(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126231
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】電子線レジスト組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/039 20060101AFI20220823BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20220823BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G03F7/039
G03F7/038 505
C08F20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024174
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三好 英恵
【テーマコード(参考)】
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AE13P
2H225AM12P
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM25P
2H225AM38P
2H225AM39P
2H225AM93P
2H225AN39P
2H225CA12
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC03
2H225CC11
2H225CC20
4J100AL03P
4J100AL08P
4J100AL08R
4J100AL09Q
4J100AL10Q
4J100AM21R
4J100AM47R
4J100BA03P
4J100BA03R
4J100BA05R
4J100BC43P
4J100BC43R
4J100CA04
4J100CA05
4J100FA03
4J100FA19
4J100GC07
4J100GC26
4J100JA38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドライエッチング耐性が良好な電子線レジストを提供する。
【解決手段】一般式(I)または(II)で表される部分構造を含む繰り返し単位を有する樹脂を含有することを特徴とする電子線レジスト組成物。
式(I)において、Q
Aは式中に示されるエステル結合を表し、R
Aは置換基を表し、n1は1~5の整数を表す。式(II)において、Q
Bは式(I)中のQ
Aで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、R
Bは置換基を表し、n2は1~5の整数を表す。但し、少なくとも1つのR
Bは水酸基を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を含む繰り返し単位を有する樹脂を含有することを特徴とする電子線レジスト組成物。
【化1】
式(I)において、Q
Aは式中に示されるエステル結合を表し、R
Aは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は前記繰り返し単位の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
【化2】
式(II)において、Q
Bは式(I)中のQ
Aで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、R
Bは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は前記繰り返し単位の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのR
Bは水酸基を表す。
【請求項2】
前記樹脂中の前記繰り返し単位の含有率が、前記樹脂中の全繰り返し単位に対し2モル%以上50モル%以下である、請求項1に記載の電子線レジスト組成物。
【請求項3】
前記繰り返し単位が、(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位、およびN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位のいずれかである、請求項1又は2に記載の電子線レジスト組成物。
【請求項4】
前記樹脂が、さらに2-ヒドロキシエチルメタクリレートを繰り返し単位として含有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電子線レジスト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエッチング耐性に優れたレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造等の分野においては、電子線リソグラフィー技術が必要とされている。電子線リソグラフィーで用いられる電子線レジストに一般的に要求される特性は、「高感度」、「高解像度」、「ドライエッチング耐性」の3点である。これらの特性を向上させるために、これまでに種々の材料が提案されてきた。例えば、ポジ型電子線レジストの代表例としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いたものが主鎖切断型レジストとして古くから知られているが、解像度は高いものの、感度が低くスループットが低いという欠点がある。そこで、高感度なポジ型電子線レジストとして、側鎖に芳香環を有し、分子量分布を1.7以下に抑えた共重合体樹脂(特許文献1)を主鎖切断型レジストとして使用する例や、アルカリ可溶のノボラック樹脂とジアゾナフキノンを混合した二成分レジスト、酸による触媒反応を利用した化学増幅型レジストなどが提案されてきた(特許文献2、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/066806号
【特許文献2】特開2005-234534号公報
【特許文献3】特開2010-181730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、これらの組成においては、ドライエッチング耐性が不十分で、選択的なエッチングが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、ドライエッチング耐性に優れた、電子線レジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は鋭意検討の結果、ベース樹脂として特定の化学構造を有する構成単位を導入した樹脂を含むレジスト組成物が上記課題を解決するために重要であることを見出した。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を含む繰り返し単位を有する樹脂を含有することを特徴とする電子線レジスト組成物である。
