(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126144
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220823BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20220823BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220823BHJP
【FI】
F21S2/00 431
F21V9/40 400
F21S2/00 350
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024054
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 延幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA14
3K244BA19
3K244BA26
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA13
3K244GA01
3K244GA06
3K244GA08
3K244GA11
3K244GB02
3K244GB07
3K244GB08
3K244GB13
(57)【要約】
【課題】薄型で配向角度が小さく、かつ、漏れ光が少ない照明装置を実現する。また、光ビームの制御を容易に行うことが出来る照明装置を実現する。
【解決手段】
導光板23の側面にLED40が配置し、前記導光板23の主面にプリズムシート24が配置した照明装置であって、前記プリズムシート24の上には、第1の方向に延在する第1ルーバ50と、前記第1の方向と直角方向に延在する第2ルーバ60とが積層されて配置していることを特徴とする照明装置。さらに、必要に応じて、第2ルーバの上に液晶レンズを配置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、
前記プリズムシートの上には、第1の方向に延在する第1ルーバと、前記第1の方向と直角方向に延在する第2ルーバとが積層されて配置していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記プリズムシートは第3の方向に延在するプリズムアレイを有しており、前記第1の方向と前記第3の方向は3度以上であり、前記第2の方向と前記第3の方向は3度以上であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1ルーバによる配光角と前記第2ルーバによる配光角は異なることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1ルーバは光軸方向に第1の厚さを有し、前記第2ルーバは、前記光軸方向に第2の厚さを有し、
前記第1の厚さと前記第2の厚さは異なることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1ルーバは第1のルーバブレードを有し、前記第2ルーバは第2のルーバブレードを有し、前記第1ルーバブレードと前記第1ルーバブレードの間、及び、前記第2ルーバブレードと前記第2ルーバブレードとの間は空間であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1ルーバは第1のルーバブレードを有し、前記第2ルーバは第2のルーバブレードを有し、前記第1ルーバブレードと前記第1ルーバブレードの間、及び、前記第2ルーバブレードと前記第2ルーバブレードとの間には透明樹脂が存在していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記プリズムシートの上に液晶レンズが配置していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記液晶レンズは、前記第1の方向と第1の角度回転した方向に延在する第1の電極を有しており、前記第1の角度は3度以上であることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記液晶レンズは、前記第2の方向と前記第1の角度回転した方向に延在する第2の電極を有していることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
前記第1の角度は22.5度であることを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項11】
前記第1の角度は45度であることを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項12】
