(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126288
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】咀嚼改善提案システム、咀嚼改善提案プログラム、及び咀嚼改善提案方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20220823BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/11 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024278
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100143373
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 裕人
(72)【発明者】
【氏名】金田 健
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VB05
4C038VB34
4C038VC05
5L099AA04
5L099AA15
5L099AA22
5L099AA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる咀嚼改善提案システム、咀嚼改善提案プログラム及び咀嚼改善提案方法を提供する。
【解決手段】咀嚼改善提案システム1において、制御部2は、ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する咀嚼関連情報取得部21と、咀嚼関連情報に基づいて、ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する改善行動判断部22と、改善行動判断部22によって判断された改善行動を報知する報知部23と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案システムであって、
前記ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する咀嚼関連情報取得部と、
前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する改善行動判断部と、
前記改善行動判断部によって判断された改善行動を報知する報知部とを備える咀嚼改善提案システム。
【請求項2】
前記咀嚼関連情報は、所定の測定方法により前記ユーザから測定された測定情報を含む請求項1に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項3】
前記測定方法は、オーラルディアドコキネシス、静止画撮影、動画撮影、咬合圧測定、舌圧測定、口唇閉鎖力測定、筋電図測定、口腔水分測定、咀嚼加速度測定、咀嚼関連位置測定、及び呼気の臭気測定のうち少なくとも一つである請求項2に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項4】
前記咀嚼関連情報は、前記ユーザが回答したユーザ情報をさらに含む請求項2又は3に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項5】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含む請求項4に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項6】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの性別に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含む請求項4に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項7】
前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢及び性別に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含む請求項4に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項8】
前記咀嚼関連情報取得部は、前記ユーザ情報に基づいて前記測定方法を選択し、前記選択された測定方法に基づく前記測定情報を前記咀嚼関連情報としてさらに取得する請求項4~7のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項9】
前記改善行動判断部は、前記属性情報に基づいて前記改善行動の判断を調整する請求項5~7のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項10】
前記ユーザ情報は、歯の本数に関する情報、咀嚼に関わる症状に関する情報、及び生活習慣に関わる情報のうち少なくとも一つを含む請求項4~9のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項11】
前記改善行動は、所定の食品を咀嚼すること、所定の訓練用器具による咀嚼訓練、所定の咀嚼訓練体操、咀嚼指導に基づく咀嚼訓練、及び歯科医の受診のうち少なくとも一つを含む請求項1~10のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項12】
前記改善行動は、所定の食品を咀嚼することを含み、
前記改善行動判断部は、さらに、前記改善行動として、前記食品として適切な、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを判断する請求項11に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項13】
前記改善行動判断部は、さらに、前記改善行動として、前記食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる前記食品の量のうち少なくとも一つを判断する請求項12に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項14】
前記改善行動判断部は、
前記食品の種類、量、及び大きさのうち少なくとも一つを食品情報として取得し、
前記咀嚼関連情報及び前記食品情報に基づいて、前記改善行動として、前記食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる前記食品の量のうち少なくとも一つを判断する請求項12に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項15】
前記改善行動判断部は、前記食品情報を、前記食品を撮像した画像から取得する請求項14に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項16】
前記報知部は、前記ユーザの生活パターンを示す生活パターン情報を取得し、当該生活パターン情報に基づいて、前記改善行動を報知するタイミングを決定する請求項1~15のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項17】
前記咀嚼関連情報は複数あり、
前記各咀嚼関連情報には、前記咀嚼運動の改善すべき課題として予め設定された複数の改善課題のそれぞれに対応して、影響度が数値化された重みが設定されており、
前記改善行動判断部は、前記複数の咀嚼関連情報のうち問題ありと判断された咀嚼関連情報の前記重みを、前記複数の改善課題毎に合計し、その合計値が最も大きい改善課題を判定し、前記判定された改善課題に基づき前記改善行動を判断する請求項1~16のいずれか1項に記載の咀嚼改善提案システム。
【請求項18】
ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案プログラムであって、
咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する咀嚼関連情報取得部、
前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する改善行動判断部、及び、
