IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケイメッド(メディカル アンド インダストリアル イクイプメント) リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-流体管理システム 図1
  • 特開-流体管理システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125960
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】流体管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A61B1/12 521
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021199036
(22)【出願日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】2102202.5
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】501472618
【氏名又は名称】ケイメッド(メディカル アンド インダストリアル イクイプメント) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KEYMED (MEDICAL & INDUSTRIAL EQUIPMENT) LTD.
【住所又は居所原語表記】Keymed House, Stock Road, SOUTHEND-ON-SEA, Essex, SS2 5QH, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル トリッグ
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF42
4C161HH04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内視鏡処置のための改善された流体管理システムを提供する。
【解決手段】内視鏡処置のための流体管理システム10は、貯蔵器22から医療機器16に流体を供給するように構成されたポンプ12を備える。ポンプは、ポンプの動作を制御するように構成された中央処理装置(CPU)24と、ポンプを作動させるフットスイッチ14と、ポンプの動作パラメータの複数の所定レベルでポンプを動作させるようにCPUをプログラムし、ポンプ動作のための複数の所定レベルの1つをユーザが選択できるように構成されているユーザ入力装置26と、を有する。CPUは、フットスイッチが作動しているときにユーザ入力装置の少なくとも一部を無効にするように構成されている。これにより、洗浄液の流量など、使用中のポンプの動作パラメータの突然の変化を防ぎ、患者への潜在的な危害や機器の損傷を防ぐことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプの動作を制御するように構成された中央処理装置(CPU)を有する、貯蔵器から医療機器に流体を供給するように構成された前記ポンプと、
前記CPUと通信し、前記ポンプを作動させるように構成されたフットスイッチと、
前記ポンプの動作パラメータの複数の所定レベルで前記ポンプを動作させるように前記CPUをプログラムし、ポンプ動作のための前記複数の所定レベルの1つをユーザが選択できるように構成されているユーザ入力装置と、を備え、
前記CPUは、前記フットスイッチが作動しているときに前記ユーザ入力装置の少なくとも一部を無効にするように、さらに構成されている、
内視鏡処置のための流体管理システム。
【請求項2】
前記ユーザ入力装置は、前記ポンプの動作パラメータを徐々に増加および減少させるように動作可能である増加制御手段と、前記ポンプの前記動作パラメータの前記複数の所定レベルの間で直接的に切り替えるように動作可能なプリセット制御手段と、を有する、
請求項1に記載の流体管理システム。
【請求項3】
前記CPUは、前記フットスイッチが作動しているときに前記プリセット制御手段を無効にし、前記フットスイッチが作動しているときに前記増加制御手段を使用可能状態に維持するように構成されている、
請求項2に記載の流体管理システム。
【請求項4】
前記ユーザ入力装置は、使用可能であるときに点灯している、前記ポンプの本体上の複数の制御ボタンを有する、
請求項3に記載の流体管理システム。
【請求項5】
前記ポンプは、蠕動ポンプを有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の流体管理システム。
【請求項6】
前記動作パラメータは、ポンプ速度または送り出されている流体の流量の少なくともいずれかである、
