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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126215
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】音声出力システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20220823BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220823BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G08B23/00 520D
H04M11/00 301
G06F3/16 540
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024150
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】松村 圭祐
【テーマコード(参考)】
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD02
5C087DD04
5C087DD07
5C087DD31
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG10
5C087GG66
5C087GG84
5C087GG85
5K201AA05
5K201BA02
5K201CC10
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED08
5K201ED09
5K201EF09
(57)【要約】
【課題】イベント内容を適切に利用者に伝達すること。
【解決手段】音声を出力する音声出力部と、音声出力部にて音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する音声出力を行うように、音声出力部を作動させる音声出力制御を行う制御部41と、その音声出力制御を行った後に、その音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作が行われたか否かを判定する確認動作判定部61と、その確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における音声出力部の音声出力状態を変更設定する音声出力状態変更設定部62とが備えられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する音声出力を行うように、前記音声出力部を作動させる音声出力制御を行う制御部と、
その音声出力制御を行った後に、その音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作が行われたか否かを判定する確認動作判定部と、
その確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における前記音声出力部の音声出力状態を変更設定する音声出力状態変更設定部とが備えられている音声出力システム。
【請求項2】
前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力の音量を増大側に変更設定するように構成されている請求項1に記載の音声出力システム。
【請求項3】
前記音声出力状態変更設定部は、音声出力の音量を増大側に変更設定しても、前記確認動作判定部にて再度確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定するように構成されている請求項2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力の回数を増加側に変更設定するように構成されている請求項1~3の何れか1項に記載の音声出力システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記音声出力制御において、イベント内容を通知するメイン通知と、そのメイン通知を行うことを事前に通知する事前通知とを行い、
前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における事前通知での音声出力状態を変更設定するように構成されている請求項1~4の何れか1項に記載の音声出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声を出力する音声出力部が備えられた音声出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような音声出力システムでは、音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生すると、そのイベントに対応する音声データを音声出力部に出力し、音声出力部にて音声データの音声を出力することで、発生したイベント内容を利用者に伝達している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-155956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音声出力部にて音声出力を行うに当たり、その音声出力の音量や音声出力スピード等の音声出力状態については予め設定しており、その設定された音声出力状態にて音声出力を行っている。しかしながら、音声出力部による音声出力は、イベントが発生したタイミング等、利用者が意図していないタイミングにて行われることもある。それ故に、単に、音声出力部による音声出力を行うだけでは、その音声出力を利用者が聞き逃してしまい、イベント内容を利用者に伝達できない可能性がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、イベント内容を適切に利用者に伝達することができる音声出力システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する音声出力を行うように、前記音声出力部を作動させる音声出力制御を行う制御部と、