前記改善行動判断部によって判断された改善行動を報知する報知部としてコンピュータを機能させる咀嚼改善提案プログラム。
【請求項19】
ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案方法であって、
(1)前記ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得し、
(2)前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断し、
前記(2)で判断された改善行動を報知する咀嚼改善提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案システム、咀嚼改善提案プログラム、及び咀嚼改善提案方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食べ物を噛むことや嚥下行動、唾液の分泌等は、脳および全身への影響が大きく、心身の健康および健康寿命に大きく影響を及ぼす。口腔および咽頭領域の健康を維持、向上させることで、結果的に健康寿命も延びるといわれている。
【0003】
とくに、歯応えのある食事の十分な咀嚼は、心身の成長の促進、脳の活性化、運動機能の向上、肥満の抑制、老化の抑制、社会性の維持につながるなど、健康寿命の延伸に効果があるとされている。咀嚼回数の少ない食事の摂取などの不十分な咀嚼は、発達期の子供の咀嚼機能の低下、高齢者のオーラルフレイルへ繋がることが知られている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】小林義典,依頼論文 咬合・咀嚼が創る健康寿命,日補綴会誌Ann Jpn Prosthodont Soc3,p189-219,2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、咀嚼運動が、健康に影響を与えることは知られているものの、専門知識のないユーザが、どのように自分の咀嚼運動を改善すべきかを判断したりすることは困難である。また、咀嚼運動は、通常無意識に行われるため、ユーザが無意識の咀嚼運動を改善することは容易でない。
【0006】
本発明の目的は、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる咀嚼改善提案システム、咀嚼改善提案プログラム、及び咀嚼改善提案方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る咀嚼改善提案システムは、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案システムであって、前記ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する咀嚼関連情報取得部と、前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する改善行動判断部と、前記改善行動判断部によって判断された改善行動を報知する報知部とを備える。
【0008】
また、本発明に係る咀嚼改善提案プログラムは、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案プログラムであって、咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する咀嚼関連情報取得部、前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する改善行動判断部、及び、前記改善行動判断部によって判断された改善行動を報知する報知部としてコンピュータを機能させる。
【0009】
また、本発明に係る咀嚼改善提案方法は、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行う咀嚼改善提案方法であって、(1)前記ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得し、(2)前記咀嚼関連情報に基づいて、前記ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断し、前記(2)で判断された改善行動を報知する。
【0010】
これらの構成によれば、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる。
【0011】
また、前記咀嚼関連情報は、所定の測定方法により前記ユーザから測定された測定情報を含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザから測定された客観的な測定情報に基づいて改善行動が判断されるので、改善行動の判断精度が向上する。
【0013】
また、前記測定方法は、オーラルディアドコキネシス、静止画撮影、動画撮影、咬合圧測定、舌圧測定、口唇閉鎖力測定、筋電図測定、口腔水分測定、咀嚼加速度測定、咀嚼関連位置測定、及び呼気の臭気測定のうち少なくとも一つであることが好ましい。
【0014】
オーラルディアドコキネシス、静止画撮影、動画撮影、咬合圧測定、舌圧測定、口唇閉鎖力測定、筋電図測定、口腔水分測定、咀嚼加速度測定、咀嚼関連位置測定、及び呼気の臭気測定は、改善行動を判断するための測定方法として好適である。
【0015】
また、前記咀嚼関連情報は、前記ユーザが回答したユーザ情報をさらに含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ユーザが回答した主観的な情報を含むユーザ情報に基づいて改善行動が判断されるので、改善行動の判断精度が向上する。
【0017】
また、前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含むことが好ましい。
【0018】
ユーザの年齢に関する属性情報と、属性情報以外の回答情報は、改善行動を判断するための情報として好適である。
【0019】
また、前記ユーザ情報は、前記ユーザの性別に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含むことが好ましい。
【0020】
ユーザの性別に関する属性情報と、属性情報以外の回答情報は、改善行動を判断するための情報として好適である。
【0021】
また、前記ユーザ情報は、前記ユーザの年齢及び性別に関する属性情報と、前記属性情報以外の回答情報とを含むことが好ましい。
【0022】
ユーザの年齢及び性別に関する属性情報と、属性情報以外の回答情報は、改善行動を判断するための情報として好適である。
【0023】
また、前記咀嚼関連情報取得部は、前記ユーザ情報に基づいて前記測定方法を選択し、前記選択された測定方法に基づく前記測定情報を前記咀嚼関連情報としてさらに取得することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、ユーザ情報に基づいて測定方法が選択されるので、ユーザの咀嚼機能の改善に適した測定情報を得ることが容易となる。
【0025】
また、前記改善行動判断部は、前記属性情報に基づいて前記改善行動の判断を調整することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、ユーザの属性情報に基づいて改善行動の判断が調整されるので、改善行動の判断精度が向上する。
【0027】
また、前記ユーザ情報は、歯の本数に関する情報、咀嚼に関わる症状に関する情報、及び生活習慣に関わる情報のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0028】
歯の本数に関する情報、咀嚼に関わる症状に関する情報、及び生活習慣に関わる情報の各情報は、改善行動を判断するための情報として好適である。
【0029】
また、前記改善行動は、所定の食品を咀嚼すること、所定の訓練用器具による咀嚼訓練、所定の咀嚼訓練体操、咀嚼指導に基づく咀嚼訓練、及び歯科医の受診のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0030】
所定の食品を咀嚼すること、所定の訓練用器具による咀嚼訓練、所定の咀嚼訓練体操、咀嚼指導に基づく咀嚼訓練、及び歯科医の受診は、ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動として好適である。
【0031】