【化1】
式(I)において、Q
Aは式中に示されるエステル結合を表し、R
Aは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
【化2】
式(II)において、Q
Bは式(I)中のQ
Aで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、R
Bは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのR
Bは水酸基を表す。
【0008】
前記樹脂中の前記繰り返し単位の含有率が、前記樹脂中の全繰り返し単位に対し2モル%以上50モル%以下であってもよい。
【0009】
前記繰り返し単位が、(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位、およびN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位のいずれかであってもよい。
【0010】
前記樹脂が、さらに2-ヒドロキシエチルメタクリレートを繰り返し単位として含有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドライエッチング耐性に優れた電子線レジストのパターン形成が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下において、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係る電子線レジスト組成物は、ポジ型レジスト、ネガ型レジストの両方に適応可能である。ポジ型レジストとは、露光されたパターンの現像液に対する溶解性が増大し、露光されなかった部分が残存するレジストである。ネガ型レジストは、現像後に露光されたパターンの現像液に対する溶解性が低下し、現像後に露光された部分が残存するレジストである。
【0014】
本実施形態に係る電子線レジスト組成物は、下記一般式(I)または(II)で表される部分構造を含む繰り返し単位(a)を有する樹脂を含有する。
【0015】
【化3】
式(I)において、Q
Aは式中に示されるエステル結合を表し、R
Aは置換基を表し、n1は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位(a)の残部との結合部位を表し、**は式中のフェニル基との結合部位を表す。
【0016】
【化4】
式(II)において、Q
Bは式(I)中のQ
Aで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表し、R
Bは置換基を表し、n2は1~5の整数を表し、*は繰り返し単位(a)の残部との結合部位を表す。但し、少なくとも1つのR
Bは水酸基を表す。
【0017】
RAにより表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基又はエトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。n1は、上記の通り1~5の整数を表し、1~3の整数であってもよい。n1が2以上の整数の場合、複数存在するRAは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。
【0018】
QBは、上記の通り、QAで表されるエステル結合以外の連結基又は単結合を表す。QAで表されるエステル結合以外の連結基としては、例えば、-CONR-(Rは、水素原子、又はアルキル基を表す。)、アルキレン基(例えば、炭素数1~4のアルキレン基)、ウレタン結合、エーテル結合、*-O-CO-**で表されるエステル結合(**は式(II)中のフェニル基との結合部位を表す。)等が挙げられる。
【0019】
RBにより表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、炭素数1~5のアルキル基)、シクロアルキル基(例えば、炭素数3~6のシクロアルキル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)、水酸基、アセチル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン原子等が挙げられる。但し、上記の通り、少なくとも1つのRBは水酸基を表す。
【0020】
n2は、上記の通り1~5の整数を表し、あるいは1~3の整数であってもよい。n2が2以上の整数の場合、複数存在するRBは、全て同じでもよいし、全て異なっていてもよく、一部が同じであってもよい。複数のRBが全て同じである場合、RBは全て水酸基となる。
【0021】
繰り返し単位(a)は、上述した一般式(I)または(II)で表される部分構造を有するものであればよいが、例えば、(メタ)アクリレート系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、(メタ)アクリルアミド系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、N-置換マレイミド系モノマーに由来する繰り返し単位であってよく、またはスチレン系モノマーに由来する繰り返し単位であってよい 。
【0022】
繰り返し単位(a)が(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル(メタ)アクリレート、2-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート,3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-4-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4-ジ-メチル-6-tert-ブチルフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
