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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126041
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】管端キャップ
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20220823BHJP
   F24F 13/22 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
F16L55/00 Z
F24F1/0007 361B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023881
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 良太
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BF04
(57)【要約】
【課題】キャップの材料を徒に増やすことなく、配管101を下向き勾配に保持する。
【解決手段】管端キャップ40は、配管101の端部に嵌合する嵌合部11と、嵌合部11に延設されて配管101の端部から突出するキャップ本体部14と、キャップ本体部14から嵌合部11まで貫通して配管101に接続するキャップ内通路とを備え、管端キャップの重心が配管101から離れて位置することを特徴とする。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の管端部に嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部に延設されて前記管端部から突出するキャップ本体部と、
前記キャップ本体部から前記嵌合部まで貫通して前記配管に接続するキャップ内通路とを備える管端キャップにおいて、
前記管端キャップの重心が、前記配管から離れて位置することを特徴とする、管端キャップ。
【請求項2】
前記管端部の長手方向に関し、前記重心の長手方向位置が、前記嵌合部から遠ざかるよう、前記管端キャップの長手方向中央よりも遠い側にある、請求項1に記載の管端キャップ。
【請求項3】
前記管端部の長手方向に関し、前記キャップ本体部の長手方向寸法が、前記嵌合部の長手方向寸法以上である、請求項1または2に記載の管端キャップ。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記端部を収容するソケット形状であって、前記端部の外周面に嵌合する、請求項1~3のいずれかに記載の管端キャップ。
【請求項5】
前記嵌合部の内周は、先端側と奥側で異なる大きさに形成される、請求項4に記載の管端キャップ。
【請求項6】
前記キャップ本体部は、平行に配列され、および/または交差するよう配列される複数の板部分と、間隔を空けて隣り合う前記板部分の間に区画されるスリットとを含み、
前記スリットは、前記キャップ内通路と接続する、請求項1~5のいずれかに記載の管端キャップ。
【請求項7】
前記管端部の長手方向に直角な断面に関し、前記キャップ本体部は円筒断面を含む形状であり、前記円筒断面の周方向一部に平坦な底面が形成され、
前記底面に前記スリットが設けられる、請求項6に記載の管端キャップ。
【請求項8】
前記キャップ本体部は、該キャップ本体部の外周を区画する外周壁と、前記外周壁の内側に配置される環状の内壁とを含み、
前記キャップ内通路は、前記外周壁と前記内壁の間に区画される、請求項1~5のいずれかに記載の管端キャップ。
【請求項9】
前記キャップ本体部は、前記嵌合部とは反対側の末端部を覆う末端壁と、前記末端壁に形成されて前記キャップ内通路と接続する窓とを有する、請求項1~8のいずれかに記載の管端キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレンホース等の管の端部に取り付けられるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ドレンホースの管端出口に取り付けられるキャップ(以下、「ドレンキャップ」という)として例えば特開2001-280648号公報(特許文献1)に記載のキャップが知られている。特許文献1のドレンキャップは、ドレンホースの管端出口からの排水を許容しつつ、ネット、メッシュ、編み目、格子状といった防虫手段を具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-280648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでドレンホースには巻き癖がついている場合があり、配管された長尺なドレンホースの管端出口がドレンホースの接地箇所から浮き上がって斜め上向きに指向する場合がある。そうするとドレンホースの管端部領域が逆勾配になり、ドレンホースからの排水に支障をきたすという問題が生じる。
