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特開2022-126199表面にシリコーン凸部を形成した生地及びその製造方法
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  • 特開-表面にシリコーン凸部を形成した生地及びその製造方法 図1
  • 特開-表面にシリコーン凸部を形成した生地及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126199
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】表面にシリコーン凸部を形成した生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/643 20060101AFI20220823BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220823BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20220823BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220823BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20220823BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20220823BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
D06M15/643
B32B3/30
B32B27/00 101
B32B27/12
B05D7/24 302Y
B05D7/00 G
B05D3/02 Z
B05D5/06 104K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024118
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】304048584
【氏名又は名称】丸和ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】木田 博久
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4L033
【Fターム(参考)】
4D075BB24Z
4D075BB26Z
4D075BB37Z
4D075CA15
4D075CB27
4D075DA04
4D075DB20
4D075DC03
4D075DC13
4D075DC38
4D075EA19
4D075EA33
4D075EB43
4F100AK52B
4F100BA02
4F100DC21B
4F100DC27B
4F100DD04B
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100DG13A
4F100DG15A
4F100EH46B
4F100EJ08B
4F100EJ43B
4F100GB08
4F100GB33
4F100GB72
4F100GB74
4F100HB13B
4F100HB31B
4F100JB13B
4L033AB04
4L033AC15
4L033CA59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】油性タイプのシリコーンからなる凸部を表面に形成した生地及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面に複数の凸部2が形成されている生地であって、凸部2は油性シリコーンが熱硬化されたシリコーン樹脂であることを特徴とする。望ましくは、複数の凸部2は、生地表面にドットパターン状に形成されており、更に望ましくは、凸部2は、大きさ1~8mmの球面凸形状である。また、生地の製造方法は、油性の液状シリコーンを生地表面にドット状にパターン形成するステップと、加熱乾燥させるステップとを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の凸部が形成されている生地であって、
前記凸部は油性シリコーンが熱硬化されたシリコーン樹脂であることを特徴とする生地。
【請求項2】
前記複数の凸部は、生地表面にドットパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の生地。
【請求項3】
前記凸部は、大きさ1~8mmの球面凸形状であることを特徴とする請求項2記載の生地。
【請求項4】
前記生地は、織物,編物及び不織布のうち、いずれかであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の生地。
【請求項5】
油性の液状シリコーンを生地表面にドット状にパターン形成するステップと、
加熱乾燥させるステップとを有することを特徴とする生地の製造方法。
【請求項6】
前記ドット状にパターンを形成するステップは、スクリーン印刷によるものであることを特徴とする請求項5記載の生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にシリコーンからなる凸部を形成した機能性を有する生地に関する。
【背景技術】
【0002】
各種布地素材の表面にドット状に凸部を形成した生地を用いて、各種製品を作ることで滑り止め等の機能を付与することが提案されている。
本発明者は、先に水性エマルジョンタイプのシリコーンを用いた生地の製造方法を提案している(特許文献1)。
上記特許技術は、シリコーンを主成分とする凸部を生地の表面に形成したことで、滑り止めや身体へのフィット感が付与される点で優れた機能を有している。