その音声出力制御を行った後に、その音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作が行われたか否かを判定する確認動作判定部と、
その確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における前記音声出力部の音声出力状態を変更設定する音声出力状態変更設定部とが備えられている点にある。
【0007】
制御部が音声出力制御を行うことで、イベントに対応する音声出力が行われたときに、利用者が、その音声出力を聞き逃すと、音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作を行う。そこで、本構成によれば、確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態変更設定部が、例えば、確認動作が行われた以降の音声出力の音量を増大させたり、確認動作が行われた以降の音声出力のスピードを遅くしたりして、確認動作が行われた以降の音声出力制御における音声出力部の音声出力状態を変更設定することができる。これにより、確認動作が行われた以降の音声出力制御では、利用者がその音声出力を聞き取りやすくなり、音声出力の聞き逃しを抑制して、イベント内容を利用者に適切に伝達できることになる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力の音量を増大側に変更設定するように構成されている点にある。
【0009】
本構成によれば、確認動作が行われた以降の音声出力制御では、音声出力の音量が増大されているので、利用者がその音声出力を聞き取りやすくなり、音声出力の聞き逃しを適切に抑制することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記音声出力状態変更設定部は、音声出力の音量を増大側に変更設定しても、前記確認動作判定部にて再度確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定するように構成されている点にある。
【0011】
確認動作が行われた以降の音声出力制御において音声出力の音量を増大させても、利用者が聞き逃してしまうと、再度、利用者が確認動作を行うことになる。そこで、本構成によれば、音声出力の音量を増大側に変更設定しても、確認動作判定部にて再度確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態変更設定部が、音声出力状態として、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定している。これにより、まず、音声出力の音量を増大側に変更設定し、次に、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定するので、音声出力状態における異なる項目を順次変更させて、利用者の聞き逃しを適切に抑制し、イベント内容を利用者により確実に伝達できることになる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力の回数を増加側に変更設定するように構成されている点にある。
【0013】
本構成によれば、確認動作が行われた以降の音声出力制御では、音声出力の回数が増加されているので、利用者がその音声出力を聞き取りやすくなり、音声出力の聞き逃しを適切に抑制することができる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記制御部は、前記音声出力制御において、イベント内容を通知するメイン通知と、そのメイン通知を行うことを事前に通知する事前通知とを行い、
前記音声出力状態変更設定部は、前記確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における事前通知での音声出力状態を変更設定するように構成されている点にある。
【0015】
本構成によれば、制御部は、音声出力制御において、メイン通知だけでなく、事前通知を行うので、利用者は、事前通知によって、その後、メイン通知が行われることを認識し易く、メイン通知の内容を聞き取りやすくなる。しかも、確認動作判定部にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態変更設定部が、例えば、事前通知の時間を長くしたり、事前通知での音声出力の内容を変更させる等、確認動作が行われた以降の音声出力制御における事前通知での音声出力状態を変更設定することができる。これにより、利用者は、事前通知をより聞き取りやすくなり、その後のメイン通知をより確実に聞き取ることができることになるので、イベント内容を利用者に適切に伝達できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】音声出力システムの全体概略構成を示す図
図2】警報装置の概略構成を示す図
図3】音声出力システムの動作を示すフローチャート
図4】第3実施形態における音声出力制御による音声出力の状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る音声出力システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
この音声出力システムは、防災情報や気候情報等の音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生すると、そのイベントに対応する音声データを音声出力することで、天候情報や防災情報等の各種の情報を利用者に伝達するものである。
【0018】
〔第1実施形態〕
この音声出力システム100は、図1に示すように、利用者の住居等の施設に設置される警報装置1を利用して構成しており、図2に示すように、警報装置1に音声出力部18を備えさせて、住居等の施設に居る利用者に対して、イベント内容を通知している。
