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特開2022-125984改良したゲートバイアス構造を有する垂直導通シリコンカーバイドMOSFET装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125984
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】改良したゲートバイアス構造を有する垂直導通シリコンカーバイドMOSFET装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20220822BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20220822BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652P
H01L29/78 652N
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020511
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】102021000003653
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】591002692
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】STMicroelectronics S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100076185
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 正明
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ジウセッペ サッジーオ
(72)【発明者】
【氏名】アルフィオ ガルネーラ
(72)【発明者】
【氏名】カテーノ マルコ カマッレリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良したゲートバイアス印加構造を有する垂直導通シリコンカーバイドMOSFET装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】垂直導通MOSFET装置50において、ダイ52は、第1表面55A及び第2表面と、周辺ゾーンと、を有するシリコンカーバイドのボディ55内に形成されている。絶縁ゲート領域70は、第1表面上に延在しており、且つ、ゲート導電性領域72を有している。導電性物質からなる環状接続領域は、周辺ゾーンにおいて、第1表面55A上を延在する表面端部構造内に形成されている。ゲート導電性領域72及び該環状接続領域は、シリコン層及びシリコン層の上側にある金属シリサイド層によって形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直導通MOSFET装置(50)において、
第1及び第2面(52A,52B)と周辺ゾーン(87)とを有しておりシリコンカーバイドのボディ(55)であって、
該第2面(55B)から該ボディ(55)内へ延在しており且つ該第1面(55A)に面している表面部分(64)を有している第1導電型の第1電流導通領域(57)と、
該第1面(55A)から該ボディ内に延在している第2導電型のボディ領域(60)と、
該ボディの該第1面(55A)から該ボディ領域(60)の内側へ延在している該第1導電型の第2電流導通領域(65)であって、該表面部分(64)と共に該ボディ領域(60)内にチャンネル部分(75)を境界画定している該第2電流導通領域(65)と、を収容している該ボディ(55)、
該ボディ(55)の該第1面(55A)上を延在しており且つ該チャンネル部分(75)の上側に存在している絶縁ゲート領域(70)であって、ゲート導電性領域(72)を有している該絶縁ゲート領域(70)、及び
該ボディの該周辺ゾーン(87)において該ボディ(55)の該第1面(55A)上を延在している表面端部構造(90)であって、導電性物質からなる環状接続領域(86)を有している該表面端部構造(90)、
を有しており、該ゲート導電性領域(72)及び該環状接続領域(86)がシリコン層と該シリコン層の上側にある金属シリサイドとを包含しているゲートバイアス層(95)によって形成されている垂直導通MOSFET装置。
【請求項2】
該シリコン層が多結晶層である請求項1記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項3】
該金属シリサイド層がタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、又はプラチナのシリサイドから選択される請求項1又は2記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項4】
該ゲート導電性領域(72)が該シリコン層によって形成されているゲート半導体部分(76)及び該金属シリサイド層によって形成されているゲート金属部分(77)を有しており、及び
該環状接続領域(86)が該シリコン層によって形成されている半導体接続部分(88)及び該金属シリサイド層によって形成されている金属接続部分(89)を有している、
請求項1乃至3の内のいずれか1項に記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項5】
該表面端部構造(90)が該環状接続領域(86)の該金属接続部分(89)を完全に被覆しているパッシベーション層(92)を有している、請求項4記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項6】
