(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125941
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220822BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220822BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20220822BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220822BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20220822BHJP
A61K 31/714 20060101ALI20220822BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20220822BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20220822BHJP
C08L 101/06 20060101ALI20220822BHJP
C08K 5/04 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G02C7/04
A61K47/32
A61K9/00
A61P27/02
A61K31/355
A61K31/714
A61K31/525
A61K31/4415
C08L101/06
C08K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023796
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】520345922
【氏名又は名称】株式会社ティ・エム・ディ
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】井口 博之
(72)【発明者】
【氏名】岩間 昭智
【テーマコード(参考)】
2H006
4C076
4C086
4J002
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB06
4C076AA94
4C076BB24
4C076EE12A
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BC18
4C086CB09
4C086DA39
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA27
4C086MA58
4C086NA12
4C086ZA33
4J002AA051
4J002BG071
4J002EJ016
4J002FD206
4J002GB01
(57)【要約】
【課題】薬剤成分を容易に摂取可能なコンタクトレンズを提供する。
【解決手段】眼球に装着する球面状のレンズに、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する薬剤成分(D-α-トコフェロール、シアノコバラミン、リボフラビン、ピリドキシンハイドロクロライドからなる群のうち少なくとも一つ)が含まれたコンタクトレンズを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球に装着する球面状のレンズに薬剤成分が含まれたコンタクトレンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンタクトレンズであって、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を持つアニオン性基を有するコンタクトレンズ。
【請求項3】
請求項1に記載のコンタクトレンズであって、前記薬剤成分が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するコンタクトレンズ。
【請求項4】
請求項3に記載のコンタクトレンズであって、前記薬剤成分は、D-α-トコフェロール、シアノコバラミン、リボフラビン、ピリドキシンハイドロクロライドからなる群のうち少なくとも一つであるコンタクトレンズ。
【請求項5】
請求項1に記載のコンタクトレンズであって、前記コンタクトレンズにMPCポリマーを含有させ、当該MPCポリマーに薬剤を含浸させたコンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤成分が含まれたコンタクトレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玉子は、外部からの衝撃により殻が割れてしまうおそれがあるため、外部からの衝撃に対する緩衝部材を備える容器に収容される。
【0003】
コンタクトレンズ装用者は1600万人に達しており、最も身近になった医療機器として広く認知されている。コンタクトレンズの市場はハイドロゲルコンタクトレンズが全体の70%以上を占めており、その中でも1日使い捨てタイプのハイドロゲルコンタクトレンズのシェアが最も高い。一般的に、1日使い捨てタイプのハイドロゲルコンタクトレンズの装用時間は長くても18時間程度とされている。
【0004】
一般的に眼科用薬剤の点眼は、長期にわたり前眼部内に保持されず、涙液とともに流れ出してしまう。このため、薬効が十分に発揮されず、効果を得るためには数回にわたる点眼が必要となり、点眼することを忘れたり、煩わしさがある。
【0005】
上述のハイドロゲル製コンタクトレンズは、水素結合により水分子を取込み、膨潤することが知られている。このとき、高分子内に存在するヒドロキシル基やカルボキシル基の割合が多いほど、水分子を多く取込み、含水率が上がることが知られている。