【0019】
音声出力システム100は、図1に示すように、警報装置1に加えて、利用者が各種の設定や操作を行うためのスマートフォン等の端末装置2、各種の制御及び通信を行うサーバ装置3、イベントの発生等を通知するための外部装置4等が備えられている。警報装置1、端末装置2、及び、外部装置4の夫々は、インターネット等の情報通信網5を介してサーバ装置3との間で各種の情報を通信自在に構成されている。
【0020】
警報装置1は、図2に示すように、床部11と天井部12との間の室内空間を検知領域13として、天井部12や天井部12側の壁部等に配設されている。警報装置1は、監視センサ部14、人感検知部15、温湿度センサ部16、表示部17、音声出力部18、装置側制御部19、装置側記憶部20、装置側通信部21等が備えられている。
【0021】
装置側記憶部20には、警報装置1を作動させるための各種の情報が記憶されており、装置側制御部19が、装置側記憶部20に記憶されている各種の情報を用いて、警報装置1の作動状態を制御している。装置側制御部19は、装置側通信部21を介して有線通信又は無線通信により、サーバ装置3との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。
【0022】
監視センサ部14は、例えば、ガス漏れ監視センサ、CO(一酸化炭素)監視センサ、火災監視センサ等の各種のセンサが備えられ、装置側制御部19が、それらのセンサの検出情報に基づいて、ガス漏れ、CO濃度異常、火災が発生しているか否か等を監視している。
【0023】
例えば、装置側制御部19は、ガス漏れ監視センサにて検出する検出対象ガスの濃度が設定値以上となると、ガス漏れであるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等によりガス漏れ用の警報を行う。また、装置側制御部19は、CO監視センサにて検出するCO濃度が設定値以上となると、CO濃度異常であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、CO濃度異常用の警報を行う。更に、装置側制御部19は、火災監視センサにて火災により生じる煙や熱等を検出すると、火災であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、火災用の警報を行う。
【0024】
温湿度センサ部16は、検知領域13を含む台所等の室内空間の温度及び湿度を検出している。表示部17は、ランプやLEDを有し、文字情報等を表示可能な表示装置にて構成されている。音声出力部18は、例えば、スピーカ等から構成され、各種の音声データを音声出力可能に構成されている。
【0025】
サーバ装置3は、図1に示すように、サーバ側制御部41、サーバ側記憶部42、サーバ側通信部43等が備えられている。サーバ側記憶部42には、各種の情報が記憶されており、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42に記憶されている各種の情報を用いて、サーバ装置3の作動状態を制御している。サーバ側制御部41は、サーバ側通信部43を介して有線通信又は無線通信により、警報装置1や外部装置4との間で各種の送受信可能に構成されている。
【0026】
外部装置4は、防災情報や気候情報等、外部でのイベントが発生した場合に、そのイベントが発生したことをサーバ装置3に通知するように構成されている。例えば、防災情報であれば、外部装置4は、地震が発生したタイミングにてイベントが発生したとして、「地震発生」等の防災情報をサーバ装置3に通知している。また、気候情報であれば、外部装置4は、天気予報等が更新されたタイミングにてイベントが発生したとして、更新された天気予報(例えば、「今日の天気は晴れです」等)をサーバ装置3に通知している。
【0027】
サーバ装置3では、外部装置4からイベントが発生したことの通知を受けると、サーバ側制御部41が、そのイベントに対応する音声データをサーバ側記憶部42から取得し、その取得した音声データを警報装置1に送信している。これにより、警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された音声データを音声出力部18にて音声出力して、イベント内容を利用者に伝達している。
【0028】
例えば、地震が発生した場合には、外部装置4からサーバ装置3に地震が発生したことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から地震が発生したことに対応する音声データ(「地震発生」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「地震発生」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、地震が発生したことを利用者に伝達している。
【0029】
また、天気予報が更新された場合には、外部装置4からサーバ装置3に天気予報が更新されたことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から更新された天気予報に対応する音声データ(「今日の天気は晴れです」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「今日の天気は晴れです」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、更新された天気予報を利用者に伝達している。
【0030】
このようにして、音声出力システム100では、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、外部にてイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する情報を、外部装置4→サーバ装置3→警報装置1の順に通信して、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行っている。例えば、気候情報としては、天気予報に限らず、雨雲が接近したタイミングにて「雨雲の接近」を音声出力したり、気象警報が発令されたタイミングにて「気象警報発令」を音声出力することもできる。
