(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126015
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ゴルフシューズ
(51)【国際特許分類】
A43B 5/00 20220101AFI20220823BHJP
A63B 57/60 20150101ALI20220823BHJP
【FI】
A43B5/00 303
A63B57/60
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023826
(22)【出願日】2021-02-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521073187
【氏名又は名称】株式会社ミヤビ
(74)【代理人】
【識別番号】100104640
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】岡野 祐志
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050GA30
4F050JA02
4F050MA90
(57)【要約】
【課題】ゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業性がよく、デザイン性も阻害されないブラシ付きのゴルフシューズを提供する。
【解決手段】アッパー10とソール20とから構成されており、ソール20は、接着剤を介して相互に接合されたミッドソール21及びアウトソール22によって形成されている。アウトソール22の底面には、芝生等に圧接することによってグリップ力や安定性を向上させる複数の樹脂スパイク23が着脱自在に取り付けられており、つま先部分には、ゴルフクラブのフェース面に付着した土や芝を取り除くためのブラシ部24が一体成形されている。ブラシ部24は、つま先部分の両側縁に沿って配置された、アウトソール22の底面から下方に突出する複数本のブラシ要素(毛)25を備えており、ブラシ要素(毛)25は、樹脂スパイク23の下面から突出しないように、その長さが設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴底面のつま先部分またはかかと部分に、毛先が下を向くブラシ部を設けたことを特徴とするゴルフシューズ。
【請求項2】
前記ブラシ部は、靴底の外縁に沿って配置されている請求項1に記載のゴルフシューズ。
【請求項3】
前記ブラシ部は、靴底面のつま先部分における小指側または親指側の少なくとも一方側に設けられている請求項1または2に記載のゴルフシューズ。
【請求項4】
前記ブラシ部は、前記靴底に一体成形されている請求項1、2または3に記載のゴルフシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プレー中の素振り等によってゴルフクラブのフェース面に付着した土や芝を拭き取ることができるゴルフシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
アイアンやサウンドウエッジといったゴルフクラブは、グリーン上で打球をすぐに止めたり、バックスピンで戻したりするために、ヘッドのフェース面に複数の横溝が形成されているが、プレイ中に素振りを行うことによって、フェース面の横溝に土や芝が詰まってしまうと、バックスピン等をかけることができなくなるので、プレー中にフェース面の横溝に詰まった土や芝を取り除く必要がある。
【0003】
従って、ゴルファーはフェース面の横溝に詰まった土や芝を取り除くために、専用のブラシやタオル等を持ち歩いていたが、こういった専用のブラシ等によって、フェース面の横溝に詰まった土や芝を取り除く作業は煩雑であり、手間がかかるといった問題があった。このため、例えば、
図5に示すように、フェース面の拭き取り機能を備えたゴルフシューズ50が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
このゴルフシューズ50は、同図に示すように、アッパー部分51の外側面の前部にブラシ52を着脱可能に取り付けたものであり、ゴルフクラブのフェース面をブラシ52に擦りつけることにより、ゴルフクラブのフェース面の横溝に詰まった土や芝を取り除くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ヘッドのフェース面に複数の横溝が形成されているアイアンやウエッジといったゴルフクラブは、シャフトの軸芯に対してフェース面が傾斜しており、特に、プレイ中に素振りを行う頻度が高く、フェース面の横溝に土や芝が詰まりやすいショートアイアンやウエッジ等のゴルフクラブは、その傾斜角度(ロフト)が大きくなっている。
【0007】
こういったロフトの大きいゴルフクラブのフェース面の横溝に詰まった土や芝を取り除くために、ゴルフクラブのフェース面を、上述したゴルフシューズ50のブラシ52に当てて拭き取るためには、例えば、右利きのゴルファーであれば、
図6に示すように、利き手でない左手にゴルフクラブGCを持ち替え、前屈みにならなければクラブヘッドCHのフェースFS面をブラシ52に当てることができず、しかも、その姿勢を維持した状態でクラブヘッドCHを動かさなければならないので、フェース面FSの拭き取り作業がやりにくいといった問題がある。
【0008】
