(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126304
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/51 20060101AFI20220823BHJP
H04M 15/18 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H04M3/51
H04M15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024302
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】森田 匠
【テーマコード(参考)】
5K025
5K201
【Fターム(参考)】
5K025AA03
5K025BB03
5K025CC01
5K025DD04
5K025EE09
5K025FF14
5K025HH04
5K201BA19
5K201BB06
5K201CB05
5K201CB06
5K201CB15
5K201CD09
5K201EA02
5K201EA05
5K201EC03
5K201EC06
5K201ED06
5K201FA07
(57)【要約】
【課題】サービス利用者と聴者との間のコミュニケーションに掛かった時間に基づいて通話料金を正しく確定し、サービス利用者が負担できるようにする。
【解決手段】本発明のシステムは、通信端末から電話端末の電話番号を取得すると共に、通信端末からの接続要求に基づいて呼制御を行なう呼制御手段と、呼制御手段からの接続要求に基づいて、オペレータ端末の呼接続処理を行なうと共に、電話端末の電話番号を用いて、オペレータ端末と電話端末との接続処理を行なう構内交換手段と、呼情報管理手段と、呼情報管理手段から、通信端末とオペレータ端末との間の呼情報と、電話端末とオペレータ端末との間の呼情報とに基づいて、通信端末と電話端末との間の通信に係る利用料金を算出する課金手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続する通信端末と、公衆電話網を介して接続する電話端末との間にオペレータ端末を備え、前記オペレータ端末を介して、前記通信端末と前記電話端末との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援システムにおいて、
前記通信端末から前記電話端末の電話番号を取得すると共に、前記通信端末からの接続要求に基づいて呼制御を行なう呼制御手段と、
前記呼制御手段からの接続要求に基づいて、前記オペレータ端末の呼接続処理を行なうと共に、前記電話端末の電話番号を用いて、前記オペレータ端末と前記電話端末との接続処理を行なう構内交換手段と、
前記呼制御手段から前記通信端末と前記オペレータ端末との間の呼情報を取得すると共に、前記構内交換手段から前記電話端末と前記オペレータ端末との間の呼情報を取得する呼情報管理手段と、
前記呼情報管理手段から、前記通信端末と前記オペレータ端末との間の呼情報と、前記電話端末と前記オペレータ端末との間の呼情報とに基づいて、前記通信端末と前記電話端末との間の通信に係る利用料金を算出する課金手段と
を備えることを特徴とするコミュニケーション支援システム。
【請求項2】
前記オペレータ端末が、前記通信端末と通信する第1の加入者機能部と、前記電話端末と通信する第2の加入者機能部とを有し、
前記構内交換手段が、前記第1加入者機能部と、前記第2の加入者機能部とを収容するものであり、
前記呼制御手段が、前記構内交換手段を介して、前記通信端末と前記第1の加入者機能部との間の呼処理を行なって呼情報を管理するものであり、
前記構内交換手段が、前記電話端末と前記第2の加入者機能部との間の呼処理を行なって呼情報を管理するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項3】
前記通信端末からの接続要求の際に、前記通信端末とセッションが開始した前記第1の加入者機能部が、前記通信端末と前記電話端末とのセッションを特定するセッション名と、前記電話端末の電話番号とを与えて、前記第2の加入者機能部に対して発信指示を行なう
ことを特徴とする請求項2に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項4】
前記通信端末が切断要求した際、前記呼制御手段から切断要求を受信した前記構内交換手段が、前記第1の加入者機能部、前記第2の加入者機能部及び前記電話端末に対して切断要求を行なう
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のコミュニケーション支援システム。
【請求項5】
ネットワークを介して接続する通信端末と、公衆電話網を介して接続する電話端末との間にオペレータ端末を備え、前記オペレータ端末を介して、前記通信端末と前記電話端末との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援方法において、
