(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126090
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】バルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20220823BHJP
【FI】
A61M25/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023950
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】垂永 明彦
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267BB16
4C267BB43
4C267BB63
4C267CC09
(57)【要約】
【課題】X線透視下で造影マーカー部の視認性を確保し得るバルーンカテーテルを提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル1の造影マーカー部50は、軸方向に沿って設けられる複数のリング部51と、リング部の一部が隣り合うリング部と重複した状態で、リング部を連結する連結部52と、を有する、
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状を備える外管シャフトと、
前記外管シャフトの内部に配置される内管シャフトと、
前記外管シャフトの径方向の外方に配置され、拡張および収縮可能なバルーンと、
前記内管シャフトの外周かつ前記バルーンの内周に設けられ、前記バルーンの位置を把握するための造影マーカー部と、を有し、
前記造影マーカー部は、
軸方向に沿って設けられる複数のリング部と、
前記リング部の一部が隣り合う前記リング部と重複した状態で、互いに隣り合う前記リング部同士を連結する連結部と、を有する、バルーンカテーテル。
【請求項2】
正面から視たときの断面視で、
前記リング部は、
S字状に構成された本体部と、
前記本体部の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部と、
前記本体部の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部と、を有し、
前記連結部は、一の前記リング部の前記第1延在部、および前記一のリング部に隣り合う他の前記リング部の前記第2延在部が互いに係合することによって構成されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
正面から視たときの断面視で、前記リング部はS字状に構成され、
前記連結部は、一の前記リング部の基端部、および前記一のリング部に隣り合う他の前記リング部の先端部が互いに係合することによって構成されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
中空形状を備える外管シャフトと、
前記外管シャフトの内部に配置される内管シャフトと、
前記外管シャフトの径方向の外方に配置され、拡張および収縮可能なバルーンと、
前記内管シャフトの外周かつ前記バルーンの内周に設けられ、前記バルーンの位置を把握するための造影マーカー部と、を有し、
前記造影マーカー部は、
連続的に螺旋状に設けられる複数の螺旋部と、
前記螺旋部の一部が隣り合う前記螺旋部と重複した状態で、互いに隣り合う前記螺旋部同士を連結する連結部と、を有する、バルーンカテーテル。
【請求項5】
正面から視たときの断面視で、
前記螺旋部は、
S字状に構成された本体部と、
前記本体部の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部と、
前記本体部の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部と、を有し、
前記連結部は、一の前記螺旋部の前記第1延在部、および前記一の螺旋部に隣り合う他の前記螺旋部の前記第2延在部が互いに係合することによって構成されている、請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
正面から視たときの断面視で、前記螺旋部はS字状に構成され、
前記連結部は、一の前記螺旋部の基端部、および前記一の螺旋部に隣り合う他の前記螺旋部の先端部が互いに係合することによって構成されている、請求項4に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記連結部は、接着剤をさらに有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記造影マーカー部が前記内管シャフトにかしめられた状態で、
前記内管シャフトは、前記造影マーカー部の内周側の溝に挿入されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
血管等の生体管腔に形成された病変部(狭窄部等)を拡張させる手技や病変部へのステント等の留置に用いられる医療器具としてバルーンカテーテルが知られている。バルーンカテーテルは、中空形状を備える外管シャフトと、外管シャフトの内部に配置される内管シャフトと、拡張および収縮可能なバルーンと、を有する。
【0003】
