(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126044
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 3/968 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
E06B3/968 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023885
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】西野 智
(72)【発明者】
【氏名】新口 貴之
(72)【発明者】
【氏名】合歡垣 慎也
【テーマコード(参考)】
2E035
【Fターム(参考)】
2E035BA01
2E035CA04
2E035CB08
2E035DA07
2E035DB05
2E035DC01
2E035EA01
(57)【要約】
【課題】 簡単に組み立てることのできる建具の提供。
【解決手段】 交差して連結される一方側部材1及び他方側部材2と、一方側部材1の長手方向端部に取付けた一方側連結部品3と、他方側部材2の長手方向端部に取付けた他方側連結部品4とを備え、一方側部材1は、端面15が他方側部材2の内周側面31に当接しており、一方側連結部品3は、一方側部材1の中空部11に嵌合して取付けてあり、一方側部材3の端面15より突出する係合部5を有し、他方側連結部品4は、他方側部材2の中空部21,22に嵌合して取付けてあり、一方側連結部品3の係合部5と係合する被係合部6を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差して連結される一方側部材及び他方側部材と、一方側部材の長手方向端部に取付けた一方側連結部品と、他方側部材の長手方向端部に取付けた他方側連結部品とを備え、一方側部材は、端面が他方側部材の内周側面に当接しており、一方側連結部品は、一方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側部材の端面より突出する係合部を有し、他方側連結部品は、他方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側連結部品の係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立てが簡単に行えるようにした建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサッシの障子は、横框にタッピングホールが複数設けてあり、横框の長手方向の端面を縦框の内周側面に突き当て、縦框に側方から挿通したネジを横框の各タッピングホールに螺入することにより、横框と縦框を連結している。そのため、障子を組み立てるのに多数のネジをタッピングホールに捻じ込む必要があり、障子の組立てに手間がかかっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、簡単に組み立てることのできる建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、交差して連結される一方側部材及び他方側部材と、一方側部材の長手方向端部に取付けた一方側連結部品と、他方側部材の長手方向端部に取付けた他方側連結部品とを備え、一方側部材は、端面が他方側部材の内周側面に当接しており、一方側連結部品は、一方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側部材の端面より突出する係合部を有し、他方側連結部品は、他方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側連結部品の係合部と係合する被係合部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による建具は、交差して連結される一方側部材及び他方側部材と、一方側部材の長手方向端部に取付けた一方側連結部品と、他方側部材の長手方向端部に取付けた他方側連結部品とを備え、一方側部材は、端面が他方側部材の内周側面に当接しており、一方側連結部品は、一方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側部材の端面より突出する係合部を有し、他方側連結部品は、他方側部材の中空部に嵌合して取付けてあり、一方側連結部品の係合部と係合する被係合部を有するので、ネジを使用することなく簡単に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】(a)は横框と縦框との連結部を拡大した正面図であり、(b)はその平面図、(c)はA-A断面図である。
【
図3】横框と縦框との連結部の外周側から見た分解斜視図である。
【