該ゲート半導体部分(76)が第1幅を有しており、該ゲート金属部分(77)が第2幅を有しており、該半導体接続部分(88)が第3幅を有しており、及び該金属接続部分(89)が第4幅を有しており、該第1幅が該第2幅と等しく且つ該第3幅が該第4幅と等しい請求項4又は5記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項7】
該ゲート半導体部分(76)が第1幅を有しており、該ゲート金属部分(77)が第2幅を有しており、該半導体接続部分(88)が第3幅を有しており、及び該金属接続部分(89)が第4幅を有しており、該第1幅が該第2幅より一層大きく且つ該第3幅が該第4幅より一層大きい請求項4又は5記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項8】
該ボディ(55)の該第1面(55A)が区域と中央部分とを有しており、
更に、
該第2電流導通領域(65)と直接電気的コンタクトをして該ボディ(55)の該第1面(55A)上を延在している導通コンタクト金属領域(83)を有しており、該導通コンタクト金属領域(83)が該第1面(55A)の該区域の殆どを被覆しており且つ該第1面(55A)の該中央部分にわたって中断無しで延在している単一コンタクト部分を有している、
請求項1乃至7の内のいずれか1項に記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項9】
該ボディ(55)が2つの反対側の横方向表面(52C,52D)を有しており、該環状接続領域(86)は該ボディ(55)の該反対側の横方向表面(52C,52D)近くを延在している第1及び第2分岐部を有しており、及び該ゲート導電性領域(72)は該環状接続領域(86)の該第1及び第2分岐部(86A,86B)の間で連続して延在している請求項1乃至8の内のいずれか1項記載の垂直導通MOSFET装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の内のいずれか1項に記載する垂直導通MOSFET装置を製造する方法において、
第1及び第2面(55A,55B)と周辺ゾーン(87)とを有しているシリコンカーバイドのボディ(55)であって、該第2面から該ボディ内を延在しており且つ該第1面に面している表面部分(64)を有している第1導電型の第1電流導通領域(57)を収容している該ボディ(55)において、該第2面から該ボディ内へ延在している第2導電型のボディ領域(60)を形成し、
該ボディ領域において、該ボディの該第1面から延在している該第1導電型の第2電流導通領域(65)であって該表面部分と共に該ボディ領域内にチャンネル部分(75)を境界画定する該第2電流導通領域(65)を形成し、
該チャンネル部分の上側の位置において該ボディの該第1面上に絶縁ゲート領域(70)であってゲート導電性領域(72)を包含している該絶縁ゲート領域(70)を形成し、及び
該ボディの該周辺ゾーン上に該ボディの該第1面上を延在する表面端部構造(90)であって導電性物質からなる環状接続領域(86)を包含している該表演端部構造(90)を形成する、
ことを包含しており、該ゲート導電性領域(72)を形成すること及び該環状接続領域(86)を形成することが、シリコン層と該シリコン層の上側にある金属シリサイド層とを包含しているゲートバイアス層(95)を形成することを包含している方法。
【請求項11】
ゲートバイアス層(95)を形成することが、
該ボディ(55)の該第1面(55A)上にシリコン層(102)を付着形成し、
該シリコン層上に金属シリサイド層(103)を形成し、及び
該シリコン層及び該金属シリサイド層をフォトリソグラフィ的に画定して該ゲート導電性領域(72)と該環状接続領域(86)とを形成する、
ことを包含している請求項10記載の方法。
【請求項12】
ゲートバイアス層(95)を形成することが、
該ボディの該第1面上に該シリコン層(102)を付着形成し、
該シリコン層をフォトリソグラフィ的に画定してゲート半導体部分(76)及び半導体接続部分(88)であって夫々が横方向表面を有している該ゲート半導体部分(76)及び該半導体接続部分(88)を形成し、
該横方向表面上にスペーサ(106)を形成し、
該ゲート半導体部分(76)と及び該半導体接続部分(88)と直接コンタクトして金属層を付着形成し、及び
該金属層を反応させて、該ゲート半導体部分(76)とコンタクトしているゲート金属部分(77)及び該半導体接続部分(88)とコンタクトしている金属接続部分を得る、
ことを包含している請求項10記載の方法。
【請求項13】
ゲートバイアス層(95)を形成することが、
該ボディの該第1面上に該シリコン層(102)を付着形成し、
該シリコン層をフォトリソグラフィ的に画定してゲート半導体部分(76)及び半導体接続部分(88)であって夫々が横方向表面及び長手軸端部を有している該ゲート半導体部分(76)及び該半導体接続部分(88)を形成し、
該ゲート半導体部分(76)の及び該半導体接続部分(88)の該横方向表面及び該長手軸端部を被覆するマスキング部分(115’)を形成し、
該マスキング部分(115’)によって露出されている箇所の該半導体接続部分(88)と及び該ゲート半導体部分(76)と直接コンタクトしている金属反応層を付着形成し、及び
該金属反応層を反応させて、該ゲート半導体部分(76)とコンタクトしているゲート金属部分(77)及び該半導体接続部分(88)とコンタクトしている金属接続部分を得る、
ことを包含している請求項10記載の方法。
【請求項14】
該金属反応層を反応させることが、アニーリングを実施すること包含しており、更に該金属反応層の反応しなかった部分を除去することを包含している請求項12又は13記載の方法。
【請求項15】
