(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126287
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】二輪自動車用タイヤ対
(51)【国際特許分類】
B60C 9/18 20060101AFI20220823BHJP
B60C 9/06 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B60C9/18 J
B60C9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024276
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 恭介
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA34
3D131AA35
3D131AA36
3D131AA39
3D131AA44
3D131BC13
3D131BC23
3D131BC31
3D131BC42
3D131BC52
3D131DA01
3D131DA03
3D131DA09
3D131DA17
3D131DA30
3D131DA54
3D131DA57
(57)【要約】
【課題】乗り心地の向上に貢献できる二輪自動車用タイヤ対の提供。
【解決手段】タイヤ対はフロントタイヤ2とリアタイヤ52とからなる。フロントタイヤ2は、一対のビード18と、一方のビード18と他方のビード18との間を架け渡すカーカス10と、径方向においてカーカス10の外側に位置するトレッド4と、径方向においてトレッド4とカーカス10との間に位置するバンド14とを備える。カーカス10は並列した多数のカーカスコード30を含み、それぞれのカーカスコード30は赤道面に対して傾斜する。バンド14は実質的に周方向に延びるバンドコード34を含む。フロントタイヤ2のバンドコード34の曲げ剛性Jfの、リアタイヤ52のバンドコード84の曲げ剛性Jrに対する比(Jf/Jr)は0.0以上0.7未満である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントタイヤとリアタイヤとからなるタイヤ対であって、
前記フロントタイヤ及び前記リアタイヤのそれぞれが、
一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間を架け渡すカーカスと、径方向において前記カーカスの外側に位置するトレッドと、径方向において前記トレッドと前記カーカスとの間に位置するバンドとを備え、
前記カーカスが並列した多数のカーカスコードを含み、それぞれのカーカスコードが赤道面に対して傾斜し、
前記バンドが実質的に周方向に延びるバンドコードを含み、
前記フロントタイヤのバンドコードの曲げ剛性の、前記リアタイヤのバンドコードの曲げ剛性に対する比が0.0以上0.7未満である、
二輪自動車用タイヤ対。
【請求項2】
前記フロントタイヤのバンドコードの曲げ剛性が15.0g・cm未満であり、
前記リアタイヤのバンドコードの曲げ剛性が15.0g・cm以上40.0g・cm以下である、
請求項1に記載の二輪自動車用タイヤ対。
【請求項3】
前記フロントタイヤのバンドコードがアラミド繊維からなるコードであり、
前記リアタイヤのバンドコードがスチールコードである、
請求項1又は2に記載の二輪自動車用タイヤ対。
【請求項4】
前記フロンタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度が、前記リアタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度よりも小さい、
請求項1から3のいずれか一項に記載の二輪自動車用タイヤ対。
【請求項5】
前記フロンタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度が20°以上70°未満であり、
前記リアタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度が70°以上である、
請求項4に記載の二輪自動車用タイヤ対。
【請求項6】
前記フロントタイヤのバンドにおけるバンドコードの密度が、前記リアタイヤのバンドにおけるバンドコードの密度よりも高い、
請求項1から5のいずれか一項に記載の二輪自動車用タイヤ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪自動車用タイヤ対に関する。
【背景技術】
【0002】
