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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126114
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】包装体及びキャリアテープ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/86 20060101AFI20220823BHJP
   B65D 73/02 20060101ALI20220823BHJP
   B65D 85/90 20060101ALI20220823BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B65D85/86 300
B65D73/02 K
B65D85/90 300
B29C51/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024001
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】田中 利明
【テーマコード(参考)】
3E067
3E096
4F208
【Fターム(参考)】
3E067AA24
3E067AB41
3E067AB47
3E067AC04
3E067AC18
3E067BA26A
3E067BB14A
3E067EA29
3E067EC07
3E096AA06
3E096BA09
3E096BA14
3E096BB05
3E096CA14
3E096CA15
3E096CB02
3E096CC01
3E096DA05
3E096DA23
3E096DB06
3E096DC02
3E096EA02X
3E096EA02Y
3E096FA09
3E096FA15
3E096FA27
3E096GA04
3E096GA05
4F208AC03
4F208AG05
4F208AR07
4F208AR12
4F208MA05
4F208MB02
4F208MC03
(57)【要約】
【課題】良好な成形性を有し、かつ、部品を安定して収容することが可能な包装体及びキャリアテープを提供する。
【解決手段】包装体は、キャリアテープと、部品と、トップテープと、を具備する。キャリアテープは、テープ本体と、部品を収容するための凹部と、を有する。テープ本体は、第1軸方向に直交する主面を有する。凹部は、主面に開口し上記テープ本体に配置される。凹部は、第1軸方向に直交する底面と、底面に接続され、第1軸方向に直交する第2軸方向に相互に対向して配置された一対の側面と、を有する。一対の側面は、それぞれ、底面とのなす角度が鈍角である所定の角度であり、底面から主面まで延びる傾斜部と、底面とのなす角度が90度以上所定の角度未満であり、底面から第1軸方向に延びる第1構造部と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸方向に直交する主面を含むテープ本体と、
前記第1軸方向に直交する底面と、前記底面に接続され、前記第1軸方向に直交する第2軸方向に相互に対向して配置された一対の側面と、を含み、前記主面に開口し前記テープ本体に配置された凹部と、
を有するキャリアテープと、
前記凹部に収容された部品と、
前記凹部を覆うように前記キャリアテープの前記主面に貼り付けられたトップテープと、
を具備し、
前記一対の側面は、それぞれ、
前記底面とのなす角度が鈍角である所定の角度であり、前記底面から前記主面まで延びる傾斜部と、
前記底面とのなす角度が90度以上前記所定の角度未満であり、前記底面から前記第1軸方向に延びる第1構造部と、を有する
包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体であって、
前記所定の角度は、90.2度以上100度以下である
包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装体であって、
前記第1構造部の前記底面とのなす角度は、90度以上95度以下である
包装体。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記第1構造部の、前記底面からの前記第1軸方向における高さは、前記凹部の前記第1軸方向の深さの0.5倍以上である
包装体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記一対の側面は、それぞれ、
前記底面とのなす角度が90度以上前記所定の角度未満であり、前記底面から前記第1軸方向に延びる第2構造部をさらに有し、
前記第2構造部は、前記第1軸方向及び前記第2軸方向に直交する第3軸方向に、前記傾斜部を挟んで前記第1構造部と離間して配置される
包装体。
【請求項6】
請求項5に記載の包装体であって、
前記第1構造部と前記第2構造部との間の前記第3軸方向における距離は、前記底面の前記第3軸方向における寸法の0.2倍以上0.5倍以下である
包装体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の包装体であって、
前記第1構造部及び前記第2構造部各々の、前記第3軸方向における幅は、前記底面の前記第3軸方向における寸法の0.1倍以上0.3倍以下である
包装体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記傾斜部は、前記底面と接続された第1基端部を含み、
前記第1構造部は、前記底面と接続された第2基端部を含み、
前記第2基端部は、前記第1基端部よりも前記第2軸方向内方に位置する
包装体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記部品は、
前記部品の長さ方向に相互に対向する一対の外部電極と、
前記一対の外部電極に覆われた一対の端部と、前記一対の端部間に位置し前記一対の外部電極から露出した露出部と、を含む、略直方体状の素体と、
を有し、
前記部品は、前記長さ方向が、前記第1軸方向及び前記第2軸方向に直交する第3軸方向に沿うように、前記凹部に収容され、
前記第1構造部は、前記露出部に対向して配置される
包装体。
【請求項10】
請求項9に記載の包装体であって、
前記一対の側面にそれぞれ含まれる前記第2基端部間の、前記第2軸方向における最小距離は、前記長さ方向と直交する幅方向における前記露出部の最大寸法、又は前記長さ方向及び前記幅方向と直交する高さ方向における前記露出部の最大寸法のうち、大きい方の寸法の1.0倍以上1.2倍以下である
包装体。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の包装体であって、
前記部品は、
長さ0.4mm以下、幅0.2mm以下、高さ0.2mm以下である
包装体。
【請求項12】