【0005】
そこでドレンホースの逆勾配を防止するべく、ドレンキャップを肉厚に成形し、ドレンキャップが質量体となるように設計することが考えられる。これによりドレンキャップが接地するからである。
【0006】
ところがドレンキャップを重く設計するのみでは、ドレンキャップの肉厚が増し、材料使用量が増えてしまうため、効率的ではない。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み、ドレンキャップの肉厚を単純に増やすことなく、配管の端部を下向きに指向させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため本発明による管端キャップは、配管の管端部に嵌合する嵌合部と、嵌合部に延設されて配管の管端部から突出するキャップ本体部と、キャップ本体部から嵌合部まで貫通して配管に接続するキャップ内通路とを備える管端キャップにおいて、管端キャップの重心が、配管から離れて位置することを特徴とする。
【0009】
かかる本発明によれば、配管に巻き癖がついている場合等の理由により配管の端部が上向き勾配になろうとしても、管端キャップの重心によって、効果的に下向きに修正される。したがって配管を流れる水が配管内で逆流することを防止される。なお管端キャップの重心が配管から離れて位置するとは、管端キャップの重心が、配管の管端部と重ならないことは勿論、配管と重ならず、菅端部よりも排水方向に離れて位置することをいう。本発明の一局面として、管端部の長手方向に関し、管端キャップの重心の長手方向位置が、嵌合部から遠ざかるよう、管端キャップの長手方向中央よりも遠い側にある。これにより、管端キャップの重心が配管から離れて位置することができる。管端部の長手方向に関し、嵌合部の長手方向寸法およびキャップ本体部の長手方向寸法は特に限定されないが、本発明の一局面として、管端部の長手方向に関し、キャップ本体部の長手方向寸法が、嵌合部の長手方向寸法以上である。かかる局面によれば、管端キャップの重心が、嵌合部から離れるよう容易に設定される。配管は、全長において可撓性を有するホースであってもよいし、あるいは一部区間が可撓性を有し他の区間が可撓性を有しない軽量パイプであってもよい。
【0010】
特許文献1記載のキャップはドレンキャップの中に差し込まれて連結する。そうするとドレンホースの内径の断面積が小さくなり、流量が小さくなるという問題がある。そこで本発明の一局面として嵌合部は、配管の管端部を収容するソケット形状であって、管端部の外周面に嵌合する。かかる局面によれば、嵌合部が配管の中に差し込まれず、配管の内径の断面積が小さくならない。
【0011】
嵌合部の形状は特に限定されない。本発明の好ましい局面として、嵌合部の内周は、先端側と奥側で異なる大きさに形成される。かかる局面によれば、嵌合部が、呼び径14mmの配管ホースと、呼び径16mmの配管ホースというように、大径および小径の双方の配管に連結可能になる。なお先端側とは、キャップ本体から遠い側をいい、奥側とはキャップ本体に近い側をいう。換言すると排水が流れるに際して上流側を先端側といい、下流側を奥側(末端側)という。他の局面として嵌合部は、弾性的に曲がる複数の腕部と、各腕部の先端に形成される爪部を有していてもよい。
【0012】
キャップ本体部の構造は特に限定されないが、本発明の一局面として、キャップ本体部は、平行に配列される複数の板部分を含んだり、交差するよう配列される複数の板部分を含んだりする。またキャップ本体部は、間隔を空けて隣り合う板部分の間に区画されるスリットを含み、スリットはキャップ内通路と接続する。かかる局面によれば板部分が質量体となって、管端キャップの重心を嵌合部から離してキャップ本体部へ移動させることができる。好ましくは、板部分が管端部の長手方向に延びるとよい。これによりキャップ内通路が確保される。
【0013】
キャップ本体部の断面形状は特に限定されないが、本発明の一局面として、管端部の長手方向に直角な断面に関し、キャップ本体部は、円筒断面を含む形状であって、かかる円筒断面の周方向一部に平坦な底面が形成され、かかる底面に上述したスリットが設けられる。かかる局面によれば、スリットによって、管端キャップの排水能力が増大する。他の局面として管端キャップは、スリットよりも小さい窓を複数有してもよい。スリットおよび窓は、虫等の異物が管端キャップ内に侵入することを抑制する。なお円筒断面を含む形状とは、例えば断面輪郭が概略円であって当該円の周方向一部を切り欠いて直線輪郭とされる形状であったり、あるいは例えば断面輪郭が概略円であって当該円の周方向一部を盛り上げて直線輪郭とされる形状であったりする。本発明の他の局面として管端キャップのキャップ本体部が例えば、当該キャップ本体部の外周を区画する外周壁と、外周壁の内側に配置される環状の内壁とを含み、キャップ内通路は外周壁と内壁の間に区画されてもよい。
