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特開2022-126108ウェアラブル装置およびウェアラブル装置の入力方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126108
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ウェアラブル装置およびウェアラブル装置の入力方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/04886 20220101AFI20220823BHJP
   G06F 3/0482 20130101ALI20220823BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G06F3/0488 160
G06F3/0482
G06F3/023 460
G06F3/023 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023993
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】加藤 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】戸羽 遼太郎
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020BB04
5B020DD30
5B020FF53
5E555AA13
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC19
5E555CA12
5E555CB14
5E555CB16
5E555CB44
5E555DA24
5E555DB41
5E555DB45
5E555DC02
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】本発明は、オクルージョンの発生を抑制でき、誤入力に気付き易いウェアラブル装置およびその入力方法を提供する。
【解決手段】本発明のウェアラブル装置の一例であるスマートウォッチSWは、曖昧入力機能を用いる装置であって、文の作成に用いられる複数の記号が複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、前記複数の代表記号を環状に並べて表示部1に表示し、前記代表記号を表示する表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を検出した場合に、当該代表記号を入力記号列への入力内容として取得し、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した、正しい有意な記号列を、常時、表示部1に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いるウェアラブル装置であって、
表示部と、
前記表示部を制御する表示制御部と、
前記表示部の表示面における表示位置と対応付けられた操作面を持ち、入力操作を行うための操作手段が接触した、前記操作面における操作位置を検出する入力位置検出部と、
前記入力位置検出部で検出した操作位置に対応する表示位置に表示されている表示内容を、入力内容として取得する入力内容取得部とを備え、
前記複数の記号が複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、
前記表示制御部は、前記設定された複数の代表記号を環状に並べて前記表示内容として前記表示部に表示し、
前記入力内容取得部は、前記代表記号を表示する表示位置に対応する操作位置に対する前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出部で検出した場合に、当該代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得し、
前記表示制御部は、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、前記表示内容として前記表示部に表示する、
ウェアラブル装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列が複数ある場合に、前記複数の記号列の中から所定数の記号列を、常時、前記表示内容として前記表示部に表示する、
請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列が複数ある場合に、新たに生成したウィンドウに前記複数の記号列を前記表示内容として前記表示部に表示する、
請求項1または請求項2に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出部で検出した場合に、振動する振動部をさらに備える、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いるウェアラブル装置の入力方法であって、
所定の表示内容を表示する表示工程と、
入力操作を行うための操作手段が接触した表示面上での位置を検出する入力位置検出工程と、
前記位置入力検出工程で検出した位置に表示されている表示内容を、前記入力内容として取得する入力内容取得工程とを備え、
前記複数の記号が複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、
前記表示工程は、前記設定された複数の代表記号を環状に並べて前記表示内容として表示し、
前記入力内容取得工程は、前記代表記号を表示する表示位置に対応する操作位置に対する前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出工程で検出した場合に、当該代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得し、
前記表示工程は、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、前記表示内容として表示する、
