(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125974
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】防護柵、防護柵の設置方法及び床版の架け替え工法
(51)【国際特許分類】
E01F 15/02 20060101AFI20220822BHJP
E01D 24/00 20060101ALI20220822BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20220822BHJP
E01D 19/12 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
E01F15/02
E01D24/00
E01D22/00
E01D19/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016464
(22)【出願日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2021023276
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】山中 宏之
(72)【発明者】
【氏名】小林 克哉
(72)【発明者】
【氏名】三室 恵史
(72)【発明者】
【氏名】一宮 利通
(72)【発明者】
【氏名】宇津木 一弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 史
(72)【発明者】
【氏名】米井 亜里紗
【テーマコード(参考)】
2D059
2D101
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059GG39
2D059GG41
2D101CA06
2D101DA04
2D101EA02
2D101FA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】防護柵を固定するために要する交通規制期間を短縮する。
【解決手段】床版21,22,23,24により形成された道路50を区画する防護柵1Aにおいて、床版22,23と、道路50を区画する防護柵部10Aと、床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hと、床版貫通孔部20hに挿通され、床版22,23に防護柵部10Aを固定する固定部材30とを備える。床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hに挿通されて床版22,23に防護柵部10Aを固定する固定部材30により、床版22,23に防護柵部10Aが固定されるため、従来の床版の上面に打ち込まれたアンカーにより仮設の防護柵が床版に固定される技術に比べて、床版に防護柵部を固定するために必要な作業のより多くを床版の下面からの作業にできる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床版により形成された道路を区画する防護柵であって、
前記床版と、
前記道路を区画する防護柵部と、
前記床版を上下に貫通する床版貫通孔部と、
前記床版貫通孔部に挿通され、前記床版に前記防護柵部を固定する固定部材と、
を備えた防護柵。
【請求項2】
前記床版は、前記道路の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版と、前記複数のプレキャスト床版の間に現場打設された間詰コンクリートとを有し、
前記床版貫通孔部は、前記間詰コンクリートに形成されている、請求項1に記載の防護柵。
【請求項3】
床版により形成された道路を区画する防護柵の設置方法であって、
前記床版を上下に貫通する床版貫通孔部を形成する床版貫通孔部形成工程と、
前記床版に前記道路を区画する防護柵部を配置して、前記床版貫通孔部形成工程で形成された前記床版貫通孔部に挿通された固定部材により前記床版に前記防護柵部を固定する防護柵部固定工程と、
を備えた防護柵の設置方法。
【請求項4】
前記床版は既設のものに替えて新設されたものであり、前記道路の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版と、前記複数のプレキャスト床版の間に現場打設された間詰コンクリートとを有し、
既設のものに替えて前記複数のプレキャスト床版を前記道路の進行方向に間を空けて並べて配置した後に、前記複数のプレキャスト床版の間に前記間詰コンクリートを現場打設する床版新設工程をさらに備え、
前記床版貫通孔部形成工程では、前記床版新設工程で前記間詰コンクリートを現場打設するときに、前記間詰コンクリートに前記床版貫通孔部を形成する、請求項3に記載の防護柵の設置方法。
【請求項5】
前記固定部材は、前記防護柵部の下方に突出した棒材と、前記棒材に嵌合する締結部材とからなり、
前記防護柵部固定工程では、前記床版貫通孔部形成工程により形成された前記床版貫通孔部に前記棒材を挿通させつつ前記床版に前記防護柵部を配置し、前記床版貫通孔部に挿通された前記棒材に前記締結部材を嵌合させることにより前記床版に前記防護柵部を固定する、請求項3又は4に記載の防護柵の設置方法。
【請求項6】
複数の車線を有する道路の床版を架け替える床版の架け替え工法であって、
前記複数の車線の一部の車線における既設の床版を上下に貫通する既設床版貫通孔部を形成する既設床版貫通孔部形成工程と、
前記既設床版貫通孔部形成工程で前記既設床版貫通孔部が形成された既設の床版に前記一部の車線を区画する防護柵部を配置して、前記既設床版貫通孔部に挿通された固定部材により既設の床版に前記防護柵部を固定する既設床版防護柵部固定工程と、
前記既設床版防護柵部固定工程で前記防護柵部が固定された既設の床版の前記一部の車線を除いた他の車線における既設の床版を撤去する第1次既設床版撤去工程と、
前記第1次既設床版撤去工程で既設の床版が撤去された前記他の車線に、複数のプレキャスト床版を配置する第1次床版新設工程と、
を備えた床版の架け替え工法。
【請求項7】
前記第1次床版新設工程では、前記複数のプレキャスト床版を前記他の車線の進行方向に間を空けて並べて配置した後に、前記複数のプレキャスト床版の間に間詰コンクリートを現場打設し、前記間詰コンクリートを現場打設するときに、前記間詰コンクリートを上下に貫通する間詰コンクリート貫通孔部を形成し、
前記既設床版防護柵部固定工程で既設の床版に固定された前記防護柵部と既設の床版との前記固定部材による固定を解除し、前記床版新設工程で前記間詰コンクリート貫通孔部が形成された前記間詰コンクリート及び前記複数のプレキャスト床版に前記防護柵部を移動させつつ配置して、前記床版新設工程で形成された前記間詰コンクリート貫通孔部に挿通された前記固定部材により前記間詰コンクリート及び前記複数のプレキャスト床版に前記防護柵部を固定する新設床版防護柵部固定工程と、
前記新設床版防護柵部固定工程の後に、前記一部の車線における既設の床版を撤去する第2次既設床版撤去工程と、
前記第2次既設床版撤去工程で既設の床版が撤去された前記一部の車線に、複数のプレキャスト床版を配置する第2次床版新設工程と、
をさらに備えた、請求項6に記載の床版の架け替え工法。
【請求項8】
床版により形成された道路を区画する防護柵であって、
前記防護柵は、前記防護柵により区画される前記道路の車線に沿って延在する第1防護柵部と、前記第1防護柵部に連続して前記車線に沿って延在する第2防護柵部とを備え、
前記第1防護柵部と前記第2防護柵部とを接続する接続部は、垂直視して一方に凸部、他方に凹部を有し、前記凸部及び前記凹部は嵌合可能である、防護柵。
【請求項9】
前記凸部及び前記凹部には、前記車線に沿った方向の移動を制限する係止部を有する、請求項8に記載の防護柵。
【請求項10】
前記床版を上下に貫通する床版貫通孔部と、
前記第1防護柵部及び前記第2防護柵部の下方に突出した棒材からなり、前記床版貫通孔部に挿通され、前記床版に前記第1防護柵部及び前記第2防護柵部を固定する固定部材と、
をさらに備えた、請求項8又は9に記載の防護柵。
【請求項11】
床版により形成された道路を区画する防護柵の設置方法であって、
前記防護柵により区画される前記道路の車線に沿って延在するように第1防護柵部を設置する第1防護柵部設置工程と、
前記第1防護柵部に連続して前記車線に沿って延在するように第2防護柵部を設置する第2防護柵部設置工程と、
を備え、
前記第1防護柵部設置工程及び前記第2防護柵部設置工程では、前記第1防護柵部と前記第2防護柵部とを接続する接続部は、垂直視して一方に凸部、他方に凹部を有し、前記凸部及び前記凹部は嵌合可能である前記第1防護柵部及び前記第2防護柵部を設置する、防護柵の設置方法。
【請求項12】
前記第1防護柵部設置工程及び前記第2防護柵部設置工程では、前記凸部及び前記凹部には、前記車線に沿った方向の移動を制限する係止部を有する前記第1防護柵部及び前記第2防護柵部を設置する、請求項11に記載の防護柵の設置方法。
【請求項13】
前記第1防護柵部設置工程では、前記床版を上下に貫通する床版貫通孔部を有する前記床版に、前記第1防護柵部の下方に突出した棒材からなり、前記床版に前記第1防護柵部を固定する固定部材を有する前記第1防護柵部を、前記床版貫通孔部に前記棒材を挿通させつつ設置し、
前記第2防護柵部設置工程では、前記床版貫通孔部を有する前記床版に、前記第2防護柵部の下方に突出した棒材からなり、前記床版に前記第2防護柵部を固定する固定部材を有する前記第2防護柵部を、前記床版貫通孔部に前記棒材を挿通させつつ設置する、請求項11又は12に記載の防護柵の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防護柵、防護柵の設置方法及び床版の架け替え工法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁の道路を形成する既設の床版を新たな床版に架け替える技術が提案されている。道路の一部の車線における床版を架け替える工事の期間中も、道路の他の車線は車両の通行のために供用を続けることが望ましい。そのため、例えば、特許文献1には、既設の床版を架け替える工事が行われている車線と、車両の通行のために供用されている車線とを区画するために、仮設の防護柵が道路に設置される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような技術では、一部の車線(車線B)を供用しながら、他の車線(車線A)において安全に床版取替え工事を行うために、車両の車線逸脱を防止する仮設防護柵を設けることが開示されている。車両の車線逸脱の衝撃に耐える強度を有する仮設防護柵を設置するためには、車線の規制を行い、車線を通行止めにする必要がある。そのため、防護柵を設置するために要する交通規制期間が長い。