【0014】
本発明の一局面として、キャップ本体部は、嵌合部とは反対側の末端部を覆う末端壁と、末端壁に形成されてキャップ内通路と接続する窓とを有する。かかる局面によれば、末端壁により、虫等の異物が管端キャップの中に侵入し難くされる。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、管端キャップを被せられるドレンホース等の配管を、下向きに保持することができる。しかも管端キャップを単純に肉厚にして材料を増やす必要がない。したがって、巻き癖によってドレンホースが上向き逆勾配になることを効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態になる管端キャップを示す側面図である。
図2】同実施形態を示す正面図である。
図3】同実施形態を示す縦断面図である。
図4】本発明の第2実施形態になる管端キャップを示す側面図である。
図5】同実施形態を示す正面図である。
図6】同実施形態を示す背面図である。
図7】同実施形態を示す縦断面図である。
図8】本発明の第3実施形態になる管端キャップを示す側面図である。
図9】同実施形態を示す正面図である。
図10】同実施形態を示す背面図である。
図11】同実施形態を示す縦断面図である。
図12】本発明の第4実施形態になる管端キャップを示す側面図である。
図13】同実施形態を示す正面図である。
図14】同実施形態を示す背面図である。
図15】同実施形態を示す縦断面図である。
図16】本発明の第5実施形態になる管端キャップを示す側面図である。
図17】同実施形態を示す正面図である。
図18】同実施形態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態になる管端キャップを示す側面図である。図2は、第1実施形態を示す正面図であり、図1中、紙面左側から管端キャップをみた状態を表す。図3は、第1実施形態を示す断面図であり、図2中、平面III-IIIで第1実施形態を切断し、矢の方向からみた状態を表す。
【0018】
管端キャップ10は、仮想線で表される配管101の管端部(以下、単に端部ともいう)に嵌合し、該端部から配管101の長手方向に延出するキャップである。以下の説明では便宜上、配管101端部の長手方向を、管端キャップ10の長手方向という。なお配管101は、仮想線で表される配管101の端部を下端とし、図示されない反対側の端部を上端として、全体的に下り勾配に配線される。
【0019】
管端キャップ10は、管端キャップ10先端側の嵌合部11と、管端キャップ10末端側のキャップ本体部14と、管端キャップ10の先端側から末端側まで管端キャップ10の長手方向に延びるキャップ内通路17とを備える。嵌合部11は、周方向に間隔を開けて配列されて先端側へ延びる複数の腕部12aと、各腕部12aの先端に形成される爪部12を有する。複数の腕部12a,12a,・・・と、複数の爪部12、12、・・・(本実施形態では6本の腕部12aおよび6個の爪部12)は、中心に空間を区画することから、ソケットを構成する。かかるソケットには配管101の端部に差し込まれる。そうすると腕部12aが弾性的に曲がり、各爪部12が配管101の外周面に嵌合する。なお配管101は、可撓性を有する周知の樹脂製ホースであり、外周面および内周面に蛇腹状の凹凸を有する。また配管101は、ドレンホースであり、配管101の端部から外部へ水を排出する。なお長尺な配管101のうち、一部区間が硬質のパイプであってもよい。
【0020】
キャップ本体部14は、嵌合部11に延設されて、配管101の端部から突出する筒部材であって、外周壁13および内壁16,16rを有する。外周壁13は、円筒形状の外壁であり、キャップ本体部14の外郭をなす。内壁16は、円筒形状であり、キャップ本体部14の内部に同軸に配置される。内壁16rは、周方向に間隔をあけて配列され、外周壁13および内壁16と一体結合する。外周壁13と、内壁16と、周方向で隣り合う内壁16r,16r同士とで区画される空間は、キャップ内通路17を構成する。また円筒形状である内壁16の中心孔も、キャップ内通路17cを構成する。
【0021】
キャップ内通路17は、キャップ本体部14の中を長手方向に延び、先端側で嵌合部11のソケットと接続し、末端側で窓18を構成する。窓18は、キャップ本体部14の末端面に複数配列される。このように複数の小さな窓18は、虫等の異物がキャップ本体部14の中に侵入することを抑制する。また配管101内を流れる水が、キャップ内通路17と、窓18を経由して外部へ排出される。本実施形態の窓18は、キャップ本体部14の先端面の外径寄りに、周方向に間隔を開けて配列される。
【0022】
嵌合部11は、ソケット内部において、ストッパ15を有する。ストッパ15は環状あるいは断続するブロックに設けられる平面であり、嵌合部11へ指向する。嵌合部11に差し込まれる配管101は、ソケット内を、配管101の長手方向に進入してストッパ15に当接する。これにより、配管101の端部と嵌合部11の嵌合長が規定される。
