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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126320
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/11582 20170101AFI20220823BHJP
   H01L 27/11556 20170101ALI20220823BHJP
   H01L 27/11548 20170101ALI20220823BHJP
   H01L 27/11575 20170101ALI20220823BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L27/11556
H01L27/11548
H01L27/11575
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024335
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】飯野 浩光
(72)【発明者】
【氏名】竹下 俊平
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】野島 和弘
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP47
5F083EP48
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083ER22
5F083GA10
5F083JA02
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA12
5F083JA19
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA20
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083MA20
5F083PR03
5F083PR05
5F083PR21
5F083ZA01
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB04
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH02
5F101BH14
5F101BH15
(57)【要約】
【課題】階段部の形成が容易な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置10は、複数の導電体層40がz方向に沿って積層されている積層部100と、複数の導電体層40がy方向に沿って階段状に引き出されている階段部200と、を備える。階段部200には、下側階段部220と上側階段部210とが含まれている。上側階段部210では、z方向に沿って下側階段部220側に行く程、導電体層40がy方向に沿った一方側へと向かって長く伸びるように形成されている。下側階段部220は、上側階段部210よりも、y方向に沿って上記の一方側とは反対側となる位置に形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電体層が第1方向に沿って積層されている第1の積層部と、
前記第1方向に対し垂直な第2方向に沿って前記第1の積層部と並んでいる部分であって、複数の前記導電体層が前記第2方向に沿って階段状に引き出されている階段部と、を備え、
前記階段部には、
下側階段部と、前記第1方向に沿って前記下側階段部とは異なる位置に配置された上側階段部と、が含まれており、
前記上側階段部では、前記第1方向に沿って前記下側階段部側に行く程、前記導電体層が前記第2方向に沿った一方側へと向かって長く伸びるように形成されており、
前記下側階段部は、前記上側階段部よりも、前記第2方向に沿って前記一方側とは反対側となる位置に形成されている、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記上側階段部及び前記下側階段部のそれぞれには、複数の前記導電体層を貫く支持柱が形成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記上側階段部に含まれる複数の前記導電体層と前記第1の積層部に含まれる複数の前記導電体層との間を電気的に接続するブリッジ部が、前記上側階段部よりも前記第2方向に沿って反対側となる前記位置で、前記第2方向に沿って伸びるように形成されている、請求項1又は2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記複数の前記導電体層が前記第1方向に沿って積層されている第2の積層部を更に備え、
前記階段部は、前記第2方向に沿って前記第1の積層部と前記第2の積層部との間に形成され、
前記ブリッジ部は、更に前記上側階段部に含まれる複数の前記導電体層と前記第2の積層部に含まれる複数の前記導電体層との間を電気的に接続するように、前記第1の積層部と前記第2の積層部との間を前記第2方向に沿って伸びるように形成されている、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1方向に沿って、前記上側階段部よりも前記下側階段部側となる領域には、前記導電体層が形成されていない、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばNAND型フラッシュメモリのような半導体記憶装置では、基板上に複数の導電体層が積層され、複数の導電体層を貫くようにメモリピラーが形成される。それぞれの導電体層とメモリピラーとの交点が、データを記憶するためのメモリセルとして機能する。それぞれの導電体層は、各メモリセルのゲート電極に電圧を印加するためのワード線等として用いられる。
【0003】
導電体層のそれぞれには、基板の表面に対し垂直な方向に伸びるコンタクトを接続する必要がある。このため、複数のメモリピラーが形成された部分から、導電体層は階段状に引き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-148071号公報
