(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126138
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】ローラユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20220823BHJP
F16F 1/06 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G21/16 147
F16F1/06 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024041
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069615
【弁理士】
【氏名又は名称】金倉 喬二
(72)【発明者】
【氏名】小溝 貴大
【テーマコード(参考)】
2H171
3J059
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA30
2H171GA03
2H171GA12
2H171HA05
2H171HA22
2H171HA23
2H171JA03
2H171KA07
2H171KA10
2H171KA11
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA27
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB32
2H171QC03
2H171QC05
2H171SA10
2H171SA18
2H171SA22
2H171XA16
3J059AD02
3J059BA01
3J059BB01
3J059BD01
3J059CA02
3J059GA21
(57)【要約】
【課題】組み立て時の圧縮スプリングの装着性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】回転軸を有するローラ(210)と、前記回転軸を付勢する圧縮スプリング204と、を有し、前記圧縮スプリング204は、伸縮方向において、一端の座巻部から外に延びる直線部(204d)を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するローラと、
前記回転軸を付勢する圧縮スプリングと、
を有し、
前記圧縮スプリングは、伸縮方向において、一端の座巻部から外に延びる直線部を有することを特徴とするローラユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のローラユニットにおいて、
前記直線部は、前記圧縮スプリングの一端の座巻部に設けられ、他端の座巻部には設けられていないことを特徴とするローラユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のローラユニットにおいて、
前記圧縮スプリングは、円筒形状の巻線部を有し、前記巻線部の外径に対応する円弧の接線方向において湾曲し、前記直線部に連続する曲線部を有することを特徴とするローラユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のローラユニットにおいて、
前記回転軸を移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材と係合する係合部材と、
を有し、
前記支持部材は、前記巻線部を収容する第1の収容部と、前記直線部および前記曲線部を収容する第2の収容部とを有し、
前記圧縮スプリングは、前記巻線部が前記第1の収容部に収容されるとともに、前記直線部および前記曲線部が前記第2の収容部に収容され、
前記係合部材と前記支持部材とが係合すると前記直線部および前記曲線部が前記係合部材と前記支持部材との間に挟まれて固定されることを特徴とするローラユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のローラユニットにおいて、
前記支持部材は、第1のリブと、第2のリブとを有し、
前記第2のリブは、前記回転軸の軸方向における高さが前記第1のリブより低く形成され、
前記曲線部は、湾曲している部位が、前記第2のリブの方向に向かって前記第2の収容部(215)に収容されることを特徴とするローラユニット。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載のローラユニットにおいて、