【0023】
配管101端部の長手方向に関し、キャップ本体部14の長手方向寸法Lbが、嵌合部11の長手方向寸法Lc以上である(Lb≧Lc)。これにより管端キャップ10の重心Gは、嵌合部11から外れ、キャップ本体部14に位置する。本実施形態によれば、配管101に巻き癖がついている場合等、配管101端部が上向き勾配になろうとしても、管端キャップ10の重心Gによって、効果的に下向きに修正される。したがって配管101を流れる水が配管101内で逆流することを防止される。
【0024】
また本実施形態によれば、キャップ本体部14の肉厚が、嵌合部11の肉厚よりも厚くされる。これにより管端キャップ10の重心Gは、嵌合部11から外れ、キャップ本体部14に位置する。したがって配管101端部は、効果的に下向きに保持される。
【0025】
また本実施形態によれば、キャップ本体部14が外周壁13を有するのみならず、内壁16,16rをさらに有する。これにより管端キャップ10の重心Gは、嵌合部11から外れ、キャップ本体部14に位置する。したがって配管101端部は、効果的に下向きに保持される。
【0026】
次に本発明の第2実施形態を説明する。図4は、本発明の第2実施形態になる管端キャップを示す側面図である。図5は、第2実施形態を示す正面図であり、図4中、紙面左側から管端キャップをみた状態を表す。図6は、第2実施形態を示す背面図であり、図4中、紙面右側から管端キャップをみた状態を表す。図7は、第2実施形態を示す断面図であり、図6中、平面VII-VIIで第2実施形態を切断し、矢の方向からみた状態を表す。第2実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0027】
第2実施形態の管端キャップ20は、末端の端面を構成する末端壁24と、ストッパ15、25と、板部分26と、スリット27と、窓28と、底面31を有する。
【0028】
第2実施形態の嵌合部11は外周壁13を有し、円筒形状に形成される。ストッパ25は、嵌合部11の内周に設けられ、配管101側を指向する環状平面あるいは、断続的に延びる平面である。なおストッパ25は、前述のストッパ15よりも先端側に配置され、ストッパ15よりも大径である。これにより嵌合部11は、2種類の異なる外径の配管101に嵌合可能である。すなわち小径の配管101は、嵌合部11の中心孔に差し込まれて奥側(末端側)のストッパ15に当接する。これにより嵌合部11の内周面は、ストッパ15からストッパ25までの区間で、配管101の外周面に嵌合する。
【0029】
あるいは図示しない大径の配管は、嵌合部11の中心孔に差し込まれて先端側ストッパ25に当接する。これにより嵌合部11の内周面は、ストッパ25から嵌合部先端29までの区間で、配管101の外周面に嵌合する。
【0030】
つまり第2実施形態の嵌合部11の内周は、先端側と奥(末端)側で異なる大きさに形成され、先端側が大径とされ、奥側(キャップ本体部14側)で小径とされる。
【0031】
図6に示すように外周壁13内の空間には、複数の板部分26が設けられる。複数の板部分26は互いに平行に配列され、管端キャップ20の長手方向に延びる。キャップ本体部14の外周面の一部、および嵌合部11の外周面の一部には、平坦な底面31が形成される。底面31は、キャップ本体部14の外周面の接線に一致するか、当該接線よりも外径側に位置する。底面31の短手方向寸法は、キャップ本体部14の外周面の半径以上直径以下の範囲の所定値である。
【0032】
底面31に対し、板部分26は交差する姿勢にされる。特に本実施形態では、板部分26の下縁が底面31を構成し、底面31から板部分26が直立する。すなわち、底面31には複数のスリット27、27、・・・(図7)が設けられ、各スリット27は隣り合う板部分26、26の間に構成される。
【0033】
図7に示すように、板部分26の上縁は、キャップ本体部14の外周壁13と一体結合する。このため図6に示すように、複数の板部分26は、下向きの櫛歯状に形成される。嵌合部11を先端側としキャップ本体部14を末端側として、板部分26の末端縁は末端壁24と一体結合する。説明を図7に戻すと、板部分26の先端縁はストッパ15を構成する。末端壁24は円筒形状の外周壁13の末端を覆う円筒形状の壁である。末端壁24は虫等の異物がキャップ本体部14の中に入ることを防止する。
【0034】
板部分26およびスリット27は、キャップ本体部14の長手方向(Lb)に延びる。隣り合う板部分26,26は、短手方向に間隔を空けて対面する。そして隣り合う板部分26,26の空間はそれぞれ、キャップ内通路17を区画する。
【0035】
窓28は、末端壁24の下縁に複数設けられる。各窓28は、上述したキャップ内通路17のそれぞれと連通する。また窓28は、スリット27よりも小さい。
【0036】
第2実施形態の管端キャップ20は、平坦な底面31で安定して接地する。これにより完全な円筒形状の第1実施形態(図2)と対比して、転がり難く、管端キャップ20に嵌合する配管101端部が安定する。