また、バルーンカテーテルには、バルーンの位置を確認するための造影マーカー部が、バルーンの内部に設けられる。このような造影マーカー部として、例えば下記の特許文献1には、コイルスプリング状の造影マーカー部が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイルスプリング状の造影マーカー部の場合、軸方向に隣り合うコイル素線同士の密着力が低いため、コイル素線の間に隙間が発生し、当該隙間に起因して、X線透視下で造影マーカー部の視認性が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、X線透視下で造影マーカー部の視認性が低下することを抑制することのできるバルーンカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する第1のバルーンカテーテルは、中空形状を備える外管シャフトと、前記外管シャフトの内部に配置される内管シャフトと、前記外管シャフトの径方向の外方に配置され、拡張および収縮可能なバルーンと、前記内管シャフトの外周かつ前記バルーンの内周に設けられ、前記バルーンの位置を把握するための造影マーカー部と、を有する。前記造影マーカー部は、軸方向に沿って設けられる複数のリング部と、前記リング部の一部が隣り合う前記リング部と重複した状態で、互いに隣り合う前記リング部同士を連結する連結部と、を有する。
【0008】
また、上記目的を達成する第2のバルーンカテーテルは、中空形状を備える外管シャフトと、前記外管シャフトの内部に配置される内管シャフトと、前記外管シャフトの径方向の外方に配置され、拡張および収縮可能なバルーンと、前記内管シャフトの外周かつ前記バルーンの内周に設けられ、前記バルーンの位置を把握するための造影マーカー部と、を有する。前記造影マーカー部は、連続的に螺旋状に設けられる複数の螺旋部と、前記螺旋部の一部が隣り合う前記螺旋部と重複した状態で、互いに隣り合う前記螺旋部同士を連結する連結部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した第1のバルーンカテーテルによれば、リング部の一部が隣り合うリング部と重複した状態で、複数のリング部が連結部によって互いに連結された構成を備える。このため、複数のリング部の間に隙間が生じることを防止することができる。したがって、X線透視下で造影マーカー部の視認性が低下することを抑制できる。
【0010】
また、上記のように構成した第2のバルーンカテーテルによれば、螺旋部の一部が隣り合う螺旋部と重複した状態で、複数の螺旋部が連結部によって互いに連結された構成を備える。このため、複数の螺旋部の間に隙間が生じることを防止することができる。したがって、X線透視下で造影マーカー部の視認性が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るバルーンカテーテルを示す概略正面図である。
【
図3】第1実施形態に係るバルーンカテーテルの造影マーカー部を示す概略断面図である。
【
図4】造影マーカー部を内管シャフトにかしめる前の様子を示す概略断面図である。
【
図5】造影マーカー部を内管シャフトにかしめた後の様子を示す概略断面図である。
【
図6】造影マーカー部を内管シャフトに融着した後の様子を示す概略断面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテルの造影マーカー部を示す概略断面図である。
【
図8】第2実施形態に係るバルーンカテーテルの造影マーカー部を示す概略断面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例に係るバルーンカテーテルの造影マーカー部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0013】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の第1実施形態に係るバルーンカテーテル1について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るバルーンカテーテル1を示す概略正面図である。
図2は、
図1のA部における正面断面図である。
図3は、第1実施形態に係るバルーンカテーテル1の造影マーカー部50を示す概略断面図である。
図4は、造影マーカー部50を内管シャフト20にかしめる前の様子を示す概略断面図である。
図5は、造影マーカー部50を内管シャフト20にかしめた後の様子を示す概略断面図である。
図6は、造影マーカー部50を内管シャフト20に融着した後の様子を示す概略断面図である。
【0014】
本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、血管、胆管、気管、食道、尿道、またはその他の生体管腔に生じた狭窄部を押し広げて治療する医療装置として構成している。
【0015】
バルーンカテーテル1は、
図1、
図2に示すように、中空形状を備える外管シャフト10と、外管シャフト10の内部に配置される内管シャフト20と、外管シャフト10の先端に配置される先端チップ30と、内管シャフト20の径方向の外方に配置されるバルーン40と、バルーン40の位置を確認するための造影マーカー部50と、外管シャフト10および内管シャフト20の基端に固着されたハブ60と、を有する。なお、本明細書では、生体内に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0016】
外管シャフト10は、
図1に示すように、先端シャフト11と、先端シャフト11の基端側に接続された中間シャフト12と、中間シャフト12の基端側に接続された基端シャフト13と、を有する。
【0017】
先端シャフト11および中間シャフト12は、ガイドワイヤポートP付近において内管シャフト20と一体的に接続(融着)している。基端シャフト13は、基端シャフト13の先端側が中間シャフト12の内腔に配置された状態において、中間シャフト12の基端側に接続(融着)している。