二輪自動車用タイヤの構成要素として、螺旋状に巻かれたバンドコードを含むバンド(ジョイントレスバンド(JLB))が知られている。例えば、下記の特許文献1では、フロントタイヤ及びリアタイヤのそれぞれについて、バンドコードの強力及び空間率を調整することで、二輪自動車の操縦性及び安定性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ツーリングにおいてライダーは、長時間にわたって二輪自動車に乗車する。このような場合、ライダーは乗り心地を重視する。前述の特許文献1に開示されたタイヤ対では、操縦性及び安定性が重視されており、ライダーが求める乗り心地は得られない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、乗り心地の向上に貢献できる二輪自動車用タイヤ対の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、二輪自動車の乗り心地向上を目指し鋭意検討したところ、乗り心地の向上にはバンドコードの曲げ剛性に着目した検討が有効であること、そしてバンドコードの曲げ剛性が安定性確保にも貢献することを見出し、本発明を完成するに至っている。すなわち、本発明の一態様に係る二輪自動車用タイヤ対は、フロントタイヤとリアタイヤとからなる。前記フロントタイヤ及び前記リアタイヤのそれぞれは、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間を架け渡すカーカスと、径方向において前記カーカスの外側に位置するトレッドと、径方向において前記トレッドと前記カーカスとの間に位置するバンドとを備える。前記カーカスは並列した多数のカーカスコードを含み、それぞれのカーカスコードは赤道面に対して傾斜する。前記バンドは実質的に周方向に延びるバンドコードを含む。前記フロントタイヤのバンドコードの曲げ剛性の、前記リアタイヤのバンドコードの曲げ剛性に対する比は0.0以上0.7未満である。
【0007】
好ましくは、この二輪自動車用タイヤ対では、前記フロントタイヤのバンドコードの曲げ剛性が15.0g・cm未満であり、前記リアタイヤのバンドコードの曲げ剛性が15.0g・cm以上40.0g・cm以下である。
【0008】
好ましくは、この二輪自動車用タイヤ対では、前記フロントタイヤのバンドコードがアラミド繊維からなるコードであり、前記リアタイヤのバンドコードがスチールコードである。
【0009】
好ましくは、この二輪自動車用タイヤ対では、前記フロンタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度は、前記リアタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度よりも小さい。
【0010】
好ましくは、この二輪自動車用タイヤ対では、前記フロンタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度が20°以上70°未満であり、前記リアタイヤのカーカスコードが赤道面に対してなす角度が70°以上である。
【0011】
好ましくは、この二輪自動車用タイヤ対では、前記フロントタイヤのバンドにおけるバンドコードの密度は、前記リアタイヤのバンドにおけるバンドコードの密度よりも高い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乗り心地の向上と、安定性の確保とに貢献できる二輪自動車用タイヤ対が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ対を構成するフロントタイヤの一部を示す断面図である。
【
図2】
図2は、フロントタイヤにおけるカーカス及びバンドの構成を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、フロントタイヤのバンドの形成に用いられるストリップの一部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るタイヤ対を構成するリアタイヤの一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、リアタイヤにおけるカーカス及びバンドの構成を説明する概略図である。
【
図6】
図6は、バンドコードの曲げ剛性の測定方法を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて、本発明が詳細に説明される。
【0015】
本開示においては、タイヤを正規リムに組み、タイヤの内圧を正規内圧に調整し、このタイヤに荷重をかけない状態は、正規状態と称される。
【0016】
本開示においては、特に言及がない限り、タイヤ各部の寸法及び角度は、正規状態で測定される。正規リムにタイヤを組んだ状態で測定できない、タイヤの子午線断面における各部の寸法及び角度は、回転軸を含む平面に沿ってタイヤを切断することにより得られる、タイヤの断面において、左右のビード間の距離を、正規リムに組んだタイヤにおけるビード間の距離に一致させて、測定される。
【0017】
正規リムとは、タイヤが依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本開示におけるリムは、特に言及がない限り、正規リムを意味する。
【0018】
正規内圧とは、タイヤが依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
【0019】
正規荷重とは、タイヤが依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