【0005】
そこで本発明は、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる防護柵、防護柵の設置方法及び床版の架け替え工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、床版により形成された道路を区画する防護柵であって、床版と、道路を区画する防護柵部と、床版を上下に貫通する床版貫通孔部と、床版貫通孔部に挿通され、床版に防護柵部を固定する固定部材とを備えた防護柵である。
【0007】
この構成によれば、床版により形成された道路を区画する防護柵において、床版と、道路を区画する防護柵部と、床版を上下に貫通する床版貫通孔部と、床版貫通孔部に挿通され、床版に防護柵部を固定する固定部材とを備える。床版を上下に貫通する床版貫通孔部に挿通されて床版に防護柵部を固定する固定部材により、床版に防護柵部が固定されるため、従来の床版の上面に打ち込まれたアンカーにより仮設の防護柵が床版に固定される技術に比べて、床版に防護柵部を固定するために必要な作業のより多くを床版の下面からの作業にできる。したがって、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0008】
この場合、床版は、道路の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版と、複数のプレキャスト床版の間に現場打設された間詰コンクリートとを有し、床版貫通孔部は、間詰コンクリートに形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、道路の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版と複数のプレキャスト床版の間に現場打設された間詰コンクリートとを有する床版において、床版貫通孔部は間詰コンクリートに形成されており、床版を主に構成するプレキャスト床版には孔が設けられていないため、床版の耐久性が向上する。
【0010】
また、本発明は、床版により形成された道路を区画する防護柵の設置方法であって、床版を上下に貫通する床版貫通孔部を形成する床版貫通孔部形成工程と、床版に道路を区画する防護柵部を配置して、床版貫通孔部形成工程で形成された床版貫通孔部に挿通された固定部材により床版に防護柵部を固定する防護柵部固定工程とを備えた防護柵の設置方法である。
【0011】
この場合、床版は既設のものに替えて新設されたものであり、道路の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版と、複数のプレキャスト床版の間に現場打設された間詰コンクリートとを有し、既設のものに替えて複数のプレキャスト床版を道路の進行方向に間を空けて並べて配置した後に、複数のプレキャスト床版の間に間詰コンクリートを現場打設する床版新設工程をさらに備え、床版貫通孔部形成工程では、床版新設工程で間詰コンクリートを現場打設するときに、間詰コンクリートに床版貫通孔部を形成してもよい。
【0012】
この構成によれば、床版新設工程により、既設のものに替えて複数のプレキャスト床版が道路の進行方向に間を空けて並べて配置された後に、複数のプレキャスト床版の間に間詰コンクリートが現場打設される。床版貫通孔部形成工程では、床版新設工程で間詰コンクリートを現場打設するときに、間詰コンクリートに床版貫通孔部が形成される。このため、間詰コンクリートの現場打設と床版貫通孔部の形成とを一緒に行うことができ、床版貫通孔部の形成が容易となる。
【0013】
また、固定部材は、防護柵部の下方に突出した棒材と、棒材に嵌合する締結部材とからなり、防護柵部固定工程では、床版貫通孔部形成工程により形成された床版貫通孔部に棒材を挿通させつつ床版に防護柵部を配置し、床版貫通孔部に挿通された棒材に締結部材を嵌合させることにより床版に防護柵部を固定してもよい。
【0014】
この構成によれば、固定部材は、防護柵部の下方に突出した棒材と、棒材に嵌合する締結部材とからなり、防護柵部固定工程では、床版貫通孔部形成工程により形成された床版貫通孔部に棒材が挿通され、床版に防護柵部が配置される。このため、床版に防護柵部が配置された直後に、防護柵部は横方向にずれないように床版に配置される。また、防護柵部固定工程では、床版貫通孔部に挿通された棒材に締結部材が嵌合されることにより床版に防護柵部が固定される。このため、防護柵部固定工程では、床版に防護柵部を固定するために必要な作業のさらに多くを床版の下面からの作業にできる。したがって、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0015】
また、本発明は、複数の車線を有する道路の床版を架け替える床版の架け替え工法であって、複数の車線の一部の車線における既設の床版を上下に貫通する既設床版貫通孔部を形成する既設床版貫通孔部形成工程と、既設床版貫通孔部形成工程で既設床版貫通孔部が形成された既設の床版に一部の車線を区画する防護柵部を配置して、既設床版貫通孔部に挿通された固定部材により既設の床版に防護柵部を固定する既設床版防護柵部固定工程と、既設床版防護柵部固定工程で防護柵部が固定された既設の床版の一部の車線を除いた他の車線における既設の床版を撤去する第1次既設床版撤去工程と、第1次既設床版撤去工程で既設の床版が撤去された他の車線に、複数のプレキャスト床版を配置する第1次床版新設工程とを備えた床版の架け替え工法である。
【0016】
この構成によれば、交通規制期間が短縮された既設床版貫通孔部形成工程及び既設床版防護柵部固定工程の後には、防護柵部で区画された一部の車線を車両の通行のために供用しつつ、他の車線における既設の床版を撤去する第1次既設床版撤去工程と、他の車線にプレキャスト床版を配置する第1次床版新設工程とが行われるため、道路を車両の通行のために供用できる期間をより長くできる。
【0017】
この場合、第1次床版新設工程では、複数のプレキャスト床版を他の車線の進行方向に間を空けて並べて配置した後に、複数のプレキャスト床版の間に間詰コンクリートを現場打設し、間詰コンクリートを現場打設するときに、間詰コンクリートを上下に貫通する間詰コンクリート貫通孔部を形成し、既設床版防護柵部固定工程で既設の床版に固定された防護柵部と既設の床版との固定部材による固定を解除し、床版新設工程で間詰コンクリート貫通孔部が形成された間詰コンクリート及び複数のプレキャスト床版に防護柵部を移動させつつ配置して、床版新設工程で形成された間詰コンクリート貫通孔部に挿通された固定部材により間詰コンクリート及び複数のプレキャスト床版に防護柵部を固定する新設床版防護柵部固定工程と、新設床版防護柵部固定工程の後に、一部の車線における既設の床版を撤去する第2次既設床版撤去工程と、第2次既設床版撤去工程で既設の床版が撤去された一部の車線に、複数のプレキャスト床版を配置する第2次床版新設工程とをさらに備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、新設床版防護柵部固定工程では、既設床版防護柵部固定工程で既設の床版に固定された防護柵部と既設の床版との固定部材による固定が解除され、床版新設工程で間詰コンクリート貫通孔部が形成された間詰コンクリート及び複数のプレキャスト床版に防護柵部が移動され、配置され、床版新設工程で形成された間詰コンクリート貫通孔部に挿通された固定部材により間詰コンクリート及び複数のプレキャスト床版に防護柵部が固定されるため、防護柵部を既設の床版から移動させてからプレキャスト床版に設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0019】
さらに、交通規制期間が短縮された新設床版防護柵部固定工程の後には、防護柵部で区画された他の車線を車両の通行のために供用しつつ、一部の車線における既設の床版を撤去する第2次既設床版撤去工程と、一部の車線にプレキャスト床版を配置する第2次床版新設工程とが行われるため、道路を車両の通行のために供用できる期間をより長くできる。
【0020】
また、本発明は。床版により形成された道路を区画する防護柵であって、防護柵は、防護柵により区画される道路の車線に沿って延在する第1防護柵部と、第1防護柵部に連続して車線に沿って延在する第2防護柵部とを備え、第1防護柵部と第2防護柵部とを接続する接続部は、垂直視して一方に凸部、他方に凹部を有し、凸部及び凹部は嵌合可能である、防護柵である。
【0021】
この構成によれば、床版により形成された道路を区画する防護柵において、防護柵は、防護柵により区画される道路の車線に沿って延在する第1防護柵部と、第1防護柵部に連続して車線に沿って延在する第2防護柵部とを備えるが、第1防護柵部と第2防護柵部とを接続する接続部は、垂直視して一方に凸部、他方に凹部を有し、凸部及び凹部は嵌合可能であるため、第1防護柵部と第2防護柵部とを接続することが容易であり、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0022】
この場合、凸部及び凹部には、車線に沿った方向の移動を制限する係止部を有することが好適である。
【0023】
この構成によれば、凸部及び凹部には、車線に沿った方向の移動を制限する係止部を有するため、第1防護柵部と第2防護柵部とを接続することが容易であり、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0024】
また、床版を上下に貫通する床版貫通孔部と、第1防護柵部及び第2防護柵部の下方に突出した棒材からなり、床版貫通孔部に挿通され、床版に第1防護柵部及び第2防護柵部を固定する固定部材とをさらに備えることが好適である。
【0025】