部品を収容する包装体用のキャリアテープであって、
第1軸方向に直交する主面を有するテープ本体と、
前記第1軸方向に直交する底面と、前記底面に接続され、前記第1軸方向に直交する第2軸方向に相互に対向して配置された一対の側面と、を含み、前記主面に開口し前記テープ本体に配置された、前記部品を収容するための凹部と、
を具備し、
前記一対の側面は、それぞれ、
前記底面とのなす角度が鈍角である所定の角度であり、前記底面から前記主面まで延びる傾斜部と、
前記底面とのなす角度が90度以上前記所定の角度未満であり、前記底面から前記第1軸方向に延びる第1構造部と、を有する
キャリアテープ。
【請求項13】
請求項12に記載のキャリアテープであって、
前記一対の側面は、それぞれ、
前記底面とのなす角度が90度以上前記所定の角度未満であり、前記底面から前記第1軸方向に延びる第2構造部をさらに有し、
前記第2構造部は、前記第1軸方向及び前記第2軸方向に直交する第3軸方向に、前記傾斜部を挟んで前記第1構造部と離間して配置される
キャリアテープ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載のキャリアテープであって、
前記傾斜部は、前記底面と接続された第1基端部を含み、
前記第1構造部は、前記底面と接続された第2基端部を含み、
前記第2基端部は、前記第1基端部よりも前記第2軸方向内方に位置する
キャリアテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を収容する包装体及びそれに用いられるキャリアテープに関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等の部品を収容する包装体として、例えば、樹脂製のキャリアテープを備えたものが知られている。このようなキャリアテープには、例えば、プレス成形によって部品収容用の凹部が形成される。プレス成形では、凸部を有する第1の金型と、当該第1の金型が挿入される挿入孔を有する第2の金型との間に基材シートを配置し、凸部を挿入孔に挿入して基材シートを延伸させる。この凸部と挿入孔との間にはクリアランスが形成されるため、部品収容用の凹部の側面は、一般に、底面から開口部に向けて外側に傾いた傾斜面となる。
【0003】
傾斜面を有する凹部における微細部品の収容状態を安定させる観点から、特許文献1には、長尺状の基材シートの一方の面に開口する複数の部品収納部(凹部)を有し、基材シートの他方の面における部品収納部の周縁に溝部が形成された、エンボスキャリアテープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-225257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の溝部を有するエンボスキャリアテープでは、プレス成形時に溝部及びその周囲の基材シートが過剰に延伸されるとともに、部品の収容状態を十分に安定させることが難しかった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、良好な成形性を有し、かつ、部品を安定して収容することが可能な包装体及びキャリアテープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る包装体は、キャリアテープと、部品と、トップテープと、を具備する。
上記キャリアテープは、第1軸方向に直交する主面を含むテープ本体と、上記主面に開口し上記テープ本体に配置された凹部と、を有する。
上記部品は、上記凹部に収容される。
上記トップテープは、上記凹部を覆うように上記キャリアテープの上記主面に貼り付けられる。
上記凹部は、
上記第1軸方向に直交する底面と、
上記底面に接続され、上記第1軸方向に直交する第2軸方向に相互に対向して配置された一対の側面と、を有する。
上記一対の側面は、それぞれ、
上記底面とのなす角度が鈍角である所定の角度であり、上記底面から上記主面まで延びる傾斜部と、
上記底面とのなす角度が90度以上上記所定の角度未満であり、上記底面から上記第1軸方向に延びる第1構造部と、を有する。
【0008】
上記構成では、第1構造部により、一対の側面間の第2軸方向における距離を局所的に小さくすることができる。これにより、第1構造部によって、凹部内の部品の回転を阻害することができ、部品を凹部に安定して収容することができる。
また、側面が傾斜部を有することで、成形に用いる金型に適切なクリアランスを設けることができ、キャリアテープに対する過度な延伸が防止される。
さらに、第1構造部の底面とのなす角度を90度以上所定の角度未満とすることで、シンプルな構造によって部品の収容安定性を高めることができる。
したがって、上記構成により、良好な成形性を有しつつ、部品を安定して収容することが可能な包装体が提供される。
【0009】
例えば、上記所定の角度は、90.2度以上100度以下であってもよい。
【0010】
例えば、上記第1構造部の上記底面とのなす角度は、90度以上95度以下であってもよい。
【0011】
例えば、上記第1構造部の、上記底面からの上記第1軸方向における高さは、上記凹部の上記第1軸方向の深さの0.5倍以上であってもよい。
これにより、第1構造部による凹部内の部品の回転阻害作用が、より確実に発揮される。
【0012】
上記一対の側面は、それぞれ、
上記底面とのなす角度が90度以上上記所定の角度未満であり、上記底面から上記第1軸方向に延びる第2構造部をさらに有し、
上記第2構造部は、上記第1軸方向及び上記第2軸方向に直交する第3軸方向に、上記傾斜部を挟んで上記第1構造部と離間して配置されてもよい。
これにより、凹部に、一対の側面間の第2軸方向における距離の小さい領域を、複数設けることができる。これにより、凹部に部品をより安定して収容することができる。
【0013】
例えば、上記第1構造部と上記第2構造部との間の上記第3軸方向における距離は、上記底面の上記第3軸方向における寸法の0.2倍以上0.5倍以下であってもよい。
【0014】
例えば、上記第1構造部及び上記第2構造部各々の、上記第3軸方向における幅は、上記底面の上記第3軸方向における寸法の0.1倍以上0.3倍以下であってもよい。
【0015】
上記傾斜部は、上記底面と接続された第1基端部を含み、
上記第1構造部は、上記底面と接続された第2基端部を含み、
上記第2基端部は、上記第1基端部よりも上記第2軸方向内方に位置してもよい。
このような第1構造部により、一対の側面間の第2軸方向における距離を局所的により小さくすることができる。したがって、凹部に部品をより安定して収容することができる。
【0016】
上記部品は、
上記部品の長さ方向に相互に対向する一対の外部電極と、
上記一対の外部電極に覆われた一対の端部と、上記一対の端部間に位置し上記一対の外部電極から露出した露出部と、を含む、略直方体状の素体と、
を有し、