該シリコン層(102)が多結晶シリコンであり、且つ該金属反応層がタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、及びプラチナから選択されるものである請求項10乃至14の内のいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
該環状接続領域(86)が、該シリコン層(102)によって形成された半導体接続部分(88)、及び該金属シリサイド層によって形成された金属接続部分(89)を包含しており、
更に、該環状接続領域(86)の該金属接続部分(89)を完全に被覆するパッシベーション層(92)を付着形成することを包含している請求項10又は11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良したゲートバイアス構造を有する垂直導通シリコンカーバイドMOSFET装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
知られているように、例えば1.1eVよりも一層高いワイドバンドギャップ、低いオン抵抗、高い熱伝導度、高い動作周波数、及び電荷キャリアの高い飽和速度、を有する半導体物質は、シリコン基板に形成される電子装置よりもより良い性能を有する例えばダイオード及びトランジスタ等の電子装置を得ることを可能とする。このことは、例えば、高温度等の特定の動作条件において600Vと1,300Vとの間の電圧において動作する装置におけるパワー適用例に対して特に適用される。
【0003】
特に、MOSFET電子装置は、上述した利点を提供する例えば3C-SiC,4H-SiC,6H-SiC等のポリタイプの内の一つであるシリコンカーバイドのウエハから開始して形成される。特に、以下の説明において、4H-SiCポリタイプについて言及するが、それについての説明は、範囲を制限すること無しに、その他のポリタイプに対しても適用されるものである。
【0004】
例えば、図1は、第1軸X、第2軸Y、第3軸Zからなるカーテシアン座標系においての既知の垂直導通MOSFET装置1の断面図である。MOSFET装置1は、ここでは2つのみしか図示されていないが複数個の基本セルから形成されており、それらは構造が同じで同じダイ2内に隣接して配置されており且つ並列接続されている。従って、それらはソース端子Sと、ドレイン端子Dと、ゲート端子Gとを共用している。ダイ2は、第1表面5Aと第2表面5Bとを具備するシリコンカーバイドの基板5を有している。基板5は、ドレイン領域7と、複数個のボディ領域10と、複数個のソース領域15とを収容している。
【0005】
ドレイン領域7は、ここではN型であり、基板5の第1表面5Aと第2表面5Bとの間に延在している。金属又はシリサイド等の導電性物質のドレインコンタクト領域9が、ドレイン領域7と直接的に電気的コンタクトをして、基板5の第2表面5B上を延在し、且つMOSFET装置1のドレイン端子Dを形成している。ボディ領域10はP型であり且つ第1表面5Aから互いに或る距離において基板5内を延在している。ドレイン領域7の表面部分24が2個の隣接するボディ領域10の間に設けられている。ボディ領域10は、更に、第2軸Yに沿って延在しており且つ、ここでは、平面図において、ストリップ形状を有している。
【0006】
ソース領域15は、各々、基板5の第1表面5Aから夫々のボディ領域10内を延在しており、且つN型である。各ソース領域15は、夫々のボディ領域10の幅よりも一層小さい第1軸に沿っての幅を有しており、且つ夫々のボディ領域10の深さよりも一層小さい第3軸Zに沿っての深さを有している。各ソース領域15は、隣接する表面部分24と共に、夫々のボディ領域10のチャンネル部分25を横方向に境界画定している。
【0007】
MOSFET装置1は、更に、複数個の絶縁ゲート領域20を有している。該絶縁ゲート領域20の各々は、基板5の第1表面5Aとコンタクトしているゲート絶縁層21と、ゲート絶縁層21の直ぐ上にあり典型的には多結晶シリコンからなるゲート導電性領域22と、ゲート絶縁層21と共にゲート導電性領域22を取り囲み且つ封止している絶縁層23とによって形成されている。各絶縁ゲート領域20のゲート絶縁層21は、ドレイン領域7の夫々の表面部分24上、夫々の表面部分24に隣接する2個のチャンネル領域25上、及び、部分的に、夫々のチャンネル領域25に隣接する2個のソース領域15上を延在している。ゲート導電性領域22は、ここでは、第2軸Yに平行に延在するストリップの形状を有しており(図2も参照)且つ電気的に互いに並列接続されると共に、後述するように、MOSFET装置1のゲート端子Gへ接続されている。
【0008】
MOSFET装置1は、更に、複数個のボディコンタクト領域30を有している。ボディコンタクト領域50はP型であり且つその各々が、夫々のボディコンタクト領域10とコンタクトして、基板5の第1表面5Aから夫々のソース領域15内に延在している。図示例においては、各ソース領域15が1つを越えるボディコンタクト領域30を収容している。ボディコンタクト領域30は第1軸Xに沿って互いにオフセットされて第2軸Yに沿って互いに或る距離に配置されており、従って、図1の断面図においてそれらが見えるのは、右側及び左側の2個のソース領域15においてのみであって中央のソース領域15においては見えていない。ボディコンタクト領域30及びソース領域15は、例えば金属からなるソースメタリゼーション領域33と直接電気的にコンタクトしている。
【0009】
図2から特に理解されるように、ソースメタリゼーション領域33は、大略、基板5の第1表面5Aの大部分を占めており、互いに隣接し且つ或る距離離れて配置されている2つの部分(図2中においては33A及び33Bの参照番号を付してある)に分割されている。ソースメタリゼーション領域22のこれら2つの部分33A及び33Bは、又、MOSFET装置1の外部接続用のパッドを形成しており且つMOSFET装置1のソース端子Sを形成している。
【0010】
