(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126232
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】酵母の加工物及び皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9728 20170101AFI20220823BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20220823BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K8/9728
A61Q19/00
A61K8/9794
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024176
(22)【出願日】2021-02-18
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】397063833
【氏名又は名称】株式会社シーボン
(71)【出願人】
【識別番号】595134504
【氏名又は名称】株式会社テクノーブル
(72)【発明者】
【氏名】稲川 大地
(72)【発明者】
【氏名】小田 彩水
(72)【発明者】
【氏名】前橋 万里子
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 高志
(72)【発明者】
【氏名】堀住 輝男
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】羽田 容介
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA122
4C083AB032
4C083AB242
4C083AB432
4C083AB442
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC342
4C083AC402
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC782
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD272
4C083AD302
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD572
4C083AD642
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC12
4C083CC23
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD31
4C083DD33
4C083EE12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚外用剤に配合可能であり、ストレスによる皮膚の乾燥等を防ぐ有用な新規有効成分の提供。
【解決手段】サトイモ科(Araceae)オランダカイウ属(Zantedeschia)のオランダカイウ由来の酵母抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とするストレスによる表皮保湿関連因子の低下を抑制する組成物、及びこの組成物を含む皮膚外用剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サトイモ科(Araceae)オランダカイウ属(Zantedeschia)のオランダカイウ由来の酵母抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とし、ストレスによる表皮保湿関連因子の低下を抑制する組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を含む皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に配合可能な酵母又はその加工物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ストレスが皮膚に及ぼす影響についての研究が行われており、ストレスが肌荒れや乾燥肌の要因となる可能性が示唆されている。従来、肌荒れや乾燥肌を改善する様々な成分が提案されているが、ストレスによる皮膚の不健全化を改善する効果を十分に発揮する成分については知られていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、ストレスによって表皮保湿関連因子の発現が低下すること、及びサッカロマイセス属の酵母の中でも、サトイモ科(Araceae)オランダカイウ属(Zantedeschia)のオランダカイウ(学名:Zantedeschia aethiopica,別名:カラー[Calla])由来の酵母が、ストレスによる表皮保湿関連因子の発現低下を抑える効果を発揮することを新たに見出した。従来、酵母由来成分を皮膚外用剤の有効成分として用いる技術は例えば特許文献1~3により知られているが、カラー花由来の酵母が、ストレスによる表皮保湿関連因子の発現低下を抑える有効成分として有用であることは知られていなかった。
【特許文献1】特開平08-163983号
【特許文献2】特開2009-179642号
【特許文献3】特開2020-075871号
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、サトイモ科(Araceae)オランダカイウ属(Zantedeschia)のオランダカイウ由来の酵母抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とし、ストレスによる表皮保湿関連因子の発現低下を抑制する組成物である。
また、本発明は、上記組成物を含む皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、オランダカイウ由来の酵母抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥粉末を有効成分とすることで、ストレスによる表皮保湿関連因子の発現低下を抑制する効果を発揮する組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明に係る酵母抽出物が、ストレスによる表皮保湿関連因子の発現低下を抑制する効果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明で用いる酵母は、サトイモ科(Araceae)オランダカイウ属(Zantedeschia)のオランダカイウ「別名:カラー[Calla](例えば、花、蕾等)」由来の酵母である。オランダカイウ由来の酵母としては、例えば、製品評価技術基盤機構(NITE)の寄託番号(NBRC 112968)「Saccharomyces cerevisiae Meyen ex E.C. Hanse等」が挙げられる。
【0008】
酵母抽出物、或いはその濃縮物又は乾燥物は、以下のようにして調製することができる。例えば、酵母抽出物の製造方法は、酵母を培養液で培養する方法、培養した酵母を酸やアルカリで菌体成分を可溶化する加水分解法、酵母菌体内にあるタンパク質分解酵素などを利用する自己消化法、タンパク質分解酵素等の酵素剤を利用する酵素法、これらを組み合わせた方法により得ることができる。
【0009】
酵母を培養する際の炭素源は、特に限定はなく、炭素源としては、例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、ラフィノース等が挙げられる。また、炭素源に加えて、窒素源を添加することでも良く、例えば、窒素源としては、アミノ酸やペプトン等が挙げられる。
【0010】
酵母の培養温度は、25℃~40℃の範囲で、好ましくは28℃~35℃の範囲である。また、pHは、3.0~8.0の範囲で、好ましくは、3.5~7.0の範囲である。
【0011】
酵母抽出物の濃縮物は、酵母の培養液、或いは加水分解方法、酵母の自己消化法又は酵素法にて得られる液を、減圧濃縮器等で濃縮することで得ることが出来る。