上記部品は、上記長さ方向が、上記第1軸方向及び上記第2軸方向に直交する第3軸方向に沿うように、上記凹部に収容され、
上記第1構造部は、上記露出部に対向して配置されてもよい。
これにより、角ばった素体に対して、第1構造部が回転阻害作用を良好に発揮でき、部品をより安定して凹部に収容することができる。
【0017】
上記一対の側面にそれぞれ含まれる上記第2基端部間の、上記第2軸方向における最小距離は、上記長さ方向と直交する幅方向における上記露出部の最大寸法、又は上記長さ方向及び上記幅方向と直交する高さ方向における上記露出部の最大寸法のうち、大きい方の寸法の1.0倍以上1.2倍以下であってもよい。
【0018】
例えば、上記部品は、長さ0.4mm以下、幅0.2mm以下、高さ0.2mm以下であってもよい。このような部品は特に回転しやすいが、上記第1構造部によって凹部に安定して収容され得る。
【0019】
本発明の他の形態に係るキャリアテープは、部品を収容する包装体用のキャリアテープであって、テープ本体と、上記部品を収容するための凹部と、を具備する。
上記テープ本体は、第1軸方向に直交する主面を有する。
上記凹部は、上記主面に開口し上記テープ本体に配置される。
上記凹部は、
上記第1軸方向に直交する底面と、
上記底面に接続され、上記第1軸方向に直交する第2軸方向に相互に対向して配置された一対の側面と、を有し、
一対の側面は、それぞれ、
上記底面とのなす角度が鈍角である所定の角度であり、上記底面から上記主面まで延びる傾斜部と、
上記底面とのなす角度が90度以上上記所定の角度未満であり、上記底面から上記第1軸方向に延びる第1構造部と、を有する。
【0020】
上記一対の側面は、それぞれ、
上記底面とのなす角度が90度以上上記所定の角度未満であり、上記底面から上記第1軸方向に延びる第2構造部をさらに有し、
上記第2構造部は、上記第1軸方向及び上記第2軸方向に直交する第3軸方向に、上記傾斜部を挟んで上記第1構造部と離間して配置されてもよい。
【0021】
上記傾斜部は、上記底面と接続された第1基端部を含み、
上記第1構造部は、上記底面と接続された第2基端部を含み、
上記第2基端部は、上記第1基端部よりも上記第2軸方向内方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、良好な成形性を有し、かつ、部品を安定して収容することが可能な包装体及びキャリアテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る部品を示す斜視図である。
図2】上記実施形態に係るキャリアテープを示す平面図である。
図3図2の拡大図である。
図4図2のA-A'線に沿った部分断面図である。
図5図4の領域Pの拡大図である。
図6図2のB-B'線に沿った部分断面図である。
図7】上記実施形態に係る包装体を示す断面図である。
図8】上記実施形態の比較例に係るキャリアテープを示す平面図である。
図9図8の拡大図である。
図10図8のC-C'線に沿った部分断面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るキャリアテープを示す平面図である。
図12図11の拡大図である。
図13図11のD-D'線に沿った部分断面図である。
図14図11のE-E'線に沿った部分断面図である。
図15】本発明の第3実施形態に係るキャリアテープを示す平面図である。
図16図15の拡大図である。
図17図15のF-F'線に沿った部分断面図である。
図18図15のG-G'線に沿った部分断面図である。
図19】上記実施形態に係る部品を示す斜視図である。
図20】本発明の第4実施形態に係るキャリアテープを示す平面図である。
図21図20の拡大図である。
図22図20のH-H'線に沿った部分断面図である。
図23図20のJ-J'線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
<第1実施形態>
[部品の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る部品10を示す斜視図である。同図におけるx軸、y軸及びz軸は、部品10の属する座標系において相互に直交する方向を示す。
部品10は、後述するキャリアテープ100に収容される。部品10は、例えば、略直方体状に構成される。具体的に、部品10は、x軸方向に直交する一対の第1面10aと、y軸方向に直交する一対の第2面10bと、z軸方向に直交する一対の第3面10cと、を有する。部品10は、例えばx軸方向に長手を有する。本実施形態において、x軸方向を部品10の長さ方向とし、y軸方向を部品10の幅方向とし、z軸方向を部品10の高さ方向とする。
【0026】
第1面10a、第2面10b及び第3面10cは、略平坦な面でもよいし、曲面でもよい。第1面10a、第2面10b及び第3面10cは、微小な段差を有していてもよい。各面を接続する稜部は、例えば面取りされていてもよい。
【0027】
部品10は、特に限定されないが、例えば積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップインダクタ、半導体素子等の電子部品であってもよい。また、部品10は、詳細を後述するように、略直方体状の素体と、素体の表面に配置された一対の外部電極と、を有していてもよい。
【0028】
[キャリアテープの構成]
図2は、本発明の第1実施形態に係るキャリアテープ100を示す平面図である。
各図におけるX軸、Y軸及びZ軸は、キャリアテープ及び後述する包装体の属する座標系において相互に直交する方向を示す。
【0029】
キャリアテープ100は、部品10を収容する包装体用のキャリアテープである。キャリアテープ100は、例えば樹脂シートをエンボス加工することで形成される。キャリアテープ100を構成する樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を用いることができる。エンボス加工は、例えばプレス成形によって行われる。
【0030】
キャリアテープ100は、テープ本体110と、テープ本体110に配置された、部品10を収容するための凹部120と、を有する。テープ本体110は、長尺状のテープとして構成され、例えば、Y軸方向に長手を有し、X軸方向に幅を有する。テープ本体110のサイズは特に限定されないが、一例として、X軸方向の幅は、4mm程度であり、Z軸方向の厚みは、0.2~0.5mm程度である。キャリアテープ100は、例えば、テープ本体110の長手方向であるY軸方向に間隔をあけてテープ本体110に配置された、複数の凹部120を有する。
【0031】
テープ本体110は、Z軸方向に直交する主面111と、その裏側の裏面112(図4及び図6参照)と、を有する。主面111は、凹部120が開口する面であり、例えば、Z軸方向に直交する面である。
【0032】