この構成によれば、床版を上下に貫通する床版貫通孔部に挿通されて床版に第1防護柵部及び第2防護柵部を固定する固定部材により、床版に第1防護柵部及び第2防護柵部が固定されるため、従来の床版の上面に打ち込まれたアンカーにより仮設の防護柵が床版に固定される技術に比べて、床版に防護柵部を固定するために必要な作業のより多くを床版の下面からの作業にできる。したがって、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0026】
また、本発明は。床版により形成された道路を区画する防護柵の設置方法であって、防護柵により区画される道路の車線に沿って延在するように第1防護柵部を設置する第1防護柵部設置工程と、第1防護柵部に連続して車線に沿って延在するように第2防護柵部を設置する第2防護柵部設置工程とを備え、第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程では、第1防護柵部と第2防護柵部とを接続する接続部は、垂直視して一方に凸部、他方に凹部を有し、凸部及び凹部は嵌合可能である第1防護柵部及び第2防護柵部を設置する防護柵の設置方法である。
【0027】
この場合、第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程では、凸部及び凹部には、車線に沿った方向の移動を制限する係止部を有する第1防護柵部及び第2防護柵部を設置することが好適である。
【0028】
また、第1防護柵部設置工程では、床版を上下に貫通する床版貫通孔部を有する床版に、第1防護柵部の下方に突出した棒材からなり、床版に第1防護柵部を固定する固定部材を有する第1防護柵部を、床版貫通孔部に棒材を挿通させつつ設置し、第2防護柵部設置工程では、床版貫通孔部を有する床版に、第2防護柵部の下方に突出した棒材からなり、床版に第2防護柵部を固定する固定部材を有する第2防護柵部を、床版貫通孔部に棒材を挿通させつつ設置することが好適である。
【発明の効果】
【0029】
本発明の防護柵、防護柵の設置方法及び床版の架け替え工法によれば、防護柵を固定するために要する交通規制期間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)は、第1実施形態に係る床版の架け替え工法の各工程を示す道路の進行方向に直交する断面による縦断面図である。
【
図2】(A)は既設の床版に防護柵部が固定された第1実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のα線による断面図であり、(C)は(A)のβ線による断面図である。
【
図3】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)及び(G)は、第1実施形態に係る床版の架け替え工法の
図1(F)の後の各工程を示す道路の進行方向に直交する断面による縦断面図である。
【
図4】(A)は新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第1実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のγ線による断面図であり、(C)は(A)のδ線による断面図である。
【
図5】(A)は
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)とは異なる方法で新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第1実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のε線による断面図である。
【
図6】(A)は
図4(A)、
図4(B)、
図4(C)、
図5(A)及び
図5(B)とは異なる方法で新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第1実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のζ線による断面図である。
【
図7】(A)は新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第2実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のη線による断面図であり、(C)は(A)のθ線による断面図である。
【
図8】(A)は新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第3実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のι線による断面図であり、(C)は(A)のκ線による断面図であり、(D)は(B)のように固定部材により防護柵部が固定される前に仮設補強材が設置された状態を示す図である。
【
図9】(A)は新設のプレキャスト床版に防護柵部が固定された第4実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のλ線による断面図であり、(C)は(A)のμ線による断面図である。
【
図10】(A)は新設のプレキャスト床版に第1防護柵部及び第2防護柵部が固定された第5実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のν線による断面図であり、(C)は(A)のξ線による断面図である。
【
図11】(A)は
図10(A)の最上段のビームにおける接続部の詳細を示す平面図であり、(B)は
図10(C)の中段のビームにおける接続部の詳細のο線による断面図であり、(C)は
図10(C)の防護柵の第2防護柵部設置工程における第1防護柵部に第2防護柵部が接続される状態を示す図である。
【
図12】(A)は新設のプレキャスト床版に第1防護柵部及び第2防護柵部が固定された第6実施形態に係る防護柵を示す平面図であり、(B)は(A)のπ線による断面図である。
【
図13】(A)は
図12(A)の最上段のビームにおける接続部の詳細を示す平面図であり、(B)は
図12(B)の中段のビームにおける接続部の詳細を示す平面図であり、(C)は
図11(C)の防護柵の第2防護柵部設置工程における第1防護柵部に第2防護柵部が接続される状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る防護柵、防護柵の設置方法及び床版の架け替え工法について詳細に説明する。本発明の第1実施形態に係る床版の架け替え工法は、
図1(A)に示されるような複数の車線51,52を有する道路50の床版20を架け替えるために適用される。本実施形態に係る防護柵及び防護柵の設置方法は、例えば、本実施形態に係る床版の架け替え工法において適用される。
【0032】
図1(A)に示されるように、道路50を形成する既設の床版20は、橋桁41上に架設されている。道路50の幅方向の両端部を除いた道路50の路面に相当する床版20の上面の大部分には舗装28が形成されている。道路50の幅方向の両端部に相当する床版20の両端部上には、壁高欄42が設置されている。
図1(A)の例では、既設の床版20上が片側二車線の車線51,52を有する道路50として車両Vの通行のために供用されている。
【0033】
本実施形態の床版の架け替え工法では、道路50の二つの車線51,52のいずれか一方における床版20の架け替えの作業中も、車線51,52の他方は車両Vの通行のために供用が続けられる。そのため、床版20を架け替える作業が行われている車線51,52のいずれか一方と、車両Vの通行のために供用されている車線51,52の他方とを区画するために、
図2(A)、
図2(B)、
図2(C)、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、床版20により形成された道路を区画する防護柵1Aが道路50に設置される。
【0034】
図1(B)に示されるように、既設の床版20は、道路50及び車線51,52の進行方向に沿って、既設の床版21,22に二分割される。床版21は最初に架け替えられ、床版22は床版21の架け替えの作業中に車両Vの通行のために供用される。
図1(B)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、複数の車線51,52の一部の車線52における既設の床版22を上下に貫通する既設床版貫通孔部22h(床版貫通孔部20h)を形成する既設床版貫通孔部形成工程が行われる。既設床版貫通孔部形成工程は、本実施形態の防護柵の設置方法における床版貫通孔部形成工程に相当する。既設床版貫通孔部22hは、既設の床版22の上面の舗装28も上下に貫通している。
【0035】
既設床版貫通孔部形成工程において、既設床版貫通孔部22hの形成は、既設の床版22の上面から削孔することにより行われるが、例えば、既設の床版22の下面からドリルビット等により削孔することによっても行われる。この場合、既設床版貫通孔部形成工程においては、道路50の路面上での作業は不要となる。したがって、既設床版貫通孔部形成工程及び既設の床版22に対する床版貫通孔部形成工程の作業中に、車線51,52を車両Vの通行のために供用できる。
【0036】
既設の床版22の下面からの削孔によって既設床版貫通孔部22hが形成される場合は、例えば、既設床版貫通孔部22hが形成される部位の舗装28の上面にロードコーン等を設置することにより、車両Vの通行が規制されてもよい。また、既設の床版22の下面からのドリルビットによる削孔によって既設床版貫通孔部22hが形成される場合は、ドリルビットの先端が舗装28の上面に突出しないように、必要に応じて、既設床版貫通孔部22hが形成される部位の舗装28の上面に鉄板等が敷設されてもよい。
【0037】
図1(C)に示されるように、最初に架け替えられる既設の床版21から壁高欄42が撤去される。
図1(C)、
図1(D)、
図2(A)、
図2(B)及び
図2(C)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、既設床版貫通孔部形成工程で既設床版貫通孔部22hが形成された既設の床版22の舗装28上に一部の車線52を区画する防護柵部10Aが配置され、既設床版貫通孔部22hに挿通された固定部材30により既設の床版22の舗装28上に防護柵部10Aが固定される既設床版防護柵部固定工程が行われる。既設床版防護柵部固定工程は、本実施形態の防護柵の設置方法における防護柵部固定工程に相当する。