【特許文献2】米国特許第8822285号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体記憶装置の記憶容量を大きくするためには、導電体層の積層数を多くすることが好ましい。しかしながら、導電体層の積層数が多くなると、メモリピラーを形成するための穴(メモリホール)等を、一回の加工で形成することは難しくなる。そこで、近年では、導電体層の積層、及びこれらを貫くメモリホール等の形成を、複数回に分けて段階的に行うのが一般的となっている。このような半導体記憶装置の製造時においては、導電体層が階段状に引き出される部分、である階段部も、複数回に分けて形成されることとなる。
【0006】
開示された実施形態によれば、階段部の形成が容易な半導体記憶装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る半導体記憶装置は、複数の導電体層が第1方向に沿って積層されている第1の積層部と、第1方向に対し垂直な第2方向に沿って第1の積層部と並んでいる部分であって、複数の導電体層が第2方向に沿って階段状に引き出されている階段部と、を備える。階段部には、下側階段部と、第1方向に沿って下側階段部とは異なる位置に配置された上側階段部と、が含まれている。上側階段部では、第1方向に沿って下側階段部側に行く程、導電体層が第2方向に沿った一方側へと向かって長く伸びるように形成されており、下側階段部は、上側階段部よりも、第2方向に沿って一方側とは反対側となる位置に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の等価回路を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図14図14は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図15図15は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図16図16は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図17図17は、支持柱及びその近傍の構成を示す図である。
図18図18は、支持柱及びその近傍の構成を示す図である。
図19図19は、比較例に係る半導体記憶装置について説明するための図である。
図20図20は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図21図21は、第2実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法を説明するための図である。
図22図22は、第3実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図23図23は、第4実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図24図24は、第5実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図25図25は、第6実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
図26図26は、第6実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置10は、例えばNAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。図1には、半導体記憶装置10の構成が等価回路図として示されている。半導体記憶装置10は、複数のストリングユニットSU0~SU3を含む。それぞれのストリングユニットSU0~SU3は、複数のNANDストリングSRを含む。更に、それぞれのNANDストリングSRは、例えば、8つのメモリセルMT0~MT7、及び、2つのセレクトトランジスタST1、ST2を含む。
【0011】
以下の説明においては、ストリングユニットSU0~SU3のそれぞれを区別せず「ストリングユニットSU」とも表記することがある。同様に、メモリセルMT0~MT7のそれぞれを区別せず「メモリセルMT」とも表記することがあり、セレクトトランジスタST1、ST2のそれぞれを区別せず「セレクトトランジスタST」とも表記することがある。
【0012】
複数のストリングユニットSU0~SU3は、全体で1つのブロックを構成しており、このようなブロックが半導体記憶装置10には複数設けられている。図1においては単一のブロックのみが図示されており、その他のブロックについては図示が省略されている。尚、1つのブロックに含まれるストリングユニットSUの数は、図1に示したものに限定されない。また、NANDストリングSRに含まれるメモリセルやセレクトトランジスタの数についても、図1の例とは異なっていてもよい。
【0013】
それぞれのストリングユニットSUには、N本設けられたビット線BL0~BL(N-1)と同じ数のNANDストリングSRが含まれる。Nは正の整数である。NANDストリングSRに含まれるメモリセルMT0~MT7は、セレクトトランジスタST1のソースと、セレクトトランジスタST2のドレインと、の間において直列に配置されている。セレクトトランジスタST1のドレインはいずれかのビット線BL0等に接続されている。セレクトトランジスタST2のソースはソース線SLに接続されている。以下の説明においては、ビット線BL1~BL(N-1)のそれぞれを区別せず「ビット線BL」とも表記することがある。
【0014】
それぞれのメモリセルMTは、ゲート部分に電荷蓄積層を有するトランジスタとして構成されている。当該電荷蓄積層に蓄積された電荷量が、メモリセルMTに保持されるデータに対応したものとなる。メモリセルMTは、電荷蓄積層として例えば窒化シリコン膜等を用いたチャージトラップ型のものであってもよく、電荷蓄積層として例えばシリコン膜等を用いたフローティングゲート型のものであってもよい。
【0015】
ストリングユニットSU0に含まれる複数のセレクトトランジスタST1のゲートは、いずれもセレクトゲート線SGD0に接続されている。セレクトゲート線SGD0は、各セレクトトランジスタST1の開閉を切り換えるための電圧が印加される線である。ストリングユニットSU1~SU3についても同様に、それぞれのストリングユニットSUに対応して、セレクトトランジスタST1に電圧を印加するためのセレクトゲート線SGD1~SGD3が設けられている。
【0016】
ストリングユニットSU0に含まれる複数のセレクトトランジスタST2のゲートは、いずれもセレクトゲート線SGS0に接続されている。セレクトゲート線SGS0は、各セレクトトランジスタST2の開閉を切り換えるための電圧が印加される線である。ストリングユニットSU1~SU3についても同様に、それぞれのストリングユニットSUに対応して、セレクトトランジスタST2に電圧を印加するためのセレクトゲート線SGS1~SGS3が設けられている。尚、1つのブロックを構成するストリングユニットSU0~SU3間においてセレクトゲート線SGSが共有され、ストリングユニットSU0~SU3に含まれる全てのセレクトトランジスタST2のゲートが共有のセレクトゲート線SGSに接続されていてもよい。
