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特開2022-126308表示板ユニットおよび表示装置の改修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126308
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】表示板ユニットおよび表示装置の改修方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20220823BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
B66B3/02 G
B66B7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024309
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野地 一郎
(72)【発明者】
【氏名】上條 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】中井 彩華
【テーマコード(参考)】
3F303
3F305
【Fターム(参考)】
3F303DA02
3F305DA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表示装置の改修作業の作業負荷を低減する表示板ユニットおよび改修方法を提供する。
【解決手段】表示板ユニット16は、表示装置において、エレベーターの複数の表示のいずれかに対応する。表示装置は、化粧板5を備える。化粧板5の前面において、複数の表示孔9が設けられる。各々の表示孔9は、いずれかの表示に対応する。表示板ユニット16は、第1コネクタ17と、発光素子20と、新設表示板21と、を備える。第1コネクタ17は、対応する表示の信号を受け付ける。発光素子20は、第1コネクタ17が受け付ける信号に基づいて可視光を発する。新設表示板21の後面は、発光素子20に対向する。新設表示板21は、発光素子20が発する可視光を透過させる。新設表示板21の前面は、対応する表示の表示孔9より大きい。新設表示板21は、当該表示孔9の縁に化粧板5の前方から取り付けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの複数の表示の各々に対応する表示孔が乗場に面する前面に複数設けられた化粧板を備える表示装置において、前記複数の表示のいずれかに対応する表示板ユニットであり、
前記複数の表示のうち対応する表示の信号を受け付ける入力部と、
前記入力部が受け付ける信号に基づいて可視光を発する発光素子と、
後面が前記発光素子に対向し、前記発光素子が発する可視光を透過させ、前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔より前面が大きく、当該表示孔の縁に前記化粧板の前方から取り付けられる表示板と、
を備える表示板ユニット。
【請求項2】
前記表示板は、前記化粧板の前面において、前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔の縁に接着によって取り付けられる
請求項1に記載の表示板ユニット。
【請求項3】
前記表示板の前面より後方に設けられ、弾性変形することによって前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔を前方から後方に通過可能であり、当該表示孔を通過するときの弾性変形が復元することによって当該表示孔の縁の後面に係ることで前記表示板を前記化粧板に取り付ける留め具
を備える請求項1に記載の表示板ユニット。
【請求項4】
前記表示板は、前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔に嵌め込まれる嵌め込み部を後面に有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示板ユニット。
【請求項5】
前記表示板の後面に設けられ、前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔に嵌め込まれる嵌め込み部
を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表示板ユニット。