【0038】
より具体的には、
図2(B)及び
図2(C)に示されるように、固定部材30は、防護柵部10Aの下方に突出した棒材31と、棒材31に嵌合する締結部材32とからなる。例えば、棒材31はボルト、つまり、雄ネジが形成された棒材、及び雄ネジが形成された棒材と頭部からなる部材であり、締結部材32は例えば、ナットである。
図1(C)に示されるように、既設床版防護柵部固定工程では、防護柵部10Aは架設機等の揚重機が用いられ鉛直方向に釣り降ろされ、床版貫通孔部形成工程により形成された既設床版貫通孔部22hに棒材31が挿通され、床版22の舗装28上に防護柵部10Aが配置される。また、
図1(D)、
図2(A)、
図2(B)及び
図2(C)に示されるように、既設床版防護柵部固定工程では、床版22に防護柵部10Aが配置された後に、床版22の下面からの作業により、既設床版貫通孔部22hに挿通された棒材31に締結部材32を嵌合させることにより床版22の舗装28上に防護柵部10Aが固定される。
【0039】
なお、既設床版防護柵部固定工程では、支圧面積を確保するために、床版22の下面に当接する当接面と棒材31が挿通する挿通孔部とを有する下部プレートを適用してもよい。既設床版防護柵部固定工程では、既設床版貫通孔部22hに挿通された棒材31が下部プレートの挿通孔部にさらに挿通されるように棒材31に下部プレートを取り付けてから、棒材31に締結部材32を嵌合させ、下部プレートを介して締結部材32により防護柵部10Aを固定してもよい。これにより、支圧面積を増大できる。
【0040】
以下、本実施形態の既設の床版22に防護柵部10Aが固定された防護柵1Aについて説明する。
図2(A)、
図2(B)及び
図2(C)に示されるように、本実施形態の防護柵1Aは、床版21,22により形成された道路50を区画する。防護柵1Aは、既設の床版22と、道路50を区画する防護柵部10Aと、床版22を上下に貫通する既設床版貫通孔部22h(床版貫通孔部20h)と、既設床版貫通孔部22hに挿通され、床版22に防護柵部10Aを固定する固定部材30(棒材31及び締結部材32)とを備える。
【0041】
防護柵部10Aは鋼製である。防護柵部10Aは、支柱11A、ビーム12A、支柱ベースプレート13A、補強リブ14A及び防護プレート15を有する。支柱11Aは、床版22の上面の舗装28から床版22の上面に直交する方向に延在する。支柱11Aは、道路50の進行方向に沿って延在するビーム12Aをビーム12Aの下方から支持する。支柱ベースプレート13Aは、床版22の上面に平行な方向に延在する鋼板である。支柱ベースプレート13Aは、支柱11Aの下端で支柱11Aと一体化し、支柱11Aを床版22に固定する。
【0042】
支柱ベースプレート13Aは、支柱ベースプレート13Aを上下に貫通するプレート孔部13hを含む。プレート孔部13hは、その内周面に固定部材30の棒材31であるボルトのネジ溝に対応したネジ溝を含む。上述した既設床版防護柵部固定工程においては、棒材31であるボルトは、予めプレート孔部13hに螺入されることにより防護柵部10Aと一体化され、防護柵部10Aの支柱ベースプレート13Aの下方に突出した状態で架設機等により運搬及び配置される。
【0043】
したがって、既設床版貫通孔部22hに棒材31が挿通され、床版22に防護柵部10Aが配置された直後であって、棒材31に締結部材32が嵌合される前においても、防護柵部10Aは横方向にずれないように床版22に配置される。この状態では、防護柵部10Aは、例えば、国土交通省による防護柵の設置基準におけるA種の防護柵として機能する。したがって、床版22に防護柵部10Aが配置された直後であって、棒材31に締結部材32が嵌合される前においても、床版22により形成される車線52を車両Vの通行のために供用できる。
【0044】
また、棒材31の直径よりも既設床版貫通孔部22hの内径は十分に大きい。棒材31に締結部材32が嵌合された状態では、既設床版貫通孔部22hに挿通された棒材31の外周面と既設床版貫通孔部22hの内周面とは非接触にされることが好ましい。非接触とすることで、棒材31に締結部材32が嵌合させられた状態では、防護柵部10Aは、支柱ベースプレート13Aと床版22との摩擦力により床版22に定着され、固定される。棒材31に締結部材32が嵌合させられた状態では、防護柵部10Aは、例えば、国土交通省による防護柵の設置基準におけるSB種の防護柵として機能する。
【0045】
支柱11Aの車線51側の側面及び車線52側の側面の下部と、支柱ベースプレート13Aとの間には、一対の補強リブ14Aが設けられている。ビーム12Aの下方であって、支柱11Aの車線51側の側面及び車線52側の側面には、床版22の上面に直交する方向及び道路50の進行方向に沿って延在する一対の防護プレート15が取り付けられている。
【0046】
以上の防護柵1Aにより区画された車線52が車両Vの通行のために供用され、
図1(E)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、既設床版防護柵部固定工程で防護柵部10Aが固定された既設の床版22の車線52を除いた他の車線51において、既設の床版21を撤去する第1次既設床版撤去工程が行われ、完了する。
【0047】
次に、
図1(F)、
図3(A)、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、第1次既設床版撤去工程で既設の床版21が撤去された車線51に、複数のプレキャスト床版25を配置する第1次床版新設工程が行われる。第1次床版新設工程は、本実施形態の防護柵の設置方法における床版新設工程に相当する。
【0048】
図1(F)、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法の第1次床版新設工程では、複数のプレキャスト床版25が車線51の進行方向に間を空けて並べて配置される。
図3(A)、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、第1次床版新設工程では、複数のプレキャスト床版25が他の車線51の進行方向に間を空けて並べて配置された後に、複数のプレキャスト床版25の間に間詰コンクリート27が現場打設される。
【0049】
第1次床版新設工程では、間詰コンクリート27が現場打設されるときに、間詰コンクリート27を上下に貫通する間詰コンクリート貫通孔部27h(床版貫通孔部20h)が形成される。したがって、上述した既設床版貫通孔部形成工程と同様に、第1次床版新設工程は、本実施形態の防護柵の設置方法における床版貫通孔部形成工程に相当する。間詰コンクリート貫通孔部27hの形成は、例えば、間詰コンクリート27が現場打設されるときに、間詰コンクリート貫通孔部27hの形状に対応したボイド管が型枠として配置されることによって行われる。プレキャスト床版25及び間詰コンクリート27の上には、壁高欄43が設置され、舗装28が形成され、第1次床版新設工程が完了する。
【0050】
以上の第1次床版新設工程により、道路50の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版25と、複数のプレキャスト床版25の間に現場打設された間詰コンクリート27とを有する床版23が車線51に新設される。第1次既設床版撤去工程の作業中も、車線52は車両Vの通行のために供用される。
【0051】
図3(B)、
図3(C)、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、第1次床版新設工程で新設された床版23に防護柵部10Aを固定する新設床版防護柵部固定工程が行われる。上述した既設床版防護柵部固定工程と同様に、新設床版防護柵部固定工程は、本実施形態の防護柵の設置方法における防護柵部固定工程に相当する。
【0052】
新設床版防護柵部固定工程では、既設床版防護柵部固定工程で既設の床版22に固定された防護柵部10Aと既設の床版22との固定部材30(棒材31及び締結部材32)による固定が解除される。具体的には、締結部材32であるナットが棒材31であるボルトから取り外される。
【0053】
新設床版防護柵部固定工程では、床版新設工程で間詰コンクリート貫通孔部27hが形成された間詰コンクリート27及び複数のプレキャスト床版25の舗装28上に防護柵部10Aが移動され、配置される。上述した既設床版防護柵部固定工程と同様に、新設床版防護柵部固定工程では、棒材31であるボルトは、プレート孔部13hに螺入されて防護柵部10Aと一体化された状態で、防護柵部10Aの支柱ベースプレート13Aの下方に突出した状態で架設機等により運搬及び配置される。
【0054】
新設床版防護柵部固定工程では、第1次床版新設工程で形成された間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通された固定部材30(棒材31)により間詰コンクリート27及び複数のプレキャスト床版25の舗装28上に防護柵部10Aが固定される。上述した既設床版防護柵部固定工程と同様に、新設床版防護柵部固定工程では、床版23に防護柵部10Aが配置された後に、床版23の下面からの作業により、間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通された棒材31に締結部材32を嵌合することにより床版23に防護柵部10Aが固定される。
【0055】
なお、既設床版防護柵部固定工程と同様に、新設床版防護柵部固定工程でも、支圧面積を確保するために、プレキャスト床版25の下面に当接する当接面と棒材31が挿通する挿通孔部とを有する下部プレートを適用してもよい。新設床版防護柵部固定工程では、間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通された棒材31が下部プレートの挿通孔部にさらに挿通されるように棒材31に下部プレートを取り付けてから、棒材31に締結部材32を嵌合させ、下部プレートを介して締結部材32により防護柵部10Aを固定してもよい。
【0056】
上述した既設床版防護柵部固定工程と同様に、間詰コンクリート貫通孔部27hに棒材31が挿通され、床版23に防護柵部10Aが配置された直後であって、棒材31に締結部材32が嵌合される前においても、防護柵部10Aは横方向にずれないように床版23に配置される。この状態では、防護柵部10Aは、例えば、国土交通省による防護柵の設置基準におけるA種の防護柵として機能する。したがって、床版23に防護柵部10Aが配置された直後であって、棒材31に締結部材32が嵌合される前においても、床版23により形成される車線51を車両Vの通行のために供用できる。