【0017】
メモリセルMT0~MT7のそれぞれのゲートは、ワード線WL0~WL7に接続されている。ワード線WL0~WL7は、メモリセルMT0~MT7の開閉を切り換えたり、メモリセルMT0~MT7の各電荷蓄積層に蓄積された電荷量を変化させたりする等の目的で、電圧が印加される線である。ワード線WL0~WL7のそれぞれは、1つのブロックを構成するストリングユニットSU0~SU3間において共有されている。
【0018】
半導体記憶装置10におけるデータの書き込み及び読み出しは、いずれかのストリングユニットSUにおける、いずれかのワード線WLに接続された複数のメモリセルMTに対して、「ページ」と称される単位ごとに一括して行われる。一方、半導体記憶装置10におけるデータの消去は、ブロックに含まれる全てのメモリセルMTに対して、一括して行われる。このようなデータの書き込み、読み出し、及び消去を行うための具体的な方法としては、公知となっている様々な方法を採用することができるので、その詳細な説明については省略する。
【0019】
図1の等価回路で表される半導体記憶装置10の具体的な構成を図2に示す。同図に示されるように、半導体記憶装置10は、基板20と、絶縁体層21と、導電体層22と、複数の絶縁体層30及び導電体層40と、を備えている。
【0020】
基板20は、図2の上方側において平坦な面を有する板状の部材であって、例えばシリコンウェハである。以下に説明する絶縁体層21、導電体層22、絶縁体層30、及び導電体層40等は、基板20の上面側において、例えばCVD成膜により形成された複数層の膜となっている。
【0021】
図2においては、基板20の表面に対して垂直な方向であって、図2において下方側から上方側に向かう方向がz方向となっており、当該方向に沿ってz軸が設定されている。また、z方向に対して垂直な方向であって、図2において左側から右側に向かう方向がy方向となっており、当該方向に沿ってy軸が設定されている。更に、z方向及びy方向の両方に対して垂直な方向であって、図2において紙面手前側から奥側に向かう方向がx方向となっており、当該方向に沿ってx軸が設定されている。以下においては、このように設定された各方向や各軸を適宜用いながら、半導体記憶装置10の構成を説明する。
【0022】
絶縁体層21は、例えば酸化シリコンのような絶縁性の材料により形成された層である。基板20のz方向側の表面には、図1のメモリセルMTに対するデータの読み出し、書き込み、及び消去を行うための不図示の周辺回路が形成されている。絶縁体層21は、これら周辺回路の全体を覆っており、周辺回路が導電体層22と導通してしまうことを防止している。
【0023】
導電体層22は、ソース線SLとして機能する層である。導電体層22は、例えば、不純物がドープされた多結晶シリコン、メタルシリサイド等のシリコンを含む材料や、このようなシリコンを含む材料と金属材料との積層構造により形成されている。導電体層22は、上記の絶縁体層21の上面をz方向側から覆うような板状に形成されている。
【0024】
複数の絶縁体層30及び導電体層40は、それぞれ複数形成されており、導電体層22の一部をz方向側から交互に覆うように形成されている。尚、図2における絶縁体層30や導電体層40の積層数は、実際の積層数とは異なっている。
【0025】
導電体層40は、例えばタングステンを含む材料により形成された、導電性を有する層である。導電体層40において、タングステン等を含む材料の外周面が窒化チタン等のバリアメタル材料で覆われていてもよい。それぞれの導電体層40は、図1におけるワード線WL0~WL7やセレクトゲート線SGS0、SGD0等として用いられるものである。絶縁体層30は、互いに隣り合う導電体層40の間となる位置に配置され、両者の間を電気的に絶縁するものである。絶縁体層30は、例えば、酸化シリコンを含む材料により形成されている。
【0026】
図2に示されるように、複数の絶縁体層30及び導電体層40がz方向に沿って積層されている領域には、これらをz方向に沿って貫くように複数のメモリピラー50が形成されている。それぞれのメモリピラー50は、最もz方向側にある絶縁体層30から、導電体層22に至るまでの範囲において形成されている。尚、それぞれのメモリピラー50は、図1に示されるNANDストリングSRに対応するものである。図2におけるメモリピラー50の数は、実際の数とは異なっている。
【0027】
図3には、一つのメモリピラー50を、z軸に対し垂直な面に沿って切断した場合の断面が模式的に示されている。同図に示されるように、それぞれのメモリピラー50は、半導体502と、トンネル絶縁膜503と、電荷蓄積膜504と、ブロック絶縁膜505と、を有している。
【0028】
半導体502は、複数の絶縁体層30及び導電体層40が積層されている部分内をz方向に沿って延びる筒状の形状を有し、例えばアモルファスシリコンやポリシリコン等のシリコン材料によって形成されている。筒状の半導体502の内側には、絶縁性の材料からなるコア501が形成されている。このような態様に替えて、半導体502の内側にコア501が形成されていない態様としてもよい。
【0029】
トンネル絶縁膜503は、半導体502の外周面を覆う膜である。トンネル絶縁膜503は、例えば酸化シリコンを含む材料で形成されている。電荷蓄積膜504は、トンネル絶縁膜503の外周面を覆う膜である。電荷蓄積膜504は、例えば窒化シリコンを含む材料で形成されている。ブロック絶縁膜505は、電荷蓄積膜504の外周面を覆う膜である。ブロック絶縁膜505は、例えば酸化シリコンや、酸化シリコンよりも誘電率が大きい金属酸化物を含む材料で形成されている。最も外側に形成されたブロック絶縁膜505の外周面は、積層された導電体層40のそれぞれによって囲まれている。
【0030】
このように、メモリピラー50と複数の導電体層40とがブロック絶縁膜505、電荷蓄積膜504、及びトンネル絶縁膜503を介して対向する部分に、それぞれトランジスタが形成される。つまり、それぞれのメモリピラー50では、その長手方向に沿って複数のトランジスタが直列に接続された状態となっている。それぞれの導電体層40は、各トランジスタのゲートとして機能する。導電体層40の内側にある半導体502は、当該トランジスタのチャネルとして機能する。
【0031】
