(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126014
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】モータのシリーズの製造方法、及びモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20220823BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H02K15/02 Z
H02K5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023825
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】591218307
【氏名又は名称】株式会社ニッセイ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 貴之
(72)【発明者】
【氏名】山口 上陽
【テーマコード(参考)】
5H605
5H615
【Fターム(参考)】
5H605AA07
5H605BB05
5H605CC01
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP28
(57)【要約】
【課題】効率の異なるシリーズのモータの部品を共用化することで、低コストでモータを提供することを目的とする。
【解決手段】モータフレームの内部に固定されるステータと、モータフレームの前端側に配置され、モータ軸の一端を軸受を介して軸支する負荷側ブラケットと、モータフレームの後端側に配置され、モータ軸の他端を軸受を介して軸支する反負荷側ブラケットと、を備えるモータを複数有するシリーズであって、モータの効率が低い第1シリーズと、該第1シリーズよりもモータの効率が高い第2シリーズとを含み、第1シリーズ及び第2シリーズにおける所定の容量のモータ同士で、モータフレーム、負荷側ブラケット、及び反負荷側ブラケットが各々同一形状であり、第2シリーズにおけるモータのステータの積厚は、第1シリーズにおけるモータのステータの積厚よりも厚い。積厚の増加分はスペーサを用いる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータフレームの内部に固定されるステータと、
前記モータフレームの前端側に配置され、モータ軸の一端を軸受を介して軸支する負荷側ブラケットと、
前記モータフレームの後端側に配置され、前記モータ軸の他端を軸受を介して軸支する反負荷側ブラケットと、
を備えるモータを複数有するシリーズの製造方法であって、
前記モータのシリーズは、モータの効率が低い第1シリーズと、該第1シリーズよりもモータの効率が高い第2シリーズとを含み、
前記第1シリーズにおける所定の容量のモータと、前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータとは、前記モータフレーム、前記負荷側ブラケット、及び前記反負荷側ブラケットが各々同一形状であり、
前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータは、前記モータフレームと、前記負荷側ブラケットまたは前記反負荷側ブラケットの少なくともいずれか一方との間に配置されるスペーサを有し、
前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータのステータの積厚は、前記第1シリーズにおける前記所定の容量のモータのステータの積厚よりも厚い
ことを特徴とするモータのシリーズの製造方法。
【請求項2】
前記モータ軸の一端が接続されるギア機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のモータのシリーズの製造方法。
【請求項3】
前記モータ軸の軸方向より見て、前記スペーサの形状は、前記モータフレームの形状と略同一である
ことを特徴とする請求項1または2に記載のモータのシリーズの製造方法。
【請求項4】
前記モータフレームの表面には端子箱が配置されており、
前記スペーサは、前記モータフレームと前記反負荷側ブラケットとの間のみに配置されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のモータのシリーズの製造方法。
【請求項5】
モータフレームの内部に固定されるステータと、
前記モータフレームの前端側に配置され、モータ軸の一端を軸受を介して軸支する負荷側ブラケットと、
前記モータフレームの後端側に配置され、前記モータ軸の他端を軸受を介して軸支する反負荷側ブラケットと、
を備えるモータであって、
前記モータは、前記モータフレームと、前記負荷側ブラケットまたは前記反負荷側ブラケットの少なくともいずれか一方との間に配置されるスペーサを有する
ことを特徴とするモータ。
【請求項6】
前記モータ軸の一端が接続されるギア機構を備える