図4】横框と縦框との連結部の内周側から見た分解斜視図である。
【
図5】(a)は本発明の建具の一実施形態を示す室内側正面図であり、(b)は同建具の縦断面図である。
【
図7】(a)は一方側連結部品の正面図、(b)は同部品の平面図、(c)は同部品の底面図、(d)は同部品の内周側(框側)から見た側面図、(e)は同部品の外周側(枠側)から見た側面図である。
【
図8】(a)は他方側連結部品の正面図、(b)は同部品の平面図、(c)は同部品の底面図、(d)は同部品の内周側(框側)から見た側面図、(e)は同部品の外周側(枠側)から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~5は、本発明の建具の一実施形態を示している。本建具は、サッシ窓用の障子であり、
図5に示すように、ガラス(複層ガラス)7の周囲を囲むように上下の横框1,1と左右の縦框2,2を矩形に框組みして構成したものである。横框1,1の長手方向の両端部には一方側連結部品3が取付けてあり、縦框2,2の長手方向両端部には他方側連結部品4が取付けてある。本建具は、横框1と縦框2との連結を一方側連結部品3と他方側連結部品4により行っている。他方側連結部品4は、縦框2の上下端の小口を覆う小口キャップを兼ねている。
【0008】
横框1は、
図1(c)に示すように、室外側に配置したアルミ形材8と、室内側に配置した樹脂形材9とを組み合わせて構成してあり、両形材8,9により内周側が開口したガラス保持溝10が形成されている。アルミ形材8と樹脂形材9は、それぞれ中空部11,12を有している。樹脂形材9は、中空部12より内周側の室内側壁13に段部14が設けてある。横框1は、
図3に示すように、長手方向の端面15が垂直にまっすぐ切断してある。アルミ形材8の内周側壁には、一方側連結部品3の爪16が係止する角孔17が形成してある。
【0009】
一方側連結部品3は、硬質樹脂で形成したものであり、
図1~3と
図7に示すように、横框1のアルミ形材8の中空部11に嵌合するブロック状に形成されている。
図4に示すように、一方側連結部品3の下面(下側の横框1に取付くものにあっては上面)には、直角三角形状の爪16が下方(下側の横框1に取付くものにあっては上方)に突出して設けてあり、一方側連結部品3を横框1の中空部11に小口より嵌め込むと、その爪16が横框1の角孔17に係止して、一方側連結部品3の横框1長手方向の移動が規制される。また一方側連結部品3は、
図2,3に示すように、横框1の端面15より突出する係合部5を有している。係合部5は、見込方向に間隔をおいて設けた一対の爪片18,18よりなり、各爪片18は左右方向の中間部で外側に屈曲してから内側に斜めに曲がり、先端部18aが内側に直角に曲がった形状となっている。
【0010】
縦框2は、
図2,3に示すように、横框1と同様に、室外側に配置したアルミ形材19と、室内側に配置した樹脂形材20とを組み合わせて構成してあり、両形材19,20により内周側が開口したガラス保持溝10が形成されている。アルミ形材19と樹脂形材20は、それぞれ中空部21,22を有している。樹脂形材20の室内側壁23は、
図3に示すように、横框1の室内側壁13の段部14に当接するように切欠き24が設けてある。さらに縦框2は、
図1,4に示すように、アルミ形材19の室外側壁25の内周側端部に形成された内向き突片26aと、樹脂形材20の室内側壁23の内周側端部に形成された内向き突片26bとに切欠き27a,27bが設けてある。また、縦框2のアルミ形材19側の内周側壁には、一方側連結部品3の係合部5を受け入れる切欠き28と、他方側連結部品4の爪29が係止する角孔30が形成してある。
【0011】
横框1は、
図1~3に示すように、長手方向端部が縦框2のガラス保持溝10内に挿入され、端面15が縦框2の内周側面31に当接している。
図1に示すように、横框1の長手方向の端部が縦框2の室外側壁25と室内側壁23の間に嵌合し、且つ縦框2に形成された切欠き24,27a,27bに横框1の段部14と内周側縁が係止することで、横框1の長手方向端部と縦框2の長手方向端部とが見込方向及び内外周方向の移動が規制された状態で係合している。
【0012】
他方側連結部品4は、硬質樹脂で形成したものであり、
図1,3,4,7に示すように、縦框2の小口を塞ぐ小口塞ぎ部32と、縦框2のアルミ形材19側の中空部21に嵌合する室外側嵌合部33と、縦框2の樹脂形材20側の中空部22に嵌合する室内側嵌合部34と、室外側嵌合部33の内側に配置され、一方側連結部品3の係合部5と係合する被係合部6を有している。室外側嵌合部33は、
図4に示すように、内周側の壁に切欠き35が設けてあるとともに、切欠き35の室外側の位置に直角三角形状の爪29が内周側に突出して形成してある。被係合部6は、略T字型断面の柱状の挿入部36を有しており、挿入部36の下端部にテーパー部37が設けてある。
他方側連結部品4は、