メモリピラー50の長手方向に沿って、上記のように直列に並ぶそれぞれのトランジスタは、その一部が、図1における複数のメモリセルMTとして機能する。また、直列に並ぶ複数のメモリセルMTの両端部等に形成されたトランジスタは、図1におけるセレクトトランジスタST1、ST2として機能する。
【0032】
メモリピラー50のうち-z方向側の端部においては、ブロック絶縁膜505等が除去されており、内側の半導体502が導電体層22に対して接続されている。これにより、ソース線SLとして機能する導電体層22と、各トランジスタのチャネルとが電気的に接続されている。一方、メモリピラー50のうちz方向側の端部においては、不図示のコンタクトを介して、半導体502が図1におけるビット線BLに接続されている。
【0033】
尚、各メモリセルMTに対するデータの読み書き等を実現するための周辺の回路の構成や、その具体的な動作としては、既に公知となっている様々な態様を採用することができる。このため、更なる具体的な説明については省略する。
【0034】
図2においては、基板20を覆うように複数の導電体層40がそれぞれ略同一の板状で積層されている部分であって、且つこれらを貫くように複数のメモリピラー50が形成されている部分に、符号「100」が付されている。このような部分のことを、以下では「積層部100」とも称する。積層部100は、データを記憶するための複数のメモリセルMTが形成されている部分、ということもできる。図2においては、y方向に沿って並ぶ2つの積層部100が描かれている。後に図4に示されるように、y方向側の積層部100においても、複数の導電体層40を貫くように複数のメモリピラー50が形成されている。
【0035】
図2に示されるように、2つの積層部100の間となる部分では、各絶縁体層30及び各導電体層40が階段状となるように形成されている。当該領域では、それぞれの導電体層40が階段状に形成されているので、それぞれの導電体層40の一部(テラス部分)が、他の導電体層40に遮られることなくz方向側へと露出した状態となっている。このように露出したそれぞれの導電体層40には、z方向に沿って伸びるコンタクト70の端部が接続されている。コンタクト70は、例えばタングステンのような導電性の材料で形成された柱状の部材である。
【0036】
後に説明するように、階段状に形成された各導電体層40のそれぞれは、積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、電気的に接続されている。このような構成により、ワード線WL0~WL7やセレクトゲート線SGS0、SGD0等として用いられる各導電体層40には、それぞれのコンタクト70を介して電圧の印加等を個別に行うことが可能となっている。積層部100の各導電体層40に対する電圧の印加等を可能とするために、上記のように導電体層40が階段状に形成されている部分のことを、以下では「階段部200」とも称する。階段部200やコンタクト70の周囲は絶縁体80で埋められている。絶縁体80は、例えば酸化シリコンである。
【0037】
積層部100等において実際に積層されている導電体層40の数は、図2に示される数よりも多い。図2のメモリピラー50は、このように多数の導電体層40の全体を貫くように形成されており、その実際の形状は極めて細長くなっている。このようなメモリピラー50の形成を精度良く行うために、絶縁体層30等の積層、及びメモリピラー50のための穴の形成は、一度にではなく複数回に分けて行われることが多い。後に説明するように、本実施形態では、絶縁体層30等の積層、及びメモリピラー50のための穴の形成が2回に分けて行われている。
【0038】
図2では、1回目で形成される下層側の部分と、2回目で形成される上層側の部分との境界となる位置に、符号「BD」が付してある。当該境界のことを、以下では「境界BD」とも称する。階段部200のうち、境界BDよりもz方向側に形成されている部分のことを、以下では「上側階段部210」とも称する。また、階段部200のうち、境界BDよりも-z方向側に形成されている部分のことを、以下では「下側階段部220」とも称する。
【0039】
上側階段部210は、z方向に沿って下側階段部220とは異なる位置、具体的には下側階段部220よりも上方側となる位置に配置されている。尚、ここでいう「下側」及び「下方側」とは、上記のような絶縁体層30等の形成が複数回に分けて行われる際において、絶縁体層30等の形成が先に行われる方のことであり、本実施形態では-z方向側のことである。一方、「上側」及び「上方側」とは、上記のような絶縁体層30等の形成が複数回に分けて行われる際において、絶縁体層30等の形成が後に行われる方のことであり、本実施形態ではz方向側のことである。また、「上側」及び「上方側」とは、上側階段部210及び下側階段部220において、導電体層40の一部分が他の導電体層40に遮られることなく露出して形成された面(テラス面)が向く方向側ともいうことができる。
【0040】
下側階段部220は、階段部200のうち-y方向側となる位置に形成されている。上側階段部210は、階段部200のうち、下側階段部220よりもy方向側となる位置に形成されている。
【0041】
図4には、図2のIV-IV断面における半導体記憶装置10の構成が模式的に描かれている。図4において符号「90」が付されているのは、積層部100及び階段部200を分断するように設けられたスリットである。当該スリットのことを、以下では「スリット90」とも称する。スリット90では、積層部100等を構成する絶縁体層30や導電体層40がx方向に沿って分断されており、その内部にはスペーサとなる絶縁性の材料をスリット90の側壁部に有しながら、導電体層22と接続されるように不図示の導電性の材料が埋め込まれている。このような態様に替えて、スリット90の内部の全体が絶縁性の材料で充填された態様としてもよい。スリット90は、例えば、互いに隣り合うストリングユニットSU又はブロックを区分するものである。スリット90は、x方向に沿って複数並ぶように形成されているが、図4においては、このうち3つのスリット90のみが描かれている。尚、図2に示される断面は、半導体記憶装置10を図4のA-Aに沿って切断した場合の断面に相当する。
【0042】
図4において符号「SC」が付されているのは、導電体層40のうち階段部200と対応する部分に形成された矩形の開口である。当該開口のことを、以下では「開口SC」とも称する。図4の断面においては、開口SCが二つ形成されている。導電体層40のうち、二つの開口SCの間にある部分、すなわち、図4において符号「40A」が付されている部分は、上側階段部210のうち最もz方向側に配置された導電体層40のテラス部分に相当する。当該導電体層40の符号「40A」が付されている部分のうち、-y方向側の端部となる縁Eは、-y方向側の下側階段部220と、y方向側の上側階段部210と、の間の境界ということができる。