【0020】
本発明の一実施形態に係る二輪自動車用タイヤ対は、二輪自動車の前輪に装着されるフロントタイヤと、後輪に装着されるリアタイヤとからなる。以下に、フロントタイヤ及びリアタイヤについて説明する。
【0021】
[フロントタイヤ]
図1は、フロントタイヤ2(以下、タイヤ2)の回転軸を含む平面に沿った、タイヤ2の断面(以下、子午線断面とも称される。)の一部を示す。
図1において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の径方向である。
図1の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の周方向である。
図1において、一点鎖線ELfはタイヤ2の赤道面である。
【0022】
図1において、軸方向に延びる実線BLfはビードベースラインである。ビードベースラインBLfは、このタイヤ2が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
【0023】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、インナーライナー12及びバンド14を備える。
【0024】
トレッド4は架橋ゴムからなる。トレッド4は、その外面において路面と接地する。トレッド4の外面はトレッド面16である。
図1に示された子午線断面において、トレッド面16は、その赤道面の部分が径方向外向きに突出するように湾曲する。トレッド4には、溝18が刻まれる。これにより、トレッドパターンが構成される。このトレッド4に、溝18が刻まれなくてもよい。
【0025】
図1において、符号Feで示される位置はトレッド面16の端である。両矢印TWfで示される長さはトレッド幅である。トレッド幅TWfは、一方のトレッド面16の端Feから他方のトレッド面16の端Feまでの軸方向距離で表される。このタイヤ2では、トレッド面16の端Feはタイヤ2の軸方向外端である。トレッド幅TWfはタイヤ2の最大幅でもある。
【0026】
それぞれのサイドウォール6は架橋ゴムからなる。サイドウォール6はトレッド4の端に連なる。サイドウォール6は径方向においてトレッド4の内側に位置する。サイドウォール6はカーカス10に沿って径方向に延びる。
【0027】
それぞれのビード8は、径方向においてサイドウォール6の内側に位置する。ビード8は、コア20とエイペックス22とを備える。図示されないが、コア20はスチール製のワイヤを含む。エイペックス22は径方向においてコア20の外側に位置する。エイペックス22は外向きに先細りである。エイペックス22は高い剛性を有する架橋ゴムからなる。
【0028】
カーカス10は、トレッド4及び一対のサイドウォール6の内側に位置する。カーカス10は、一方のビード8と他方のビード8との間を架け渡す。前述のトレッド4は、径方向においてカーカス10の外側に位置する。
【0029】
カーカス10は、少なくとも1枚のカーカスプライ24を含む。このタイヤ2のカーカス10は、2枚のカーカスプライ24で構成される。トレッド4の内側において径方向内側に位置するカーカスプライ24が第一カーカスプライ26であり、この第一カーカスプライ26の外側に位置するカーカスプライ24が第二カーカスプライ28である。
【0030】
第一カーカスプライ26は、一方のコア20と他方のコア20との間を架け渡す第一プライ本体26aと、この第一プライ本体26aに連なりそれぞれのコア20の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の第一折り返し部26bとを含む。
【0031】
第二カーカスプライ28は、一方のコア20と他方のコア20との間を架け渡す第二プライ本体28aと、この第二プライ本体28aに連なりそれぞれのコア20の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の第二折り返し部28bとを含む。
【0032】
図1において、両矢印HF1はビードベースラインBLfから第一折り返し部26bの端までの径方向距離である。距離HF1は第一折り返し部26bの高さである。両矢印HF2はビードベースラインBLfから第二折り返し部28bの端までの径方向距離である。距離HF2は第二折り返し部28bの高さである。このタイヤ2では、第一折り返し部26bの高さHF1は、第二折り返し部28bの高さHF2よりも高い。第一折り返し部26bの高さHF1が第二折り返し部28bの高さHF2よりも低くてもよい。
【0033】
図2には、後述するバンド14とともにカーカス10の構成が示される。
図2において、左右方向はタイヤ2の軸方向であり、上下方向はタイヤ2の周方向である。紙面に対して垂直な方向は、タイヤ2の径方向である。紙面の表側が径方向外側であり、裏側が径方向内側である。
【0034】
図2に示されるように、カーカス10を構成する各カーカスプライ24は並列した多数のカーカスコード30を含む。この
図2においては、説明の便宜のため、カーカスコード30は実線で表されるが、カーカスコード30はトッピングゴム32で覆われる。