呼制御手段が、前記通信端末から前記電話端末の電話番号を取得すると共に、前記通信端末からの接続要求に基づいて呼制御を行ない、
構内交換手段が、前記呼制御手段からの接続要求に基づいて、前記オペレータ端末の呼接続処理を行なうと共に、前記電話端末の電話番号を用いて、前記オペレータ端末と前記電話端末との接続処理を行ない、
呼情報管理手段が、前記呼制御手段から前記通信端末と前記オペレータ端末との間の呼情報を取得すると共に、前記構内交換手段から前記電話端末と前記オペレータ端末との間の呼情報を取得し、
課金手段が、前記呼情報管理手段から、前記通信端末と前記オペレータ端末との間の呼情報と、前記電話端末と前記オペレータ端末との間の呼情報とに基づいて、前記通信端末と前記電話端末との間の通信に係る利用料金を算出する
ことを特徴とするコミュニケーション支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コミュニケーション支援システム及び方法に関するものであり、例えば、聴覚障碍者等のサービス利用者が通信端末を使ったコミュニケーションを支援するシステムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
電話リレーサービスというサービスがある。電話リレーサービスは、電話リレーサービス提供機関の通訳オペレータが、手話や、文字と音声とを通訳することにより、主に聴覚などの身体に障害のある者(サービス利用者)と聴者との間の双方向のコミュニケーションを支援するサービスである(特許文献1参照)。
図2を用いて、電話リレーサービスを簡単に説明する。
【0003】
図2において、サービス利用者10の通信端末11には、サービス利用者10が電話リレーサービス提供機関13の通訳オペレータと接続するための専用アプリケーション11aがインストールされている。
【0004】
サービス利用者10は、専用アプリケーション11aから聴者の電話番号を入力してダイヤルすると、通信端末11が発側として、聴者16の電話端末15に着信する。サービス利用者10は着側の聴者16の電話番号を入力する。通訳オペレータ側の電話番号を入力しても、通訳オペレータにはつながらない。
【0005】
サービス利用者10が専用アプリケーション11aで通話方法を選択すると、通訳オペレータとサービス利用者10とは手話やテキストメッセージ等でコミュニーケーションを開始し、他方、通訳オペレータと聴者16とは通話でコミュニケーションを開始する。すなわち、通訳オペレータが、サービス利用者10と聴者16との間に入って双方のコミュニケーションを支援する。
【0006】
ここで、発側の通信端末11と電話リレーサービス提供機関13とはインターネット12で接続されており、他方、着側の電話端末15と電話リレーサービス提供機関13とは公衆電話網14で接続されている。
【0007】
従来、電話リレーサービスは、日本財団が電話リレーサービスモデルプロジェクトを運営しており、インターネット12のデータ通信費用はサービス利用者10が負担するが、公衆電話網14を利用した通話に掛かる費用は日本財団が負担している。電話リレーサービスは、聴覚障碍者だけでなく、その他身体に障害のある者にも広く利用できるようにしていくことが期待されており、国又は民間企業などが電話リレーサービスを運営していくことになる。
【0008】
また、通話に掛かる費用は通話時間に依存する。従来、通話を終了する場合、サービス利用者10若しくは聴者16が通話を切断することになる。具体的には、サービス利用者10が通話切断をした場合、電話リレーサービス提供機関13のオペレータ若しくは聴者16のいずれかが通話を任意のタイミングで切断している。また、聴者16が通話切断をした場合、電話リレーサービス提供機関13のオペレータ若しくはサービス利用者10のいずれかが通話を任意のタイミングで切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来の電話リレーサービスには、以下の2つの問題が生じ得る。
【0011】
第1に、サービス利用者10と電話リレーサービス提供機関13は、インターネット12で接続しているため、データ通信に掛かる費用はサービス利用者10が負担すれば良い。しかし、電話リレーサービス提供機関13と聴者16との通話料金を、サービス利用者10に負担させる仕組みが構築されていないため、電話リレーサービス提供機関13が通話料金を負担しなければならない。そうすると、電話リレーサービス提供機関等の運営者側の経済的負担が大きく、電話リレーサービスの提供が難しくなるおそれがある。
【0012】
第2に、サービス利用者10と聴者16とのコミュニケーションが終了し、いずれか一方が通話を切断しても、電話リレーサービス提供機関13との通話は継続する。そのため、正しい通話時間が分からず、正しい通話料金を決めることができない。
【0013】