前記直線部が設けられた座巻部が前記第1の収容部の壁面に接触した状態で前記巻線部が前記第1の収容部に収容されることを特徴とするローラユニット。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のローラユニットを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮スプリングを用いてローラを付勢するローラユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のローラユニットは、圧縮スプリングを用いてローラを付勢するようにしているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、ユニットの組み立て時の圧縮スプリングの装着性が悪い場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、組み立て時の圧縮スプリングの装着性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため、本発明は、回転軸を有するローラと、前記回転軸を付勢する圧縮スプリングと、を有し、前記圧縮スプリングは、伸縮方向において、一端の座巻部から外に延びる直線部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このようにした本発明は、組み立て時の圧縮スプリングの装着性を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図
【
図5】実施例における転写ベルトユニットの要部拡大図
【
図6】実施例における転写ベルトユニットの要部斜視図
【
図7】実施例における圧縮スプリングの取り付け部の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明によるローラユニットおよび画像形成装置の実施例を説明する。
【実施例0010】
図1は実施例における画像形成装置の外観斜視図である。
【0011】
図1において、画像形成装置1は、上位装置から受信した印刷データに応じて媒体に現像剤画像としてのトナー画像を形成して印刷を行うものであり、例えば電子写真方式のプリンタである。なお、本実施例では、画像形成装置1を現像剤としての4色(K:ブラック、C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)のトナーの画像を形成するカラープリンタとして説明するが、単色のトナーの画像を形成するモノクロプリンタであっても良い。
【0012】
また、画像形成装置1は、装置本体2の上面のトップカバー3の後部の孔より、定着ユニット22を直接取り出すことが可能となっている。
【0013】
図2は、実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
【0014】
図2おいて、画像形成装置1は、給紙媒体積載台13と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド18(18K、18C、18M、18Y)と、画像形成ユニット19(19K、19C、19M、19Y)と、転写ベルトユニット20と、定着ユニット22とを有している。
【0015】
給紙媒体積載台13は、媒体としての印刷媒体を載置するものである。給紙媒体積載台13に積層されて載置された印刷媒体は、ピックアップローラ10、給紙ローラ11、および分離ローラ12によって繰り出されて図中矢印Aが示す媒体搬送方向へ搬送され、レジストローラ14とプレッシャーローラ15によって斜行が矯正された後、搬送ローラ対16へ搬送され、所定のタイミングで転写ベルトユニット20へ送り出される。
【0016】
ローラユニットとしての搬送ローラ対16は、駆動ローラと従動ローラとが対向配置され、印刷媒体を挟持して搬送するものである。駆動ローラは、圧縮スプリングにより従動ローラの方向へ付勢されている。
【0017】
WRセンサ17は、給紙された印刷媒体が通ったことを検知するセンサである。
【0018】
LEDヘッド18(18K、18C、18M、18Y)は、露光手段であり、印刷データに応じて選択的に感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)の表面を露光するものである。
【0019】
画像形成ユニット19(19K、19C、19M、19Y)は、転写ベルトユニット20に対向配置され、内部に備えられた感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)の表面にトナー画像を形成するものである。
【0020】
感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)は、対向配置された露光手段としてのLEDヘッド18(18K、18C、18M、18Y)によって選択的に露光されて静電潜像が形成され、現像材収容部としてのトナーカートリッジに収容された各色のトナーによって静電潜像が現像されてトナー画像が形成される。
【0021】
ローラユニットとしての転写ベルトユニット20は、転写ベルト207と、前部シャフトローラ209と、後部シャフトローラ210と、転写ローラ231(231K、231C、231M、231Y)とを有している。
【0022】
転写ベルト207は、前部シャフトローラ209と後部シャフトローラ210とに張架された無端状の回転可能なベルトである。転写ベルト207は、印刷媒体を画像形成ユニット19(19K、19C、19M、19Y)へ搬送し、転写ローラ231(231K、231C、231M、231Y)によって感光ドラム50(50K、50C、50M、50Y)に形成されたトナー画像を印刷媒体へ転写する。
【0023】