【0035】
それぞれのカーカスコード30は赤道面に対して傾斜する。
図2に示されるように、第一カーカスプライ26におけるカーカスコード30の傾斜の向きは第二カーカスプライ28におけるカーカスコード30の傾斜の向きと逆向きである。
図2において、符号θ1fで示される角度は、第一カーカスプライ26におけるカーカスコード30が赤道面に対してなす角度である。符号θ2fで示される角度は、第二カーカスプライ28におけるカーカスコード30が赤道面に対してなす角度である。このタイヤ2では、傾斜角度θ1fと傾斜角度θ2fとは同じである。
【0036】
本開示においては、角度θ1fと角度θ2fとの平均値が、カーカスコード30が赤道面に対してなす角度θf(以下、カーカスコード30の傾斜角度θfとも称される。)として用いられる。後述する、リアタイヤのカーカスコードの傾斜角度θrもこのタイヤ2と同様に表される。
【0037】
カーカスコード30は有機繊維からなるコードである。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0038】
インナーライナー12はカーカス10の内側に位置する。インナーライナー12は、タイヤ2の内面を構成する。インナーライナー12は、気体透過係数が低い架橋ゴムからなる。インナーライナー12は、タイヤ2の内圧を保持する。
【0039】
バンド14は、径方向において、トレッド4とカーカス10との間に位置する。
図1に示されるように、バンド14はカーカス10に積層される。符号Bfで示される位置はバンド14の端である。両矢印BWfで示される長さはバンド14の幅である。バンド14の幅BWfは、一方のバンド14の端Bfから他方のバンド14の端Bfまでの軸方向距離で表される。このタイヤ2では、バンド14の幅BWfの、トレッド幅TWfに対する比(BWf/TWf)は0.80以上0.95以下である。
【0040】
バンド14は螺旋状に巻かれたバンドコード34を含む。
図2においては、説明の便宜のため、バンドコード34は実線で表されるが、バンドコード34はトッピングゴム36で覆われる。このタイヤ2では、バンドコード34は実質的に周方向に延びる。詳細には、バンドコード34が周方向に対してなす角度は5°以下である。バンド14はジョイントレスバンドとも称される。
【0041】
バンドコード34はスチールコード又は有機繊維からなるコードである。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0042】
バンド14の形成には、
図3のストリップ38が用いられる。ストリップ38はテープ状である。ストリップ38はバンドコード34とトッピングゴム36とからなる。ストリップ38において、トッピングゴム36は未加硫状態にある。ストリップ38は、その幅方向に並列した複数本のバンドコード34を含む。ストリップ38に含まれるバンドコード34の本数が1本であってもよい。詳述しないが、ストリップ38を周方向に螺旋状に巻き回すことで、バンド14は形成される。
【0043】
図示されないが、このタイヤ2の子午線断面に含まれるバンド14断面には、多数のバンドコード34の断面が1列に並ぶ。言い換えれば、このタイヤ2のバンド14は1枚のバンドプライからなる。
【0044】
このタイヤ2では、その子午線断面のうち、赤道面を中心とする幅10cmのゾーンにおいて得られる、バンド14断面の5cm幅当たりに含まれるバンドコード34の断面数がバンド14におけるバンドコード34の密度Dfとして表される。このバンドコード34の密度Dfの単位はエンズ/5cmである。後述する、リアタイヤのバンドコードの密度Drも、このタイヤ2と同様に表される。
【0045】
このタイヤ2では、耐パンク性の確保の観点から、バンド14におけるバンドコード34の密度Dfは30エンズ/5cm以上が好ましい。軽量化の観点から、バンドコード34の密度Dfは50エンズ/5cm以下が好ましい。
【0046】
[リアタイヤ]
図4は、リアタイヤ52(以下、タイヤ52)の子午線断面の一部を示す。
図4において、左右方向はタイヤ52の軸方向であり、上下方向はタイヤ52の径方向である。
図4の紙面に対して垂直な方向は、タイヤ52の周方向である。
図4において、一点鎖線ELrはタイヤ52の赤道面である。
【0047】
図4において、軸方向に延びる実線BLrはビードベースラインである。ビードベースラインBLrは、このタイヤ52が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA等参照)を規定する線である。
【0048】
このタイヤ52は、トレッド54、一対のサイドウォール56、一対のビード58、カーカス60、インナーライナー62及びバンド64を備える。
【0049】
トレッド54は架橋ゴムからなる。トレッド54は、そのトレッド面66において路面と接地する。子午線断面において、トレッド面66は、その赤道面の部分が径方向外向きに突出するように湾曲する。トレッド54には、溝68が刻まれる。これにより、トレッドパターンが構成される。このトレッド54に、溝68が刻まれなくてもよい。
【0050】