【0006】
一般的に、眼の治療を行うには、目薬が使用され、薬物を眼球に投与して治療を行うことが知られている。これに対して、特許文献1では、治療用のコンタクトレンズであって、コンタクトレンズの球面内側に、収容部を設け、薬剤成分を目に直接、送達することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のコンタクトレンズは、収容部を設ける必要があり、収容部をコンタクトレンズに設置する技術は安全面、コスト面から困難である。さらに、特許文献1のように、治療用のコンタクトレンズではなく、一般的なコンタクトレンズであっても、疲労回復のビタミン成分等が、コンタクトレンズから簡単に供給されることが望ましい。
【0009】
本発明は、薬剤成分を容易に摂取可能なコンタクトレンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)眼球に装着する球面状のレンズに薬剤成分が含まれたコンタクトレンズ。
【0011】
(1)では、治療用のコンタクトレンズのみならず、一般的なコンタクトレンズであってよい。薬剤成分は、疲労回復のビタミン成分等が、コンタクトレンズから簡単に供給されることが望ましい。
【0012】
(2)(1)に記載のコンタクトレンズであって、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を持つアニオン性基を有するコンタクトレンズ。
【0013】
(3)(1)に記載のコンタクトレンズであって、前記薬剤成分が、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するコンタクトレンズ。
【0014】
(3)のコンタクトレンズでは、具体的な薬剤成分は、D-α-トコフェロール、シアノコバラミン、リボフラビン、ピリドキシンハイドロクロライドである。
【0015】
(4)(3)に記載のコンタクトレンズであって、前記薬剤成分は、D-α-トコフェロール、シアノコバラミン、リボフラビン、ピリドキシンハイドロクロライドからなる群のうち少なくとも一つであるコンタクトレンズ。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、眼科用薬剤を前眼部に長時間、保持させることにより、眼科用薬剤を長時間にわたり効果的に徐放できる、したがって、日に数度の点眼が不要となり、かつ効能が最大限に発揮されるようにする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
本発明は、薬物徐放性ハイドロゲルコンタクトレンズ及びこれを用いた薬物取込み方法に係り、詳細には、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する眼科用薬剤を長時間にわたり効果的に徐放可能であり、1日使い捨て用のコンタクトレンズに適した薬物徐放性ハイドロゲルコンタクトレンズに関する。
【0019】
ハイドロゲルコンタクトレンズは素材に用いる原材料を選択することにより、レンズ素材と他の物質との水素結合を強めたり、疎水性を高めることで汚れ物質の付着を防ぐことができることが知られている。
【0020】
ハイドロゲルコンタクトレンズの原材料と薬剤成分との化学的性質から種類を限定することにより、装用時においても薬効成分をハイドロゲルコンタクトレンズ内に長時間に渡り保持することが可能になる。これにより、ハイドロゲルコンタクトレンズ自体の網目構造の空間内をマイクロカプセルとして捉えることができる。
【0021】
本発明に係るコンタクトレンズは、2-ヒドロキシルエチルメタクリレートを原材料とした、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有するハイドロゲルレンズである。ヒドロキシル基及びカルボキシル基として、具体的には、メタクリル酸、グリセロールメタクリレートを1%以上含む。コンタクトレンズの製造工程において、ハイドロゲルコンタクトレンズにビタミン等の薬剤成分を含ませて、コンタクトレンズを製造する。
【0022】
以下では、ハイドロゲルコンタクトレンズに薬剤を浸透させ、徐放させる方法について主に説明する。
【0023】
ハイドロゲルコンタクトレンズは、製造工程において含水し、膨潤した状態となる。含水させたハイドロゲルコンタクトレンズを、薬剤が添加された充填液の入った容器に入れ、パッキング後に湿熱滅菌を行うことで、高温高圧により、ハイドロゲルコンタクトレンズ内に薬効成分が保持される。
【0024】
充填液は、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液を用いる。これにより、眼装用時にpH変化が起こり、ハイドロゲルコンタクトレンズ内に取り込まれた薬剤の放出を促進させる。
【0025】
ここで、コンタクトレンズにMPC()ポリマーを含有してもよい。この場合に、MPCポリマーにビタミン等の薬剤を含浸させる。MPCポリマーは、ヒアルロン酸の約2倍の吸水性があり保水性が高められる。さらに、MPCポリマーは、タンパク質成分を排除することから適切である。
【0026】
なお、コンタクトレンズは、眼球に装着する球面のレンズであって、1日から2週間程度で、使い捨てのコンタクトレンズであることが望ましい。薬剤成分が消費されてしまうからである。
【0027】
以上、特定の例示的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、これらの実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。当然のことながら、当業者であれば、本発明の範囲および主旨から逸脱することなく、これらの実施形態を変更または改良可能である。