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  • 特開-感熱伸縮可動デバイス 図1
  • 特開-感熱伸縮可動デバイス 図2
  • 特開-感熱伸縮可動デバイス 図3
  • 特開-感熱伸縮可動デバイス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126088
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】感熱伸縮可動デバイス
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/028 20190101AFI20220823BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220823BHJP
   F16K 31/70 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B32B7/028
B32B15/08 D
B32B27/00 B
F16K31/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023948
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】514022257
【氏名又は名称】有限会社ジェニス・ホワイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深井 晃
(72)【発明者】
【氏名】源平 浩己
【テーマコード(参考)】
3H057
4F100
【Fターム(参考)】
3H057AA01
3H057BB07
3H057CC01
3H057DD12
3H057FC02
3H057HH03
4F100AB00B
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100BA02
4F100BA26
4F100GB51
4F100JA02A
4F100JA02B
4F100JA02C
4F100JJ10
(57)【要約】
【課題】感熱部材を構成する素材の熱膨張係数の差を大きくでき、より少ない感熱部材で大きな伸縮量が得られる感熱伸縮可動デバイスを提供する。
【解決手段】一方の素材が樹脂であり、他方の素材が前記樹脂よりも熱膨張係数の低い金属又は樹脂からなる感熱部材で構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の素材が樹脂であり、他方の素材が前記樹脂よりも熱膨張係数の低い金属からなる感熱部材で構成されることを特徴とする感熱伸縮可動デバイス。
【請求項2】
一方の素材が樹脂であり、他方の素材が前記樹脂よりも熱膨張係数の低い樹脂からなる感熱部材で構成されることを特徴とする感熱伸縮可動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱伸縮可動デバイスに関し、より詳しくは、複数の熱膨張係数の異なる2つの素材を貼り合わせた感熱部材で感熱伸縮可動デバイスを構成し、感熱部材は、一方の素材が樹脂からなり、他方の素材が熱膨張係数の低い金属又は樹脂からなり、より少ない感熱部材で大きな伸縮量が得られる感熱伸縮可動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
既存の技術としてバイメタル(熱膨張係数の異なる2つの金属を貼り合わせたもの)で構成した感熱伸縮稼働部がある。しかし、2つの金属の熱膨張係数の差がそれほど大きくないので、大きな伸縮量を得るには、枚数が増え小型化が難しいとの問題がある。例として、鉄とニッケルの合金は、熱膨張係数が1~2(×10-6/℃)で、銅は熱膨張係数が16.5(×10-6/℃)であり、その差は14.5~15.5(×10-6/℃)で、これに温度差を掛けると、1m当たりの伸縮量が得られるが、それほど大きな値ではない。大きな伸縮量を得るには、枚数を増やすしかない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-317945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、感熱部材を構成する部材の熱膨張係数の差を大きくでき、より少ない感熱部材で大きな伸縮量が得られる感熱伸縮可動デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による感熱伸縮可動デバイスは、一方の素材が樹脂であり、他方の素材が前記樹脂よりも熱膨張係数の低い金属からなる感熱部材で構成されることを特徴とする。
【0006】