更に、図2において、2個の補助的ソースパッド34及び1個のゲートパッド35も基板5の第1表面5A上を延在している。補助的ソースパッド34、ゲートパッド35、及びソースメタリゼーション領域33は同じ層内に形成されており、従ってソース端子Sに対して所望の電流能力を提供するために同じ高い厚さを有している。
【0011】
ゲートパッド35は、金属接続部分及び抵抗回路網を介して、ゲート導電性領域22(図2において点線で表してある)へ接続されている。詳細には、該金属接続部分はパッド33,34及び35と同じ金属層内に形成されており且つゲート金属リング38A及びゲート金属ストリップ即ち「フィンガー」38Bを有している。
【0012】
図2に示した実施例においては、ゲートパッド35は、ダイ2の1側部近傍でその中間位置に配置されており、ゲート金属フィンガー38Bはゲートパッド35からダイ2の反対側へ向けて延在しており、且つゲート金属リング38Aが、ゲートパッド35の延長としてダイ2と電気的にコンタクトしてダイ2の周辺部を延在している。
【0013】
特に、図2の平面図において、ダイ2は矩形形状を有しており、それは第1側部2Aと、第1側部2Aの反対側の第2側部2Bと、第3側部2Cと、第3族部2Cの反対側の第4側部2Dとを有しており、第3及び第4側部2C,2Dは第1軸Xと平行に延在しており、且つ第1及び第2側部2A,2Bは第2軸Yと平行に延在している。
【0014】
この幾何学的形状において、ゲートパッド35は第1側部2Aの近傍に配置されており、ゲート金属フィンガー38Bはゲートパッド35から第2側部2Bに隣接するゲート金属リング38Aの部分へ第1軸Xと平行に延在しており、且つゲート導電性領域22は第2軸Yと平行に延在している。
【0015】
該抵抗回路網は、図3及び4に図示されており且つ後述するように、ゲート導電性領域22及び金属接続部分38B,38Aへ接続されている第1及び第2接続部分36A,38Bを有しており、尚、図3及び4においては、簡単化のためにゲート絶縁層21は示していない。特に、図3は、例えば第4側部2Dに隣接しているダイ2の周辺端部部分(37の参照番号を付してある)を示している。
【0016】
例えばシリコン酸化物からなる絶縁酸化物環状部分40Aが基板5の第1表面5A上を延在しており且つ絶縁層23へ接続されているパッシベーション層42によって被覆されている。
【0017】
基板5と反対の導電型(ここではP型)を有しており且つ環状形状を有している境界画定領域41が、絶縁酸化物環状部分40Aのほぼ内側端部下側で基板5内を延在している。境界画定領域41は、基板5において、活性区域44(その限界は模式的に点線Aで表してある)を取り囲んでおり、ソース領域25とボディ領域10(図3中には見えない)とを包含するMOSFET装置1の導電性領域を収容している。チャンネルストッパーを形成している注入領域43(ここではN型であり且つリング形状をしている)が、境界画定領域41から或る距離Dにおいてダイ2の側部5A-5Dの近傍で且つ絶縁酸化物環状部分40Aの外側端部近傍において絶縁酸化物環状部分40Aの下側を延在している。
【0018】
多結晶シリコンの第1接続部分36Aは、絶縁酸化物環状部分40Aの内側端部に沿って且つその上を延在している。第1接続部分36Aは、ここでは、中断無しで、同じ層内に得られているゲート導電性領域22と直接電気的にコンタクトしている。図3は、更に、ゲート金属リング38Aを示しており、それは絶縁酸化物環状部分40Aの上方を延在しており、該ゲート金属リング38Aはパッシベーション層42をクロスしており、且つ、ここでは、第1接続部分36Aと直接電気的にコンタクトしている。
【0019】
図4はゲート金属フィンガー38Bとゲート導電性領域22との間の接続を示している。詳細には、絶縁酸化物環状部分40Aと同じ層によって形成されている絶縁酸化物フィンガー部分40Bは、ダイ2の第1及び第2側部2A,2Bに隣接した絶縁酸化物環状部分40Aの側部とコンタクトするまで第1方向Xと平行にボディ5上を延在している。絶縁酸化物フィンガー部分40B及び絶縁酸化物環状部分40Aは端部絶縁領域40を形成している。
【0020】
第2接続部分36Bは絶縁酸化物フィンガー部分40B上を延在しており、第1方向Xにおいて長尺形状を有している。しかしながら、第2接続部分36Bは、絶縁酸化物フィンガー部分40Bの幅(第2方向Yと平行な方向)よりも一層大きな幅(同じ方向)を有しており、従って絶縁酸化物フィンガー部分40Bの側部上にも延在していて、そこでそれはゲート導電性領域22と直接的に接続されている。
【0021】
絶縁層23は第2接続部分36Bを被覆しており且つ第2接続部分36Bのほぼ長さ全体にわたって第1方向Xと平行に延在している開口46を有している。ゲート金属フィンガー38Bは開口46を介して延在しており且つ、ここでは、第2接続部分36Bと直接に電気的コンタクトしている。
【0022】
絶縁酸化物フィンガー部分40Bは、それと直接コンタクトしている境界画定領域41の2つの反対側側部の間で第1方向Xと平行に延在してボディ5内に形成されているP型の絶縁フィンガー領域45上を延在している。絶縁酸化物フィンガー部分40Bは、2つの活性区域44を分離させる不活性区域47(中央端部区域とも呼称される)の上側に存在している。
【0023】
既知の装置1においては、ゲート金属フィンガー38B及びゲート金属リング38Aは、接続部分36A,36Bによって形成される抵抗回路網の固有抵抗に起因するゲートパッド35とゲート導電性領域22との間の電圧降下を減少させる目的を有している。しかしながら、金属接続部分38A,36Bの存在は或る適用例においては欠点となっている。
【0024】
実際に、ゲート金属フィンガー38Bは、該ソースメタリゼーションを少なくとも2つ(又は、寸法に起因して、幾つかのゲート金属フィンガー38Bを有する装置においてはそれ以上)の部分33A,33Bに分割させる。このことは、ダイ2上に焼結又は半田付けしたクリップを有するか又はソースメタリゼーション領域33へコンタクトするために特定のコストのかかる及び/又は厄介な解決手段を必要とするパワーモジュールにおいてのMOSFET装置1の使用を制限する。