また、前記改善行動は、所定の食品を咀嚼することを含み、前記改善行動判断部は、さらに、前記改善行動として、前記食品として適切な、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを判断することが好ましい。
【0032】
この構成によれば、適切な、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを満たす食品を咀嚼することが改善行動として提案されるから、ユーザがこの提案に沿った食品を咀嚼することによって、効果的な咀嚼機能の改善が期待できる。
【0033】
また、前記改善行動判断部は、さらに、前記改善行動として、前記食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる前記食品の量のうち少なくとも一つを判断することが好ましい。
【0034】
この構成によれば、食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる前記食品の量のうち少なくとも一つが改善行動として提案されるから、ユーザがこの提案に沿った食べ方をすることによって、効果的な咀嚼機能の改善が期待できる。
【0035】
また、前記改善行動判断部は、前記食品の種類、量、及び大きさのうち少なくとも一つを食品情報として取得し、前記咀嚼関連情報及び前記食品情報に基づいて、前記改善行動として、前記食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる前記食品の量のうち少なくとも一つを判断することが好ましい。
【0036】
この構成によれば、ユーザが準備した食品を食べる際に、その食品の種類、量、及び大きさのうち少なくとも一つを改善行動判断部が食品情報として取得することによって、ユーザが準備した食品を食べる際、咀嚼機能の改善が期待できる食品の食べ方を提案することができる。
【0037】
また、前記改善行動判断部は、前記食品情報を、前記食品を撮像した画像から取得することが好ましい。
【0038】
この構成によれば、ユーザが準備した食品を食べる際に、その食品を撮像するだけで、改善行動判断部が食品情報を取得することができる。
【0039】
また、前記報知部は、前記ユーザの生活パターンを示す生活パターン情報を取得し、当該生活パターン情報に基づいて、前記改善行動を報知するタイミングを決定する
【0040】
この構成によれば、ユーザが改善行動を行うのに適切なタイミングで、ユーザが改善行動を行うことができる。
【0041】
また、前記咀嚼関連情報は複数あり、前記各咀嚼関連情報には、前記咀嚼運動の改善すべき課題として予め設定された複数の改善課題のそれぞれに対応して、影響度が数値化された重みが設定されており、前記改善行動判断部は、前記複数の咀嚼関連情報のうち問題ありと判断された咀嚼関連情報の前記重みを、前記複数の改善課題毎に合計し、その合計値が最も大きい改善課題を判定し、前記判定された改善課題に基づき前記改善行動を判断することが好ましい。
【0042】
この構成によれば、改善行動判断部は、複数の咀嚼関連情報に基づき、改善行動を判断することができる。
【発明の効果】
【0043】
このような構成の咀嚼改善提案システム、咀嚼改善提案プログラム、及び咀嚼改善提案方法は、ユーザの咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の一実施形態に係る咀嚼改善提案方法を用いる咀嚼改善提案システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】時間的変化情報の一例を簡略化して模式的に示したグラフである。
【
図3】右噛みの咀嚼運動経路の一例を簡略化して模式的に示した説明図である。
【
図4】左噛みの咀嚼運動経路の一例を簡略化して模式的に示した説明図である。
【
図5】
図1に示す咀嚼改善提案システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】咀嚼関連情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】ユーザの年齢と、ユーザの時期とを対応付けて説明する説明図である。
【
図8】測定方法の選択方法の一例を説明するための説明図である。
【
図9】測定方法の選択方法の一例を説明するための説明図である。
【
図10】改善行動判断処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】回答情報を評価するためのルックアップテーブルの一例を示す説明図である。
【
図12】測定情報を評価するためのルックアップテーブルの一例を示す説明図である。
【
図13】回答情報の評価結果と測定情報の評価結果とから、改善課題を判定する方法の一例を説明するための説明図である。
【
図14】改善課題と改善行動とを対応付けるルックアップテーブルの一例を示す説明図である。
【
図15】生活パターン情報の一例を示す説明図である。
【
図16】
図5に示す咀嚼改善提案システムの動作の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る咀嚼改善提案方法を用いる咀嚼改善提案システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0046】
図1に示す咀嚼改善提案システム1は、制御部2、記憶部3、カメラ4、タッチパネルディスプレイ5、スピーカ6、及びマイク7を備える。咀嚼改善提案システム1は、例えば、いわゆるスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等によって、構成することができる。なお、咀嚼改善提案システム1は、カメラ4、タッチパネルディスプレイ5、及びスピーカ6を備える例に限らない。
【0047】
また、咀嚼改善提案システム1は、例えばスマートフォン等の単一の装置として構成される必要はなく、複数の装置から構成されていてもよい。また、制御部2は、複数の装置から構成されていてもよい。そして、記憶部3、カメラ4、タッチパネルディスプレイ5、スピーカ6、制御部2(又は制御部2を構成する各部)のうち少なくとも一部が、ネットワークを介して異なった場所に配置されていてもよい。
【0048】
例えばカメラ4、タッチパネルディスプレイ5、及びスピーカ6がユーザの近くに配置され、制御部2は、ネットワークを介してカメラ4、タッチパネルディスプレイ5、及びスピーカ6と接続されていてもよい。あるいは、例えばカメラ4、タッチパネルディスプレイ5、スピーカ6、及び制御部2がユーザの近くに配置され、記憶部3は、ネットワークを介して制御部2と接続されていてもよい。あるいは、制御部2は、後述する改善行動判断部22を備えず、改善行動判断部22は、ネットワークを介して制御部2と接続されるサーバ装置によって構成されていてもよい。
【0049】
記憶部3は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置である。記憶部3には、後述するルックアップテーブル31~35が予め記憶されている。記憶部3は、本発明の一実施形態に係る咀嚼改善提案プログラムを記憶してもよい。
【0050】
カメラ4は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のカメラである。カメラ4は、撮像した動画を動画画像Mとして制御部2へ送信する。
【0051】
タッチパネルディスプレイ5は、例えば液晶表示器や有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置と、タッチパネルとが一体化された入出力操作装置である。なお、タッチパネルディスプレイ5の代わりに、表示装置と入出力操作装置とを備えてもよい。入出力操作装置は、マウスやキーボードであってもよい。タッチパネルディスプレイ5は、ユーザの操作を受け付けて制御部2へ送信し、制御部2からの信号に応じた画像を表示する。
【0052】
スピーカ6は、制御部2からの信号に応じた音を出力する。
【0053】
制御部2は、例えば所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、不揮発性の記憶装置、及びこれらの周辺回路等を備えて構成されている。そして、制御部2は、記憶部3に記憶された咀嚼改善提案プログラムを実行することによって、咀嚼関連情報取得部21、改善行動判断部22、及び報知部23として機能する。
【0054】