請求項5に記載の流体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡検査などの医療処置のための流体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡処置では、患者の体内に医療機器を挿入して、画像診断、調査、診断、または手術/治療の目的で内臓または組織を詳細に観察する。このような内視鏡処置では、多くの場合、観察されている部位を洗浄および洗浄するために、患者の体内に洗浄液を供給する必要がある。たとえば、胃腸(GI)の手術では、洗浄は、胃および結腸の粘膜を洗浄して血液、糞便、その他の有機物を取り除くのに役立つ。洗浄液は、ポンプによって内視鏡自体の導管に供給される。その手術を行う外科医は、フットスイッチを用いてポンプを操作できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、内視鏡処置のための流体管理システムを提供する。このシステムは、ポンプの動作を制御するように構成された中央処理装置(CPU)を有する、貯蔵器から医療機器に流体を供給するように構成されたポンプと、CPUと通信し、ポンプを作動させるように構成されたフットスイッチと、ポンプの動作パラメータの複数の所定レベルでポンプを動作させるようにCPUをプログラムし、ポンプ動作のための複数の所定レベルの1つをユーザが選択できるように構成されているユーザ入力装置と、を備え、CPUは、フットスイッチが作動しているときにユーザ入力装置の少なくとも一部を無効にするように、さらに構成されている。
【0004】
本発明の改善された流体管理システムは、患者への潜在的な危害または機器への損傷を防ぐために、使用中において、洗浄液の流量などのポンプの動作パラメータが突然変化することを防ぐ。
【0005】
好ましくは、ユーザ入力装置は、ポンプの動作パラメータを徐々に増加および減少させるように動作可能である増加制御手段と、ポンプの動作パラメータの複数の所定レベルの間で直接的に切り替えるように動作可能なプリセット制御手段と、を有する。
【0006】
好ましくは、CPUは、フットスイッチが作動しているときにプリセット制御手段を無効にし、フットスイッチが作動しているときに増加制御手段を使用可能状態に維持するように構成されている。
【0007】
好ましくは、ユーザ入力装置は、使用可能であるときに点灯している、ポンプの本体上の複数の制御ボタンを有する。
【0008】
好ましい実施形態では、ポンプは、蠕動ポンプを有し、動作パラメータは、ポンプ速度または流量の少なくともいずれかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明は、以下の添付の図面を参照して、単なる例として、詳細に説明される。
図1図1は、本発明に従う流体管理システムの概略図である。
図2図2は、ユーザ入力装置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に概略的に示されるように、本発明に従う流体管理システム10は、ポンプ12と、ポンプ12に接続されたフットスイッチ14とを備える。フットスイッチ14が作動すると、ポンプ12は、内視鏡などの医療機器16に、チューブ18を介して流体を供給する。
【0011】
好ましくは、ポンプ12は、ポンプヘッド20を動作させるための駆動装置またはモータ(図示しない。)を収容する蠕動ポンプである。ポンプヘッド20は、トラック20aおよびロータ20bを含む。可撓性チューブ18は、トラック20aおよびロータ20bの間に取り付けられ、動作中、流体は、貯蔵器22から引き出され、チューブ18を通して送り出される。ポンプ12はまた、ポンプ12の動作を制御する中央処理装置(CPU)24を含む。ユーザ入力装置26も提供される。ユーザ入力装置26は、好ましくは、ポンプ12の本体上の制御パネルの形態であるが、それはまた、ポンプ12と有線通信または無線通信する遠隔装置であり得る。CPU24は、ポンプ12の動作の特定のパラメータを変更するために、ユーザ入力装置26によってプログラム可能である。
【0012】
ユーザ入力装置26は、好ましくは、図2に示されるように、ポンプ動作の1つまたは複数のパラメータを変更するためにユーザによって操作可能ないくつかの制御手段、およびディスプレイ30を含む。ポンプ動作の調整可能なパラメータは、例えば、モータ速度、ロータ20bの回転毎分(RPM)、またはチューブ18内の流体の流量であってよい。ディスプレイ30は、動作パラメータの実際の値、またはパーセンテージ値を示してよい。例えば、図2では、ディスプレイ30は、ポンプ12が提供することができる最大利用可能流量の90%を表してよい90の値を示している。
【0013】
フットスイッチ14は、ポンプ12に接続され、CPU24と通信している。ユーザがフットスイッチ14を押すと、CPU24はポンプ12を動作させる。フットスイッチ14が離されると、CPU24はポンプ12の動作を停止する。
【0014】
ユーザ入力装置26の制御手段は、好ましくは、連続する小さな増分で所定のパラメータが増加または減少することを可能にする増加制御手段32を含む。増加制御手段32は、パラメータを増加および減少させるために、図示のように+および-とマークされた2つのボタンからなり得るが、回転可能なつまみ若しくは回転円板、またはスライダなどの他の形態の制御手段を使用できる。増加制御手段32は、5%または10%または他の何らかの値などの任意の所望の増分によってパラメータを変更するように構成されてよい。
