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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126109
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】コンベアのシュート装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 11/18 20060101AFI20220823BHJP
   B65G 11/00 20060101ALI20220823BHJP
   B65G 47/44 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B65G11/18 A
B65G11/00 B
B65G47/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023995
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 和浩
【テーマコード(参考)】
3F011
3F015
【Fターム(参考)】
3F011AA01
3F011BA04
3F011BC03
3F011BC04
3F015AA06
3F015CA03
3F015EA00
3F015GA03
3F015HA01
(57)【要約】
【課題】搬送物の落下角度や、落下位置、落下速度等をよりコントロールしやすいコンベアのシュート装置を提供すること。
【解決手段】コンベアのシュート装置1は、上流側コンベア11と下流側コンベア12の乗り継ぎ部に設置され、上流側コンベア11から落下した搬送物2を下流側コンベア12へ向けて案内する傾斜面4a,5aが設けられたシュート台3と、シュート台3の下流側の端部5bと対向して配置され、Z方向(上下方向)に延び、Z方向および端部5bと対向するX方向(第一方向)と交差したY方向(第二方向)に延びる回転中心Ax回りに揺動可能に構成されたガイド板6と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側コンベアと下流側コンベアの乗り継ぎ部に設置され、前記上流側コンベアから落下した搬送物を前記下流側コンベアへ向けて案内する傾斜面が設けられたシュート台と、
前記シュート台の下流側の端部と対向して配置され、上下方向に延び、前記上下方向および前記端部と対向する第一方向と交差した第二方向に延びる回転中心回りに揺動可能に構成されたガイド板と、
を備えた、コンベアのシュート装置。
【請求項2】
前記ガイド板の下端部には、当該ガイド板のベース部分に対して90°~135°の角度で屈曲した屈曲部が設けられた、請求項1に記載のコンベアのシュート装置。
【請求項3】
前記ガイド板は、前記シュート台に対して前記第一方向の位置を調整可能に設けられた、請求項1または2に記載のコンベアのシュート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアのシュート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンベアを用いてチョッパー屑等の搬送物を搬送する場合、通常は所定長さの複数のコンベアを設置し、上流側コンベアから下流側コンベアへ搬送物を乗り継がせて所定の位置まで搬送することが行われている。
【0003】
このようなコンベアの場合、上流側コンベアと下流側コンベアの乗り継ぎ部には高低差があり、下流側コンベア上に落下した際の跳ね返りによって搬送物が下流側コンベアの外側に飛散し、余計な清掃作業が必要となる虞がある。また、搬送物の落下時の衝撃によって下流側コンベアの摩耗を助長したり、搬送物が下流側コンベアの中央位置に乗らずに偏って積載されることで下流側コンベアの蛇行を誘発させたりする虞もあった。
【0004】
そこで、従来では、乗り継ぎ部にシュート装置を設置することで、搬送物の落下角度や、落下位置、落下速度等をコントロールする構造が提案されている。例えば、特許文献1には、搬送物を案内する傾斜面が設けられたシュート台が揺動可能に構成されたシュート装置が開示されている。また、特許文献2には、搬送物の落下位置をコントロールするリンクチェーンが上流側コンベアの下流側に対向して配置されたシュート装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-130725号公報
【特許文献2】特開平10-59530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシュート装置では、搬送物の重量や大きさによって搬送物の落下角度や落下速度が不均一となるため、下流側コンベアに対する落下位置をコントロールすることが困難である。また、搬送物の落下速度が比較的大きくなり、落下時の跳ね返りによって搬送物が飛散したり、落下時の衝撃によって下流側コンベアが損耗したりする虞がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたシュート装置では、搬送物がリンクチェーンに接触することで、ある程度の落下角度や落下位置をコントロールすることができるものの、支点位置が固定されており、様々なサイズの搬送物に対して同等の機能を発揮することは困難である。また、搬送物の落下速度も比較的大きくなり、落下時の跳ね返りによって搬送物が飛散したり、落下時の衝撃によって下流側コンベアが損耗したりする虞がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、搬送物の落下角度や、落下位置、落下速度等をよりコントロールしやすいコンベアのシュート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるコンベアのシュート装置は、上流側コンベアと下流側コンベアの乗り継ぎ部に設置され、前記上流側コンベアから落下した搬送物を前記下流側コンベアへ向けて案内する傾斜面が設けられたシュート台と、前記シュート台の下流側の端部と対向して配置され、上下方向に延び、前記上下方向および前記端部と対向する第一方向と交差した第二方向に延びる回転中心回りに揺動可能に構成されたガイド板と、を備える。