咀嚼関連情報取得部21は、ユーザの咀嚼運動と関係を有する咀嚼関連情報を取得する。咀嚼関連情報は、所定の測定方法によりユーザから測定された測定情報と、ユーザが回答したユーザ情報とを含む。
【0055】
測定方法は、オーラルディアドコキネシス、静止画撮影、動画撮影、咬合圧測定、舌圧測定、口唇閉鎖力測定、筋電図測定、口腔水分測定、咀嚼加速度測定、咀嚼関連位置測定、及び呼気の臭気測定のうち少なくとも一つを用いることができる。なお、測定方法として、これら以外の方法を用いてもよい。咀嚼加速度は、咀嚼の際の口の動きの加速度であり、例えば後述する動的特徴点の動きの加速度とすることができる。咀嚼関連位置は、咀嚼の際に動く部分の位置であり、例えば後述する動的特徴点のとすることができる。咬合圧測定、舌圧測定、口唇閉鎖力測定、筋電図測定、口腔水分測定、咀嚼加速度測定、咀嚼関連位置測定、及び呼気の臭気測定は、咬合圧計、舌圧計、口唇閉鎖力測定器、筋電計、口腔水分計、加速度センサー、位置センサー、及び臭気センサーによって行うことができる。
【0056】
ユーザ情報は、ユーザの年齢及び性別に関する属性情報と、属性情報以外の回答情報とを含む。なお、属性情報は、年齢及び性別のいずれか一つであってもよい。また、ユーザ情報は、属性情報を含んでいなくてもよい。
【0057】
ユーザ情報である回答情報は、歯の本数に関する情報、咀嚼に関わる症状に関する情報、及び生活習慣に関わる情報のうち少なくとも一つを含む。
【0058】
歯の本数に関する情報としては、例えば、現在の歯の本数、機能する歯の本数である機能歯数、噛むのに影響するう蝕の有無、乳歯の数、及び永久歯の数、等を用いることができる。
【0059】
咀嚼に関わる症状に関する情報としては、歯ぎしりの有無、顎が痛いか否か、喉が渇くか否か、口が渇くか否か、唇が渇くか否か、食事中に口が渇くか否か、就寝中に口が渇くか、乾燥した食べ物は食べにくいか否か、食べ物が飲み込みにくいか否か、食べこぼしがあるか否か、咀嚼に偏りがあるか否か、食欲があるか否か、口臭は気になるか否か、噛む時間は長いか短いか、食事中に口が開いているか否か、食事中に舌の突出がみられるか否か、普段口が開いているか否か、いびきがあるか否か、強く噛みしめられるか否か、顎の動きがぎくしゃくしているか否か、歯並びは正常か否か、指しゃぶり等の癖があるか否か、丸のみするか否か、食べ物が口に残るか否か、活舌に問題がないか否か、及び食事中にむせるか否か、等を用いることができる。
【0060】
生活習慣に関わる情報としては、食べられる食品の種類、食事回数、歯磨き回数、うがいの回数、食事・歯磨きは定期的か否か、等を用いることができる。
【0061】
なお、ユーザ情報は、これらの情報以外の情報であってもよい。
【0062】
咀嚼関連情報取得部21は、例えばタッチパネルディスプレイ5に所定の要求項目を表示し、その要求項目に対してユーザがタッチパネルディスプレイ5を操作して入力した情報を、ユーザ情報として受け付けることができる。
【0063】
また、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザが食事をする際に、自分の口及び口の周辺部のうち少なくとも一方を含む領域をカメラ4で撮影することによって得られた動画画像Mや静止画像Gを、咀嚼関連情報として取得することができる。
【0064】
咀嚼関連情報取得部21は、例えば、動画画像Mから、ユーザの咀嚼回数CT、ユーザの咀嚼の時間間隔に関する間隔情報TW、及びユーザの咀嚼運動経路PW等を取得してもよい。咀嚼関連情報取得部21は、以下のようにして咀嚼回数CT、及び間隔情報TW等を取得することができる。咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mから、顔の特徴点を検出する。顔の特徴点には、咀嚼運動に伴い動く特徴点である動的特徴点と、咀嚼に伴い動かない特徴点である静的特徴点とが含まれる。
【0065】
顔の特徴点としては、例えば、鼻先、鼻元、口の口角、上唇の頂点、下唇の頂点、顎の頂点、咬筋付近の頬の輪郭に沿った点などを用いることができる。このような特徴点の検出方法としては、Active shape model(ASM)やActive appearance model(AAM)、Constrained local model(CLM)等、顏特徴点検出技術として公知の種々の方法を利用できる。
【0066】
咀嚼関連情報取得部21は、静止画像G、又は動画画像Mから、特徴点として口角を抽出することによって、口角位置のずれ量X24及び/又は口角の形状を咀嚼関連情報として取得してもよい。口角位置のずれ量X24は、例えば、顔の中心線に対して唇の中心をとおる垂直線を引き、その垂直線と、口角の位置との距離を用いることができる。咀嚼関連情報取得部21は、さらに口角がその垂直線に対して上にあるか下にあるかを咀嚼関連情報として取得してもよい。また、咀嚼関連情報取得部21は、口角の形状から、口角が上がっているか、下がっているか、右が左より上がっているか、左が右より上がっているか、といった情報を咀嚼関連情報として取得してもよい。
【0067】
また、咀嚼関連情報取得部21は、静止画像G、又は動画画像Mから、特徴点として上唇の頂点及び下唇の頂点を抽出し、その距離を測定することによって、開口量X25を取得してもよい。
【0068】
動的特徴点としては、例えば口の口角、上唇の頂点、下唇の頂点、顎の頂点、及び咬筋付近の頬の輪郭に沿った点のうちいずれかを用いることができる。静的特徴点としては、例えば鼻先、及び鼻元のうちいずれかを用いることができる。
【0069】
さらに、咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mから、動的特徴点と静的特徴点との距離Lの時間的変化を示す時間的変化情報Aを取得する。
【0070】
図2は、時間的変化情報Aの一例を簡略化して模式的に示したグラフである。横軸は時間、縦軸は距離Lを示している。
図2では、動的特徴点を下唇の頂点、静的特徴点を鼻先とした例を示している。
図2に示す時間的変化情報Aによれば、動的特徴点と静的特徴点の距離Lの最小ピークである咀嚼開始点P1から、時間の経過とともに距離Lが増大して最大ピークの最大開口点P2に至り、距離Lが減少して最小ピークの咀嚼終了点P3に至る咀嚼運動を読み取ることができる。
【0071】
咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mから時間的変化情報Aを取得し、時間的変化情報Aからユーザの咀嚼回数CTを計数する。例えば、咀嚼関連情報取得部21は、時間的変化情報Aにおける咀嚼開始点P1から咀嚼終了点P3までを一回の咀嚼運動として計数することによって、ユーザの咀嚼回数CTを計数することができる。
【0072】
また、咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mから時間的変化情報Aを取得し、時間的変化情報Aからユーザの咀嚼の時間間隔に関する間隔情報TWを取得する。例えば、咀嚼関連情報取得部21は、時間的変化情報Aにおける咀嚼開始点P1から咀嚼終了点P3までの時間、すなわち一回の咀嚼時間を、間隔情報TWとして計時することによって、間隔情報TWを取得することができる。この場合、咀嚼終了点P3は、次の咀嚼の開始点でもあるから、間隔情報TWは、咀嚼と咀嚼の間隔を表す時間でもある。
【0073】
また、咀嚼関連情報取得部21は、所定の期間内に得られる複数回分の間隔情報TWのばらつきから、咀嚼速度の偏差である速度偏差X29を算出することができる。
【0074】
なお、間隔情報TWは、ユーザの咀嚼の時間間隔に関する情報であればよく、必ずしも一回の咀嚼時間、あるいは咀嚼と咀嚼の間隔に限らない。例えば、間隔情報TWは、予め設定された設定時間、例えば一分間の咀嚼回数であってもよい。間隔情報TWは、ユーザの咀嚼の時間間隔に関し、咀嚼が速いか遅いかを表す情報であればよい。
【0075】
また、咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mからユーザの咀嚼運動経路PWを取得してもよい。
【0076】
図3、
図4は、咀嚼運動経路PWの一例を簡略化して模式的に示した説明図である。
図3、
図4に示す咀嚼運動経路PWは、左右方向をX軸、上下方向をY軸で表した二次元座標のXY平面に咀嚼運動経路PWを示している。-X方向が右方向、+X方向が左方向を表している。
図3、
図4に示す咀嚼運動経路PWは、人の顔を正面から見たときの咀嚼運動時における動的特徴点の軌跡に相当する。