【0031】
音声出力制御におけるイベント内容については、防災情報や気候情報に限らず、例えば、ニュースが更新されたタイミングにそのニュースに対応する音声データを音声出力したり、交通情報が更新されたタイミングにてその交通情報に対応する音声データを音声出力することもでき、各種のイベント内容を適用することができる。
【0032】
この音声出力システム100では、外部にてイベントが発生した場合だけでなく、施設の内部にてイベントが発生した場合にも、装置側制御部19等の制御部によって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行うようにしている。音声出力システム100は、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を監視している警報装置1を利用していることから、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を警報装置1にて検知した場合に、イベントが発生したとして、その監視対象事象に対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0033】
例えば、装置側制御部19は、図2に示すように、監視センサ部14の検出情報に基づいて、ガス漏れの発生を検知すると、イベントが発生したとして、「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。また、装置側制御部19は、CO濃度異常や火災の発生を検知した場合も、それらに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0034】
警報装置1には、監視センサ部14だけでなく、検知領域13を含む室内空間の温度及び湿度を検出する温湿度センサ部16が備えられている。そこで、装置側制御部19は、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて、室内空間の温度及び湿度が上昇して熱中症等が発生する可能性があるか否か、及び、室内空間の湿度が低下して乾燥状態であるか否か等、室内空間の温湿度環境が異常状態であるか否かを判定している。
【0035】
装置側制御部19は、室内空間の温湿度環境が異常状態であると判定した場合に、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。このとき、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データとしては、熱中症等を発生する可能性がある場合に、「熱中症注意」等の音声データとし、乾燥状態である場合に、「乾燥注意」等の音声データとすることができる。
【0036】
また、例えば、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データをサーバ側記憶部42や装置側記憶部20に記憶させておき、その定型文の音声データを音声出力する日時等を設定しておくことができる。これにより、サーバ側制御部41や装置側制御部19等の制御部は、設定された日時になると、イベントが発生したとして、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データを音声出力部18にて音声出力する音声出力制御を行うこともできる。
【0037】
音声出力システム100が音声出力制御を行うに当たり、イベントが発生することが前提条件となるが、音声出力制御を実行可能とする日時や時間帯等については、利用者が端末装置2を操作することで、適宜設定することもできる。
【0038】
イベントが発生するのは利用者が意図しているタイミングではないこともあり、イベントの発生に伴って、音声出力システム100が音声出力制御を行うだけでは、利用者にそのイベント内容を伝達することが難しいことがある。そこで、音声出力システム100では、検知領域13に人が存在することを確認した上で、イベントの発生に伴う音声出力制御を行うようにしている。
【0039】
音声出力システム100は、検知領域13に人が存在するか否かを確認するために、検知領域13に人が存在するか否かを検知可能な人感検知部15(物体検出装置に相当する)が備えられている。
【0040】
このようにして、音声出力システム100では、イベントが発生した状態において、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを検知した場合に、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行っている。また、音声出力制御については、イベントが発生すると、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを確認した最初のタイミングにて、音声出力制御を行うだけであり、その後、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを確認しても、音声出力制御を行わない。
【0041】
人感検知部15は、例えば、台所等の検知領域13に人が存在するか否かを検知している。人感検知部15は、赤外線を検知領域13に向けて投光する赤外線投光部31と、検知領域13の方向から入射する赤外線を検出する赤外線検出部32と、その赤外線検出部32の検出情報に基づいて、検知領域13に人が存在するか否かを判定する装置側制御部19とが備えられている。
【0042】
赤外線投光部31は、赤外線を投光可能な発光素子、その発光素子から投光される赤外線の照射範囲や照射角度等を調整可能な光学レンズ等が備えられている。赤外線検出部32は、赤外線に感度を有して、その受光した赤外線の強度に応じた電気信号を出力可能な光電変換素子等が備えられている。装置側制御部19は、赤外線検出部32から出力された検出値と閾値とを比較することで、検知領域13に人が存在するか否かを判定している。
【0043】