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ。
【請求項7】
前記モータ軸の軸方向より見て、前記スペーサの形状は、前記モータフレームの形状と略同一である
ことを特徴とする請求項5または6に記載のモータ。
【請求項8】
前記モータフレームの表面には端子箱が配置されており、
前記スペーサは、前記モータフレームと前記反負荷側ブラケットとの間のみに配置されている
ことを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率の異なるシリーズのモータの部品を共用化することで、低コストでモータを提供することができるモータのシリーズの製造方法、及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの効率クラスを規定する規格として、IEC(国際電気標準会議)60034-30-1が2014年3月に発行されている。効率クラスとは、効率基準値をクラス分けしたもので、最も高い効率からIE4(スーパープレミアム効率)、IE3(プレミアム効率)、IE2(高効率)、及びIE1(標準効率)が規定されている。
【0003】
近年、国際的な地球環境問題への関心が高まっている状況下で、エネルギー需要の伸びを抑えていくことが緊急の課題となっている。このような状況下で、各国とも、より高効率なモータへと製造及び使用が制限されていくスケジュールが示されている。
【0004】
例えば中国では、2017年9月1日よりモータ容量0.75kW以上~375kW以下の三相インダクションモータに対してIE3相当(中国独自のGB規格により、2021年6月1日以前はGB2級、2021年6月1日以降はGB3級)の効率クラスが求められているが、2021年6月1日以降は、モータ容量0.12kW以上~1000kW以下の三相インダクションモータに対してIE3相当の効率クラスが求められる予定となっている。
【0005】
また、欧州では、2017年1月1日よりモータ容量0.75kW以上~375kW以下のモータに対してIE3の効率クラスが求められているが、2021年7月1日以降は、モータ容量0.12kW以上~0.75kW未満の三相インダクションモータに対してIE2の効率クラスが求められ、かつモータ容量0.75kW以上~1000kW以下の三相インダクションモータに対してIE3の効率クラスが求められる予定となっている。
【0006】
しかしながら、従来の低効率モータも、規制のされていない国に対しては販売が可能であり、安価である為にユーザのニーズもある。また、規制前に販売・設置された低効率モータに対しては、規制後であっても保守用の交換部品として在庫をしておく必要がある。このため、モータの製造メーカは、同じ容量のモータに対して効率の異なる複数種類のモータを用意しておかなければならず、製造メーカにとって極めて重い在庫負担を余儀なくされることになる。
【0007】
この問題を解決するための発明として、従来、特許文献1には、第1基本シリーズ(低効率モータ)の特定の枠番のギヤと連結されるモータを、第2基本シリーズ(高効率モータ)の当該特定の枠番よりも小さい枠番のギヤと連結される構成とすることで、同一のモータを、低効率の基本シリーズ、及び高効率の基本シリーズにも共用し、全シリーズ中のモータの種類の抑えることができるシリーズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に開示されたモータのシリーズのように、同一出力のモータのサイズ(枠番)を大きくすると銅損や鉄損の低減につながり、比較的容易に高効率化が図れるが、モータを使用する設置場所のスペースの問題により、取付けが困難になる場合がある。特に、モータの外径が大きくなることに関しては設置上問題となるケースが多い。一方、モータの軸方向には、冷却ファンのためにスペースに余裕を持たせている場合が多いため、モータの長さ方向が長くなることに対しては許容され易い傾向にある。また、特許文献1のモータのシリーズでは、大きさの異なるギヤと各モータとを連結するために、継カバー(Ka1~Kc3)をそれぞれ用意しなければならないため、部品の種類が増えてしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、同一容量の低効率モータと高効率モータとで部品を共通化することで、モータの外径の増大を抑え、低コストでモータを提供することができるモータのシリーズの製造方法、及びモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載のモータのシリーズの製造方法は、モータフレームの内部に固定されるステータと、前記モータフレームの前端側に配置され、モータ軸の一端を軸受を介して軸支する負荷側ブラケットと、前記モータフレームの後端側に配置され、前記モータ軸の他端を軸受を介して軸支する反負荷側ブラケットと、を備えるモータを複数有するシリーズの製造方法であって、前記モータのシリーズは、モータの効率が低い