テープ本体110は、さらに、長手方向(例えばY軸方向)に間隔をあけて配置された複数の送り孔130を有する。送り孔130は、テープ本体110をZ軸方向に貫通し、例えばZ軸方向から見た際に略円形状を有する。この送り孔130は、図示しないテープ搬送機構と係合可能に構成され、キャリアテープ100を長手方向に搬送するために用いられる。複数の送り孔130のY軸方向に沿った列は、例えば、複数の凹部120のY軸方向に沿った列と、X軸方向に間隔をあけて配置される。
【0033】
[凹部の構成]
図3図6は、凹部120を示す図である。図3は、図2の拡大図である。図4は、図2のA-A'線に沿った部分断面図である。図5は、図4の領域Pの拡大図である。図6は、図2のB-B'線に沿った部分断面図である。
【0034】
凹部120は、主面111に開口する。凹部120は、Z軸方向に直交する底面121と、底面121に接続され、Y軸方向に相互に対向して配置された一対の第1側面(側面)122と、を有する。底面121は、例えばZ軸方向に直交する面であり、図3に示す例では、X軸方向に長い長方形状に構成される。
【0035】
なお、凹部120の説明において、「X軸方向外方」とは、凹部120をX軸方向に2等分する仮想面から遠ざかる方向を意味する。「Y軸方向内方」とは、凹部120をY軸方向に2等分する仮想面に近づく方向を意味し、「Y軸方向外方」とは、当該仮想面から遠ざかる方向を意味する。「Z軸方向上方」とは、底面121から主面111に近づく方向を意味する。
【0036】
本実施形態において、凹部120は、さらに、底面121に接続され、X軸方向に相互に対向して配置された一対の第2側面123を有している。各第2側面123は、例えば、底面121とのなす角度が鈍角である傾斜面で構成される。図6に示す例において、各第2側面123は、底面121から主面111に向かうに従い、X軸方向外方に傾斜している。
【0037】
各第1側面122は、傾斜部140と、第1構造部150と、を有する。
【0038】
図4及び図5に示すように、傾斜部140は、底面121とのなす角度が鈍角である所定の角度αであり、主面111まで延びる。傾斜部140は、底面121から主面111に向かうに従い、Y軸方向外方に傾斜している傾斜面として構成される。傾斜部140は、全体が略平坦な面でもよく、一部が湾曲していてもよい。図4に示す例では、傾斜部140は、主面111近傍の開口部において湾曲している。傾斜部140は、底面121と接続された第1基端部141を有する。
【0039】
傾斜部140と底面121とのなす所定の角度αは、例えば、傾斜部140を通りY軸方向及びZ軸方向に平行な断面において、傾斜部140と底面121とが接し、そのなす角度とする。当該断面は、例えば、第1基端部141をX軸方向に2等分する位置における断面とする。第1構造部150等によって傾斜部140が複数の領域に分断されている場合には、当該断面は、傾斜部140の各領域における第1基端部141をX軸方向に2等分する位置における断面とする。この場合、所定の角度αは、傾斜部140の各領域において測定された角度の平均値とすることができる。
所定の角度αは、良好な成形性を得つつ、凹部120の部品10を収容する機能を発揮する観点から、例えば90.2度以上100度以下である。
【0040】
傾斜部140により、後述するように良好な成形性が維持できる一方で、特に主面111近傍において、一対の第1側面122間のY軸方向における距離が大きくなりやすい。そこで、本実施形態では、一対の第1側面122間のY軸方向における距離を局所的に小さくして、部品10を安定して凹部120に収容する観点から、第1側面122が、以下の構成の第1構造部150を有する。
【0041】
図4及び図5に示すように、第1構造部150は、底面121とのなす角度β1が90度以上所定の角度α未満であり、底面121からZ軸方向に延びる。第1構造部150は、例えば、X軸方向に傾斜部140と隣接して配置され、ほぼ直立した状態で底面121からZ軸方向に延びる。このため、第1構造部150は、傾斜部140からはY軸方向内方に突出する。より詳細に、第1構造部150は、傾斜部140からY軸方向内方への突出量が、底面121からZ軸方向上方に向かうに従い大きくなる部分を含む。
【0042】
第1構造部150は、底面121と接続された第2基端部151を有する。本実施形態において、第2基端部151は、例えば、第1基端部141からX軸方向に連続して延びている。一方、第1構造部150の主面111側の端部は、傾斜部140から突出している部分において最もZ軸方向上方に位置する部分とする。
【0043】
第1構造部150と底面121とのなす角度β1は、例えば、第1構造部150を通りY軸方向及びZ軸方向に平行な断面において、第1構造部150と底面121とのなす角度とする。当該断面は、例えば、第1構造部150をX軸方向に2等分する位置における断面とする。第1構造部150と底面121とのなす角度β1は、例えば、90度以上95度以下である。
【0044】
第1構造部150の底面121からのZ軸方向における高さは、例えば、凹部120のZ軸方向の深さの0.5倍以上である。これにより、第1構造部150が凹部120内の部品10の回転を効果的に抑制し、凹部120に部品10を安定して収容することができる。第1構造部150の上記高さは、底面121から主面111側の端部までのZ軸方向における寸法とする。凹部120のZ軸方向の深さは、底面121から主面111までのZ軸方向における寸法とする。図3図6に示す例では、第1構造部150は、底面121から主面111まで延びる。
【0045】
図4に示す例において、第1構造部150は、第1構造部150を通りY軸方向及びZ軸方向に平行な断面において、第2基端部151を通りZ軸方向に平行な直線LよりもY軸方向外方に位置する。また、第1側面122は、第1構造部150からさらにY軸方向内方に突出する部分を有さない。これにより、第1側面122の構造がシンプルになり、成形のしやすさと後述する部品10の収容安定性とを両立させることができる。
【0046】
第1構造部150は、例えば、第1突出面152と、一対の第1接続面153と、第1上面154と、を含む。
第1突出面152は、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。
一対の第1接続面153は、傾斜部140と第1突出面152とを接続する面である。各第1接続面153は、底面121から主面111に向かうに従い、Y軸方向における幅が徐々に大きくなる部分を有する。
第1上面154は、第1突出面152の主面111側の端部と主面111とを接続する面であり、図4に示す例では、主面111と略平行に形成される。なお、第1上面154は、このような構成に限定されず、第1突出面152側から主面111に向かってY軸方向外方に傾斜する面であってもよく、例えば曲面であってもよい。
【0047】