しかし、水性エマルジョンタイプのシリコーンを用いたことにより、シリカの含有率を上げるには限界がある。
そこで本発明者は、製品に要求される機能や用途に合せて上記水性エマルジョンタイプを用いる他に、高濃度のシリカからなる凸部を形成することを検討した結果、本発明に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6810457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、油性タイプのシリコーンからなる凸部を表面に形成した生地及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る生地は、表面に複数の凸部が形成されている生地であって、前記凸部は油性シリコーンが熱硬化されたシリコーン樹脂であることを特徴とする。
【0006】
本発明において油性シリコーンとは、Si-O-Siのシロキサン結合を骨格として、アルキル基,アルケニル基,フェニル基等の官能基が結合していることで、熱硬化にて重合化し、シリコーン樹脂になるものをいい、硬化前の油性シリコーンは有機溶媒にて液状の状態になっている。
また、シリコーン樹脂はエラストマー性を有するシリコーンゴムも含まれる。
さらには、主剤と硬化剤とからなる、いわゆる二液タイプも含まれる。
【0007】
本発明において、生地の表面に形成されるシリコーン樹脂の凸部は、シートの座席部等に形成することで滑り止め機能を付与したり、シートの背もたれ部に形成することで身体へのフィット感や長時間使用による疲れを低減する等、あるいは敷物類に形成する等、要求される機能に合せて、いろいろな形状に形成することができる。
例えば1つの例として、前記複数の凸部は、生地表面にドットパターン状に形成されていてもよい。
この場合に、前記凸部は、大きさ1~8mmの球面凸形状であってもよい。
なお、ドットの間隔には制限がなく自由に設定してよい。
車両のシート,椅子の座部,座布団,敷物類等、その用途に合せて凸部の大きさや間隔が設定される。
滑り止めとしては、間隔は3mm~20mmがよい。
また、ドットパターンは縦横に均等に配列したものや、チドリ状に交互に配設したもののみならず、不均一のランダム配置したものや全体として模様を形成するように配置したものも本発明に含まれる。
【0008】
本発明における生地は、シリコーン樹脂の凸部の形成ができるものであれば布材,樹脂シート,ゴムシート材等、用途に応じて選択できる。
その中でも、前記生地は、織物,編物及び不織布のうち、いずれかであるのが好ましい。
【0009】
本発明に係る生地の製造方法は、油性の液状シリコーンを生地表面にドット状にパターン形成するステップと、加熱乾燥させるステップとを有することを特徴とする。
ここで加熱乾燥と表現したのは、ドット状に複数の凸部を形成した油性の液状シリコーンを硬化させるために加熱することをいう。
加熱手段としては炉でもよいが、遠赤外線等の照射により連続的に内部から加熱硬化させてもよい。
また、ドットパターンを形成する方法に制限はないが例えば、前記ドット状にパターンを形成するステップは、スクリーン印刷によるものであってもよい。
このようにすると、例えば幅が30cm以上、さらには100cm以上の幅広の生地素材にもドットが容易に形成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明における生地は、油性の液状シリコーンを原材料として表面に凸部を形成してあるので、凸部の形成に発泡剤を用いる必要がない。
また、油性シリコーンのためシリコーン本来の物性が得られやすく、無機物パウダー等の添加物の混合調整が必要でなくなる。
シリカの含有率は、硬化後において18質量%以上有している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】生地の素材にシリコーン樹脂の凸部を形成した例を示す。(a)は縦横にドットを配列した例、(b)はチドリ状に交互に配列した例を示す。
図2】本発明に係る生地の製造例を示す。(a)は複数のドット孔を形成したスクリーンと生地素材の配置関係を示し、(b)は硬化凸部の形状例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る表面にシリコーン樹脂の凸部を形成した例としてドットパターンの例を図1に示し、その製造方法を図2に示す。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下、図に基づいて代表例をを説明する。
【0013】
図1(a)は生地の素材1に間隔dからなる複数のドット状にシリコーン樹脂からなる凸部2を形成した例であり、図1(b)はチドリ状に凸部を形成した例である。
【0014】
このようなドットパターンは、生地の素材の表面にシンナー等の溶済を用いて油性シリコーンの流動性を調整し、パターン状に滴下して得ることもできる。
幅広の生地素材に一度に複数の凸部を形成するには、例えば図2に示したスクリーン印刷法が適している。
【0015】
生地の素材1の上に極く僅かな隙間dを有するようにシルクスクリーンと一般的に称されている版3を配置する。
版3には、要求されるドットの配列パターンに合せて複数の穴3aが形成されている。
版3の上に流動性を調整した油性の液状シリコーンを置き、スキージー4等のヘラにて、この液状シリコーンを引き延ばしながら版3を素材1側に押し付ける。
その後に版3を取り外すと、図2(b)に示すように液状シリコーンが、その表面張力等により球面形状になり、遠赤外線照射等の加熱乾燥工程を経て硬化される。
このような工程を経ることで、生地の素材に強固に固着された生地が得られる。
【符号の説明】
【0016】
1 素材
2 凸部
4 スキージー
図1
図2