転写ローラ231(231K、231C、231M、231Y)は、転写ベルト207を介して感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)と対向配置され、転写電圧が印加されることにより、感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)に形成されたトナー画像を印刷媒体へ転写するものである。
【0024】
定着ユニット22は、印刷媒体を加熱および加圧してトナーを融着し、印刷媒体に転写されたトナーの定着を行う定着手段である。定着ユニット22は、定着ベルトおよびバックアップローラを備え、定着ベルト内のヒータへ電力が投入されることによって加熱される。
【0025】
定着ユニット22の媒体搬送方向の上流側には、印刷媒体の通過を検知するINセンサ21が配置され、定着ユニット22のバックアップローラの媒体搬送方向の下流側には、印刷媒体の通過を検知するOUTセンサ23が配置されている。
【0026】
定着ユニット22でトナーを加熱および加圧し、トナーが定着された印刷媒体は排出ユニット30内の搬送ローラ24を通り、排出ローラ25により装置外へ排出される。
【0027】
図3は実施例における転写ベルトユニットの説明図であり、
図3(a)は転写ベルトユニットの側面図、
図3(b)は転写ベルトユニットの斜視図である。
【0028】
図3において、転写ベルトユニット20は、ハンドル201と、圧縮スプリング204と、転写ベルト207と、前部シャフトローラ209と、後部シャフトローラ210とを有している。
【0029】
ハンドル201は、転写ベルトユニット20を交換する際に持ち手となる把持部である。
【0030】
前部シャフトローラ209は、ギア206を介して接続されたモータ等の駆動源の動力により回転するローラである。
【0031】
後部シャフトローラ210は、回転軸を中心として回転するローラであり、前部シャフトローラ209とにより転写ベルト207を回転可能に張架するものである。
【0032】
転写ベルトユニット20は、ギア206が回転することで前部シャフトローラ209も回転し、摩擦によって転写ベルト207が回転することで印刷媒体を図中矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送する。
【0033】
圧縮スプリング204は、後部シャフトローラ210の回転軸を付勢し、後部シャフトローラ210を前部シャフトローラ209から離間する方向に付勢するものである。圧縮スプリング204が後部シャフトローラ210にテンションを与えることで転写ベルト207は常に張った状態となり、転写ベルト207が撓まないようにすることができるようになっている。
【0034】
したがって、前部シャフトローラ209が回転すると、転写ベルト207も回転し、その転写ベルト207の回転に従動して後部シャフトローラ210も回転する。さらに、後部シャフトローラ210に設けられたギア203aも連れて回転する。
【0035】
その際、ギア203aの回転によりギア203b、203cが回転し、ブレード208で転写ベルト207から掻き落とした廃トナーが溜まった廃トナーボックス205の中を撹拌し均す。
【0036】
図4は実施例における圧縮スプリングの説明図であり、
図4(a)は圧縮スプリングの正面図、
図4(b)は圧縮スプリングの側面図、
図4(c)は圧縮スプリングの斜視図である。
【0037】
図4において、圧縮スプリング204は、バネ部204aと、延在部204dと、湾曲部204bとにより構成されている。
【0038】
巻線部としてのバネ部204aは、素線がコイル状に巻かれた略円筒形状の圧縮ばねである。
【0039】
直線部としての延在部204dは、巻き回されたバネ部204aの一端である第1の座巻部204cから圧縮スプリング204の長手方向(図中矢印Dが示す伸縮(付勢)方向)の外側に延在するものである。この延在部204dは、巻き回された第1の座巻部204cに設けられている。
【0040】
曲線部としての湾曲部204bは、延在部204dから連続するように形成され、ユーザが把持し易いように先端が湾曲するように曲げられて形成されたものである。
【0041】
湾曲部204bは、バネ部204aの外径に対応する円弧の接線方向(
図4(a)中二点鎖線Eが示す方向)において湾曲するように形成されている。
【0042】
また、バネ部204aの第1の座巻部204cの反対側には、バネ部204aの他端である第2の座巻部204eが形成されている。
【0043】
本実施例の圧縮スプリング204は、バネ部204aの一端である第1の座巻部204cに延在部204dが設けられ、バネ部204aの他端である第2の座巻部204eには延在部204dが設けられていない。
【0044】
圧縮スプリング204の湾曲部204bは、転写ベルトユニットに圧縮スプリング204を取り付ける際に、他の部材が圧縮スプリング204の取り付けを阻害することの無いように、
図6に示すリブ211aが形成されている側から、リブ211aよりも高さが低いリブ211e側に向かって曲げが形成されている。
【0045】
ここで、リブの高さとは、後部シャフトローラ210の軸方向における高さ(以下、同様)である。
【0046】
図5は実施例における転写ベルトユニットの要部拡大図であり、
図3(a)において破線で囲んだ後部シャフトローラ210および圧縮スプリング204の近傍の拡大図である。
【0047】