【0018】
外管シャフト10の先端シャフト11は、
図2に示すように、バルーン40の基端まで延在している。
【0019】
先端シャフト11および中間シャフト12の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種エラストマー、ポリアミド、結晶性ポリエチレン、結晶性ポリプロピレン等の結晶性プラスチックを用いることができる。
【0020】
基端シャフト13の構成材料としては、比較的大きな剛性を有する金属材料、例えば、ステンレス鋼、ステンレス延伸性合金、Ni-Ti合金、真鍮、アルミニウムである。必要に応じて、比較的大きな剛性を有する樹脂材料、例えば、ポリイミド、塩化ビニル、ポリカーボネートを適用することも可能である。
【0021】
内管シャフト20は、外管シャフト10の内部に配置される。内管シャフト20は、ガイドワイヤが挿通可能なガイドワイヤルーメンLを有する。ガイドワイヤルーメンLの基端部側は、ガイドワイヤポートPと連通している。内管シャフト20は、
図2に示すように、バルーン40の先端まで延在している。
【0022】
バルーンカテーテル1は、外管シャフト10の先端部側寄りにガイドワイヤが出入り可能なガイドワイヤポートPが形成された、いわゆるラピッドエクスチェンジ型のカテーテルとして構成している。なお、バルーンカテーテルは、いわゆるオーバーザワイヤ型のカテーテルとして構成してもよい。
【0023】
内管シャフト20の構成材料としては、例えば、外管シャフト10の先端シャフト11および中間シャフト12と同様の材料を用いることが可能である。
【0024】
先端チップ30は、
図2に示すように、内管シャフト20の先端側に設けられる。先端チップ30は、先端側に向けて外径が小さくなるテーパー形状を備えている。先端チップ30の内部には、軸方向に沿って貫通孔31が形成されている。貫通孔31は、ガイドワイヤルーメンLと連続して形成されている。
【0025】
先端チップ30は、例えば、熱収縮性を備える柔軟な樹脂製の部材で構成することが可能である。ただし、先端チップ30の材質は、内管シャフト20に対して固定することが可能であれば、特に限定されない。
【0026】
このように、先端チップ30が設けられることによって、バルーンカテーテル1の先端が生体器官(血管の内壁等)に接触した際に、生体器官に損傷等が生じることを好適に防止できる。
【0027】
図2に示すように、バルーン40の先端は、内管シャフト20に対して固定され、バルーン40の基端は、外管シャフト10の先端シャフト11に対して固定される。バルーン40の内管シャフト20または先端シャフト11に対する固定方法は、特に限定されないが、例えば接着剤による接着である。
【0028】
バルーン40は、外管シャフト10の内腔10Lを通じて、作動流体が注入されることにより、径方向に拡張する。作動流体は、例えば、造影剤と生理食塩水の混合液からなる。
【0029】
バルーン40の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、架橋型エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等を用いることができる。
【0030】
造影マーカー部50は、
図2に示すように、内管シャフト20の外周かつバルーン40の内周に設けられる。造影マーカー部50は、バルーン40の位置を把握するために設けられる。造影マーカー部50は、内管シャフト20において、バルーン40に対応する箇所に配置されている。
【0031】
造影マーカー部50は、
図3に示すように、軸方向に沿って設けられる複数のリング部51と、リング部51の一部が隣り合うリング部51と重複した状態で、互いに隣り合うリング部51同士を連結する連結部52と、を有する。本実施形態において複数のリング部51は、
図4~
図6に示すように、4つ設けられているが、これに限定されない。
【0032】
リング部51は、
図3~
図6に示すように、正面から視たときの断面視で、S字状に構成された本体部53と、本体部53の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部54と、本体部53の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部55と、を有する。本明細書において、S字状に構成された本体部53とは、
図9に示す構造を意味する。
【0033】
連結部52は、
図3~
図6に示すように、一のリング部51の第1延在部54、および一のリング部51に隣り合う他のリング部51の第2延在部55が互いに係合することによって構成されている。すなわち、本実施形態において、造影マーカー部50は、いわゆるセミインターロック構造を備えている。この構成によれば、第1延在部54および第2延在部55が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数のリング部51の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0034】
造影マーカー部50は、例えば、白金、金、銀、イリジウム、チタン、タングステン等の金属、またはこれらの合金等により構成することができる。
【0035】
次に、
図4~
図6を参照して、造影マーカー部50を内管シャフト20の外周に固定する方法を説明する。
【0036】
まず、
図4に示すように、造影マーカー部50を内管シャフト20の外周に配置する。次に、
