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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125983
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】心肺蘇生フィードバックシステム
(51)【国際特許分類】
   A61H 31/00 20060101AFI20220822BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220822BHJP
   A61B 5/0535 20210101ALI20220822BHJP
   A61B 5/347 20210101ALI20220822BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20220822BHJP
【FI】
A61H31/00
A61B5/33 200
A61B5/0535
A61B5/347
A61B5/33 120
A61B5/346
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020381
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】21157655.8
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503338457
【氏名又は名称】ハートサイン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ドナヒー,ディンプナ
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ジョニー
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェイ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】マッカリスター,オリバー
【テーマコード(参考)】
4C074
4C127
【Fターム(参考)】
4C074AA04
4C074BB04
4C074CC20
4C074DD10
4C074GG20
4C127AA02
4C127AA06
4C127BB05
4C127GG07
4C127GG09
4C127GG11
4C127GG15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人が対象者に対して行ったCPRを評価し、その人にCPRフィードバックを提供するためのシステムを提供する。
【解決手段】CPRフィードバックシステム(20)は、対象者のECG信号を測定するように構成されたECGシステム(22)と、対象者の生体信号を測定するように構成された生体信号システム(24)と、ECGシステムに接続されてECG信号を受信するとともに、生体信号システムに接続されて生体信号を受信するCPR評価システム(26)と、CPR評価システムに接続され、CPRフィードバック信号を受信して、CPRフィードバックを人に発するように構成されたCPRフィードバックユニット(28)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が対象者に対して行った心肺蘇生(CPR)を評価し、その人にCPRフィードバックを提供するためのCPRフィードバックシステムであって、
対象者のECG信号を測定するように構成された心電図(ECG)システムと、
対象者の生体信号を測定するように構成された生体信号システムと、
前記ECGシステムに接続されてECG信号を受信するとともに、前記生体信号システムに接続されて生体信号を受信するCPR評価システムと、
前記CPR評価システムに接続され、CPRフィードバック信号を受信して、CPRフィードバックを人に発するように構成されたフィードバックユニットとを備え、
前記CPR評価システムが、
(i)基準ECG信号メトリックおよび目標生体信号メトリックを設定するステップと、
(ii)CPRを開始するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(iii)複数回の胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信し、そのECG信号を使用して、現在のECG信号メトリックを設定するステップと、
(iv)複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を受信し、その生体信号を使用して、現在の生体信号メトリックを設定するステップと、
(v)現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較し、現在の生体信号メトリックを少なくとも1の目標生体信号メトリックと比較するステップと、
(vi)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリックより小さい場合に、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(vii)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリック以上である場合に、目標生体信号メトリックを増加させ、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(viii)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である場合に、基準ECG信号メトリックを現在のECG信号メトリックと同じに設定し、現在のCPRパフォーマンスを維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと
を実行するように構成されていることを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
前記生体信号システムが、対象者の1または複数の種類の生体信号を測定するように構成されていることを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
