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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126214
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20220823BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20220823BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G01J1/42 N
G01J1/02 W
G01V8/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024149
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
【テーマコード(参考)】
2G065
2G105
【Fターム(参考)】
2G065AB02
2G065BA13
2G065BD06
2G065DA06
2G065DA15
2G065DA20
2G105AA01
2G105BB16
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE01
2G105FF02
2G105FF03
2G105FF15
2G105GG03
2G105HH01
2G105JJ05
(57)【要約】
【課題】赤外線を用いて検知領域における物体の存否を判定するに当たり、誤判定の発生を抑制して、適切な判定を行うこと。
【解決手段】赤外線を検知領域に向けて投光する赤外線投光部31と、検知領域の方向から入射する赤外線を検出可能な赤外線検出部32と、検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を変更設定する比較基準値変更設定部33と、その比較基準値変更設定部33にて変更設定された比較基準値と赤外線検出部32の検出値とを比較して物体の存否を判定する判定部34とが備えられている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線を検知領域に向けて投光する赤外線投光部と、
検知領域の方向から入射する赤外線を検出可能な赤外線検出部と、
検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を変更設定する比較基準値変更設定部と、
その比較基準値変更設定部にて変更設定された比較基準値と前記赤外線検出部の検出値とを比較して物体の存否を判定する判定部とが備えられている物体検出装置。
【請求項2】
前記比較基準値変更設定部は、検知領域の周囲温度が高いほど物体が存在すると判定する判定感度を高くする形態で、検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を変更設定するように構成されている請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記赤外線検出部は、検知領域の方向から入射する赤外線の検出値を増幅部にて増幅させる状態で前記判定部に検出値を出力するように構成され、
検知領域の周囲温度に応じて前記増幅部の増幅状態を変更設定する増幅状態変更設定部が備えられている請求項1又は2に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を用いて検知領域における物体の存否を判定する物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物体検出装置として、赤外線を検知領域に向けて投光する赤外線投光部と、検知領域の方向から入射する赤外線を検出可能な赤外線検出部と、赤外線検出部の検出値に基づいて、物体の存否を判定する判定部とが備えられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
検知領域にヒト等の物体が存在しなければ、赤外線投光部から投光された赤外線は、検知領域の床部等にて反射されて、赤外線検出部にて検出されるので、その赤外線の強度(赤外線量)は一定となる。それに対して、検知領域にヒト等の物体が存在すると、赤外線投光部から投光された赤外線がその物体にて反射されることになり、赤外線検出部にて検出される赤外線の強度が増大することになる。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の物体検出装置では、判定部は、赤外線検出部の検出値が増大したか否かを捉えており、赤外線検出部の検出値が設定された比較基準値よりも大きくなることで、検知領域に物体が存在すると判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-155956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような物体検出装置では、赤外線を用いているので、赤外線検出部が検出する赤外線の強度(赤外線量)が検知領域の周囲温度の影響を受ける。例えば、周囲温度が高くなっていると、検知領域の床部等にて反射されて、赤外線検出部にて検出される赤外線の強度も大きくなる。このような場合には、赤外線検出部にて検出される赤外線の強度は、検知領域の床部等にて反射された場合と検知領域に存在する物体にて反射された場合との間で大差がなくなる。