【0057】
また、上述した既設床版防護柵部固定工程と同様に、棒材31の直径よりも間詰コンクリート貫通孔部27hの内径は十分に大きい。棒材31に締結部材32が嵌合された状態では、間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通された棒材31の外周面と間詰コンクリート貫通孔部27hの内周面とは非接触にされることが好ましい。非接触とすることで、棒材31に締結部材32が嵌合された状態では、防護柵部10Aは、支柱ベースプレート13Aと床版23(間詰コンクリート27)との摩擦力により床版23に定着され、固定される。
【0058】
これにより、車両Vの通行のために供用されている車線51の交通振動及び防護柵部10Aへの車両Vの接触時の荷重等に対する間詰コンクリート27の品質が担保される。棒材31に締結部材32が嵌合させられた状態では、防護柵部10Aは、例えば、国土交通省による防護柵の設置基準におけるSB種の防護柵として機能する。新設床版防護柵部固定工程の後に、床版22が床版21に次いで架け替えられ、新設された床版23は床版22の架け替えの作業中に車両Vの通行のために供用される。
【0059】
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示されるように、本実施形態の新設された床版23に防護柵部10Aが固定された防護柵1Aは、床版23と、道路50を区画する防護柵部10Aと、床版23を上下に貫通する間詰コンクリート貫通孔部27h(床版貫通孔部20h)と、間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通され、床版に防護柵部10Aを固定する固定部材30(棒材31及び締結部材32)とを備える。床版23は、道路50の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版25と、複数のプレキャスト床版25の間に現場打設された間詰コンクリート27とを有し、間詰コンクリート貫通孔部27hは、間詰コンクリート27に形成されている。
【0060】
以上の防護柵1Aにより区画された車線51が車両Vの通行のために供用され、
図3(D)に示されるように、本実施形態の床版の架け替え工法において、新設床版防護柵部固定工程の後に、車線52における既設の床版22を撤去する第2次既設床版撤去工程が行われる。次に、
図3(E)に示されるように、防護柵1Aにより区画された車線51が車両Vの通行のために供用され、本実施形態の床版の架け替え工法において、第2次既設床版撤去工程で既設の床版22が撤去された車線52に、複数のプレキャスト床版26を配置する第2次床版新設工程が行われる。
【0061】
第2次床版新設工程では、
図3(F)に示されるように、第1次床版新設工程で配置されたプレキャスト床版25と、第2次床版新設工程で配置されたプレキャスト床版26と連通する孔部に緊張材44を挿通し、緊張材44によりプレキャスト床版25及びプレキャスト床版26に緊張力を付与する緊張工程が行われる。また、第2次床版新設工程では、
図3(G)に示されるように、複数のプレキャスト床版26の間に間詰コンクリート27が現場打設される。以上の第2次床版新設工程により、道路50の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版26と、複数のプレキャスト床版26の間に現場打設された間詰コンクリート27とを有する床版24が車線52に新設される。床版24に壁高欄43が設置され、床版24上に舗装28が形成される。
【0062】
なお、
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、第2次床版新設工程では、車線52にプレキャスト床版26が配置されてから緊張工程が終了するまでの間に、架設治具70により、第1次床版新設工程で配置されたプレキャスト床版25と第2次床版新設工程で配置されたプレキャスト床版26とが連結されてもよい。架設治具70は、プレキャスト床版25の上面とプレキャスト床版26の上面とに跨って当接する上側当接部材71と、プレキャスト床版25の下面とプレキャスト床版26の下面とに跨って当接する下側当接部材72と、上側当接部材71と下側当接部材72とを締結する一対の締結部材(クランプ)73とを備えている。架設治具70により、車線52に配置されたプレキャスト床版26と、車両Vの通行のために供用されて振動する車線51のプレキャスト床版25とが緊張工程が終了するまでの間も連結される。このため、プレキャスト床版25,26の変位を抑制して、施工の精度を向上できる。
【0063】
架設治具70によりプレキャスト床版25,26が連結される場合は、例えば、第1次床版新設工程では、架設治具70が配置されるスペースを確保するために、プレキャスト床版25の車線52との境界から100~200mm内側の部位には、間詰コンクリート27が打設されず、舗装28が形成されなくてもよい。新設床版防護柵部固定工程では、
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)と同様に、間詰コンクリート27及び複数のプレキャスト床版25の舗装28上に防護柵部10Aが固定されてもよい。
【0064】
また、
図5(A)及び
図5(B)に示されるように、架設治具70によりプレキャスト床版25,26が連結される場合は、例えば、第1次床版新設工程では、架設治具70が配置されるスペースを確保するために、プレキャスト床版25の車線52との境界から100~200mm内側の部位には間詰コンクリート27が打設されないことに加えて、防護柵部10Aが配置されるスペースを確保するために、プレキャスト床版25の車線52との境界から200~400mm内側の部位には舗装28が形成されなくてもよい。新設床版防護柵部固定工程では、防護柵部10Aは、プレキャスト床版25の舗装28が形成されていない部位に、舗装28の上面に対して防護柵部10Aが適切な高さとなるように、高さ調整材60を介して固定される。
【0065】
また、
図6(A)及び
図6(B)に示されるように、架設治具70によりプレキャスト床版25,26が連結され、第1次床版新設工程では、プレキャスト床版25の車線52との境界から100~200mm内側の部位には間詰コンクリート27が打設されず、プレキャスト床版25の車線52との境界から200~400mm内側の部位には舗装28が形成されない場合は、例えば、新設床版防護柵部固定工程では、防護柵部10Aは、プレキャスト床版25の舗装28が形成されていない部位に直接に固定されてもよい。防護柵部10Aがプレキャスト床版25の舗装28が形成されていない部位に直接に固定される場合には、舗装28の厚さに対応して防護柵部10Aの高さを高くしてもよい。
【0066】
なお、上記の第1次床版新設工程で間詰コンクリート27が打設されず、舗装28が形成されなかったプレキャスト床版25の部位は、後の工程で間詰コンクリート27が打設され、舗装28が形成される。
【0067】
図3(G)に示されるように、床版23から防護柵部10Aを撤去する防護柵部撤去工程が行われる。防護柵部撤去工程では、床版23に固定された防護柵部10Aと床版23との固定部材30(棒材31及び締結部材32)による固定が解除される。具体的には、締結部材32であるナットが棒材31であるボルトから取り外される。防護柵部10Aが架設機等により撤去された後に、間詰コンクリート貫通孔部27hには、モルタル等の充填材が充填される。床版23,24が新設された車線51,52が再び車両Vの通行のために供用される。以上のようにして、本実施形態の床版の架け替え工法は完了する。
【0068】
その他に、仮設の防護柵が道路に設置される技術では、床版の上面に打ち込まれたアンカーにより、鉄筋コンクリート製又は鋼製の仮設の防護柵が床版に固定される方法もある。しかし、この方法では、アンカーは、車両の接触により防護柵が倒れることを防止するために、車両の通行のために供用される車線の側に打ち込まれる必要がある。そのため、従来の技術では、まず、車両の通行のために供用される車線と交通規制がなされる車線との間に第1の仮設の防護柵が既設の床版に置かれる。次に、第1の仮設の防護柵の交通規制がなされている車線の側に、アンカーにより固定される第2の仮設の防護柵が配置される。
【0069】
ここで、車両の通行のために供用されていた車線に交通規制がなされ、交通規制がなされていた車線が車両の通行のために供用される。この状態で、第2の仮設の防護柵の交通規制がなされている車線の側に床版の上面にアンカーが打ち込まれ、仮設の防護柵が床版に固定される。第1の仮設の防護柵が撤去される。第2の仮設の防護柵のアンカーが打ち込まれた側とは反対側の車両の通行のために供用されていた車線に再び交通規制がなされ、第2の仮設の防護柵のアンカーが打ち込まれた側の交通規制がなされていた車線が再び車両の通行のために供用される。この状態で、初めて、交通規制がなされた車線の床版の架け替えが行われる。
【0070】
つまり、アンカーを打ち込む作業は、車両の通行のために供用される車線の側に打ち込まれる必要があるが、当該作業を行うためには当該車線に交通規制をする必要がある。したがって、従来の技術では、仮設の防護柵の設置のためには、車両の通行のために供用される車線と交通規制がなされる車線とを2回切り替える必要がある。また、車両の通行のために供用される車線の側に打ち込まれたアンカーを撤去する作業も、当該作業を行うためには当該車線に交通規制をなす必要がある。したがって、従来の技術では、仮設の防護柵の撤去のためにも、車両の通行のために供用される車線と交通規制がなされる車線とを2回切り替える必要がある。このため、従来の技術では、仮設の防護柵の設置及び撤去に係る交通規制期間が長くなる。
【0071】
