(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126247
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】洗濯機システム
(51)【国際特許分類】
D06F 34/18 20200101AFI20220823BHJP
D06F 33/52 20200101ALI20220823BHJP
D06F 33/57 20200101ALI20220823BHJP
D06F 103/04 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/06 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/14 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/24 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/32 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/38 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/46 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/52 20200101ALN20220823BHJP
D06F 103/68 20200101ALN20220823BHJP
D06F 105/02 20200101ALN20220823BHJP
D06F 105/20 20200101ALN20220823BHJP
D06F 105/26 20200101ALN20220823BHJP
D06F 105/32 20200101ALN20220823BHJP
D06F 105/42 20200101ALN20220823BHJP
【FI】
D06F34/18
D06F33/52
D06F33/57
D06F103:04
D06F103:06
D06F103:14
D06F103:24
D06F103:32
D06F103:38
D06F103:46
D06F103:52
D06F103:68
D06F105:02
D06F105:20
D06F105:26
D06F105:32
D06F105:42
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024204
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】堀田 宗佑
(72)【発明者】
【氏名】余合 宏允
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA04
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(57)【要約】 (修正有)
【課題】利便性の向上を図ることができる洗濯機システムを提供する。
【解決手段】実施形態の洗濯機システムは、水槽と、洗濯槽と、モータと、負荷検出部51と、布量判定部53とを持つ。前記洗濯槽は、前記水槽内に配置されて洗濯物が収容される。前記モータは、前記洗濯槽を回転駆動する。前記負荷検出部51は、前記モータの負荷量を検出する。前記布量判定部53は、前記水槽に水が貯められていない状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部51により検出される前記モータの第1負荷量と、前記水槽に水が貯められた状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部51により検出される前記モータの第2負荷量とに基づき、前記洗濯物の布量を判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽内に配置されて洗濯物が収容される洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転駆動するモータと、
前記モータの負荷量を検出する負荷検出部と、
前記水槽に水が貯められていない状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部により検出される前記モータの第1負荷量と、前記水槽に水が貯められた状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部により検出される前記モータの第2負荷量とに基づき、前記洗濯物の布量を判定する布量判定部と、
を備えた洗濯機システム。
【請求項2】
前記布量判定部は、前記第1負荷量と第1閾値とに基づく第1判定結果と、前記第2負荷量と第2閾値とに基づく第2判定結果とに基づき、前記布量を判定する、
請求項1に記載の洗濯機システム。
【請求項3】
前記第1負荷量は、前記布量が増加すると前記モータの負荷量が増加する状態において検出される負荷量であり、
前記第2負荷量は、前記布量が増加すると前記モータの負荷量が減少する状態において検出される負荷量である、
請求項1または請求項2に記載の洗濯機システム。
【請求項4】
前記第1負荷量は、前記モータの加速中または減速中に検出される負荷量であり、
前記第2負荷量は、前記モータが一定速度で回転中に検出される負荷量である、
請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の洗濯機システム。
【請求項5】
前記第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量である、
請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の洗濯機システム。
【請求項6】
前記水槽、前記洗濯槽、および前記モータを含む洗濯機本体と、
前記洗濯機本体を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記第1負荷量は、給水前に検出される負荷量であり、
前記第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量であり、
前記布量判定部は、前記第1負荷量に基づき前記布量に関する第1判定を行い、その後、少なくとも前記第2負荷量に基づき前記布量に関する第2判定を行い、
前記制御部は、前記第1判定の結果に基づき、給水量または洗い動作に関する前記洗濯機本体の制御を開始し、前記第2判定の結果に基づき、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作に関する前記洗濯機本体の動作を制御する、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の洗濯機システム。
【請求項7】
洗剤を自動投入する自動投入装置と、
前記自動投入装置を制御する自動投入装置制御部と、
をさらに備え、
前記第1負荷量は、給水前に検出される負荷量であり、
前記第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量であり、
前記布量判定部は、前記第1負荷量に基づき前記布量に関する第1判定を行い、その後、少なくとも前記第2負荷量に基づき前記布量に関する第2判定を行い、
前記自動投入装置制御部は、前記第1判定の結果に基づき前記自動投入装置により洗剤を自動投入し、前記第2判定の結果に基づき洗剤の不足分を追加投入する、