繰り返し単位(a)が(メタ)アクリルアミド系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、N-(4-ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0024】
繰り返し単位(a)がN-置換マレイミド系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、N-置換マレイミド系モノマーとしては、例えば、4-ヒドロキシフェニルマレイミド、3-ヒドロキシフェニルマレイミド等が挙げられる。
【0025】
繰り返し単位(a)がスチレン系モノマー由来の繰り返し単位であるとき、スチレン系モノマーとしては、α-メチル-p-ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
【0026】
本実施形態において、樹脂は、繰り返し単位(a)とは異なる1種又は2種以上の繰り返し単位をさらに含有する2元又は3元以上の共重合体であることが好ましい。この場合において、樹脂中の繰り返し単位(a)の含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、2モル%以上50モル%以下の範囲であることが好ましい。樹脂中の繰り返し単位(a)の含有率が2モル%以上の場合、ドライエッチング耐性をより向上させることができる。
【0027】
樹脂を2元又は3元以上の共重合体とすることにより、密着性を向上させる機能を付与することや、レジスト膜の硬度をコントロールすることが可能となる。
【0028】
また、樹脂中の繰り返し単位(a)の含有率が50モル%以下の場合、樹脂の熱分解の抑制効果を維持しつつ、加熱時のレジストの黄変の発生や、レジストが硬くなり脆くなることを効果的に抑制することができる。同様の観点から、樹脂中の繰り返し単位(a)の含有率は、2モル%以上30モル%以下であってよく、あるいは2モル%以上20モル%以下であってよい。
【0029】
本実施形態において、樹脂が共重合体である場合に含有し得る、繰り返し単位(a)とは異なる繰り返し単位(以下において、「共重合成分」という。)としては、例えば、(メタ)アクリレート系繰り返し単位、オレフィン系繰り返し単位、ハロゲン原子含有繰り返し単位、スチレン系繰り返し単位、酢酸ビニル系繰り返し単位、ビニルアルコール系繰り返し単位等が挙げられる。
【0030】
共重合成分である(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位、水酸基(フェノール性水酸基を除く)を側鎖に有する(メタ)アクリレート系モノマー由来の繰り返し単位等が挙げられる。
【0031】
樹脂を、ポジ型レジストとして使用する場合は、メタクリレート系繰り返し単位を用いることが望ましい。メタクリレート系繰り返し単位を用いることにより、電子線を照射した箇所のみが選択的に主鎖分解し、現像時に溶解しやすくなる。この場合、樹脂中のメタクリレート系繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位の30モル%以上が好ましく、さらに好ましくは50モル%以上である。
【0032】
樹脂をネガ型レジストとして使用する場合は、アクリレート系繰り返し単位を用いることが望ましい。アクリレート系繰り返し単位を用いることにより、電子線を照射した箇所のみが選択的に架橋し、現像時に電子線が照射されなかった箇所のみが選択的に溶解しやすくなる。この場合、樹脂中のアクリレート系繰り返し単位の含有率は、全繰り返し単位の30モル%以上が好ましく、さらに好ましくは50モル%以上である。
【0033】
直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上併用してもよい。上記の中でも炭素数が1以上4以下の直鎖または分岐アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位を好適に用いることができる。
【0034】
共重合成分として、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを使用することもできる。2-ヒドロキシエチルメタクリレートを使用することで、レジストと基板との密着性を高めることが可能となる。
【0035】
共重合成分として、架橋性の官能基を有するモノマーを使用することもできる。架橋性の官能基を有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような成分を使用した場合、ネガ型レジストとして使用することができる。
【0036】
共重合成分として、メタクリル酸を使用することもできる。メタクリル酸を使用すると、アルカリ現像する際の現像液への溶解性が向上し、パターンの解像度が向上する。
【0037】
共重合成分であるオレフィン系繰り返し単位としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
共重合成分であるハロゲン原子含有繰り返し単位としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
共重合成分であるスチレン系繰り返し単位としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0040】
フェノール性水酸基以外の水酸基を側鎖に有する(メタ)アクリル系繰り返し単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル等のモノマー由来成分が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
樹脂の分子量は特に規定しないが、具体的には、重量平均分子量10万以上200万以下、好ましくは20万以上100万以下である。分子量があまり大きいと薄膜塗布する際に必要となる溶解性の良好な溶剤がなかったり、また溶液中でゲルが生成することによって、濾過できなかったりする等、均一な薄膜を得ることができなくなる。また、分子量があまり小さいと感度が低下し、また、適当な厚さの均一な薄膜を得ることが難しくなる。
【0042】
共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、および、グラフト共重合体のいずれの構造を有していてもよい。共重合体の構造がランダム共重合体であれば、製造工程が容易である。そのため、ランダム共重合体は、他の共重合体よりも好ましい。
【0043】