【0037】
また第2実施形態によれば、複数の板部分26によって、キャップ本体部14の質量が大きくなり、配管101端部を下向き勾配に保持し易くなる。
【0038】
また第2実施形態によれば、底面31にスリット27が設けられることから、配管101を流下する水が、下向きのスリット27から外部へ円滑に排水される。
【0039】
また第2実施形態によれば、鉛直な末端壁24に窓28が設けられることから、配管101を流下する水が、横向きの窓28から外部へ円滑に排水される。
【0040】
次に本発明の第3実施形態を説明する。図8は、本発明の第3実施形態になる管端キャップを示す側面図である。図9は、第3実施形態を示す正面図であり、図8中、紙面左側から管端キャップをみた状態を表す。図10は、第3実施形態を示す背面図であり、図8中、紙面右側から管端キャップをみた状態を表す。図11は、第3実施形態を示す縦断面図であり、図10中、平面XI-XIで第3実施形態を切断し、矢の方向からみた状態を表す。第3実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0041】
第3実施形態の管端キャップ30は、板部分34,36と、スリット33,35と、窓37,39を有する。
【0042】
図10および図11に示すように、板部分34は互いに平行に複数配置される。板部分36は板部分34と交差するように広がり、すべての板部分34と一体結合する。第3実施形態では、板部分34,36がまとまり、1個の円筒形状に形成され、キャップ本体部14を構成する。隣り合う板部分34,34の間はキャップ内通路17およびスリット33,35を構成する。キャップ内通路17は、板部分36を境界として、一側と他側にそれぞれ複数設けられる。同様に板部分36を境界として、スリット33はキャップ本体部14の一側面に複数設けられ、スリット35はキャップ本体部14の他側面に複数設けられる。スリット33,35は、管端キャップ30の長手方向に延びる。板部分34,36の末端縁は、末端壁24と結合する。板部分34,36の先端縁は、円筒状の嵌合部11と結合する。
【0043】
末端壁24の外縁の一側には、窓37が複数設けられる。各窓37は、各キャップ内通路17と接続する。末端壁24の外縁の他側には、窓39が複数設けられる。各窓37,39は、各キャップ内通路17と接続する。図9に示される窓37,39と、図17に示されるキャップ内通路17の断面形状を対比して、窓37,39は、キャップ内通路17の断面形状よりも小さい。また窓37,39は、スリット35よりも小さい。
【0044】
第3実施形態によればキャップ本体部14が多数の板部分34を有することから、管端キャップ30の重心Gは、嵌合部11から外れ、キャップ本体部14に位置する。したがって管端キャップ30の重心Gを末端側に配置することができ、配管101を下向きに指向させることができる。
【0045】
また第3実施形態によれば、複数の板部分34,36によって、キャップ本体部14の質量が大きくなり、配管101の巻き癖に抗して配管101端部を下向き勾配に保持し易くなる。
【0046】
また第3実施形態によれば、キャップ本体部14の外周面に多数のスリット33,35が設けられることから、配管101を流下する水が、スリット33,35から外部へ円滑に排水される。
【0047】
また第3実施形態によれば、末端壁24に複数の窓37,39が設けられることから、配管101を流下する水が、窓37,39から外部へ円滑に排水される。
【0048】
次に本発明の第4実施形態を説明する。図12は、本発明の第4実施形態になる管端キャップを示す側面図である。図13は、第4実施形態を示す正面図であり、図12中、紙面左側から管端キャップをみた状態を表す。図14は、第4実施形態を示す背面図であり、図12中、紙面右側から管端キャップをみた状態を表す。図15は、第4実施形態を示す縦断面図であり、図14中、平面XV-XVで第4実施形態を切断し、矢の方向からみた状態を表す。第4実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0049】
第4実施形態の管端キャップ40は、外周壁13と、底面31と、板部分26,46と、スリット27,45と、窓49を有する。
【0050】
複数の板部分26は、管端キャップ40の短手方向に間隔を開けて平行に配列される。板部分46は、キャップ本体部14の短手方向に広がり、複数の板部分26および外周壁13と一体結合する。本実施形態の板部分46は、底面31から離隔して上方に配置される。具体的には、キャップ本体部14の上半分に配置される。これによりキャップ本体部14の下半分にはキャップ内通路17が設けられ、キャップ本体部14の長手方向に延びる。
【0051】