そこで、本発明は、サービス利用者と聴者との間のコミュニケーションに掛かった時間に基づいて通話料金を正しく確定することができ、サービス利用者が通話料金を負担できるようにするコミュニケーション支援システム及び方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
かかる課題を解決するために、第1の本発明は、ネットワークを介して接続する通信端末と、公衆電話網を介して接続する電話端末との間にオペレータ端末を備え、オペレータ端末を介して、通信端末と電話端末との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援システムにおいて、(1)通信端末から電話端末の電話番号を取得すると共に、通信端末からの接続要求に基づいて呼制御を行なう呼制御手段と、(2)呼制御手段からの接続要求に基づいて、オペレータ端末の呼接続処理を行なうと共に、電話端末の電話番号を用いて、オペレータ端末と電話端末との接続処理を行なう構内交換手段と、(3)呼制御手段から通信端末とオペレータ端末との間の呼情報を取得すると共に、構内交換手段から電話端末とオペレータ端末との間の呼情報を取得する呼情報管理手段と、(4)呼情報管理手段から、通信端末とオペレータ端末との間の呼情報と、電話端末とオペレータ端末との間の呼情報とに基づいて、通信端末と電話端末との間の通信に係る利用料金を算出する課金手段とを備えることを特徴とする。
【0015】
第2の本発明は、ネットワークを介して接続する通信端末と、公衆電話網を介して接続する電話端末との間にオペレータ端末を備え、オペレータ端末を介して、通信端末と電話端末との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援方法において、(1)呼制御手段が、通信端末から電話端末の電話番号を取得すると共に、通信端末からの接続要求に基づいて呼制御を行ない、(2)構内交換手段が、呼制御手段からの接続要求に基づいて、オペレータ端末の呼接続処理を行なうと共に、電話端末の電話番号を用いて、オペレータ端末と電話端末との接続処理を行ない、(3)呼情報管理手段が、呼制御手段から通信端末とオペレータ端末との間の呼情報を取得すると共に、構内交換手段から電話端末とオペレータ端末との間の呼情報を取得し、(4)課金手段が、呼情報管理手段から、通信端末とオペレータ端末との間の呼情報と、電話端末とオペレータ端末との間の呼情報とに基づいて、通信端末と電話端末との間の通信に係る利用料金を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、サービス利用者と聴者との間のコミュニケーションに掛かった時間に基づいて通話料金を正しく確定することができ、サービス利用者が通話料金を負担できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る電話リレーシステムの全体構成を示す全体構成図である。
【
図2】従来の電話リレーシステムを説明する説明図である。
【
図3】実施形態におけるPBXとソフトウェアとの接続構成を示す構成図である。
【
図4】実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、サービス利用者による発信処理を示すシーケンス図である。
【
図5】実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、サービス利用者による切断処理を示すシーケンス図である。
【
図6】実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、聴者による切断処理を示すシーケンス図である。
【
図7】実施形態における課金に必要な呼情報の授受を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係るコミュニケーション支援システム及び方法の主たる実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
実施形態では、本発明のコミュニケーション支援システムの一例として、電話リレーサービスシステムに適用する場合を例示する。
【0020】
(A-1)実施形態の構成
(A-1-1)全体構成
図1は、実施形態に係る電話リレーサービスシステムの全体構成を示す全体構成図である。
【0021】
図1において、実施形態に係る電話リレーサービスシステム5は、サービス利用者10が使用する通信端末11、電話リレーサービス提供機関システム(以下で、「電話リレーサービス提供機関」と呼ぶ。)13、聴者16が使用する電話端末15を有する。
【0022】
図1において、通信端末11と電話リレーサービス提供機関13とは、インターネット12を介して接続しており、電話リレーサービス提供機関13と電話端末15とは、公衆電話網14を介して接続している。
【0023】