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の洗濯機システム。
【請求項8】
前記第1負荷量と前記第2負荷量とに基づき、前記洗濯槽の回転のしやすさに関する前記洗濯機本体の特性を推定する特性推定部をさらに備えた、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の洗濯機システム。
【請求項9】
前記水槽、前記洗濯槽、および前記モータを含む洗濯機本体と、
前記洗濯機本体を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記特性推定部による前記特性の推定が行われた場合、次回の洗濯運転において、前記第1負荷量と前記特性推定部により推定された前記特性とに基づき、給水量、洗剤の自動投入量、または洗い動作に関する制御を開始する、
請求項8に記載の洗濯機システム。
【請求項10】
前記特性推定部は、前記洗濯機本体の特性に関する前回の推定時と比べて前記水槽の周囲温度が所定以上異なる場合、前記前回の推定時と季節が異なる場合、または前記前回の推定時から所定日数が経過した場合に、前記特性を推定し直す、
請求項8または請求項9に記載の洗濯機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータの回転速度が所定量低下する時間を測定し、その測定結果から求まる角加速度に基づき布量を検知する洗濯機が知られている。洗濯機は、利便性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる洗濯機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の洗濯機システムは、水槽と、洗濯槽と、モータと、負荷検出部と、布量判定部とを持つ。前記洗濯槽は、前記水槽内に配置されて洗濯物が収容される。前記モータは、前記洗濯槽を回転駆動する。前記負荷検出部は、前記モータの負荷量を検出する。前記布量判定部は、前記水槽に水が貯められていない状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部により検出される前記モータの第1負荷量と、前記水槽に水が貯められた状態で前記洗濯槽が回転駆動されるときに前記負荷検出部により検出される前記モータの第2負荷量とに基づき、前記洗濯物の布量を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の洗濯乾燥機の全体構成を示す断面図。
【
図2】第1実施形態のドラムモータの駆動に係る電気回路構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【
図4】第1実施形態に係る布重量とセンサ値の関係を示す図。
【
図5】第1実施形態に係る布重量とセンサ値の関係を示す図。
【
図6】第1実施形態に係る布重量とセンサ値の関係を示す図。
【
図7】第1実施形態に係る布重量とセンサ値の関係を示す図。
【
図8】第1実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【
図9】第2実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【
図10】第3実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【
図11】第4実施形態の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【
図12】第5実施形態の制御の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の洗濯機システムを、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。本明細書で「洗濯機」とは、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含み得る。
【0008】
(第1実施形態)
<1.洗濯乾燥機の全体構成>
図1は、第1実施形態の洗濯乾燥機1の全体構成を示す断面図である。洗濯乾燥機1は、「洗濯機システム」の一例である。洗濯乾燥機1は、例えば、ドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、例えば、筐体(外箱)11、扉12、水槽(水受槽)13、ドラム14、ベローズ15、ドラムモータ16、給水弁17、注水ケース18、注水管19、自動投入装置21、排水管22、排水弁23、温風供給機構30、および制御装置50(
図3参照)を有する。これら構成のうち制御装置50を除く構成により、洗濯機本体MBが形成されている。
【0009】
筐体11は、前板、後板、左側板、右側板、底板、および天板を有し、中空状に形成されている。筐体11の前板には、貫通孔である出入口11aが設けられている。扉12は、筐体11の前板に装着されている。扉12は、出入口11aを開閉可能に設けられている。
【0010】
水槽13は、筐体11の内部に設けられている。水槽13は、後面が閉塞された円筒状に形成されている。水槽13は、後下がりに傾斜した状態で弾性支持機構により支持されている。水槽13の前面は、開口を有する。出入口11aに対する扉12の閉塞状態では、扉12が水槽13の前面の開口を気密状態に閉塞する。水槽13には、ドラム14の振動を検出する1つ以上(例えば複数)の加速度センサ61(後述)が設けられている。
【0011】
ドラム14は、水槽13内に配置されている。ドラム14は、洗濯物(衣類など)が収容される収容室である。ドラム14は、円筒状であり、水槽13内で回転可能に支持されている。ドラム14は、前後方向に延び且つ水平からやや後下がりに傾斜した傾斜軸(中心軸CL)を中心に回転するように構成されている。ドラム14は、「洗濯槽」の一例である。ドラム14は、「回転槽」と称されてもよい。
【0012】
ドラム14の周壁部および後壁部には、通水および通気用の多数の孔14aが設けられている。ドラム14の周壁部の内面には、洗濯物攪拌用の複数のバッフル14bが設けられている。ドラム14内の洗濯物は、各バッフル14bに引っ掛かりながら円周方向へ移動した後に重力で落下することで撹拌される。ドラム14の前面部には、洗濯物が出し入れされる円形の開口部が設けられている。水槽13の前面部には、ドラム14の開口部に連なる投入口13aが設けられている。水槽13の投入口13aと筐体11の出入口11aとはベローズ15を介して連通している。
【0013】
ドラムモータ16は、水槽13の後方に設けられている。ドラムモータ16は、洗濯乾燥機1の駆動機構を構成する。ドラムモータ16は、例えば、三相交流モータである。ただし、ドラムモータ16は、速度制御可能な直流モータなどでもよい。ドラムモータ16の回転軸の先端は、水槽13の背面を貫通して水槽13内に突出し、ドラム14の後部中心部に連結固定されている。これにより、ドラム14は、ドラムモータ16により直接的に回転駆動される。例えば、ドラム14は、脱水動作において、正転方向(例えば正面から見て時計回り方向)に連続回転される。例えば、ドラム14は、洗い動作、すすぎ動作、および乾燥動作において、正転と反転が繰り返される。
【0014】
給水弁17は、筐体11の内部に固定されている。給水弁17の入口は、不図示のホースを介して水道の蛇口に接続される。給水弁17の出口は、給水弁モータ71(