【0015】
ユーザ入力装置26の制御手段はまた、ユーザが特定のパラメータの複数の所定レベルまたはプリセットの間で設定および変更することを可能にするプリセット制御手段34を含む。ポンプ12は、特定のレベルで、特に所定のポンプによって提供され得る最大利用可能レベルの特定のパーセンテージで、所定のパラメータで動作するようにプログラム可能である。例えば、ユーザは、異なる処置のために、または処置中の異なる時間に、異なる流体の流量を使用したいと思う可能性がある。これらの変更を容易にし、処置が実行される前に、増加制御手段32を繰り返し操作して流量(または他の選択されたパラメータ)を増減する必要性を回避するために、所望の流量に対応するプリセットが入力されてよい。たとえば、プリセットは、ポンプの動作容量の90%の最大流量、50%の中流量、および10%の最小流量に設定されてよい。
【0016】
プリセット制御手段34は、好ましくは、最大レベル、中レベルおよび最小レベルを表す3つのボタンを含む。プリセット制御手段34は、それに応じてラベル付けするか、図2のように「高」、「中」、「低」とラベル付けするか、または他の任意の都合のよい方法で識別できる。必要なプリセットの数に応じて、ボタンの数を増やしたり減らしたりすることができ、スイッチなどの他の形態の制御手段を使用できる。選択されたパラメータは、増加制御手段32を使用することによって最初に設定され得る。ディスプレイ30に示されるように、所望のレベルに達したとき、対応するプリセットボタンを数秒間押し続けて、そのレベルを所望のプリセットとして設定することができる。例えば、図2に示すように、必要な最大値が90%である場合、「高」ボタンを数秒間押し続けて、その値を高プリセットとして固定してよい。次に、「高」ボタンを離し、増加制御手段32を使用して、選択したパラメータのレベルを必要な中値に下げ、「中」ボタンを数秒間押し続けるなどして、そのレベルを固定する。プリセット制御手段34がすべてこのようにプログラムされると、ボタンの1つを押すと、パラメータが所定のプリセットレベルに自動的に変更される。
【0017】
使用中、ポンプ12は、ユーザ入力装置26を使用して、所望のパラメータレベルでユーザによってプログラムされる。これらのレベルは、特定の処置の推奨レベルに基づく場合もあれば、知識および経験に基づいて個々のユーザが選択する場合もある。処置中に、ユーザは、関連するプリセット制御手段34を押すことによって所望のレベルを選択し、次に、ポンプ動作を開始および停止するためにフットスイッチ14を作動させる。パラメータ(たとえば、流量)を変更するために、ユーザは、ユーザ入力装置26のボタンの1つを押す。増加制御手段32を使用することによって小さく変更してよく、プリセット制御手段34の別のものを選択することによって大きく変更してよい。
【0018】
しかしながら、間違ったプリセット制御手段34が不注意に押された場合(例えば、最小から中への変更が意図されたときに、最小から最大への変更が誤って選択された場合)、または関連するプリセットとしてプログラムされたパラメータレベルが、実際に処置が実行される前に変更されており、ユーザが期待しているものでない場合、流量などのパラメータが突然増減するリスクがある。これは、患者の負傷、内視鏡機器の損傷、またはその他の方法で処置の効率的な実施を妨げる可能性がある。
【0019】
したがって、本発明では、システムは、ポンプ12が動作している間、プリセットへの変更、またはプリセット間の切り替えを防止するように構成される。ユーザ入力装置26は、少なくともプリセット制御手段34に関連する限りにおいて、ポンプ12が動作している間(すなわち、フットスイッチ14が作動している間)、無効にされる。好ましくは、ユーザ入力装置26の関連部分は、CPU24によって無効にされる。CPU24は、あるプリセットレベルから別のプリセットレベルへの変更、または各プリセットのレベルへの変更は許可されないように、フットスイッチ14の作動および解放を検出するように構成され、フットスイッチ14が作動されたときにプリセット制御手段34を無効にするようにプログラムされている。
【0020】
しかしながら、好ましくは、ポンプ12の動作中にパラメータを変更することができるように、増加制御手段32は無効にされないが、わずかな増分変更のみが可能である。したがって、流量などのパラメータは変更できるが、けがや損傷を引き起こさない方法で徐々に変更できる。
【0021】
ユーザ入力装置26の制御ボタンは、それらが使用可能になると点灯してよい。好ましくは、CPU24はまた、ユーザにそれらが動作不能であることを認識させるために、フットスイッチ14が作動しているときに無効化されたプリセット制御手段34の照明を停止するように動作可能である。好ましくは、増加制御手段32は、ユーザがそれらがまだ動作可能であり、流量変更を徐々に行うことができることに気づくように、フットスイッチ14が作動しているときであっても点灯したままである。
図1
図2