【0007】
よって、周囲温度が高い場合には、赤外線検出部が検出する赤外線の強度が、検知領域に存在する物体にて反射されたときでも、検知領域の床部等にて反射されたときに対して、大きく変化せずに、検知領域に物体が存在しないと誤って判定してしまう等、誤判定を招く可能性がある。
【0008】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、赤外線を用いて検知領域における物体の存否を判定するに当たり、誤判定の発生を抑制して、適切な判定を行うことができる物体検出装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1特徴構成は、赤外線を検知領域に向けて投光する赤外線投光部と、
検知領域の方向から入射する赤外線を検出可能な赤外線検出部と、
検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を変更設定する比較基準値変更設定部と、
その比較基準値変更設定部にて変更設定された比較基準値と前記赤外線検出部の検出値とを比較して物体の存否を判定する判定部とが備えられている点にある。
【0010】
本構成によれば、検知領域の周囲温度が変化しても、比較基準値変更設定部が、その周囲温度に応じた比較基準値(閾値)に変更設定するので、周囲温度に対応した比較基準値を設定することができる。これにより、判定部は、比較基準値変更設定部にて変更設定された比較基準値と赤外線検出部の検出値とを比較することで、周囲温度の変化にかかわらず、物体の存否を適切に判定することができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記比較基準値変更設定部は、検知領域の周囲温度が高いほど物体が存在すると判定する判定感度を高くする形態で、検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を変更設定するように構成されている点にある。
【0012】
本構成によれば、検知領域の周囲温度が高くなれば、比較基準値変更設定部が、物体が存在すると判定する判定感度を高くするように、比較基準値を変更設定する。これにより、周囲温度が高くなって、検知領域に物体が存在する場合と存在しない場合との間で赤外線検出部の検出値に大きな差が生じていなくても、物体が存在すると判定する検知感度が高くなり、判定部が、検知領域に物体が存在すると適切に判定することができる。このように、検知領域の周囲温度に応じて比較基準値を適切に変更設定することができ、検知領域における物体の存否を正確に判定することができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記赤外線検出部は、検知領域の方向から入射する赤外線の検出値を増幅部にて増幅させる状態で前記判定部に検出値を出力するように構成され、
検知領域の周囲温度に応じて前記増幅部の増幅状態を変更設定する増幅状態変更設定部が備えられている点にある。
【0014】
上述の如く、検知領域の周囲温度が高くなれば、検知領域に物体が存在する場合と存在しない場合との間で赤外線の強度の差が小さくなる。そこで、本構成によれば、増幅状態変更設定部が、例えば、検知領域の周囲温度が高くなれば、増幅部の増幅率を増大させる形態で、検知領域の周囲温度に応じて増幅部の増幅状態を変更設定することができる。これにより、検知領域に物体が存在する場合と存在しない場合との間で赤外線の強度の差が小さくなるときには、赤外線検出部の検出値を、増幅部の増幅率を増大させて判定部に出力するので、判定部は、比較基準値の比較対象として、増大させた増幅率にて増幅された赤外線検出部の検出値を用いて、検知領域における物体の存否を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】音声出力システムの全体概略構成を示す図
図2】警報装置の概略構成を示す図
図3】閾値変更設定部にて周囲温度に応じて閾値を変更設定する場合に、周囲温度と閾値との関係をグラフ
図4】赤外線検出部における検出回路の概略構成を示す図
図5】音声出力システムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る物体検出装置を適用した音声出力システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
この音声出力システムは、防災情報や気候情報等の音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生すると、そのイベントに対応する音声データを音声出力することで、天候情報や防災情報等の各種の情報を利用者に伝達するものである。
【0017】
この音声出力システム100は、図1に示すように、利用者の住居等の施設に設置される警報装置1を利用して構成しており、図2に示すように、警報装置1に音声出力部18を備えさせて、住居等の施設に居る利用者に対して、イベント内容を通知している。