【0012】
また、酵母抽出物の乾燥物は、酵母の培養液又はその濃縮液を、真空乾燥法、スプレードライ法などにより乾燥することで得ることができる。
【0013】
本発明に係る酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物は、皮膚外用剤(化粧料、医薬部外品、外用医薬品)に配合することができる。皮膚外用剤としては、例えば、乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、口紅、ファンデーション、リクイドファンデーション、メイクアッププレスパウダー、ほほ紅、白粉、洗顔料、ボディシャンプー、頭皮,頭髪用シャンプー、頭髪用コンディショナー、育毛,養毛用のシャンプー又はトニック、石けん等の清浄用化粧料、さらには浴剤等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
本発明に係る酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物の配合量は、その固形分として、基礎化粧料の場合は、0.002~5.0重量%(固形分重量%、以下同じ)の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、0.002~5.0重量%の範囲、又清浄用化粧料の場合は、0.002~20.0重量%の範囲である。また、毛髪用化粧料の場合は、固形分量として、0.0001~10.0重量%の範囲である。
【0015】
本発明に係る酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物を皮膚外用剤に利用する場合、皮膚外用剤に配合可能な成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、乳化剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、消泡剤、粉体成分、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る酵母抽出物或いはその濃縮物又は乾燥物の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分と組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0016】
ここで、油性成分としては、例えばハス油、オリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米糠油、米胚芽油、ヤシ油、カミツレ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、ベルガモット油、ローズヒップ油、アラビアコーヒーノキ種子油、ランベンダー油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、バニラ油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、イソオクタン酸セチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0017】
また、界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0018】
また、乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0019】
また、保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、チューベロース多糖体、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、NMF関連物質、加水分解コンキオリン、加水分解シルク、スフィンゴモナス培養物、スフィンゴ糖脂質、セラミド(ヒト型セラミド、ユズセラミド等)、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0020】
また、増粘剤としては、例えば、アルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、ローストビーンガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、マスチック樹脂、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0021】
また、防腐・殺菌剤としては、例えば、尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、ポリリン酸、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。
【0022】
また、粉体成分としては、例えば、セリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0023】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0024】
また、消泡剤とは、例えば、エタノール、イソプロパノール、ジシロキサン、ジメチルポリシクロサン、ジメチコンケイ酸シリカ、トリシロキサン、シリル化シリカ、ジメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、DPGイソボルニルエーテル等がある。
【0025】
また、抗酸化剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、アスタキサンチン、ムラサキシキブの抽出物、シラン根の抽出物、シャクヤク抽出物、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0026】
また、キレート剤としては、例えば、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム等がある。
【0027】
また、pH調整剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、グリコール酸、コハク酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等がある。
【0028】
また、美白剤としては、t-シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン又はその誘導体、エラグ酸及びその誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、マグノリグナン(5,5'-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール)、ヒドロキシ安息香酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、α-ヒドロキシ酸、AMP(アデノシンモノホスフェイト、アデノシン1リン酸)が挙げられ、これらを単独で配合しても、複数を組み合わせて配合しても良い。
【0029】