図3は右側の歯で噛む右噛み、
図4は左側の歯で噛む左噛みの場合の咀嚼運動経路PWを示している。
【0077】
図3、
図4に示すように、右噛みと左噛みとでは、咀嚼運動経路PWの傾き方が異なることが知られている。咀嚼関連情報取得部21は、咀嚼運動経路PWの傾き方に基づいて、右噛み又は左噛みに偏った、偏咀嚼の有無を取得することができる。
【0078】
咀嚼関連情報取得部21は、動画画像Mから、静的特徴点に対する、動的特徴点の相対的な座標位置を取得してXY平面にプロットすることによって、
図3、
図4に示す咀嚼運動経路PWを得ることができる。
【0079】
改善行動判断部22は、咀嚼関連情報に基づいて、ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する。改善行動は、所定の食品を咀嚼すること、所定の訓練用器具(口腔機能トレーディング器具)による咀嚼訓練(トレーニング)、所定の咀嚼訓練体操(例えば、パタカラ体操)、咀嚼指導に基づく咀嚼訓練(例えば、モーショントレーニング)、及び歯科医の受診のうち少なくとも一つを含む。
【0080】
改善行動判断部22は、例えば、ユーザが咀嚼することによって、ユーザの咀嚼機能改善につながる可能性の高い食品の属性や、食品の咀嚼の仕方を、改善行動として判断することができる。
【0081】
食品の属性としては、例えば、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを用いることができる。食品の咀嚼の仕方としては、咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを用いることができる。
【0082】
なお、食品の属性を改善行動判断部22が判断する例に限らない。例えば、ユーザがタッチパネルディスプレイ5を操作して食品の属性を食品情報として入力し、改善行動判断部22は、タッチパネルディスプレイ5により得られた食品情報と、咀嚼関連情報とに基づいて、食品の咀嚼の仕方を改善行動として判断してもよい。
【0083】
また、ユーザが食品の画像をカメラ4によって撮影し、改善行動判断部22は、その食品を撮像した画像から、食品情報を取得してもよい。そして、改善行動判断部22は、咀嚼関連情報及び食品情報に基づいて、改善行動として、食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを判断してもよい。
【0084】
画像から食品情報を取得する方法としては、例えば人工知能による画像解析を用いることができ、例えば「https://book.mynavi.jp/manatee/detail/id=87654」、「https://marvin.news/6222」、「https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1910/03/news077.html」等に公開された技術を用いることができる。
【0085】
報知部23は、改善行動判断部22によって判断された改善行動を、例えばタッチパネルディスプレイ5に表示したり、スピーカ6で音声出力したりすることによって、報知する。
【0086】
報知部23は、ユーザの生活パターンを示す生活パターン情報を取得し、当該生活パターン情報に基づいて、改善行動を報知するタイミングを決定する。生活パターン情報としては、例えば起床時間、朝食時間、通勤時間(行き)、昼食時間、通勤時間(帰り)、夕食時間、及び就寝時間等がある。報知部23は、例えばユーザがタッチパネルディスプレイ5を操作して上述のような生活パターン情報を入力することによって、タッチパネルディスプレイ5によって受け付けられた生活パターン情報を取得することができる。
【0087】
報知部23は、生活パターン情報に基づいて、例えば、起床時間と就寝時間の間の時間であって、朝食時間、昼食時間、及び夕食時間の所定時間前、例えば30分程度前を、改善行動を報知するタイミングとして決定し、決定されたタイミングに改善行動を報知することができる。
【0088】
このようにすれば、ユーザが改善行動をとった後、長時間を空けずに食事をとることになるので、食事の際の咀嚼機能の改善が期待できる。
【0089】
また、改善行動判断部22によって判断された改善行動が、例えば所定硬さのグミやガムを咀嚼することであった場合、報知部23は、通勤時間中の時間を、改善行動を報知するタイミングとして決定し、決定されたタイミングに改善行動を報知することができる。
【0090】
このようにすれば、ユーザは、通勤時間を有効活用して改善行動を行うことができるので、改善活動のためだけに時間をかける必要がなくなる結果、ユーザの利便性が向上する。
【0091】
次に、咀嚼改善提案システム1の動作について説明する。
図5は、
図1に示す咀嚼改善提案システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下のフローチャートでは、同一の処理には同一のステップ番号を付してその説明を省略する。
【0092】
まず、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザの咀嚼関連情報を取得するべく、咀嚼関連情報取得処理を実行する(ステップS1)。
図6は、咀嚼関連情報取得処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
まず、咀嚼関連情報取得部21は、例えば、タッチパネルディスプレイ5に「年齢、性別を入力してください」というようなメッセージを表示させ、ユーザがタッチパネルディスプレイ5を操作して入力したユーザの年齢と性別とを属性情報として取得する(ステップS11)。なお、年齢に関する情報として、年齢の代わりに生年月日をユーザが入力するようにしてもよく、生年月日から咀嚼関連情報取得部21が年齢を算出してもよい。
【0094】
また、咀嚼関連情報取得部21は、年齢、性別のうち、いずれか一方のみを属性情報として取得してもよい。また、ステップS11を実行せず、咀嚼関連情報取得部21は、属性情報を取得しなくてもよい。
【0095】
次に、咀嚼関連情報取得部21は、予め設定された複数の質問項目について、例えばタッチパネルディスプレイ5に順次質問項目を表示する等してユーザの回答を促す(ステップS12)。
【0096】
質問項目としては、例えばユーザの歯の本数、機能歯数、嚥下のし易さ、顎の痛みの有無、う蝕の有無、治療済の歯の本数、噛み合わせの異常の有無、口臭が気になるか否か、食べこぼしが多いか否か、喉が渇きやすいか否か、咳き込みやすいか否か、開口量、及び食事が定期的か否か、等を用いることができる。
【0097】
なお、咀嚼関連情報取得部21は、属性情報として得られた年齢に基づいて、質問項目を設定してもよい。
図7は、ユーザの年齢と、ユーザの時期とを対応付けて説明する説明図である。ユーザの年齢は、
図7に示すように、「離乳食期~乳歯が生える」、「乳歯期」、「乳歯から永久歯へ生変わり」、「成人年齢まで」、「プレオーラルフレイルまで」、「プレオーラルフレイルからオーラルフレイル」、「高齢者」の各時期に対応付けることができる。
【0098】
そして、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザの年齢が、「離乳食期~乳歯が生える」、「乳歯期」、「乳歯から永久歯へ生変わり」、「成人年齢まで」の時期に該当する場合、口腔機能の発達不全に関連する質問項目を設定してもよい。また、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザの年齢が、「プレオーラルフレイルまで」、「プレオーラルフレイルからオーラルフレイル」に該当する場合、口腔機能低下に関連する質問項目を設定してもよい。
【0099】
例えば、
図7に示す時期No.1~3に該当する場合「離乳食を食べているか」、「乳歯があるか」といった質問項目を設定し、時期No.4~7に該当する場合「離乳食を食べているか」を設定しなくてもよい。
【0100】
また、時期No.3~5に該当する場合「偏咀嚼があるか」といった質問項目を設定し、時期No.1,2,6,7に該当する場合「偏咀嚼があるか」を質問項目に設定しなくてもよい。時期No.6,7の場合、偏咀嚼の、咀嚼機能の衰えに対する影響度は低く、時期No.3~5では偏咀嚼が顎の痛みや不調などに影響する場合があるからである。
【0101】