図3参照)により開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。給水弁17の出口は、注水ケース18に接続されている。注水ケース18は、筒状の注水管19を介して、水槽13の内部に接続されている。給水弁17が開放動作されると、水道から供給される水が、水槽13内に給水される。
【0015】
自動投入装置21は、水槽13の上方に設けられている。例えば、自動投入装置21は、注水ケース18と一体に設けられている。自動投入装置21は、洗剤や柔軟剤などの洗濯処理剤を個別に収容する1つ以上(例えば複数)のタンク21aと、タンク21aに収容された洗濯処理剤を自動投入可能な投入ポンプ21bとを有する。例えば、自動投入装置21は、注水ケース18を介して水槽13の内部(ドラム14の内部)に洗濯処理剤を自動投入する。
【0016】
水槽13の底部には、排水口13bが設けられている。排水口13bには、排水管22の上端部が接続されている。排水弁23は、排水管22に設けられている。排水弁23は、排水弁モータ72(
図3参照)により開放状態と閉鎖状態とに切り換えられる。排水弁23が開放動作されると、水槽13内の洗濯水が、排水管22から排出される。
【0017】
水槽13の前部の上部には、水槽13内の空気を排出する排気口13cが設けられている。水槽13の背面部の上部には、水槽13内に乾燥風を供給するための給気口13dが設けられている。筐体11の内部には、ドラム14内に乾燥風(温風)を循環供給して洗濯物の乾燥運転(乾燥動作)を実行するための温風供給機構30が設けられている。
【0018】
温風供給機構30は、例えば、筐体11内で水槽13の外部に設けられたダクトである循環風路31を備えている。循環風路31は、水槽13内に乾燥用の空気を送る。詳しく述べると、循環風路31の入口は、水槽13の排気口13cに接続されている。循環風路31の出口は、水槽13の給気口13dに接続されている。
【0019】
温風供給機構30は、例えば、ヒートポンプ32と、送風ファン33とを有する。ヒートポンプ32は、圧縮機41、凝縮器42、不図示の絞り装置、および蒸発器43を配管によりサイクル接続して冷凍サイクルを構成する。凝縮器42および蒸発器43は、循環風路31に配置されている。ヒートポンプ32は、循環風路31を通る空気の除湿および加熱を行って乾燥風を生成する。送風ファン33は、排気口13cから排出された空気を、循環風路31内を循環させ、ヒートポンプ32で除湿および加熱された空気を給気口13dから水槽13を介してドラム14内に供給する。ヒートポンプ32は、循環風路31を通る空気を加熱する「加熱装置」の一例である。なお、加熱装置は、ヒートポンプ32に代えて、ヒーター(電熱器など)でもよい。
【0020】
<2.モータ駆動系の電気回路構成>
図2は、洗濯乾燥機1のドラムモータ16を駆動する電気回路構成を示す図である。
図2は、ドラムモータ16の駆動系(モータ制御部111)を概略的に示す。インバータ回路132は、6個のIGBT(半導体スイッチング素子)133a~133fを三相ブリッジ接続して構成されており、各IGBT133a~133fのコレクタ-エミッタ間には、フライホイールダイオード134a~134fが接続されている。下アーム側のIGBT133d、133e、133fのエミッタは、シャント抵抗135u、135v、135wを介してグランドに接続されている。IGBT133d、133e、133fのエミッタとシャント抵抗135u、135v、135wとの各接続点は、それぞれレベルシフト回路136を介して制御回路111cに接続されている。本実施形態では、シャント抵抗135u、135v、135wとレベルシフト回路136との組み合わせにより、電流センサ62(
図3参照)の一例が構成されている。
【0021】
レベルシフト回路136は、オペアンプなどを含み、シャント抵抗135u、135v、135wの端子電圧を増幅することで信号を生成し、生成した信号の出力範囲が正側に収まるようにバイアスを与える。過電流比較回路138は、インバータ回路132の上下アームが短絡した場合、過電流を検出する。
【0022】
インバータ回路132の入力側には、駆動用電源回路139が接続されている。駆動用電源回路139は、100Vの交流電源140を、ダイオードブリッジで構成される全波整流回路141および直列接続された2個のコンデンサ142a、142bにより倍電圧全波整流し、約280Vの直流電圧をインバータ回路132に供給する。インバータ回路132の各相出力端子は、ドラムモータ16の各相巻線16u、16v、16wに接続されている。
【0023】
制御回路111cは、電源145を電源として動作し、駆動回路144と高圧ドライバ回路146を介して、6個のIGBT133a~133fをPWM(Pulse Wide Modulation)制御する。駆動回路144は、電源143を電源として動作し、制御回路111cが出力した駆動信号を、電圧を高めた駆動信号に変換して下アーム側のIGBT133d、133e、133fのゲートに印加する。高圧ドライバ回路146は、駆動回路144の出力を倍電圧全波整流電圧よりも高い電圧に変換し、上アーム側のIGBT133a、133b、133cのゲートに印加する。制御回路111cには、ドラムモータ16に設けられたロータ位置センサ161の出力信号が入力される。制御回路111cは、ロータ位置センサ161の出力信号を基準としてドラムモータ16を駆動する駆動信号を生成する。
【0024】
制御回路111cは、レベルシフト回路136を介して得られるモータ16の巻線16u~16wに流れる三相電流Iau~Iawを検出し、検出した電流値に基づいて2次側の回転磁界の位相θおよび回転角速度ωを推定するとともに、三相電流Iau~Iawを直交座標変換およびdq(direct-quadrature) 座標変換して励磁電流成分Id、トルク電流成分Iq(以下「q軸電流」と称する)を算出する。q軸電流は、ドラムモータ16に作用するモータトルクに比例して大きくなる電流成分である。q軸電流は、「トルク電流」の一例である。ただし、本明細書でいう「トルク電流」とは、q軸電流に限定されず、モータの負荷に応じて大きくなる電流であればよい。
【0025】
<3.制御装置の構成>
次に、制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータを主体として構成される。制御装置50は、洗濯乾燥機1の全体を統括的に制御し、洗濯乾燥機1による洗い動作、すすぎ動作、および脱水動作を含む洗濯運転と、その後に続く乾燥運転(乾燥動作)とを実行する。
【0026】
図3は、制御装置50の機能構成を示すブロック図である。制御装置50には、上述した加速度センサ61に加え、電流センサ62が接続されている。電流センサ62は、ドラムモータ16に流れる電流を検出する。
図2では説明の便宜上、電流センサ62とモータ制御部111とを分けて記載している。ただし、電流センサ62は、モータ制御部111に含まれていてもよい。
【0027】
制御装置50は、例えば、負荷検出部51、布質判定部52、布量判定部53、制御部54、モータ制御部111、自動投入装置制御部112、および記憶部59を有する。これら負荷検出部51、布質判定部52、布量判定部53、制御部54、モータ制御部111、および自動投入装置制御部112の全部または一部は、CPUのようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)、ディスクリート回路などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。これらは後述する実施形態で説明される各機能部(特性推定部55、更新タイミング判定部56、アンバランス判定部57など)についても同様である。モータ制御部111および自動投入装置制御部112は、制御部54の一部として設けられてもよい。記憶部59は、RAM、ROM、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)のうち1つまたは複数の組み合わせにより実現される。