ウェアラブル装置の入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字等の記号を好適に入力できるウェアラブル装置およびその入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、手首に装着するリストバンド型や首に掛けるペンダント型等の、生体に身に付けるウェアラブル装置が知られており、近年では、いわゆるスマートウォッチが利用され始めている。このようなウェアラブル装置は、比較的小型であるため、例えば、活動量(例えば歩数)、心拍、血圧および血中酸素濃度等の生体情報の測定や、携帯端末装置の着信を知らせる信号を受信して前記着信を前記生体に通知する等の、様々な通知に好適に用いられている。しかしながら、前記小型であるゆえに、文字入力は、音声入力が主流であり、このため、例えば公共交通機関内や施設内や人混み等の、発声し難い所では、前記音声入力は、使い難い。そのため、タッチ入力の開発が望まれており、例えば、特許文献1に開示されたウェアラブル装置の入力方法がある。
【0003】
この特許文献1に開示されたウェアラブル装置の入力方法は、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いるウェアラブル装置の入力方法であって、前記複数の記号を分けた複数の記号群それぞれを代表する複数の代表記号を円環状に配列したキー配列に対し、一筆書きの要領で前記入力記号列を入力するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-012462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示されたウェアラブル装置の入力方法は、より簡単な操作で文字等の記号を入力できる点で優れている。一方、入力中は、入力操作を行うための例えば手指等の操作手段を操作面に接触し続けるため、表示面上に前記操作面があると、前記操作手段で前記代表記号を隠してしまうオクルージョンが生じてしまう。また、所望の入力記号列に対応する複数の代表記号を一筆書きの要領で入力するため、誤入力すると、変換候補が表示されるまで、前記誤入力に気付き難い。特に、前記オクルージョンの発生や曖昧入力であるため、誤入力し易い。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、オクルージョンの発生を抑制でき、誤入力に気付き易いウェアラブル装置およびウェアラブル装置の入力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかるウェアラブル装置は、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いる装置であって、表示部と、前記表示部を制御する表示制御部と、前記表示部の表示面における表示位置と対応付けられた操作面を持ち、入力操作を行うための操作手段が接触した、前記操作面における操作位置を検出する入力位置検出部と、前記入力位置検出部で検出した操作位置に対応する表示位置に表示されている表示内容を、入力内容として取得する入力内容取得部とを備え、前記複数の記号が複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、前記表示制御部は、前記設定された複数の代表記号を環状に並べて前記表示内容として前記表示部に表示し、前記入力内容取得部は、前記代表記号を表示する表示位置に対応する操作位置に対する前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出部で検出した場合に、当該代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得し、前記表示制御部は、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、前記表示内容として前記表示部に表示する。本発明の他の一態様にかかるウェアラブル装置の入力方法は、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いるウェアラブル装置の入力方法であって、所定の表示内容を表示する表示工程と、入力操作を行うための操作手段が接触した表示面上での位置を検出する入力位置検出工程と、前記位置入力検出工程で検出した位置に表示されている表示内容を、前記入力内容として取得する入力内容取得工程とを備え、前記複数の記号が複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、前記表示工程は、前記設定された複数の代表記号を環状に並べて前記表示内容として表示し、前記入力内容取得工程は、前記代表記号を表示する表示位置に対応する操作位置に対する前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出工程で検出した場合に、当該代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得し、前記表示工程は、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、前記表示内容として表示する。
【0008】
このようなウェアラブル装置およびその入力方法は、入力操作が、操作面に接触し続ける一筆書きの要領ではなく、操作面に対し接触後に離れるタップ操作であるので、オクルージョンの発生を抑制できる。上記ウェアラブル装置およびその入力方法は、入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、表示内容として表示するので、誤入力に気付き易い。
【0009】
他の一態様では、上述のウェアラブル装置において、前記表示制御部は、前記変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列が複数ある場合に、前記複数の記号列の中から所定数の記号列を、常時、前記表示内容として前記表示部に表示する。迅速に記号列を選択できることから、好ましくは、上述のウェアラブル装置において、前記表示制御部は、前記複数の記号列の中から、前記複数の記号列を所定の観点でソートした場合における上位から前記所定数の記号列を、常時、前記表示内容として前記表示部に表示する。好ましくは、前記所定の観点は、前記複数の記号を使用する社会での形態素列の出現頻度(使用頻度)である。好ましくは、前記所定の観点は、当該ウェアラブル装置での形態素列の出現頻度(使用頻度)である。
【0010】
このようなウェアラブル装置は、前記複数の記号列の中から所定数の記号列を表示するので、比較的小型なウェアラブル装置でも、表示面を有効に活用して前記記号列を表示できる。
【0011】
他の一態様では、これら上述のウェアラブル装置において、前記表示制御部は、前記変更後の入力文字列を前記曖昧入力機能で変換した記号列が複数ある場合に、新たに生成したウィンドウに前記複数の記号列を前記表示内容として前記表示部に表示する。