図4において、符号Reで示される位置はトレッド面66の端である。両矢印TWrで示される長さはトレッド幅である。このタイヤ52においても、トレッド面66の端Reはタイヤ52の軸方向外端である。
【0051】
それぞれのサイドウォール56は架橋ゴムからなる。サイドウォール56はトレッド54の端に連なる。サイドウォール56は径方向においてトレッド54の内側に位置する。サイドウォール56はカーカス60に沿って径方向に延びる。
【0052】
それぞれのビード58は、径方向においてサイドウォール56の内側に位置する。ビード58は、コア70とエイペックス72とを備える。図示されないが、コア70はスチール製のワイヤを含む。エイペックス72は径方向においてコア70の外側に位置する。エイペックス72は外向きに先細りである。エイペックス72は高い剛性を有する架橋ゴムからなる。
【0053】
カーカス60は、トレッド54及び一対のサイドウォール56の内側に位置する。カーカス60は、一方のビード58と他方のビード58との間を架け渡す。前述のトレッド54は、径方向においてカーカス60の外側に位置する。
【0054】
カーカス60は、少なくとも1枚のカーカスプライ74を含む。このタイヤ52のカーカス60は、2枚のカーカスプライ74、すなわち、第一カーカスプライ76及び第二カーカスプライ78で構成される。
【0055】
第一カーカスプライ76は、一方のコア70と他方のコア70との間を架け渡す第一プライ本体76aと、この第一プライ本体76aに連なりそれぞれのコア70の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の第一折り返し部76bとを含む。
【0056】
第二カーカスプライ78は、一方のコア70と他方のコア70との間を架け渡す第二プライ本体78aと、この第二プライ本体78aに連なりそれぞれのコア70の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返される一対の第二折り返し部78bとを含む。
【0057】
図1において、両矢印HR1は第一折り返し部76bの高さである。両矢印HR2は第二折り返し部78bの高さである。このタイヤ52では、第一折り返し部76bの高さHR1は、第二折り返し部78bの高さHR2よりも高い。第一折り返し部76bの高さHR1が第二折り返し部78bの高さHR2よりも低くてもよい。
【0058】
図5には、後述するバンド64とともにカーカス60の構成が示される。
図5において、左右方向はタイヤ52の軸方向であり、上下方向はタイヤ52の周方向である。紙面に対して垂直な方向は、タイヤ52の径方向である。紙面の表側が径方向外側であり、裏側が径方向内側である。
【0059】
図5に示されるように、各カーカスプライ74は並列した多数のカーカスコード80を含む。この
図5においても、説明の便宜のため、カーカスコード80は実線で表されるが、カーカスコード80はトッピングゴム82で覆われる。
【0060】
それぞれのカーカスコード80は赤道面に対して傾斜する。
図5に示されるように、第一カーカスプライ76におけるカーカスコード80の傾斜の向きは第二カーカスプライ78におけるカーカスコード80の傾斜の向きと逆向きである。
図5において、符号θ1rで示される角度は、第一カーカスプライ76におけるカーカスコード80が赤道面に対してなす角度である。符号θ2rで示される角度は、第二カーカスプライ78におけるカーカスコード80が赤道面に対してなす角度である。このタイヤ52では、傾斜角度θ1rと傾斜角度θ2rとは同じである。
【0061】
このタイヤ52では、カーカスコード80は有機繊維からなるコードである。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0062】
インナーライナー62はカーカス60の内側に位置する。インナーライナー62は、タイヤ52の内面を構成する。インナーライナー62は、気体透過係数が低い架橋ゴムからなる。インナーライナー62は、タイヤ52の内圧を保持する。
【0063】
バンド64は、径方向において、トレッド54とカーカス60との間に位置する。
図4に示されるように、バンド64はカーカス60に積層される。このバンド64は、フロントタイヤ2のバンド14と同様、1枚のバンドプライからなる。
【0064】
図4において、符号Brで示される位置はバンド64の端である。両矢印BWrで示される長さはバンド64の幅である。このタイヤ52では、バンド64の幅BWrの、トレッド幅TWrに対する比(BWr/TWr)は0.80以上0.95以下である。
【0065】
バンド64は螺旋状に巻かれたバンドコード84を含む。
図5においても、説明の便宜のため、バンドコード84は実線で表されるが、このバンドコード84はトッピングゴム86で覆われる。このタイヤ52では、バンドコード84は実質的に周方向に延びる。詳細には、バンドコード84が周方向に対してなす角度は5°以下である。
【0066】
バンドコード84はスチールコード又は有機繊維からなるコードである。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0067】