また、この方法では、上記のように、2つの仮設の防護柵を設置する必要がある。また、道路の幅方向における従来の個々の仮設の防護柵の幅は、床版の上面に打ち込まれるアンカーにより防護柵が床版に固定されるため、道路の幅方向における防護柵の幅を大きくする必要がある。このため、この方法では、仮設の防護柵の設置及び撤去に係る交通規制範囲が大きい。さらに、この方法では、新設されたプレキャスト床版に対してアンカー孔が削孔されることになり、新設されたプレキャスト床版の耐久性が低下している。また、この方法では、仮設の防護柵はアンカーにより床版に定着されているため、車両の通行のために供用されている車線の交通振動及び防護柵への車両の接触時の荷重等に対する防護柵の定着部の品質が低い。
【0072】
一方、好ましくは本実施形態によれば、床版21,22,23,24により形成された道路50を区画する防護柵1Aにおいて、床版22,23と、道路50を区画する防護柵部10Aと、床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hと、床版貫通孔部20hに挿通され、床版22,23に防護柵部10を固定する固定部材30とを備える。床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hに挿通されて床版22,23に防護柵部10Aを固定する固定部材30により、床版22,23に防護柵部10Aが固定されるため、従来の床版の上から打ち込まれたアンカーにより仮設の防護柵が床版に固定される技術に比べて、床版22,23に防護柵部10Aを固定するために必要な作業のより多くを床版22,23の下面からの作業にできる。したがって、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、床版の架け替え工法において、交通規制期間が短縮された既設床版貫通孔部形成工程及び既設床版防護柵部固定工程の後には、防護柵部10Aで区画された一部の車線52を車両Vの通行のために供用しつつ、他の車線51における既設の床版22を撤去する第1次既設床版撤去工程と、他の車線51にプレキャスト床版25を配置する第1次床版新設工程とが行われるため、道路50を車両Vの通行のために供用できる期間をより長くできる。
【0074】
また、本実施形態によれば、床版の架け替え工法において、新設床版防護柵部固定工程では、既設床版防護柵部固定工程で既設の床版22に固定された防護柵部10Aと既設の床版22との固定部材30による固定が解除され、床版新設工程で間詰コンクリート貫通孔部27hが形成された間詰コンクリート27及び複数のプレキャスト床版25に防護柵部10Aが移動され、配置され、床版新設工程で形成された間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通された固定部材30により間詰コンクリート27及び複数のプレキャスト床版25に防護柵部10Aが固定されるため、防護柵部10Aを既設の床版22から移動させてからプレキャスト床版25に設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0075】
また、交通規制期間が短縮された新設床版防護柵部固定工程の後には、防護柵部10Aで区画された車線51を車両の通行のために供用しつつ、車線52における既設の床版22を撤去する第2次既設床版撤去工程と、車線52にプレキャスト床版26を配置する第2次床版新設工程とが行われるため、道路50を車両Vの通行のために供用できる期間をより長くできる。
【0076】
また、本実施形態によれば、仮設の防護柵の設置及び撤去のために、車両の通行のために供用される車線と交通規制がなされる車線とを切り替える必要が無い。このため、本実施形態によれば、当該車線の切り替えの期間についても、仮設の防護柵の設置及び撤去に係る交通規制期間を短縮できる。
【0077】
また、本実施形態によれば、2つの仮設の防護柵を設置する必要がない。また、道路の幅方向における本実施形態の防護柵部10Aの幅は、床版貫通孔部20hに挿通された固定部材30により床版22,23に防護柵部10Aが固定されるため、従来の仮設の防護柵に比べて狭くできる。このため、本実施形態によれば、仮設の防護柵の設置及び撤去に係る交通規制範囲を縮小できる。
【0078】
また、本実施形態の防護柵1Aによれば、道路50の進行方向に間を空けて並べられた複数のプレキャスト床版25と複数のプレキャスト床版25の間に現場打設された間詰コンクリート27とを有する床版23において、間詰コンクリート貫通孔部27hは間詰コンクリート27に形成されており、床版23を主に構成するプレキャスト床版25には孔が設けられていないため、床版23の耐久性が向上する。
【0079】
つまり、本実施形態では、新設されたプレキャスト床版25に対してアンカー孔が削孔されることがなく、新設されたプレキャスト床版25の高い耐久性を担保できる。また、本実施形態では、防護柵部10Aは、支柱ベースプレート13Aと床版23との摩擦力により床版23に定着される。このため、車両Vの通行のために供用されている車線51の交通振動及び防護柵部10Aへの車両Vの接触時の荷重等に対する防護柵部10Aの定着部の品質が担保される。
【0080】
また、本実施形態では、床版22,23の上面でのアンカーの定着等の作業がない。したがって、防護柵部10Aの設置時及び撤去時における作業の安全性が確保される。また、本実施形態では、防護柵部10Aは鋼製であるため、従来の鉄筋コンクリート製の防護柵に比べて防護柵部10Aは軽量である。したがって、既設の床版21及び床版22に二分割され、片持ち状態になる既設の床版22に防護柵部10Aが設置される場合においても、既設の床版22の補強を要さず、既設の床版22への影響を低減できる。また、本実施形態の防護柵部10Aは、床版貫通孔部20hに挿通された固定部材30により床版22,23に防護柵部10Aが固定される単純な構造であるため、従来の仮設の防護柵に比べて安価にできる。
【0081】
また、本実施形態の防護柵の設置方法によれば、床版新設工程により、既設のものに替えて複数のプレキャスト床版25が道路50の進行方向に間を空けて並べて配置された後に、複数のプレキャスト床版25の間に間詰コンクリート27が現場打設される。床版貫通孔部形成工程では、床版新設工程で間詰コンクリート27を現場打設するときに、間詰コンクリート27に間詰コンクリート貫通孔部27hが形成される。このため、間詰コンクリート27の現場打設と間詰コンクリート貫通孔部27hの形成とを一緒に行うことができ、間詰コンクリート貫通孔部27hの形成が容易となる。
【0082】
また、本実施形態の防護柵の設置方法によれば、固定部材30は、防護柵部10Aの下方に突出した棒材31と、棒材31に嵌合する締結部材32とからなり、防護柵部固定工程では、床版貫通孔部形成工程により形成された床版貫通孔部20hに棒材が挿通され、床版22,23に防護柵部10Aが配置される。このため、床版22,23に防護柵部10Aが配置された直後に、防護柵部10Aは横方向にずれないように床版22,23に配置される。また、防護柵部固定工程では、床版貫通孔部20hに挿通された棒材31に締結部材32が嵌合されることにより床版22,23に防護柵部10Aが固定される。このため、防護柵部固定工程では、床版22,23に防護柵部10Aを固定するために必要な作業のさらに多くを床版22,23の下面からの作業にできる。したがって、防護柵部10Aを設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0083】
以下、本発明の第2実施形態に係る防護柵について説明する。
図7(A)、
図7(B)及び
図7(C)に示されるように、本実施形態の防護柵1Bは、上記第1実施形態の防護柵部10Aに替えて防護柵部10Bを備える。防護柵部10Bは、支柱11Aの上端部に下方から支持され、道路50の進行方向に沿って延在するビーム12Bを備える。また、防護柵部10Bは、支柱11Aの高さ方向の中間の2箇所の位置において、支柱11Aの車線51側の側面及び車線52側の側面に、道路50の進行方向に沿って延在するビーム12Cを備える。
【0084】
防護柵部10Bは、上記第1実施形態の防護柵部10Aの防護プレート15に替えて、ネット18を備える。ネット18は、支柱11Aの道路50の進行方向側及び道路50の進行方向とは反対側の側面の中央部と、ビーム12Bの下面の中央部と、支柱ベースプレート13Aの上面の中央部とにより支持される。ネット18は、床版23の上面に直交する方向及び道路50の進行方向に沿って延在する。ネット18は、金属製又は合成樹脂製である。
【0085】
本実施形態では、防護柵部10Bは防護プレート15に替えてネット18を備えるため、道路50上の風による荷重に対する耐久性を向上できる。
【0086】
以下、本発明の第3実施形態に係る防護柵について説明する。
図8(A)、
図8(B)及び
図8(C)に示されるように、本実施形態の防護柵1Cは、上記第1実施形態の防護柵部10Aに替えて防護柵部10Cを備える。防護柵部10Cは、車両Vの通行のために供用されている車線51側と床版22の架け替えの作業が行われる車線52側との両方の防護プレート15において、支柱ベースプレート13Aの近傍で開口した開口部16Aを含む。
【0087】
本実施形態では、例えば、新設床版防護柵部固定工程において、棒材31であるボルトがプレート孔部13hに予め螺入されていなくとも、防護柵部10Bが床版23に配置された後に、床版22の架け替えの作業が行われる車線52側から作業員が開口部16Aに手を入れて作業をすることにより、車線51を車両Vの通行のために供用しつつ、棒材31をプレート孔部13h及び間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通できる。
【0088】
図8(D)に示されるように、防護柵部10Cが床版23に配置された後に、棒材31がプレート孔部13h及び間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通されるまでの期間は、キャスター等により床版22上を移動可能な仮設補強材17によって、防護柵部10Cが車両Vの接触等により床版22側にずれることが防止されてもよい。防護柵部10Cに接触した車両Vの誘導性の観点から必要な場合は、車両Vの通行のために供用されている車線51側の防護プレート15の開口部16Aが、脱着可能な鋼板で封鎖されてもよい。
【0089】
本実施形態の防護柵部10Cは、既設床版防護柵部固定工程においても適用できる。この場合、既設床版貫通孔部形成工程では、国土交通省による防護柵の設置基準におけるA種の防護柵として、防護柵部10Cが本来の既設の床版22への配置位置から既設の床版21側にずらされて配置された後に、防護柵部10Cの床版22側で既設床版貫通孔部22hが形成されてもよい。