【0018】
音声出力システム100は、図1に示すように、警報装置1に加えて、利用者が各種の設定や操作を行うためのスマートフォン等の端末装置2、各種の制御及び通信を行うサーバ装置3、イベントの発生等を通知するための外部装置4等が備えられている。警報装置1、端末装置2、及び、外部装置4の夫々は、インターネット等の情報通信網5を介してサーバ装置3との間で各種の情報を通信自在に構成されている。
【0019】
警報装置1は、図2に示すように、床部11と天井部12との間の室内空間を検知領域13として、天井部12や天井部12側の壁部等に配設されている。警報装置1は、監視センサ部14、人感検知部15、温湿度センサ部16、表示部17、音声出力部18、装置側制御部19、装置側記憶部20、装置側通信部21等が備えられている。
【0020】
装置側記憶部20には、警報装置1を作動させるための各種の情報が記憶されており、装置側制御部19が、装置側記憶部20に記憶されている各種の情報を用いて、警報装置1の作動状態を制御している。装置側制御部19は、装置側通信部21を介して有線通信又は無線通信により、サーバ装置3との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。
【0021】
監視センサ部14は、例えば、ガス漏れ監視センサ、CO(一酸化炭素)監視センサ、火災監視センサ等の各種のセンサが備えられ、装置側制御部19が、それらのセンサの検出情報に基づいて、ガス漏れ、CO濃度異常、火災が発生しているか否か等を監視している。
【0022】
例えば、装置側制御部19は、ガス漏れ監視センサにて検出する検出対象ガスの濃度が設定値以上となると、ガス漏れであるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等によりガス漏れ用の警報を行う。また、装置側制御部19は、CO監視センサにて検出するCO濃度が設定値以上となると、CO濃度異常であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、CO濃度異常用の警報を行う。更に、装置側制御部19は、火災監視センサにて火災により生じる煙や熱等を検出すると、火災であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、火災用の警報を行う。
【0023】
温湿度センサ部16は、検知領域13を含む台所等の室内空間の温度及び湿度を検出している。表示部17は、ランプやLEDを有し、文字情報等を表示可能な表示装置にて構成されている。音声出力部18は、例えば、スピーカ等から構成され、各種の音声データを音声出力可能に構成されている。
【0024】
サーバ装置3は、図1に示すように、サーバ側制御部41、サーバ側記憶部42、サーバ側通信部43等が備えられている。サーバ側記憶部42には、各種の情報が記憶されており、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42に記憶されている各種の情報を用いて、サーバ装置3の作動状態を制御している。サーバ側制御部41は、サーバ側通信部43を介して有線通信又は無線通信により、警報装置1や外部装置4との間で各種の送受信可能に構成されている。
【0025】
外部装置4は、防災情報や気候情報等、外部でのイベントが発生した場合に、そのイベントが発生したことをサーバ装置3に通知するように構成されている。例えば、防災情報であれば、外部装置4は、地震が発生したタイミングにてイベントが発生したとして、「地震発生」等の防災情報をサーバ装置3に通知している。また、気候情報であれば、外部装置4は、天気予報等が更新されたタイミングにてイベントが発生したとして、更新された天気予報(例えば、「今日の天気は晴れです」等)をサーバ装置3に通知している。
【0026】
サーバ装置3では、外部装置4からイベントが発生したことの通知を受けると、サーバ側制御部41が、そのイベントに対応する音声データをサーバ側記憶部42から取得し、その取得した音声データを警報装置1に送信している。これにより、警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された音声データを音声出力部18にて音声出力して、イベント内容を利用者に伝達している。
【0027】
例えば、地震が発生した場合には、外部装置4からサーバ装置3に地震が発生したことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から地震が発生したことに対応する音声データ(「地震発生」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「地震発生」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、地震が発生したことを利用者に伝達している。
【0028】
また、天気予報が更新された場合には、外部装置4からサーバ装置3に天気予報が更新されたことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から更新された天気予報に対応する音声データ(「今日の天気は晴れです」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「今日の天気は晴れです」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、更新された天気予報を利用者に伝達している。