前記液晶レンズは、前記第1の電極の延在方向と直角方向に延在する第2の電極を有していることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【請求項13】
前記液晶レンズは第1液晶レンズと第2液晶レンズの積層構造であり、前記第1の電極は前記第1液晶レンズに形成されており、前記第2の電極は前記第2の液晶レンズに形成されていることを特徴とする請求項9に記載の照明装置。
【請求項14】
前記液晶レンズは、平面で視て、第1の領域と第2の領域に分かれており、前記第1の領域における電極構成は、前記第2の領域における電極構成とは異なることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項15】
導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、
前記プリズムシートの上には、第1の方向に延在する第1ルーバと、前記第1の方向と直角方向に延在する第2ルーバとが同一平面上に交差して形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項16】
前記プリズムシートは第3の方向に延在するプリズムアレイを有しており、前記第1の方向と前記第3の方向は3度以上であり、前記第2の方向と前記第3の方向は3度以上であることを特徴とする請求項15に記載の照明装置。
【請求項17】
前記プリズムシートの上には液晶レンズが配置していることを特徴とする請求項15に記載の照明装置。
【請求項18】
導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、
前記プリズムシートの上には、平面で視て、ハニカム構造であるルーバが配置していることを特徴とする照明装置。
【請求項19】
前記ハニカム構造の内部は空間であることを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項20】
前記プリズムシートの上には液晶レンズが配置していることを特徴とする請求項17に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型で、配光角度が小さく、かつ、周辺への漏れ光を小さく出来る照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機や電車の各座席にコリメートされた光を投射する需要がある。また、自動車等で、目的によって別な角度で光を放射したい場合がある。一方、光源から異なる角度で光を放射したい場合がある。このような場合、例えば、光源の角度を変える、光源からの出射光に対して反射板を配置して出射角度を変える、光源からの出射光に対してレンズを配置して出射角度を変える等の手段がある。
【0003】
また、照明装置の出射面にレンズを配置することによって、出射光の配光特性を変化させたいという要求も存在する。このような場合、液晶レンズを用いると、焦点距離を容易に変化させることができる。また、液晶レンズは用途に応じてフレキシブルにその作用を変化させることが出来る。
【0004】
特許文献1には、直下型の光源の上に出射光の角度を変えるための屈折手段を載置した構成が記載されている。これらの屈折手段として、レンズ、プリズム、液体レンズ、液晶レンズ等を用いることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、液晶レンズを種々の光学装置に用いる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-069409
【特許文献2】WO2012/099127 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照明装置でも、例えば、スポットライトとして使用したい場合等では、高い指向性を持った光、すなわち、配光角の小さい光源が要求される。このような光源には、従来は、放物面鏡を用いて平行光を形成する構成が用いられてきた。しかし、このような光源は、奥行きが必要であり光源自体を小型化、あるいは、薄型化することが難しい。
【0008】
一方、薄型の照明装置を用いた場合、配光角を小さくすることが困難である。さらに、出射角度が非常に大きい漏れ光が発生するという問題を生ずる。
【0009】
本発明の課題は、薄型で、配光角が小さく、かつ漏れ光の小さい照明装置を実現することである。また、本発明の課題は、出射面に液晶レンズを配置し、液晶レンズによる出射光の制御を正確に行うことが出来る照明装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0011】
(1)導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、前記プリズムシートの上には、第1の方向に延在する第1ルーバと、前記第1の方向と直角方向に延在する第2ルーバとが積層されて配置していることを特徴とする照明装置。