なお、サービス利用者10は、通信端末11を使用して、電話リレーサービスを利用する。サービス利用者10は、聴覚障碍者を例示して説明するが、これに限らず、その他身体に障害のある者とすることができる。サービス利用者10は、電話リレーサービス提供機関13の通訳オペレータ20との間で、インスタントメッセージや手話等といった音声以外の手段でコミュニケーションをとる。聴者16は、サービス利用者10が希望する相手である。聴者16は、電話端末15を使用して通訳オペレータ20と通話する。
【0024】
通信端末11は、サービス利用者10が使用する通信端末である。サービス利用者10は電話回線事業者との間で電話回線使用契約を締結しており、通信端末11には電話番号が割り当てられている。通信端末11は、インターネット12との間で通信可能であれば様々な端末を適用でき、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を適用できる。この実施形態では、通信端末11がスマートフォンとする。
【0025】
通信端末11には、電話リレーサービス提供機関13のオペレータ端末26と接続して、サービス利用者10が通訳オペレータ20とコミュニケーションをとるための専用アプリケーション(以下、「専用アプリ」とも呼ぶ)11aがインストールされているものとする。
【0026】
専用アプリ11aは、SIPサーバ21とSIPで通信するためのSIP処理部を有する。また、専用アプリ11aは、インスタントメッセージ機能、テキストデータと音声データとの相互変換を行う音声認識機能、通訳オペレータ20による手話を表示する表示機能等を有する。
【0027】
電話リレーサービス提供機関13は、手話や文字(テキストメッセージ)等で通訳オペレータ20が通訳として、サービス利用者10と聴者16とを電話でつなぐサービスを提供する機関を指す。通訳オペレータ20は、インスタントメッセージや手話等でサービス利用者10とコミュニケーションをとり、他方、聴者16とは音声で会話する。その会話内容を中継する役割を有する。
【0028】
電話端末15は、聴者16が使用する電話端末である。電話端末15は、音声通話可能であり、電話番号が割り当てられている。電話端末15は、例えば、固定電話機、スマートフォン等の携帯電話機等を適用できる。
【0029】
(A-1-2)電話リレーサービス提供機関13のシステム構成
図1において、電話リレーサービス提供機関13は、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ21、PBX(Private Branch eXChange:構内交換機)22、呼情報サーバ23、DBサーバ24、課金サーバ25、オペレータ端末26を有する。
【0030】
オペレータ端末26は、通訳オペレータ20が使用する端末である。オペレータ端末26は、例えばパーソナルコンピュータやタブレット端末等を適用でき、オペレータ端末26には通信機能及び通訳機能を有する専用ソフトウェア(以下、「ソフトフォン」とも呼ぶ。)30がインストールされている。通訳オペレータ20は、ソフトフォン30を使用して、サービス利用者10及び聴者16とコミュニケーションをとる。
【0031】
ソフトフォン30は、通訳オペレータ20向けに、サービス利用者10との通信用加入者機能と、聴者16との通話用加入者機能の2種類を収容する。
【0032】
すなわち、
図3に例示するように、ソフトフォン30は、PBX22に対して、通信端末11との間で通信を行なう利用者通信用加入者機能部20-1と、電話端末15との間で通話を行なう聴者通信用加入者機能部20-2とを有する。
【0033】
また、ソフトフォン30は、サービス利用者10から通訳オペレータ20着信時に、聴者16の電話番号と、サービス利用者10のセッション名(SDPボディ部のs=行)を自動で設定し、通訳オペレータ20から聴者16に発信する。つまり、ソフトフォン30は、PBX22から、通信端末11が送信したSIPリクエストを取得する。このPBX22からのSIPリクエストには、電話端末15の電話番号と、通信端末11(の専用アプリ11a)が設定したセッション名とが含まれている。ソフトフォン30は、SIPリクエストに含まれている電話端末15の電話番号を用いて発信する。
【0034】
SIPサーバ21は、通信端末11とソフトフォン30との間のセッション確立、及び、テキストベースによるコミュニケーションを行なうサーバである。
【0035】
SIPサーバ21は、サービス利用者10の通信端末11をSIPクライアントとして収容する。また、SIPサーバ21は、通信端末11と通訳オペレータ20のソフトフォン30との間で、インスタントメッセージをやり取りさせるため、テキストメッセージ通信機能を有する。さらに、SIPサーバ21は、呼が確立すると、CDR(Call Detail Record:呼詳細記録)情報を生成し、その生成したCDR情報をバイナリ形式で、呼情報サーバ23に転送する。
【0036】