図5において、圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bは、板金202とモールド211に挟み込まれている。
【0048】
支持部材としてのモールド211は、後部シャフトローラ210の回転軸を移動可能に支持するとともに、圧縮スプリング204を収容する収容部を有するものである。
【0049】
係合部材としての板金202は、モールド211と係合して圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bを挟み、圧縮スプリング204を固定するものである。
【0050】
モールド211のリブ211aと、そのリブ211aよりも高さが低いリブ211eとによって板金202が挟まれてモールド211に係合され、その板金202によって圧縮スプリング204が押さえられてネジ218によってモールド211に固定される。
【0051】
図6は実施例における転写ベルトユニットの要部斜視図であり、
図5に示す後部シャフトローラ210および圧縮スプリング204の近傍の拡大図である。
【0052】
図6に示すように、モールド211は、第1のリブとしてのリブ211aと、第2のリブとしてのリブ211eとが形成されている。また、板金202は、強度を増すためにリブ202aが形成されている。
【0053】
圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bを挟み込んでいる板金202とモールド211は、転写ベルトユニット上側、即ちハンドル201側の板金202のリブ202aおよびモールド211のリブ211aが、転写ベルトユニット下側のリブ211eより高くなるように形成されている。
【0054】
また、モールド211のリブ211aは、板金202のリブ202aを覆うため、リブ202aと同程度の高さまたはそれ以上の高さに形成されている。
【0055】
モールド211のリブ211eは、圧縮スプリング204のモールド211に対する着脱の操作性を向上させるため、後部シャフトローラ210の軸方向における高さがリブ202aおよびリブ211aの高さより低くなるように形成されている。
【0056】
圧縮スプリング204の湾曲部204bは、湾曲している部位が、リブ211eの方向に向かって後述するモールド211の凹部215(
図7参照)に収容される。
【0057】
図7は実施例における圧縮スプリングの取り付け部の説明図である。
【0058】
図7において、モールド211には、軸受部212と、摺動溝213と、スプリング収納部214と、凹部215とが形成されている。
【0059】
軸受部212は、後部シャフトローラ210の回転軸としてのシャフトを回転可能に支持するものである。
【0060】
摺動溝213は、媒体搬送方向と略平行する図中矢印Fが示す摺動方向(
図3に示す後部シャフトローラ210と前部シャフトローラ209とが接近または離間する方向)に延びるように形成された溝であり、軸受部212を摺動可能に支持するものである。
【0061】
後部シャフトローラ210のシャフトの軸受部212は、この摺動溝213に沿って矢印Fが示す摺動方向に移動可能に配置されている。
【0062】
第1の収容部としてのスプリング収納部214は、
図4に示す圧縮スプリング204のバネ部204aを収容するものであり、凹状の空間である。
【0063】
図4に示す圧縮スプリング204のバネ部204aは、圧縮された状態でモールド211に形成されたスプリング収納部214に収納される。
【0064】
このとき、圧縮スプリング204の第2の座巻部204eの内径側に、軸受部212に形成された突起状のボス212aが入り込んだ状態で、軸受部212の壁面212bと第2の座巻部204eが当接する。
【0065】
また、圧縮スプリング204の第1の座巻部204cは、スプリング収納部214の壁面214aと当接する。
【0066】
したがって、延在部204dが設けられた第1の座巻部204cがスプリング収納部214の壁面214aに接触した状態でバネ部204aがスプリング収納部214に収容される。
【0067】
なお、スプリング収納部214の壁面214aには、突起状のボスが形成されていないため、圧縮スプリング204のバネ部204aをスプリング収納部214に円滑に挿入することができるようになっている。
【0068】
第2の収容部としての凹部215は、
図4に示す圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bを収容するものであり、凹状の空間である。
【0069】
図4に示す圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bは、モールド211に形成された凹部215に収まる。
【0070】
また、モールド211には、
図8に示す板金202の孔と係合する突起部としてのボス211c、211dが形成されている。
【0071】
【0072】
図8に示す板金202は、
図3に示す転写ベルトユニット20の転写ベルト207を張架する部分とハンドル201とをつなぐものである。
【0073】
また、板金202は、
図5に示すように、圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bを、
図7に示すモールド211との間で挟んで固定する。
【0074】