前記生体信号が、胸部インピーダンス信号、呼気終末二酸化炭素信号、末梢酸素飽和度信号、血圧信号、胸骨圧迫深度信号のうちの何れかを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
基準ECG信号メトリックを設定することが、CPRの開始前の所定の時間にわたって測定されたECGシステムからのECG信号を受信し、そのECG信号を使用して基準ECG信号メトリックを設定することを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
ECG信号を使用して基準ECG信号メトリックを設定することが、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴、ECG信号の1または複数の周波数領域の特徴、1または複数の時間領域の特徴と1または複数の周波数領域の特徴のうちの何れかから導き出されたECG信号のスコアを設定することを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
目標生体信号メトリックを設定することが、1または複数の種類の生体信号についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素を含む所定の目標生体信号メトリックを受信することを含み、1または複数の種類の生体信号についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素が、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
目標生体信号メトリックを設定することが、(i)人による複数回の胸骨圧迫中に測定された1または複数の種類の生体信号を受信し、(ii)前記1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部を使用して目標生体信号メトリックを設定することを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
目標生体信号メトリックが、1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素を含み、1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素が、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
ECG信号を使用して現在のECG信号メトリックを設定することが、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴、ECG信号の1または複数の周波数領域の特徴、1または複数の時間領域の特徴と1または複数の周波数領域の特徴のうちの何れかから導き出されるECG信号のスコアを設定することを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を使用して現在の生体信号メトリックを設定することが、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素を設定することを含み、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素が、少なくとも1の現在の周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の現在の振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の現在の周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の現在の振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のCPRフィードバックシステムにおいて、
現在の生体信号メトリックを目標生体信号メトリックと比較することが、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素を、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の同じ目標生体信号メトリック要素と比較することを含むことを特徴とするCPRフィードバックシステム。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載のCPR評価システムであって、
所定の時間にわたって(iii)~(viii)のステップを繰り返し、前記所定の時間に達したとき、CPRを止めるよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するように構成されていることを特徴とするCPR評価システム。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のCPR評価システムであって、
(i)~(viii)のステップを繰り返すように構成されていることを特徴とするCPR評価システム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載のCPR評価システムであって、
CPR評価システムのメトロノームによって発せられる可聴メトロノーム信号の速度に等しい速度でCPR胸骨圧迫を実行するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信し、そのECG信号を使用して、現在のECG信号メトリックを設定するステップと、
現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較するステップと、
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さい場合に、可聴メトロノーム信号の速度を調整し、この調整した可聴メトロノーム信号の速度に等しくなるようにCPR胸骨圧迫の実行速度を調整するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成し、2番目のステップに戻るステップと、
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である場合に、CPR胸骨圧迫の実行速度を維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと
を実行するように構成されていることを特徴とするCPR評価システム。
【請求項15】
除細動器の一部であることを特徴とする請求項1乃至14の何れか一項に記載のCPRフィードバックシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心肺蘇生(CPR)フィードバックシステムであって、対象者に対するCPRの実行中に、心電図(ECG)信号および生体信号を使用して、CPRを評価し、人にCPRフィードバックを提供するCPRフィードバックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生フィードバックシステムは、システムを使用する人に質の高い心肺蘇生を開始および維持するよう指示することにより、対象者を治療するために使用される。CPRは、主に対象者の心臓および脳に酸素を含む血液を供給するために、対象者の胸骨を圧迫して心臓から循環系に血液を送り出すことを伴う。胸骨の圧迫が浅過ぎたり、遅過ぎたり、あるいは速過ぎたりすると、心臓は十分な酸素を含む血液を送り出すことができない。胸骨圧迫速度および胸骨圧迫深度の変化は、対象者から測定される生体信号の変化を引き起こし、よって、それらの生体信号を使用して、CPRのパフォーマンスについて人を指導することができる。CPR中にCPRフィードバックが人に提供されると、人のCPRパフォーマンスを向上させることができるため有利である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、人が対象者に対して行った心肺蘇生を評価し、その人にCPRフィードバックを提供するための心肺蘇生(CPR)フィードバックシステムが提供され、このCPRフィードバックシステムは、
対象者のECG信号を測定するように構成された心電図(ECG)システムと、
対象者の生体信号を測定するように構成された生体信号システムと、
ECGシステムに接続されてECG信号を受信するとともに、生体信号システムに接続されて生体信号を受信するCPR評価システムと、
CPR評価システムに接続され、CPRフィードバック信号を受信して、CPRフィードバックを人に発するように構成されたCPRフィードバックユニットとを備え、
CPR評価システムは、
(i)基準ECG信号メトリックおよび目標生体信号メトリックを設定するステップと、
(ii)CPRを開始するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(iii)複数回の胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信し、そのECG信号を使用して、現在のECG信号メトリックを設定するステップと、
(iv)複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を受信し、その生体信号を使用して、現在の生体信号メトリックを設定するステップと、
(v)現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較し、現在の生体信号メトリックを目標生体信号メトリックと比較するステップと、
(vi)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリックより小さい場合に、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(vii)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリック以上である場合に、目標生体信号メトリックを増加させ、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
(viii)現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である場合に、基準ECG信号メトリックを現在のECG信号メトリックと同じに設定し、現在のCPRパフォーマンスを維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップとを実行するように構成されている。
【0004】
本発明において、CPRフィードバックシステムは、対象者にCPRを行う人に動的CPRフィードバックを提供し、CPRフィードバックが、生体信号測定を使用した、対象者に対して人により実行される胸骨圧迫の反復モニタリングと、対象者のECGの反復モニタリングとに基づくものとなる。
【0005】
生体信号システムは、対象者の1または複数の種類の生体信号を測定するように構成することができる。生体信号の種類は、胸部インピーダンス信号、呼気終末二酸化炭素信号、末梢酸素飽和度信号、血圧信号、胸骨圧迫深度信号のうちの何れかを含むことができる。生体信号システムは、インピーダンス信号測定システム、カプノグラフ、オキシメータ、血圧測定システム、加速度計のうちの何れかを含むことができる。
【0006】
基準ECG信号メトリックを設定することは、CPRの開始前の所定の期間にわたって測定されたECGシステムからのECG信号を受信し、そのECG信号を使用して基準ECG信号メトリックを設定することを含むことができる。
【0007】
ECG信号を使用して基準ECG信号メトリックを設定することは、ECG信号のスコアを設定することを含むことができる。スコアは、測定されたECG信号の品質に関連するものであってもよい。スコアは、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴から導き出されるものであってもよい。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配のうちの何れかを含むことができる。スコアは、ECG信号の1または複数の周波数領域の特徴から導き出されるものであってもよい。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数のうちの何れかを含むことができる。スコアは、1または複数の時間領域の特徴と1または複数の周波数領域の特徴から導き出されるものであってもよい。時間領域の特徴および周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための尺度として用いることができる。