第1シリーズと、該第1シリーズよりもモータの効率が高い第2シリーズとを含み、前記第1シリーズにおける所定の容量のモータと、前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータとは、前記モータフレーム、前記負荷側ブラケット、及び前記反負荷側ブラケットが各々同一形状であり、前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータは、前記モータフレームと、前記負荷側ブラケットまたは前記反負荷側ブラケットの少なくともいずれか一方との間に配置されるスペーサを有し、前記第2シリーズにおける前記所定の容量のモータのステータの積厚は、前記第1シリーズにおける前記所定の容量のモータのステータの積厚よりも厚いことを特徴とするものである。
また、請求項2記載のモータのシリーズの製造方法は、請求項1に記載のモータのシリーズの製造方法であって、更に、前記モータ軸の一端が接続されるギア機構を備えることを特徴とするものである。
また、請求項3記載のモータのシリーズの製造方法は、請求項1または2に記載のモータのシリーズの製造方法であって、更に、前記モータ軸の軸方向より見て、前記スペーサの形状は、前記モータフレームの形状と略同一であることを特徴とするものである。
また、請求項4記載のモータのシリーズの製造方法は、請求項1から3のいずれか1項に記載のモータのシリーズの製造方法であって、更に、前記モータフレームの表面には端子箱が配置されており、前記スペーサは、前記モータフレームと前記反負荷側ブラケットとの間のみに配置されていることを特徴とするものである。
また、請求項5記載のモータは、モータフレームの内部に固定されるステータと、前記モータフレームの前端側に配置され、モータ軸の一端を軸受を介して軸支する負荷側ブラケットと、前記モータフレームの後端側に配置され、前記モータ軸の他端を軸受を介して軸支する反負荷側ブラケットと、を備えるモータであって、前記モータは、前記モータフレームと、前記負荷側ブラケットまたは前記反負荷側ブラケットの少なくともいずれか一方との間に配置されるスペーサを有することを特徴とするものである。
また、請求項6記載のモータは、請求項5に記載のモータであって、更に、前記モータ軸の一端が接続されるギア機構を備えることを特徴とするものである。
また、請求項7記載のモータは、請求項5または6に記載のモータであって、更に、前記モータ軸の軸方向より見て、前記スペーサの形状は、前記モータフレームの形状と略同一であることを特徴とするものである。
また、請求項8記載のモータは、請求項5から7のいずれか1項に記載のモータであって、更に、前記モータフレームの表面には端子箱が配置されており、前記スペーサは、前記モータフレームと前記反負荷側ブラケットとの間のみに配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のモータのシリーズの製造方法、及び請求項5記載のモータによれば、モータの効率が低い第1シリーズと、モータの効率が高い第2シリーズとで、モータフレーム、負荷側ブラケット、及び反負荷側ブラケットを共通化することができる。このため、第1シリーズから第2シリーズに置き換えた際にモータの外径が増大することが無い。また、各部品が共通化されているため、低コストでモータのシリーズを提供することができる。
また、請求項2記載のモータのシリーズの製造方法、及び請求項6記載のモータによれば、ギア機構を備えるギアモータを提供する場合、モータの効率が低い第1シリーズと、モータの効率が高い第2シリーズとで、モータの外径が変わらないため、モータフレームとギア機構とを連結する部品を新たに製造する必要が無く、コストダウンとなる。
また、請求項3記載のモータのシリーズの製造方法、及び請求項7記載のモータによれば、スペーサの形状が軸方向から見てモータフレームの形状と略同一であるため、スペーサ部分が外方に突出することがない。このため、モータの設置時に周囲の装置と干渉する可能性が低く、使い勝手が良い。
また、請求項4記載のモータのシリーズの製造方法、及び請求項8記載のモータによれば、スペーサがモータフレームの反負荷側のみに設置されるため、第1シリーズのモータから第2シリーズのモータに置き換えた際に、端子箱の位置が変わらない。このため、モータへの配線等の長さを変更する必要が無い。端子箱はモータフレームから外部に突出しているため、周囲の装置との干渉が問題になり易い箇所であるが、本発明によれば端子箱の位置が変わらないため、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態における低効率モータを備えたギアモータの断面図である。
【
図2】本実施形態における高効率モータを備えたギアモータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、効率値がIE1クラスの所定の容量(例えば0.4kW)のギアモータ1A(インダクションモータ)の説明図であり、モータ部分を断面で表示している。このギアモータ1Aは、筒状のモータフレーム2と、モータフレーム2の軸方向の一端側(負荷側,