【0012】
(2)前記プリズムシートの上に液晶レンズが配置していることを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0013】
(3)導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、前記プリズムシートの上には、第1の方向に延在する第1ルーバと、前記第1の方向と直角方向に延在する第2ルーバとが同一平面上に交差して形成されていることを特徴とする照明装置。
【0014】
(4)導光板の側面にLEDが配置し、前記導光板の主面にプリズムシートが配置した照明装置であって、前記プリズムシートの上には、平面で視て、ハニカム構造であるルーバが配置していることを特徴とする照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】放物面鏡を用いてコリメート光を照射する照明装置を示す平面図である。
【
図3】サイドライト方式の照明装置の分解斜視図である。
【
図5】
図3の照明装置の配光特性を示すグラフである。
【
図7】
図6の照明装置の配光特性を示すグラフである。
【
図11】さらに他の例によるルーバの断面図である。
【
図14】他の例による一体化クロスルーバの斜視図である。
【
図15】他の例による一体化クロスルーバの側面図である。
【
図16】透明樹脂が存在しない第1ルーバと第2ルーバの平面図である。
【
図19】ハニカム構造を有するクロスルーバの平面図である。
【
図21】実施例1における第1ルーバと第2ルーバの配置例である。
【
図23】液晶レンズによる凸レンズの構成例である。
【
図25】液晶レンズによる凹レンズの構成例である。
【
図26】液晶レンズによって光ビームを偏向する例である。
【
図27】液晶レンズによって光ビームを偏向する他の例である。
【
図28】第1の例による液晶レンズの断面図である。
【
図29】第1の例による液晶レンズの第1電極及び第2電極の平面図である。
【
図30】第2の例による液晶レンズの断面図である。
【
図31】第2の例による液晶レンズの第1電極及び第2電極の平面図である。
【
図32】第3の例による液晶レンズの断面図である。
【
図33】第3の例による液晶レンズの第1電極及び第2電極の平面図である。
【
図34】第4の例による液晶レンズの断面図である。
【
図35】第4の例による液晶レンズの第1電極及び第2電極の平面図である。
【
図36】液晶レンズを2枚使用した場合の断面図である。
【
図37】液晶レンズを4枚使用した場合の断面図である。
【
図38】1枚の液晶レンズと1枚の偏光板を使用して液晶レンズを構成した場合の断面図である。
【
図39】液晶レンズにおける第1電極と第2電極の配置を示す斜視図である。
【
図40】
図22の照明装置において、LEDアレイと液晶レンズの第1電極と第2電極のみを取り出した平面図である。
【
図41】
図22の照明装置において、LEDアレイと液晶レンズの第1電極と第2電極のみを取り出した他の例による平面図である。
【
図42】
図22の照明装置において、LEDアレイと、2組の液晶レンズの第1電極と第2電極のみを取り出したさらに他の例による平面図である。
【
図43】液晶レンズを平面的に分割した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1及び2は、コリメート光を出射するスポットライトに使用される照明装置2000の例である。このようなコリメート光を得るためには、従来は、
図1及び
図2に示すような、いわゆる放物線ミラー1が使用されていた。
図1は、放物線ミラー1を用いた照明装置2000の平面図であり、
図2は、該照明装置2000の断面図である。
図1において、放物線ミラー1の中央にLED2が配置している。LED2は、例えば、LED用基板3に配置している。LED2は、高輝度LEDを使用しているので、高温になるために、ヒートシンク4の上に配置している。
図1において、放物線ミラー1の背面にヒートシンク4の一部が見えている。
【0017】
図2は
図1のX-X断面図である。
図2において、放物線ミラー1の底面にLED2が配置している。LED2から出射した光は、直上に向かう光の他は、放物線ミラー1において反射し、光軸に平行な光となる。しかし、放物線ミラー1を十分に機能させるためには、放物線ミラー1の高さh1が必要となる。配光角度12度程度を得るためには、放物線ミラーの高さh1は、60mm程度は必要である。実際には、これに、ヒートシンクの高さh2、例えば20mm程度が加わるので、照明装置全体の厚さは80mm以上必要になる。
【0018】
本発明の課題は、コリメート光を出射する薄型の照明装置を実現することとともに、照明装置から出射する光の配光角度、あるいは、出射面からの出光角度を制御することが出来る照明装置を実現することである。以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例0019】