【0028】
<3.1 負荷検出部>
負荷検出部51は、トラムモータ16に流れる電流(例えばトルク電流)の検出結果に基づき、ドラムモータ16の負荷量を検出する。本実施形態では、負荷検出部51は、モータ制御部111が算出したq軸電流の電流値に基づき、ドラムモータ16の負荷量を検出する。ドラムモータ16の負荷量は、q軸電流の大きさ、例えばq軸電流の電流値の平均値(または積分値)により求められる。
【0029】
本実施形態では、負荷検出部51は、水槽13に水が貯められていない状態でドラム14が回転駆動されるときのドラムモータ16の負荷量である第1負荷量と、水槽13に水が貯められた状態でドラム14が回転駆動されるときのドラムモータ16の負荷量である第2負荷量とを検出する。
【0030】
第1負荷量は、例えば、洗濯槽14に洗濯物が投入された後であって給水前(洗い動作の前)の状態、または脱水動作中や脱水動作後であって乾燥運転の開始前の状態において、ドラムモータ16によりドラム14が回転駆動されるときに検出される負荷量である。第1負荷量は、例えば、ドラムモータ16の加速中または減速中に検出される負荷量である。本実施形態では、第1負荷量は、ドラムモータ16を一定加速度で280[rpm]まで上昇させ、その加速中のq軸電流の平均値(または積分値)を求めることで検出される。例えば、第1負荷量は、布量(洗濯物の重量)が増加するとドラムモータ16の負荷量が増加する状態において検出される負荷量である。これについては詳しく後述する。
【0031】
一方で、第2負荷量は、例えば、洗い動作中の状態において、洗い動作の一環としてドラムモータ16によりドラム14が回転駆動されるときに検出される負荷量である。第2負荷量は、例えば、ドラムモータ16が一定速度で回転中に検出される負荷量である。本実施形態では、第2負荷量は、ドラムモータ16を100[rpm]よりも低い一定速度で回転させ、回転中のq軸電流の平均値(または積分値)を求めることで検出される。例えば、第2負荷量は、布量が増加するとドラムモータ16の負荷量が減少する状態において検出される負荷量である。これについては詳しく後述する。
【0032】
<3.2 布質判定部>
布質判定部52は、例えば、布質による吸水性の差異によってドラムモータ16の負荷量が変化することを利用して布質を判定する。布質判定部52は、例えば、綿系の洗濯物が主であるか、化学繊維系の洗濯物が主であるかを判定することで布質を判定する。
【0033】
布質判定部52は、例えば、(1)洗い動作中においてドラム14が一定速度で回転中のq軸電流の平均値(または積分値)と、(2)洗い動作中においてドラム14が1回転する間のq軸電流の最大値と最小値の差の平均値とである2つの指標の組み合わせにより布質を判定する。上記(1)である「洗い動作中においてドラム14が一定速度で回転中のq軸電流」は、上述した第2負荷量の判定に用いられるq軸電流である。言い換えると本実施形態では、洗い動作中に検出されたq軸電流の大きさを用いて、後述する布量判定に用いられる第2負荷量が求められるとともに、布質の判定が行われる。
【0034】
<3.3 布量判定部>
布量判定部53は、負荷検出部51が検出した負荷量に基づいて、洗濯物の布量(布重量)を判定する。本実施形態では、布量判定部53は、例えば、水槽13に水が貯められていない状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第1負荷量と、水槽13に水が貯められた状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第2負荷量とに基づき、洗濯物の布量を判定する。以下では、水槽13に水が貯められていない状態で検出される第1負荷量に基づく布量の判定結果を第1判定結果という。また、水槽13に水が貯められた状態で検出される第2負荷量に少なくとも基づく(例えば、第2負荷量のみに基づく、あるいは第1負荷量と第2負荷量の両方に基づく)布量の判定結果を第2判定結果という。
【0035】
負荷検出部51が検出する負荷量の傾向は、洗濯物の量が同一であっても、水が貯められていない状態と水が貯められている状態とでは異なる。ここでは、
図4から
図8を参照して、布量(布重量)とセンサ値(トルクモータ16の負荷量;例えばq軸電流の平均値)との関係について説明する。
【0036】
図4は、水槽13に水が貯められていない状態における布量とセンサ値の関係の典型的な例を示す図である。なお、
図4中に示されるセンサ値は、ドラムモータ16の回転速度を一定の加速度で増加させている場合に各布量で計測されたセンサ値である。
図4に示すように、水槽13に水が貯められていない状態では、布重の増加に伴ってセンサ値(トルクモータ16の第1負荷量)も単調に増加している。
【0037】
ここで、水槽13に水が貯められていない状態において、単位布量当たりのセンサ値の増加量(増加幅)は、布量が一定以上の領域(以下では「第1所定領域R1」と称する)では減少(飽和)する。
図4に示す例では、洗濯物が6kg以上の領域では、単位布量当たりのセンサ値の増加量は減少する。このため、洗濯物が6kg以上の領域は、洗濯物が6kg未満の領域と比べて、トルクモータ16の負荷量に基づく布量判定の精度が低下しやすい領域の一例に該当する。
【0038】
一方、
図5は、水槽13に水が貯められた状態における布量とセンサ値の関係の典型的な例を示す図である。なお、
図5中に示されるセンサ値は、ドラムモータ16の回転速度を一定とした場合に各布量で計測されたセンサ値である。
図5に示すように、水槽13に水が貯められた状態では、布量の増加に伴ってセンサ値は、布量が比較的小さい領域では増加しているが、布量がある値を過ぎると減少に転じている。これは、例えば、水槽13に水が貯められた状態では、布量が比較的小さい場合、洗濯物の重量が特定のバッフル14bに作用しやすいため、洗濯物の増加に伴いバッフル14bで洗濯物を持ち上げるための負荷が大きくなる。このため、布量の増加に伴ってセンサ値が増加する。一方で、布量が比較的大きい場合、洗濯物の増加に伴い複数のバッフル14bに対して洗濯物の重量が均等に作用しやすくなるため、洗濯物が増加しても負荷が小さくなる。このため、布量の増加に伴ってセンサ値が減少する。
【0039】
すなわち、水槽13に水が貯められた状態において、洗濯物の布量が一定以上の領域(以下では「第2所定領域R2」と称する)では、洗濯物の増加に伴いトルクモータ16の負荷量が小さくなる。
図5に示す例では、洗濯物が4.5kgくらいよりも少ない領域では、洗濯物の増加に伴いセンサ値は増加する。一方で、洗濯物が4.5kgくらいより多い領域では、洗濯物の増加に伴いセンサ値は減少する。例えば、第2所定領域R2は、第1所定領域R1を含む。
【0040】
図6は、同一機種の異なる機体(機体Aと機体B)で、水槽13に水が貯められていない状態で複数回検出したときの布量とセンサ値の関係を示す図である。
図7は、水槽13に水が貯められた状態で同一機種の2機体(機体Aと機体B)で複数回検出した布量とセンサ値の関係を示す図である。
図6および
図7では、機体Aのセンサ値を白塗りの丸印で示し、機体Bのセンサ値を黒塗りの菱形で示す。
【0041】
水槽13に水が貯められていない状態(