【0043】
図4に示されるように、導電体層40は、開口SCによって完全には分断されていない。開口SCとスリット90との間には間隔が設けられており、導電体層40は当該間隔の部分においてy方向に沿って伸びている。導電体層40のうち、開口SCとスリット90との間の部分のことを、以下では「ブリッジ部BR」とも称する。ブリッジ部BRは、積層された複数の導電体層40のそれぞれに設けられている。
【0044】
図4において、導電体層40の符号「40A」が付されている部分は、-y方向側にある積層部100の導電体層40、及び、y方向側にある積層部100の導電体層40、のそれぞれに対して、ブリッジ部BRを介して接続されている。上側階段部210において積層されている他の全ての導電体層40も同様である。
【0045】
このように、上側階段部210の各導電体層40は、y方向に沿った両側の積層部100において積層されている各導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、ブリッジ部BRを介して接続されている。このため、コンタクト70から、上側階段部210の各導電体層40に印加された電圧は、-y方向側にある積層部100の各導電体層40と、y方向側にある積層部100の各導電体層40と、の両方に対して印加されることとなる。
【0046】
図2に示されるように、下側階段部220の各導電体層40は、-y方向側の積層部100において積層されている各導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、直接的に繋がっている。また、下側階段部220の各導電体層40は、y方向側の積層部100において積層されている各導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、図4に示されるものと同様のブリッジ部BRを介して接続されている。このため、コンタクト70から、下側階段部220の各導電体層40に印加された電圧は、-y方向側にある積層部100のみならず、y方向側にある積層部100にも同様に印加されることとなる。
【0047】
図2に示されるように、階段部200には、z方向に沿って伸びる支持柱60が複数形成されている。それぞれの支持柱60は、積層された複数の導電体層40を貫いている。支持柱60は、半導体記憶装置10を製造する際において、リプレイス時に複数の絶縁体層30を補強する目的で設けられるものである。支持柱60は、例えば酸化シリコンによって形成されている。
【0048】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体記憶装置10は、積層部100と階段部200とを備える。積層部100は、基板20を覆うように、複数の導電体層40が互いに全体的に重なり合ってz方向に沿って積層されている部分である。それぞれの導電体層40が積層されているz方向は、本実施形態における「第1方向」に該当する。
【0049】
階段部200は、y方向に沿って積層部100と並んでいる部分である。階段部200は、複数の導電体層40がy方向に沿って階段状に引き出されている部分である。積層部100と階段部200とが並ぶy方向は、第1方向であるz方向に対し垂直な方向であって、本実施形態における「第2方向」に該当する。
【0050】
既に述べたように、階段部200には、下側階段部220と上側階段部210とが含まれている。本実施形態においては、下側階段部220は、z方向(つまり第1方向)に沿って基板20側となる位置に配置された部分である。上側階段部210は、z方向(つまり第1方向)に沿って、下側階段部220よりも基板20側とは反対側となる位置に配置された部分である。
【0051】
次に、図5~18を参照しながら、半導体記憶装置10の製造方法について説明する。
【0052】
<下側積層工程>初めに、下側積層工程が行われる。下側積層工程では、先ず、基板20のz方向側表面を覆うように、絶縁体層21及び導電体層22が形成される。更に、導電体層22のz方向側表面を覆うように、絶縁体層30と犠牲層41とが交互に積層される。犠牲層41は、後の工程において導電体層40に置き換えられる(リプレイスされる)層であって、例えば窒化シリコンにより形成された層である。最もz方向側に形成された絶縁体層30の表面が、図2における境界BDに対応する。図5には、下側積層工程が完了した状態が示されている。
【0053】
<下側階段形成工程>下側積層工程の後は、下側階段形成工程が行われる。下側階段形成工程では、例えば、異方性エッチングと、エッチングマスクのスリミングと、が繰り返されることで、積層された絶縁体層30及び犠牲層41の一部に下側階段部220が形成される。図6には、このように下側階段部220が形成された直後の状態が示されている。同図に示されるように、上側階段部210の直下となる部分において積層されていた絶縁体層30及び犠牲層41は、下側階段部220が形成される際においていずれも除去される。下側階段部220が形成された後は、図7に示されるように、下側階段部220の周囲が絶縁体80で埋められた状態とされる。
【0054】
<下側穴形成工程>下側階段形成工程の後は、下側穴形成工程が行われる。下側穴形成工程では、メモリピラー50と対応する部分に穴51Lが形成され、支持柱60と対応する部分に穴61Lが形成される。これらはいずれも、その長手方向をz方向に沿わせた略円柱形状の細長い穴であり、例えばRIEにより形成される。穴51L及び穴61Lは、例えば、導電体層22に到達する深さまで形成される。その後、穴51Lの内側が犠牲材52で埋められると共に、穴61Lの内側が犠牲材62で埋められる。犠牲材52及び犠牲材62は、互いに同じ材料が用いられる。このような材料としては、例えばポリシリコンやアモルファスシリコン等を用いることができる。図8には、下側穴形成工程が完了した状態が示されている。
【0055】
<上側積層工程>下側穴形成工程の後は、上側積層工程が行われる。上側積層工程では、これまでの工程で形成された部分のz方向側の表面全体を覆うように、絶縁体層30と犠牲層41とが交互に積層される。これにより、境界BDよりもz方向側の部分が形成される。図9には、上側積層工程が完了した状態が示されている。
【0056】