【0008】
目標生体信号メトリックを設定することは、所定の目標生体信号メトリックを受信することを含むことができる。所定の目標生体信号メトリックは、1または複数の種類の生体信号についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素を含むことができる。1または複数の種類の生体信号についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素は、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことができる。
【0009】
目標生体信号メトリックを設定することは、(i)人による複数回の胸骨圧迫中に測定された1または複数の種類の生体信号を受信し、(ii)1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部を使用して目標生体信号メトリックを設定することを含むことができる。目標生体信号メトリックは、1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素を含むことができる。1または複数の種類の生体信号のうちの何れかまたは一部についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素は、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の目標周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の目標振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことができる。各種類の生体信号についての目標生体信号メトリック要素は、CPR胸骨圧迫中に人の目標CPRパフォーマンスの指標を提供することができる。
【0010】
目標振幅生体信号メトリック要素は、平均振幅、平均極大値、平均極小値、極小値と極大値の比のうちの何れかを含むことができる。目標周波数生体信号メトリック要素は、卓越周波数を含むことができる。
【0011】
複数回の胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信することは、所定の持続時間のウィンドウにわたって測定されたECG信号を受信することを含むことができる。所定の持続時間は、約5秒~約30秒の範囲内とすることができる。
【0012】
ECG信号を使用して現在のECG信号メトリックを設定することは、ECG信号のスコアを設定することを含むことができる。スコアは、測定されたECG信号の品質に関連するものであってもよい。スコアは、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴から導き出されるものであってもよい。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配の何れかを含むことができる。スコアは、ECG信号の1または複数の周波数領域の特徴から導き出されるものであってもよい。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数の何れかを含むことができる。スコアは、1または複数の時間領域の特徴と1または複数の周波数領域の特徴から導き出されるものであってもよい。時間領域の特徴および周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための尺度として用いることができる。
【0013】
ECG信号は、心室細動(VF)信号の存在を確認するために評価することができる。
【0014】
複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を受信することは、所定の持続時間のウィンドウにわたって測定された生体信号を受信することを含むことができる。所定の持続時間は、約5秒~約30秒の範囲内とすることができる。
【0015】
複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を受信することは、複数回の胸骨圧迫中に測定された少なくとも1種類の生体信号を受信することを含むことができる。複数回の胸骨圧迫中に測定された生体信号を使用して現在の生体信号メトリックを設定することは、少なくとも1種類の生体信号について少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素を設定することを含むことができる。少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素は、少なくとも1の現在の周波数生体信号メトリック要素、少なくとも1の現在の振幅生体信号メトリック要素、少なくとも1の現在の周波数生体信号メトリック要素と少なくとも1の現在の振幅生体信号メトリック要素のうちの何れかを含むことができる。少なくとも1種類の生体信号についての現在の生体信号メトリック要素は、複数回のCPR胸骨圧迫中の人による実際のCPRパフォーマンスの尺度を提供することができる。
【0016】
現在の振幅生体信号メトリック要素は、平均振幅、平均極大値、平均極小値、極大値と極小値との比のうちの何れかを含むことができる。現在の周波数生体信号メトリック要素は、卓越周波数を含むことができる。
【0017】
現在の生体信号メトリックを目標生体信号メトリックと比較することは、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の現在の生体信号メトリック要素を、少なくとも1種類の生体信号についての少なくとも1の同じ目標生体信号メトリック要素と比較することを含むことができる。
【0018】
目標生体信号メトリックを増加させることは、メトリックを1%~50%増加させることを含むことができる。
【0019】
CPRを調整する方法を人に助言するCPRフィードバック信号は、フィードバックユニットによって受信され、フィードバックユニットに、「もっと強く押して」および/または「もっと速く押して」といった形態で人にCPRフィードバックを提供させることができる。現在のCPRパフォーマンスを維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号は、フィードバックユニットによって受信され、フィードバックユニットに、「良い圧迫です」という形態で人にCPRフィードバックを提供させることができる。