【0010】
また、前記ガイド板の下端部には、当該ガイド板のベース部分に対して90°~135°の角度で屈曲した屈曲部が設けられる。
【0011】
また、前記ガイド板は、前記シュート台に対して前記第一方向の位置を調整可能に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シュート台およびガイド板によって、搬送物の落下角度や、落下位置、落下速度等をよりコントロールしやすいコンベアのシュート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態のコンベアのシュート装置の例示的かつ模式的な正面図である。
図2図2は、実施形態のコンベアのシュート装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図3図3は、図1の搬送物の搬送経路を説明する説明図である。
図4図4は、図3のIV部の拡大図である。
図5図5は、図3のガイド板の上端部の拡大図である。
図6図6は、実施形態のガイド板の揺動動作を説明する説明図である。
図7図7は、実施形態のガイド板の揺動動作を説明する説明図であって、図6の状態よりも後の状態を示した図である。
図8図8は、実施形態のガイド板の揺動動作を説明する説明図であって、図7の状態よりも後の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0015】
なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0016】
[実施形態]
図1は、実施形態のコンベアのシュート装置1の模式的な正面図であり、図2は、シュート装置1の模式的な側面図であり、図3は、シュート装置1の搬送物2の搬送経路を説明する説明図である。
【0017】
図1~3に示されるように、シュート装置1は、上流側コンベア11と下流側コンベア12の乗り継ぎ部に設置され、例えば、シュート台3と、ガイド板6と、を有している。シュート装置1は、シュート台3およびガイド板6によって、上流側コンベア11から落下した搬送物2を下流側コンベア12へ向けて案内可能である。
【0018】
なお、以下の説明では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。Z方向は、ガイド板6の高さ方向(上下方向)に沿い、X方向は、ガイド板6の厚さ方向に沿い、Y方向は、ガイド板6の幅方向に沿う。X方向は、シュート台3の下流側の端部5bと対向する第一方向の一例であり、Y方向は、上下方向および第一方向と交差した第二方向の一例である。
【0019】
なお、X方向は、下流側コンベア12の幅方向と平行であるとともに、上流側コンベア11の長手方向と略平行である。また、Y方向は、下流側コンベア12の長手方向と平行であるとともに、上流側コンベア11の幅方向と平行である。
【0020】
図1,3に示されるように、シュート台3は、例えば、上部シュート4と、下部シュート5と、を有している。下部シュート5は、上部シュート4に対して搬送物2の搬送経路の下流側に位置されている。すなわち、搬送経路において、上部シュート4は、上流側コンベア11と下部シュート5との間に位置され、下部シュート5は、上部シュート4と下流側コンベア12との間に位置されている。
【0021】
上部シュート4および下部シュート5には、それぞれ傾斜面4a,5aが設けられている。傾斜面4a,5aは、上流側コンベア11からX方向の反対方向に離れるにつれて下方、すなわち下流側コンベア12に近づくように傾斜している。上部シュート4および下部シュート5は、搬送物2を傾斜面4a,5aに沿って搬送可能である。
【0022】
ここで、本実施形態では、傾斜面5aのX方向(水平面)に対する傾斜角度は、傾斜面4aのX方向(水平面)に対する傾斜角度よりも小さく設定されている。これにより、傾斜面5a上で搬送物2の搬送速度を減速させるとともに、後述するガイド板6に搬送物2を衝突させ易くしている。
【0023】
ガイド板6は、下部シュート5のX方向の反対方向に近接(隣接)して位置されている。言い換えると、ガイド板6は、下部シュート5の下流側の端部5bと対向して配置されている。ガイド板6は、少なくとも一部が下部シュート5における傾斜面5aの延長線上と重なるように位置されている。ガイド板6は、例えば、ベース部分6cと、屈曲部6dと、を有している。
【0024】
図4は、図3のIV部の拡大図である。図4に示されるように、屈曲部6dは、ガイド板6の下端部6bに設けられている。屈曲部6dは、ガイド板6のベース部分6cから下部シュート5側、すなわちX方向に屈曲している。本実施形態では、屈曲部6dのベース部分6cに対する傾斜角度θは、90°~135°の角度に設定されている。