【0029】
このようにして、音声出力システム100では、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、外部にてイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する情報を、外部装置4→サーバ装置3→警報装置1の順に通信して、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行っている。例えば、気候情報としては、天気予報に限らず、雨雲が接近したタイミングにて「雨雲の接近」を音声出力したり、気象警報が発令されたタイミングにて「気象警報発令」を音声出力することもできる。
【0030】
音声出力制御におけるイベント内容については、防災情報や気候情報に限らず、例えば、ニュースが更新されたタイミングにそのニュースに対応する音声データを音声出力したり、交通情報が更新されたタイミングにてその交通情報に対応する音声データを音声出力することもでき、各種のイベント内容を適用することができる。
【0031】
この音声出力システム100では、外部にてイベントが発生した場合だけでなく、施設の内部にてイベントが発生した場合にも、装置側制御部19等の制御部によって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行うようにしている。音声出力システム100は、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を監視している警報装置1を利用していることから、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を警報装置1にて検知した場合に、イベントが発生したとして、その監視対象事象に対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0032】
例えば、装置側制御部19は、図2に示すように、監視センサ部14の検出情報に基づいて、ガス漏れの発生を検知すると、イベントが発生したとして、「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。また、装置側制御部19は、CO濃度異常や火災の発生を検知した場合も、それらに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0033】
警報装置1には、監視センサ部14だけでなく、検知領域13を含む室内空間の温度及び湿度を検出する温湿度センサ部16が備えられている。そこで、装置側制御部19は、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて、室内空間の温度及び湿度が上昇して熱中症等が発生する可能性があるか否か、及び、室内空間の湿度が低下して乾燥状態であるか否か等、室内空間の温湿度環境が異常状態であるか否かを判定している。
【0034】
装置側制御部19は、室内空間の温湿度環境が異常状態であると判定した場合に、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。このとき、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データとしては、熱中症等を発生する可能性がある場合に、「熱中症注意」等の音声データとし、乾燥状態である場合に、「乾燥注意」等の音声データとすることができる。
【0035】
また、例えば、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データをサーバ側記憶部42や装置側記憶部20に記憶させておき、その定型文の音声データを音声出力する日時等を設定しておくことができる。これにより、サーバ側制御部41や装置側制御部19等の制御部は、設定された日時になると、イベントが発生したとして、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データを音声出力部18にて音声出力する音声出力制御を行うこともできる。
【0036】
音声出力システム100が音声出力制御を行うに当たり、イベントが発生することが前提条件となるが、音声出力制御を実行可能とする日時や時間帯等については、利用者が端末装置2を操作することで、適宜設定することもできる。
【0037】
イベントが発生するのは利用者が意図しているタイミングではないこともあり、イベントの発生に伴って、音声出力システム100が音声出力制御を行うだけでは、利用者にそのイベント内容を伝達することが難しいことがある。そこで、音声出力システム100では、検知領域13に人が存在することを確認した上で、イベントの発生に伴う音声出力制御を行うようにしている。
【0038】
音声出力システム100は、検知領域13に人が存在するか否かを確認するために、検知領域13に人が存在するか否かを検知可能な人感検知部15(物体検出装置に相当する)が備えられている。