【0020】
CPR評価システムは、所定の時間にわたって(iii)~(viii)のステップを繰り返すように構成することができる。所定の時間は、2分間であってもよい。所定の時間に達したとき、CPR評価システムは、CPRを止めるよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するように構成することができる。その後、CPR評価システムは、(i)~(viii)のステップを繰り返すように構成することができる。
【0021】
CPR評価システムは、さらに、
CPR評価システムのメトロノームによって発せられる可聴メトロノーム信号の速度に等しい速度でCPR胸骨圧迫を実行するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップと、
胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信し、そのECG信号を使用して、現在のECG信号メトリックを設定するステップと、
現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較するステップと、
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さい場合に、可聴メトロノーム信号の速度を調整し、この調整した可聴メトロノーム信号の速度に等しくなるようにCPR胸骨圧迫の実行速度を調整するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成し、2番目のステップに戻るステップと、
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である場合に、CPR胸骨圧迫の実行速度を維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成するステップとを実行するように構成することができる。
【0022】
調整した可聴メトロノーム信号の速度と等しくなるようにCPR胸骨圧迫の実行速度を調整するよう人に助言するCPRフィードバック信号は、フィードバックユニットによって受信され、フィードバックユニットに、「もっと速く押して」または「もっとゆっくり押して」といった形態で人にCPRフィードバックを提供させることができる。CPR胸骨圧迫の実施速度を維持するように人に助言するCPRフィードバック信号は、フィードバックユニットによって受信され、フィードバックユニットに、「もっと強く押して」または「良い圧迫です」といった形態で人にCPRフィードバックを提供させることができる。
【0023】
ECGシステムは、対象者に配置された1または複数の電極から受信した信号を用いて、対象者のECG信号を測定するように構成することができる。
【0024】
生体信号システムは、対象者に配置された1または複数のセンサから受信した信号を用いて、対象者の生体信号を測定するように構成することができる。
【0025】
CPRフィードバックシステムは、スタンドアロンシステムであってもよい。CPRフィードバックシステムは、更なるシステムの一部であってもよい。更なるシステムは、除細動器であってもよい。
【0026】
CPRフィードバックシステムが更なるシステムの一部である場合、CPR開始信号は、更なるシステムから受信されるものであってもよい。CPRフィードバックシステムが更なるシステムの一部である場合、CPR停止信号は、更なるシステムから受信されるものであってもよい。
【0027】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係るCPRフィードバックシステムを含む除細動器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
次に、本発明の一実施形態を、以下の図面を参照しながら一例として説明する。
図1図1は、本発明に係るCPRフィードバックシステムの概略図である。
図2図2は、図1のCPRフィードバックシステムのCPR評価システムによって実行されるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、CPRフィードバックシステム20は、心電図(ECG)システム22、生体信号システム24、CPR評価システム26およびフィードバックユニット28を備える。CPRフィードバックシステム20は、人(図示省略)が対象者(図示省略)に対して行ったCPRを評価し、その人にCPRフィードバックを提供する。生体信号システム24は、インピーダンス信号測定システム、カプノグラフ、オキシメータ、血圧測定システム、加速度計の各々を含む。
【0030】
CPRフィードバックシステム20は、起動機構、ECG処理システム、電源、および対象者に装着されるように適合された検知ユニットなどの他の要素を含むことが理解されよう。
【0031】
ECGシステム22は、この実施形態では胸部電極を含む検知ユニットに接続され、対象者のECG信号を測定するように構成されている。CPRフィードバックシステム20は、ECG信号を使用して対象者がVFを示しているときを判定するアルゴリズムを含む。
【0032】
生体信号システム24のインピーダンス信号測定システムは、この実施形態では胸部電極を含む検知ユニットに接続され、人による胸骨圧迫中に対象者のインピーダンス信号を測定する。対象者のインピーダンス信号は、胸部インピーダンス信号を含む。インピーダンス信号は、CPR胸骨圧迫によって引き起こされる正弦波を含む。生体信号システム24のカプノグラフ、オキシメータ、血圧測定システムおよび加速度計は、対象者に配置されたセンサに接続され、それらセンサから対象者の生体信号を受信する。
【0033】
CPR評価システム26は、ECGシステム22および生体信号システム24に接続されている。CPR評価システム26は、ECG信号および生体信号を受信し、所定の時間内に人が対象者に行う複数回の胸骨圧迫にわたって、対象者に対する人によるCPRパフォーマンスを評価する。これは、図2を参照して以下に述べるいくつかのステップの実行を含む。
【0034】
