(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126056
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】点字タイルの施工方法
(51)【国際特許分類】
E01F 9/512 20160101AFI20220823BHJP
E01C 5/20 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
E01F9/512
E01C5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023906
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】519022137
【氏名又は名称】株式会社リンクジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 豊和
【テーマコード(参考)】
2D051
2D064
【Fターム(参考)】
2D051AA07
2D051AB03
2D051AG11
2D051AH01
2D051DA11
2D051DC01
2D064AA06
2D064BA01
2D064CA01
2D064DA05
2D064EA12
2D064JA02
(57)【要約】
【課題】環境や作業員、近隣住民等に悪影響を与えることなく、交通制限も最小限にでき点字タイルを安心、安全に施工することが可能な点字タイルの施工方法を提供する。
【解決手段】本発明は、作業周辺を清掃する工程と、施工面にチョークラインを使用して墨出しを行う工程と、アクリル系ホットメルト樹脂を主成分とする接着剤シートを施工面に設置し、シート表面が略透明に変色するまで加熱する工程と、加熱した接着剤の上に点字タイルを貼り付ける工程と、エアー抜きを行う工程と、養生乾燥を行う工程と、を有する点字タイルの施工方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業周辺を清掃する工程と、
施工面にチョークラインを使用して墨出しを行う工程と、
アクリル系ホットメルト樹脂を主成分とする接着剤シートを施工面に設置し、シート表面が略透明に変色するまで加熱する工程と、
加熱した接着剤の上に点字タイルを貼り付ける工程と、
エアー抜きを行う工程と、
養生乾燥を行う工程と、を有する
点字タイルの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点字タイルの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街路時や駅のプラットホーム等には、点字タイルが敷設されており、視覚障碍者等の歩行を支援している。視覚障碍者等は、この点字タイルに沿って歩行することで、目的とする位置、場所に安全に進むことが可能となる。
【0003】
ここで、特許文献1では、アスファルト舗装・コンクリート舗装・コンクリート平板・磁気タイル等からなる下地にアクリル系ホットメルト樹脂を主成分とする上記接着剤シートを敷設しシートの上から加熱し接着剤シートを融かすことにより上層と支持層とを一体化することを特徴とするアスファルト舗装の施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、接着剤シートを用いるので、施工に際して、路面に対して接着剤を(設置)して加熱する工程は含んでいなかった。
【0006】
一般に、攪拌して接着剤を使用する点字タイルは、施工時に、接着剤を攪拌する過程で粉塵が飛散し、異臭が出て、近隣の住民や通行人に悪影響を与えるおそれがあった。さらに、攪拌の過程で、化学物質過敏症とみられる症状で体調不良を申し出る作業員も少なくなかった。そして、このような接着剤が作業員の手等に付着すると、皮膚炎や炎症を起こすおそれがあった。
【0007】
さらに、このような撹拌して使用する接着剤は下地作成を行って下地が完全に硬化した後に点字タイルを貼付ける作業を行う為、下地硬化時間を長く必要とする。下地接着剤は塗布した状態で完全硬化するまで養生する時間を必要とすることから、その間は作業周辺に異臭が伴う。下地接着剤硬化後、再度貼付け用接着剤を再度塗布し点字タイルを貼付けしていくがその際にも異臭が発生する。
【0008】
さらに、一般の攪拌型接着剤では1缶の接着剤、約5m~6m分の施工容量があり、硬化時間10分から15分程度の間に、接着剤を使い切る必要があったことから、作業区分を細かく分ける必要があり多くの作業員を要し、コスト高となっていた。
【0009】
また、産業廃棄物については接着剤の空き缶、使用済み養生テープ、段ボールなど接着剤が多く付着している為、一般処理できない大量の産業廃棄物が発生する。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、環境、作業員、あるいは近隣住民等に悪影響を与えることなく、低コストで、点字タイルを安心、安全に施工することが可能な点字タイルの施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一つの態様に係る点字タイルの施工方法は、作業周辺を清掃する工程と、施工面にチョークラインを使用して墨出しを行う工程と、アクリル系ホットメルト樹脂を主成分とする接着剤シートを施工面に設置し、シート表面が略透明に変色するまで加熱する工程と、加熱した接着剤の上に点字タイルを貼り付ける工程と、エアー抜きを行う工程と、養生乾燥を行う工程と、を有する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境、作業員、あるいは近隣住民等に悪影響を与えることなく、低コストで、点字タイルを安心、安全に施工することが可能な点字タイルの施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る点字タイルの施工方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0015】
図1のフローチャートを参照して、本発明の一実施形態に係る点字タイルの施工方法の手順を詳細に説明する。
【0016】
先ず、ブロアー等を用いて作業周辺を丁寧に清掃する(S1)。
【0017】
続いて、施工面にチョークラインを使用して設置位置を打つ(墨出し)を行う(S2)。
【0018】
続いて、墨出し後にマスキングテープを貼る(S3)。なお、貼り付けたマスキングテープは、プライマー塗布後、速やかに剥がす。尚、このS3の工程は、適宜省略することが可能であることは勿論である。
【0019】
続いて、専用プライマーを攪拌する(S4)。主剤1缶に対して硬化剤1~3袋を外気温に応じて必要分だけ攪拌容器に入れ、主剤と硬化剤を、ハンドミキサーを用いて混合攪拌する。そして、専用プライマーを施工面に塗布する(S5)。塗布に際しては、ローラーを用いて下地前面に塗布する。この例では、可使時間が約10分程度、硬化時間が約15分程度(外気温で異なる)である。尚、このS4,S5の工程は、適宜省略することが可能であることは勿論である。
【0020】
次に、専用接着剤シートを墨出しのラインに設置し、加熱時間約90秒程度、シート表面が略透明に変色するまで加熱する(S6)。専用接着剤シートとしては、アクリル系ホットメルト樹脂を主成分とする合成樹脂材であり加熱型接着剤を使用する。この接着剤シートは、加熱すると、略透明になり、墨出しのラインが鮮明に見えるため、作業効率は非常に良好となる。
【0021】
続いて、加熱した接着剤シートの上に点字タイルを貼り付ける。このとき、下墨を確認しながら端の方から敷設する(S7)。
【0022】
次いで、エアー抜きを行う(S8)。具体的には、ローラー又は指で転圧し、点字タイルを下地面に馴染ませ、点字タイル裏面のエアーを抜く。
【0023】
続いて、養生乾燥を行う(S9)。この例では、約15分から30分程度、養生時間をとり、解放する。以上で施工を終了する。
【0024】
本発明の一実施形態に係る点字パネルの施工方法によれば、以下の効果が奏される。
【0025】
すなわち、施工時に、接着剤を攪拌して粉塵が飛散や異臭も出る心配がないので、作業員や近隣の住民・通行人に健康被害を避けられる。施工時間短縮できるため施工周辺への交通制限時間・時間減少につながる。また、攪拌する必要がないので、作業員が化学物質過敏症とみられる症状で体調不良を申し出る作業員も少なくなる。さらに、接着剤シートを施工分に合わせてその都度加熱し施工できるため硬化時間に調整が図れる、よって少ない作業人数で効率よく作業ができる。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0027】
S1~S9…施工工程。