【0039】
このようにして、音声出力システム100では、イベントが発生した状態において、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを検知した場合に、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行っている。また、音声出力制御については、イベントが発生すると、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを確認した最初のタイミングにて、音声出力制御を行うだけであり、その後、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを確認しても、音声出力制御を行わない。
【0040】
人感検知部15は、例えば、台所等の検知領域13に人が存在するか否かを検知している。人感検知部15は、赤外線を検知領域13に向けて投光する赤外線投光部31と、検知領域13の方向から入射する赤外線を検出する赤外線検出部32と、その赤外線検出部32の検出情報に基づいて、検知領域13に人が存在するか否かを判定する装置側制御部19とが備えられている。
【0041】
赤外線投光部31は、赤外線を投光可能な発光素子、その発光素子から投光される赤外線の照射範囲や照射角度等を調整可能な光学レンズ等が備えられている。赤外線検出部32は、赤外線に感度を有して、その受光した赤外線の強度に応じた電気信号を出力可能な光電変換素子等が備えられている。装置側制御部19は、赤外線検出部32から出力された検出値と閾値とを比較することで、検知領域13に人が存在するか否かを判定している。
【0042】
検知領域13に人等の物体が存在しない場合には、赤外線投光部31から投光された赤外線が、検知領域13の周囲の床部11等にて反射されて、赤外線検出部32にて検出されることになる。よって、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値は、ほぼ一定値となる。それに対して、検知領域13に人等の物体が存在する場合には、赤外線投光部31から投光された赤外線が、検知領域13に存在する人等の物体にて反射されて、赤外線検出部32にて検出されることになる。よって、赤外線検出部32にて検出される赤外線の強度が増大され、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値も増大することになる。そこで、装置側制御部19は、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値がどのように変化しているかを捉えており、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値が閾値よりも大きくなると、検知領域13に人が存在すると判定している。
【0043】
ちなみに、赤外線検出部32は、設定周期(例えば、1秒)で、赤外線検出部32の検出値に基づく人の存否の検知動作を繰り返し行っており、設定回数(例えば、3回)連続して人の存在を検知した場合に、人の存在であると確定して、サーバ装置3等にその確定値を出力している。また、赤外線検出部32は、設定期間(例えば、1分間)連続して人の存在を検知していない場合に、人が存在しないと確定して、サーバ装置3等にその確定値を出力している。
【0044】
人感検知部15では、赤外線を用いているので、赤外線検出部32が検出する赤外線の強度が検知領域13の周囲温度の影響を受ける。例えば、周囲温度が高くなっていると、検知領域13の床部11等にて反射されて、赤外線検出部32にて検出される赤外線の強度も大きくなり、検知領域13に物体が存在する場合と存在しない場合との間で赤外線の強度の差が小さくなるので、人感検知部15の誤検知を招く可能性が生じる。
【0045】
そこで、装置側制御部19には、検知領域13の周囲温度に応じて閾値(比較基準値)を変更設定する閾値変更設定部33(比較基準値変更設定部に相当する)と、その閾値変更設定部33にて変更設定された閾値と赤外線検出部32の検出値とを比較して人の存否を判定する判定部34とが備えられている。
【0046】
閾値変更設定部33は、検知領域13の周囲温度が高いほど人が存在すると判定する判定感度を高くする形態で、検知領域13の周囲温度に応じて閾値を変更設定している。閾値変更設定部33は、温湿度センサ部16の検出情報から検知領域13の周囲温度を取得しており、図3に示すように、取得した検知領域13の周囲温度が第1設定範囲H1内であれば、閾値Vを第1閾値V1に設定している。また、閾値変更設定部33は、取得した検知領域13の周囲温度が第2設定範囲H2内であれば、閾値Vを第2閾値V2に設定し、取得した検知領域13の周囲温度が第2設定範囲H2よりも高いと、閾値Vを第3閾値V3に設定している。このように、閾値変更設定部33は、検知領域13の周囲温度を複数の範囲に分けて、同一範囲の周囲温度であれば同一の閾値Vとなるように、複数段階(例えば、3段階)で検知領域13の周囲温度に応じて閾値Vを変更設定している。
【0047】