人のCPRパフォーマンスの評価中、CPR評価システム26は、様々なフィードバック信号を生成する。フィードバックユニット28は、CPR評価システム26に接続され、フィードバック信号を受信し、CPRフィードバックを人に発するように構成されている。
【0035】
図2を参照して、図1のCPRフィードバックシステム20のCPR評価システム26によって実行されるステップの第1の実施形態を説明する。この実施形態では、生体信号システム24が、そのインピーダンス測定システムを用いて、対象者のインピーダンス信号を測定する。CPR評価システム26は、1種類の生体信号、すなわち、インピーダンス信号を受信する。
【0036】
CPR評価システム26は、先ず、基準ECGメトリックを設定する。CPR評価システム26は、CPRの開始前に、所定の時間、例えば5秒~30秒にわたって測定されたECGシステム22からのECG信号を受信する。ECG信号は、基準ECG信号メトリックを設定するために使用される。これには、ECG信号を使用してECG信号の基準ECGスコアを設定することが含まれる。基準ECGスコアは、測定されたECG信号の品質に関連する。この実施形態では、基準ECGスコアが、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴およびECG信号の1または複数の周波数領域の特徴から導出される。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配のうちの何れかを含む。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数のうちの何れかを含む。時間領域の特徴および周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための尺度として用いることができる。
【0037】
その後、CPR評価システム26は、目標生体信号メトリックスを設定する。この実施形態において、目標生体信号メトリックを設定することは、CPRを開始するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成すること、人による複数回の胸骨圧迫中に測定されたインピーダンス信号を含む生体信号を受信すること、CPRを止めるよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成すること、並びに、生体信号を使用して目標生体信号メトリックを設定することを含む。この実施形態では、目標生体信号メトリックが、測定された1種類の生体信号、すなわちインピーダンス信号についての1つの目標生体信号メトリック要素を含む。目標生体信号メトリック要素は、人による複数回のCPR胸骨圧迫中に測定されたインピーダンス信号のピークの平均振幅の目標振幅生体信号メトリック要素を含む。目標生体信号メトリックは、複数の目標生体信号メトリック要素を含むことができ、それら要素は、目標振幅生体信号メトリック要素および/または目標周波数生体信号メトリック要素であってよいことが理解されよう。
【0038】
その後、CPR評価システム26は、CPRを開始するように人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。これはフィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用して人に「CPRを開始して強く押してください」という指示の形態でCPRフィードバックを提供する。
【0039】
人による複数回の胸骨圧迫中、CPR評価システム26は、約5秒~約30秒のウィンドウにわたって測定されたECGシステム22からのECG信号を受信する。CPR評価システム26は、ECG信号を使用して、ECG信号の現在のECGスコアを設定することにより、現在のECG信号メトリックを設定する。現在のECGスコアは、測定されたECG信号の品質に関連する。現在のECGスコアは、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴および1または複数の周波数領域の特徴から導き出される。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配のうちの何れかを含む。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数のうちの何れかを含む。時間領域の特徴と周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための尺度として用いることができる。
【0040】
対象者に対して人によって行われる複数回の胸骨圧迫中、CPR評価システム26は、生体信号システム24のインピーダンス測定システムからインピーダンス信号も受信する。インピーダンス信号は、約5秒~約30秒の同じウィンドウにわたって測定される。CPR評価システム26は、インピーダンス信号を使用して、現在の生体信号メトリックを設定する。この実施形態では、現在の生体信号メトリックが、インピーダンス信号についての1つの現在の生体信号メトリック要素を含む。現在の生体信号メトリック要素は、ウィンドウの間に測定されたインピーダンス信号のピークの平均振幅の現在の振幅生体信号メトリック要素を含む。
【0041】
CPR評価システム26は、現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較し、現在のインピーダンス信号メトリックを目標インピーダンス信号メトリックと比較する。これは、基準ECGスコアと現在のECGスコアとを比較すること、並びに、インピーダンス信号ピークの平均振幅の目標振幅生体信号メトリック要素とインピーダンス信号ピークの平均振幅の現在の振幅生体信号メトリック要素とを比較することを含む。現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく(対象者の状態が悪化していることを示唆している)、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリックより小さい(CPR胸骨圧迫が最適ではないことを示唆している)場合、CPR評価システム26は、CPRを調整する方法を人に助言するCPRフィードバック信号を作成する。このフィードバック信号は、フィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「もっと強く押して」という指示の形態でCPRフィードバックを与える。