また、SIPサーバ21は、DBサーバ24と連携し、サービス利用者10が正式な加入者であるかを認証する認証機能を有する。SIPサーバ21は、DBサーバ24と連携し、通信端末11から受信したSIPリクエストに含まれている情報から、通信端末11及び電話端末15の電話番号をDBサーバ24に格納する。
【0037】
さらに、SIPサーバ21は、PBX22とSIPで通信することができる。SIPサーバ21は、通信端末11からSIPリクエストを受信すると、通信端末11のSIPリクエスト中のSDPボディ部に、サービス利用者10の発番号(通信端末11の電話番号)やランダムに決定されるセッション名(すなわち、セッション名)を含む、サービス利用者10の通信端末11を特定するための情報を記述する。SIPサーバ21は、上述した通信端末11を特定するための情報をSIPリクエストのSDPボディ部に含めて、そのSIPリクエストをPBX22に送信する。
【0038】
PBX22は、電話回線事業者が有する電話回線(いわゆる外線)と企業内の電話回線(いわゆる内線)や、内線同士を接続するための構内交換機である。PBX22は、各種オペレータを内線で接続している。
【0039】
また、PBX22は、ソフトフォン30をSIPクライアントとして収容して、ソフトフォン30との間でSIPで通信することができる。PBX22は、呼が発生すると、CDR情報を生成し、その生成したCDR情報をバイナリ形式で呼情報サーバ23に転送する。
【0040】
さらに、PBX22は、DBサーバ24と連携し、通訳オペレータ20のソフトフォン30がPBX22を介して、聴者16との通話を行うために必要な電話番号を参照する。PBX22は、SIPサーバ21とSIPで通信することができ、SIPサーバ21と同様に、SIPリクエストのSDPボディ部に、通信端末11と電話端末15とを特定するための情報を記述する。
【0041】
呼情報サーバ23は、SIPサーバ21及びPBX22から転送されたCDR情報を格納するためのサーバである。呼情報サーバ23は、このCDR情報を課金サーバ25に転送する。
【0042】
呼情報サーバ23は、SIPサーバ21及びPBX22からバイナリ形式で転送されてきたCDR情報を格納する。ここで、CDR情報のデータ転送は、RSYNC,SSH/TCPで実施される。呼情報サーバ23は、バイナリ形式の呼情報をcsv形式のテキストに変換して定刻処理で課金サーバ25に転送する。
【0043】
DBサーバ24は、サービス利用者10や通訳オペレータ20などの加入者情報や、SIPサーバ21とPBX22のルーティングに必要な局データなどを管理するためのサーバである。
【0044】
DBサーバ24は、SIPサーバ21及びPBX22がDBクライアントとして、加入者情報及び局データをDB参照する。DBサーバ24は、SIPサーバ21及びPBX22が発着を行う際、発側及び着側の電話番号をDBに書き込む。さらに、DBサーバ24は、SIPサーバ21及びPBX22がDBクライアントとして、着側の電話番号をDB参照する。
【0045】
課金サーバ25は、呼情報サーバ23とDBサーバ24と連携し、サービス利用者10の利用料金を決定するためのサーバである。以下に課金サーバ25の機能について記載する。
【0046】
課金サーバ25は、呼情報サーバ23からcsv形式で転送されたCDR情報をサービス利用者10の加入者情報ごとに格納する。課金サーバ25は、通訳オペレータ20が聴者16との通話で発生した通話料金を、PBX22が生成したCDR情報から算出する。
【0047】
課金サーバ25は、電話に必要なセッション情報が含まれたCDRからサービス利用者10と聴者16との通話時間を、通信端末11(サービス利用者10)とSIPサーバ21(通訳オペレータ20)間、SIPサーバ21とPBX22間、PBX22(通訳オペレータ20)と電話端末15(聴者16)のCDR情報から算出し、電話リレーサービス提供機関13がサービス利用者10に請求するための利用料金を算出する。
【0048】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る電話リレーシステム5におけるコミュニケーション支援処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0049】
(A-2-1)サービス利用者10による発信処理
図4は、実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、サービス利用者による発信処理を示すシーケンス図である。
【0050】
サービス利用者10の操作により、通信端末11上で、専用アプリ11aが起動する。専用アプリ11aが起動すると、電話発信の権限が専用アプリ11aに与えられる。専用アプリ11aでサービス利用者10は聴者16の電話番号を入力する。専用アプリ11aは、聴者16の電話番号を、電話リレーサービス提供機関13に通知する。
【0051】
[S101]