検知領域13に人等の物体が存在しない場合には、赤外線投光部31から投光された赤外線が、検知領域13の周囲の床部11等にて反射されて、赤外線検出部32にて検出されることになる。よって、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値は、ほぼ一定値となる。それに対して、検知領域13に人等の物体が存在する場合には、赤外線投光部31から投光された赤外線が、検知領域13に存在する人等の物体にて反射されて、赤外線検出部32にて検出されることになる。よって、赤外線検出部32にて検出される赤外線の強度が増大され、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値も増大することになる。そこで、装置側制御部19は、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値がどのように変化しているかを捉えており、赤外線検出部32にて検出される赤外線の検出値が閾値よりも大きくなると、検知領域13に人が存在すると判定している。
【0044】
ちなみに、赤外線検出部32は、設定周期(例えば、1秒)で、赤外線検出部32の検出値に基づく人の存否の検知動作を繰り返し行っており、設定回数(例えば、3回)連続して人の存在を検知した場合に、人の存在であると確定して、サーバ装置3等にその確定値を出力している。また、赤外線検出部32は、設定期間(例えば、1分間)連続して人の存在を検知していない場合に、人が存在しないと確定して、サーバ装置3等にその確定値を出力している。
【0045】
音声出力システム100が音声出力制御を行うに当たり、その音声出力の音量や音声出力スピード等の音声出力状態については予め設定しており、その設定された音声出力状態にて音声出力を行っている。しかしながら、その音声出力を利用者が聞き逃してしまうこともあることから、そのための対策が講じられている。
【0046】
音声出力システム100が音声出力制御を行うことで、イベントに対応する音声出力が行われたときに、利用者が、その音声出力を聞き逃すと、音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作を行う。そこで、音声出力システム100では、図1に示すように、サーバ側制御部41に、確認動作の有無を判定する確認動作判定部61と、音声出力状態を変更設定可能な音声出力状態変更設定部62とが備えられている。
【0047】
確認動作判定部61は、音声出力制御を行った後の設定時間(例えば、5分程度)が経過するまでに、その音声出力制御における音声出力の内容を確認する確認動作が行われたか否かを判定している。確認動作については、例えば、利用者が端末装置2を操作することで、サーバ装置3から取得した音声出力の内容等を示す履歴画面を閲覧する動作を行うことから、この履歴画面を閲覧する動作を確認動作としている。
【0048】
履歴画面の閲覧を行う場合には、端末装置2から履歴画面の閲覧要求が発生し、サーバ側制御部41が、その要求に基づいて、サーバ側記憶部42に記憶されている履歴情報を読み出して端末装置2に送信し、端末装置2では、その送信された履歴情報を表示部に表示させて、利用者に履歴画面を閲覧可能としている。
【0049】
音声出力制御を行うに当たり、外部にてイベントが発生した場合には、外部装置4からイベント発生の通知を受けると、サーバ側制御部41が、どのような内容のイベントが発生したのか、どのような内容の音声データを音声出力したかのコンテンツを把握している。また、施設の内部においてイベントが発生した場合には、装置側制御部19が、どのような内容のイベントが発生したのか、どのような内容の音声データを音声出力したかのコンテンツを把握しているが、そのコンテンツに関する情報をサーバ装置3に通信している。よって、サーバ側制御部41が、外部にて発生したイベント及び施設の内部にて発生したイベントの両方について、どのような内容のイベントが発生し、どのような内容の音声データを音声出力したかのコンテンツを把握している。
【0050】
確認動作判定部61は、単純に、履歴画面の閲覧回数を計数するのではなく、サーバ側制御部41が把握している情報に基づいて、履歴画面の閲覧回数を、イベント内容や音声データ等のコンテンツごとに分けて集計している。そして、確認動作判定部61は、異なるコンテンツについて履歴画面の閲覧回数が連続して設定回数(例えば、2回)以上となっても、確認動作が行われたと判定せず、同一コンテンツについて履歴画面の閲覧回数が連続して設定回数以上となれば、確認動作が行われたと判定している。
【0051】
例えば、天気予報が更新された場合には、更新された天気予報に対応する音声データが音声出力される。このとき、履歴画面の閲覧が行われると、天気予報が更新されたというイベント内容のコンテンツについての閲覧回数がカウントアップされる。次に天気予報とは別の内容のイベントが発生したときに、そのイベント内容に対応する音声データが音声出力した後、再度、履歴画面の閲覧が行われても、イベント内容のコンテンツが異なるので、確認動作判定部61は確認動作が行われたと判定しない。
【0052】
それに対して、次に天気予報が更新されるという同一内容のイベントが発生したときに、その更新された天気予報に対応する音声データが音声出力した後、再度、履歴画面の閲覧が行われると、天気予報が更新されたというイベント内容の同一コンテンツについての履歴画面の閲覧回数が連続して設定回数以上となり、確認動作判定部61は確認動作が行われたと判定している。
【0053】
音声出力状態変更設定部62は、確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における音声出力部18の音声出力状態を変更設定している。音声出力状態については、予め初期状態が設定されており、その初期状態がサーバ側記憶部42に記憶されているので、音声出力状態変更設定部62は、サーバ側記憶部42に記憶されている初期状態を変更設定した変更状態に更新して、更新後の変更状態をサーバ側記憶部42に記憶させている。
【0054】