また、時期No.1~3に該当する場合「嚥下のし易さ」「顎の痛み」は質問項目に設定しなくてもよい。また、時期No.1~4に該当する場合、質問項目に「丸飲みがあるか」を設定し、時期No.5~7に該当する場合「丸飲みがあるか」を質問項目に設定しなくてもよい。
【0102】
次に、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザが質問項目に対して回答した回答情報を、咀嚼関連情報として取得する(ステップS13)。属性情報及び回答情報は、ユーザ情報の一例に相当している。
【0103】
次に、咀嚼関連情報取得部21は、回答情報に基づき測定方法を選択する(ステップS14)。
【0104】
図8、
図9は、測定方法の選択方法の一例を説明するための説明図である。例えば記憶部3に、予め、
図8に示すルックアップテーブル31、及び
図9に示すルックアップテーブル32を記憶させておく。
【0105】
図8に示すルックアップテーブル31は、各質問項目と、各質問項目に対する回答情報の判定(判定方法:判定結果)と、各判定結果に対する重みとを対応付けている。質問項目としては、ユーザの歯の本数、機能歯数、嚥下のし易さ、顎の痛みの有無、う蝕の有無、治療済の歯の本数、噛み合わせの異常の有無、口臭が気になるか否か、食べこぼしが多いか否か、喉が渇きやすいか否か、咳き込みやすいか否か、及び開口量を例示している。
【0106】
なお、
図8に示す質問項目は例示であり、これらの一部のみを用いてもよく、他の質問項目を用いてもよい。
【0107】
ルックアップテーブル31では、歯の本数の判定には判定閾値Ref1が用いられ、機能歯数の判定には判定閾値Ref2が用いられ、治療済の歯の本数の判定には判定閾値Ref3が用いられ、開口量の判定には判定閾値Ref4が用いられる。判定閾値Ref1~Ref4は、属性情報として得られる年齢と性別との組み合わせに対して、予め適切な値が設定されている。
【0108】
なお、判定閾値Ref1~Ref4は、年齢と性別との組み合わせに対して設定される例に限られず、年齢のみに対して設定されてもよく、性別のみに対して設定されてもよく、年齢、性別によらず固定的に設定されていてもよい。
【0109】
咀嚼関連情報取得部21は、ルックアップテーブル31を参照し、例えば「歯の本数X1」が判定閾値Ref1に満たない場合、「歯の本数X1」の判定結果を「1」とし、例えば「機能歯数X2」が判定閾値Ref2に満たない場合、「機能歯数X2」の判定結果を「1」とし、例えば「治療済の歯の本数X6」が判定閾値Ref3を超える場合、「治療済の歯の本数X6」の判定結果を「1」とし、例えば「開口量X12」が判定閾値Ref4に満たない場合、「開口量X12」の判定結果を「1」とする。
【0110】
また、咀嚼関連情報取得部21は、ルックアップテーブル31を参照し、例えば「嚥下のし易さ」が、し難い場合「嚥下のし易さ」の判定結果を「1」とし、し易い場合「嚥下のし易さ」の判定結果を「0」とする。また、咀嚼関連情報取得部21は、その他の質問項目については、回答情報が「有」のとき判定結果を「1」とし、回答情報が「無」のとき判定結果を「0」とする。
【0111】
図9に示すルックアップテーブル32では、各質問項目に対応するリスク項目が対応付けられている。また、各リスク項目に対応する測定方法が対応付けられている。
【0112】
リスク項目としては、例えば、咀嚼機能、嚥下機能、顎関節症、口腔ケアが挙げられている。ルックアップテーブル32では、質問項目に対する判定結果が「1」の場合、すなわち問題があった場合に、対応するリスク項目の欄に「1」が記載されている。例えば、歯の欠損有の場合、口腔ケアの欄が「1」、噛み合わせの異常有の場合、咀嚼機能、嚥下機能、顎関節症の欄が「1」、喉が渇きやすい場合、咀嚼機能、口腔ケアの欄が「1」とされている。また、ルックアップテーブル31は、各リスク項目に対して対応する測定方法を、〇印で示している。
【0113】
咀嚼関連情報取得部21は、ルックアップテーブル31のリスクの項目ごとに、該当する質問項目の「1」の数を合計し、値が最も大きくなったリスクに対応する測定方法を選択する。
【0114】
例えば、回答情報で問題のあった項目が、「噛み合わせの異常の有」、「咳き込みやすい」の2項目であった場合、咀嚼機能の合計値は1、嚥下機能の合計値は2、顎関節症の合計値は1、口腔ケアの合計値は0となるので、合計値が最大となるのは嚥下機能となる。この場合、咀嚼関連情報取得部21は、ルックアップテーブル31によって嚥下機能と対応付けられているオーラルディアドコキネシス、動画撮影、筋電図測定が、測定方法として選択される。
【0115】
次に、咀嚼関連情報取得部21は、例えばタッチパネルディスプレイ5にメッセージを表示する等して選択された測定方法による測定を促す(ステップS15)。咀嚼関連情報取得部21は、例えば、オーラルディアドコキネシス、動画撮影、筋電図測定が、測定方法として選択された場合、「オーラルディアドコキネシス、動画撮影、筋電図測定を行ってください」、「これらの測定結果を入力してください」といったメッセージを表示する。
【0116】
次に、咀嚼関連情報取得部21は、測定された測定情報を咀嚼関連情報として取得する(ステップS16)。
【0117】
例えばオーラルディアドコキネシスであれば、ユーザが「パ」「タ」「カ」をそれぞれ繰り返し発声し、その音をマイク7で検出、計数することによって、ユーザが一定時間内に発声した「パ」「タ」「カ」の各回数X21,X22,X23、すなわちオーラルディアドコキネシスを咀嚼関連情報取得部21が測定、取得するようにしてもよい。あるいは、ユーザが自分でオーラルディアドコキネシスの測定を実行し、測定した「パ」「タ」「カ」の各回数X21,X22,X23を、タッチパネルディスプレイ5を操作して入力してもよい。
【0118】
例えば、動画撮影であれば、咀嚼関連情報取得部21は、ユーザが食事をする際に、自分の口及び口の周辺部のうち少なくとも一方を含む領域をカメラ4で撮影することによって得られた動画画像Mを取得することができる。
【0119】
このように、選択された測定方法による測定は、咀嚼関連情報取得部21が測定を行ってもよく、ユーザがその測定結果を測定情報として咀嚼改善提案システム1に入力してもよい。
【0120】
以上、ステップS11~S16によって、咀嚼関連情が取得され、ステップS2へ移行する。
【0121】
次に、改善行動判断部22は、咀嚼関連情報に基づいて、ユーザの咀嚼機能を改善するための改善行動を判断する(ステップS2)。
【0122】
図10は、ステップS2に係る改善行動判断処理の一例を示すフローチャートである。まず、改善行動判断部22は、ステップS13で得られた回答情報を評価する(ステップS21)。
【0123】
図11は、回答情報を評価するためのルックアップテーブル33の一例を示す説明図である。ルックアップテーブル33には、各質問項目に対する回答情報と、各回答情報に対する判定(判定方法:判定結果)、重み、及び評価結果が対応付けられている。判定(判定方法:判定結果)については、
図8と同様であるのでその説明を省略する。なお、
図11に示す回答情報は例示であり、これらの一部のみを用いてもよく、他の回答情報を用いてもよい。
【0124】
各回答情報には、改善課題毎の重みと評価結果とが対応付けられている。改善課題は、咀嚼運動の改善すべき課題として予め複数設定されている。例えば、改善課題「丸のみ」に対応する重みw1~w12、改善課題「機能の低下、不調」に対応する重みv1~v12、改善課題「関節症」に対応する重みu1~u12が各回答情報に対応付けられている。
【0125】
重みは、改善課題のそれぞれに対する、各咀嚼関連情報(回答情報、測定情報)の影響度が数値化されたものであり、重みの数値が大きいほど、影響度が大きいことを意味している。
【0126】
また、改善課題「丸のみ」に対応する評価結果A1~A12、改善課題「機能の低下、不調」に対応する評価結果B1~B12、改善課題「関節症」に対応する評価結果C1~C12が各回答情報に対応付けられている。評価結果は、判定結果と重みの乗算値として得られる。
【0127】
例えば、回答情報「歯の本数X1」が、判定閾値Ref1より小さければ、判定結果は「1」となり、評価結果は1×w1=w1=A1,1×v1=v1=B1,1×u1=u1=C1となる。一方、「歯の本数X1」が、判定閾値Ref1以上であれば、判定結果は「0」となり、評価結果は0×w1=0=A1,0×v1=0=B1,0×u1=0=C1となる。
【0128】