専用アプリ11aは、サービス利用者10と聴者16との会話(コミュニケーション)を特定するセッションを生成する(S101)。例えば、専用アプリ11aは、SIPプロトコル上のSDPボディ部の「s=フィールド」に、サービス利用者10と聴者16との会話を特定するセッション名を記述する。例えば、「セッション名:S」とする場合、専用アプリ11aは、SDPボディ部の「s=フィールド」に「セッション名:S」を記述する。以降、SIPメッセージを授受する際、必ず、このセッション名を記述するようにする。
【0052】
[S102]
専用アプリ11aはSIPリクエスト(INVITE)を作成し、通信端末11は、SIPサーバ21にINVITEを送信する(S102)。例えば、専用アプリ11aは、サービス利用者10と聴者16との会話を特定するセッション名(例えばセッション名:S)を記述したSDPをボディ部に記載したINVITEを作成し、通信端末11は、SIPサーバ21宛のINVITEを送信する。
【0053】
SIPサーバ21は、通信端末11から受信したSIPメッセージに含まれている、セッション名、発側の通信端末11の電話番号(例えば、電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(例えば、電話番号:N2)を対応付けて、DBサーバ24に格納する。
【0054】
なお、通信端末11は、定期的に、加入者情報の更新のためにSIPサーバ21に対してREGISTERを送信する。
【0055】
[S103、S104、S105~S107]
SIPサーバ21は、PBX22宛にINVITEを送信する(S103)。
【0056】
同様に、PBX22は、ソフトフォン30の利用者通信用加入者機能部(以下、単に「加入者機能部」と表記する。)20-1宛に、INVITEを送信して(S104)、通話可能な通訳オペレータ20と接続できるか否かを確認する。
【0057】
ここで、
図3に例示するように、PBX22は、ソフトフォン30の利用者通信用加入者機能部20-1と聴者通信用加入者機能部20-2と2種類を収容しており、それぞれの加入者機能部20-1と20-2と通信可能である。
【0058】
言い換えると、加入者機能部20-1及び20-2のそれぞれには、一意に識別するための識別情報(例えば、IPアドレス等)が付与されており、PBX22は、各識別情報を用いて各加入者機能部20-1又は20-2と通信する。
【0059】
待ち状態を示すため、加入者機能部20-1は、180 RingingをPBX22に送信する(S105)。同様に、PBX22はSIPサーバ21に180 Ringingを送信し(S106)、SIPサーバ21は通信端末11に180 Ringingを送信する(S107)。
【0060】
[S109、S110、S111~S114]
通訳オペレータ20が通話可能状態になり、ソフトフォン30の加入者機能部20-1が200OKメッセージをPBX22に送信し(S109)、PBX22は加入者機能部20-1にACKを返信する(S110)。
【0061】
同様に、通訳オペレータ20が通話可能状態になったことを示すため、PBX22は200OKメッセージをSIPサーバ21に送信し(S111)、SIPサーバ21はACKを返信する(S112)。さらに、SIPサーバ21は200OKメッセージを通信端末11に送信し(S113)、通信端末11はACKを返信する(S114)。
【0062】
[S115]
SIPサーバ21は、通信端末11からACKを受信した時刻を通信開始時刻として記録する(S115)。
【0063】
ここで、SIPサーバ21は、呼情報サーバ23に対してCDR情報をバイナリ形式で転送する。例えば、SIPサーバ21は、発側の通信端末11の電話番号(電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(電話番号:N2)、サービス利用者10と聴者16との会話を特定するセッション名(セッション名:S)、通信開始時刻を含む情報を呼情報サーバ23に転送する。
【0064】
[S116]
通話可能な通訳オペレータ20が検出され、SIPサーバ21とPBX22との間で通信可能な状態に遷移する。そうすると、通信端末11とソフトフォン30の加入者機能部20-1とのセッションが開始して、通話中となる(S116)。例えば、専用アプリ11a及びソフトフォン30で、インスタントメッセージの入力画面が表示され、メッセージの入力が可能な状態となる。
【0065】
[S118、S119]
ソフトフォン30の加入者機能部20-1は、聴者通信用加入者機能部(以下では、単に「加入者機能部」とも呼ぶ。)20-2に対して、通信端末11から通知されたセッション名(例えばセッション名:S)と、聴者16の電話端末15の電話番号とを設定する(S118)。
【0066】
さらに、加入者機能部20-1は、加入者機能部20-2に対して、聴者16の電話端末15宛の発信指示をする(S119)。
【0067】
ここで、加入者機能部20-2に対する発信指示は、ソフトフォン30の機能を用いて、通訳オペレータ20が手動で行ってもよいし、ソフトフォン30に自動発信指示機能を付加して自動で行うようにしてもよい。
【0068】