また、アッパー部分51の外側面の前部にブラシ52を取り付けると、取り付けたブラシ52が目立ってしまい、ゴルフシューズのデザイン性が阻害されるので、ファッション性に欠けるといった問題もある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、ゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業性がよく、デザイン性も阻害されないブラシ付きのゴルフシューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、靴底面のつま先部分またはかかと部分に、毛先が下を向くブラシ部を設けたことを特徴とするゴルフシューズを提供するものである。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のゴルフシューズにおいて、ブラシ部が、靴底の外縁に沿って配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のゴルフシューズにおいて、ブラシ部は、靴底面のつま先部分における小指側または親指側の少なくとも一方側に設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、請求項1、2または3に係る発明のゴルフシューズにおいて、ブラシ部が、靴底に一体成形されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明のゴルフシューズは、靴底面のつま先部分またはかかと部分に、毛先が下を向くブラシ部が設けられているので、ゴルフシューズのつま先部分やかかと部分を地面から浮かすだけで、ロフトの大きいゴルフクラブのフェース面を容易にブラシ部に当てて拭き取ることができ、ロフトの小さいゴルフクラブについては、浮かしたゴルフシューズのつま先部分やかかと部分を傾けることにより、フェース面を容易にブラシ部に当てて拭き取ることができる。従って、アッパー部分の外側面の前部にブラシを取り付けた従来のゴルフシューズのように、ゴルフクラブを持ち替える必要がなく、前屈みになることもないので、ゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業性がよい。
【0015】
また、このゴルフシューズは、靴底面にブラシ部が設けられているので、ブラシ部が目立ちにくく、デザイン性が阻害されることがないので、ファッション性に欠けることもなく、ブラシ部が設けられていない一般的なゴルフシューズと同様の感覚で使用することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明のゴルフシューズは、ブラシ部が靴底の外縁に沿って配置されているので、ゴルフクラブのフェース面をブラシ部に当てやすく、フェース面をブラシ部に当てたクラブヘッドを引き上げながら、持ち上げた靴底のつま先部分やかかと部分を地面に降ろすことにより、フェース面を瞬時に拭き取ることができる。
【0017】
ブラシ部は、請求項3に係る発明のゴルフシューズのように、靴底面のつま先部分における小指側または親指側の少なくとも一方側に設けておくことが望ましく、特に、小指側または親指側の双方に設けておくと、右利きであるか、左利きであるかに拘わらず、ゴルファー自身がフェース面を当てやすいブラシ部を選択して使用することができるので、使い勝手が良い。
【0018】
また、請求項4に係る発明のゴルフシューズは、ブラシ部が靴底に一体成形されているので、ブラシ部材を別途靴底に取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができると共に、製造する際の工数を減らすことができるので、製造コストの低減を図ることができ、ブラシ部材を別途靴底に取り付けた場合に比べて、ブラシ部が靴底から脱落しにくいという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】この発明に係るゴルフシューズの一実施形態を示す側面図である。
【
図3】同上のゴルフシューズによるゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業を示す斜視図である。
【
図4】この発明に係るゴルフシューズの他の実施形態を示す底面図である。
【
図5】従来のブラシ付きのゴルフシューズを示す正面図である。
【
図6】従来のゴルフシューズによるゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、このゴルフシューズ1は、アッパー10とソール20とから構成されており、ソール20は、接着剤を介して相互に接合された、軟質弾性部材からなるミッドソール21及びミッドソール21よりも高硬度の硬質弾性部材からなるアウトソール22から構成されている。
【0021】
前記アウトソール22の底面には、芝生等に圧接することによってグリップ力や安定性を向上させる複数の樹脂スパイク23が着脱自在に取り付けられており、つま先部分には、ゴルフクラブのフェース面に付着した土や芝を取り除くためのブラシ部24が一体成形されている。
【0022】
前記ブラシ部24は、つま先部分の両側縁に沿って配置された、アウトソール22の底面から下方に突出する複数のブラシ要素(毛)25を備えており、ブラシ要素(毛)25は、樹脂スパイク23の下面から突出しないように、その長さが設定されている。
【0023】
以上のように構成されたゴルフシューズ1のブラシ部24によってクラブヘッドのフェース面に付着した土や芝を取り除く際は、
図3に示すように、ゴルフクラブGCをつま先部分の外側(または内側)に降ろした状態で、ロフトの大きいゴルフクラブについては、つま先部分を地面から浮かすだけで、ロフトの小さいゴルフクラブについては、浮かしたつま先部分を傾けるだけで、クラブヘッドCHのフェース面FSを容易にブラシ部24に当てることができ、フェース面FSをブラシ部24に当てたクラブヘッドCHを引き上げながら、持ち上げたゴルフシューズ1のつま先部分を地面に降ろすことにより、フェース面FSを瞬時に拭き取ることができる。
【0024】
以上のように、このゴルフシューズ1のブラシ部24によってクラブヘッドのフェース面に付着した土や芝を取り除く際は、ゴルフクラブGCのグリップを利き手で握って真下に降ろすだけで良いので、アッパー部分の外側面の前部にブラシを取り付けた従来のゴルフシューズのように、ゴルフクラブを利き手でないほうに持ち替える必要がなく、前屈みになることもないので、ゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業性がよい。
【0025】
また、このゴルフシューズ1は、ブラシ部24がアウトソール22に一体成形されているので、ブラシ部材を別途靴底に取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができると共に、製造する際の工数を減らすことができるので、製造コストの低減を図ることができ、ブラシ部材を別途靴底に取り付けた場合に比べて、ブラシ部が靴底から脱落しにくいという効果が得られる。
【0026】