【0025】
更に、ダイ2の周辺端部部分37におけるゲート金属リング38Aの存在は、MOSFET装置1の信頼性評価期間中に重要である。特に、高湿度環境においてのスイッチング挙動を検証する革新的な信頼性テストは、ゲート金属リング38Aが該装置の弱点であることを示している。
【0026】
金属接続部分38A,30Bは、それらの寸法のためと、ソースメタリゼーション領域33及にゲートパッド35の部分33A,33Bの間に設けねばならない最小安全空間に起因する両方のために、無視不可能な厄介者となっている。例えば、図示した形態の場合に、ゲート金属リング38Aは、チャンネルストッパー領域43と境界画定領域41との間で図3において距離Dを維持すべく設計される。更に、図4に示したように、活性区域44間の距離D’(中央端部区域47及びゲート金属フィンガー38Bが延在する区域)はMOSFET装置1の導通用に使用することは不可能であり且つ浪費区域を表している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的とするところは、従来技術の欠点を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明によれば、特許請求の範囲に定義される如く、垂直導通MOSFET装置及びその製造方法が提供される。
【0029】
本発明のより良い理解のために、本発明の幾つかの実施例について添付の図面を参照して純粋に非制限的な例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図2中の断面線I-Iに沿って取った既知のMOSFET装置の一部の断面図。
図2図1のMOSFET装置の平面図。
図3図2中の断面線III-IIIに沿って取った図1のMOSFET装置の断面図。
図4図2注の断面線IV-IVに沿って取った図1のMOSFET装置の断面図。
図5】本発明の1実施例に基づくMOSFET装置の平面図。
図6】断面線VI-VIに沿って取った図5のMOSFET装置の断面図。
図7】本発明の別の実施例に基づく断面線VI-VIに沿って取った図5のMOSFET装置の断面図。
図8】断面線VIII-VIIIに沿って取った図5のMOSFET装置の断面図。
図9】断面線IX-IXに沿って取った図5のMOSFET装置の断面図。
図10図5のMOSFET装置のゲート導電性領域の可能なレイアウト。
図11図5のMOSFET装置のゲート導電性領域の別の可能なレイアウト。
図12】(A)及び(B)は本発明の1実施例に基づく図6のMOSFET装置の相次ぐ製造ステップにおける半導体ウエハの(図6と同じ断面で取られた)各断面図。
図13】(A)乃至(C)は本発明の異なる実施例に基づく図6のMOSFET装置の相次ぐ製造ステップにおける半導体ウエハの(図6と同じ断面で取られた)各断面図。
図14】(A)及び(B)は本発明の1実施例に基づく図7のMOSFET装置の相次ぐ製造ステップにおける半導体ウエハの(図7と同じ断面で取られた)各断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
MOSFET装置50は、4個の横表面、即ち側部、52A-52Dと、上部表面52Eと、を有している大略平行六面体形状を有するダイ52内に形成されている。特に、図5の平面図において、ダイ52は、第1側部52Aと、第1側部52Aの反対側の第2側部52Bと、第3側部52Cと、第3側部52Cの反対側の第4側部52Dと、を有しており、第3及び第4側部52C,52Dはカーテシアン座標系XYZの第1軸Xに対して平行であり、且つ第1及び第2側部52A,52Bはカーテシアン座標系XYZの第2軸Yに対して平行である。
【0032】
MOSFET装置50は、互いに隣接しており且つ並列接続されている複数個の基本セル(図6及び7においては2個のセルが示されている)を有している。従って、それらのセルは、ソース端子Sと、ドレイン端子Dと、ゲート端子Gとを共用している。
【0033】
図6及び7の断面において見られるように、ダイ52は、第1表面55Aと第2表面55Bとを有しているシリコンカーバイドの基板55を有している。基板55は、ドレイン領域57、複数個のボディ領域60、及び複数個のソース領域65を収容しており、これらは図1の夫々の同じ名称の領域7,10、及び15と類似しているからそれらの更なる説明は割愛する。
【0034】
金属及び/又はシリサイド等の導電性物質からなるドレインコンタクト領域59が、ドレイン領域57と直接電気的にコンタクトして基板55の第2表面55B上を延在しており且つMOSFET装置50のドレイン端子Dを形成している。
【0035】
ドレイン領域57の表面部分64は2個の隣接するボディ領域60の間に構成されている。各ソース領域65は、隣接する表面部分64と共に、夫々のボディ領域60のチャンネル部分75を横方向に境界画定している。
【0036】
MOSFET装置50は、更に、複数個の絶縁ゲート領域70を有している。絶縁ゲート領域70は、各々、基板55の第1表面55Aとコンタクトしているゲート絶縁性領域71、該ゲート絶縁性領域71の直上にあるゲート導電性領域72、及びゲート絶縁性領域71と共にゲート導電性領域72を取り囲んでおり且つ封止している上部絶縁層73、によって形成されている。
【0037】
各ゲート導電性領域72は、ここでは、典型的には多結晶シリコンからなるゲート半導体部分76、及び該ゲート半導体部分76の直上にあり且つそれと直接電気的コンタクトをしているゲート金属部分77、によって形成されている。ゲート金属部分77は、典型的に、金属シリサイドであり、例えばタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、又はプラチナのシリサイドである。