【請求項6】
エレベーターの複数の表示の各々に対応する表示孔が乗場に面する前面に複数設けられた化粧板を備える表示装置の改修方法であり、
前記複数の表示の各々について、当該表示の信号に基づいて可視光を発していた既設ランプおよび当該既設ランプが発する可視光を透過させていた既設表示板を取外し、当該表示の信号を伝達する配線を当該表示に対応する表示孔まで引き出す引出し工程と、
前記複数の表示のうち前記引出し工程の作業が行われた表示について、当該表示の信号に基づいて可視光を発する新設発光素子を当該表示に対応する表示孔まで引き出された配線に接続する接続工程と、
前記複数の表示のうち前記接続工程の作業が行われた表示について、当該表示に対応し後面に設けられた前記新設発光素子が発する可視光を透過させる新設表示板を、当該表示に対応する表示孔の縁に前記化粧板の前方から取り付ける取付け工程と、
を備える表示装置の改修方法。
【請求項7】
前記引出し工程は、
前記化粧板に保持具を取り付ける手順と、
表示孔まで引き出した配線を当該表示孔から前記化粧板より乗場側に引き出した状態で前記化粧板に取り付けられた前記保持具に保持させる手順と、
を含む
請求項6に記載の表示装置の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示板ユニットおよび表示装置の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、表示装置の改修方法の例を開示する。当該改修方法において、既設の表示装置を隠ぺいするように新設の表示装置が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-19305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の改修方法において、既設の表示装置の化粧板に配線を通す孔を空けるなどの加工が行われる。このような化粧板の現地加工によって、改修作業の作業負荷が高くなる。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、表示装置の改修作業の作業負荷を低減する表示板ユニットおよび改修方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る表示板ユニットは、エレベーターの複数の表示の各々に対応する表示孔が乗場に面する前面に複数設けられた化粧板を備える表示装置において、前記複数の表示のいずれかに対応する表示板ユニットであり、前記複数の表示のうち対応する表示の信号を受け付ける入力部と、前記入力部が受け付ける信号に基づいて可視光を発する発光素子と、後面が前記発光素子に対向し、前記発光素子が発する可視光を透過させ、前記複数の表示のうち対応する表示の表示孔より前面が大きく、当該表示孔の縁に前記化粧板の前方から取り付けられる表示板と、を備える。
【0007】
本開示に係る表示装置の改修方法は、エレベーターの複数の表示の各々に対応する表示孔が乗場に面する前面に複数設けられた化粧板を備える表示装置の改修方法であり、前記複数の表示の各々について、当該表示の信号に基づいて可視光を発していた既設ランプおよび当該既設ランプが発する可視光を透過させていた既設表示板を取外し、当該表示の信号を伝達する配線を当該表示に対応する表示孔まで引き出す引出し工程と、前記複数の表示のうち前記引出し工程の作業が行われた表示について、当該表示の信号に基づいて可視光を発する新設発光素子を当該表示に対応する表示孔まで引き出された配線に接続する接続工程と、前記複数の表示のうち前記接続工程の作業が行われた表示について、当該表示に対応し後面に設けられた前記新設発光素子が発する可視光を透過させる新設表示板を、当該表示に対応する表示孔の縁に前記化粧板の前方から取り付ける取付け工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る表示板ユニットまたは改修方法によれば、表示装置の改修作業の作業負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの乗場の正面図である。
図2】実施の形態1に係る改修方法が適用される既設の表示装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係る表示板ユニットの斜視図である。
図4】実施の形態1に係る表示板ユニットが取り付けられた表示装置の構成を示す図である。