【0090】
以下、本発明の第4実施形態に係る防護柵について説明する。
図9(A)、
図9(B)及び
図9(C)に示されるように、本実施形態の防護柵1Dは、上記第1実施形態の防護柵部10Aに替えて防護柵部10Dを備える。防護柵部10Dは、鉄筋コンクリート製であり、ビーム12A及び防護プレート15を有しない。防護柵部10Dは、支柱11B、支柱ベースプレート13B、補強リブ14B及び開口部16Bを有する。支柱11Bは、先端部が防護柵部10Dの鉄筋コンクリートに埋設された鋼管である。支柱ベースプレート13Bは、上記第1実施形態の支柱ベースプレート13Aと同様の鋼板であり、プレート孔部13hを含む。補強リブ14Bは、上記第1実施形態の補強リブ14Aと同様である。
【0091】
開口部16Bは、支柱ベースプレート13Bの近傍で、車両Vの通行のために供用されている車線51側と床版22の架け替えの作業が行われる車線52側との間を貫通する貫通孔部である。開口部16Bは、上記第3実施形態の開口部16Aと同様の機能を発揮する。上記第3実施形態と同様に、防護柵部10Cに接触した車両Vの誘導性の観点から必要な場合は、開口部16Bの車両Vの通行のために供用されている車線51側が、脱着可能な鋼板で封鎖されてもよい。
【0092】
なお、本実施形態の防護柵部10Dは鉄筋コンクリート製であり、上記第1実施形態の鋼製の防護柵部10Aに比べて重い。そのため、棒材31であるボルトがプレート孔部13hに予め螺入されておらず、防護柵部10Dが床版23に配置された後に、棒材31がプレート孔部13h及び間詰コンクリート貫通孔部27hに挿通されるまでの期間であっても、第2実施形態のような仮設補強材17を要さずに、防護柵部10Bが車両Vの接触等により床版22側にずれることを防止できる。
【0093】
以下、本発明の第5実施形態に係る防護柵及び防護柵の設置方法について説明する。
図10(A)、
図10(B)及び
図10(C)に示されるように、本実施形態の防護柵1Eは、上記第1実施形態の防護柵部10Aに替えて、防護柵1Eにより区画される道路50の車線51,52に沿って延在する第1防護柵部10eと、第1防護柵部10eに連続して車線51,52に沿って延在する第2防護柵部10Eとを備える。本実施形態では、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとは同じ構成を有する。
【0094】
図10(A)、
図10(B)、
図10(C)、
図11(A)、
図11(B)及び
図11(C)に示されるように、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとを接続する接続部19Aは、垂直視して一方に凸部19a、他方に凹部19bを有し、凸部19a及び凹部19bは互いに嵌合可能である。また、凸部19a及び凹部19bには、車線51,52に沿った方向の移動を制限する係止部19x,19yを有する。
【0095】
本実施形態では、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとは同じ構成を有するため、第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eは、一方の接続部19Aに凸部19aを有し、他方の接続部19Aに凹部19bを有する。なお、例えば、第1防護柵部10eが両方の接続部19Aに凸部19a及び凹部19bのいずれか一方を有し、第2防護柵部10Eが両方の接続部19Aに凸部19a及び凹部19bのいずれか他方を有していてもよい。
【0096】
第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eは、支柱11C、ビーム12D、ビーム12E及び支柱ベースプレート13Cを有する。ビーム12Dは、2本の支柱11Cの上端部に下方から支持され、道路50の進行方向に沿って延在する。ビーム12Eは、2本の支柱11Cの高さ方向の中間の2箇所の位置において、支柱11Cの車線51側の側面及び車線52側の側面で道路50の進行方向に沿って延在する。ビーム12D,12Eの両方の端部は、垂直視して支柱11Cから離隔した同じ位置に位置している。支柱ベースプレート13Cは、上記第1実施形態の支柱ベースプレート13Aと同様の鋼板であり、プレート孔部13hを含む。
【0097】
第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eは、一方の接続部19Aに嵌合縦材19vを有する。嵌合縦材19vは、ビーム12の上端から、上側の2本のビーム12Eの間及び下側の2本のビーム12Eの間を通り、下側のビーム12Eの下端まで上下方向に延在している。嵌合縦材19vは、垂直視してビーム12D,12Eの端部からその一部が突出している。嵌合縦材19vのビーム12D,12Eの端部から突出した部位は、凸部19aを形成する。垂直視して凸部19aの先端の車線51側の側面及び車線52側の側面には、突起が突出している。突起は、凸部19aを形成する嵌合縦材19vの上下方向の全範囲で突出している。突起は、係止部19xを形成する。
【0098】
第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eは、他方の接続部19Aのビーム12D,12Eに、垂直視して凸部19aの形状に対応した切り欠きを有する。切り欠きは凹部19bを形成する。垂直視して切り欠きは車線51,52に交差する横方向にさらに窪み係止部19xの突起を収容可能な部位を含む。切り欠きの車線51,52に交差する横方向に窪んだ部位は、係止部19yを形成する。凸部19a及び凹部19bは、上下方向に延在する面により構成されている。凸部19aと凹部19bとは、上下方向に延在する面が互いに接するように対向して、互いに嵌合する。互いに嵌合した凸部19aと凹部19bとは、上下方向に互いに摺動可能であり、車線51,52に交差する横方向への移動を互いに制限する。
【0099】
係止部19xは、車線51,52に交差する横方向に突出している。係止部19yは、車線51,52に交差する横方向に窪んでいる。係止部19xと係止部19yとが互いに係合することにより、互いに嵌合した凸部19aと凹部19bとは、互いに離隔する方向への移動を互いに制限する。したがって、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eは接続部19Aで互いに嵌合する。
【0100】
また、本実施形態の防護柵1Eは、上記第1実施形態と同様に、床版23を上下に貫通する床版貫通孔部20hと、第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eの下方に突出した棒材31からなり、床版貫通孔部20hに挿通され、床版23に第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを固定する固定部材30とを備える。床版貫通孔部20hは、上記第1実施形態の防護柵1Aと同様に、間詰コンクリート貫通孔部27hである。本実施形態の防護柵1Eは、上記第1実施形態の防護柵1Aと同様に、床版22及び床版23のいずれにも適用できる。
【0101】
本実施形態の防護柵の設置方法では、
図11(C)に示されるように、上記第1実施形態の床版の架け替え工法における既設床版防護柵部固定工程及び新設床版防護柵部固定工程において、防護柵1Eにより区画される道路50の車線51,52に沿って延在するように第1防護柵部10eを設置する第1防護柵部設置工程が行われる。また、第1防護柵部設置工程で設置された第1防護柵部10eに連続して車線51,52に沿って延在するように第2防護柵部10Eを設置する第2防護柵部設置工程が行われる。
【0102】
第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程では、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとを接続する接続部19Aは、垂直視して一方に凸部19a、他方に凹部19bを有し、凸部19a及び凹部19bは嵌合可能である第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを設置する。
図11(C)に示されるように、第2防護柵部設置工程では、凸部19aと凹部19bとを互いに嵌合させ、互いに嵌合した凸部19aと凹部19bとにより、第1防護柵部設置工程で設置された第1防護柵部10eに対して架設機等の揚重機が用いられ第2防護柵部10Eを鉛直方向に吊り降ろし下方に摺動させて、第2防護柵部10Eを設置する。
【0103】
第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程では、凸部19a及び凹部19bには、車線51,52に沿った方向の移動を制限する係止部19x,19yを有する第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを設置する。第2防護柵部設置工程では、係止部19xと係止部19yとを互いに係合させつつ凸部19aと凹部19bとを互いに嵌合させ、互いに嵌合した凸部19a及び凹部19bの互いに離隔する方向への移動を互いに制限しつつ、第1防護柵部設置工程で設置された第1防護柵部10eに対して第2防護柵部10Eを下方に摺動させて、第2防護柵部10Eを設置する。
【0104】
第1防護柵部設置工程では、床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hを有する床版22,23に、第1防護柵部10eの下方に突出した棒材31からなり、床版22,23に第1防護柵部10eを固定する固定部材30を有する第1防護柵部10eを、床版貫通孔部20hに棒材31を挿通させつつ設置する。第2防護柵部設置工程では、床版貫通孔部20hを有する床版22,23に、第2防護柵部10Eの下方に突出した棒材31からなり、床版22,23に第2防護柵部20Eを固定する固定部材30を有する第2防護柵部20Eを、床版貫通孔部20hに棒材31を挿通させつつ設置する。
【0105】