【0012】
このようなウェアラブル装置は、新たに生成したウィンドウに前記複数の記号列を表示するので、入力したい記号列の選択が可能となる。
【0013】
他の一態様では、これら上述のウェアラブル装置において、前記操作手段のタップ操作を前記入力位置検出部で検出した場合に、振動する振動部をさらに備える。
【0014】
このようなウェアラブル装置は、振動部をさらに備えるので、操作手段のタップ操作を検出したことを振動によりユーザに伝えることができ、ユーザは、前記振動によりタップ操作の完了を把握(認識)できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるウェアラブル装置およびウェアラブル装置の入力方法は、オクルージョンの発生を抑制でき、誤入力に気付き易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態におけるウェアラブル装置を説明するための図である。
図2】前記ウェアラブル装置に表示される画面を説明するための図である。
図3】前記ウェアラブル装置における入力記号列の入力に関する動作を示すフローチャートである。
図4】前記ウェアラブル装置における入力候補の記号列の変換および表示に関する動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0018】
図1は、実施形態におけるウェアラブル装置を説明するための図である。図1Aは、前記ウェアラブル装置の外観を示す斜視図であり、図1Bは、表示部の表示位置と入力位置検出部の操作位置との関係を説明するための図であり、図1Cは、前記ウェアラブル装置の構成を示すブロック図である。図2は、前記ウェアラブル装置に表示される画面を説明するための図である。図2Aは、入力操作前の入力画面を示し、図2Bは、入力操作中の入力画面を示し、図2Cは、入力候補表示ウィンドウを開いた入力画面を示す。
【0019】
実施形態のウェアラブル装置は、生体(人およびその他生物を含む)に身に付けて用いられる装置であり、ウェアラブル装置には、例えば、手首に装着するリストバンド型や首に掛けるペンダント型等がある。ここでは、一例として、リストバンド型のウェアラブル装置、より具体的には、時計機能に加えて所定の付加機能を備え、マイクロプロセッサを備えて構成されるいわゆるスマートウォッチである。そして、本実施形態のウェアラブル装置は、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を用いる。
【0020】
このようなウェアラブル装置の一例であるスマートウォッチSWは、例えば、図1に示すように、表示部1と、入力位置検出部2と、付加機能用センサ3と、インターフェース部(IF部)4と、記憶部5と、制御処理部6と、本体部MBと、第1および第2バンドBD-1、BD-2と、バックルBCとを備える。
【0021】
本体部MBは、表示部1および入力位置検出部2が外部に臨むように、表示部1、入力位置検出部2、付加機能用センサ3、IF部4、記憶部5および制御処理部6を収容する筐体部材である。本体部MBは、例えば、図1Aに示すように、短高有底中空の円柱状部材であり、天面には、その表示面DPおよび操作面SPが外部に臨むように、表示部1および入力位置検出部2が、配設されている。
【0022】
第1および第2バンドBD-1、BD-2は、本体部MBを手首に装着するための部材であり、それぞれ、一方向に長尺な帯状の部材である。第1バンドBD-1の一方端部は、本体部MBの側面に取り付けられ、その他方端部には、バックルBCが取り付けられている。第2バンドBD-1の一方端部は、第1バンドBD-1の取付け位置と径方向に沿って対向する位置で、本体部MBの側面に取り付けられ、その他方端部分には、バックルBCのピン(ツク棒)を通すための複数の貫通穴(小穴、アジャスタ穴)が前記一方向(長尺方向)に沿って所定の間隔で形成されている。
【0023】
バックルBCは、第1バンドBD-1と第2バンドBD-2とを連結するための部材である。図1Aに示す例では、バックルBCは、ピンバックルであるが、これに限定されるものではなく、適宜に、変更でき、例えば三つ折れバックルやDバックル等であって良い。
【0024】
表示部1は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って所定の情報(データ)の表示を行う装置である。表示部1は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)および有機ELディスプレイ等である。
【0025】
入力位置検出部2は、制御処理部6に接続され、入力操作を行うための操作手段(操作部、例えば生体の手指またはスタイラス(タッチペン)等)が接触した、操作面における操作位置を検出する装置であり、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の接触位置を検出して入力する位置入力装置等である。入力位置検出部2は、その検出した操作位置を制御処理部6へ出力する。操作面における操作位置は、表示部1の表示面における表示位置と予め対応付けられている。例えば、図1Bに示すように、操作面SPにおける中央位置のドット21-00が表示面DPにおける中央位置の画素11-00と対応付けられ、これらを基準に、操作面SPにおける複数のドット21-mnそれぞれが表示面DPにおける複数の画素11-klそれぞれと対応付けられている(k、l、m、nは、整数)。なお、図1Bでは、操作面SPにおける中央位置のドット21-00および表示面DPにおける中央位置の画素11-00が図示され、他のドット21および他の画素11の図示は、説明の都合上、省略されている。また、表示面DPを構成する複数の画素11における第1空間分解能と、操作面SPを構成する複数のドット21における第2空間分解能とは、同一であってよく((画素11の第1面積)=ドット21の第2面積))、あるいは、異なってもよい(前記第1面積≠前記第2面積)。第1および第2空間分解能が異なる場合、表示位置と操作位置とは、多対1または1対多で対応付けられる。ここでは、各中央位置におけるドット21-00および画素11-00が他のドット21-mnおよび他の画素11-klの基準とされたが、これに限定されるものではなく、操作面SPにおける他の位置のドット21と表示面DPにおける他の位置の画素11とが互いに対応付けられて基準とされてよい。
【0026】