例えば、回答情報「う蝕」が「有」であれば、判定結果は「1」となり、評価結果は1×w5=w5=A5,1×v5=v5=B5,1×u5=u5=C5となる。一方、「う蝕」が「無」であれば、判定結果は「0」となり、評価結果は0×w5=0=A5,0×v5=0=B5,0×u5=0=C5となる。
【0129】
判定結果「1」は各咀嚼関連情報(回答情報、測定情報)に「問題あり」を意味し、判定結果「0」は各咀嚼関連情報(回答情報、測定情報)に「問題なし」を意味している。
【0130】
なお、紙面の関係から、改善課題として、「丸のみ」「機能の低下、不調」「関節症」の三つを例示したが、改善課題はこれらに限られず、他の改善課題であってもよく、他の改善課題が付加されていてもよく、他の改善課題についても同様に、判定、重み、評価結果が対応付けられていてもよい。
【0131】
また、開口量X25は、ユーザが回答情報として入力する代わりに、後述するように静止画像G又は動画画像Mから測定情報として開口量X25を取得してもよい。
【0132】
改善行動判断部22は、例えば記憶部3に記憶されたルックアップテーブル33を参照し、各回答情報に対する評価結果A1~A12、B1~B12、C1~C12を得ることができる。
【0133】
次に、改善行動判断部22は、ステップS16で得られた測定情報を評価する(ステップS22)。
図12は、測定情報を評価するためのルックアップテーブル34の一例を示す説明図である。ルックアップテーブル34には、各測定方法に対する測定情報と、各測定情報に対する判定(判定方法:判定結果)、重み、及び評価結果が対応付けられている。
【0134】
ルックアップテーブル34では、オーラルディアドコキネシスにおける「パ」の回数X21の判定には判定閾値Ref21が用いられ、オーラルディアドコキネシスにおける「タ」の回数X22の判定には判定閾値Ref22が用いられ、オーラルディアドコキネシスにおける「カ」の回数X23の判定には判定閾値Ref23が用いられる。
【0135】
静止画像G又は動画画像Mから得られる口角位置のずれ量X24、開口量X25の判定には判定閾値Ref24,Ref25が用いられる。判定閾値Ref24は、口角位置のずれ量X24に基づいて、顔の中心線に対して唇の中心をとおる垂直線を引き、その垂直線と、口角の位置との距離を評価するための閾値である。
【0136】
なお、開口量X25は、静止画像G又は動画画像Mから得る代わりに、ユーザが回答情報として入力してもよい。
【0137】
動画画像Mから得られる咀嚼回数CT、速度偏差X29の判定には、判定閾値Ref28,Ref29が用いられる。
【0138】
判定閾値Ref21~Ref29は、属性情報として得られる年齢と性別との組み合わせに対して、予め適切な値が設定されている。改善行動判断部22は、属性情報に応じた判定閾値Ref21~Ref29を用いて各測定情報に対する判定を実行する。
【0139】
改善行動判断部22が、属性情報に応じた判定閾値Ref21~Ref29を用いて各測定情報に対する判定を実行することによって、改善行動の判断が、属性情報に基づき調整される。
【0140】
なお、判定閾値Ref21~Ref29は、年齢と性別との組み合わせに対して設定される例に限られず、年齢のみに対して設定されてもよく、性別のみに対して設定されてもよく、年齢、性別によらず固定的に設定されていてもよい。
【0141】
各測定情報から判定結果「1/0」を得る方法は、
図8,
図11のルックアップテーブル31,33における回答情報から判定結果「1/0」を得る方法と略同様であるのでその説明を省略する。
【0142】
なお、
図12に示す測定情報は例示であり、これらの一部のみを用いてもよく、他の測定情報を用いてもよい。
【0143】
ルックアップテーブル34では、各測定情報に対して、改善すべき改善課題毎の重みと評価結果とが対応付けられている。例えば、改善課題「丸のみ」に対応する重みw21~w29、改善課題「機能の低下、不調」に対応する重みv21~v29、改善課題「関節症」に対応する重みu21~u29が各測定情報に対応付けられている。また、改善課題「丸のみ」に対応する評価結果A21~A29、改善課題「機能の低下、不調」に対応する評価結果B21~B29、改善課題「関節症」に対応する評価結果C21~C29が各測定情報に対応付けられている。
【0144】
例えば、測定情報「パの回数X21」が、判定閾値Ref21より小さければ、判定結果は「1」となり、評価結果は1×w21=w21=A21,1×v21=v21=B21,1×u21=u21=C21となる。一方、測定情報「パの回数X21」が、判定閾値Ref21以上であれば、判定結果は「0」となり、評価結果は0×w21=0=A21,0×v21=0=B21,0×u21=0=C21となる。以下、同様にして各測定情報に対応する評価結果が得られる。
【0145】
改善行動判断部22は、例えば記憶部3に記憶されたルックアップテーブル34を参照し、各測定情報に対する評価結果A21~A29、B21~B29、C21~C29を得ることができる。
【0146】
次に、改善行動判断部22は、ステップS21で得られた回答情報の評価結果A1~A12、B1~B12、C1~C12と、ステップS22で得られた測定情報の評価結果A21~A29、B21~B29、C21~C29とから、改善課題を判定する(ステップS23)。
【0147】
図13は、回答情報の評価結果と測定情報の評価結果とから、改善課題を判定する方法の一例を説明するための説明図である。
図13に示すように、改善行動判断部22は、改善課題「丸のみ」に対応する評価結果A1~A29を合計して合計値SAを算出し、改善課題「機能の低下、不調」に対応する評価結果B1~B29を合計して合計値SBを算出し、改善課題「関節症」に対応する評価結果C1~C29を合計して合計値SCを算出する。
【0148】
そして、改善行動判断部22は、改善課題「丸のみ」「機能の低下、不調」「関節症」のうち、合計値が最大になった改善課題を選択する。このようにして改善行動判断部22は、回答情報の評価結果と測定情報の評価結果とから、改善課題を判定することができる。
【0149】
次に、改善行動判断部22は、ステップS23で判定された改善課題に基づき、改善行動を判断する(ステップS24)。
【0150】
図14は、改善課題と改善行動とを対応付けるルックアップテーブルの一例を示す説明図である。
図14に示すルックアップテーブル35によれば、行動番号1の、ゼリー、ぐみ、ジャーキーといった食品を咀嚼する改善行動に対して改善課題「丸のみ」「噛めない」「噛み続ける」が対応付けられている。
【0151】
行動番号2の、口腔トレーニング器具を用いたトレーニング(所定の訓練用器具による咀嚼訓練)を行う改善行動に対して改善課題「機能の低下、不調」が対応付けられている。
【0152】
行動番号3の、パタカラ体操を行う改善行動に対して改善課題「機能の低下、不調」が対応付けられている。パタカラ体操は、所定の咀嚼訓練体操の一例に相当する。
【0153】
行動番号4の、モーショントレーニングを行う改善行動に対して改善課題「機能の低下、不調」「顎への影響」が対応付けられている。モーショントレーニングは、咀嚼指導に基づく咀嚼訓練の一例に相当している。
【0154】
行動番号5の、歯科医の治療を受ける(受診)改善行動に対して改善課題「関節症」「飲み込めない」が対応付けられている。
【0155】
改善行動判断部22は、例えば、ステップS23で判定された改善課題が「機能の低下、不調」であった場合、ルックアップテーブル35によって「機能の低下、不調」と対応付けられている行動番号2,3,4を、改善行動として判定することができる。
【0156】
行動番号1の例では、例えば、ゼリー、ぐみ、ジャーキー等の食品について、上述の食品の属性に応じた複数種類の食品をあらかじめ準備しておき、改善行動判断部22は、改善行動として、例えば上述のようにして判断された食品の属性に応じた種類の食品を咀嚼することを、改善行動として判断、決定することができる。行動番号1の例では、ユーザの咀嚼回数を増加させたり、咀嚼時間の長さを改善したりする効果が期待できる。
【0157】
この場合、改善行動判断部22は、対象の食品を特定すると共に、咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを改善行動として判断、決定することが好ましい。
【0158】
行動番号1の例では、食品は、ユーザが選んだ任意の食品であってもよい。そして、後述するステップS34,35において、その食品を撮像した画像から食品情報を取得し、その食品の咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを改善行動として判断してもよい。