また、このゴルフシューズ1は、靴底面にブラシ部24が設けられているので、ブラシ部24が目立ちにくく、デザイン性が阻害されることがないので、ファッション性に欠けることもなく、ブラシ部が設けられていない一般的なゴルフシューズと同様の感覚で使用することができる。
【0027】
なお、上述した実施形態では、アウトソール22の底面に樹脂スパイク23が着脱自在に取り付けられたスパイクタイプのゴルフシューズについて説明したが、これに限定されるものではなく、セラミック製や金属製のスパイクが取り付けられたスパイクタイプのゴルフシューズやスパイスレスタイプのゴルフシューズについても適用することができることはいうまでもない。
【0028】
また、上述した実施形態では、つま先部分の両側縁に左右一対のブラシ部24を設けているが、これに限定されるものではなく、ブラシ部24は、つま先部分における小指側または親指側の少なくとも一方側に設けられていればよく、つま先部分の先端側や内部側に設けることも可能である。ただし、上述した実施形態のように、つま先部分の両側縁に左右一対のブラシ部24を設けておくと、右利きであるか、左利きであるかに拘わらず、ゴルファー自身がフェース面を当てやすいブラシ部を選択して使用することができるので、使い勝手が良い。
【0029】
また、上述した実施形態では、つま先部分にブラシ部24を設けているが、これに限定されるものではなく、
図4に示すゴルフシューズ2のように、かかと部分の外縁に沿って複数のブラシ要素(毛)25を配置したブラシ部24を設けることも可能であり、つま先部分にブラシ部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、上述した実施形態では、ブラシ部24をアウトソール22に一体成形しているが、これに限定されるものではなく、別体のブラシ部材をアウトソールに埋設したり、取り付けたりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、ゴルフクラブのフェース面に付着した土や芝を拭き取ることができるブラシ付きのゴルフシューズに利用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1、2 ゴルフシューズ
10 アッパー
20 ソール
21 ミッドソール
22 アウトソール
23 樹脂スパイク
24 ブラシ部
25 ブラシ要素(毛)
GC ゴルフクラブ
CH クラブヘッド
FS フェース面
【手続補正書】
【提出日】2022-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイクが取り付けられた靴底面のつま先部分またはかかと部分に、前記スパイクを避けるように、靴底の外縁に沿って配設された、靴底面から下方に突出する、毛先が下を向くブラシ部を有し、
前記ブラシ部は、前記スパイクの下面から突出しないように、その長さが設定されていることを特徴とするゴルフシューズ。
【請求項2】
前記ブラシ部は、靴底面のつま先部分における小指側及び親指側の双方に設けられている請求項1に記載のゴルフシューズ。
【請求項3】
前記ブラシ部は、前記靴底に一体成形されている請求項1または2に記載のゴルフシューズ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、スパイクが取り付けられた靴底面のつま先部分またはかかと部分に、前記スパイクを避けるように、靴底の外縁に沿って配設された、靴底面から下方に突出する、毛先が下を向くブラシ部を有し、前記ブラシ部は、前記スパイクの下面から突出しないように、その長さが設定されていることを特徴とするゴルフシューズを提供するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明のゴルフシューズにおいて、ブラシ部は、靴底面のつま先部分における小指側及び親指側の双方に設けられていることを特徴としている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明のゴルフシューズにおいて、ブラシ部が、靴底に一体成形されていることを特徴としている。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
以上のように、請求項1に係る発明のゴルフシューズは、スパイクが取り付けられた靴底面のつま先部分またはかかと部分に、スパイクを避けるように、靴底の外縁に沿って配設された、靴底面から下方に突出する、毛先が下を向くブラシ部を有し、ブラシ部は、スパイクの下面から突出しないように、その長さが設定されているので、ゴルフシューズのつま先部分やかかと部分を地面から浮かすだけで、ロフトの大きいゴルフクラブのフェース面を容易にブラシ部に当てて拭き取ることができ、ロフトの小さいゴルフクラブについては、浮かしたゴルフシューズのつま先部分やかかと部分を傾けることにより、フェース面を容易にブラシ部に当てて拭き取ることができる。従って、アッパー部分の外側面の前部にブラシを取り付けた従来のゴルフシューズのように、ゴルフクラブを持ち替える必要がなく、前屈みになることもないので、ゴルフクラブのフェース面の拭き取り作業性がよい。特に、スパイクを避けるように靴底の外縁に沿ってブラシ部が配設されているので、ゴルフクラブのフェース面をブラシ部に当てやすく、フェース面をブラシ部に当てたクラブヘッドを引き上げながら、持ち上げた靴底のつま先部分やかかと部分を地面に降ろすことにより、フェース面を瞬時に拭き取ることができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
ブラシ部は、請求項2に係る発明のゴルフシューズのように、靴底面のつま先部分における小指側及び親指側の双方に設けておくと、右利きであるか、左利きであるかに拘わらず、ゴルファー自身がフェース面を当てやすいブラシ部を選択して使用することができるので、使い勝手が良い。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、請求項3に係る発明のゴルフシューズは、ブラシ部が靴底に一体成形されているので、ブラシ部材を別途靴底に取り付ける必要がなく、部品点数を減らすことができると共に、製造する際の工数を減らすことができるので、製造コストの低減を図ることができ、ブラシ部材を別途靴底に取り付けた場合に比べて、ブラシ部が靴底から脱落しにくいという効果が得られる。