表示面の表示位置(上述例では複数の画素11それぞれの各位置)と、操作面の操作位置(上述例では複数のドット21それぞれの各位置)とが互いに対応付けられていれば、表示部1と入力位置検出部2とは、操作手段が表示面を遮ることを回避する観点から、スマートウォッチSW内で別々の配設箇所に配設されて良い(例えば第2バンドBD-2上に入力位置検出部2が配設される、あるいは、例えば入力操作の際に操作面が表示面からスライドされる)が、本実施形態では、図1Aに示すように、操作面が表示面上に配置され、入力位置検出部2は、表示部1と一体化され、いわゆるタッチパネル(タッチスクリーン)を構成する。このように操作面における操作位置と表示面における表示位置とが予め対応付けられ、操作面が表示面上に配置されているので、本明細書では、操作面に対する入力操作は、表示面に対する入力操作のように説明されることがある。なお、図1Bでは、表示位置と操作位置との対応関係を説明する都合上、操作面SPは、表示面DPから離間して図示されている。
【0027】
付加機能用センサ3は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って付加機能に応じた所定の物理量を測定するセンサである。例えば、付加機能が歩数を数える歩数計の機能である場合では、付加機能用センサ3は、加速度を測定する加速度センサである。あるいは、例えば、付加機能が心拍数を計る心拍計の機能である場合では、付加機能用センサ3は、所定波長の光を放射する発光部および前記発光部から放射された光を生体を介して受光する受光部とを備え、脈波を測定する光電脈波型の脈波センサである。付加機能用センサ3は、その測定結果を制御処理部6へ出力する。
【0028】
IF部4は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、Bluetooth(登録商標)規格やIrDA(Infrared Data Association)規格等の近距離無線通信規格を用いたインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
【0029】
記憶部5は、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、スマートウォッチSWの各部1~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する制御プログラムや、年月日時分秒で計時を行う計時プログラムや、付加機能用センサ3の測定結果を付加機能に応じて情報処理する付加機能処理プログラムや、表示部1を制御する表示制御プログラムや、入力位置検出部2で検出した操作位置に対応する表示位置に表示されている表示内容を、入力内容として取得する入力内容取得プログラムや、前記入力内容取得プログラムで取得された入力内容の入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力変換プログラム等の制御処理プログラムが含まれる。前記各種の所定のデータには、表示部1に表示する画面を表す画面情報、表示部1における表示面の表示位置と入力位置検出部2における操作面の操作位置との対応関係を表す対応関係情報、および、入力記号列を正しい有意な記号列に変換する際に用いられる前記入力記号列と前記記号列との対応関係を表す変換辞書等の、各プログラムを実行する上で必要なデータ等が含まれる。記憶部5は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部5は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部6のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0030】
制御処理部6は、スマートウォッチSWの各部1~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列の入力を受け付け、前記入力記号列を、正しい有意な記号列に変換するための回路である。制御処理部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部6は、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部61、計時部62、付加機能処理部63、表示制御部64、入力内容取得部65および曖昧入力変換部66を機能的に備える。
【0031】
制御部61は、スマートウォッチSWの各部1~5を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、スマートウォッチSWの全体制御を司るものである。
【0032】
計時部62は、年月日時分秒で計時を行うものである。計時部62は、その計時した年月日時分秒を、現在の年月日および時刻として表示部1に表示する。
【0033】
付加機能処理部63は、付加機能用センサ3の測定結果を付加機能に応じて情報処理するものである。付加機能処理部63は、その情報処理結果を表示部1に表示する。例えば、付加機能が歩数計の機能である場合では、前記加速度センサで測定された加速度に基づいて、1歩の歩行動作を行ったか否かを判定し、1歩の歩行動作を行ったと判定した判定結果を累積加算することで、歩数を数える。通常、1歩の歩行動作で加速度が増減する。このため、加速度は、歩行動作に伴って周期的に変化するので、この周期的な加速度の変化から、1歩の歩行動作が判定できる。あるいは、例えば、付加機能が心拍計の機能である場合では、前記脈波センサで測定された脈波に基づいて心拍数を求める。通常、1つの心拍で血管容積が増減し、前記血管容積の変化は、受光量の変化として測定される。このため、血管容積(受光量)は、心拍に伴って周期的に変化するので、この周期的な変化の周期(または周波数)を求めることで、心拍数が求められる。
【0034】
表示制御部64は、表示部1を制御するものである。より具体的には、本実施形態では、表示制御部64は、複数の代表記号を環状に並べて表示内容の1つとして表示部1に表示する。より詳しくは、表示制御部64は、複数の代表記号を、所定の間隔を空けて周方向に沿って円環状または多角形環状(例えば矩形環状等)に並べて表示内容として表示部1に表示する。図1に示す例では、表示部1の表示面DPは、本体部MBの形状に合わせて円形状であり、この表示面DPの形状に合わせて、表示制御部64は、複数の代表記号を円環状に並べて表示部1に表示する。
【0035】