このとき、閾値Vの大小関係は、第1閾値V1>第2閾値V2>第3閾値V3となっており、第1閾値V1、第2閾値V2、第3閾値V3の順に設定量だけ小さい値となるように設定されている。また、検知領域13の周囲温度については、例えば、0℃≦第1設定範囲H1≦25℃、25℃<第2設定範囲H2≦30℃と設定しているが、どのような範囲に設定するかは適宜変更が可能である。
【0048】
赤外線検出部32は、図4に示すように、検知領域13の方向から入射する赤外線を受ける集光レンズ等の光学レンズ35と、焦電効果によって受ける赤外線の変化に応じて電気信号を出力する焦電素子36と、その焦電素子36から出力される電気信号を増幅させる増幅部37と、その増幅された電気信号を赤外線検出部32の検出値として判定部34に出力する出力部38とが備えられている。このようにして、赤外線検出部32は、検知領域13の方向から入射する赤外線の検出値を増幅部37にて増幅させる状態で判定部34に検出値を出力するように構成されている。
【0049】
このとき、増幅部37での増幅率等の増幅状態を一定とするのではなく、検知領域13の周囲温度に応じて増幅部37の増幅状態を変更設定する増幅状態変更設定部39(図2参照)が備えられている。図4に示すように、増幅部37では、第1~第3増幅器37a~37cが並列状態で備えられ、第2増幅器37b及び第3増幅器37cに対しては、それらの増幅器37b、37cにて増幅を行うか否かのON状態/OFF状態を切替可能な第1~第2スイッチ部39a、39bが備えられている。これにより、増幅状態変更設定部39は、第1~第2スイッチ部39a、39bのON状態/OFF状態を切り替えて、増幅させる増幅器37a~37cの数を変更することで、増幅部37での増幅率を変更設定している。
【0050】
増幅状態変更設定部39は、検知領域13の周囲温度が高いほど増幅部37での増幅率を大きくする形態で、検知領域13の周囲温度に応じて増幅部37での増幅率を変更設定している。増幅状態変更設定部39(図2参照)は、温湿度センサ部16の検出情報から検知領域13の周囲温度を取得しており、図4(A)に示すように、取得した検知領域13の周囲温度が第1設定範囲H1内であれば、第1~第2スイッチ部39a、39bをOFF状態として、第1増幅器37aのみで増幅させて、増幅部37での増幅率を低い側の第1増幅率としている。また、増幅状態変更設定部39は、図4(B)に示すように、取得した検知領域13の周囲温度が第2設定範囲H2内であれば、第2スイッチ部39bをON状態とし且つ第3スイッチ部39cをOFF状態として、第1増幅器37a及び第2増幅器37bにて増幅させて、増幅部37での増幅率を中間の第2増幅率としている。更に、増幅状態変更設定部39は、図4(C)に示すように、取得した検知領域13の周囲温度が第2設定範囲H2よりも高いと、第2スイッチ部39b及び第3スイッチ部39cをON状態として、第1増幅器37a~第3増幅器37cの全てにて増幅させて、増幅部37での増幅率を高い側の第3増幅率としている。
【0051】
増幅状態変更設定部39は、閾値変更設定部33と同様に、検知領域13の周囲温度を複数の範囲に分けて、同一範囲の周囲温度であれば同一の増幅率となるように、複数段階(例えば、3段階)で検知領域13の周囲温度に応じて増幅部37の増幅状態を変更設定している。例えば、検知領域13の周囲温度が第2設定範囲H2内である場合には、閾値変更設定部33によって閾値を中間の第2閾値V2に変更設定し、且つ、増幅状態変更設定部39によって増幅部37の増幅率を中間の第2増幅率に変更設定している。このように、検知領域13の周囲温度に応じて、閾値変更設定部33による閾値の変更設定と増幅状態変更設定部39による増幅部37の増幅率の変更設定とを併行して行うことができる。
【0052】
増幅部37の増幅率等の増幅状態を変更設定するに当たり、増幅させる増幅器37a~37cの数を変更することで、増幅部37での増幅率を変更設定しているが、この構成に限るものではなく、増幅部37の増幅率等の増幅状態を変更設定するための構成を適宜変更することができる。例えば、増幅率の異なる複数の増幅器が備えられ、どの増幅器にて増幅させるかを選択することで、増幅部37の増幅率を変更設定することもできる。また、回路構成についても、図4では、複数の第1~第3増幅器37a~37cを並列状態で備えたものを例示したが、その他の回路構成を採用することもでき、適宜変更が可能である。
【0053】
以下、図5のフローチャートに基づいて、音声出力システム100の動作について説明する。
音声出力システム100は、図5に示すように、イベントが発生した状態において、閾値変更設定部33が、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて検知領域13の周囲温度を取得して、その周囲温度に応じて閾値を変更設定している(ステップ#1、ステップ#2)。また、増幅状態変更設定部39が、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて検知領域13の周囲温度を取得して、その周囲温度に応じて増幅部37での増幅状態を変更設定している(ステップ#3)。
【0054】