また、上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレート等のコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシド等のコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム、L-アスコルビン酸-2-硫酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸エステル塩類、L-アスコルビン酸-2-グルコシド、L-アスコルビン酸-5-グルコシド、アスコルビルトコフェリルマレイン酸、アスコルビルトコフェリルリン酸K、ミリスチル3-グリセリルアスコルビン酸、カプリリル2-グリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基等)、L-アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸テトララウリン酸エステル等のL-アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3-O-エチルアスコルビン酸、L-アスコルビン酸-2-リン酸-6-O-パルミテートナトリウム、グリセリルアスコルビン酸又はそのアシル化誘導体、ビスグリセリルアスコルビン酸等のアスコルビン酸グルセリン誘導体、L-アスコルビン酸リン酸アミノプロピル、L-アスコルビン酸のヒアルロン酸誘導体、3-O-Dラクトース-L-アスコルビン酸、イソステアリルアスコルビルリン酸塩等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン-β-D-グルコピラノシド)、α-アルブチン(ハイドロキノン-α-D-グルコピラノシド)等が、トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸エステル(例えば、トラネキサム酸ラウリルエステル、トラネキサム酸ヘキサデシルエステル、トラネキサム酸セチルエステル又はその塩)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トラネキサム酸メチルアミド)等が挙げられ、レゾルシノール誘導体としては、例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、4-イソアミルレゾルシノール等が、2,5-ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5-ジアセトキシ安息香酸、2-アセトキシ-5-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ-5-プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、α-ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α-ヒドロキシオクタン酸等がある。
【0030】
また、生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、ハス種子発酵物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、ローヤルゼリー発酵物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス抽出物、アルカンジェリシア・フラバ抽出物、トウキンセンカ抽出物、カミツレ抽出物、サンゴ草抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(ハス、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、アマモ等の海産顕花植物の抽出物、豆乳発酵物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵抽出物、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、黒豆抽出物又はその加水分解物、黒糖抽出物又はその発酵物、ダマスクバラの花の抽出物、イランイラン花抽出物、タケノコの皮の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸等)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ゲンチアナ抽出物、甘草抽出物、ニンジン抽出物、オタネニンジン抽出物又はその発酵物、ツバキ抽出物、紅参抽出物、ミツイシコンブ抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、ウメ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ抽出物、ジュアゼイロ抽出物、パウダルコ樹皮抽出物、萱草(デイリリー)抽出物または発酵物、ハイビスカスの花抽出物または発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、シラン抽出物、サツマイモ抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物或いはその加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物又はその発酵物、グアバ葉抽出物、オリーブ葉抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、ショウガ抽出物、バニラ抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、アロエ抽出物、アロエベラ抽出物、イチジク花抽出物、リンゴ抽出物、カッコン抽出物、党参抽出物又はその加水分解物等がある。
【0031】
次に、製造例、試験例及び実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また、%はすべて重量%を意味する。
【0032】
製造例1.酵母抽出物の調製(1)
滅菌したGP液体培地2700gに、予め同培地で培養しておいたオランダカイウ由来の酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)の前培養液300gを添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整し、3時間、攪拌しながら90℃で加熱処理した。この液をpH調整した後、濾過し1322gの酵母培養液を得た(固形分濃度1.30%)。
【0033】
製造例2.酵母抽出物の調製(2)
滅菌したRP培地2700gに、予め同培地で培養しておいたオランダカイウ由来の酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)の前培養液300gを添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整し、3時間、攪拌しながら90℃で加熱処理した。濾過し2020gの酵母培養液を得た(固形分濃度1.35%)。
【0034】
製造例3.酵母培養液の調整(3)
滅菌したGP液体培地2700gに、予め同培地で培養しておいたオランダカイウ由来の酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)の前培養液300g添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、塩酸水溶液でpH2.5に調整し、3時間、攪拌しながら90℃で加熱処理した。この液をpH調整した後、濾過し1625gの酵母培養液を得た(固形分濃度1.0%)。
【0035】
製造例4.酵母培養液の調整(4)
滅菌したGP液体培地2700gに、予め同培地で培養しておいたオランダカイウ由来の酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)の前培養液300g添加し、30℃で通気攪拌しながら20時間培養した。加熱殺菌した後、3時間、90℃で加熱処理した。この液をpH調整した後、濾過し2109gの酵母培養液を得た(固形分濃度0.53%)。
【0036】
試験例1.ストレスによる表皮保湿関連因子の低下を評価する試験