【0025】
なお、本実施形態では、屈曲部6dは、ベース部分6cから下方に向かうにつれて下部シュート5に近づくように傾斜した傾斜部である場合が例示されたが、この例には限定されず、ベース部分6cに対して直角(90°)の直角部であってもよい。屈曲部6dの長さは、例えば、搬送物2の長さ(直径)に対して略1倍~3倍程度に設定することが望ましい。
【0026】
図5は、図3のガイド板6の上端部6aの拡大図である。図5に示されるように、ガイド板6の上端部6aには、U字ボルト9が取り付けられている。U字ボルト9は、シャフト7を間に挟んだ状態でナット15によってガイド板6に固定されている。シャフト7とU字ボルト9との間には、僅かに隙間が設けられている。
【0027】
本実施形態では、ガイド板6は、上述したシャフト7およびU字ボルト9を支点として、Y方向に延びるシャフト7の回転中心Ax回りに揺動可能に構成されている。図2に示されるように、ガイド板6の上端部6aには、Y方向に互いに間隔をあけて複数のU字ボルト9が設けられている。シャフト7は、例えば、固定ボルト8等によってコンベアフレーム13に締結されている。
【0028】
また、シャフト7は、例えば、図1に示されるコンベアフレーム13の開口部13a内にスライド可能に支持されている。本実施形態では、作業者は、上述した固定ボルト8を緩めた状態で、取手10を掴んでシャフト7の位置を開口部13a内で変更することでガイド板6のシュート台3に対するX方向の取付位置が調整可能である。すなわち、ガイド板6は、下部シュート5と近接した第一位置P1と、下部シュート5から離間した第二位置P2と、の間で移動可能に構成されている。
【0029】
図6は、ガイド板6の揺動動作を説明する説明図である。図7,8は、ガイド板6の揺動動作を説明する説明図であって、図7は、図6の状態よりも後の状態を示した図であり、図8は、図7の状態よりも後の状態を示した図である。
【0030】
まず、搬送物2は、上部シュート4および下部シュート5の傾斜面4a,5a上を滑り下りた後、ガイド板6に衝突する。具体的には、搬送物2は、ガイド板6のうち傾斜面5aの延長線上に位置する屈曲部6dの上端付近に衝突する。この時、ガイド板6がシャフト7の回転中心Ax回りに揺動することで搬送物2の衝撃を吸収するとともに、図6に示されるように搬送物2が屈曲部6d上に滑り落ちて一旦載置されうる。
【0031】
そして、図7に示されるように、搬送物2の自重によってガイド板6が回転中心Ax回りに傾斜(揺動)し、図8に示されるように、屈曲部6d上の搬送物2が下流側コンベア12のX方向の中央位置付近にゆっくりと落ちる。このように、本実施形態によれば、ガイド板6によって搬送物2を下流側コンベア12上の想定した位置に積載することが可能となる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、コンベアのシュート装置1は、上流側コンベア11と下流側コンベア12の乗り継ぎ部に設置され、上流側コンベア11から落下した搬送物2を下流側コンベア12へ向けて案内する傾斜面4a,5aが設けられたシュート台3と、シュート台3の下流側の端部5bと対向して配置され、Z方向(上下方向)に延び、Z方向および端部5bと対向するX方向(第一方向)と交差したY方向(第二方向)に延びる回転中心Ax回りに揺動可能に構成されたガイド板6と、を備える。
【0033】
このような構成によれば、例えば、シュート台3の下流側の端部5bから滑り出た搬送物2をガイド板6に衝突させることができるとともに、当該ガイド板6が回転中心Ax回りに揺動することで搬送物2の衝撃を吸収することができる。これにより、例えば、搬送物2の落下角度や、落下位置、落下速度等をよりコントロールしやすくなり、ひいては搬送物2が下流側コンベア12のX方向の中央位置に乗らずに偏って積載されることで下流側コンベア12が蛇行してしまうといった不都合を抑制できる。
【0034】
また、本実施形態では、ガイド板6の下端部6bには、当該ガイド板6のベース部分6cに対して90°~135°の角度で屈曲した屈曲部6dが設けられている。屈曲部6dを90°以上とすることで、屈曲部6d上に搬送物2が滞留しにくくなり、135°以下とすることにより、屈曲部6d上に搬送物2を保持しやすくなるため、傾斜角度θは、90°~135°に設定することが好ましい。
【0035】
このような構成によれば、例えば、屈曲部6dによって、搬送物2の落下角度や、落下位置、落下速度等をより一層コントロールしやすくなり、ひいては落下時の跳ね返りによって搬送物2が下流側コンベア12の外側に飛散したり、落下時の衝撃によって下流側コンベア12が損耗したりといった不都合をより一層抑制できる。
【0036】
また、本実施形態では、ガイド板6は、シュート台3に対してX方向の位置を調整可能に設けられている。
【0037】
このような構成によれば、例えば、ガイド板6によって、重量や大きさの異なる複数の搬送物2に対応しやすくなり、ひいては上述した搬送物2のコントロール不足による不都合をより一層抑制できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…シュート装置
2…搬送物
3…シュート台
4a,5a…傾斜面
5b…下流側の端部
6…ガイド板
6b…下端部
6c…ベース部分
6d…屈曲部
11…上流側コンベア
12…下流側コンベア
X…第一方向
Y…第二方向
Z…上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8