図6)において、センサ値に対する破線で示すある第1閾値を基準として設定すると、機体Aでは布量が6kgの場合も7kgの場合もセンサ値がすべて第1閾値を下回る。一方、機体Bでは、布量が6kgの場合にセンサ値がすべて第1閾値を下回り、7kgの場合にセンサ値はすべて第1閾値を上回る。この場合、機体Bについては、水槽13に水が貯められていない状態で検出されたセンサ値(ドラムモータ16の負荷量)と第1閾値との比較結果に基づいて布重量が6kgの場合と7kgの場合を判別することができる。
【0042】
一方、水槽13に水が貯められた状態(
図7)において、センサ値に対する破線で示すある第2閾値を基準として設定すると、機体Bでは布重量が6kgの場合はセンサ値がすべて第2閾値を下回るが、7kgの場合はセンサ値が第2閾値の上と下に分散する。一方、機体Aでは、布重量が6kgの場合にセンサ値がすべて第2閾値を上回り、7kgの場合にセンサ値はすべて第2閾値を下回る。この場合、機体Aについては、水槽13に水が貯められた状態で検出されたセンサ値(ドラムモータ16の負荷量)と第2閾値との比較結果に基づいて布重量が6kgの場合と7kgの場合を判別することができる。
【0043】
そこで、布量判定部53は、上述したように、少なくとも負荷検出部51が検出した負荷量に基づいて、水槽13に水が貯められていない状態の第1負荷量と、水槽13に水が貯められた状態の第2負荷量とに基づき、洗濯物の布量を判定する。例えば、洗濯物が6kgであるか7kgであるかを判定する場合、布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値以下であるか否か、および第2負荷量が第2閾値以上であるか否かを判定する。そして、布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値以下であり、且つ、第2負荷量が第2閾値以上である場合、洗濯物が6kgであると判定する。一方で、布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値よりも大きい場合、または、第2負荷量が第2閾値よりも小さい場合、洗濯物が7kgであると判定する。
【0044】
このような判定処理によれば、機体差などによるバラツキに影響されずに布量を精度良く判定することができる。なお、ドラムモータ16の負荷量の変動要因は、機体差に限定されない。したがって、他の要因、例えば布質判定部52の判定結果に応じて、布量判定部53における閾値を変化させることで、他の要因(この場合、布質の変化)の影響を抑制することができる。
【0045】
なお、第1負荷量に対する比較基準である第1閾値は、記憶部59に、第1閾値情報59aとして記憶されている。また、第2負荷量に対する比較基準である第2閾値は、記憶部59に、第2閾値情報59bとして記憶されている。なお、第1閾値と第2閾値は、例えば、布質の判定結果に対応させて選択可能にそれぞれ複数記憶されている。
【0046】
以上のように、布量判定部53は、水槽13に水が貯められていない状態でドラム14(洗濯槽)が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第1負荷量と、水槽13に水が貯められた状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第2負荷量とに基づき、洗濯物の布量を判定する。その際、布量判定部53は、第1負荷量と第1閾値とに基づく第1判定結果と、第2負荷量と第2閾値とに基づく第2判定結果とに基づき、布量を判定することができる。
【0047】
上述したように、第1負荷量は、例えば、ドラムモータ16の加速中または減速中に検出される負荷量であり、第2負荷量は、例えば、ドラムモータ16が一定速度で回転中に検出される負荷量である。ここで、加速中または減速中に検出される負荷量は、トルク一定での検出結果となり精度良く負荷量を検出することができる。この場合、一定の範囲で回転速度を変化させる必要があるが、水槽13に水が貯められていない状態であれば負荷が小さいので比較的容易にかつ安定的に計測することができる。一方、水槽13に水が貯められた状態では負荷が大きいので回転速度を一定とした方が比較的容易に計測することができる。
【0048】
第1閾値は、例えば、所定の布量の区切り毎に設定されている。例えば、1kg毎や、2kg毎で異なる第1閾値が設定されている。これら複数の第1閾値が第1閾値情報59aとして記憶部59に記憶されている。同様に、第2閾値も、所定の布量の区切り毎に設定することができる。これら複数の第2閾値が第2閾値情報59bとして記憶部59に記憶されている。
【0049】
また、第1閾値および第2閾値は、布質判定部52の布質判定の結果毎に異なる第1閾値および第2閾値が設定されてもよい。すなわち、布質判定の結果(洗濯物が綿であるか、化学繊維であるか)に応じて、第1閾値は、洗濯物が綿である場合と、洗濯物が化学繊維である場合とで別々の閾値が設定され、第2閾値も、洗濯物が綿である場合と、洗濯物が化学繊維である場合とで別々の閾値が設定されてもよい。この場合、綿は化学繊維と比べて水を吸いやすいため、洗濯物の同一の布量に対して、綿に関する閾値は、化学繊維に関する閾値と比べて高く設定される。
【0050】
<3.4 制御部>
制御部54は、布質判定部52の判定結果、布量判定部53の判定結果、加速度センサ61の出力、電流センサ62の出力などに基づき、モータ制御部111を介してドラムモータ16を制御したり、自動投入装置制御部112を介して自動投入装置21を制御したり、給水弁モータ71、排水弁モータ72、ヒートポンプ32、および送風ファン33を制御したりする。
【0051】
本実施形態では、制御部54は、布量判定部53の第1判定結果に基づき、洗濯運転の開始時の給水量、洗剤の投入量、洗い動作の内容(ドラムモータ16の回転数や洗い時間の長さなど)を決定し、それらを反映した洗い動作を開始する。一方で、制御部54は、洗い動作中に得られる布量判定部53の第2判定結果に基づき、すすぎ動作の内容(ドラムモータ16の回転数やすすぎ時間の長さ)、脱水動作の内容(ドラムモータ16の回転数や脱水時間の長さ)、乾燥動作の内容(ヒートポンプ32の圧縮機41の運転周波数や、送風ファン33の回転数、乾燥時間の長さ)を決定し、それらを反映したすすぎ動作、脱水動作、および乾燥動作を実行する。なお、第1判定結果に基づき洗い動作を開始し、洗い動作中に得られる第2判定結果に基づき、洗い動作の内容を洗い動作の途中で変更してもよい。すなわち、洗い時間の短縮または延長を行ってもよい。
【0052】
本実施形態では、制御部54は、自動投入装置制御部112を介して自動投入装置21を制御し、第1判定結果に基づき洗い動作の開始前に自動投入装置21により洗剤を自動投入し、第2判定結果に基づき洗い動作の途中で洗剤の不足分を追加投入する。すなわち、自動投入装置制御部112は、第1判定結果で判定された布量に対して予め設定されている量の洗剤を投入する。そして、自動投入装置制御部112は、第2判定結果で判定された布量が、第1判定結果で判定された布量よりも多い場合、その差分に対応する洗剤を追加投入する。例えば、自動投入装置制御部112は、第1判定結果で判定された布量が6kgである場合(センサ値が第1閾値以下である場合)、6kgの洗濯物に適した洗剤量を投入する。そして、自動投入装置制御部112は、第2判定結果で判定された布量が7kgである場合(センサ値が第2閾値以下である場合)、6kgと7kgとの差分である1kgに対応する不足分の洗剤を追加投入する。
【0053】