共重合体を得るための重合方法には、ラジカル重合を用いることができる。ラジカル重合を用いることは、工業的な生産が容易である点で好ましい。ラジカル重合の方法は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、および、懸濁重合法などであってよいが、特に溶液重合法が好ましい。溶液重合法を用いることによって、共重合体における分子量の制御が容易である。
【0044】
ラジカル重合では、上述したモノマーを重合溶剤によって希釈した後に、重合開始剤を加えてモノマーの重合を行ってもよい。重合溶剤は、例えば、エステル系溶剤、アルコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系溶剤、アミド系溶剤、および、アルコール系溶剤などであってよい。エステル系溶剤は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸t-ブチル、乳酸メチル、および、乳酸エチルなどであってよい。アルコールエーテル系溶剤は、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、および、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどであってよい。ケトン系溶剤は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、および、シクロヘキサノンなどであってよい。芳香族系溶剤は、例えば、ベンゼン、トルエン、および、キシレンなどであってよい。アミド系溶剤は、例えば、ホルムアミド、および、ジメチルホルムアミドなどであってよい。アルコール系溶剤は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、s-ブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール、および、2-メチル-2-ブタノールなどであってよい。なお、上述した重合溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0045】
ラジカル重合において、重合溶剤を使用する量は特に限定されないが、モノマーの合計を100質量部に設定する場合に、重合溶剤の使用量は、1質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
【0046】
ラジカル重合開始剤は、例えば、過酸化物およびアゾ化合物などであってよい。過酸化物は、例えば、ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、および、ジ-t-ブチルパーオキシドなどであってよい。アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスアミジノプロパン塩、アゾビスシアノバレリックアシッド(塩)、および、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]などであってよい。
【0047】
ラジカル重合開始剤の使用量は、モノマーの合計を100質量部に設定した場合に、0.0001質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.001質量部以上15質量部以下であることがより好ましく、0.005質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましい。ラジカル重合開始剤は、モノマーおよび重合溶剤に対して、重合開始前に添加されてもよいし、重合反応系中に滴下されてもよい。ラジカル重合開始剤をモノマーおよび重合溶剤に対して重合反応系中に滴下することは、重合による発熱を抑制することができる点で好ましい。
【0048】
ラジカル重合の反応温度は、ラジカル重合開始剤および重合溶剤の種類によって適宜選択される。反応温度は、製造上の容易性、および、反応制御性の観点から、60℃以上110℃以下であることが好ましい。
【0049】
本発明のレジスト組成物には、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などの添加剤を適宜、添加含有させることができる。
【0050】
特に、本実施形態においては、繰り返し単位(a)を含み、耐熱性に優れる樹脂を使用することにより、有機系添加剤の熱劣化を抑制することができる。ここで「有機系添加剤」は、炭素原子を含有する化合物から選択される添加剤であり、低分子化合物であってもよく、高分子化合物であってもよく、オリゴマーであってもよく、有機金属塩も含まれる。添加剤の具体例を表1に示す。
【0051】
【0052】
本発明のレジストを使用する際に用いられる溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸イソブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、トルエン、キシレン、1,2-ジクロロエタンなどが用いられる。
【0053】
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。すなわち、まずシリコンウェーハやガラス基板のような基板上に、上記レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、プレベークを施し、これに例えば電子線描画装置などにより、電子線を所望のマスクパターンを介して選択的に照射する。次いでこの基板を、現像液を用いて現像処理する。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
【0054】
現像液としては、露光部と未露光部とを区別し、露光部または未露光部を選択的に溶解するものであればなんでもよいが、一般には該重合体混合物すなわち未露光部に対する可溶性溶剤と不溶性溶剤との組合せの中から選ばれる。可溶性溶剤としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、プロピルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、安息香酸エチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、ジメチルセロソルブ、ジエチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ニトロメタン、ニトロエタン、1-ニトロプロパン、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。また、不溶性溶剤としてはメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、石油エーテル、水等が挙げられる。