本発明による感熱伸縮可動デバイスは、一方の素材が樹脂であり、他方の素材が前記樹脂よりも熱膨張係数の低い樹脂からなる感熱部材で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1、2に記載の感熱伸縮可動デバイスによれば、一方の素材が樹脂からなり、他方の素材が熱膨張係数の低い金属又は樹脂からなる感熱部材としたので、大きな反りが期待できる。従来のバイメタルに比較して大きな伸縮量が得られ、感熱伸縮可動デバイスの部品点数を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による感熱部材の実施例で、一方が樹脂の素材、他方が樹脂又は金属の素材で、互いに貼り合わせた感熱部材の図である。
図2】本発明による感熱部材の実施例で、一方が樹脂の素材、他方が樹脂の素材で、互いに貼り合わせた図である。
図3】熱熱膨張係数の差で感熱部材9の反り幅が異なることを示す説明図である。
図4】本発明による感熱伸縮可動デバイスが、円板状の感熱部材を複数配置して構成されることを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の感熱伸縮可動デバイスを詳しく説明する。
【実施例0010】
図1は、本発明による感熱部材9の実施例で、一方が樹脂の素材、他方が樹脂又は金属の素材で、互いに貼り合わせた感熱部材9の図である。感熱部材9は、線熱膨張係数の大きな部材にPI又はPEEK又は同等の線熱膨張係数の大きな樹脂を選定する。線熱膨張係数の小さな素材には、金属類(SUS304又SUS316又はハステロイC22又はSS400又はS45C又はタングステン又は同等の線熱膨張係数の小さな金属類)を選定する。
【0011】
例として、一方の素材が、熱膨張係数56(×10-6/℃)のPIで、他方の素材を熱膨張係数17.3(×10-6/℃)のSUS304とすると、差は38.7(×10-6/℃)である。他の例として、一方の素材が、熱膨張係数47(×10-6/℃)のPEEKで、他方の素材が熱膨張係数17.3(×10-6/℃)のSUS304とすると、差は29.7(×10-6/℃)となる。
【0012】
図1に示すように、一方の素材を樹脂、他方の素材を金属ではなく、樹脂とすることもできる。(樹脂、金属)の貼り合わせは、(金属、金属)を貼り合わせたバイメタルではなく、一方のみが金属なので「ハーフメタル(樹脂、金属)」である。図1の下側に示すように、感熱部材9は、熱膨張係数の異なる素材を貼り合わせたものなので、加熱されると湾曲する。
【0013】
図2は、本発明による感熱部材9の実施例で、一方が樹脂の素材、他方も樹脂の素材で、互いに貼り合わせた図である。図1では具体的に一方の素材が、PI又はPEEK又は同等の線熱膨張係数の大きな樹脂で、他方の素材を金属とする「ハーフメタル(樹脂、金属)」の構成を説明したが、図2は、図1の(樹脂、樹脂)の構成を示したもので、すなわち「バイプラスチック(樹脂、樹脂)」の例である。その場合、一方の熱膨張係数の小さい素材に、PI又はPEEK又は同等の線熱膨張係数の小さな樹脂を採用し、他方の熱膨張係数の大きい素材に、PTFE又はPFA又は同等の線熱膨張係数の大きな樹脂を採用する。例として、一方の素材が熱膨張係数120(×10-6/℃)のPFAで、他方の素材が熱膨張係数47(×10-6/℃)のPEEKとすると、差は73(×10-6/℃)となり、「バイメタル」や「ハーフメタル」に比べて、さらに大きな反りが期待できる。
【0014】
図3は、線熱膨張係数の違いで感熱部材9の反り幅が異なることを示す説明図である。図3(A)は、従来の金属と金属を貼り合わせた感熱部材9を示す。図3(B)は、樹脂と金属、又は樹脂と樹脂を貼り合わせた感熱部材9を示す。線熱膨張係数の差が大きい2つの感熱部材9の図4(B)は、線熱膨張係数の差が小さい2つの感熱部材9の図4(A)より、大きく湾曲する。
【0015】
図4は、感熱伸縮可動デバイス3が、円板状の感熱部材9を複数配置して構成されることを示す説明図である。図4(A)は、感熱伸縮可動デバイス3が、反り幅が小さな感熱部材(バイメタル)で構成される場合を示し、図4(B)は、感熱伸縮可動デバイス3が、反り幅が大きな感熱部材9(ハーフメタル又はバイプラスチック)で構成される場合を示す。図4(A)より、図4(B)の方が、感熱部材の枚数が少ない。感熱部材9は、熱を受け温度が上昇すると中央部分が外側に向かって膨らむ。そのため、反り幅が小さな感熱部材9の枚数(A)は、反り幅が大きな感熱部材の枚数(B)より枚数が多くなる。そのため、反り幅が大きな感熱部材の方が、感熱伸縮可動デバイスの部品点数を減らして小型化ができる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は、樹脂と金属、又は樹脂と樹脂を貼り合わせた複数の感熱部材からなる感熱伸縮可動デバイスとして利用したので、伸縮量が大きい蒸気管の排水弁等に好適である。
【符号の説明】
【0017】
3 感熱伸縮可動デバイス
9 感熱部材
図1
図2
図3
図4