図2に示すように、室外側嵌合部33と室内側嵌合部34を縦框2の中空部21,22に嵌め込んで取付けられ、嵌め込むと爪29が縦框2に形成された角孔30に係止して抜け止めされ、被係合部6(挿入部36)が一方側連結部品3の係合部5(一対の爪片18,18の先端側の内側に曲がった部分の間)に挿入されることで、横框1の端面15が縦框2の内周側面31に引き付けられた状態で固定される。室外側嵌合部33は、外周側面38が縦框2の外周側壁39に当接しており、これにより縦框2の傾きを規制している。
【0013】
ガラス7は、
図5に示すように、周縁部をグレージングチャンネル40を介して横框1,1と縦框2,2のガラス保持溝10に保持して取付けてある。
【0014】
次に、本建具の組み立て方を説明する。まず、
図6(a)に示すように、横框1の長手方向の両端部に一方側連結部品3をアルミ形材8側の中空部11に嵌合して取付ける。
次に、
図6(b)に示すように、一方側連結部品3の係合部5を縦框2に形成された切欠き28に上下方向から差し入れるようにして、横框1の長手方向端部を縦框2のガラス保持溝10内に挿入する。すると、先に述べたように、横框1の長手方向端部と縦框2の長手方向端部とが見込方向及び内外周方向の移動が規制された状態で係合し、且つ一方側連結部品3の係合部5が縦框2の切欠き28と係合することで、横框1の端面15が縦框2の内周側面31から離間することが規制される。
その後、
図6(c)に示すように、他方側連結部品4を室外側嵌合部33と室内側嵌合部34を縦框2の中空部21,22に上下方向から嵌め込んで取付けると、一方側連結部品3の係合部5と他方側連結部品4の被係合部6とが係合して両連結部品3,4が一体化し、横框1の長手方向端部と縦框2の長手方向端部とが連結固定される。
このようにして、ガラス7の周縁部をグレージングチャンネル40を介して横框1・縦框2のガラス保持溝10に嵌め込みつつ、4箇所ある横框1,1と縦框2,2の端部同士の接合部を一方側連結部品3と他方側連結部品4により順次連結固定することにより、ネジを使用することなく建具を組み立てることができる。
【0015】
以上に述べたように、本建具は、交差して連結される一方側部材(横框)1及び他方側部材(縦框)2と、一方側部材1の長手方向端部に取付けた一方側連結部品3と、他方側部材2の長手方向端部に取付けた他方側連結部品4とを備え、一方側部材1は、端面15が他方側部材2の内周側面31に当接しており、一方側連結部品3は、一方側部材1の中空部11に嵌合して取付けてあり、一方側部材1の端面15より突出する係合部5を有し、他方側連結部品4は、他方側部材2の中空部21,22に嵌合して取付けてあり、一方側連結部品3の係合部5と係合する被係合部6を有するので、ネジを使用することなく簡単に組み立てることができる。
また、本建具は、一方側部材1の長手方向端部と他方側部材2の長手方向端部とが見込方向及び内外周方向の移動が規制された状態で係合していることで、一方側部材1と他方側部材2の連結強度を向上を高めることができ、連結する際の作業性も向上する。
さらに、本建具は、他方側連結部品4は他方側部材2の内周側壁又は外周側壁39に当接する当接部(室外側嵌合部33の外周側面38)を有することで、他方側部材2の傾きが規制され、建具の強度が向上する。
また、本建具は、一方側連結部品3の係合部5を他方側部材2の切欠き28に係合することで、一方側部材1の端面15が他方側部材2から離間するのを規制しているので、組立てが一層容易に行えると共に、強度を向上することができる。
一方側連結部品3の係合部5は、先端側が内側に曲がった一対の爪片18,18よりなり、他方側連結部品4の被係合部6は、一対の爪片18,18間に挿入される挿入部36を有するので、一方側連結部品3と他方側連結部品4を無理なく強固に係合して一体化できる。
一方側連結部品3は、一方側部材1の長手方向への移動が規制された状態で一方側部材1にあらかじめ取付けられるものであるため、建具の組立て性が一層向上する。
他方側連結部品4は、他方側部材2の小口を覆う小口キャップを兼ねるので、小口キャップを別に設ける必要がなく、コストを下げることができ、小口キャップを嵌めるようにして他方側連結部品4を他方側部材2の端部に取付けるだけで、建具を簡単に組み立てることができる。
【0016】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。一方側部材及び他方側部材の断面形状、材質は、適宜変更することができる。一方側部材と他方側部材は、交差して連結されるものであればよく、框に限らず、枠や桟等であってもよい。一方側連結部品及び他方側連結部品の形状、材質は、適宜変更することができる。本発明は、障子に限らず、引戸や扉、窓枠など、あらゆる建具に適用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 横框(一方側部材)
2 縦框(他方側部材)
3 一方側連結部品
4 他方側連結部品
5 係合部
6 被係合部