図3は、実施例1に関連する照明装置1000の分解斜視図である。
図3は導光板23の側面にLEDアレイ40を配置したいわゆるサイドライト方式の光源であり、光源全体を薄く出来る。
図3における光学部品の中で最も板厚が大きい導光板23でも厚さは2mm程度である。
【0020】
図3において、導光板23の相対する2つの側面にLEDアレイ40が配置している。LEDアレイ40は、LED基板42に搭載された複数のLED41がy方向に配列している構成である。導光板23は、側面から入射したLEDアレイ40からの光を導光板23の主面方向に向ける役割を有する。導光板23の下には反射シート22が配置している。反射シート22は、導光板23から下側に向かう光を上側に反射する。
【0021】
LEDアレイ40、光学部品等は例えば金属で形成された外枠20内に収容されるが、光学部品等を外枠20内に固定するために、樹脂フレーム21が使用されている。導光板23の上には、導光板23から出射する光を光軸方向にコリメートするためのプリズムシート24が配置している。プリズムシート24の上側周辺にはスペーサ25が配置し、その上に出射面31を規定するための遮光テープ26が配置している。そして遮光テープ26の上に透明カバー30が配置している。
【0022】
図3において、透明カバー30の出射面31からコリメート光32が出射されるが、平行四辺形で表示されたコリメート光32の他に、Lx、Lyで示す漏れ光が存在している。この漏れ光の存在によって照射光の輪郭がぼやけてしまうという問題がある。また、出射面31に屈折手段を配置して、出射光を収束、発散、あるいは、向きを変えたい場合、この漏れ光は制御が困難である。
【0023】
図4は、照明装置1000から出射する光の配光曲線である。
図4において、照明装置1000の出射面から出射する光は、楕円形で示す配光曲線によってあらわすことが出来る。
図4において矢印の長さは光の強度であり、矢印の極角θは光の向きである。
図4において、光軸上、すなわちθがゼロの時の光強度が最も大きい。極角が大きくなるにしたがって、光の強度が小さくなる。
図4に示す配光曲線は、
図3に示すx方向、y方向によって異なる。
【0024】
図5は、
図3に示す照明装置に対する、配光角特性である。すなわち、
図5は、
図4に示す配光曲線を、横軸を角度、縦軸を光の強度として、
図3におけるx方向とy方向に分けて表したものである。
図5の横軸は極角(度)であり、縦軸は、光軸上(極角がゼロ)の光の強度を1とした場合の相対強度である。
図5において、極角が20度程度までは、光の強度は正規分布のような滑らかな曲線となっているが、極角が20度を超えると正規分布から大きくずれた分布となる。この領域が漏れ光Lx、Lyに該当する。
図4の配光曲線は光軸(θ=0°)に対し左側がx方向の配光曲線であり
図5のLx曲線に相当し、右側がy方向の配光曲線であり
図5のLy曲線に相当する。y方向極角θ1とx方向極角θ2が共に30°のとき、y方向の光の強度がx方向の光の強度より大きい。
【0025】
図5に示すように、漏れ光の分布はx方向とy方向で異なっている。これは、LEDアレイがy方向に配列しているためである。いずれにせよ、漏れ光Lx、Lyはコリメートされていない光なので、照明装置を投光器として使用した場合、スポットの輪郭がぼやけるという現象を生ずる。また、照明装置1000の出射面31に屈折手段を配置し、出射光を屈折、あるいは、偏向させようとする場合、漏れ光Lx、Lyに対しては制御が困難である。
【0026】
図6は、以上のような問題点を解決した、本発明の実施例1による照明装置1000の分解斜視図である。
図6において、反射シート22からプリズムシート24までの構成は
図5で説明した構成と同じである。
図6の特徴は、プリズムシート24と透明カバー30の間にクロスルーバ50、60が配置されていることである。クロスルーバは、ルーバブレードがx方向に延在する第1ルーバ50とルーバブレードがy方向に延在する第2ルーバ60が直交して重ねて配置されたものである。
【0027】
第1ルーバ50はy方向の漏れ光を遮光し、第2ルーバはx方向の漏れ光を遮光する。その結果、x方向にもy方向にも漏れ光の無い、配光特性を得ることが出来る。なお、クロスルーバは第1ルーバ50、第2ルーバ60を重ね合わせてもよいし、一体型でもよい。また、ルーバの高さは、必要に応じて、第1ルーバ50と第2ルーバ60で変えてもよい。
【0028】
図7は、
図6の照明装置における配向角特性を示すグラフである。
図7の横軸と縦軸は
図5で説明したのと同じである。
図7と
図6を比較すると、まず、配向特性が改善されている。つまり、同じ極角で比較した場合、
図7のほうが、
図6の場合よりも相対強度は小さくなっている。すなわち、光の指向性が改善されている。