文の作成に用いられる複数の記号は、複数の記号群に分けられ、前記複数の記号群それぞれに当該記号群を代表する代表記号が設定され、前記複数の代表記号が生成される。前記複数の記号は、スマートウォッチSWに入力される言語に応じて適宜に設定される。例えば、言語が日本語である場合、前記複数の記号は、日本語のかな文字、句点および読点を含み、記号群は、日本語のかな文字における50音表の各行それぞれから成る各群、ならびに、句点および読点からなる群であり(あ行の第1群、か行の第2群、さ行の第3群、た行の第4群、な行の第5群、は行の第6群、ま行の第7群、や行の第8群、ら行の第9群、わ行の第10群および句読点の第11群)、代表記号は、各行の各先頭文字および句点(または読点)である(「あ」、「か」、「さ」、「た」、「な」、「は」、「ま」、「や」、「ら」、「わ」、「、」)。各群には、当該行に属する各かな文字だけでなく、本実施形態では、さらに、当該行に関わる濁音のかな文字、当該行に関わる半濁音のかな文字、および、当該行に関わる捨てかな文字が含まれる(属する)。例えば、あ行の第1群には、「あ」、「い」、「う」、「え」、「お」、「ぁ」、「ぃ」、「ぅ」、「ぇ」および「ぉ」が含まれ(属し)、か行の第2群には、「か」、「き」、「く」、「け」、「こ」、「が」、「ぎ」、「ぐ」、「げ」および「ご」が含まれる(属する)。
【0036】
このような日本語曖昧入力の例では、表示制御部64は、例えば、図2Aに示すように、複数の代表記号を表示するための画面である入力画面70を表示部1に表示する。この入力画面70は、第1ないし第11群の各代表記号を表示するための第1ないし第11代表記号表示領域71-1~71-11と、入力候補の記号列を表示するための記号列表示領域72と、記憶部5に記憶されている入力記号列における1個の記号の削除を指示するボタン(BSボタン)を表示するためのバックスペースキー表示領域(BS表示領域)73と、記号列表示領域72に表示された記号列の確定を指示するボタン(確定ボタン)を表示するための入力確定キー表示領域74と、曖昧入力機能で変換された記号列を所定数以下で表示するための第1変換記号列表示領域75とを備える。これら第1ないし第11代表記号表示領域71-1~71-11は、円形の入力画面70における周縁領域で、所定の間隔を空けて周方向に沿って円環状に並べられて配置され、記号列表示領域72、BS表示領域73、入力確定キー表示領域74および第1変換記号列表示領域75は、前記円環状の内側領域に配置される。より具体的には、記号列表示領域72は、正面視にて、前記内側領域の上側に配置され、第1変換記号列表示領域75は、正面視にて、前記内側領域の下側に配置され、BS表示領域73および入力確定キー表示領域74は、正面視にて、前記内側領域の上下方向の中央位置、すなわち、記号列表示領域72の下側であって変換記号列表示領域の上側に、左右方向に沿って並置される。
【0037】
入力内容取得部65は、入力位置検出部2で検出した操作位置に対応する表示位置に表示されている表示内容を、入力内容として取得するものである。より具体的には、例えば、入力内容取得部65は、前記代表記号を表示する代表記号表示領域71の表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、当該代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得する。そして、制御部61は、この取得した代表記号を入力記号列に加える。あるいは、例えば、第1変換記号列表示領域75は、当該第1変換記号列表示領域75に表示されている記号列を選択する指示を、スマートウォッチSWに入力するためのボタンでもあり、入力位置検出部2で第1変換記号列表示領域75に対する操作手段の接触(例えばタップ操作)を検出すると、入力内容取得部65は、操作位置に対応する表示位置に表示されている記号列を入力内容として取得し、表示制御部64は、この入力内容として取得された記号列を入力候補として入力画面70の記号列表示領域72に表示する。
【0038】
曖昧入力変換部66は、文の作成に用いられる複数の記号の中から曖昧に選択された1または複数の記号から成る入力記号列を、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力機能を実行するものである。本実施形態では、入力記号列は、入力内容取得部65で取得された1または複数の代表記号から成るので、曖昧入力となり、曖昧入力変換部66は、前記1または複数の代表記号から成る入力記号列を、記憶部5に予め記憶された変換辞書を用いて、正しい有意な記号列に変換する。例えば、ユーザがスマートウォッチSWに入力したい記号列が、「abcd」であり、「a」が、あ行の第1群に属するかな文字であり、「b」が、は行の第6群に属するかな文字であり、「c」が、や行の第8群に属するかな文字であり、「d」が、あ行の第1群に属するかな文字である場合、ユーザによって「あはやあ」という複数の代表記号から成る入力記号列が入力され、曖昧入力変換部66は、この入力された「あはやあ」を、前記変換辞書を用いることで「abcd」に変換する。このような曖昧入力機能として、一例では、いわゆるT9(商標または登録商標)が利用できる。入力記号列を構成する記号と、記号列を構成する記号とは、例えば日本語のかな文字同士等の同種の記号であってよいが、異種の記号であってもよい。例えば、本実施形態では、入力記号列を構成する記号は、日本語のかな文字であり、記号列を構成する記号は、日本語の漢字およびかな文字(漢字かな交じり)である。このような場合、曖昧入力変換部66は、同種の記号において、入力記号列を、正しい有意な記号列に変換し、その後、この正しい有意な記号列を、異種の記号における記号列に変換する。例えば、曖昧入力変換部66は、かな文字の代表記号から成る入力記号列を、正しい有意なかな文字の記号列に変換し、これを漢字かな交じりの記号列に変換する。あるいは、曖昧入力変換部66は、入力記号列を、異種の記号における、正しい有意な記号列に変換してもよい。例えば、曖昧入力変換部66は、かな文字の代表記号から成る入力記号列を、正しい有意な漢字かな交じりの記号列に変換する。このような曖昧入力変換部66は、一例では、いわゆるT9ダイレクトによって構成できる。
【0039】
本実施形態では、曖昧入力変換部66は、前記入力文字列が変更されるたびに(変化するたびに)、変更後(変化後)の入力文字列を前記曖昧入力機能で正しい有意な記号列に変換する。
【0040】
そして、表示制御部64は、前記入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を曖昧入力変換部66の前記曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、前記表示内容の他の1つとして表示部1の第1変換記号列表示領域75に表示する。