図5】実施の形態1に係る改修方法の例を示す図である。
図6】実施の形態2に係る表示板ユニットの側面図である。
図7】実施の形態2に係る改修方法の例を示す図である。
図8】実施の形態3に係る改修方法の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の乗場2の正面図である。
【0012】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の図示されない昇降路が設けられる。昇降路は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。エレベーター1は、昇降路を上下方向に走行する図示されないかごによって利用者を複数の階床の間で輸送する装置である。建物の各々の階床において、昇降路に隣接する乗場2が設けられる。
【0013】
各々の階床の乗場2において、乗場ドア3が設けられる。乗場ドア3は、乗場2および昇降路を区画するドアである。ここで、昇降路から乗場2に向かう方向を前方とする。乗場ドア3の前面は、乗場2に向けられる。
【0014】
各々の階床の乗場2において、表示装置4が設けられる。表示装置4は、乗場2においてエレベーター1の利用者に運行状況などの情報を提供する装置である。表示装置4は、例えば乗場ドア3の上方に配置される。表示装置4は、複数の表示の点灯および消灯によって利用者に情報を提供する。表示装置4における複数の表示は、例えば、対応する階床にかごがいることを示す表示、ならびにかごが上方に走行していることを示す表示、およびかごが下方に走行していることを示す表示などを含む。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る改修方法が適用される既設の表示装置4の構成を示す図である。
図2において、図1の平面Aによる断面が示される。
【0016】
既設の表示装置4は、化粧板5と、複数の既設表示板6と、複数の既設ランプ7と、ランプケース8と、を備える。
【0017】
化粧板5は、前面が乗場2に面する部材である。化粧板5は、例えば幕板である。化粧板5の前面において、複数の表示孔9が設けられる。各々の表示孔9は、表示装置4における複数の表示のいずれかに対応する。複数の表示孔9は、左右方向に並ぶ。各々の表示孔9は、例えば矩形の孔である。
【0018】
各々の既設表示板6は、表示装置4における複数の表示のいずれかに対応する。各々の既設表示板6は、化粧板5において同じ表示に対応する表示孔9に取り付けられる。各々の既設表示板6は、可視光を透過させる材質により形成される。各々の既設表示板6は、後部に鍔部10を有する。各々の既設表示板6は、化粧板5の後面から表示孔9の縁に鍔部10によって取り付けられる。
【0019】
各々の既設ランプ7は、表示装置4における複数の表示のいずれかに対応する。各々の既設ランプ7は、同じ表示に対応する既設表示板6の後方に配置される。各々の既設ランプ7は、対応する表示の点灯の信号を図示されない制御盤などから受ける場合に、可視光を発する機器である。各々の既設ランプ7は、例えば電球などである。各々の既設ランプ7の発光は、当該既設ランプ7の前方の既設表示板6を通して乗場2の利用者から視認できる。このため、各々の既設ランプ7の発光によって当該既設ランプ7に対応する表示の点灯が利用者に示される。
【0020】
ランプケース8は、各々の既設ランプ7を格納するケースである。ランプケース8は、化粧板5の後方に配置される。ランプケース8は、化粧板5によって乗場2から隠ぺいされている。ランプケース8は、各々の既設ランプ7を接続するソケット11を備える。各々の既設ランプ7は、接続されたソケット11を通じて対応する表示の点灯の信号を受け付ける。ランプケース8は、隣接して配置される既設ランプ7の間に遮蔽板12を有していてもよい。遮蔽板12は、既設ランプ7が発する可視光が当該既設ランプ7に隣接して配置される既設ランプ7の前方の既設表示板6に当たることを遮蔽する板である。
【0021】
既設の表示装置4において、点検口13が設けられる。点検口13は、例えば表示装置4の下部に設けられる。既設の表示装置4において、点検口13を塞ぐ蓋14が設けられる。点検口13の蓋14は、エレベーター1の通常運転時において閉められている。点検口13の蓋14は、既設の表示装置4の保守点検時などにおいて空けられる。
【0022】