<4.制御の流れ>
次に、
図8を参照して、第1実施形態の制御の流れについて説明する。
図8は、第1実施形態の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
図8は、洗濯乾燥機1で洗濯物がドラム14に入れられ、洗濯乾燥動作の開始操作がなされた場合に開始される処理である。
図8に示す処理では、布量判定部53が、水槽13に水が貯められていない状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第1負荷量に基づく第1判定(布量第1検知)を行い、第1判定の結果に基づき布量を複数のランク(布量ランク)のいずれかに分類し、分類の結果、布量が6~7kgのランクに分類された場合に、水槽13に水が貯められた状態での第2負荷量と、先に検出された第1負荷量との両方に基づく第2判定(布量第2検知)を行い、布量が6kgであるか、あるいは、7kgであるかを精度良く判定する。すなわち、第1判定の一例は、第1負荷量だけに基づくおおまかな分類である。一方で、第2判定の一例は、第1負荷量および第2負荷量に基づく細かい分類である。
【0054】
まず、ユーザが洗濯乾燥機1に衣類を投入し、任意の運転モードで洗濯乾燥動作をスタートすると、布量判定部53が、布量第1検知を行う(S11)。ここでは、布量判定部53が、制御部54およびモータ制御部111を介して例えばドラムモータ16を一定加速度で所定回転速度まで上昇させ、加速中のq軸電流の平均値(すなわち第1負荷量)を検出する。
図4を参照して説明したように、布量が増えると加速に必要なq軸電流値も増加するため、q軸電流の大きさに基づき布量(あるいは布量のランク)を判定することができる。
【0055】
次に、布量判定部53は、布量のランクを決定する(S12)。本実施形態では、布量判定部53が第1負荷量に基づき布量のランクを決定する処理(すなわち布量を判定する処理)を第1判定という。布量判定部53は、例えば、概ねの重量をランク1、2、3などとして分類し、例えば約6kg~約7kgの衣類はランク3(6~7kgの布量)と判定する。その後、制御部54が、決定したランクに応じた水量を注水し(S13)、決定したランクに応じた量の洗剤を自動投入する(S14)。洗剤を投入する際に、制御部54は、例えば布量を6~7kgのランクに分類した場合、ランクの中で例えば最低の値(この場合6kg)に適した量の洗剤を投入する。
【0056】
注水後、制御部54は、洗い動作を開始する(S15)。洗い動作では、制御部54は、ドラム14を正転、逆転を交互または不規則に繰り返し、洗濯物を洗剤水の中で動かすことにより、洗濯物の汚れを落とす。洗い動作中に布量判定部53は、布量第2検知を行う(S16)。布量第2検知では、布量判定部53が、洗い動作中の一定速度で回転中のq軸電流の平均値(すなわち第2負荷量)を検出する。
図5を参照して説明したように、布量増加に伴い回転に必要なq軸電流は増加するが、ある重量を超えると逆に回転に必要なq軸電流は減少する。また、洗い動作中に布質判定部52が、布質を判定する(S17)。
【0057】
次に、布量判定部53は、布量ランクの決定(S12)において、布量ランクを6~7kgのランク3に分類されたか否かを判定する(S18)。布量判定部53は、布量ランクを6~7kgのランク3に分類していた場合(S18:Yes)、布質判定結果に基づいて第1閾値と第2閾値を、第1閾値情報59aと第2閾値情報59bから選択する(S19)。
【0058】
次に、布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値よりも大きいか否か、または、第2負荷量が第2閾値よりも小さいか否かを判定する(S20)。布量判定部53は、布量増加に伴い増加する第1負荷量と逆に減少する第2負荷量を用いて、6kgと7kgの判別を行う。
図6を参照して説明したように、第1負荷量は、6kgの場合よりも7kgの場合のセンサ値が大きく、機体Aの場合よりも機体Bの場合のセンサ値が大きい。例えば、機体Aの7kgの場合のセンサ値と機体Bの7kgの場合のセンサ値との間に位置する第1閾値が設定されていると、センサ値が第1閾値よりも大きい場合、機体Bの布量が6kgではなく7kgであると判定できる。一方、
図7をみると、6kgの場合よりも7kgの場合のセンサ値が小さく、機体Aの場合よりも機体Bの場合のセンサ値が大きい。例えば、機体Aの6kgの場合のセンサ値と機体Aの7kgの場合のセンサ値との間に位置する第2閾値が設定されていると、センサ値が第2閾値よりも小さい場合、機体Aの布量が7kgであると判定できる。すなわち、第1負荷量が第1閾値よりも大きい、または第2負荷量が第2閾値よりも小さければ、機体差があっても7kgであると判定可能である。布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値よりも大きいか、または、第2負荷量が第2閾値よりも小さい場合(S20:Yes)、洗濯物が7kgであると判定する(S21)。この場合、制御部54が、合計の投入量が7kgに適した量となるように、洗剤を追加投入する(S22)。一方で、布量判定部53は、第1負荷量が第1閾値以下であり、かつ、第2負荷量が第2閾値以上である場合(S20:No)、洗濯物が6kgであると判定する(S23)。
【0059】
制御部54は、布量判定部53が布量ランクを6~7kgのランク3に分類していなかった場合(S18:No)、S22またはS23の後、処理を次工程へ進める。以後の工程で制御部54は、第1負荷量と第2負荷量とに基づく高精度な布量判定結果に基づき、洗い工程の後のすすぎ、脱水、乾燥工程における運転時間や水量、モータ回転数を布量に応じ適切に設定でき、無駄の少ない運転が可能となる。
【0060】
<5.利点>
布量の判定においては、ドラムの偏心具合、摺動部の回りやすさ(摩擦抵抗)の違いなどに起因して、モータの回りやすさに起因する機体差等が存在する。すなわち、ドラム14の回転抵抗において個々の洗濯機でばらつきがある。その結果、布量の正確な判定が難しい場合がある。また、
図4を参照して説明したように、例えば布量が6kg、7kgといった比較的洗濯物の重量が大きい領域では、単位布量当たりのセンサ値の増加量は減少し、トルクモータ16の負荷量に基づく布量判定を精度良く行うことが難しい場合がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、洗濯乾燥機1が、水槽13と、水槽13内に配置されて洗濯物が収容されるドラム14(洗濯槽)と、ドラム14を回転駆動するドラムモータ16(モータ)と、ドラムモータ16の負荷量を検出する負荷検出部51と、水槽13に水が貯められていない状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第1負荷量と、水槽13に水が貯められた状態でドラム14が回転駆動されるときに負荷検出部51により検出されるドラムモータ16の第2負荷量とに基づき、洗濯物の布量を判定する布量判定部53とを備える。この態様によれば、第1負荷量による布量の判定と、第2負荷量による布量の判定を組み合わせることで、組み合わせによらない場合と比較して、布量の判定精度を容易に高めることができる。その結果、洗濯物の重量判定の高精度化によって給水量や洗濯動作の精度向上させることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0062】
本実施形態では、布量判定部53は、第1負荷量と第1閾値とに基づく第1判定結果と、第2負荷量と第2閾値とに基づく第2判定結果とに基づき、布量を判定する。この態様によれば、閾値との比較という簡単な処理で布量を精度良く判定することができる。