図示されないが、バンド64の形成には、フロントタイヤ2のバンド14と同様、ストリップが用いられる。詳述しないが、ストリップを周方向に螺旋状に巻き回すことで、バンド64は形成される。
【0068】
このタイヤ52では、耐パンク性の確保の観点から、バンド64におけるバンドコード84の密度Drは30エンズ/5cm以上が好ましい。軽量化の観点から、バンドコード84の密度Drは50エンズ/5cm以下が好ましい。
【0069】
[タイヤ対]
本発明者は、二輪自動車の乗り心地向上を目指し鋭意検討したところ、乗り心地の向上にはバンドコードの曲げ剛性に着目した検討が有効であること、そしてバンドコードの曲げ剛性が安定性確保にも貢献することを見出し、本発明を完成するに至っている。
【0070】
本開示において、バンドコードの曲げ剛性は、+15度での曲げモーメントと―15度での曲げモーメントとの平均値である。曲げ剛性の単位はg・cmであり、曲げ剛性は小数点以下二桁目を四捨五入した値で表される。バンドコードの曲げ剛性が測定できないほど小さい場合には、このバンドコードの曲げ剛性は0.0g・cmで表される。+15度での曲げモーメントと―15度での曲げモーメントとは、例えば、TABER社(米国)製の剛性試験機(例えば150-D型)を用いて次のようにして得られる。
タイヤのバンドからバンドコード(長さ=145mm)がサンプリングされる。
図6に示されるように、バンドコード(
図6の符号B)の両端がクランプ(
図6の符号K)に取り付けられる。
一方のクランプKに対して他方のクランプKを移動させて、バンドコードBに+15度、-15度の曲げ角度が付与される。
+15度の曲げ角度を付与した時の曲げモーメントが+15度での曲げモーメントとして、-15度の曲げ角度を付与した時の曲げモーメントが-15度での曲げモーメントとして得られる。
【0071】
タイヤ単体において、低い曲げ剛性を有するバンドコードは、乗り心地の向上に貢献する。バンドコードの曲げ剛性が過剰に低いと、高い荷重がタイヤに負荷されたとき、タイヤは大きく変形する。大きな変形量を有するタイヤは安定性を低下させる。
二輪自動車においては、構造上、車体の後輪側は前輪側よりも重い。高速走行時においては揚力が作用するので、後輪側はさらに重くなる。このため、後輪に装着されるリアタイヤのバンドコードは一定以上の曲げ剛性を有する必要がある。
このように、タイヤ単体において、バンドコードの曲げ剛性を調整しても、乗り心地と安定性とをバランスよく整えることは難しい。
【0072】
そこで、本発明者は、乗り心地に対してはフロントタイヤの貢献度が高く、安定性に対してはリアタイヤの貢献度が高いことに着目し、鋭意検討したところ、フロントタイヤに低い曲げ剛性を有するバンドコードを用い、リアタイヤに高い曲げ剛性を有するバンドコードを用いることで、タイヤ対として、乗り心地と安定性とがバランスよく整えられるという知見と、そして、フロントタイヤのバンドコードの曲げ剛性の、リアタイヤのバンドコードの曲げ剛性に対する比を0.7以上に設定すると、フロントタイヤが原因で乗り心地が低下し、リアタイヤが原因で安定性が低下するという知見とを見出したのである。
【0073】
つまり、このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンドコード34の曲げ剛性Jfの、リアタイヤ52のバンドコード84の曲げ剛性Jrに対する比(Jf/Jr)は0.0以上0.7未満である。このタイヤ対では、フロントタイヤ2が乗り心地の向上に貢献し、リアタイヤ52が安定性の確保に貢献する。このフロントタイヤ2とリアタイヤ52とからなるタイヤ対によれば、良好な乗り心地と安定性とが得られる。このタイヤ対では、タイヤ単体でのバンドコードのチューニングでは達成できなかった、乗り心地の向上と安定性の確保とが達成できる。
【0074】
このタイヤ対では、好ましくは、フロントタイヤ2のバンドコード34の曲げ剛性Jfは15.0g・cm未満であり、リアタイヤ52のバンドコード84の曲げ剛性Jrは15.0g・cm以上40.0g・cm以下である。
【0075】
フロントタイヤ2のバンドコード34の曲げ剛性Jfが15.0g・cm未満に設定されることにより、フロントタイヤ2を起因とする乗り心地の低下が抑制される。この観点から、曲げ剛性Jfは10.0g・cm以下がより好ましい。乗り心地の観点において、曲げ剛性Jfは低いほど好ましいので、曲げ剛性Jfの好ましい下限は設定されない。
【0076】
リアタイヤ52のバンドコード84の曲げ剛性Jrが15.0g・cm以上に設定されることにより、リアタイヤ52が起因とする安定性の低下が抑制される。そして、曲げ剛性Jrが40.0g・cm以下に設定されることにより、リアタイヤ52が起因とする乗り心地の低下が抑制される。この観点から、曲げ剛性Jrは30g・cm以下がより好ましい。
【0077】
良好な乗り心地と安定性が得られる観点から、より好ましくは、フロントタイヤ2のバンドコード34の曲げ剛性Jfは10.0g・cm以下であり、リアタイヤ52のバンドコード84の曲げ剛性Jrは15.0g・cm以上30.0g・cm以下である。
【0078】