既設の表示装置4において、後方に乗場ドア3の開閉を案内するドアレール15などの機器が配置されている。このような機器が干渉しうるため、表示装置4の後方からの作業の作業性は悪い場合がある。このため、表示装置4の改修において、表示装置4の前方からの作業によって取付けが可能な図2に図示されない表示板ユニット16が適用される。
【0023】
図3は、実施の形態1に係る表示板ユニット16の斜視図である。
【0024】
表示板ユニット16は、表示装置4における複数の表示のいずれかに対応する。表示板ユニット16は、第1コネクタ17と、第1電線18と、嵌め込み部19と、発光素子20と、新設表示板21と、を備える。
【0025】
第1コネクタ17は、表示板ユニット16が対応する表示の点灯の信号を受け付ける部分である。第1コネクタ17は、入力部の例である。
【0026】
第1電線18は、電気信号を伝達する部分である。第1電線18は、第1コネクタ17が受け付けた信号を伝達しうるように、第1コネクタ17に接続される。
【0027】
嵌め込み部19は、表示板ユニット16が対応する表示と同じ表示に対応する表示孔9に嵌め込まれる部分である。嵌め込み部19の形状は、当該表示孔9に合わせた形状である。
【0028】
発光素子20は、表示板ユニット16が対応する表示の点灯の信号に基づいて可視光を発する部分である。発光素子20は、第1電線18に接続される。発光素子20は、第1コネクタ17に入力された点灯の信号が第1電線18を通じて伝達されるときに可視光を発する。発光素子20は、例えばLED素子(LED:Light Emitting Diode)である。発光素子20が搭載される基板は、例えば嵌め込み部19に配置される。
【0029】
新設表示板21は、前面が乗場2に面する部分である。新設表示板21は、可視光を透過させる材質により形成される。新設表示板21の後面は、発光素子20に対向する。新設表示板21の後面は、例えば嵌め込み部19に取り付けられる。新設表示板21の前面は、乗場2の利用者から視認しやすいように、下方に向けて傾いていてもよい。また、新設表示板21の前面に対応する階床などの文字が示される場合に、当該文字は、ラベルなどの貼付けによって付されるものであってもよいし、あるいは、新設表示板21の前面の凹凸によって示されるものであってもよい。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る表示板ユニット16が取り付けられた表示装置4の構成を示す図である。
図4において、図1の平面Aによる断面が示される。
【0031】
新設表示板21は、表示板ユニット16が対応する表示と同じ表示に対応する表示孔9の縁に化粧板5の前方から取り付けられる。新設表示板21の前面の大きさは、当該表示孔9の大きさより大きい。このため、新設表示板21の前面は、当該表示孔9を乗場2から隠ぺいする。また、新設表示板21は、発光素子20を乗場2から隠ぺいする。
【0032】
表示装置4に取り付けられた表示板ユニット16において、発光素子20は、第1コネクタ17を通じて当該表示板ユニット16が対応する表示の点灯の信号を受け付ける。発光素子20は、点灯の信号を受け付けるときに可視光を発する。発光素子20の発光は、新設表示板21を通して乗場2の利用者から視認できる。このため、各々の表示に対応する表示板ユニット16の発光素子20の発光によって当該表示板ユニット16に対応する表示の点灯が利用者に示される。
【0033】
続いて、図5を用いて、表示装置4の改修方法の例を説明する。
図5は、実施の形態1に係る改修方法の例を示す図である。
図5において、図1の平面Aによる断面が示される。
【0034】
表示装置4の改修方法は、引出し工程と、接続工程と、取付け工程と、を備える。表示装置4の改修作業を行う作業員は、引出し工程、接続工程、および取付け工程の各々の作業をこの順に行う。
【0035】
引出し工程において、作業員は、表示装置4から各々の既設表示板6および各々の既設ランプ7を取り外す。各々の既設表示板6は、化粧板5の後方に取り外される。各々の既設ランプ7は、ソケット11から取り外される。
【0036】