【0038】
図6の実施例においては、ゲート金属部分77はゲート半導体部分76と同じ幅(第1軸Xの方向において)を有しており、図7の実施例においては、該ゲート金属領域(参照番号77’を付してある)はゲート半導体部分76よりも一層小さい幅を有している。
【0039】
各絶縁ゲート領域70のゲート絶縁性領域71は、ドレイン領域57の夫々の表面部分64上、夫々の表面部分64に隣接する2個のチャンネル領域75上、及び、部分的に、夫々のチャンネル領域75に隣接する2個のソース領域65上を延在している。
【0040】
ゲート導電性領域72は、互いに電気的に並列接続されると共に、後述するように、MOSFET装置50のゲート端子Gへ接続されている。
【0041】
MOSFET装置50は、更に、複数個のボディコンタクト領域80(以後Pウエル領域80としても言及する)を有しており、それらは図1のボディコンタクト領域30に類似している。
【0042】
Pウエル領域80及びソース領域65は、例えば金属及び/又は金属シリサイドからなるソースメタリゼーション領域83と直接電気的にコンタクトしている。
【0043】
図5から理解されるように、ソースメタリゼーション領域83は、ここでは、ダイ50の上部表面52Eの殆どを占有している単一部分によって形成されており且つMOSFET装置50の外部接続用のパッドも形成している。
【0044】
更に、2個の補助的ソースパッド84及び1個のゲートパッド85が基板55の第1表面55A上に延在している。補助的ソースパッド84、ゲートパッド85、及び単一のソースメタリゼーション領域83が同じ層内に形成されており、従ってソース端子Sの所望の電流能力を与えるために例えば1μmと10μmとの間の同じ高い厚さを有している。所望により、ソースメタリゼーション領域83は、単一の部分ではなく、幾つかの別個の部分によって形成させることが可能であることが注記される。いずれの場合にも、MOSFET装置50においては、それらの間の距離は臨界的なものではなく、且つゲート金属フィンガー(図1における38B)は存在せず、ゲート金属リング(図1における38A)も存在しない。
【0045】
ゲートパッド85(ここでは、中間位置においてダイ52の第1側部52Aの近傍に配置されている)は環状接続領域86を介してゲート導電性領域72(図5中に点線で表してある)へ接続されており、該環状接続領域86はダイ52の周辺部の近傍を延在しており且つゲートパッド85の下側に配置されているコンタクト区域86Aを形成する拡幅部分を有している。環状接続領域86は、ゲート導電性領域72とモノリシックであり、同じ層によって形成されており、且つ後に詳述するように、ゲート導電性領域72を形成する同じ処理ステップによって得られる。
【0046】
環状接続領域86は図8の断面においても見ることができ、それらの図においては、簡単化のために、ゲート絶縁領域71は表示されていない。特に、図8は、例えば第2側部52Bに隣接したダイ52の周辺端部部分(参照番号87を付してある)を示している。ここでは酸化物である端部絶縁領域90が基板55の第1表面55A上を延在している。
【0047】
端部絶縁領域90は、ここでは酸化物層96及びその上にあるパッシベーション層92を有している。ダイ52の第3及び第4側部52C,52Dの近傍において、パッシベーション層92は絶縁ゲート領域70の上部絶縁層73と続行し、それは、図8の断面において、複数の開口によって中断されており、該開口内にはソースメタリゼーション83が延在している。
【0048】
基板55の導電型と反対の導電型でここではP型で且つ環状形状を有している境界画定領域91が、端部絶縁領域90の内側端部の近傍であるがそれから或る距離において端部絶縁領域90の下側で基板55内を延在している。境界画定領域91は、基板55において、ボディ領域60とソース領域65とを包含しているMOSFET装置50の導通領域を収容している活性区域94(その限界は点線Bで模式的に示してある)を取り囲んでいる。ここではN型であり環状形状であるチャンネルストッパー領域93が、端部区域における電位をバランスさせるために、境界画定領域91から或る距離D1において、ダイ52の側部52A-52Dの近傍において、端部絶縁領域90の下側を延在している。
【0049】
環状接続領域86が端部絶縁領域90の内側端部に沿ってのみ環状態様で延在しており且つ活性区域間に延在する部分を有するものではない。前述した如く、環状接続領域86は、2つの層の積層体として、ゲート導電性領域72とモノリシックに形成されている。特に、環状接続領域86は、半導体接続部分88と、該半導体接続部分88の直上に存在しており且つそれと直接電気的コンタクトをしている金属接続部分89とを有している。
【0050】
更に、半導体接続領域88の物質はゲート半導体部分76(典型的には多結晶シリコン)のものと同じであり、且つ金属接続部分89の物質はゲート金属部分77(典型的には金属シリサイドで、例えばタングステン、チタン、ニッケル、コバルト、又はプラチナのシリサイド)のものと同じである。ゲート半導体部分76と環状接続領域86とを形成する夫々の層の積層体がゲートバイアス層95を形成する。
【0051】
図8から理解されるように、環状接続領域86は、端部絶縁領域90上を最小範囲延在するに過ぎず、且つ非常に小さい幅、例えば10μmと50μmとの間を有している。更に、境界画定領域91も小さな幅(図8の断面において第1方向において)を有しており、それは、例えば20μmと50μmとの間である。この様に、周辺端部部分87の幅は減少され、従って、ダイ2-52の同じ寸法に対して、活性区域94の寸法を増加させることも可能である。
【0052】