板金202には、孔202b、202cが形成され、孔202bが
図7に示すボス211d、孔202cが
図7に示すボス211cと係合する。
【0075】
上述した構成の作用について説明する。
【0076】
まず、画像形成装置が行う印刷処理の概略を
図1および
図2を参照しながら説明する。なお、印刷処理は、画像形成装置1の制御部によりメモリ等に記憶された印刷処理プログラムに基づいて行われる。
【0077】
画像形成装置1の制御部は、通信回線を介して外部装置から印刷命令としての印刷データ(印刷ジョブ)を受信する。印刷データを受信した制御部は、給紙モータを制御し、給紙媒体積載台13に載置されている印刷媒体をピックアップローラ10、給紙ローラ11、および分離ローラ12で1枚ずつ分離して給紙し、レジストローラ14へ搬送して、さらに画像形成タイミングに合わせて搬送ローラ対16により転写ベルト207を有する転写ベルトユニット20、および感光体ドラム50(50K、50C、50M、50Y)を有する画像形成ユニット19(19K、19C、19M、19Y)へ搬送する。
【0078】
このとき、制御部は、画像形成ユニット19(19K、19C、19M、19Y)およびベルトモータを制御してトナー画像を形成する。また、制御部は、所定の印刷速度で印刷媒体を搬送する。
【0079】
まず、制御部は、画像形成ユニット19Kの感光体ドラム50Kを回転させ、帯電ローラで感光体ドラム50Kの表面を一様に帯電させる。制御部は、LEDヘッド18Kにより、帯電された感光体ドラム50Kの表面を印刷データに応じて選択的に露光し、静電潜像を形成した後、現像ローラにより、感光体ドラム50Kの表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。
【0080】
制御部は、転写ローラ231Kの転写電圧等を制御して感光体ドラム50Kの表面に現像されたトナー画像を
図2中の矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送される印刷媒体に転写する。
【0081】
画像形成ユニットおよび転写ベルトユニット20でブラックのトナー画像が転写された印刷媒体は、媒体搬送方向に搬送され、ブラック(K)の画像形成ユニット19Kと同様の現像工程を行うシアン(C)の画像形成ユニット19C、マゼンタ(M)の画像形成ユニット19M、イエロー(Y)の画像形成ユニット19Y、転写ベルト207、および転写ローラ231C、231M、231Yにより、シアン、マゼンタ、イエローの各色のトナー画像が転写され、画像形成に必要なすべてのトナー画像が転写された後、転写ベルトユニット20から定着ユニット22へ搬送される。
【0082】
制御部は、定着ユニット22を制御し、熱と圧力で印刷媒体に転写されたトナーを定着させる。
【0083】
その後、制御部は、排出ユニット30を制御して印刷媒体を媒体搬送方向へ搬送し、装置外の排出スタッカへ排出して本印刷処理を終了する。
【0084】
次に、転写ベルトユニットについて説明する。
【0085】
図3に示すように、転写ベルトユニット20は、モータからの動力を受けて前部シャフトローラ209が回転することにより転写ベルト207が回転し、その転写ベルト207が印刷媒体を図中矢印Aが示す媒体搬送方向に搬送するようにしている。
【0086】
このように、転写ベルト207の回転は、一本の前部シャフトローラ209のみから動力を取るようにしている。
【0087】
したがって、転写ベルト207が撓んで回転しないようにするため、前部シャフトローラ209と後部シャフトローラ210とに張架された転写ベルト207に張力(テンション)を与える圧縮スプリング204、即ち後部シャフトローラ210を前部シャフトローラ209から離間する方向に付勢する圧縮スプリング204を転写ベルトユニット20に取り付ける必要がある。
【0088】
次に、圧縮スプリングの転写ベルトユニットへの取り付けについて
図4および
図7を参照しながら説明する。
【0089】
図7に示すように、圧縮スプリング204を転写ベルトユニットに取り付ける前は転写ベルト207にテンションがかかっていないため、後部シャフトローラ210および軸受部212は、図中矢印Fが示すスプリング取り付け方向に自由に動くことが可能になっている。
【0090】
そのため、
図4に示す圧縮スプリング204を取り付ける際は、最初に圧縮スプリング204の延在部204dまたは湾曲部204bをつかみ、軸受部212のボス212aにバネ部204aの第2の座巻部204eの内径側を差し込む。
【0091】
次に、圧縮スプリング204の第2の座巻部204eにボス212aを差し込んだままの状態で、圧縮スプリング204のバネ部204aがモールド211のスプリング収納部214に収まるように、また圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bがモールド211の凹部215に収まるように、延在部204dまたは湾曲部204bをモールド211に倒れるように差し込む。
【0092】
このとき、モールド211のスプリング収納部214の壁面214aにボスが形成されていないため、圧縮スプリング204の取り付けの操作性を向上させることができる。
【0093】