その後、作業員は、取り外した既設表示板6および既設ランプ7が対応していた表示の点灯の信号を伝達する配線を、当該表示に対応する表示孔9まで引き出す。このとき、作業員は、例えばコネクタユニット22を用いて配線を引き出す。コネクタユニット22は、口金23と、第2電線24と、第2コネクタ25と、を備える機器である。口金23は、ソケット11に接続される部分である。口金23は、接続されたソケット11を通じて対応する表示の点灯の信号を受け付ける。第2電線24は、口金23および第2コネクタ25の間で電気信号を伝達する部分である。第2コネクタ25は、口金23を通じて入力された点灯の信号を出力する端子である。作業員は、既設ランプ7が取り外されたソケット11にコネクタユニット22の口金23を取り付ける。作業員は、当該既設ランプ7が対応していた表示孔9まで第2コネクタ25を引き出す。このように、既設ランプ7が対応していた表示の点灯の信号を伝達する配線が、当該表示に対応する表示孔9まで引き出される。なお、第2コネクタ25は、乗場2にいる作業員の手が表示孔9から届く範囲まで引き出されていればよい。あるいは、第2コネクタ25は、化粧板5より乗場2側まで、表示孔9を通じて表示装置4の外側に引き出されていてもよい。
【0037】
引出し工程の作業は、例えば点検口13を通じて行われる。このとき、ランプケース8は取り付けられたままであってもよい。取り外された既設表示板6および既設ランプ7は、例えば点検口13を通じて表示装置4の外部に撤去される。表示装置4に点検口13が設けられていない場合などに、引出し工程の作業は、昇降路において例えばかごの上部などから行われてもよい。
【0038】
接続工程において、作業員は、引出し工程の作業を行った表示について、当該表示に対応する表示板ユニット16の発光素子20を、当該表示に対応する表示孔9まで引き出された配線に電気的に接続する。この例において、作業員は、第1コネクタ17および第2コネクタ25を接続することによって、引き出された配線に発光素子20を電気的に接続する。
【0039】
取付け工程において、作業員は、接続工程の作業を行った表示について、当該表示に対応する表示板ユニット16の新設表示板21を、当該表示に対応する表示孔9の縁に化粧板5の前方から取り付ける。新設表示板21は、例えば接着によって取り付けられる。この例において、新設表示板21は、両面テープ26を用いた接着によって化粧板5に取り付けられる。両面テープ26は、例えばフォーム基材両面テープなどである。取付け工程において、作業員は、表示板ユニット16の新設表示板21の後面の縁に両面テープ26を貼り付ける。その後、作業員は、当該表示板ユニット16の嵌め込み部19を、当該表示板ユニット16が対応する表示孔9に前方から嵌め込む。その後、作業員は、新設表示板21の後面を当該表示孔9の縁に前方から押し付ける。これにより、表示板ユニット16が化粧板5に取り付けられる。なお、新設表示板21は、新設表示板21の後面の縁に塗られた接着剤を用いる接着によって化粧板5に取り付けられてもよい。この例の表示装置4の改修において、化粧板5は引き続き使用される。
【0040】
このように、各々の表示について既設ランプ7および既設表示板6を新設の表示板ユニット16を交換することによって、表示装置4の改修が行われる。なお、作業員は、各々の表示ごとに接続工程および取付け工程を続けて行ってもよい。
【0041】
なお、引出し工程において、作業員はソケット11自体を取り外してもよい。このとき、作業員は、ソケット11に接続されていた配線自体を表示孔9まで引き出す。この場合に、作業員は、コネクタユニット22を用いなくてもよい。あるいは、ソケット11に接続されていた配線の長さが十分でない場合に、作業員は、ソケット11に接続されていた配線に他の電線を接続して延長することなどによって表示孔9までの引出しを行ってもよい。
【0042】
以上に説明したように、実施の形態1に係る表示板ユニット16は、表示装置4において、エレベーター1の複数の表示のいずれかに対応する。表示装置4は、化粧板5を備える。化粧板5の前面において、複数の表示孔9が設けられる。各々の表示孔9は、いずれかの表示に対応する。表示板ユニット16は、第1コネクタ17と、発光素子20と、新設表示板21と、を備える。第1コネクタ17は、対応する表示の信号を受け付ける。発光素子20は、第1コネクタ17が受け付ける信号に基づいて可視光を発する。新設表示板21の後面は、発光素子20に対向する。新設表示板21は、発光素子20が発する可視光を透過させる。新設表示板21の前面は、対応する表示の表示孔9より大きい。新設表示板21は、当該表示孔9の縁に化粧板5の前方から取り付けられる。