図1の右側)にギアブラケット3を介して接続されるギアヘッド4と、モータフレーム2の他端側(反負荷側,
図1の左側)にモータブラケット5を介して接続されるファンカバー6と、ファンカバー6内に設けられるファン7と、モータフレーム2の外周面に設置された端子箱8とを備えている。
【0015】
モータフレーム2の内側には、積厚L1のステータ9Aが、焼き嵌めによって固定されている。ステータ9Aの内側には、ロータ10Aが収容されている。ロータ10Aの中心にはモータ軸11Aが圧入によって一体的に固定されており、モータ軸11Aはギアブラケット3とモータブラケット5とにそれぞれ保持された軸受12,12を介して軸心C0を中心として回転可能に支持されている。
【0016】
モータブラケット5、モータフレーム2、及びギアブラケット3は、モータブラケット5側からモータフレーム2を貫通してギアブラケット3に設けられたネジ穴に螺合される複数の通しボルト13Aにより、一体に結合されている。また、通しボルト13Aの頭部には、ファンカバー6を固定するためのL字型のステー14が、共締めによりモータブラケット5に固定されている。ファンカバー6は、ステー14に、固定ネジ15により固定されている。
【0017】
負荷側に突出するモータ軸11Aの端部にはピニオン16が形成されており、ピニオン16は、ギアヘッド4内に設けられた図示しないギア機構と噛合している。ギアモータ1Aの出力軸17は、ギアヘッド4から突出している。また、ギアヘッド4には、ギアモータ1Aを相手側装置に固定するための据付部18が形成されている。
【0018】
モータ軸11Aの反負荷側の端部は、モータブラケット5の中心を通ってファンカバー6内に突出し、先端にはファン7が嵌合固定されている。ファンカバー6におけるファン7との対向部分には、軸方向に向かって多数の吸気口が形成されているため、モータ軸11Aの回転に伴ってファン7が回転すると、ファンカバー6内で空気がファン7の外周側へ導かれて、モータブラケット5の外周とファンカバー6との隙間を通ってモータフレーム2の表面及びギアヘッド4の表面を冷却するようになっている。
【0019】
図2は、効率値がIE3クラスのギアモータ1Bの説明図であり、モータ部分を断面で表示している。IE1クラスのギアモータ1Aに対して、IE3クラスのギアモータ1Bの相違点は、ステータ9B、ロータ10B、モータ軸11B、及び通しボルト13Bの形状が異なる点と、スペーサ30が追加されている点である。その他の部品(ギアブラケット3、モータフレーム2、モータブラケット5、ファン7、ファンカバー6、端子箱8等)に関しては、IE1クラスとIE3クラスのギアモータで各々同一形状である。つまり、部品が共通化されている。ギアモータ1Aとギアモータ1Bとは、同じ容量(ここでは0.4kW)である。
【0020】
ここで、モータの効率改善の手法について簡単に説明する。インダクションモータの損失は、一次銅損、鉄損、二次銅損、機械損、及び漂遊負荷損に分類される。それぞれの損失を低減するためには様々なアプローチがあるが、本発明では特に一次銅損に着目し、高効率化を図った。一次銅損は固定子巻線に流れる電流値と固定子巻線の抵抗によって決まるため、巻線抵抗を低くすることでモータの高効率化が図れる。つまり、固定子巻線の線径を太くし、巻数を少なくする必要がある。しかし、単純に巻数を少なくするだけでは電流値が増えるため、固定子鉄心が磁気飽和し易くなってしまう。この対策として、固定子鉄心の鉄の量を増やす(つまりステータの積厚を厚くする)ことで、磁気飽和を防ぐことができる。
【0021】
ギアモータ1Bには、ギアモータ1Aに使用するステータ9Aよりも積厚が厚い、積厚L2のステータ9Bが用いられている(L1<L2)。モータフレーム2に対するステータ9Aの焼き嵌め位置と、ステータ9Bの焼き嵌め位置とは、負荷側を基準として揃っている。つまり、積厚が厚くなった分、ステータ9Bはモータフレーム2の反負荷側へ突出するような配置となっている。
【0022】
ステータ9Bの内側には、ステータ9Bの積厚増加分だけ厚いロータ10Bが収容されている。ロータ10Bの中心には、同じくステータ9Bの積厚増加分だけ長いモータ軸11Bが圧入によって一体的に固定されており、モータ軸11Bはギアブラケット3とモータブラケット5とにそれぞれ保持された軸受12,12を介して軸心C0を中心として回転可能に支持されている。
【0023】
モータフレーム2とモータブラケット5との間には、ステータ9Bの積厚増加分に対応した厚さの筒状のスペーサ30が配置されている。モータブラケット5、スペーサ30、モータフレーム2、及びギアブラケット3は、モータブラケット5側からスペーサ30及びモータフレーム2を貫通してギアブラケット3に設けられたネジ穴に螺合される複数の通しボルト13Bにより、一体に結合されている。
【0024】
図3は
図2のA部拡大図であり、ギアモータ1Bにおけるスペーサ30及びその付近の詳細に説明した図である。