なお、壁面214aにボスが存在すると、圧縮スプリング204を差し込む際に縮ませる量が増えてしまい、取り付けに必要な荷重が増えてしまい、圧縮スプリング204の取り付けの操作性が低下してしまう。
【0094】
また、圧縮スプリング204のバネ部204aがモールド211のスプリング収納部214に、また圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bがモールド211の凹部215に収容されたとき、圧縮スプリング204の湾曲部204bは、湾曲している部位が、リブ211eの方向に向かってモールド211の凹部215に収容されるようにしているため、圧縮スプリング204の取り付けの操作性を向上させることができる。
【0095】
圧縮スプリング204を軸受部212とモールド211との間に取り付けた後、モールド211のボス211cおよびボス211dが、
図8に示す板金202の孔202cおよび孔202bにそれぞれ対応するように係合させ、板金202をモールド211に取り付ける。
【0096】
板金202をモールド211に取り付けることで圧縮スプリング204の延在部204dおよび湾曲部204bが板金202とモールド211との間に挟まれて固定され、圧縮スプリング204全体が固定される。
【0097】
このように、圧縮スプリング204は、バネ部204aがモールド211のスプリング収納部214に収容されるとともに、延在部204dまたは湾曲部204bがモールド211の凹部215に収容され、板金202とモールド211とが係合すると延在部204dまたは湾曲部204bが板金202とモールド211との間に挟まれて固定される。
【0098】
本実施例では、
図4に示す圧縮スプリング204を転写ベルトユニットに取り付ける際、延在部204dまたは湾曲部204bを把持した後、延在部204dおよび湾曲部204bの反対側の第2の座巻部204e側に、
図7に示すボス212aを挿入し、圧縮スプリング204を圧縮した状態でスプリング収納部214に圧縮スプリング204のバネ部204aを収納して延在部204dおよび湾曲部204bを凹部215に収めることで、容易に圧縮スプリング204を実装することが可能になり、圧縮スプリング204の装着性を向上させることができる。
【0099】
なお、圧縮スプリング204の湾曲部204bを設けることなく、圧縮スプリング204を転写ベルトユニットに取り付ける際、延在部204dを把持した後、第2の座巻部204e側に、
図7に示すボス212aを挿入し、圧縮スプリング204を圧縮した状態でスプリング収納部214に圧縮スプリング204のバネ部204aを収納して延在部204dを凹部215に収めるようにしても良い。
【0100】
ただし、圧縮スプリング204に湾曲部204bを設けることにより、圧縮スプリング204をモールド211に取り付ける場合の操作性をさらに向上させることができる。
【0101】
このように、本実施例では、圧縮スプリング204をモールド211に取り付ける際に、治具を用いことなく手操作で容易に取り付けることができる。
【0102】
即ち、取り付けの際に圧縮スプリング204を掴みやすくなり、重い取り付け荷重が必要であっても、取り付けが難しいといったことや、治具を用いることなく、手操作で容易に圧縮スプリング204をモールド211に取り付けることができる。
【0103】
また、圧縮スプリング204の湾曲部204bを固定することで圧縮スプリング204の位置決めをすることができるため、位置決め用のボスや孔をモールド211の取り付け部分であるスプリング収納部214の両側(圧縮スプリング204の伸縮方向の両側)に設ける必要がなくなる。
【0104】
さらに、圧縮スプリング204の湾曲部204bを挟み込んで固定するため、電気的な接地であるフレームグランドとしての役割を果たすこともできる。
【0105】
ここで、変形例を説明する。
【0106】
本実施例では、ローラユニットを転写ベルトユニットとして説明したが、それに限られることなく、ローラを付勢する圧縮スプリングを有する搬送ローラユニットとしても良い。
【0107】
図9は変形例における搬送ローラユニットの説明図であり、
図2に示す搬送ローラ対16を有する搬送ローラユニットの説明図である。
【0108】
図9に示すように、搬送ローラ対16は、駆動ローラ16aと、従動ローラ16bと、
図4に示す圧縮スプリング204とを有している。
【0109】
駆動ローラ16aは、モータ等の駆動により回転するローラである。
【0110】
従動ローラ16bは、駆動ローラ16aに対向配置され、駆動ローラ16aの回転に従って回転するローラである。
【0111】
圧縮スプリング204は、駆動ローラ16aを従動ローラ16bに付勢する付勢手段である。
【0112】
圧縮スプリング204は、
図5~
図8で説明した転写ベルトユニットと同様に、モールドと板金により搬送ローラユニットのモールド内に収容される。
【0113】
このように構成された搬送ローラユニットにおいても転写ベルトユニットにおける効果と同様の効果を得ることができる。
【0114】
以上説明したように、本実施例では、組み立て時の圧縮スプリングの装着性を向上させることができるという効果が得られる。
【0115】
なお、本実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、複写機、ファクシミリ装置、または複合機(MFP)等としても良い。