また、実施の形態1に係る改修方法は、引出し工程と、接続工程と、取付け工程と、を備える。引出し工程は、各々の表示について、当該表示に対応する既設ランプ7および既設表示板6を取外し、当該表示の信号を伝達する配線を当該表示に対応する表示孔9まで引き出す工程である。ここで、既設ランプ7は、当該表示の信号に基づいて可視光を発していた機器である。既設表示板6は、既設ランプ7が発する可視光を透過させていた機器である。接続工程は、引出し工程の作業が行われた表示について、新設の発光素子20を当該表示に対応する表示孔9まで引き出された配線に接続する工程である。ここで、新設の発光素子20は、当該表示の信号に基づいて可視光を発する素子である。取付け工程は、接続工程の作業が行われた表示について、当該表示に対応する表示孔9の縁に新設表示板21を化粧板5の前方から取り付ける工程である。ここで、新設表示板21は、当該表示に対応する機器であり、後面に設けられた新設の発光素子20が発する可視光を透過させる機器である。
【0043】
このような構成により、既設の表示装置4の化粧板5に孔を空けるなどの加工を必要とせずに表示装置4の改修を行えるようになる。このため、表示装置4の改修作業の作業負荷が低減される。また、作業員は、乗場2において化粧板5の前方から表示板ユニット16の接続および取付けができるようになる。このため、表示装置4の改修作業の作業性が向上する。
【0044】
また、新設表示板21は、化粧板5の前面において、対応する表示の表示孔9の縁に接着によって取り付けられる。
【0045】
このような構成により、作業員は、新設表示板21を前方から押し付けることで表示板ユニット16の取付けができるようになる。このため、表示装置4の改修作業の作業性が向上する。また、表示板ユニット16の構成が簡潔になる。
【0046】
また、表示板ユニット16は、嵌め込み部19を備える。嵌め込み部19は、新設表示板21の後面に設けられる。嵌め込み部19は、対応する表示の表示孔9に嵌め込まれる。
【0047】
このような構成により、表示板ユニット16の位置および向きは、表示孔9の位置および向きからずれにくくなる。このため、表示装置4の改修作業の作業性が向上する。また、改修後の表示装置4の意匠性が低下しにくくなる。なお、嵌め込み部19は、新設表示板21の一部であってもよい。すなわち、新設表示板21は、一体に形成された嵌め込み部19を後面に有していてもよい。
【0048】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0049】
図6は、実施の形態2に係る表示板ユニット16の側面図である。
【0050】
表示板ユニット16は、留め具27を備える。留め具27は、表示板の前面より後方に設けられる。留め具27は、表示板の後面より後方に設けられてもよい。この例において、留め具27は、嵌め込み部19に設けられる。留め具27は、嵌め込み部19の外面から突出する。留め具27は、弾性変形によって嵌め込み部19の外面より内側に入り込めるように取り付けられる。
【0051】
続いて、図7を用いて、表示装置4の改修方法の例を説明する。
図7は、実施の形態2に係る改修方法の例を示す図である。
図7において、図1の平面Aによる断面が示される。
【0052】
取付け工程において、作業員は、表示板ユニット16の嵌め込み部19を、当該表示板ユニット16が対応する表示孔9に前方から嵌め込む。このとき、当該表示板ユニット16の留め具27は、当該表示孔9の縁に当たって弾性変形により嵌め込み部19の外面から内側に入り込む。これにより、留め具27は当該表示孔9を前方から後方に通過する。当該表示孔9を通過した留め具27は、弾性変形の復元によって嵌め込み部19の外面から突出する。このとき、留め具27は、当該表示孔9の縁の後面に掛る。これにより、表示板ユニット16が化粧板5に取り付けられる。
【0053】
以上に説明したように、実施の形態2に係る表示板ユニット16は、留め具27を備える。留め具27は、新設表示板21の前面より後方に設けられる。留め具27は、弾性変形することによって対応する表示の表示孔9を前方から後方に通過できる。留め具27は、当該表示孔9を通過するときの弾性変形が復元することによって、当該表示孔9の縁の後面に掛ることで新設表示板21を化粧板5に取り付ける。
【0054】
このような構成により、作業員は、両面テープ26の貼付または接着剤の塗布などを必要とせずに、新設表示板21を前方から押し付けることで表示板ユニット16の取付けができるようになる。このため、表示装置4の改修作業の作業性が向上する。
【0055】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0056】