前述したように、フロントタイヤ2のバンドコード34はスチールコード又は有機繊維からなるコードである。このバンドコード34は低い曲げ剛性Jfを有するように構成されるので、バンドコード34としてスチールコードを用いる場合、細径のスチールコードが使用される。この場合、バンドコード34の強力が低下するので、フロントタイヤ2の耐水圧破壊強度が所定の基準をクリアできない恐れがある。有機繊維からなるコードとして、アラミド繊維以外の有機繊維からなるコードをバンドコード34として用いる場合には、バンド14による拘束力が不足し、高速安定性が低下する恐れがある。バンド14に起因する、耐水圧破壊強度及び高速安定性の低下を防止する観点から、このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンドコード34はアラミド繊維からなるコードであるのが好ましい。なお、タイヤの耐水圧破壊強度を確認することで、タイヤの内部に空気を過充填した場合のタイヤの耐久性が把握できる。
【0079】
前述したように、リアタイヤ52のバンドコード84はスチールコード又は有機繊維からなるコードである。このバンドコード84は高い曲げ剛性Jrを有するので、バンドコード84として有機繊維からなるコードを用いる場合、太径の有機繊維からなるコードが使用される。この場合、バンド64に占めるバンドコード84の割合が増加し、バンドコード84を覆うトッピングゴム86の量が低下する。十分な量のトッピングゴム86でバンドコード84を覆うことができない場合、トッピングゴム86がバンドコード84から剥がれやすく、リアタイヤ52の耐久性が低下する恐れがある。バンド64に起因する、耐久性の低下を防止する観点から、このタイヤ対では、リアタイヤ52のバンドコード84はスチールコードであるのが好ましい。
【0080】
このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンド14には低い曲げ剛性Jfを有するバンドコード34が用いられるので、フロントタイヤ2にスリップ角が付いた際の応力が低下する。応力の低下の程度によっては旋回性が損なわれる恐れがある。
しかし、このタイヤ対では、フロントタイヤ2のカーカスコード30の傾斜角度θfはリアタイヤ52のカーカスコード80の傾斜角度θrよりも小さい。小さな傾斜角度θfはフロントタイヤ2にスリップ角が付いた際の応力を高めるので、フロントタイヤ2の旋回力がリアタイヤ52の旋回力よりも高まる。このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンド14に低い曲げ剛性Jfを有するバンドコード34を用いているにもかかわらず、二輪自動車の旋回性が向上する。この観点から、フロントタイヤ2のカーカスコード30の傾斜角度θfはリアタイヤ52のカーカスコード80の傾斜角度θrよりも小さいのが好ましい。具体的には、リアタイヤ52のカーカスコード80の傾斜角度θrと、フロントタイヤ2のカーカスコード30の傾斜角度θfとの差(θr-θf)は、5°以上が好ましく、8°以上がより好ましい。この差(θr-θf)は、25°以下が好ましく、20°以下がより好ましい。
【0081】
このタイヤ対では、フロントタイヤ2のカーカスコード30の傾斜角度θfが20°以上70°未満であり、リアタイヤ52のカーカスコード80の傾斜角度θrが70°以上であるのが好ましい。
【0082】
傾斜角度θfが20°以上に設定されることにより、フロントタイヤ2におけるカーカス10の剛性が適切に維持されるので、良好な乗り心地が維持される。この観点から、傾斜角度θfは30°以上がより好ましく、40°以上がさらに好ましい。そして、傾斜角度θfが70°未満に設定されることにより、カーカス10が旋回性の向上に貢献する。この観点から、傾斜角度θfは68°以下がより好ましく、65°以下がさらに好ましい。
【0083】
傾斜角度θrが70°以上に設定されることにより、リアタイヤ52におけるカーカス60の剛性が適切に維持される。リアタイヤ52による旋回性への貢献と、フロントタイヤ2による旋回性への貢献とがバランスよく整えられるので、二輪自動車においては良好な軽快性が維持される。このタイヤ対は、旋回性の向上に効果的に貢献できる。この観点から、傾斜角度θrは72°以上がより好ましく、80°以上がさらに好ましい。この傾斜角度θrの上限は90°である。
【0084】
バンドにおけるバンドコードの密度は、タイヤにスリップ角が付いた際の応力に影響する。バンドコードの密度が高いほど、タイヤにスリップ角が付いた際、大きな応力が発生する。大きな応力は、タイヤの旋回力の向上に貢献する。
【0085】
このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンド14におけるバンドコード34の密度Dfは、リアタイヤ52のバンド64におけるバンドコード84の密度Drよりも高い。このため、フロントタイヤ2の旋回力がリアタイヤ52の旋回力よりも高まる。このタイヤ対では、フロントタイヤ2のバンド14に低い曲げ剛性Jfを有するバンドコード34を用いているにもかかわらず、二輪自動車の旋回性が向上する。この観点から、フロントタイヤ2のバンド14におけるバンドコード34の密度Dfは、リアタイヤ52のバンド64におけるバンドコード84の密度Drよりも高いのが好ましい。具体的には、フロントタイヤ2のバンド14におけるバンドコード34の密度Dfの、リアタイヤ52のバンド64におけるバンドコード84の密度Drに対する比(Df/Dr)は、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましい。フロントタイヤ2の剛性とリアタイヤ52の剛性とがバランスよく整えられる観点から、この比(Df/Dr)は1.4以下が好ましく、1.3以下がより好ましい。
【0086】
以上説明したように、本発明によれば、乗り心地の向上と、安定性の確保とに貢献できる二輪自動車用タイヤ対が得られる。
【実施例0087】
以下、実施例などにより、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0088】
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えたフロントタイヤ(120/70ZR17)と、
図4に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えたリアタイヤ(180/55ZR17)とからなる、二輪自動車用タイヤ対を得た。
実施例1のフロントタイヤでは、バンドコードにはアラミド繊維からなるコードを使用した。このことが表1のF欄のバンドコードに「K」として表されている。バンドコードの曲げ剛性Jf及び密度Df、並びに、カーカスコードの傾斜角度θfは、下記の表1に示される通りである。
このフロントタイヤでは、カーカスコードにはレーヨン繊維からなるコードを使用した。カーカスコードの構成は、1840dtex/2であった。第一折り返し部の高さHF1は45mmであり、第二折り返し部の高さHF2は20mmであった。
実施例1のリアタイヤでは、バンドコードにはスチールコードを使用した。このことが表1のR欄のバンドコードに「S」として表されている。バンドコードの曲げ剛性Jr及び密度Dr、並びに、カーカスコードの傾斜角度θrは、下記の表1に示される通りである。
このリアタイヤでは、カーカスコードにはレーヨン繊維からなるコードを使用した。カーカスコードの構成は、1840dtex/2であった。第一折り返し部の高さHR1は50mmであり、第二折り返し部の高さHR2は30mmであった。
【0089】
[実施例2]
リアタイヤのカーカスコードの傾斜角度θrを下記の表1に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤ対を得た。
【0090】
[実施例3]
フロントタイヤのカーカスコードの傾斜角度θfを下記の表1に示される通りとした他は実施例2と同様にして、実施例3のタイヤ対を得た。
【0091】
[実施例4]
フロントタイヤのバンドコードの密度Dfを下記の表1に示される通りとした他は実施例3と同様にして、実施例4のタイヤ対を得た。
【0092】
[実施例5-10及び比較例1-3]
フロントタイヤのバンドコードの仕様と、リアタイヤのバンドコードの仕様とを下記の表1及び2に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5-10及び比較例1-3のタイヤ対を得た。
【0093】
[操縦安定性]
フロントタイヤをリム(MT3.50×17)に組み、空気を充填してタイヤの内圧を250kPaに調整した。リアタイヤをリム(MT5.50×17)に組み、空気を充填してタイヤの内圧を290kPaに調整した。
フロントタイヤ及びリアタイヤを大型二輪自動車(排気量=1300cc)に装着した。ドライアスファルト路面のテストコースで二輪自動車を走行させて、乗り心地、安定性及び旋回性について、テストライダーによる官能評価(5点法)を行った。その結果が、下記の表1及び2に指数で示されている。表1及び2の操縦安定性の欄には、各項目の指数の合計値が記載されている。数値が大きいほど好ましい。
【0094】
[耐久性]
ドラム試験機上で試作タイヤ(リアタイヤ)を下記の条件で走行させた。走行後の各コードの破断状態、そして各部材の剥離状態を目視で確認した。その結果が、下記の表1及び2に指数で示されている。数値が大きいほど、タイヤは耐久性に優れる。
リム:MT5.50×17
内圧:235kPa
速度:80km/h
縦荷重:4.41kN
走行距離:16000km
【0095】
[耐水圧破壊強度]
試作タイヤ(フロントタイヤ)をリム(MT3.50×17)に組み、タイヤの内部に水を充填することでタイヤの内圧を上昇させ、タイヤを破壊した。タイヤが破壊した時の圧力を計測した。その結果が下記の表1及び2に指数で示されている。数値が大きいほど、タイヤの耐水圧破壊強度は高い。
【0096】
【0097】
【0098】
表1-2に示されるように、実施例のタイヤ対は、乗り心地の向上と安定性の確保とに貢献できることが確認されている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。