【0055】
ついで、一般的には、上述のようにして得られたレジストパターンをマスクとして、エッチングを行い、レジストで被覆されていない部分の基板等を選択的に除去する。本発明のレジスト組成物は、特にドライエッチング耐性が向上しているため、好適に用いることができる。
【0056】
ドライエッチングの方法としては、ダウンフローエッチングやケミカルドライエッチング等の化学的エッチング;スパッタエッチングやイオンビームエッチング等の物理的エッチング;RIE(反応性イオンエッチング)等の化学的・物理的エッチングなどの公知の方法を用いることができる。
【実施例0057】
<樹脂の合成>
樹脂を17種類合成し、それぞれをP-a~P-qとした。樹脂P-a~P-qが含有する繰り返し単位の構造式を化5-1、化5-2に示す。また、それぞれの合成方法を以下に説明する。
【0058】
合成例1:樹脂P-aの合成
80質量部のシクロヘキサノンを重合溶剤として準備した。また、3質量部の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、および14質量部のメチルメタクリレート(MMA)、1質量部の4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)をアクリルモノマーとして準備した。さらに、0.22質量部の過酸化ベンゾイル(BPO)を重合開始剤として準備した。これらを攪拌装置と還流管とが設置された反応容器に入れ、反応容器に窒素ガスを導入しつつ、80℃に加熱しながら8時間にわたって攪拌および還流した。これにより、HEMAに由来する繰り返し単位およびMMAに由来する繰り返し単位およびMPhMAに由来する繰り返し単位から形成されるアクリル共重合体を含むポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液を大量のメタノールに滴下して再沈精製をおこない、室温で24時間減圧乾燥することにより、樹脂P-aを得た。
【0059】
合成例2:樹脂P-bの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-bを得た。
【0060】
合成例3:樹脂P-cの合成
合成例2に対し、メチルメタクリレート(MMA)を16.6質量部、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を0.4質量部とした以外は合成例2と同様の方法で樹脂P-cを得た。
【0061】
合成例4:樹脂P-dの合成
合成例2に対し、メチルメタクリレート(MMA)を15質量部、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート(HPMA)を2質量部とした以外は合成例2と同様の方法で樹脂P-dを得た。
【0062】
合成例5:樹脂P-eの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキシフェニルメタクリルアミド(HPMAA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-eを得た。
【0063】
合成例6:樹脂P-fの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-ヒドロキフェニルマレイミド(HPhMI)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-fを得た。
【0064】
合成例7:樹脂P-gの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,6-ジ-tert-ブチルフェニルメタクリレート(t-BuPhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-gを得た。
【0065】
合成例8:樹脂P-hの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニルメタクリレート(t-BuMPhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-hを得た。
【0066】
合成例9:樹脂P-iの合成
合成例1に対し、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびメチルメタクリレート(MMA)および4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて、4-ヒドロキシフェニルアクリレート(HPA)を14質量部、グリシジルアクリレート(GA)を6質量部使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-iを合成した。
【0067】
合成例10:樹脂P-jの合成
合成例1に対し、メチルメタクリレート(MMA)を17質量部、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)を使用しない以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-jを得た。
【0068】
合成例11:樹脂P-kの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてスチレン(St)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-kを得た。
【0069】
合成例12:樹脂P-lの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルメタクリレート(PhMA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-lを得た。
【0070】
合成例13:樹脂P-mの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルメタクリルアミド(PhMAA)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-mを得た。
【0071】
合成例14:樹脂P-nの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えてフェニルマレイミド(PhMI)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-nを得た。