正常表皮細胞NHEKを24ウェルプレートに播種した(6×104cells/well)。次に、表皮細胞の培養温度として37℃にて表皮細胞を培養した。24時間後、培養液に試料「製造例1の酵母抽出物とストレス因子(ここではアドレナリン)100μM」を添加した試験区(1)と、ストレス因子(アドレナリン)100μMのみを添加した試験区(2)を設け、それぞれ24時間の同温度で表皮細胞を培養した。ここで、酵母抽出物は培養液中の溶液としての終濃度が2.0%となるように添加した。また、37℃で培養している培養液に試料を添加せずに、コントロール区とした。次に、試験区(1)(2)及びコントロール区の表皮細胞をTrizol試薬(Invitrogen社製)500μLで回収した。回収した表皮細胞に対してクロロホルム100μL添加して撹拌混合し12,500rpm、4℃の条件下で15分間遠心分離した後、水層のみを200μL分取した。回収した水層にイソプロパノール250μLを添加して撹拌混合し、12,500rpm、4℃の条件下で10分間遠心分離してtotalRNAの沈殿物を得た。totalRNAに75%冷エタノールを1mL添加して撹拌して洗浄し、12,500rpm、4℃条件下で10分間遠心分離して沈殿を回収した。回収したtotal RNAを所定のキット(PrimeScript RT reagent Kit with gDNA Eraser (Perfect Real Time)(タカラバイオ社製))を用いて逆転写反応し、cDNAを合成した。合成したcDNAをサンプルとして、Thermal Cycler Dice Real Time System Single(タカラバイオ社製)、及びSYBR Premix Ex TaqTM II(Perfect Real Time)[タカラバイオ社製]を用いて、ターゲット遺伝子(フィラグリン遺伝子)の発現と、内部標準物質GAPDH遺伝子の発現の検出を行った。試験結果は、GAPDH遺伝子の発現量に対するターゲット遺伝子の相対発現量を算出し、さらにコントロールの値を100とした相対率で表した。
【0037】
試験例1の結果を
図1に示す。まず、
図1に示すように、ストレス因子を添加した試験区(2)では表皮保湿関連因子(フィラグリン遺伝子)の発現が抑制されることが確認された。一方で、ストレス因子に加えて本発明の製造例1に係る酵母抽出物を添加した試験区(1)では、ストレス因子によるフィラグリン遺伝子の発現低下を抑えることが確認された。このことから、本発明の製造例1に係る酵母抽出物は、ストレスによって表皮保湿関連因子の発現低下を抑えて、ストレスによる表皮の不健全化を防ぐことができることが示唆される。
【0038】
処方例1.化粧水
[成分] 部
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の酵母抽出物 2.0
グリセリン 5.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
クエン酸ナトリウム 0.2
精製水 全量が100部となる量
【0039】
処方例2.化粧水
処方例1に含まれる製造例1の酵母抽出物に代えて、製造例2の酵母抽出物2.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0040】
処方例3.化粧水
処方例1に含まれる製造例1の酵母抽出物に代えて、製造例3の酵母抽出物2.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0041】
処方例4.化粧水
処方例1に含まれる製造例1の酵母抽出物に代えて、製造例4の酵母抽出物2.0部を用いるほかは、処方例1と同様にして化粧水を得た。
【0042】
処方例5.乳液
[成分] 部
スクワラン 5.0
ヘキサラン 3.0
ホホバ油 1.0
ツバキ油 1.5
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0
親油型ステアリン酸グリセリル 1.0
水添大豆レシチン 1.5
製造例1の酵母抽出物 3.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
キサンタンガム 0.2
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0043】
処方例6.乳液
処方例5の成分中、L-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてアルブチン3.0部を用いるほかは処方例5と同様にして乳液を得た。
【0044】
処方例7.乳液
処方例5の成分中、L-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてニコチン酸アミド5.0部を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0045】
処方例8.乳液
処方例5の成分中、L-アスコルビン酸-2-グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてトラネキサム酸2.0部を用いるほかは処方例3と同様にして乳液を得た。
【0046】
処方例9.乳液
[成分] 部
スクワラン 3.0
セチルアルコール 1.0
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 0.2
ジプロピレングリコール 1.0
イソオクタン酸セチル 1.0
ジメチルポリシクロキサン 1.0
製造例1の酵母抽出物 2.0
乳酸菌発酵米 2.0
海藻抽出物 1.0
ラフィノース 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
L-アスコルビン酸-2-グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 0.2
グァーガム 3.0
セラミド 1.0
精製水 全量が100部となる量
【0047】
処方例10.クリーム
[成分] 部
オリーブ油 5.0
ホホバ油 5.0
スクワラン 5.0
ベヘニルアルコール 2.0
パルミチン酸 2.5
製造例1の酵母抽出物 2.0
乳酸菌発酵米 2.0
水素添加レシチン 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.3
アルギン酸ナトリウム 0.2
海藻抽出物 2.0
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
精製水 全量が100部となる量
【0048】
処方例11.クリーム
[成分] 部
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 1.5
セチルアルコール 3.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
スクワラン 5.0
オリーブ油 5.0
ジプロピレングリコール 3.0
製造例2の酵母抽出物 2.0
ゲンチアナ抽出物 1.0
甘草抽出物 2.0
クエン酸 0.2
メチルパラベン 0.2
精製水 全量が100部となる量
【0049】
実施例12.リキッドファンデーション
[成分] 部
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
プロピルパラベン 0.05
製造例1の酵母抽出物 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 4.0
トリエタノールアミン 1.1
メチルパラベン 0.1
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色顔料 適量
精製水 全量が100部となる量
【0050】
処方例13.ボディシャンプー
[成分] 部
N-ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
製造例2の酵母抽出物 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0051】
処方例14.ヘアシャンプー
[成分] 部
N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
製造例1の酵母抽出物 2.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0052】
実施例15.ヘアコンディショナー
[成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.0
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
製造例2の酵母抽出物 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量