<上側階段形成工程>上側積層工程の後は、上側階段形成工程が行われる。上側階段形成工程では、例えば、異方性エッチングと、エッチングマスクのスリミングと、が繰り返されることで、積層された絶縁体層30及び犠牲層41の一部に上側階段部210が形成される。図10には、このように上側階段部210が形成された直後の状態が示されている。上側階段部210が形成される位置は、下側階段部220のy方向側端部よりも更にy方向側となる位置である。このため、下側階段部220に形成されている穴61Lや、穴61Lの内側を埋めている犠牲材62は、上側階段部210が形成された後においても、絶縁体層30や犠牲層41によってz方向側から覆われたままの状態となっている。上側階段部210が形成された後は、図11に示されるように、上側階段部210の周囲が絶縁体80で埋められた状態とされる。
【0057】
<上側穴形成工程>上側階段形成工程の後は、上側穴形成工程が行われる。上側穴形成工程では、境界BDよりもz方向側の範囲において、メモリピラー50と対応する部分に穴51Uが形成され、支持柱60と対応する部分に穴61Uが形成される。図12には、上側穴形成工程が完了した状態が示されている。
【0058】
同図に示されるように、積層部100となる部分や、下側階段部220の直上となる部分においては、下側穴形成工程において予め形成されていた穴51Lや穴61Lの直上となる位置に、穴51Uや穴61Uが形成される。このため、下側穴形成工程において予め穴51Lに形成されていた犠牲材52は、穴51Uを形成する際のストッパーとして機能する。同様に、下側穴形成工程において予め穴61Lに形成されていた犠牲材62は、穴61Uを形成する際のストッパーとして機能する。
【0059】
ただし、上側階段部210を貫くように形成される穴61Uの直下となる位置には、穴61Lが形成されておらず、ストッパーとなる犠牲材62が存在しない。このため、図12に示されるように、上側階段部210を貫く穴61Uは、境界BDを超えて、更に-z方向側となる深さまで形成される。ただし、境界BDよりも-z方向側となる部分は絶縁体80で埋められているので、境界BDを超えた穴61Uの一部が絶縁体層30や犠牲層41を貫いてしまうことは無い。
【0060】
<犠牲材除去工程>上側穴形成工程の後は、犠牲材除去工程が行われる。犠牲材除去工程では、穴51Lを埋めている犠牲材52、及び穴61Lを埋めている犠牲材62が除去される。犠牲材52等としてポリシリコンやアモルファスシリコン等が用いられている場合には、例えばウェットエッチングによってこれらを除去することができる。図13には、犠牲材除去工程が完了した状態が示されている。犠牲材除去工程が完了すると、z軸に沿って並ぶ穴51L及び穴51Uは互いに繋がって、これらの全体が穴51となる。同様に、z軸に沿って並ぶ穴61L及び穴61Uは互いに繋がって、これらの全体が穴61となる。以降においては、上側階段部210を貫くように形成されていた穴61Uのことも含めて「穴61」と表記する。
【0061】
<メモリピラー等形成工程>犠牲材除去工程の後は、メモリピラー等形成工程が行われる。メモリピラー等形成工程では、穴51の内側にメモリピラー50が形成され、穴61の内側に支持柱60が形成される。これらはいずれも、例えばCVD成膜によって形成される。図14には、メモリピラー等形成工程が完了した状態が示されている。
【0062】
<開口形成工程>メモリピラー等形成工程の後は、開口形成工程が行われる。開口形成工程では、上側積層工程において積層されていた絶縁体層30及び犠牲層41のうち、下側階段部220の直上となる位置の部分が除去され、これにより開口Gが形成される。図15には、開口形成工程が完了した状態が示されている。尚、開口Gは、犠牲層41のうち、後に図4のブリッジ部BRとなる部分を残すように形成される。開口Gの底面、すなわち境界BDにおいては、下側階段部220に設けられた支持柱60の上端が露出した状態となる。開口Gが形成された後は、図16に示されるように、開口Gの内側が絶縁体80で埋められた状態とされる。
【0063】
<リプレイス工程>開口形成工程の後は、リプレイス工程が行われる。リプレイス工程では、先ず、図4に示されるスリット90が形成される。これにより、積層された絶縁体層30及び犠牲層41が分断される。その後、スリット90を介したウェットエッチングによって犠牲層41が除去される。このとき、積層されたそれぞれの絶縁体層30は、間に隙間が空いた状態で残留する。ただし、それぞれの絶縁体層30は、メモリピラー50及び支持柱60によって支持されるので、その形状が維持される。その後、例えばCVDにより、犠牲層41が存在していた隙間のそれぞれに導電体層40が形成される。
【0064】
リプレイス工程が完了した後は、スリット90の内側にスペーサとしての絶縁性の材料を介して導電性の材料が埋め込まれる。また、絶縁体80のうちz方向側の表面から、例えばRIEにより、コンタクト70のための穴がz方向に沿って形成された後、当該穴を埋めるようにコンタクト70が形成される。これにより、図2に示される半導体記憶装置10が完成する。
【0065】
以下、上側階段部210及び下側階段部220を本実施形態のように配置したことの効果について説明する。図17(A)には、上側積層工程が行われる直前における、穴61L及び犠牲材62の状態が模式的に描かれている。同図に示されるように、穴61Lのうちz方向側の端部近傍、すなわち、境界BD側の端部近傍においては、穴61Lの内径が他の部分に比べて拡大されている。このように拡大された部分のことを、以下では「拡径部65」とも称する。このような拡径部65を形成しておけば、後の上側穴形成工程においてz方向側に穴61Uを形成する際に、境界BDを間に挟んで穴61Lと穴61Uとを確実に接続することが可能となる。尚、これまでの説明に用いた図2等においては、拡径部65の図示が省略されている。
【0066】
上側積層工程が行われる直前においては、図17(A)に示されるように、拡径部65の内側にある犠牲材62の上端面、すなわちz方向側の端面の位置を、境界BDの位置に一致させることが好ましい。しかしながら、両者を完全に一致させることは困難である。実際には、図17(B)に示されるように、拡径部65の内側にある犠牲材62の上端面は、境界BDの位置よりも-z方向側の位置となることが多い。その結果、拡径部65の位置には凹部66が形成される。
【0067】
図18には、図17(B)のように凹部66が形成された状態で、リプレイス工程が行われた直後の状態が模式的に示されている。同図に示されるように、拡径部65の直上、すなわちz方向側の部分においては、境界BDの上方で境界BDと近接した高さ位置にある導電体層40が凹部66に沿って凹状に形成される。
【0068】