【0041】
ここで、入力記号列によっては、複数の記号列に変換できる場合がある。このような場合に、表示制御部64は、前記複数の記号列の中から所定数の記号列を、常時、第1変換記号列表示領域75に表示する。前記所定数は、第1変換記号列表示領域75のサイズ(広さ)等を考慮することによって、例えば2個や3個等で適宜に設定される。図2Bに示す例では、前記所定数は、2個であり、一例では「わ」、「た」および「さ」の入力文字列に対し、第1変換記号列表示領域75には「わたし」および「私」が表示されている。本実施形態では、表示制御部64は、前記複数の記号列の中から、前記複数の記号列を所定の観点でソートした場合における上位から前記所定数の記号列を、常時、第1変換記号列表示領域75に表示する。前記所定の観点は、ユーザの選択の便宜を図る適宜な観点であり、例えば、前記複数の記号を使用する社会での形態素列の出現頻度(使用頻度)である。あるいは、例えば、前記所定の観点は、当該スマートウォッチSWでの形態素列の出現頻度(使用頻度)であってもよい。
【0042】
さらに、入力記号列によっては、前記所定数より多い複数の記号列に変換できる場合がある。このような場合に、表示制御部64は、新たに生成したウィンドウに前記複数の記号列を表示内容として表示部1に表示する。例えば、図2Cに示すように、表示制御部64は、入力文字列を曖昧入力機能で変換した複数の記号列を一覧で表示する記号列一覧表示画面77を、新たに開かれたウィンドウとして、入力画面70に重ねて表示部1に表示する。この記号列一覧表示画面77は、当該記号列一覧表示画面77のウィンドウを閉じることを指示するボタン(閉ボタン、「v」)を表示するための閉ボタン表示領域77aと、曖昧入力機能で変換された複数の記号列を一覧で表示するための第2変換記号列表示領域77bとを備え、平面視にて、表示面の略下半分に表示される。このような記号列一覧表示画面77は、所定の入力操作、例えば、平面視にて表示面の下半分の領域において、上方向のフリック操作を入力位置検出部2で検出すると、新たにウィンドウが開かれ、表示される。制御処理部6は、入力位置検出部2で閉ボタン表示領域77aに対する操作手段の接触(例えばタップ操作)を検出すると、表示制御部64は、当該記号列一覧表示画面77を閉じ、入力画面70を表示部1に表示する。第2変換記号列表示領域77bには、平面視にて、左から右へ順に、そして、上から下へ順に、前記複数の記号列は、出現頻度順に順次に表示される。一例では「わ」、「た」および「さ」の入力文字列に対し、図2Cに示すように、第2変換記号列表示領域77bには「わたし」、「私」、「-とし」、「渡し、「わたさ」、「渡さ」、「渡す」、「を都市」および「を足し」が表示されている。第2変換記号列表示領域77bでスクロール操作(スライド操作)があると、表示制御部64は、第2変換記号列表示領域77bの表示内容をスクロールする。これによって前記複数の記号列が全て表示できる。第2変換記号列表示領域77bは、第1変換記号列表示領域75と同様に、当該第2変換記号列表示領域77bに表示されている記号列を選択する指示を、スマートウォッチSWに入力するためのボタンでもある。入力位置検出部2で第2変換記号列表示領域77bに対する操作手段の接触(例えばタップ操作)を検出すると、入力内容取得部65は、操作位置に対応する表示位置に表示されている記号列を入力内容として取得し、表示制御部64は、この入力内容として取得された記号列を入力候補として入力画面70の記号列表示領域72に表示する。
【0043】
前記変換辞書は、曖昧入力された入力記号列と正しい有意な記号列との対応関係を表す情報であり、入力記号列の各代表記号それぞれに対応する各記号群それぞれに属する各記号における全ての組合せのうち、有意な組合せが前記記号列として、入力記号列に対応付けられて構成される。このような変換辞書は、より高速に入力記号列から前記記号列を検索(選定、抽出)するために、例えば、Trie(トライ)木構造で構成されたn-gram辞書である。そして、入力記号列に対応する前記記号列が、複数、検索される場合に、出現頻度の高い順に複数の前記記号列をソートするために、前記記号列には、出現頻度が対応付けられている。この出現頻度は、一例では、国立国語研究所コーパス開発センターにより提供される現代日本語書き言葉均衡コーパスを参照することで設定できる。また、前記変換辞書は、単語単位だけでなく文節単位(例えば単文節や連文節等)での変換を可能とするためや、スマートウォッチでの変換を可能とするために、2-gramや3-gram辞書等であることが好ましい。
【0044】
次に、本実施形態の動作について説明する。図3は、前記ウェアラブル装置における入力記号列の入力に関する動作を示すフローチャートである。図4は、前記ウェアラブル装置における入力候補の記号列の変換および表示に関する動作を示すフローチャートである。
【0045】
このような構成のスマートウォッチSWは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。その制御処理プログラムの実行によって、制御処理部6には、制御部61、計時部62、付加機能処理部63、表示制御部64、入力内容取得部65および曖昧入力変換部66が機能的に構成される。そして、制御処理部6は、その計時部62で計時された年月日時分秒を表示部1に表示する。
【0046】
このような年月日時分秒が表示されている場合に、例えば、操作手段が操作面(表示面)に接触すると、制御処理部6は、メニューを表示する図略のメニュー画面を表示部1に表示し、メニューの項目から、文字入力を指示する項目が操作手段の接触により選択されると、制御処理部6は、表示制御部64によって、図2Aに示す入力画面70を表示部1に表示し、制御処理部6は、入力記号列の入力およびその変換に関し、次のように動作する。
【0047】
前記入力記号列の入力では、図3において、まず、制御処理部6は、入力内容取得部65によって、入力操作があるか否かを判定する(S1)。より具体的には、入力内容取得部65は、入力位置検出部2で操作面に対する操作手段の接触を検出したか否かを判定する。この判定の結果、操作手段の接触が検出されない場合には、入力操作が無いと判定され(No)、制御処理部6は、処理を処理S1に戻す。したがって、操作手段の接触が検出されるまで、処理S1が繰り返し実行される。一方、前記判定の結果、操作手段の接触が検出された場合には、入力操作があると判定され(Yes)、制御処理部6は、次に、処理S2を実行する。
【0048】