本実施形態において、第1構造部150のX軸方向における幅は、例えば、底面121のX軸方向における寸法の0.1倍以上0.3倍以下である。当該幅は、第1構造部150のX軸方向における最大幅を意味する。但し、当該幅はこれに限定されず、後述する第2構造部160のX軸方向における幅、第2構造部160との間のX軸方向における距離、部品10の構成等に応じて適宜設定できる。
【0048】
一対の第1側面122にそれぞれ含まれる一対の第1構造部150は、図3及び図4に示すように、例えばY軸方向に対向して配置される。これにより、一対の第1構造部150間のY軸方向における距離がより確実に小さくなり、第1構造部150による部品10を安定して収容する効果がより確実に発揮される。
【0049】
さらに、本実施形態において、凹部120は、第1構造部150と同様の構成を有する第2構造部160を有する。第2構造部160は、傾斜部140を挟んでX軸方向に第1構造部150と離間して配置される。このため、本実施形態において、傾斜部140は、第1構造部150及び第2構造部160によって複数の領域に分割される。具体的に、傾斜部140は、第1構造部150とX軸方向外方に隣接する領域と、第1構造部150及び第2構造部160との間に挟まれている領域と、第2構造部160とX軸方向外方に隣接する領域と、を含む。
【0050】
図4及び図5に示すように、第2構造部160は、底面121とのなす角度β2が90度以上所定の角度α未満であり、底面121からZ軸方向に延びる。第2構造部160は、第1構造部150と同様に、傾斜部140からはY軸方向内方に突出し、傾斜部140からY軸方向内方への突出量が、底面121からZ軸方向上方に向かうに従い大きくなる部分を含む。なお、図4及び図5において、第2構造部160は、第1構造部150の背後に重なって配置されている。
【0051】
第2構造部160は、底面121と接続された第3基端部161を有する。本実施形態において、第3基端部161は、例えば、第1基端部141からX軸方向に連続して延びている。一方、第2構造部160の主面111側の端部は、傾斜部140から突出している部分において最もZ軸方向上方に位置する部分とする。
【0052】
第2構造部160と底面121とのなす角度β2は、角度β1と同様に、例えば、第2構造部160を通りY軸方向及びZ軸方向に平行な断面において、第2構造部160と底面121とのなす角度とする。当該断面は、例えば、第2構造部160をX軸方向に2等分する位置における断面とする。角度β2は、例えば、90度以上95度以下であり、本実施形態において角度β1と同一である。
【0053】
第2構造部160の、底面121からのZ軸方向における高さは、例えば、凹部120のZ軸方向の深さの0.5倍以上である。図3図6に示す例では、第2構造部160は、底面121から主面111まで延びる。
【0054】
図4に示す例において、第2構造部160は、第2構造部160を通りY軸方向及びZ軸方向に平行な断面において、第3基端部161を通りZ軸方向に平行な直線LよりもY軸方向外方に位置する。
【0055】
第2構造部160は、例えば、第2突出面162と、一対の第2接続面163と、第2上面164と、を含む。
第2突出面162は、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。
一対の第2接続面163は、傾斜部140と第2突出面162とを接続する面である。各第2接続面163は、底面121から主面111に向かうに従い、Y軸方向における幅が徐々に大きくなる部分を有する。
第2上面164は、第2突出面162の主面111側の端部と主面111とを接続する面であり、図4に示す例では、主面111と略平行に形成される。なお、第2上面164は、このような構成に限定されず、第2突出面162側から主面111に向かってY軸方向外方に傾斜する面であってもよく、例えば曲面であってもよい。
【0056】
本実施形態において、第2構造部160のX軸方向における幅は、例えば、底面121のX軸方向における寸法の0.1倍以上0.3倍以下である。当該幅は、第2構造部160のX軸方向における最大幅を意味する。但し、当該幅はこれに限定されず、第1構造部150のX軸方向における幅、第1構造部150との間のX軸方向における距離、部品10の構成等に応じて適宜設定され得る。
【0057】
一対の第1側面122に含まれる一対の第2構造部160は、図3及び図4に示すように、例えばY軸方向に対向して配置される。これにより、一対の第2構造部160間のY軸方向における距離がより確実に小さくなり、第2構造部160による部品10を安定して収容する効果がより確実に発揮される。
【0058】
第1構造部150と第2構造部160との間のX軸方向における距離は、例えば、底面121のX軸方向における寸法の0.2倍以上0.5倍以下である。但し、当該距離はこれに限定されず、第1構造部150及び第2構造部160のX軸方向における幅等に応じて適宜設定され得る。なお、当該距離は、第1構造部150と第2構造部160との間のX軸方向における最小の距離であって、第1構造部150と第2構造部160との間の傾斜部140のX軸方向における最小長さに相当するものとする。
【0059】
[包装体]
上記構成の凹部120を有するキャリアテープ100は、包装体200の一部として用いられる。
図7は、包装体200の構成を示す断面図である。
包装体200は、キャリアテープ100と、凹部120に収容された部品10と、トップテープ210と、を備える。
【0060】
部品10は、例えば、長さ方向であるx軸方向が包装体200のX軸方向に沿うように凹部120に収容される。
【0061】
部品10のサイズは、設計値として、例えば、長さ0.25mm、幅0.125mm、高さ0.125mmであり、または長さ0.4mm、幅0.2mm、高さ0.2mmであり、または長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mmであり、または長さ1.0mm、幅0.5mm、高さ0.5mmであり、または長さ3.2mm、幅1.6mm、高さ1.6mmであり、または長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.5mmであるが、これらのサイズに限定されるものではない。なお、部品10の長さは、x軸方向(長さ方向)における設計寸法である。部品10の幅は、y軸方向(幅方向)における設計寸法である。部品10の高さは、z軸方向(高さ方向)における設計寸法である。長さ0.4mm以下、幅0.2mm以下、高さ0.2mm以下のサイズの部品10は、部品のサイズに対して稜部の丸みが占める割合が大きくなって回転をしやすいので(図10参照)、本実施形態の凹部120が特に有効である。
【0062】
トップテープ210は、凹部120を覆うようにキャリアテープ100の主面111に貼り付けられる。トップテープ210は、例えば、X軸方向において、凹部120側の側縁から送り孔130の手前まで配置されており、送り孔130を覆わないように構成される。トップテープ210は、粘着層による粘着、又は熱圧着等の方法によりキャリアテープ100に貼り付けられる。