しかしながら、リプレイス工程において、導電体層40が形成されるべき空間が凹状となっていた場合には、当該空間の全体を埋めるように導電体層40が形成されず、一部において空隙(ボイド)が残ってしまう可能性がある。このような空隙は、凹部66の内側であって、拡径部65を埋めている犠牲材62の直上となる位置において最も生じやすい。
【0069】
上記の空隙の内側には、リプレイス工程において用いられた薬剤中のフッ素ガスが残留され得る。このため、後の工程において、境界BDの上方で境界BDと近接した高さ位置にある導電体層40に対し空隙の発生起因となる凹部66の近傍でコンタクト70が接続された際には、フッ素ガスで生じた変質層により、導電体層40とコンタクト70との間で接続不良が生じてしまうことがある。
【0070】
そこで、図2に示される本実施形態の構成では、上側階段部210よりも基板20側の部分に、導電体層40が形成されていない構成を採用している。同図に示されるように、本実施形態では、第1方向に沿って、上側階段部210よりも下側階段部220側となる領域、すなわち上側階段部210よりも-z方向側となる領域において、導電体層40が形成されない。これにより、そもそもこの領域において、リプレイス時に絶縁体層30を補強する支持柱60を形成する必要が無く、その結果、上側階段部210を貫く支持柱60が境界BDを超えて-z方向側の絶縁体80内で終端していても、その境界BDを跨ぐ部分に図17(B)に示されるような拡径部65や凹部66を有していない。このため、図18を参照しながら説明したような、空隙に起因するコンタクト70との接続不良が、境界BDと近接した高さ位置にある上側階段部210の導電体層40で生じることがない。
【0071】
このように、上側階段部210と下側階段部220とを上記のような位置関係で配置した構成においては、導電体層40とコンタクト70との間の接続不良を確実に防止することが可能となる。
【0072】
更に、本実施形態の構成を採用したことのもう一つの効果について説明する。以下、下側穴形成工程(図8)で用いられる犠牲材52、62として、上記のポリシリコンやアモルファスシリコン等に替えて、カーボンを用いる場合について考える。例えば上側階段形成工程においては、加熱によって積層部100や階段部200全体の反りが生じる懸念があるが、犠牲材52、62としてカーボンを用いた場合には、当該反りを低減することができる。
【0073】
また、図12のように上側穴形成工程が完了した後、穴61U等の形成に用いられたマスクはアッシングに除去され得る。このとき、当該アッシングにより、カーボンである犠牲材52、62もマスクと共に除去される。つまり、犠牲材52、62としてカーボンを用いた場合には、先に述べた犠牲材除去工程を省略できるというメリットもある。
【0074】
しかしながら、アッシングの工程において除去されるというカーボンの性質はデメリットともなり得る。図19は、比較例に係る半導体記憶装置10Aを製造する際の、上側階段形成工程において上側階段部210が形成された直後の状態を示している。
【0075】
この比較例においては、下側階段部220は、階段部200のうちy方向側となる位置に形成されている。上側階段部210は、階段部200のうち、下側階段部220よりも-y方向側となる位置に形成されている。その結果、階段部200は、その導電体層40のコンタクトと接続される部分(テラス部分)が、y方向側に行くに従って-z方向側の基板20に近づくような下り階段として形成されている。
【0076】
この比較例の構成においては、上側階段部210が形成されると、下側穴形成工程で穴61Lに埋め込まれていた犠牲材62の一部が、境界BDの位置において露出した状態となる。この状態から、上側階段部210の形成に用いられたマスクがアッシングにより除去されるのであるが、当該アッシングにより、露出した犠牲材62も同時に除去されてしまうおそれがある。図19では、このように犠牲材62が除去されてしまった状態の穴61Lに、符号「61LA」が付されている。
【0077】
その後、図12と同様の上側穴形成工程が行われると、符号「61LA」が付されている穴61Lにおいては、ストッパーとして機能する犠牲材62が存在しない。このため、当該部分では、例えば導電体層22を貫いて絶縁体層21に到達する位置まで、穴61Uが深く掘り下げられてしまう等の問題が生じ得る。また、境界BDよりも-z方向側となる位置において、絶縁体層30及び犠牲層41の一部がエッチングにより不適切に除去されてしまう可能性もある。このように、図19の比較例に係る構成においては、犠牲材62としてカーボンを用いると、階段部200を適切な形状に形成することが難しくなってしまう。
【0078】
そこで、図2に示される本実施形態の構成では、上記の問題が生じないように、上側階段部210と下側階段部220との位置関係を工夫している。
【0079】
図2に示されるように、本実施形態の上側階段部210では、z方向に沿って下側階段部220側(図2では下側)に行く程、導電体層40がy方向に沿った一方側(図2では右側)へと向かって長く伸びるように形成されており、本実施形態の下側階段部220は、上側階段部210よりも、y方向に沿って上記「一方側」とは反対側(図2では左側)となる位置に形成されている。上側階段部210のうち-y方向側の端部は、下側階段部220のうちy方向側の端部と一致しているか、これよりも更にy方向側となる位置に配置されている。
【0080】
上記構成は、y方向に沿った両方向(図2における左右方向)のうち、上側階段部210が下りとなる方向のことを「下り方向」と定義した場合において、下側階段部220を、上側階段部210よりも「下り方向」とは反対側に配置した構成、ともいうことができる。
【0081】
図10に示されるように、上記のように構成された本実施形態では、上側階段形成工程において上側階段部210が形成された直後であっても、下側階段部220に形成されている穴61Lや、穴61Lの内側を埋めている犠牲材62は、その全てが、絶縁体層30や犠牲層41によってz方向側から覆われた状態のままとなる。つまり、本実施形態では、上側階段部210が形成される際に、予め形成されていた穴61Lや犠牲材62は一切露出しない。
【0082】
このため、犠牲材62としてカーボンが用いられた場合であっても、図10の状態から行われるアッシングにより、穴61Lから犠牲材62が除去されてしまうことは無い。つまり、図19と同様の状態となってしまうことは無い。従って、本実施形態の構成においては、犠牲材62としてカーボンを用いることができ、例えば反りの低減等、様々な利点を得ることができる。
【0083】