この処理S2では、制御処理部6は、入力内容取得部65によって、処理S1の入力操作が、平面視にて表示面の下半分の領域における、上方向のフリック操作であるか否かを判定する。この判定の結果、前記入力操作が前記フリック操作である場合(Yes)には、制御処理部6は、次に、処理S3を実行する。一方、前記判定の結果、前記入力操作が前記フリック操作ではない場合(No)には、制御処理部6は、次に、処理S4を実行する。
【0049】
この処理S3では、制御処理部6は、表示制御部64によって、新たにウィンドウを開き、記号列一覧表示画面77を表示部1に表示し、処理を処理S1に戻す。
【0050】
前記処理S4では、制御処理部6は、入力内容取得部65によって、処理S1の入力操作が、第2変換記号列表示領域77bでのスクロール操作(スライド操作)であるか否かを判定する。この判定の結果、前記入力操作が前記スクロール操作である場合(Yes)には、制御処理部6は、次に、処理S5を実行する。一方、前記判定の結果、前記入力操作が前記スクロール操作ではない場合(No)には、制御処理部6は、次に、処理S6を実行する。
【0051】
この処理S5では、制御処理部6は、表示制御部64によって、記号列一覧表示画面77の表示内容をスクロール操作のスクロール量(スライド量)に応じてスクロールし、処理を処理S1に戻す。
【0052】
前記処理S6では、制御処理部6は、入力内容取得部65によって、処理S1の入力操作が、タップ操作であるか否かを判定する。この判定の結果、前記入力操作が前記タップ操作である場合(Yes)には、制御処理部6は、次に、処理S7を実行する。一方、前記判定の結果、前記入力操作が前記タップ操作ではない場合(No)には、制御処理部6は、処理を、処理S16に戻す。すなわち、本実施形態では、入力操作が検出されたが、この入力操作が無効とされ、制御処理部6は、新たな入力操作を待機する。
【0053】
この処理S7では、制御処理部6は、入力内容取得部65によって、前記タップ操作の入力内容を判定する。
【0054】
この判定の結果、入力内容取得部65は、代表記号表示領域71の表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、前記タップ操作の入力内容が代表記号の入力と判定し(代表記号)、次に、入力内容取得部65は、前記タップ操作の操作位置に対応する表示位置に表示されている代表記号を前記入力記号列への前記入力内容として取得し(S11)、次に、制御部61は、この取得した代表記号を入力記号列に加えて更新し、この更新後の入力記号列を記憶部5に記憶し(S12)、次に、制御部61は、入力記号列の変換を要求する変換要求を曖昧入力変換部66に通知し(S13)、処理を処理S1に戻す。
【0055】
前記判定の結果、入力内容取得部65は、BS表示領域73の表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、前記タップ操作の入力内容がBSボタンの入力と判定し(BSボタン)、次に、入力内容取得部65は、BSボタンを前記入力内容として取得し(S21)、次に、制御部61は、記憶部5に記憶されている入力記号列から最後に(直近に)加えた1個の記号を削除して前記入力文字列を更新し、この更新後(削除後)の入力記号列を記憶部5に記憶し(S22)、次に、制御部61は、入力記号列の変換を要求する変換要求を曖昧入力変換部66に通知し(S23)、処理を処理S1に戻す。
【0056】
前記判定の結果、入力内容取得部65は、第1変換記号列表示領域75または第2変換記号列表示領域77bの表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、前記タップ操作の入力内容が記号列の入力と判定し(記号列)、次に、入力内容取得部65は、前記タップ操作の操作位置に対応する表示位置に表示されている記号列を前記入力内容として取得し(S31)、次に、表示制御部64は、この取得した記号列を入力候補として記号列表示領域72に表示し(S32)、次に、制御部61は、処理を処理S1に戻す。
【0057】
前記判定の結果、入力内容取得部65は、入力確定キー表示領域74の表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、前記タップ操作の入力内容が確定ボタンの入力と判定し(確定ボタン)、次に、入力内容取得部65は、確定ボタンを前記入力内容として取得し(S41)、次に、制御部61は、記号列表示領域72に表示されている記号列を最終的な入力内容として確定し、この確定後の記号列を記憶部5に記憶し(S42)、次に、制御部61は、処理を処理S1に戻す。
【0058】
前記判定の結果、入力内容取得部65は、閉ボタン表示領域77aの表示位置に対応する操作位置に対する操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、前記タップ操作の入力内容が閉ボタンの入力と判定し(閉ボタン)、次に、入力内容取得部65は、閉ボタンを前記入力内容として取得し(S51)、次に、表示制御部64は、記号列一覧表示画面77を閉じ、入力画面70を表示部1に表示し(S52)、次に、制御部61は、処理を処理S1に戻す。
【0059】
一方、前記入力記号列の変換では、図4において、まず、制御処理部6は、曖昧入力変換部66によって、変換要求の通知があったか否かを判定する(S61)。この判定の結果、変換要求の通知がない場合(No)には、制御処理部6は、処理を処理S61に戻す。したがって、変換要求の通知があるまで、処理S61が繰り返し実行される。一方、前記判定の結果、変換要求の通知があった場合(Yes)には、制御処理部6は、次に、処理S62を実行する。
【0060】
この処理S62では、制御処理部6は、曖昧入力変換部66によって、記憶部5に記憶されている最新(直近)の入力記号列を、記憶部5に記憶された変換辞書を用いて、正しい有意な記号列に変換する曖昧入力変換処理を実行する。
【0061】
次に、制御処理部6は、曖昧入力変換部66によって、前記入力記号列が前記記号列に変換できたか否かを判定する(S63)。この判定の結果、前記入力記号列が前記記号列に変換できた場合(Yes)には、制御処理部6は、次に、処理S64を実行し、その後、処理を処理S61に戻す。一方、前記判定の結果、前記入力記号列が前記記号列に変換できなかった場合(No)には、制御処理部6は、次に、処理S65を実行する。
【0062】
この処理S64では、制御処理部6は、表示制御部64によって、処理S62で曖昧入力変換部66によって変換された記号列を、出現頻度の観点でソートし、このソート後の記号列において、上位から所定数(例えば2個)の記号列を、第1変換記号列表示領域75に表示する。