【0063】
包装体200は、例えば、以下のように製造される。キャリアテープ100がテーピング装置に配置され、キャリアテープ100の長手方向(例えばY軸方向)に搬送されながら、部品10が凹部120に挿入される。その後、トップテープ210が凹部120を覆うようにキャリアテープ100の主面111に貼り付けられる。
部品10の使用時には、包装体200からトップテープ210が剥離され、実装装置等によって凹部120から部品10が取り出される。
【0064】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態のキャリアテープ100及び包装体200の作用効果について、比較例を挙げながら説明する。
図8図10は、本実施形態の比較例に係るキャリアテープ100Aを示す図である。図8は、キャリアテープ100Aを示す平面図である。図9は、キャリアテープ100Aの凹部120Aを示す、図8の拡大図である。図10は、図8のC-C'線に沿った部分断面図である。
【0065】
キャリアテープ100Aは、キャリアテープ100と同様のテープ本体110と、複数の送り孔130と、キャリアテープ100と異なる凹部120Aと、を備える。
凹部120Aは、Z軸方向に直交する底面121と、底面121に接続され、Y軸方向に相互に対向して配置された一対の第1側面122Aと、底面121に接続され、X軸方向に相互に対向して配置された一対の第2側面123Aと、を有する。
【0066】
凹部120Aは、上述のように、例えばプレス成形により成形される。プレス成形では、凸部を有する第1の金型と、当該凸部が挿入される挿入孔を有する第2の金型との間に基材シートを配置し、凸部を挿入孔に挿入して基材シートを延伸させる。凸部の頂部は、凹部120Aの底面121の形状に対応する平面形状を有する。この凸部と挿入孔との間には、基材シートの過度な延伸を防止する等の観点から、一定の幅の空隙(クリアランス)が形成される。基材シートを間に挟んで凸部を挿入孔に挿入した場合、キャリアテープの凹部の基端部は凸部の頂部の形状に沿って規定されるとともに、当該凹部の開口部は挿入孔の開口の形状に沿って規定される。したがって、凹部の側面は、上記クリアランスに応じて、基端部から開口部に向かってわずかに傾斜する面となる。すなわち、第1側面122A及び第2側面123Aは、底面121とのなす角度が鈍角であり、かつ、底面121から主面111に向かうに従い外方に傾斜した傾斜面で構成される。
【0067】
このため、凹部120AのY軸方向における寸法については、底面121近傍における寸法よりも、開口部(主面111)近傍における寸法の方が大きくなる。これにより、図10に示すように、部品10が安定して収容されず、部品10の凹部120Aへの挿入時、又は部品10の凹部120Aへの挿入後に、部品10が例えばX軸(x軸)まわりに回転し得る。凹部120Aへの挿入時に部品10が回転することで、部品10の実装方向が定められている場合本来の実装方向に実装することができない、部品10が凹部120Aから脱落する、又は、凹部120Aから浮き上がった部品10がキャリアテープ100Aの製造装置(テーピング装置)と衝突して損傷する、等の不具合が生じ得る。また、凹部120Aへの挿入後に部品10が回転することで、包装体の凹部120A内の部品10が想定外の姿勢となり得る。これにより、キャリアテープ100A(包装体)から部品10を取り出して実装する際、部品10の姿勢不良に起因して実装の不具合が生じ得る。
【0068】
一方、本実施形態の凹部120では、第1側面122が第1構造部150を有する。第1構造部150により、一対の第1側面122間のY軸方向における距離を局所的に小さくすることができる。これにより、例えば部品10がX軸(x軸)まわりに回転しようとした際に、部品10の一部(例えば稜部)が第1構造部150に接触し、当該回転が阻害され得る。したがって、凹部120により、部品10を凹部120に安定して収容することができる。特に、長さ0.4mm以下、幅0.2mm以下、高さ0.2mm以下のサイズの部品10は、上述のように回転しやすいが、第1構造部150によって回転が効果的に阻害され、凹部120に安定して収容され得る。
【0069】
さらに、第1構造部150の底面121とのなす角度β1を90度以上所定の角度α未満とすることで、シンプルな構造によって部品10の収容安定性を高めることができる。これにより、凹部120の成形にシンプルな構造の金型を用いることができ、成形時に、基材シートに無理な力が付加されることを防止できる。したがって、凹部120の良好な成形性を維持できる。
【0070】
また、本実施形態では、第1側面122が傾斜部140を有する。これにより、成形時の金型間におけるクリアランスが適切に確保され、基材シートの過度な延伸が防止される。
【0071】
したがって、本実施形態により、良好な成形性を有しつつ、部品10を安定して収容することが可能なキャリアテープ100及び包装体200が提供される。
【0072】
さらに、凹部120が第1構造部150に加えて第2構造部160を有することで、凹部120に、一対の第1側面122間のY軸方向における距離の小さい領域を複数設けることができる。これにより、凹部120によって、凹部120に部品10をより安定して収容することができる。
【0073】
<第2実施形態>
第1実施形態では、凹部120の第1側面122が第1構造部150及び第2構造部160を有する例を説明したが、これに限定されない。
本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図11は、本発明の第2実施形態に係るキャリアテープ100Bを示す平面図である。
キャリアテープ100Bは、キャリアテープ100と同様のテープ本体110と、複数の送り孔130と、第1実施形態と異なる凹部120Bと、を備える。
【0075】
図12図14は、凹部120Bを示す図である。図12は、図11の拡大図である。図13は、図11のD-D'線に沿った部分断面図である。図14は、図11のE-E'線に沿った部分断面図である。
【0076】
なお、図13には、破線で本実施形態の包装体200Bの構成も示している。図13に示すように、本実施形態の包装体200Bは、キャリアテープ100Bと、凹部120Bに収容された部品10と、トップテープ210と、を備える。
【0077】
凹部120Bは、Z軸方向に直交する底面121と、底面121に接続され、Y軸方向に相互に対向して配置された一対の第1側面122Bと、底面121に接続され、X軸方向に相互に対向して配置された一対の第2側面123と、を有する。
【0078】
各第1側面122Bは、傾斜部140Bと、第1構造部150Bと、を有し、第2構造部を有さない。
傾斜部140Bは、底面121とのなす角度が鈍角である所定の角度αであり、主面111まで延びる。
【0079】