【0072】
合成例15:樹脂P-oの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて4-メトキシスチレン(MSt)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-oを得た。
【0073】
合成例16:樹脂P-pの合成
合成例1に対し、4-メトキシフェニルメタクリレート(MPhMA)に替えて2,4,6-トリメチルスチレン(TMSt)を使用した以外は合成例1と同様の方法で樹脂P-pを得た。
【0074】
合成例17:樹脂P-qの合成
合成例9に対し、4-ヒドロキシフェニルアクリレート(HPA)に替えてスチレン(St)を使用した以外は合成例9と同様の方法で樹脂P-qを得た。
【0075】
【0076】
<レジスト膜の形成>
下記工程(1)~(4)の手順で実施例1~9および比較例1~7のレジスト膜を形成し、評価を実施した。
【0077】
(1)レジスト液の調液工程
(実施例1)
樹脂P‐aの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を作製し、0.1μmのテフロン(登録商標)メンブランフィルターで加圧ろ過してポジ型レジスト液とした。
【0078】
(実施例2)
樹脂P-bの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0079】
(実施例3)
樹脂P-cの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0080】
(実施例4)
樹脂P-dの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0081】
(実施例5)
樹脂P-eの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0082】
(実施例6)
樹脂P-fの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0083】
(実施例7)
樹脂P-gの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0084】
(実施例8)
樹脂P-hの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0085】
(実施例9)
樹脂P-iの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にネガ型レジスト液を調液した。
【0086】
(比較例1)
樹脂P-jの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0087】
(比較例2)
樹脂P-kの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0088】
(比較例3)
樹脂P-lの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0089】
(比較例4)
樹脂P-mの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0090】
(比較例5)
樹脂P-nの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0091】
(比較例6)
樹脂P-оの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0092】
(比較例7)
樹脂P-pの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にポジ型レジスト液を調液した。
【0093】
(比較例8)
樹脂P-qの6重量%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いたこと以外、実施例1と同様にネガ型レジスト液を調液した。
【0094】
実施例1~9、比較例1~8でそれぞれ使用した樹脂の成分を表2-1及び表2-3に示す。
【0095】
【0096】
【0097】
(2)レジスト液の塗工工程
実施例1~9および比較例1~8のレジスト液を使用し、膜厚100nmのクロム蒸着膜を有する6インチ石英ガラス基板上にスピンコートした後、120℃で30分間加熱して100nmのレジスト膜が形成された基板を得た。このような基板を2枚ずつ作製した。
【0098】
(3)電子線照射工程
(2)で作製した基板のうち1枚に対し、加速電圧50kVのポイントビームで、電子線照射をおこない、ライン:スペース=1:1のパターンを形成した。続いて、メチルイソブチルケトン/イソプロピルアルコール=85/15(容量比)に25℃にて1分浸漬した後、イソプロピルアルコールで30秒間リンスを行い、100℃で10分間加熱してポストベークをおこなった。得られたパターンを走査型電子顕微鏡により観察し、線幅50nmのライン(ライン:スペース=1:1)を解像する時の照射エネルギーを感度とした。この感度を示す照射エネルギーにより、ライン:スペース=1:1のパターンについて解像可能な最小サイズを走査型電子顕微鏡により観察して、解像度とした。結果を表3に示す。
【0099】
(4)ドライエッチング耐性の評価
(2)で作製した基板のうち1枚に対し、平行平板型リアクティブイオンエッチング装置を用いて、Cl2(50sccm)、O2(50sccm)の混合ガス中にて、温度23℃の条件でドライエッチングを行った。このときのドライエッチング選択比(=クロム蒸着膜のエッチングレート/レジスト膜のエッチングレート)を算出し、1.5以上を〇、1.5未満を×とした。結果を表3に示す。
【0100】
【0101】
実施例1~9の基板はいずれも、レジスト膜を形成する樹脂が一般式(I)または(II)で表される部分構造を有する繰り返し単位(a)を含有するため、選択比が大きく、良好なドライエッチング耐性を示した。しかし、比較例1~7の基板はいずれも、レジスト膜を形成する樹脂が繰り返し単位(a)を含有していないため、選択比が小さく、ドライエッチング耐性が不十分な結果となった。
【0102】
以上のことから、レジスト膜を形成する樹脂が繰り返し単位(a)を含有することは、レジスト膜のドライエッチング耐性を向上させるために有効であるといえる。
【0103】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。