【0063】
本実施形態では、第1負荷量は、布量が増加するとドラムモータ16荷量が増加する状態において検出される負荷量であり、第2負荷量は、布量が増加するとドラムモータ16の負荷量が減少する状態において検出される負荷量である。この態様によれば、機体差を補正して、高精度に布量を判定することができる。
【0064】
本実施形態では、第1負荷量は、ドラムモータ16の加速中または減速中に検出される負荷量であり、第2負荷量は、ドラムモータ16が一定速度で回転中に検出される負荷量である。この態様によれば、第1負荷量について、ドラムモータ16の加速中または減速中の慣性モーメントから高精度な布量検知が可能となる。また、第2負荷量について、負荷が比較的高い運転においても安定的に布量を検知することができる。
【0065】
本実施形態では、第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量である。この態様によれば、布量判定用の特別な動作を行わずに、洗い動作中に負荷量を検出することができる。
【0066】
本実施形態では、洗濯乾燥機1は、水槽13、ドラム14、およびドラムモータ16を含む洗濯機本体MBと、洗濯機本体MBを制御する制御部54とを備える。第1負荷量は、給水前に検出される負荷量である。第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量である。布量判定部53は、第1負荷量に基づき布量に関する第1判定を行い、その後、第2負荷量に基づき布量に関する第2判定を行う。制御部54は、第1判定の結果に基づき、給水量または洗い動作に関する洗濯機本体MBの制御を開始する。制御部54は、第2判定の結果に基づき、すすぎ動作、脱水動作、または乾燥動作に関する洗濯機本体の動作を制御する。この態様によれば、高精度な布量に応じて、すすぎ、脱水、乾燥時間、すすぎ水量、モータ回転数などをより適した内容に設定することができる。
【0067】
本実施形態では、洗濯乾燥機1は、洗剤を自動投入する自動投入装置21と、自動投入装置を制御する自動投入装置制御部112をさらに備える。第1負荷量は、給水前に検出される負荷量である。第2負荷量は、洗い動作中に検出される負荷量である。布量判定部53は、第1負荷量に基づき布量に関する第1判定を行い、その後、第2負荷量とに基づき布量に関する第2判定を行う。自動投入装置制御部112は、第1判定の結果に基づき自動投入装置21により洗剤を自動投入し、第2判定の結果に基づき洗剤の不足分を追加投入する。この態様によれば、洗剤の量をより適した内容にすることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、
図9に示すように、制御装置50が、特性推定部55を備える点と、記憶部59が特性情報59cを記憶する点と、制御部54や布量判定部53などが特性推定部55による特性の推定結果を利用する点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
図9は、第2実施形態の制御装置50の機能構成を示すブロック図である。
【0069】
特性推定部55は、第1負荷量と第2負荷量とに基づき、ドラム14の回転のしやすさに関する洗濯機本体MBの特性を推定し、推定した結果を特性情報59cとして記憶部59に記憶する。特性推定部55は、例えば
図8に示すS20の処理の際に、第1負荷量と第1閾値との比較結果と、第2負荷量と第2閾値との比較結果に基づき、洗濯機本体MBの特性を推定する。特性推定部55は、例えば、第1負荷量が第1閾値以下であり、かつ、第2負荷量が第2閾値以下である場合(すなわち、最終的に7kgと判定される洗濯物が収容された状態で第1負荷量が第1閾値以下になる場合など)、当該機体はドラム14が回転しやすい特性を持つと推定し、その旨を示すデータを特性情報59cとして記憶部59に記憶する。特性推定部55は、例えば、第1負荷量が第1閾値よりも大きく、かつ、第2負荷量が第2閾値よりも大きい場合(すなわち、最終的に7kgと判定される洗濯物が収容された状態で第1負荷量が第1閾値よりも大きい場合など)、当該機体はドラム14が回転しにくい特性を持つと推定し、その旨を示すデータを特性情報59cとして記憶部59に記憶する。特性推定部55は、例えば、第1負荷量が第1閾値よりも大きく、かつ、第2負荷量が第2閾値よりも小さい場合と、第1負荷量が第1閾値以下であり、かつ、第2負荷量が第2閾値以上である場合は、当該機体はドラム14が通常の特性を持つと推定し、その旨を示すデータを特性情報59cとして記憶部59に記憶する。
【0070】
特性推定部55による推定結果は、例えば、次回の運転時に、
図8に示すS12の処理で布量ランクを決定する際に基準とする第1負荷量と各ランクとの対応関係を、回転しやすい場合の対応関係、通常の対応関係、または、回転しにくい場合の対応関係のいずれかから選択して、布量ランクを判定するために利用することができる。あるいは、
図8に示す次工程以降の動作で、例えばドラムモータ16の制御において加減速の設定を調節したり、負荷量の検出結果を補正したりするために利用することができる。また、洗濯機本体MBの特性は、「回転しやすい」、「通常」、および「回転しにくい」の3つに分けられる場合に限定されず、「回転しやすい」および「回転しにくい」の2つのみでもよい。
【0071】
特性推定部55は、例えば、毎回の運転で特性を推定して特性情報59cを更新することができる。また、制御部54は、次回の運転では、第1判定の結果と前回の運転で推定された特性とを用いて、洗い動作の内容(ドラムモータ16の回転数や洗い時間の長さなど)を決定し、第2判定の結果に基づき、すすぎ動作の内容、脱水動作の内容、乾燥動作の内容を決定することができる。
【0072】
本実施形態では、制御部54は、特性推定部55による特性の推定が行われた場合、次回の洗濯運転において、第1負荷量と特性推定部55により推定された特性とに基づき、給水量、洗剤の自動投入量、または洗い動作に関する制御を開始する。この態様によれば、運転を高精度に制御することができる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、
図10に示すように、洗濯機本体MBが例えばドラム14の周囲温度を検知する温度センサ63を備え、温度センサ63の出力が制御装置50に入力される点と、制御装置50が、更新タイミング判定部56を備える点と、特性推定部55による特性の推定が毎回の運転時ではなく、更新タイミング判定部56によって指示されたタイミングに限定される点で、第2実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第2実施形態の構成と同様である。
図10は、第3実施形態の制御装置50の機能構成を示すブロック図である。
【0074】
第3実施形態では、特性推定部55は、毎回の運転ではなく、更新タイミング判定部56によって指示されたタイミングで特性を推定して更新する。また、その後の運転では、制御部54は、第1判定の結果と前に推定された特性とを用いて、洗い動作の内容(ドラムモータ16の回転数や洗い時間の長さなど)および、その後のすすぎ動作の内容、脱水動作の内容、乾燥動作の内容を決定する。すなわち、第3実施形態では、第2負荷量を用いた第2判定は、毎回行われなくてもよい。
【0075】