第1構造部150Bは、底面121とのなす角度β1が90度以上所定の角度α未満であり、底面121からZ軸方向に延びる。第1構造部150Bは、第1実施形態の第1構造部150と同様に構成される。例えば、第1構造部150Bは、第1突出面152Bと、一対の第1接続面153Bと、第1上面154Bと、を含む。第1突出面152Bは、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。一対の第1接続面153Bは、傾斜部140Bと第1突出面152Bとを接続する面である。第1上面154Bは、第1突出面152Bの主面111側の端部と主面111とを接続する面である。
【0080】
第1構造部150BのX軸方向における幅は、第1構造部150のX軸方向における幅よりも大きくてもよく、例えば、底面121のX軸方向における寸法の0.3倍以上0.5倍以下である。当該幅は、第1構造部150BのX軸方向における最大幅を意味する。但し、当該幅はこれに限定されず、部品10の構成等に応じて適宜設定できる。また、第1構造部150Bは、凹部120BのX軸方向中央を含む位置に配置される。
【0081】
本実施形態においても、第1構造部150Bにより、一対の第1側面122B間のY軸方向における距離を局所的に小さくすることができ、部品10を安定して収容することができる。また、第1構造部150Bがシンプルな構造を有するとともに、第1側面122Bが傾斜部140Bを有するため、良好な成形性を確保することができる。
【0082】
<第3実施形態>
第1実施形態では、第2基端部151が第1基端部141からX軸方向に連続して延びている例を説明したが、これに限定されない。
本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
図15は、本発明の第3実施形態に係るキャリアテープ100Cを示す平面図である。
キャリアテープ100Cは、キャリアテープ100と同様のテープ本体110と、複数の送り孔130と、キャリアテープ100と異なる凹部120Cと、を備える。
【0084】
図16図18は、凹部120Cを示す図である。図16は、図15の拡大図である。図17は、図15のF-F'線に沿った部分断面図である。図18は、図15のG-G'線に沿った部分断面図である。なお、図17には、破線で本実施形態の包装体200Cの構成も示している。
【0085】
凹部120Cは、Z軸方向に直交する底面121Cと、底面121Cに接続され、Y軸方向に相互に対向して配置された一対の第1側面122Cと、底面121Cに接続され、X軸方向に相互に対向して配置された一対の第2側面123と、を有する。
【0086】
各第1側面122Cは、傾斜部140Cと、第1構造部150Cと、第2構造部160Cと、を有する。
【0087】
傾斜部140Cは、底面121Cとのなす角度が鈍角である所定の角度αであり、主面111まで延びる。傾斜部140Cは、底面121Cと接続された第1基端部141Cを有する。
【0088】
第1構造部150Cは、底面121とのなす角度β1が90度以上所定の角度α未満であり、底面121CからZ軸方向に延びる。第1構造部150Cは、底面121Cと接続された第2基端部151Cを有する。第2基端部151Cは、第1基端部141CよりもY軸方向内方に位置する。
【0089】
第1構造部150Cは、例えば、第1突出面152Cと、一対の第1接続面153Cと、第1上面154Cと、を含む。第1突出面152Cは、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。一対の第1接続面153Cは、傾斜部140Cと第1突出面152Cとを接続する面である。第1上面154Cは、第1突出面152Cの主面111側の端部と主面111とを接続する面である。
【0090】
第2構造部160Cは、底面121Cとのなす角度β2が90度以上所定の角度α未満であり、底面121CからZ軸方向に延びる。第2構造部160Cは、底面121Cと接続された第3基端部161Cを有する。第3基端部161Cは、第1基端部141CよりもY軸方向内方に位置する。なお、図17において、第2構造部160Cは、第1構造部150Cの背後に重なって配置されている。
【0091】
第2構造部160Cは、例えば、第2突出面162Cと、一対の第2接続面163Cと、第2上面164Cと、を含む。第2突出面162Cは、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。一対の第2接続面163Cは、傾斜部140Cと第2突出面162Cとを接続する面である。第2上面164Cは、第2突出面162Cの主面111側の端部と主面111とを接続する面である。
【0092】
このような構成の第1構造部150C及び第2構造部160Cにより、一対の第1側面122C間のY軸方向における距離を局所的により小さくすることができる。したがって、部品10Cの回転をより効果的に抑制でき、部品10Cをより安定して収容することができる。また、第1構造部150C及び第2構造部160Cがシンプルな構造を有するとともに、第1側面122Cが傾斜部140Cを有するため、良好な成形性を確保することができる。
【0093】
図17に示すように、本実施形態の包装体200Cは、キャリアテープ100Cと、凹部120Cに収容された部品10Cと、トップテープ210と、を備える。
【0094】
図19は、本実施形態の部品10Cを示す斜視図である。同図におけるx軸、y軸及びz軸は、部品10Cの属する座標系において相互に直交する方向を示す。
本実施形態において、部品10Cは、x軸方向に相互に対向する一対の外部電極12と、略直方体状の素体11と、を有する。このような部品10Cは、例えば、積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ等の電子部品であってもよい。また、略直方体状の素体11の表面に外部電極12が配置された部品10Cも、全体として略直方体状であるものとする。本実施形態において、x軸方向を部品10Cの長さ方向とし、y軸方向を部品10Cの幅方向とし、z軸方向を部品10Cの高さ方向とする。
【0095】
素体11は、x軸方向に直交する一対の第1面11aと、y軸方向に直交する一対の第2面11bと、z軸方向に直交する一対の第3面11cと、を有する。素体11は、例えばx軸方向に長手を有する。部品10Cは、例えば、長さ方向であるx軸方向が包装体200CのX軸方向に沿うように凹部120Cに収容される。
また、素体11は、一対の外部電極12に覆われた一対の端部13と、一対の端部13間に位置し一対の外部電極12から露出した露出部14と、を含む。端部13は、第1面11aを含む。露出部14は、第2面11b及び第3面11cの一部を含む。
【0096】
部品10Cは、略直方体状の素体11の端部13に、例えばディップ法、メッキ法、印刷法等によって電極材料が配置され、外部電極12が形成された構成を有する。これにより、外部電極12の稜部は、素体11の稜部よりも丸みを帯びた構成となりやすい。