ここで、初期状態について、イベント内容の全てにおいて、同一の音声出力状態が設定されているのではなく、イベント内容によって異なる音声出力状態が初期状態として設定されている。例えば、音声出力の音量について、ガス漏れやCO濃度異常等のイベント内容では、初期状態で大きい側の大音量(例えば、70dB)が設定され、地震発生や避難指示等の緊急を要するイベント内容では、初期状態で中間の中間音量(例えば、66dB)が設定され、その他のイベント内容では、小さい側の小音量(例えば、63dB)が設定されている。
【0055】
音声出力状態変更設定部62は、まず、音声出力状態として、音声出力の音量を増大側に変更設定し、音声出力の音量を増大側に変更設定しても、確認動作判定部61にて再度確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定するように構成されている。このように、まず、音声出力の音量を増大側に変更設定し、次に、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定することで、音声出力状態における異なる項目を順次変更させて、利用者の聞き逃しを適切に抑制している。
【0056】
以下、音声出力システム100の動作について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
音声出力システム100は、イベントが発生した状態において、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを検知した場合に、音声出力状態の変更設定が有るか否かを判定している(ステップ#1のYesの場合、ステップ#2のYesの場合、ステップ#3)。
【0057】
音声出力状態の変更設定が無ければ、予め設定された初期状態を音声出力状態として、音声出力制御を行う(ステップ#3のNoの場合、ステップ#4)。逆に、音声出力状態の変更設定があれば、変更設定された変更状態を音声出力状態として、音声出力状態として、音声出力制御を行う(ステップ#3のYesの場合、ステップ#5)。
【0058】
音声出力状態については、音声出力状態の変更設定がされていない初期状態であっても、音声出力状態の変更設定がされている変更状態であっても、サーバ側記憶部42に記憶されている。よって、音声出力制御を行う際に、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42に記憶されている初期状態又は変更状態を読み出して、音声データに関連付けて警報装置1に送信し、装置側制御部19が、音声データに関連付けられた初期状態又は変更状態を音声出力状態として、音声出力部18による音声出力を行っている。
【0059】
音声出力システム100は、人感検知部15にて検知領域13に人が存在することを検知していない場合に、音声出力制御の実行を禁止している(ステップ#2のNoの場合、ステップ#6)。
【0060】
音声出力制御を行った後の設定時間(例えば、5分程度)が経過するまでに、確認動作判定部61が、確認動作が行われたか否かを判定している(ステップ#7)。確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力の音量を変更設定していなければ、音声出力状態変更設定部62は、音声出力状態として、音声出力の音量を設定量だけ増大側に変更設定している(ステップ#7のYesの場合、ステップ#8のNoの場合、ステップ#9)。このとき、音声出力状態変更設定部62は、音声出力状態について、音声出力の音量を設定量だけ増大側に変更設定した変更状態としてサーバ側記憶部42に記憶している。
【0061】
確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力の音量を変更設定していれば、音声出力状態変更設定部62は、音声出力状態として、音声出力のスピードを設定スピードだけ遅くする側に変更設定している(ステップ#7のYesの場合、ステップ#8のYesの場合、ステップ#10)。このとき、音声出力状態変更設定部62は、既に音声出力の音量を設定量だけ増大側に変更設定しているので、音声出力状態について、音声出力の音量を設定量だけ増大側に変更設定し且つ音声出力のスピードを設定スピードだけ遅くする側に変更設定した変更状態としてサーバ側記憶部42に記憶している。
【0062】
このように、音声出力システム100は、イベントが発生した場合に、検知領域13に人が存在することを人感検知部15にて確認した上で、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、そのイベント内容に対応する音声データを出力する音声出力制御を実行可能である。
【0063】
しかしながら、イベント内容については、各種のものがあり、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず、音声出力部18にて音声出力すべきイベント内容も含まれている。よって、全てのイベント内容について、一律に、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力する必要はなく、かえって不都合を生じる場合もある。
【0064】
そこで、イベント内容によって、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力すべきものと、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず音声出力すべきものとに区分けするように、予め設定されている。例えば、防災情報や気象警報等、利用者に早く伝達するべき緊急性の高いものは、検知領域13に人が存在するか否かにかかわらず音声出力すべきものとして区分け設定し、天気予報等、利用者に伝達するべき緊急性の低いものは、検知領域13に人が存在することを確認した上で音声出力すべきものとして区分け設定しておくことができる。
【0065】