更に、図9(既知のMOSFET装置1を表している図4と類似しており且つそれと比較して)から理解されるように、MOSFET装置50の中央区域において、ゲートメタリゼーション部分の不存在に起因して非活性端部区域は延在していない。その結果、MOSFET装置50においては、パッシベーション層92/73は上部において環状接続領域86の金属接続部分89を完全に被覆しており、且つパッシベーション層92/73を介して開口も導電性領域も存在せず、環状接続領域86の上部表面とゲートメタリゼーション85との間の直接的な電気的コンタクトを与える表面金属部分も存在しない。環状接続領域86のバイアス印加は、実際に、コンタクト区域86Aと隣接するその部分においてのみ発生する。従って、MOSFET装置50は、広い活性区域94を有しており、従ってダイ52の面積を効果的に利用している。
【0053】
図10及び11はゲートバイアス層95の2つの可能なレイアウトを示している。特に、図10は、コンタクト区域86Aを周辺部に配置させた図5に示したものに対応するゲートバイアス層95のレイアウトを示している。
【0054】
理解されるものと思われるが、環状接続領域86は第1及び第2分岐部86B,86Cを有しており、それらはボディ52の2つの反対側部に沿って(そして、正確には、図10に示した実施例においては、ダイ52の第3及び第4側部52C,52Dに沿って)その近傍を延在しており、そしてゲート導電性領域72は環状接続領域86の第1及び第2分岐部86B,86Cの間に連続的に延在している。
【0055】
図11は、ゲートバイアス層の異なるレイアウトを示しており、ここでは参照番号95’を付してある。ここでも、ゲート導電性領域72は、環状接続領域86の第1及び第2分岐部86B,86Cの間を連続的に延在している。最も中央に配置されているゲート導電性領域72は1個の拡幅中央部分を有しており、それは幾つかの異なるゲート導電性領域72に対して共通であり且つゲートパッド85がその上を延在するコンタクト区域86A’を形成している。この場合には、環状接続領域86のバイアス印加は、環状接続領域86をコンタクト区域86A’へ接続しているゲート導電性領域72を介してのみ発生する。
【0056】
一般的に、MOSFET装置50の場合には、ゲートパッド85の位置、従ってコンタクト区域86A,86A’の位置は適用例及びあり得る顧客の希望に従って高い自由度で選択することが可能である。
【0057】
図5,6,8-11のMOSFET装置52は、ゲート導電性領域72のゲート半導体部分76を画定するまで又は後にシリサイド層を付着/形成することによって製造することが可能である。例えば、図12Aは、ダイシングの後に図6のダイ52を形成することが意図されたシリコンカーバイド(例えば、3C-SiC,4H-SiC,6H-SiCタイプ)のウエハ100を示している。特に、図12Aにおいて、ソース領域65、ボディ領域60、及びPウエル領域80は既に基板55内に形成されており、ここでは図示していないが種々の端部領域(図8の境界画定領域91及びチャンネルストッパー領域93を含む)も同様である。
【0058】
ゲート絶縁層101、ゲート導電層102、及びシリサイド層103が既に基板55の第1表面55A上に順番に付着されている。ゲート絶縁層101は、例えば、シリコン酸化物であって且つゲート絶縁性領域71を形成することが意図されている。ゲート導電層102は典型的に多結晶シリコンであって且つゲート導電性領域72のゲート半導体部分76及び半導体接続部分88を形成するために設計される。シリサイド層103は、例えば、タングステンシリサイド(WSi)であり且つゲート金属部分77及び金属接続部分89(図6及び8)を形成することが意図されている。
【0059】
例えば700℃と1000℃との間の温度での安定化アニーリング処理の後に、シリサイド層103、ゲート導電層102、及びゲート絶縁層101が、同じエッチングマスク(図12B)を使用してフォトリソグラフィプロセスによって既知の態様で画定される。その際に、ゲート導電性領域72(図6及び12B)、環状接続領域(図8)、及びゲート絶縁性領域7が形成される。更に、ゲート金属部分77及びゲート半導体部分76が互いに自己整合され、金属接続部分89及び半導体接続部分88も同様である。
【0060】
次いで、上部絶縁層73、パッシベーション層92、及びメタリゼーション83-85を形成する夫々のステップが続いて行われる。特に、パッシベーション層92を形成する間は、環状接続領域86へ直接コンタクトするための開口は設けられない。
【0061】
図13A-13Cは、図5,6,8-11のMOSFET装置50を製造する方法の異なる実施例のステップを示している。詳細には、図13Aはウエハ100の一部を示している。図13Aのステップにおいては、ソース領域65、ボディ領域60、Pウエル領域80、及び種々の端部領域が既に基板55内に形成されている。
【0062】
更に、ゲート絶縁層101が既に基板55の第1表面55A上に付着されており、且つゲート導電性領域72のゲート半導体部分76及び半導体接続部分88が、例えば、多結晶シリコン層を付着させ且つフォトリソグラフィ的に画定させることによって、既に形成されている。例えばシリコン酸化物からなる犠牲層105が、ゲート半導体部分76上及び露出されている箇所のゲート絶縁層101上に付着されている。
【0063】
次いで(図13B)、犠牲層105をエッチングしてスペーサ106を形成する(スペーサエッチング)。このために、エッチングは非マスク型で、ドライで、指向性タイプである(プラズマエッチング)。エッチングの非等方性のために、犠牲層105の水平部分が除去され、且つゲート半導体部分76の垂直壁上にスペーサ106が形成される。このステップにおいて、ソース領域65上でゲート半導体部分76によって及びスペーサ106によって被覆されていないゲート絶縁層101の部分が除去されてゲート絶縁性領域71を形成する。同様のスペーサ(不図示)が半導体接続部分88の横方向表面上に形成する(図8)。
【0064】