【0063】
前記処理S65では、制御処理部6は、曖昧入力機能を終了し、文の作成に用いられる記号そのものをスマートウォッチに入力する直接入力処理を実行し、本処理を終了する。前記直接入力処理には、公知の処理が用いられて良いが、例えば、「東條貴希、加藤恒夫、山本誠一、「BubbleSlide:フリック操作の規則性を高めたスマートウォッチ向け日本語かな入力インターフェース」、情報処理学会、インタラクション 2018、pp.1048-1053、2018年3月」に開示されたスマートウォッチ向け日本語かな入力インターフェースが利用できる。
【0064】
図3に示す各処理S1~S7、S11~S13、S21~S23、S31、S32、S41、S42、S51、S52と図4に示す各処理S61~S65とは、非同期処理でそれぞれ実行され、入力記号列が変更されるたびに発生される変換要求に応じて随時に図4に示す各処理S61~S65が実行され、変更後の入力文字列を曖昧入力変換部66で変換した記号列が表示部1に表示される。そして、図3に示す各処理S1~S52は、例えば、一定時間以上、操作手段の接触が無い等の、所定の終了条件を満たした場合に、所定時間のレジューム後に終了する。
【0065】
このような記号列の入力は、スマートウォッチSWに実装された、文の入力を必要とする所定のアプリケーション(例えばメモ帳等)に対し、実施される。
【0066】
実施形態におけるスマートウォッチSWおよびその入力方法と、比較例として、前記特許文献1に開示されたスマートウォッチおよびその入力方法とが、習熟日数に応じた平均文字入力速度で評価された。実施形態に対する被験者は、6名であり、比較例に対する被験者は、10名である。初日の平均文字入力速度は、実施形態の場合では、15.1[文字/分]であったが、比較例の場合では、12.6[文字/分]であった。10日目の平均文字入力速度は、実施形態の場合では、21.6[文字/分]であったが、比較例の場合では、18.7[文字/分]であった。20日目の平均文字入力速度は、実施形態の場合では、24.1[文字/分]であったが、比較例の場合では、21.1[文字/分]であった。このように実施形態におけるスマートウォッチSWおよびその入力方法と、比較例に比べ、優れている。
【0067】
以上説明したように、本実施形態におけるウェアラブル装置の一例であるスマートウォッチSWおよびこれに実装された入力方法は、入力操作が、操作面に接触し続ける一筆書きの要領ではなく、操作面SPに対し接触後に離れるタップ操作であるので、オクルージョンの発生を抑制できる。上記スマートウォッチSWおよびその入力方法は、入力文字列が変更されるたびに、変更後の入力文字列を曖昧入力機能で変換した記号列を、常時、表示内容として表示部1の第1変換記号列表示領域75に表示するので、誤入力に気付き易い。
【0068】
上記スマートウォッチSWおよびその入力方法は、前記複数の記号列の中から所定数(上述の例では2個)の記号列を表示するので、比較的小型なウェアラブル装置でも、表示面DPを有効に活用して前記記号列を表示できる。特に、前記複数の記号列を、例えば出現頻度等の所定の観点でソートした場合における上位から前記所定数の記号列を表示する場合には、ユーザは、迅速に記号列を選択できる。
【0069】
上記スマートウォッチSWおよびその入力方法は、新たに生成したウィンドウの第2変換記号列表示領域77bに前記複数の記号列を表示するので、入力したい記号列の選択が可能となる。
【0070】
なお、上述の実施形態において、ウェアラブル装置SWは、図1に破線で示すように、制御処理部6に接続され、制御処理部6の制御に従って、操作手段のタップ操作を入力位置検出部2で検出した場合に、所定時間(極く短時間)だけ、振動する振動部7をさらに備えてもよい。振動部7は、例えば、モータと、重心からずれた位置に前記モータの回転軸に取り付けられた分銅とを備えて構成される。このようなウェアラブル装置SWは、振動部7をさらに備えるので、操作手段のタップ操作を検出したことを振動によりユーザに伝えることができ、ユーザは、前記振動によりタップ操作の完了を把握(認識)できる。
【0071】
また、上述の実施形態では、言語は、日本語であったが、これに限定されるものではなく、表音文字を備える他の言語であってよい。例えば、言語は、英語、仏語、独語および露語等であってよい。一例では、言語が英語である場合、前記複数の記号は、アルファベット等であり、前記複数の記号群は、一例では、「A」を代表記号とし、「A」、「B」、「C」およびこれらの小文字から成る第1群、「D」を代表記号とし、「D」、「E」、「F」およびこれらの小文字から成る第2群、「G」を代表記号とし、「G」、「H」、「I」およびこれらの小文字から成る第3群、「J」を代表記号とし、「J」、「K」、「L」およびこれらの小文字から成る第4群、「M」を代表記号とし、「M」、「N」、「O」およびこれらの小文字から成る第5群、「P」を代表記号とし、「P」、「Q」、「R」、「S」およびこれらの小文字から成る第6群、「T」を代表記号とし、「T」、「U」、「V」およびこれらの小文字から成る第7群、「W」を代表記号とし、「W」、「X」、「Y」、「Z」およびこれらの小文字から成る第8群、「.」を代表記号とし、「.」、「,」、「@」および「/」から成る第9群を備える。
【0072】
また、上述の実施形態において、入力画面70は、図2Aに破線で示すように、直接入力処理への切り換えの指示を、スマートウォッチSWに入力するためのボタンである直接入力ボタン76をさらに備えてもよい。図2Aに示す例では、直接入力ボタン76は、第5代表記号表示領域71-5と第6代表記号表示領域71-6との間の領域に、配置される。直接入力ボタン76を表示する領域に対する操作手段の接触が検出されると、制御処理部6は、所定の直接入力処理を実行する。
【0073】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0074】
SW ウェアラブル装置(一例としてスマートウォッチ);MB 本体部;BD-1 第1バンド;BD-2 第2バンド;BC バックル;1 表示部;2 入力位置検出部;3 付加機能用センサ;4 インターフェース部(IF部);5 記憶部;6 制御処理部;7 振動部;61 制御部;62 計時部;63 付加機能処理部;64 表示制御部;65 入力内容取得部;66 曖昧入力変換部;70 入力画面;71 代表記号表示領域;72 記号列表示領域;73 バックスペースキー表示領域;74 入力確定キー表示領域;75 第1変換記号列表示領域;77 記号列一覧表示画面;77b 第2変換記号列表示領域
図1
図2
図3
図4