【0042】
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく(同様に、対象者の状態が悪化していることを示唆している)、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリック以上である(これは、目標インピーダンス信号メトリックを改善できることを示唆している)場合、CPR評価システム26は、目標生体信号メトリックを増加させ、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号は、フィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「もっと強く押して」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0043】
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である(対象者の状態が改善していることを示唆している)場合、CPR評価システムは、基準ECG信号メトリックを現在のECG信号メトリックと等しくなるように設定し、現在のCPRパフォーマンスを維持するように人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号は、フィードバックユニット28に送信され、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「良い圧迫です」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0044】
この実施形態では、CPR評価システム26が、上述したステップの一部を所定の時間にわたって繰り返すように構成されている。所定の時間は2分間であり、CPR評価システム26のクロックにより測定される。クロックが所定の時間に達していないとき、CPR評価システム26は、人による更なる複数回の胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信するステップに戻る。更なる複数回の胸骨圧迫は、以前の複数回の胸骨圧迫とは重ならない。このため、ECGおよびインピーダンス信号を含む生体信号の分析および対象者へのフィードバックは、2分間の時間中に行われる複数回の胸骨圧迫にわたって継続される。クロックが所定の時間に達すると、CPR評価システム26は、CPRを止めるように人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号は、フィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「CPRを止めてください」という指示の形態でCPRフィードバックを発する
【0045】
この実施形態では、CPR評価システム26は、その後、基準ECG信号メトリックおよび目標生体信号メトリックを設定するステップに戻り、上述したような更なるステップを繰り返す。これは、必要と判断される限り継続される。
【0046】
図2を参照して、図1のCPRフィードバックシステム20のCPR評価システム26によって実行されるステップの第2の実施形態を説明する。この実施形態では、生体信号システム24が、そのオキシメータおよび加速度計を用いて、対象者の末梢酸素飽和度信号およびCPR胸骨圧迫深度信号を測定する。CPR評価システム26は、2種類の生体信号、すなわち、酸素信号およびCPR胸骨圧迫深度信号を受信する。
【0047】
CPR評価システム26は、先ず、基準ECGメトリックを設定する。CPR評価システム26は、CPRの開始前に、所定の時間、例えば5秒~30秒間にわたって測定されたECGシステム22からのECG信号を受信する。ECG信号は、基準ECG信号メトリックを設定するために使用される。これには、ECG信号を使用してECG信号の基準ECGスコアを設定することが含まれる。基準ECGスコアは、測定されたECG信号の品質に関連する。この実施形態では、基準ECGスコアが、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴およびECG信号の1または複数の周波数領域の特徴から導き出される。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配のうちの何れかを含む。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数のうちの何れかを含む。時間領域の特徴および周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための指標として用いることができる。
【0048】
その後、CPR評価システム26は、目標生体信号メトリックスを設定する。この実施形態では、目標生体信号メトリックを設定することが、所定の目標生体信号メトリックを受信することを含む。所定の目標生体信号メトリックは、測定された生体信号の各種類についての少なくとも1の目標生体信号メトリック要素を含む。この実施形態では、目標生体信号メトリック要素が、酸素信号の平均振幅の目標振幅生体信号メトリック要素と、平均CPR胸骨圧迫深度信号の目標振幅生体信号メトリック要素とを含む。なお、目標生体信号メトリックは、複数の目標生体信号メトリック要素を含むことができ、それら要素は、目標振幅生体信号メトリック要素および/または目標周波数生体信号メトリック要素であってもよいことが理解されよう。
【0049】
その後、CPR評価システム26は、CPRを開始するように人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。これはフィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用して人に「CPRを開始して、強く押してください」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0050】