【0097】
図16に示すように、第1構造部150Cは、例えば、露出部14に対向して配置される。これにより、外部電極12よりも角ばった素体11に対して、第1構造部150Cが回転阻害作用を良好に発揮でき、部品10Cをより安定して凹部120Cに収容することができる。
【0098】
さらに、第2構造部160Cも、例えば、露出部14に対向して配置される。これにより、第1構造部150Cと第2構造部160Cとが協働して素体11に対する回転阻害作用を発揮でき、部品10Cをより一層安定して凹部120Cに収容することができる。
【0099】
例えば、一対の第1側面122Cに含まれる一対の第2基端部151C間のY軸方向における最小距離は、露出部14の幅方向(y軸方向)における最大寸法、又は露出部14の高さ方向(z軸方向)における最大寸法のうち、大きい方の寸法の1.0倍以上1.2倍以下であってもよい。同様に、一対の第1側面122Cに含まれる一対の第3基端部161C間のY軸方向における最小距離は、露出部14のy軸方向における最大寸法、又は露出部14のz軸方向における最大寸法のうち、大きい方の寸法の1.0倍以上1.2倍以下であってもよい。
露出部14のy軸方向における最大寸法とは、一対の第2面11b間の最大寸法を意味する。露出部14のz軸方向における最大寸法とは、一対の第3面11c間の最大寸法を意味する。
これにより、露出部14が第1構造部150C及び第2構造部160Cに接触しやすくなり、素体11に対する回転阻害作用がより確実に発揮される。
【0100】
第1構造部150C及び第2構造部160CのX軸方向における幅及びこれらの間のX軸方向における距離は、部品10C及び露出部14の寸法等に鑑みて、適宜設定され得る。
【0101】
<第4実施形態>
第3実施形態では、第1側面が第2構造部を有する構成について説明したが、第1側面が第2構造部を有さなくてもよい。
本実施形態において、第1実施形態又は第3実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
図20は、本発明の第4実施形態に係るキャリアテープ100Dを示す平面図である。
キャリアテープ100Dは、キャリアテープ100と同様のテープ本体110と、複数の送り孔130と、キャリアテープ100と異なる凹部120Dと、を備える。
【0103】
図21図23は、凹部120Dを示す図である。
図21は、図20の拡大図である。図22は、図20のH-H'線に沿った部分断面図である。図23は、図20のJ-J'線に沿った部分断面図である。なお、図22には、破線で本実施形態の包装体200Dの構成も示している。
【0104】
凹部120Dは、Z軸方向に直交する底面121Dと、底面121Dに接続され、Y軸方向に相互に対向して配置された一対の第1側面122Dと、底面121Dに接続され、X軸方向に相互に対向して配置された一対の第2側面123と、を有する。
【0105】
各第1側面122Dは、傾斜部140Dと、第1構造部150Dと、を有する。
【0106】
傾斜部140Dは、底面121Dとのなす角度が鈍角である所定の角度αであり、主面111まで延びる。傾斜部140Dは、底面121Dと接続された第1基端部141Dを有する。
【0107】
第1構造部150Dは、底面121とのなす角度β1が90度以上所定の角度α未満であり、底面121DからZ軸方向に延びる。第1構造部150Dは、底面121Dと接続された第2基端部151Dを有する。第2基端部151Dは、第1基端部141DよりもY軸方向内方に位置する。
【0108】
第1構造部150Dは、例えば、第1突出面152Dと、一対の第1接続面153Dと、第1上面154Dと、を含む。第1突出面152Dは、例えば略平坦な面であり、例えばY軸方向に直交する面である。一対の第1接続面153Dは、傾斜部140Dと第1突出面152Dとを接続する面である。第1上面154Dは、第1突出面152Dの主面111側の端部と主面111とを接続する面である。
【0109】
このような構成の第1構造部150Dにより、一対の第1側面122D間のY軸方向における距離を局所的により小さくすることができる。したがって、部品10Cの回転をより効果的に抑制でき、部品10Cをより安定して収容することができる。また、第1構造部150Dがシンプルな構造を有するとともに、第1側面122Dが傾斜部140Dを有するため、良好な成形性を確保することができる。
【0110】
図22に示すように、本実施形態の包装体200Dは、キャリアテープ100Dと、凹部120Dに収容された部品10Cと、トップテープ210と、を備える。図21に示すように、部品10Cは、例えば第3実施形態と同様に、一対の外部電極12と、略直方体状の素体11と、を有する。
【0111】
図21に示すように、第1構造部150Dは、例えば、素体11の露出部14に対向して配置される。これにより、外部電極12よりも角ばった素体11に対して、第1構造部150Dが回転阻害作用を良好に発揮でき、部品10Cをより安定して凹部120Dに収容することができる。
【0112】
例えば、一対の第2基端部151D間のY軸方向における最小距離は、第3実施形態と同様に、露出部14のy軸方向における最大寸法、又は露出部14のz軸方向における最大寸法のうち、大きい方の寸法の1.0倍以上1.2倍以下であってもよい。
第1構造部150DのX軸方向における幅は、部品10C及び露出部14の寸法等に鑑みて、適宜設定され得る。
【0113】
<他の実施形態>
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0114】
例えば、第1側面は、第1構造部及び第2構造部に加えて、これらと同様の構成の第3構造部をさらに有していてもよい。
第1突出面及び第2突出面は、略平坦な構成に限定されず、例えば、Z軸方向に延びY軸方向に突出する曲面で構成されていてもよい。この場合、第1構造部及び第2構造部は、第1接続面及び第2接続面を含んでおらず、第1突出面及び第2突出面が傾斜部に直接接続されていてもよい。
上述の実施形態では、第1構造部を含む側面がY軸方向に対向する第1側面であると説明したが、X軸方向に対向する第2側面が、第1構造部を含む側面であってもよい。
キャリアテープは、送り孔を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0115】
100,100B,100C,100D…キャリアテープ
110…テープ本体
120,120B,120C,120D…凹部
121,121C,121D…底面
122,122B,122C,122D…第1側面(側面)
140,140B,140C,140D…傾斜部
150,150B,150C,150D…第1構造部
160,160C…第2構造部
200,200B,200C,200D…包装体
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