【0159】
行動番号2の例では、改善行動判断部22は、口腔機能トレーニング器具を用いたトレーニングを、改善行動として判断、決定することができる。行動番号2の例では、ユーザの咀嚼の変調を改善する効果が期待できる。口腔機能トレーニング器具としては、例えば、(株)ジェイ・エム・エス社製 ペコぱんだ(登録商標)を用いることができる。
【0160】
行動番号3の例では、改善行動判断部22は、いわゆるパタカラ体操として知られているトレーニングを、改善行動として判断、決定することができる。パタカラ体操は、「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音することで、食べるために必要な筋肉をトレーニングするものである。行動番号3の例では、ユーザの咀嚼の変調を改善する効果が期待できる。
【0161】
行動番号4の例では、改善行動判断部22は、モーショントレーニングを改善行動として判断、決定することができる。行動番号4の例では、ユーザの咀嚼の変調、噛み方、及び咀嚼の癖を改善する効果が期待できる。モーショントレーニングとしては、例えば特願2020-184914に記載の咀嚼指導システムを用いたトレーニングを用いることができる。
【0162】
行動番号5の例では、改善行動判断部22は、治療が必要と判断した場合、歯科医の治療を受けることを、改善行動として判断する。行動番号5の例では、治療による改善が期待できる。
【0163】
改善行動判断部22は、ステップS21~S23によって、複数の咀嚼関連情報のうち問題ありと判断された咀嚼関連情報の重みを、複数の改善課題毎に合計し、その合計値が最も大きい改善課題を判定することができる。さらに改善行動判断部22は、ステップS24によって、判定された改善課題に基づき改善行動を判断することができる。
【0164】
改善行動判断部22は、以上のようにして改善行動を判断した後、ステップS3へ移行する。
【0165】
次に、報知部23は、ユーザの生活パターンを示す生活パターン情報を取得する(ステップS3)。
図15は、生活パターン情報の一例を示す説明図である。
【0166】
次に、報知部23は、ステップS3で得られた生活パターン情報に基づいて、改善行動を報知する報知する報知タイミングを決定する(ステップS4)。例えば、
図15に示す生活パターン情報によれば、報知部23は、朝食時間の30分前は起床時間前なので、朝食時間を除く昼食時間、及び夕食時間の30分前である11:30と、19:30とを報知タイミングとして決定することができる。また、報知部23は、通勤時間中である8:30と18:30とを、報知タイミングとして決定することができる。
【0167】
なお、ステップS1~S4は、毎回実行する必要はなく、ステップS2で判断された改善行動と、ステップS4で決定された報知タイミングとを記憶部3に記憶しておき、以後、ステップS5,S6のみを実行するようにしてもよい。
【0168】
次に、報知部23は、ステップS4で決定された報知タイミングになったか否かを確認し(ステップS5)、報知タイミングでなければ報知タイミングとなるまで待機する(ステップS5でNO)。一方、報知タイミングになったら(ステップS5でYES)、報知部23は、ステップS3で判断された改善行動を、例えばタッチパネルディスプレイ5に表示したり、スピーカ6から音声出力させたりすることによって、ユーザへ報知する(ステップS6)。
【0169】
これにより、ユーザに対して、咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる。
【0170】
次に、咀嚼改善提案システム1の動作の他の一例について説明する。
図16は、
図5に示す咀嚼改善提案システム1の動作の他の一例を示すフローチャートである。
図16に示す例では、ユーザが食品を準備し、ユーザの所望のタイミングで咀嚼改善提案システム1を起動させる。
【0171】
まず、咀嚼関連情報取得部21及び改善行動判断部22は、
図6と同様、ステップS1,S2を実行し、咀嚼関連情報を取得し、改善行動を判断する。
【0172】
次に、改善行動判断部22は、ステップS2で判断された改善行動に、「食品の咀嚼」(行動番号1)が含まれているか否かをチェックする(ステップS33)。改善行動に「食品の咀嚼」が含まれていた場合(ステップS33でYES)、改善行動判断部22は、改善行動判断部22は、例えばタッチパネルディスプレイ5に「食品を撮像してください」といった、食品の撮像を促すメッセージを表示する。
【0173】
そして、ユーザが食品の画像をカメラ4によって撮像すると、改善行動判断部22は、その食品を撮像した画像から、食品情報を取得する(ステップS34)。具体的には、改善行動判断部22は、撮影された食品の属性として、例えば、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを食品情報として取得する。
【0174】
次に、改善行動判断部22は、ステップS1,S34で得られた咀嚼関連情報及び食品情報に基づいて、食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを改善行動として判断する(ステップS35)。例えば、改善行動判断部22は、咀嚼関連情報に含まれるユーザの年齢が、「離乳食期~乳歯が生える」、「乳歯期」、「乳歯から永久歯へ生変わり」の時期に該当する場合、咀嚼回数を増大させたり食品の量を減らしたりすることができる。また、ユーザの年齢が、「成人年齢まで」、「プレオーラルフレイルまで」の時期に該当する場合、改善行動判断部22は、咀嚼回数を減少させたり食品の量を増加させたりすることができる。また、ユーザの年齢が、「高齢者」の時期に該当する場合、改善行動判断部22は、年齢が上がるほど、咀嚼回数を増加させたり食品の量を減少させたりすることができる。
【0175】
一方、ステップS33で改善行動に「食品の咀嚼」が含まれていない場合(ステップS33でNO)、改善行動判断部22は、ステップS34,S35を実行することなくステップS36へ移行する。
【0176】
次に、ステップS36において、報知部23は、ステップS2,S35で判断された改善行動を、例えばタッチパネルディスプレイ5に表示したり、スピーカ6から音声出力させたりすることによって、ユーザへ報知する(ステップS36)。
【0177】
これにより、ユーザに対して、咀嚼機能の改善を目的とした提案を行うことができる。
【0178】
なお、ステップS11を実行せず、属性情報を取得しなくてもよい。また、ステップS12,S13を実行せず、回答情報を取得しなくてもよい。また、ステップS14を実行せず、ユーザが測定方法を選択してもよい。また、ステップS14~S16,S22を実行せず、ステップS23において、測定情報を用いず回答情報から改善課題を判定してもよい。
【0179】
また、報知部23は、生活パターン情報を取得しなくてもよく、改善行動を報知するタイミングを決定しなくてもよい。また、改善行動判断部22は、食品情報を、食品を撮像した画像から取得する例に限らない。また、改善行動判断部22は、ユーザが準備した食品の種類、量、及び大きさのうち少なくとも一つを食品情報として取得しなくてもよく、咀嚼関連情報及び食品情報に基づいて改善行動を判断しなくてもよい。
【0180】
また、改善行動判断部22は、食品を咀嚼する際の、咀嚼回数及び一度に口に入れる食品の量(個数)のうち少なくとも一つを改善行動として判断しなくてもよく、食品として適切な、硬さ、付着性、弾力性、及び大きさのうち少なくとも一つを改善行動として判断しなくてもよい。また、改善行動は、所定の食品を咀嚼することに限らない。
【符号の説明】
【0181】
1 咀嚼改善提案システム
2 制御部
3 記憶部
4 カメラ
5 タッチパネルディスプレイ
6 スピーカ
7 マイク
21 咀嚼関連情報取得部
22 改善行動判断部
23 報知部
31~35 ルックアップテーブル
A 時間的変化情報
A1~A29,B1~B29,C1~C29 評価結果
CT 咀嚼回数
G 静止画像
L 距離
M 動画画像
P1 咀嚼開始点
P2 最大開口点
P3 咀嚼終了点
PW 咀嚼運動経路
Ref1~Ref29 判定閾値
SA,SB,SC 合計値
TW 間隔情報
u1~u29,v1~v29,w1~w29 重み
X1 本数
X12 開口量
X2 機能歯数
X21,X22,X23 回数
X24 口角
X25 開口量
X29 速度偏差
X6 本数