【0029】
図7の第2の特徴は、
図5における照明装置1000からの漏れ光Lx、Lyは無くなっている。さらに、
図7の第3の特徴は、x方向とy方向の配向特性に差がない。すなわち、x方向とy方向の配向特性は同一の線で表されている。したがって、
図6の照明装置1000によって、指向性に優れた、ビームスポットにぼやけが無い、かつ、均一な光を得ることが出来る。
【0030】
図8は第1ルーバ50と第2ルーバ60の平面図である。第1ルーバ50のルーバブレード70はx方向に延在し、第2ルーバ60のルーバブレード70はy方向に延在している。ルーバブレード70とルーバブレード70の間には透明樹脂71が存在しており、第1ルーバ50と第2ルーバ60の形状を保っている。
【0031】
図9は
図8のルーバ60のA-A断面図である。
図9において、ルーバブレード70のピッチpは例えば0.1mm、ルーバブレード70の厚さbは0.0185mm、ルーバブレード70の高さtは0.7mmである。ルーバブレード70は例えば黒色のシリコンゴムで形成され、ルーバブレード70に入射した光はほとんど吸収される。一方、透明樹脂71は例えば透過率の高い透明なシリコンゴムで形成される。
【0032】
図9には、ルーバ60における光の経路が示されている。
図9に示す矢印LLは光の経路を示している。ルーバ60に入射する光は、ルーバ60内の透明樹脂71の屈折率にしたがって屈折する。ルーバ60から出射する光の配光角θは、空気に対する透明樹脂71の屈折率をn、ルーバの高さをt、ルーバブレード間の幅をaとした場合、(式1)によって表すことが出来る。
【0033】
θ=2sin
-1{nsin(tan
-1(a/t))} (式1)
図10は、ルーバブレード70の断面形状を長方形ではなく、3角形とした場合である。ルーバの外形を変えずに、配光角を調整したいような場合に用いることが出来る。なお、ルーバブレード70の断面形状は、3角形に限らず、台形等でもよい。
【0034】
図11は、ルーバの上下面に透明樹脂によるルーバカバー72を設置した例である。ルーバの機械的な強度が必要な場合等に用いられる。ルーバカバー72は、例えばポリカーボネイトで形成され、厚さは、例えば0.2mm程度である。
図11の他の構成は
図9と同様である。
【0035】
クロスルーバは一体型で形成することも出来る。
図12は一体型クロスルーバ80の斜視図である。
図12において、第1ルーバと第2ルーバが一体型として形成されている他は、
図8、
図9で説明したのと同様である。すなわち、下側のルーバは、ルーバブレード70がx方向に延在し、上側のルーバは、ルーバブレード70がy方向に延在している。ルーバブレード70とルーバブレード70の間には透明樹脂71が存在している。
【0036】
図13は
図12をA方向から視た側面図である。上側ルーバと下側ルーバの基本的な構造は
図8で説明したのと同様である。
図13では、下側のルーバの高さはt1で上側のルーバの高さはt2である。t1とt2は同じでもよい。x方向の配光角とy方向の配光角を変えたい場合は、t1とt2を変えればよい。
【0037】
図14はクロスルーバの上下にルーバカバー72を形成した場合である。ルーバカバー72は、クロスルーバの機械的な強度が必要な場合等に用いられる。
図15は
図14をB方向から視た側面図である。ルーバカバー72は、例えばポリカーボネイトで形成され、厚さtcは、例えば0.2mm程度である。
図15のその他の構成は、
図13で説明したのと同様である。
【0038】
図8乃至
図15で説明したルーバはルーバブレード70とルーバブレード70の間に透明樹脂71が存在している構成である。透明樹脂71の屈折率nが大きいと、配光角も大きくなる。ルーバブレード70とルーバブレード70の間が空間であれば、配光角をより小さく出来る。
図16乃び
図17はその例である。
図16において、左側は第1ルーバ50の平面図である、右側は第2ルーバ60の平面図である。第1ルーバ50と第2ルーバ60は、角度が90度回転しているだけで、同じ構造である。
【0039】
図16において、ルーバブレード70は黒色の樹脂でも金属でもよい。ルーバブレード70とルーバブレード70の間は空間75であり、樹脂は存在していない。ルーバブレード70がばらばらにならないように、ルーバ枠73が存在している。ルーバ枠73は、例えば、厚さ0.2mm程度のポリカーボネイトで形成してもよいし、金属で形成してもよい
図16では、上下方向にのみルーバ枠73が形成されているが、ルーバ枠73は全周に形成してもよい。
【0040】
図17は
図16のC-C断面図である。
図17に示す矢印LLは光の経路を示している。
図17は、ルーバブレード70とルーバブレード70の間は空間なので、屈折は生じない。ルーバ60から出射する光の配光角θは、(式2)によって表すことが出来る。
図9と
図17を比較すると、
図17では、屈折率nの分、配光角θを小さくすることが出来る。