図5に示すように、造影マーカー部50を内管シャフト20に対してかしめることによって、内管シャフト20は、造影マーカー部50の内周側の溝56に挿入される。
【0037】
次に、
図6に示すように、造影マーカー部50を内管シャフト20に融着することによって、内管シャフト20は、造影マーカー部50の内周側の溝56により多く挿入される。
【0038】
ハブ60は、流体(作動流体)を供給するためのインデフレーター等の供給装置(図示省略)と液密・気密に接続可能なポート61を有している。ハブ60のポート61は、例えば、流体チューブ等が接続・分離可能に構成された公知のルアーテーパー等によって構成することができる。
【0039】
ハブ60の構成材料は、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルサン、ポリアリレート、メタクリレート-ブチレン-スチレン共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係るバルーンカテーテル1は、中空形状を備える外管シャフト10と、外管シャフト10の内部に配置される内管シャフト20と、外管シャフト10の径方向の外方に配置され、拡張および収縮可能なバルーン40と、内管シャフト20の外周かつバルーン40の内周に設けられ、バルーン40の位置を把握するための造影マーカー部50と、を有する。造影マーカー部50は、軸方向に沿って設けられる複数のリング部51と、リング部51の一部が隣り合うリング部51と重複した状態で、互いに隣り合う前記リング部同士を連結する連結部52と、を有する。このように構成されたバルーンカテーテル1によれば、リング部51の一部が隣り合うリング部51と重複した状態で、複数のリング部51が連結部52によって互いに連結された構成を備える。このため、複数のリング部51の間に隙間が生じることを防止することができる。したがって、X線透視下で造影マーカー部50の視認性が低下することを抑制できる。
【0041】
また、正面から視たときの断面視で、リング部51は、S字状に構成された本体部53と、本体部53の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部54と、本体部53の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部55と、を有し、連結部52は、一のリング部51の第1延在部54、および一のリング部51に隣り合う他のリング部51の第2延在部55が互いに係合することによって構成されている。このように構成されたバルーンカテーテル1によれば、第1延在部54および第2延在部55が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数のリング部51の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0042】
また、造影マーカー部50が内管シャフト20にかしめられた状態で、内管シャフト20は、造影マーカー部50の溝56に挿入されている。このように構成されたバルーンカテーテル1によれば、造影マーカー部50が内管シャフト20に好適に固定される。
【0043】
<第1実施形態の変形例>
次に、
図7を参照して、第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル2の構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル2の造影マーカー部150を示す概略断面図である。第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル2は、造影マーカー部150の構成について、第1実施形態に係るバルーンカテーテル1の構成と異なる。
【0044】
第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル2の造影マーカー部150は、
図7に示すように、連続的に螺旋状に設けられた複数の螺旋部151と、螺旋部151の一部が隣り合う螺旋部151と重複した状態で、互いに隣り合う螺旋部151同士を連結する連結部152と、を有する。
【0045】
正面から視たときの断面視で、螺旋部151は、S字状に構成された本体部153と、本体部153の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部154と、本体部153の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部155と、を有する。
【0046】
連結部152は、
図7に示すように、一の螺旋部151の第1延在部154、および一の螺旋部151に隣り合う他の螺旋部151の第2延在部155が互いに係合することによって構成されている。すなわち、本実施形態において、造影マーカー部150は、いわゆるセミインターロック構造を備えている。この構成によれば、第1延在部154および第2延在部155が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数の螺旋部151の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0047】
以上説明したように、第1実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル2の造影マーカー部150は、連続的に螺旋状に設けられる複数の螺旋部151と、螺旋部151の一部が隣り合う螺旋部151と重複した状態で、互いに隣り合う螺旋部151同士を連結する連結部152と、を有する。以上のように構成されたバルーンカテーテル2によれば、螺旋部151の一部が隣り合う螺旋部151と重複した状態で、複数の螺旋部151が連結部152によって互いに連結された構成を備える。このため、複数の螺旋部151の間に隙間が生じることを防止することができる。したがって、X線透視下で造影マーカー部150の視認性が低下することを抑制できる。