また、音声出力状態について、イベント内容によって異なる初期状態が設定されているので、音声出力状態変更設定部62にて音声出力状態を変更設定するイベント内容を予め設定しておくこともできる。例えば、ガス漏れやCO濃度異常等のイベント内容では、初期状態で大きい側の大音量(例えば、70dB)が設定されているので、ガス漏れ、CO濃度異常及び火災のイベント内容については、音声出力状態変更設定部62による音声出力状態の変更設定を禁止し、それ以外のイベント内容については、音声出力状態変更設定部62による音声出力状態の変更設定を行うように設定しておくことができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態は、音声出力状態変更設定部62にて変更設定する音声出力状態についての別実施形態である。以下、第2実施形態における音声出力状態変更設定部62にて変更設定する音声出力状態を中心に説明するが、その他の構成については第1実施形態と同様であるので、同符号を記す等によりその説明は省略する。
【0067】
第1実施形態では、確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態変更設定部62は、まず、音声出力状態として、音声出力の音量を増大側に変更設定し、音声出力の音量を増大側に変更設定しても、確認動作判定部61にて再度確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態として、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定している。
【0068】
それに対して、この第2実施形態では、確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、音声出力状態変更設定部62は、音声出力状態として、音声出力の回数を設定回数(例えば、2回)だけ増加側に変更設定している。例えば、地震が発生したタイミングにてイベントが発生したとして、「地震発生」等の防災情報を利用者に伝達するための音声出力制御を行った場合には、「地震発生」等の音声データを設定回数(例えば、2回)だけ増加させるように、音声出力状態変更設定部62が音声出力状態を変更設定している。
【0069】
〔第3実施形態〕
この第3実施形態も、第2実施形態と同様に、音声出力状態変更設定部62にて変更設定する音声出力状態についての別実施形態である。以下、第3実施形態における音声出力状態変更設定部62にて変更設定する音声出力状態を中心に説明するが、その他の構成については第1実施形態と同様であるので、同符号を記す等によりその説明は省略する。
【0070】
第1実施形態では、イベントが発生すると、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部によって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力する音声出力制御を行っている。ここで、第3実施形態では、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部は、図4に示すように、音声出力制御において、イベント内容を通知するメイン通知と、そのメイン通知を行うことを事前に通知する事前通知とを行っている。音声出力制御の実行により音声出力部18から音声出力がされると、検知領域13に存在する人は、事前通知を聞いた後、メイン通知を聞くことになるので、事前通知によって、その後、メイン通知が行われることを認識し易く、メイン通知の内容を聞き取りやすくなる。
【0071】
事前通知は、例えば、イベント内容を示すタイトルコール、ジングル音等とすることができ、メイン通知は、例えば、イベント内容を示す文言(例えば、「地震発生」「今日の天気は晴れです」等の文言)とすることができる、
【0072】
この第3実施形態では、音声出力状態変更設定部62が、確認動作判定部61にて確認動作が行われたと判定された場合に、それ以降の音声出力制御における事前通知での音声出力状態を変更設定している。音声出力状態変更設定部62は、事前通知での音声出力状態として、例えば、事前通知における音声出力のスピードを遅くする、事前通知の時間を設定時間だけ長くする、事前通知を行う回数を設定回数だけ増やす等、各種の手法にて事前通知での音声出力状態を変更設定することができる。
【0073】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0074】
(1)上記第1実施形態では、音声出力状態変更設定部62にて音声出力状態を変更設定するに当たり、まず、音声出力の音量を増大側に変更設定し、次に、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定しているが、音声出力状態において、音量やスピード等の複数の項目のうち、どの項目を優先させるかの優先順位や、変更設定を繰り返し行う回数等については、適宜変更が可能である。
【0075】
例えば、音声出力の音量を増大側に変更設定することを設定回数(例えば、2回)だけ繰り返し、その後、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定したり、或いは、まず、音声出力のスピードを遅くする側に変更設定し、次に、音声出力の音量を増大側に変更設定することもできる。
【0076】
(2)上記実施形態では、警報装置1を利用して音声出力システム100を構成しているが、警報装置1に限らず、例えば、音声出力部18を有する音声出力装置を備えたものであればよく、どのような装置を利用するかは適宜変更が可能である。
【0077】
(3)上記実施形態では、サーバ装置3を備えているが、例えば、装置側制御部19等にサーバ側制御部41の各種の機能を備えさせることで、サーバ装置3を省略することもできる。
【0078】
(4)上記実施形態では、確認動作を、履歴画面の閲覧としているが、利用者がイベント内容を確認するための動作であれば、各種の動作を適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
18 音声出力部
19 装置側制御部(制御部)
41 サーバ側制御部(制御部)
61 確認動作判定部
62 音声出力状態変更設定部
100 音声出力システム
図1
図2
図3
図4