次いで(図13C)、金属層(例えば、チタン又はニッケル)がスパッタリングによって付着され且つゲート半導体部分76の及び半導体接続部分88の(不図示の態様で)多結晶シリコンと反応する(図8)。このために、第1アニーリングが600℃と1000℃との間の低い温度で実施される。次いで、反応しなかった金属物質(例えばスペーサ106上)を除去し、且つ第1アニーリングが例えば800℃と1100℃との間の一層高い温度において実施される。従って、ゲート導電性領域72のゲート金属部分77及び環状接続領域86の金属接続部分89(図8)が形成される。
【0065】
その結果、この場合にも、ゲート金属部分77は夫々のゲート半導体部分76と自己整合され、且つ金属接続部分89は半導体接続部分88と自己整合される。
【0066】
このステップにおいて、薄いシリサイド層が基板55の露出部分の上、特にソース領域65上及びPウエル領域80上に形成する場合があるが、これらの部分は、特定のプロセスに従って、適宜のエッチングによって除去するか又は残存させることが可能である。本プロセスは、上部絶縁層73、パッシベーション層92、及びメタリゼーション83-85を形成する夫々の通常のステップで進行する。
【0067】
図14A-14Bは、図5,7,8-11のMOSFET装置50を製造するプロセスの1実施例の夫々のステップを示している。特に、図14Aは、図13Aを参照して既に説明した製造ステップを実施した後のウエハ100’を示している。
【0068】
特に、ウエハ100’において、ソース領域65、ボディ領域60、Pウエル領域80、及び種々の端部領域が既に基板55内に形成されている。ゲート絶縁層101が既に基板55の第1表面55A上に付着されている。ゲート導電性領域72のゲート半導体部分76及び半導体接続部分88(図14A中は見えない)が、例えば多結晶シリコン層を付着形成し且つフォトリソグラフィ的に画定することによって既に形成されている。例えばシリコン酸化物からなる犠牲層115が、ゲート半導体部分76上及び露出されている箇所のゲート絶縁層101上に付着されている。
【0069】
次いで(図14B)、ゲートコンタクトマスク(不図示)が犠牲層115上に形成され、且つ犠牲層115をゲート半導体部分76上及び半導体接続部分88(図14B中には見えない)上で選択的に除去する。従って、ゲート半導体部分76の及び半導体接続部分88の側部及び長手軸端部及び露出されている箇所のゲート絶縁層101を被覆しているマスキング部分115’が形成される。
【0070】
次いで、金属層(例えば、チタン、コバルト、又はプラチナ)がスパッタリングによって付着させ、且つゲート半導体部分76の及び(不図示の態様で)半導体接続部分88(図8)の多結晶シリコンと反応させる。そのために、例えば600℃と1000℃との間の低い温度で第1アニーリングを実施する。次いで、反応しなかった金属物質(マスキング部分115’上)を除去し、且つ例えば800℃と1100℃との間の一層高い温度で第2アニーリングを実施する。従って、ゲート導電性領域72のゲート金属部分77及び環状接続領域86の金属接続部分89が形成される(図8)。
【0071】
次いで、犠牲層105の残存する反応しなかった部分を除去し、且つ上部絶縁層73、パッシベーション層92、及びメタリゼーション83-85を夫々形成する更なるステップを実施する。
【0072】
そのようにして形成されたMOSFET装置50は種々の利点を有している。特に、それは簡単化された構造を有しており、周辺端部区域の寸法の減少及び内側端部区域の除去のおかげで活性区域が増加されている。MOSFET装置50は、改良されたゲート抵抗Rを有している。何故ならば、金属接続部分に起因して面積の浪費が無いからである。更に、MOSFET装置50は、優れた堅牢性を有しており且つ高電流及び/又は高電圧適用例において使用することも可能である。例えば、10kVまでの電圧又は500Aまでの電流において動作することが可能である。
【0073】
MOSFET装置50は改良された信頼性を有している。何故ならば、その構造は簡単化されており且つゲート半導体部分76のポリシリコンは特定のドーピングを必要とするものではないからである。従って、ゲート導電性領域72からゲート絶縁性領域71内へのドーパント(典型的には、燐)のプレシピテーション(precipitation)即ち析出は存在しない。この様に、典型的には酸化物からなるゲート絶縁性領域71は高い信頼性を提供している。
【0074】
シリコンカーバイド基板を使用するMOSFET装置においては、全ての接合、注入領域、及びエンリッチさせたコンタクト領域は、基板55の表面上に夫々の層及び領域を形成する前に、活性化させるので、その製造プロセスはシリサイド部分77,89を形成した後には低いサーマルバジェット(thermal budget)を有しており、その結果、これらの部分は優れた熱的安定性を有している。
【0075】
更に、MOSFET装置50のアッセンブリ及びパッケージング期間中にソースメタリゼーション83とコンタクトされる外部コンタクト構造(クリップ)は簡単化させることが可能であり、コストを減少させ且つ電流導通信頼性を改善する。
【0076】
最後に、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的範囲を逸脱すること無しに、本書に記載し且つ説明したMOSFET装置及びその製造方法に対して種々の変形及び修正を行うことが可能であることは勿論である。例えば、図12A-12Bのプロセスの実施例において、シリサイド層103はゲート導電層102上に付着させた金属層を反応させることによって得ることが可能である。
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図2
図3
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図8
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