人による複数回の胸骨圧迫中、CPR評価システム26は、約5秒~約30秒のウィンドウにわたって測定されたECGシステム22からのECG信号を受信する。CPR評価システム26は、ECG信号を使用して、ECG信号の現在のECGスコアを設定することにより、現在のECG信号メトリックを設定する。現在のECGスコアは、測定されたECG信号の品質に関連する。現在のECGスコアは、ECG信号の1または複数の時間領域の特徴および1または複数の周波数領域の特徴から導き出される。時間領域の特徴は、ECG信号の平均振幅、ピーク振幅、中央値勾配のうちの何れかを含む。周波数領域の特徴は、振幅スペクトル領域(AMSA)、パワースペクトル分析特徴、重心周波数のうちの何れかを含む。時間領域の特徴および周波数領域の特徴は、対象者の状態を推定するための指標として用いることができる。
【0051】
人が対象者に対して行う複数回の胸骨圧迫中、CPR評価システム26は、生体信号システム24のオキシメータから酸素信号を受信するとともに、生体信号システム24の加速度計からCPR胸骨圧迫深度信号を受信する。酸素信号およびCPR胸骨圧迫深度信号は、約5秒~約30秒の同じウィンドウにわたって測定される。CPR評価システム26は、酸素信号およびCPR胸骨圧迫深度信号を使用して、現在の生体信号メトリックを設定する。この実施形態では、現在の生体信号メトリックが、酸素信号の平均振幅の酸素信号についての現在の振幅生体信号メトリック要素と、平均CPR胸骨圧迫深度のCPR胸骨圧迫深度信号についての現在の振幅生体信号メトリック要素とを含む。
【0052】
CPR評価システム26は、現在のECG信号メトリックを基準ECG信号メトリックと比較する。これには、基準ECGスコアと現在のECGスコアとを比較することが含まれる。CPR評価システム26は、さらに、現在の信号メトリックを目標信号メトリックと比較する。これには、酸素信号の目標振幅生体信号メトリック要素と酸素信号の現在の振幅生体信号メトリック要素とを比較すること、並びに、CPR胸骨圧迫深度信号の目標振幅生体信号メトリック要素とCPR胸骨圧迫深度信号の現在の振幅生体信号メトリック要素とを比較することが含まれる。
【0053】
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく(対象者の状態が悪化していることを示唆している)、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリックより小さい(CPR胸骨圧迫が最適ではないことを示唆している)場合、CPR評価システム26は、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号はフィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「もっと速く押して」、「もっとゆっくり押して」または「もっと強く押して」といった指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0054】
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリックより小さく(対象者の状態が悪化していることを示唆している)、かつ現在の生体信号メトリックが目標生体信号メトリック以上である(目標インピーダンス信号メトリックを改善できることを示唆している)場合、CPR評価システム26は目標生体信号メトリックを増加させ、CPRパフォーマンスを改善するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号はフィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「もっと強く押して」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0055】
現在のECG信号メトリックが基準ECG信号メトリック以上である(対象者の状態が改善していることを示唆している)場合、CPR評価システムは、基準ECG信号メトリックを現在のECG信号メトリックと等しくなるように設定し、現在のCPRパフォーマンスを維持するよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号はフィードバックユニット28に送信され、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「良い圧迫です」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0056】
この実施形態では、CPR評価システム26が、上述したステップの一部を所定の時間にわたって繰り返すように構成されている。所定の時間は2分間であり、CPR評価システム26のクロックにより測定される。クロックが所定の時間に達していないとき、CPR評価システム26は、人による更なる複数回の胸骨圧迫中に測定されたECG信号を受信するステップに戻る。更なる複数回の胸骨圧迫は、以前の複数回の胸骨圧迫と重ならない。このため、ECG、および酸素信号とCPR胸骨圧迫深度信号とを含む生体信号の分析、並びに、対象者へのフィードバックは、2分間の時間中の複数回の胸骨圧迫にわたって継続される。クロックが所定の時間に達すると、CPR評価システム26は、CPRを止めるよう人に助言するCPRフィードバック信号を生成する。このフィードバック信号は、フィードバックユニット28に送られ、このフィードバックユニットは、CPRフィードバックシステム20を使用している人に「CPRを止めてください」という指示の形態でCPRフィードバックを発する。
【0057】
この実施形態では、CPR評価システム26が、その後、基準ECG信号メトリックおよび目標生体信号メトリックを設定するステップに戻り、上述したような更なるステップを繰り返す。これは、必要と判断される限り継続される。
【0058】
このため、CPRフィードバックシステム20は、対象者に対して複数のセットのCPR胸骨圧迫を実行する人に、動的なCPRフィードバックを提供し、CPRフィードバックは、インピーダンス信号、酸素信号およびCPR胸骨圧迫深度信号を含む生体信号を用いた胸骨圧迫のセットのモニタリングと、対象者のECGのモニタリングとに基づくものとなる。他の種類の生体信号を使用できることが理解されよう。
【0059】
これらの実施形態では、CPRフィードバックシステム20が、スタンドアロンデバイスとして説明されている。CPRフィードバックシステム20は、除細動器などの更なるシステムの一部を含むことができることが理解されよう。
図1
図2
【外国語明細書】