【0041】
θ=2sin-1{sin(tan-1(a/t))} (式2)
図18は、クロスルーバ80を一体で形成する場合の斜視図である。
図18は、ルーバブレード70を同一平面上に格子状に配置することによってクロスルーバの機能を1枚のシートで達成する構成である。
図18では、各格子内は空間75となっている。
図18における格子は、
図16で説明したのと同様、金属、あるいは、黒色の樹脂で形成することが出来、ルーバブレード70の厚さ、高さ、ピッチ等は、必要な配向角によって変えればよい。例えば、ルーバの高さt、空間の幅a、ルーバブレードの厚さb等は、
図9を参考に決めることが出来る。
【0042】
また、
図18の格子のままでは形状が不安定である場合は、
図16で説明したように、ポリカーボネイト等によるルーバ枠73を配置すればよい。
図18における各格子内における光の経路、あるいは、配光角度は
図17で説明したとおりである。なお、光の経路は(式2)で表すことが出来る。ところで、
図18は、各格子内は空間75であるが、各格子内に透明樹脂を充填してもよい。この場合の光の経路は(式1)で表される。
【0043】
図19は、ルーバ90をハニカム構造で構成した例を示す平面図である。
図19において、ハニカム構造は、黒色樹脂あるいは金属で形成されたルーバブレード70で形成され、各セルは空間75となっている。コリメート効果は(式2)と同じである。ハニカム構造は平面で、60度回転するごとに同じ構成が繰り返されるので、ルーバの回転方向の組み立て誤差が生じにくいという利点がある。また、後で説明する、プリズムシート24との干渉によるモアレも生じにくいという利点を有している。
【0044】
図19におけるハニカム構造は、
図16で説明したのと同様、金属、あるいは、黒色の樹脂で形成することが出来、ルーバブレード70の厚さ、高さ、ピッチ等は、必要な配向角によって変えればよい。例えば、ルーバの高さt、空間の幅a、ルーバブレード70の厚さb等は、
図9を参考に決めることが出来る。
【0045】
図19のハニカムルーバ90の各セル内は空間75であるが、各セル内に透明樹脂を充填することも出来る。この場合は、コリメート効果は(式1)で表すことが出来る。また、ルーバの強度を確保するために、必要に応じてルーバカバー72を用いてもよい。
【0046】
図6に示す実施例1の構成では、光をコリメートするために、逆プリズムシート24を用いている。逆プリズムシート24は、プリズム面が下側になっているプリズムシートである。
図20はプリズムシート24の詳細図である。
図20のプリズムシート24において、V溝によって形成されたプリズムアレイがy方向に延在し、x方向に配列している。なお、プリズムシート24は必要に応じて2枚使用してもよい。この場合は、プリズムアレイの延在方向を2枚のプリズムシートにおいて直角方向に配置する。
【0047】
プリズムシート24の寸法例は次のとおりである。プリズムシート24の厚さtpは例えば0.125mm、V溝の深さVdは例えば0,075mm、頂角θpは例えば66度、ピッチppは、例えば0.1mmである。
図20のプリズムシート24は、x方向に広がろうとする光を出射面方向、すなわち、z方向に集める作用をする。
【0048】
図20に示すプリズムシート24では、微視的に視ると、横方向のピッチppによって縦縞が繰り返し現れる。したがって、例えば、
図8の第2ルーバ60と干渉を生じてモアレを発生しやすい。これを防止するには、
図21に示すように、例えば第2ルーバ60を平面方向にφだけ回転させればよい。φの値は例えば3度乃至4度、つまり、3度以上でよい。この場合、第1ルーバも同じようにφだけ回転する。
【0049】
図20のプリズムシートにおけるプリズムアレイはy方向に延在しているが、プリズムアレイがx方向に延在する場合もある。この場合は、例えば
図8の第1ルーバ50との干渉が問題となるが、上記の説明と同様にして対策することが出来る。なお、ルーバ50、60を回転させる代わりに、プリズムシートを回転させてもよい。
【0050】
ところで、ルーバは、実施例2で説明する、液晶レンズの電極とも干渉を生じてモアレを発生する場合がある。この場合も、例えば、ルーバブレード70の延在方向を、液晶レンズの電極の延在方向と、平面で視て、3度乃至4度、つまり、3度以上回転させることによって、モアレを軽減することが出来る。あるいは、後で詳述するように、液晶レンズの電極の延在方向を同様な角度、回転させることによってモアレを軽減することが出来る。
第3の例は、第1基板101に形成された第1電極102のみによって液晶を駆動する、横電界方式の液晶レンズである。すなわち、隣接するストライプ状の第1電極102間の電位差によって液晶分子301が配向し、これによってレンズが形成される。第1電極102のストライプ電極間における電圧を種々変化させることによって、種々のレンズを構成することが出来る。