【0048】
また、正面から視たときの断面視で、螺旋部151は、S字状に構成された本体部153と、本体部153の先端部から基端側に向けて延在する第1延在部154と、本体部153の基端部から先端側に向けて延在する第2延在部155と、を有し、連結部152は、一の螺旋部151の第1延在部154、および一の螺旋部151に隣り合う他の螺旋部151の第2延在部155が互いに係合することによって構成されている。このように構成されたバルーンカテーテル2によれば、第1延在部154および第2延在部155が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数の螺旋部151の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、
図8を参照して、第2実施形態に係るバルーンカテーテル3の構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8は、第2実施形態に係るバルーンカテーテル3の造影マーカー部250を示す概略断面図である。第2実施形態に係るバルーンカテーテル3は、造影マーカー部250の構成について、第1実施形態に係るバルーンカテーテル1の構成と異なる。
【0050】
第2実施形態に係るバルーンカテーテル3の造影マーカー部250は、
図8に示すように、軸方向に沿って設けられる複数のリング部251と、リング部251の一部が隣り合うリング部251と重複した状態で、互いに隣り合うリング部251同士を連結する連結部252と、を有する。
【0051】
リング部251は、正面から視たときの断面視で、S字状に構成される。連結部252は、
図8に示すように、一のリング部251の基端部、および一のリング部251に隣り合う他のリング部251の先端部が互いに係合することによって構成されている。すなわち、第2実施形態において、造影マーカー部250は、いわゆるケーシング構造を備えている。
【0052】
以上のように構成されたバルーンカテーテル3によれば、一のリング部251の基端部、および他のリング部251の先端部が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数の螺旋部151の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0053】
<第2実形態の変形例>
次に、
図9を参照して、第2実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル4の構成について説明する。なお、第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、第2実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル4を示す概略断面図である。第2実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル4は、造影マーカー部350の構成について、第2実施形態に係るバルーンカテーテル3の構成と異なる。
【0054】
第2実施形態の変形例に係るバルーンカテーテル4の造影マーカー部350は、
図9に示すように、連続的に螺旋状に設けられた螺旋部351と、螺旋部351の一部が隣り合う螺旋部351と重複した状態で、互いに隣り合う螺旋部351同士を連結する連結部352と、を有する。
【0055】
正面から視たときの断面視で、螺旋部351はS字状に構成され、連結部352は、一の螺旋部351の基端部、および一の螺旋部351に隣り合う他の螺旋部351の先端部が互いに係合することによって構成されている。すなわち、第3実施形態において、造影マーカー部350は、いわゆるケーシング構造を備えている。
【0056】
以上のように構成されたバルーンカテーテル4によれば、一の螺旋部351の基端部、および他の螺旋部351の先端部が互いに係合するため、連結力がより強固となり、複数の螺旋部351の連結が解除されることをより好適に防止することができる。
【0057】
以上、実施形態および変形例を通じてバルーンカテーテルを説明したが、本発明は実施形態において説明した構成のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0058】
例えば、本発明に係るバルーンカテーテルは、狭窄部を拡張させるために使用されるバルーンカテーテルに限らず、ステントを狭窄部にデリバリーし、留置するステントデリバリー用のバルーンカテーテルにも適用することが可能である。
【0059】
また、上述した実施形態では、連結部は、機械的な係合によってのみ構成されていた。しかしながら、連結部は、機械的に係合する箇所に接着剤が配置される構成であってもよい。この構成によれば、連結部の連結力をより強固にすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1、2、3、4 バルーンカテーテル、
10 外管シャフト、
20 内管シャフト、
40 バルーン、
50、150、250、350 造影マーカー部、
51、251 リング部、
52、152、252、352 連結部、
53、153 本体部、
54、154 第1延在部、
55、155 第2延在部、
56 溝、
151、351 螺旋部。