第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程で新設される床版23に第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを設置する場合には、第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部設置工程では、間詰コンクリート貫通孔部27hに棒材31を挿通させつつ第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを設置する。
【0106】
図11(C)において、第2防護柵部設置工程で設置された第2防護柵部10Eに連続して道路50の車線51,52に沿って延在するように、上記と同様の第2防護柵部設置工程により第2防護柵部10Eを設置することを繰り返すことにより、道路50の車線51,52に沿って連続して延在する第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを設置することができる。なお、状況によっては、例えば、第1防護柵部設置工程で道路50の車線51,52に沿って互いに第2防護柵部10Eに相当する間隔を隔てて設置された2つの第1防護柵部10eの間に、第1防護柵部10eのそれぞれに連続して道路50の車線51,52に沿って延在するように、上記と同様の第2防護柵部設置工程により第2防護柵部10Eを設置してもよい。
【0107】
本実施形態によれば、床版22,23により形成された道路50を区画する防護柵1Eにおいて、防護柵1Eは、防護柵1Eにより区画される道路50の車線51,52に沿って延在する第1防護柵部10eと、第1防護柵部10eに連続して車線51,52に沿って延在する第2防護柵部10Eとを備えるが、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとを接続する接続部19Aは、垂直視して一方に凸部19a、他方に凹部19bを有し、凸部19a及び凹部19bは嵌合可能であるため、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとを接続することが容易であり、防護柵1Eを設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0108】
また、本実施形態によれば、凸部19a及び凹部19bには、車線51,52に沿った方向の移動を制限する係止部19x,19yを有するため、第1防護柵部10eと第2防護柵部10Eとを接続することが容易であり、防護柵1Eを設置するために要する交通規制期間を短縮できる。
【0109】
また、本実施形態によれば、床版22,23を上下に貫通する床版貫通孔部20hに挿通されて床版22,23に第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eを固定する固定部材30により、床版22,23に第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eが固定されるため、従来の床版の上面に打ち込まれたアンカーにより仮設の防護柵が床版に固定される技術に比べて、床版に防護柵部を固定するために必要な作業のより多くを床版の下面からの作業にできる。したがって、防護柵を設置するために要する交通規制期間を短縮できる。また、第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eは接続部19Aで嵌合して接続されているので、車線を逸脱する車両の衝撃にも耐える強度を有する。
【0110】
以下、本発明の第6実施形態に係る防護柵及び防護柵の設置方法について説明する。
図12(A)及び
図12(B)に示されるように、本実施形態の防護柵1Fは、上記第5実施形態の第1防護柵部10e及び第2防護柵部10Eに替えて、第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fを備える。本実施形態では、第1防護柵部10fと第2防護柵部10Fとは同じ構成を有する。
図12(A)、
図12(B)、
図13(A)、
図13(B)及び
図13(C)に示されるように、第1防護柵部10fと第2防護柵部10Fとを接続する接続部19Bは、垂直視して一方に凸部19m、他方に凹部19nを有し、凸部19m及び凹部19nは互いに嵌合可能である。
【0111】
ビーム12Dは、3本の支柱11Cの上端部に下方から支持され、道路50の進行方向に沿って延在する。ビーム12Eは、3本の支柱11Cの高さ方向の中間の2箇所の位置において、支柱11Cの車線51側の側面及び車線52側の側面で道路50の進行方向に沿って延在する。
【0112】
本実施形態では、第1防護柵部10fと第2防護柵部10Fとは同じ構成を有するため、第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fは、一方の接続部19Bに凸部19mを有し、他方の接続部19Bに凹部19nを有する。なお、例えば、第1防護柵部10fが両方の接続部19Bに凸部19m及び凹部19nのいずれか一方を有し、第2防護柵部10Fが両方の接続部19Bに凸部19m及び凹部19nのいずれか他方を有していてもよい。
【0113】
第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fは、一方の接続部19Bのビーム12Dの端部に、垂直視して長方形状に突出した凸部19mを有する。一方の接続部19Bの上側の2本のビーム12Eの端部の間及び下側の2本のビーム12Eの端部の間には、架橋部材19pが架け渡されている。第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fは、上側及び下側の架橋部材19pの端部に、垂直視して長方形状に突出した凸部19mを有する。
【0114】
また、第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fは、他方の接続部19Bのビーム12Dの端部に、垂直視して長方形状に窪んだ凹部19nを有する。他方の接続部19Bの上側の2本のビーム12Eの端部の間及び下側の2本のビーム12Eの端部の間には、架橋部材19qが架け渡されている。第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fは、上側及び下側の架橋部材19qの端部に、垂直視して長方形状に窪んだ凹部19nを有する。
【0115】
凸部19m及び凹部19nは、上下方向に延在する面により構成されている。凸部19mと凹部19nとは、上下方向に延在する面が互いに接するように対向して、互いに嵌合する。互いに嵌合した凸部19mと凹部19nとは、上下方向に互いに摺動可能であり、車線51,52に交差する横方向への移動を互いに制限する。
【0116】
なお、凸部19mは、例えば、垂直視して台形状等の長方形状以外の形状に突出していてもよい。また、凹部19nは、例えば、垂直視して台形状等の長方形状以外の形状に窪んでいてもよい。また、本実施形態の凸部19m及び凹部19nによる接続部19Bは、目違い継ぎ、蟻継ぎ、鎌継ぎ、両目違い鎌継ぎ、腰入れ目違い継ぎ、腰入れ目違い蟻継ぎ、腰入れ目違い鎌継ぎ、両目違い被せ鎌継ぎ、隠し目違い継ぎ、腰掛け蟻継ぎ、腰掛け鎌継ぎ、両目違い敷面鎌継ぎ、箱目違い継ぎ及び四方鎌継ぎのいずれかにより形成されていてもよい。
【0117】
また、本実施形態の凸部19m及び凹部19nは、上記第5実施形態の凸部19a及び凹部19bのような係止部19x,19yを有していないが、蟻継ぎ、鎌継ぎ、両目違い鎌継ぎ、腰入れ目違い蟻継ぎ、腰入れ目違い鎌継ぎ、両目違い被せ鎌継ぎ、腰掛け蟻継ぎ、腰掛け鎌継ぎ、両目違い敷面鎌継ぎ及び四方鎌継ぎのいずれかにより、互いに嵌合した凸部19mと凹部19nとは、互いに離隔する方向への移動を互いに制限してもよい。本実施形態によれば、単純な構造により、接続部19Bを形成することができる。
【0118】
図13(C)に示されるように、本実施形態の防護柵の設置方法でも、上記第5実施形態と同様に、第1防護柵部10fを設置する第1防護柵部設置工程及び第2防護柵部10Fを設置する第2防護柵部設置工程が行われる。
図13(C)において、第2防護柵部設置工程で設置された第2防護柵部10Fに連続して道路50の車線51,52に沿って延在するように、第2防護柵部10Fを設置することを繰り返すことにより、道路50の車線51,52に沿って連続して延在する第1防護柵部10f及び第2防護柵部10Fを設置することができる。また、状況によっては、例えば、第1防護柵部設置工程で道路50の車線51,52に沿って互いに第2防護柵部10Fに相当する間隔を隔てて設置された2つの第1防護柵部10fの間に、第1防護柵部10fのそれぞれに連続して道路50の車線51,52に沿って延在するように第2防護柵部10Fを設置してもよい。
【0119】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。例えば、上記実施形態において、ビーム12A,12B,12C,12D,12E、補強リブ14A,14B、防護プレート15、ネット18及び固定部材30の構成及び数量は適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0120】
1A,1B,1C,1D,1E,1F…防護柵、10A,10B,10C,10D…防護柵部、10e…第1防護柵部、10E…第2防護柵部、10f…第1防護柵部、10F…第2防護柵部、11A,11B,11C…支柱、12A,12B,12C,12D,12E…ビーム、13A,13B,13C…支柱ベースプレート、13h…プレート孔部、14A,14B…補強リブ、15…防護プレート、16A,16B…開口部、17…仮設補強材、18…ネット、19A,19B…接続部、19v…嵌合縦材、19a…凸部、19b…凹部、19x,19y…係止部、19m…凸部、19n…凹部、19p,19q…架橋部材、20,21,22,23,24…床版、20h…床版貫通孔部、22h…既設床版貫通孔部、25,26…プレキャスト床版、27…間詰コンクリート、27h…間詰コンクリート貫通孔部、28…舗装、30…固定部材、31…棒材、32…締結部材、41…橋桁、42,43…壁高欄、44…緊張材、50…道路、51,52…車線、60…高さ調整材、70…架設治具、71…上側当接部材、72…下側当接部材、73…締結部材(クランプ)、V…車両。