[S121、S122]
ソフトフォン30の加入者機能部20-2は、加入者機能部20-1からの発信指示に従って、通信端末11から通知を受けたセッション名(例えば、セッション名:S)をSDPに設定(記述)し(S121)、聴者16の電話端末15の電話番号を含む、電話端末15宛のINVITEを作成する。そして、加入者機能部20-2は、INVITEをPBX22に送信する(S122)。
【0069】
[S123~S125]
PBX22は、電話端末15にINVITEを電話端末15に送信する(S123)。また、着信応答まで、電話端末15は、PBX22に180 Ringingを返信し(S124)、同様に、PBX22も、加入者機能部20-2に180 Ringingを返信する(S125)。
【0070】
[S126~S129]
その後、聴者16が電話にでると、電話端末15は200OKをPBX22に送信し(S126)、PBX22はACKを電話端末15に返信する(S127)。同様に、PBX22は200OKを加入者機能部20-2に送信し(S128)、加入者機能部20-2はACKをPBX22に返信する(S129)。
【0071】
[S130、S131]
加入者機能部20-2からのACKがPBX22に受信された時刻を、PBX22は、通話開始時刻として記録する(S130)。また、加入者機能部20-2からのACKがPBX22に受信されると、電話端末15とソフトフォン30の加入者機能部20-2とのセッションが開始し、聴者16と通訳オペレータ20とが通話中となる(S131)。
【0072】
PBX22は、呼情報サーバ23に対してCDR情報をバイナリ形式で転送する。例えば、PBX22は、発側の通信端末11の電話番号(電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(電話番号:N2)、サービス利用者10と聴者16との会話を特定するセッション名(セッション名:S)、通信開始時刻を含む情報を呼情報サーバ23に転送する。
【0073】
(A-2-2)サービス利用者10による切断
図5は、実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、サービス利用者による切断処理を示すシーケンス図である。
【0074】
ここでは、サービス利用者10と聴者16との間のコミュニケーションが終了した場合に、サービス利用者10が通話切断したときの切断処理を
図5を用いて説明する。
【0075】
[S202、S203]
聴者16とのコミュニケーションが終了すると、サービス利用者10は専用アプリ11aで通話切断する。専用アプリ11aはBYEリクエストを作成して、通信端末11がBYEリクエストをSIPサーバ21に送信する(S202)。このBYEリクエストにも、サービス利用者10と聴者16との会話を特定するセッション名が含まれている。
【0076】
同様に、SIPサーバ21は、PBX22に、BYEリクエストを送信する(S203)。
【0077】
[S204、S205~S210]
PBX22は、SIPサーバ21からBYEリクエストを受信すると、加入者機能部20-1と加入者機能部20-2、及び、電話端末15に、BYEリクエストを送信する。
【0078】
すなわち、PBX22は加入者機能部20-1にBYEを送信し(S205)、PBX22は加入者機能部20-2にBYEを送信し(S207)、PBX22は電話端末15にBYEを送信する(S209)。
【0079】
そして、加入者機能部20-1はPBX22に200OKを返信し(S206)、加入者機能部20-2はPBX22に200OKを返信し(S208)、電話端末15はPBX22に200OKを返信する(S210)。
【0080】
[S211]
ここで、PBX22は、加入者機能部20-2から200OKを受信した時点を、通話終了時刻とする(S211)。
【0081】
PBX22は、発側の通信端末11の電話番号(電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(電話番号:N2)、セッション名(セッション名:S)、通話終了時刻を含む情報を呼情報サーバ23に転送する。
【0082】
[S212、S213]
PBX22は、加入者機能部20-1、加入者機能部20-2及び電話端末15から200OKを受信すると、SIPサーバ21に、200OKを返信する(S212)。さらに、SIPサーバ21は、通信端末11に200OKを返信する(S213)。
【0083】
[S214]
SIPサーバ21は、通信端末11に対して200OKを送信した時点を、通信終了時刻として記録する(S214)。
【0084】
(A-2-3)聴者16による切断
図6は、実施形態に係る電話リレーシステムにおいて、聴者による切断処理を示すシーケンス図である。
【0085】
次に、サービス利用者10と聴者16との間のコミュニケーションが終了した場合に、聴者16が通話切断したときの切断処理を
図6を用いて説明する。
【0086】
[S301、S302]