閾値変更設定部33による閾値の変更設定、及び、増幅状態変更設定部39による増幅部37での増幅状態の変更設定を行った上で、判定部34が、閾値変更設定部33にて変更設定された閾値と赤外線検出部32の検出値とを比較して人の存否を判定している(ステップ#4)。赤外線検出部32の検出値が閾値よりも大きくなり、判定部34にて検知領域13に人が存在すると判定した場合に、音声出力システム100は、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、音声出力制御を行う(ステップ#4のYesの場合、ステップ#5)。
【0055】
それに対して、判定部34にて検知領域13に人が存在しないと判定した場合に、音声出力システム100は、音声出力制御の実行を禁止している(ステップ#4のNoの場合、ステップ#6)。
【0056】
このように、音声出力システム100は、イベントが発生した場合に、検知領域13に人が存在することを判定部34にて確認した上で、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、そのイベント内容に対応する音声データを出力する音声出力制御を実行可能である。
【0057】
しかしながら、イベント内容については、各種のものがあり、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず、音声出力部18にて音声出力すべきイベント内容も含まれている。よって、全てのイベント内容について、一律に、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力する必要はなく、かえって不都合を生じる場合もある。
【0058】
そこで、イベント内容によって、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力すべきものと、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず音声出力すべきものとに区分けするように、予め設定されている。例えば、防災情報や気象警報等、利用者に早く伝達するべき緊急性の高いものは、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず音声出力すべきものとして区分け設定し、天気予報等、利用者に伝達するべき緊急性の低いものは、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力すべきものとして区分け設定しておくことができる。
【0059】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0060】
(1)上記実施形態では、図5に示すように、閾値変更設定部33による閾値の変更設定、及び、増幅状態変更設定部39による増幅部37での増幅状態の変更設定を行うタイミングを、イベントが発生したタイミングとしているが、例えば、人感検知部15にて検知領域13に人の存否を検知する動作を行う手前のタイミングとしたり、また、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて、検知領域13の周囲温度が変化したことを検知したタイミングとすることもでき、どのようなタイミングとするかは適宜変更が可能である。
【0061】
(2)上記実施形態では、閾値変更設定部33及び増幅状態変更設定部39を装置側制御部19に備えているが、例えば、サーバ側制御部41に備えることもでき、警報装置1とは別の装置に備えることもできる。
【0062】
(3)上記実施形態では、閾値変更設定部33が、検知領域13の周囲温度を複数の範囲に分けて、同一範囲の周囲温度であれば同一の閾値となるように、複数段階(例えば、3段階)で検知領域13の周囲温度に応じて閾値を変更設定しているが、検知領域13の周囲温度との関係で、閾値をどのように変更設定するかは適宜変更することができる。例えば、検知領域13の周囲温度が高くなればなるほど、閾値を小さくする相対関係を用いることもできる。
【0063】
(4)上記実施形態では、増幅状態変更設定部39が、検知領域13の周囲温度を複数の範囲に分けて、同一範囲の周囲温度であれば同一の増幅率となるように、複数段階(例えば、3段階)で検知領域13の周囲温度に応じて増幅部37の増幅状態を変更設定しているが、検知領域13の周囲温度との関係で、増幅部37の増幅状態をどのように変更設定するかは適宜変更することができる。例えば、検知領域13の周囲温度が高くなればなるほど、増幅部37の増幅を大きくする相対関係を用いることもできる。
【0064】
(5)上記実施形態では、検知領域13の周囲温度に応じて、閾値変更設定部33による閾値の変更設定と増幅状態変更設定部39による増幅部37の増幅率の変更設定とを併行して行うようにしているが、閾値変更設定部33による閾値の変更設定と増幅状態変更設定部39による増幅部37の増幅率の変更設定とを個別に行うこともできる。例えば、検知領域13の周囲温度が同一温度でも、閾値変更設定部33による閾値の変更設定を行い、増幅状態変更設定部39による増幅部37の増幅率の変更設定を行わないようにすることもできる。
【符号の説明】
【0065】
15 人感検知部(物体検出装置)
31 赤外線投光部
32 赤外線検出部
33 閾値変更設定部(比較基準値変更設定部)
34 判定部
37 増幅部
39 増幅状態変更設定部
図1
図2
図3
図4
図5