図13に示すように第4実施形態の末端壁24の形状は、第2実施形態の末端壁24の形状(図5)とは異なり、上半部が半円形であり、下半分が横長の正方形である。あるいは図示しない変形例として、末端壁24の下半分は、下側が広がる台形である。末端壁24の下半分には、キャップ内通路17と同じ上下方向寸法で、スリット45が複数設けられる。各スリット45は、各板部分26によって隔てられ、各キャップ内通路17と接続する。
【0052】
本実施形態の外周壁13は、上半分が円筒形状であるが、下半分が四角筒形状である。そして外周壁13の下縁が、短手方向一方および他方で底面31を構成する。底面31の短手方向寸法は、外周壁13の円筒直径と同じか、それよりも大きい。
【0053】
図12に示すように外周壁13の下縁には窓49が設けられる。窓49は、管端キャップ40の長手方向に間隔を開けて複数設けられ、外周壁13を短手方向に貫通し、キャップ内通路17と接続する。複数の窓49は、キャップ本体部14の末端寄りに配列される。
【0054】
第4実施形態によればキャップ本体部14が多数の板部分26を有することから、管端キャップ40の重心Gは、嵌合部11から外れ、キャップ本体部14に位置する。したがって管端キャップ40の重心Gを末端側に配置することができ、配管101を下向きに指向させることができる。
【0055】
また第4実施形態によれば、複数の板部分46が、キャップ本体部14の末端寄りに配置されることから、管端キャップ40の重心Gをますます末端側に配置することができ、配管101の巻き癖を抑えることができる。
【0056】
また第4実施形態によれば、キャップ本体部14の底面31に多数のスリット27が設けられることから、配管101を流下する水が、スリット27から外部へ円滑に排水される。
【0057】
また第4実施形態によれば、末端壁24に複数のスリット45が設けられることから、配管101を流下する水が、スリット45から外部へ円滑に排水される。窓49も同様である。
【0058】
また第4実施形態によれば、外周壁13の下縁が、各板部分26よりも下方に突出することから、底面31が接地すると、板部分26と接地面Sの間に隙間47が形成される。これによりスリット27から排水される水が、隙間47を経由して窓49へ向かうことができる。
【0059】
また第4実施形態によれば、底面31の短手方向寸法が、前述した第2実施形態(図4図7)の底面31と対比して、幅広にされる。これにより管端キャップ40は、底面31で安定して接地することができる。また管端キャップ40の重心Gを下げることができる。
【0060】
次に本発明の第5実施形態を説明する。図16は、本発明の第5実施形態になる管端キャップを示す側面図である。図17は、第5実施形態を示す正面図であり、図16中、紙面左側から管端キャップをみた状態を表す。図18は、第5実施形態を示す縦断面図であり、図17中、平面XVIII-XVIIIで第5実施形態を切断し、矢の方向からみた状態を表す。第5実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第5実施形態の管端キャップ50は、基本的には第1実施形態(図1図3)と共通するが、基部51をさらに備える。
【0061】
図16に示すように基部51は、キャップ本体部14の先端から末端まで長手方向に延びる。また基部51の短手方向に関し、図17に示すように基部51は、外周壁13の周方向の一部に設けられ、外周壁13の接線方向両側へ突出する。基部51の短手方向寸法は、外周壁13の外径寸法よりも大きくされる。外周壁13とは反対側の基部51の表面には、平坦な底面52が形成される。
【0062】
再び図16を参照して、底面52が水平な接地面Sに接地される状態で、嵌合部11はキャップ本体部14よりも僅かに高い姿勢になる。これにより配管101は、僅かな傾斜を付与される。
【0063】
本実施形態によれば、基部51により、管端キャップ50は転がることなく、基部51で安定して接地する。また基部51により配管101の端部が僅かに下向き姿勢にされることから、配管101を流れる水が管端キャップ50から円滑に排水される。また基部51により管端キャップ50の重心Gを下げることができる。
【0064】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は空調機から延びるドレンホース、あるいは他のホース、あるいは他の排水管において有利に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10 管端キャップ、 11 嵌合部、 12 爪部、
12a 腕部、 13 外周壁、 14 キャップ本体部、
15 ストッパ、 16,16r 内壁、 17,17c キャップ内通路、
18 窓、 24 末端壁、 25 先端側ストッパ、
26 板部分、 27 スリット、 29 嵌合部先端、
31 底面、 47 隙間、 51 基部、
G 管端キャップの重心、 Lb,Lc 長手方向寸法。
図1
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