サービス利用者10とのコミュニケーションが終了し、聴者16が通話切断すると、電話端末15はBYEリクエストをPBX22に送信する(S301)。BYEリクエストを受信したPBX22は、200OKを電話端末15に返信する。
【0087】
[S303、S304]
同様に、PBX22は、ソフトフォン30の加入者機能部20-2にBYEリクエストを送信し(S303)、加入者機能部20-2は、200OKを返信する(S304)。
【0088】
[S305、S306]
ソフトフォン30では、加入者機能部20-2が加入者機能部20-1に対して自動若しくは手動で通信端末11との切断を指示する(S305)。
【0089】
[S307~S312]
通信端末11との切断指示を受けた加入者機能部20-1は、PBX22にBYEリクエストを送信し(S307)、PBX22から200OKを受信する(S308)。同様に、PBX22は、SIPサーバ21にBYEリクエストを送信し(S309)、SIPサーバ21から200OKを受信する(S310)。SIPサーバ21は通信端末11にBYEリクエストを送信し(S311)、通信端末11から200OKを受信する(S312)。
【0090】
このようにして、通信端末11に対して切断要求することで、セッションが終了する。
【0091】
[S313]
SIPサーバ21は、通信端末11から200OKを受信した時刻を、通信終了時刻として記録する。
【0092】
SIPサーバ21は、発側の通信端末11の電話番号(電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(電話番号:N2)、セッション名(セッション名:S)、通話終了時刻を含む情報を呼情報サーバ23に転送する。
【0093】
(A-2-4)課金処理
次に、実施形態に係る課金処理の動作を、
図7を参照して説明する。
【0094】
上述したように、SIPサーバ21及びPBX22は、呼情報サーバ23に対して、確認に必要なデータとして、セッション名、発側の通信端末11の電話番号(電話番号:N1)、着側の電話端末15の電話番号(電話番号:N2)、開始時刻又は終了時刻を含むCDR情報をバイナリ形式で転送する。
【0095】
なお、データ転送方式は、様々な方式を適用でき、例えば、RSYNC,SSH/TCPプロトコル等を適用できる。
【0096】
呼情報サーバ23は、SIPサーバ21、PBX22から受信したCDR情報に基づいて、csv形式に変換した呼情報テキストを生成する。例えば、
図7に示すように、「サービス利用者10の発番号」、「聴者16の着番号」、「電話リレーサービス提供機関13の発番号」、「通話開始時刻」、「通話終了時刻」などを含む情報を生成する。
【0097】
そして、呼情報サーバ23は、課金サーバ25に、事前に決定した所定時刻(例えば1日に1回程度の所定時刻)に転送する。なお、呼情報テキストは、汎用的なTCP/IPプロトコルにより転送する。
【0098】
課金サーバ25は、呼情報サーバ23から取得した呼情報テキストに基づいて、サービス利用者10と聴者16との間の通話時間を求め、その通話時間に対応する通話料金を算出する。なお、契約にもよるが、例えば、課金サーバ25は、月末時にその月の合計として利用料金を確定する。
【0099】
そして、課金サーバ25によって利用料金が確定されると、電話リレーサービス提供機関13が、サービス利用者10に利用料金を請求する。
【0100】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0101】
実施形態によれば、発信処理において、通訳オペレータの手動により又はソフトウェアの機能により、通訳オペレータ(聴者通信用加入者機能部)と聴者(電話端末)とのセッションを設定することにより、サービス利用者と通訳オペレータの通信、及び、通訳オペレータと聴者の通話をそれぞれ一意に特定することができる。
【0102】
また、実施形態によれば、切断処理において、サービス利用者の通話切断を契機に、PBXが通訳オペレータと聴者の電話端末のセッションを切断させることで、通訳オペレータと聴者の間の通話を切断させて正しい通話時間を確定させることができる。
【0103】
さらに、実施形態によれば、SIPサーバとPBXが呼情報を呼情報サーバ23に転送し、呼情報サーバが課金サーバに課金に必要な情報を転送することで、課金サーバが利用料金を算出し、サービス利用者に費用請求することを可能にする。
【0104】
上述した実施形態により、電話リレーサービス提供機関の料金徴収方法が確立され、利用負担を電話リレーサービス提供機関に行わないことから、長期的な事業継続を実現する。
【符号の説明】
【0105】
5…電話リレーシステム、11…通信端末、13…電話リレーサービス提供機関システム、15…電話端末、21…SIPサーバ、22…PBX、23…呼情報サーバ、24…DBサーバ、25…課金サーバ、26…オペレータ端末、30…ソフトフォン、20-1…利用者通信用加入者機能部、20-2…聴者通信用加入者機能部。