更新タイミング判定部56が指示する推定された特性の更新のタイミングは、例えば、洗濯機本体MBの特性に関する前回の推定時と比べてドラム14の周囲温度(温度センサ63により検出された温度)が所定以上異なる場合、前回の推定時と季節(春夏秋冬)が異なる場合、または前回の推定時から所定日数が経過した場合などである。
【0076】
本実施形態によれば、特性推定部55は、洗濯機本体MBの特性に関する前回の推定時と比べてドラム14(水槽)の周囲温度が所定以上異なる場合、前回の推定時と季節が異なる場合、または前回の推定時から所定日数が経過した場合に、特性を推定し直す。この態様によれば、適切なタイミングで特性を推定して更新することができる。
【0077】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は、
図11に示すように、制御装置50が、アンバランス判定部57を備える点と、特性推定部55による特性の推定が毎回の運転時ではなく、更新タイミング判定部56によって指示されたタイミングと、アンバランス判定部57がアンバランス状態が発生したと判定したタイミングとに限定される点で、第3実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第3実施形態の構成と同様である。
図11は、第4実施形態の制御装置50の機能構成を示すブロック図である。
【0078】
第4実施形態では、特性推定部55は、更新タイミング判定部56によって指示されたタイミングに加え、アンバランス判定部57によってアンバランス判定が行われ、アンバランスと判定された場合に推定された特性の更新が行われる。アンバランスと判定されるような加速度が大きい場合、振動による衝撃でドラムモータ16の軸心がずれる可能性があり、ドラム14の回りやすさなどの特性に変化が生じる可能性があるが、本実施形態によれば、このような場合にすぐに特性を推定して更新することができる。
【0079】
アンバランス判定部57は、ドラム14内での洗濯物の位置に偏りがあるか否かを判定するアンバランス判定を行う。例えば、アンバランス判定部57は、脱水動作の間に加速度センサ61により検出される加速度(すなわち、水槽13の振動の大きさ)が閾値以上の場合に、ドラム14内での衣類の位置に偏りがあると判定する。アンバランス判定部57は、「偏り判定部」または「振動判定部」と称されてもよい。
【0080】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、ドラム14に水が貯められていない状態でのドラムモータ16の負荷量の検知(第1実施形態の布量第1検知)が脱水動作中または脱水後に行われる点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
図12は、第5実施形態の制御の流れを示すフローチャートである。
【0081】
第5実施形態では、
図12に示すように、洗い動作の開始前に、布量検知(S11)および布量ランクの決定(S12)が行われる。布量検知(S11)および布量ランクの決定(S12)は、第1実施形態の第1布量検知(S11)および布量ランクの決定(S12)と同様である。
【0082】
本実施形態では、洗い動作の開始後(S15)に布量第2検知が行われる(S16)。そして、洗い動作の終了後に、すすぎ動作(S31)およぎ脱水動作(S32)が行われる。ただし、すすぎ動作(S31)およぎ脱水動作(S32)は、S12の処理で求められた布量ランクに基づいて行われる。
【0083】
そして本実施形態では、脱水動作の動作中または脱水動作の完了後に、布量第3検知(S33)が行われる。布量第3検知は、ドラム14に水が貯められていない状態でのドラムモータ16の第1負荷量の検知であり、第1実施形態の布量第1検知に対応する処理である。その後の判定の流れは、第1実施形態のS18からS23の流れと同様である。本実施形態では、布量第2検知(S16)で求められた第2負荷量と、布量第3検知(S33)で求められた第1負荷量とに基づき、布量が精度良く判定され、その判定結果に基づき乾燥動作の内容が決定される。このような構成によれば、乾燥動作の内容をより適切にすることができる。
【0084】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、洗濯乾燥機1と、サーバ装置200とにより「洗濯機システムWS」の一例が構成される点で、第1実施形態とは異なる。なお以下に説明する以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0085】
図13は、第6実施形態の洗濯機システムWSを示す図である。洗濯機システムWSは、洗濯乾燥機1と、サーバ装置200とを含む。例えば、洗濯乾燥機1は、ユーザの住居に設けられた無線ルータRおよびモデムMを介してネットワークNWと接続される。洗濯乾燥機1は、ネットワークNWを介してサーバ装置200(例えばクラウドサーバ)と通信可能である。ただし、サーバ装置200は、クラウドサーバに限定されず、ユーザの住居に設けられたコンピュータなどでもよい。
【0086】
本実施形態では、サーバ装置200は、負荷検出部201および布量判定部202を有する。記憶部203は、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)などにより構成されている。本実施形態では、第1閾値情報204および第2閾値情報205は、サーバ装置200の記憶部203に記憶されている。負荷検出部201、布量判定部202、第1閾値情報204および第2閾値情報205は、
図1に示す負荷検出部51、布量判定部53、第1閾値情報59aおよび第2閾値情報59bにそれぞれ対応し、同一の機能を有する。
【0087】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、実施形態は上記例に限定されない。例えば、上述した実施形態は互いに組み合わされて実現されてもよい。布量の判定は、閾値と負荷量を比較する第1判定、第2判など等に限らず、所定の計算式に第1負荷量と第2負荷量を入れて計算してもよい。また、
図8と
図12に示すフローチャートでは、6kg~7kgのランク3の布量について、第1負荷量と第2負荷量を用いてさらに6kgと7kgを判別(どちらに近いのかを判別)する処理を行うこととした。ただし、布量に関する1つのランクに限らず、布量に関する複数のランク(例えば全てのランク)について第1負荷量と第2負荷量とを用いた精度の良い布量判定を行うようにしてもよい。
【0088】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、洗濯機システムは、水槽に水が貯められていない状態で洗濯槽が回転駆動されるときに検出されるモータの第1負荷量と、水槽に水が貯められた状態で洗濯槽が回転駆動されるときに検出されるモータの第2負荷量とに基づき、洗濯物の布量を判定する布量判定部を有する。このような構成によれば、利便性の向上を図ることができる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0090】
1…洗濯乾燥機(洗濯機システム)、MB…洗濯機本体、13…水槽(水受槽)、14…ドラム(洗濯槽)、16…ドラムモータ(モータ)、21…自動投入装置、50…制御装置、51、201…負荷検出部、52…布質判定部、53、202…布量判定部、54…制御部、55…特性推定部、56…更新タイミング判定部、57…アンバランス判定部、59、203…記憶部、61…加速度センサ、62…電流センサ、59a、204…第1閾値情報、59b、205…第2閾値情報、111…モータ制御部、112…自動投入装置制御部。