図4はスペーサ30の図面であり、(A)は断面図、(B)は正面図である。スペーサ30の外形は、軸心C0の方向より見て、端子箱8の設置部分を除いたモータフレーム2の外形と略同一の円形である。スペーサ30の負荷側の端面には、モータフレーム2と連結するための負荷側インロー31が形成されている。負荷側インロー31の形状は、モータブラケット5のインロー32の形状(外径・長さ)と等しい。また、スペーサ30の反負荷側の端面には、モータブラケット5と連結するための反負荷側インロー33が形成されている。反負荷側インロー33の形状は、モータフレーム2のインロー34の形状(外径・長さ)と等しい。このような寸法設定とすることで、IE1クラスのギアモータ1Aを構成する場合にはモータフレーム2とモータブラケット5とを直接連結することができ、IE3クラスのギアモータ1Bを構成する場合にはモータフレーム2とモータブラケット5との間にスペーサ30を挟んで連結することができる。また、スペーサ30の内周面には、通しボルト13Bとの干渉を避けるための4箇所の切り欠き35が形成されている。
【0025】
このように、上記形態のギアモータのシリーズによれば、IE1クラスのギアモータ1AとIE3クラスのギアモータ1Bとで、モータフレーム2、ギアブラケット3、モータブラケット5、ファン7及ファンカバー6を共通化することができる。このため、IE1クラスのギアモータ1AからIE3クラスのギアモータ1Bに置き換えた際に、モータの外径が増大することが無い。また、モータフレーム2、ギアブラケット3、モータブラケット5、ファン7、及びファンカバー6が共通化されているため、低コストでモータのシリーズを提供することができる。
【0026】
また、IE1クラスのギアモータ1AとIE3クラスのギアモータ1Bとで、モータの外径が変わらないため、モータフレーム2とギアヘッド4とを連結する部品を新たに製造する必要が無く、コストダウンとなる。
【0027】
また、スペーサ30の外形は、軸方向から見てモータフレーム2の外形と略同一の円形であるため、スペーサ30がモータフレーム2に対して外方に突出することがない。このため、ギアモータ1Bを設置する際に周囲の装置と干渉する可能性が低く、使い勝手が良い。
【0028】
また、スペーサ30がモータフレーム2とモータブラケット5との間のみに配置されており、ギアヘッド4に据付部18が設けられている。このため、IE1クラスのギアモータ1Aから1E3クラスのギアモータ1Bに置き換えた際に、据付部18に対して端子箱8の位置が変わらない。このため、モータへの配線等の長さを変更する必要が無い。端子箱8はモータフレーム2から外方に突出しているために周囲の装置との干渉が問題になり易い箇所であるが、本実施形態では端子箱8の位置が変わらないため、使い勝手が良い。
【0029】
以上のように、本実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態に加えうる変更の例について説明する。
【0030】
例えば、本実施形態では、ギアヘッド4を備えるギアモータとしたが、ギアヘッドは備えずにモータ軸を直接相手側装置に連結するようなモータであっても良い。また、本実施形態では、モータフレーム2及びスペーサ30の外形は円形としたが、角形のモータであっても良い。また、本実施形態ではギアブラケット3とギアヘッド4とは別部品としたが、ギアブラケット3の形状はギアヘッド4に一体型に形成されていても良い。また、本実施形態のギアモータに防水機能を追加するために、モータフレーム2、ギアブラケット3、モータブラケット5、及びスペーサ30の嵌合面には、Oリングを備える構造であっても良い。また、本実施形態ではブレーキを備えていないギアモータとしたが、例えばモータブラケット5とファン6との間にブレーキを備えるギアモータとしても良い。また、本実施形態では、IE1クラスの0.4kWのギアモータ1Aに、スペーサ30を追加し、ステータの積厚を延ばすことで、IE3クラスの0.4kWのギアモータ1Bを構成しているが、同じ効率クラスのより容量の大きいギアモータを構成することもできる。例えば、IE1クラスの0.4kWのギアモータ1Aに、スペーサ30を追加し、ステータの積厚を延ばすことで、IE1クラスの0.55kWのギアモータを構成することもできる。
【0031】
[本発明と実施形態との構成の対応関係]
本実施形態のギアモータ1Aは、本発明の第1シリーズのモータの一例である。本実施形態のギアモータ1Bは、本発明の第2シリーズのモータの一例である。本実施形態のギアブラケット3は、本発明の負荷側ブラケットの一例である。本実施形態のモータブラケット5は、本発明の反負荷側ブラケットの一例である。
【符号の説明】
【0032】
1A,1B ギアモータ
2 モータフレーム
3 ギアブラケット
4 ギアヘッド
5 モータブラケット
8 端子箱
9A,9B ステータ
10A,10B ロータ
11A,11B モータ軸
16 ピニオン
30 スペーサ
C0 軸心
L1,L2 積厚