂、滑剤、分散剤、架橋促進剤などの各種の添加剤も併用することができる。
【0029】
架橋可能なゴム100質量部に対する無機充填剤の使用量は、例えば1~50質量部であり、具体的には、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50質量部であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。無機充填剤としては、シリカが好ましい。
【0030】
2.水膨張性止水組成物の製造方法、用途
本発明の水膨張性止水組成物は、必要な成分を配合した後、この配合物を混練することによって製造することができる。また、得られた組成物を、所望する形状に成形した後に、架橋開始温度以上の加熱による架橋を行うことによって、成形体を製造することができる。この成形体は、シール材として利用することができる。
【0031】
配合物を混練する装置としては、従来公知のミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロール等の混練装置がある。混練した配合物を成形する装置としては、従来公知のプレス成形、押出成形、カレンダー成形等の成形装置がある。一般には、配合物をゴム用押出機で製品形状に押出し、次いでプレス成形機で加熱することにより架橋を行うことができる。また、成形体の形状は、シート状やテープ状など適宜用途に合わせて設計すればよい。
【0032】
本発明の水膨張性止水組成物を用いて製造されたシール材は、長期間の使用でも吸水性樹脂が溶出しにくく、シール材が減肉することが少ないことから止水効果の低下が抑制されるので、通水部分に使用される管パイプ等およびコンクリート製品を用いる土木・建築等の分野において極めて有用である。また、本発明の水膨張性止水組成物を用いて製造されたシール材は、淡水のみならず海水などの通水路に使用されるコンクリート製品等の接続部分に使用される場合においても、十分な止水効果を発揮することができる。
【実施例0033】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、以下、各物質の使用量の単位は質量部あるいは質量%である。
【0034】
1.水膨張性止水組成物の調整
表1~表4に示す比率で表中の成分を混合したものを、3L加圧ニーダー(モリヤマ社製、型式:DS3-10MWB-S)を用いて100℃で10分間混練することによって、実施例・比較例の水膨張性止水組成物を得た。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
表中の各成分の詳細は、以下の通りである。
<架橋可能なゴム>
・クロロプレンゴム(デンカ株式会社製、「ES-70」)
・エチレン-プロピレン-ジエンゴム(住友化学株式会社製、「エスプレン505」)
・ブチルゴム:JSR株式会社製「ブチル268」
<吸水性樹脂>
・ポリアクリル酸部分中和物架橋体:株式会社日本触媒製、「アクアリックCS―6S」
・カルボキシメチルセルロースナトリウム塩:林純薬工業株式会社製
・カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩:ニチリン化学工業株式会社製、「キッコレートNA-H」
<脱水剤>
・酸化カルシウム:井上石灰工業株式会社製、「VESTA-18」
<軟化剤>
・菜種油系軟化剤:株式会社J-オイルミルズ製「J菜種白絞油」
・ナフテン系プロセスオイル:出光興産株式会社製「NP-24」
<架橋剤>
・粉末硫黄(細井化学工業株式会社製)
・酸化亜鉛(堺化学株式会社製、「亜鉛華3号」)
・酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製「キョーワマグ150」)
<架橋促進剤>
・酸化亜鉛(堺化学株式会社製、「亜鉛華3号」)
・エチレンチオウレア(三新化学工業株式会社製、「サンセラー22C」)
<無機充填剤>
・シリカ:東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil VN3」
【0040】
2.評価用成形体の作製
実施例・比較例の組成物をロール機で各成分を均一に混練(温度:40℃、時間:10分)し、シート状に加工した。次に、得られたシート状物を170℃にて16分間架橋させ、厚さ2mmの評価用成形体を得た。
【0041】
3.評価
評価用成形体を用いて、以下に示す各種評価を行った。以下の評価のうち、「可撓性」は、成形体の可撓性の指標であり、「水膨張性」、「止水性」、「水膨張後形状保持性」、「無気泡性」は、成形体の止水性の指標であり、「水への溶出性」及び「水膨張繰り返し性」は、成形体の安定性の指標である。
【0042】
評価結果を表1~表4に示す。同表に示す通り、実施例の組成物を用いて作製した成形体は、全ての評価項目において良好な結果が得られたので、可撓性、止水性、及び安定性に優れていることが分かった。一方、比較例の組成物を用いて作製した成形体は、少なくとも1つの評価項目において結果が良好ではなく、可撓性、止水性、及び安定性の少なくとも1つが良好でないことが分かった。
【0043】
評価の詳細は、以下の通りである。
【0044】
[可撓性]
JIS K-6253に従い、成形体の硬さ(デュロメータ:タイプA)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:50以上61未満
○:45以上50未満、または61以上66未満
×:45未満、または66以上
【0045】
[水膨張性]
JIS K-6258に従い、20mm×20mm×2mmtの成形体を23℃にて水道水に7日間浸漬し、以下の式にて体積変化率を算出し、水膨張性を以下の基準で評価した。
体積変化率(%)=((c-d)-(a-b))/(a-b)×100
a:水浸漬前の空中重量、b:水浸漬前の水中重量
c:水浸漬後の空中重量、d:水浸漬後の水中重量
×:10%未満
○:10%以上100%未満
◎:100%以上
【0046】
[水中への溶出性]
20mm×20mm×2mmtの成形体を23℃にて水道水に7日間浸漬後、100℃のオーブン中で試料の重量が変化しなくなるまで乾燥させ、その質量を測定し、以下の式にて求めた。
溶出率(%)=(1-乾燥後の成形体の質量/水浸漬前の成形体の質量)×100
◎:5%未満
○:5%以上7%未満
×:7%以上
【0047】
[止水性]
厚さ2mmtの成形体を、
図1に示す外径50cmの鋼製止水試験機に設置し、成形体の高さの10%圧縮した状態で止水試験機を23℃にて水道水に7日間浸漬させた。浸漬後、0.2MPa間隔で加圧し、3分間保持させて漏水の有無を目視で観察し、漏水した止水圧を測定した。
◎:1.2MPa以上で漏水
○:0・6MPa以上1.2MPa未満で漏水
×:0.6MPa未満で漏水
【0048】
[水膨張後形状保持性]
20mm×20mm×2mmtの成形体を23℃にて水道水に7日間浸漬後、成形体の形状保持性を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
◎:亀裂の発生無いもの
○:亀裂は発生しているが水中から取り出しても崩れることがないもの
×:水中にてバラバラに解体したもの
【0049】
[水膨張繰り返し性]
20mm×20mm×2mmtの成形体を23℃にて水道水に7日間浸漬し、水膨張性を測定後、80℃オーブン中で1日間乾燥させ、再び水中に浸漬させる。この操作を3回繰り返して、1回目に測定した水膨張性からの保持率を算出した。
◎:45%以上
○:30%以上45%未満
×:30%未満
【0050】
[無気泡性]
20mm×20mm×2mmtの成形体の表面に発生している1mmφ以上の気泡の数を目視にて観察した。
◎:1個未満
○:1個以上3個未満
×:3個以上