図8は、実施の形態3に係る改修方法の例を示す図である。
図8において、引出し工程における上方から見た表示装置4が示される。
【0057】
引出し工程において、作業員は、保持具28を用いて作業を行う。保持具28は、引出し工程において引き出された配線を保持する器具である。保持具28は、基部29と、一対の取付け部30と、複数の枝部31と、複数の把持部32と、を備える。
【0058】
基部29は、保持具28の骨格をなす部分である。この例において、基部29は、左右方向に長い部材である。基部29の長さは、例えば複数の表示孔9が左右方向に並ぶ場合に、左端の表示孔9の左縁から右端の表示孔9の右縁までの距離より長い。
【0059】
一対の取付け部30は、保持具28を化粧板5に取り付けるための部分である。化粧板5が鉄などの強磁性を有する物質を含む材料からなる場合に、各々の取付け部30は、例えば磁石などである。あるいは、各々の取付け部30は、吸盤などであってもよい。一方の取付け部30は、基部29の左端に設けられる。他方の取付け部30は、基部29の右端に設けられる。左側の取付け部30は、左端の表示孔9より左側において化粧板5に取り付けられる。右側の取付け部30は、右端の表示孔9より右側において化粧板5に取り付けられる。このとき、取付け部30の基部29は、左端の表示孔9から右端の表示孔9にわたるように配置される。一対の取付け部30は、例えば化粧板5の後面に取り付けられる。
【0060】
各々の枝部31は、いずれかの表示孔9に対応する。各々の枝部31は、化粧板5に取り付けられた基部29から対応する表示孔9に向けて延びる部分である。
【0061】
各々の把持部32は、いずれかの表示孔9に対応する。各々の把持部32は、同じ表示孔9に対応する枝部31の先端に設けられる。各々の把持部32は、対応する表示孔9まで引き出される配線を把持する部分である。各々の把持部32は、例えばケーブルクリップなどである。
【0062】
引出し工程において、作業員は、既設の表示装置4からランプケース8を取り外す。その後、作業員は、基部29が左端の表示孔9から右端の表示孔9にわたるように保持具28を化粧板5の後面に取り付ける。その後、作業員は、第2コネクタ25が表示孔9を通じて表示装置4の外側まで出るように配線の引出しを行う。作業員は、表示孔9まで引き出した配線を、当該表示孔9に対応する把持部32に把持させる。これにより、引出し工程において引き出された配線の後方への戻りが防がれる。このため、作業員は、後に続く接続工程の作業を行いやすくなる。
【0063】
保持具28は、例えば接続工程の後に撤去される。なお、保持具28が乗場2から隠ぺいされ、かつ、エレベーター1の運行を妨げない場合などに、保持具28は、改修作業後においても化粧板5の後面に取り付けられたままであってもよい。
【0064】
なお、保持具28は、各々の表示孔9について個別に取り付けられるものであってもよい。また、保持具28は、化粧板5の前面に取り付けられてもよい。作業員は、各々の表示ごとに接続工程の後に当該表示に対応する表示孔9についての保持具28を撤去してもよい。
【0065】
以上に説明したように、実施の形態3に係る改修方法の引出し工程は、化粧板5に保持具28を取り付ける手順と、化粧板5に取り付けられた保持具28に、表示孔9まで引き出した配線を当該表示孔9から化粧板5より乗場2側に引き出した状態で保持させる手順と、を含む。
【0066】
このような構成により、引出し工程において引き出された配線の後方への戻りが防がれるので、改修作業における工程の手戻りなどが予防される。このため、表示装置4の改修作業の作業性が向上する。
【符号の説明】
【0067】
1 エレベーター、 2 乗場、 3 乗場ドア、 4 表示装置、 5 化粧板、 6 既設表示板、 7 既設ランプ、 8 ランプケース、 9 表示孔、 10 鍔部、 11 ソケット、 12 遮蔽板、 13 点検口、 14 蓋、 15 ドアレール、 16 表示板ユニット、 17 第1コネクタ、 18 第1電線、 19 嵌め込み部、 20 発光素子、 21 新設表示板、 22 コネクタユニット、 23 口金、 24 第2電線、 25 第2コネクタ、 26 両面テープ、 27 留め具、 28 保持具、 29 基部、 30 取付け部、 31 枝部、 32 把持部
図1
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図7
図8