このように、本実施形態では、上側階段部210と下側階段部220との位置関係を工夫することにより、犠牲材62としてカーボンが用いられた場合であっても、支持柱60を含む階段部200を容易にかつ適切に形成することが可能となっている。特に、上側階段部210及び下側階段部220のそれぞれに、複数の導電体層40を貫く支持柱60が形成されているような本実施形態の構成においては、上記の効果が特に発揮されやすい。
【0084】
本実施形態では、上側階段部210に含まれる複数の導電体層40と、y方向に沿った両側にある積層部100に含まれる複数の導電体層40との間、及び、下側階段部220に含まれる複数の導電体層40と、y方向側にある積層部100に含まれる複数の導電体層40との間、のそれぞれは、ブリッジ部BRによって電気的に接続されている。ブリッジ部BRは、階段部200と2つの積層部100とを通して、y方向(つまり第2方向)に沿って伸びるように形成されている。このような構成により、上側階段部210と下側階段部220のそれぞれの配置を変更した本実施形態の構成においても、階段部200と積層部100との間の電気的な接続を従来通りに行うことが可能となる。
【0085】
尚、階段部200に含まれる複数の導電体層40と、積層部100に含まれる複数の導電体層40との間の電気的な接続は、本実施形態のように、一部においてブリッジ部BRを介することなく直接的に行われていてもよい。
【0086】
本実施形態においては、ブリッジ部BRは、第1方向に沿って下側階段部220よりも上側階段部210側となる位置(つまり、下側階段部220よりもz方向側となる位置)において、上側階段部210に含まれる複数の導電体層40と、積層部100に含まれる複数の導電体層40と、の間を電気的に接続している。このような構成においては、下側階段部220に向かって伸びるコンタクト70は、導電体層40や絶縁体層30が形成されている部分を避けて、絶縁体80を貫くように容易に形成することができる。
【0087】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0088】
本実施形態に係る半導体記憶装置10の構成は、第1実施形態における構成と概ね同一である。ただし、本実施形態では、図15等に示される開口Gを形成する方法において、第1実施形態と異なっている。本実施形態では、上側階段形成工程において上側階段部210が形成されるのと並行して、開口Gの一部が形成される。
【0089】
上記のように開口Gを形成する方法を示すために、図20を参照しながら、上側階段部210を形成する具体的な方法の一例について先ず説明する。図20において符号「250」が付されているのは、境界BDよりもz方向側において交互に積層されている絶縁体層30及び犠牲層41の全体を表している。このように積層された絶縁体層30及び犠牲層41の全体のことを、以下では「積層体250」とも称する。図20においては、積層体250を構成する絶縁体層30や犠牲層41の図示が省略されており、積層体250の全体に単一のハッチングが施してある。
【0090】
本実施形態における上側階段形成工程では、積層体250の表面を覆うように、エッチング用のマスクとしてレジスト膜RF1が形成される。レジスト膜RF1には、複数の開口OP1が形成されている。その後、異方性エッチングと、レジスト膜RF1のスリミングとが繰り返される。これにより、図20(A)に示されるように、積層体250のうち開口OP1に対応するそれぞれの位置に、階段状の凹部253が形成される。尚、図20の各図においては、レジスト膜RF1と積層体250との間が互いに離間しているように描かれているが、実際には両者は互いに密着している。
【0091】
それぞれの凹部253は、階段部251と階段部252とを有している。階段部251は、凹部253のうち-y方向側にある部分であって、y方向側に行くに従って-z方向側の基板20に近づくような下り階段として形成された部分である。階段部252は、凹部253のうちy方向側にある部分であって、y方向側に行くに従って-z方向側の基板20から遠ざかるような上り階段として形成された部分である。
【0092】
説明の便宜上、-y方向側にある階段部251から順に、それぞれの階段部251のことを、以下では「階段部251A」、「階段部251B」、「階段部251C」「階段部251D」とも称する。また、-y方向側にある階段部252から順に、それぞれの階段部252のことを、以下では「階段部252A」、「階段部252B」、「階段部252C」「階段部252D」とも称する。凹部253が形成された後は、積層体250からレジスト膜RF1が除去される。
【0093】
続いて、図20(B)に示されるように、積層体250の表面を覆うようにレジスト膜RF2が形成され、積層体250に対する異方性エッチングが行われる。レジスト膜RF2には複数の開口OP2が形成されている。開口OP2は、それぞれの階段部252の直上に形成されている。一方、それぞれの階段部251の直上や、凹部253が形成されていない部分の直上は、レジスト膜RF2によって覆われている。この状態で異方性エッチングが行われることにより、それぞれの階段部252は、その形状を維持したまま、いずれも-z方向側に落とし込まれた状態となる。その後、積層体250からレジスト膜RF2が除去される。
【0094】
続いて、図20(C)に示されるように、積層体250の表面を覆うようにレジスト膜RF3が形成され、積層体250に対する異方性エッチングが行われる。レジスト膜RF3には複数の開口OP3が形成されている。開口OP3は、階段部251Bと階段部252Bの直上、及び階段部251Dと階段部252Dの直上、のそれぞれに形成されている。一方、階段部251Aと階段部252Aの直上、及び階段部251Cと階段部252Cの直上、のそれぞれはレジスト膜RF3によって覆われている。この状態で異方性エッチングが行われることにより、階段部251Bと階段部252B、及び階段部251Dと階段部252Dのそれぞれは、その形状を維持したまま、いずれも-z方向側に落とし込まれた状態となる。その後、積層体250からレジスト膜RF3が除去される。
【0095】
続いて、図20(D)に示されるように、積層体250の表面を覆うようにレジスト膜RF4が形成され、積層体250に対する異方性エッチングが行われる。レジスト膜RF4には複数の開口OP4が形成されている。開口OP4は、階段部251C、階段部252C、階段部251D、及び階段部252D、の直上の全体に亘って形成されている。一方、階段部251Aと階段部252Aの直上、及び階段部251Bと階段部252Bの直上、のそれぞれはレジスト膜RF4によって覆われている。この状態で異方性エッチングが行われることにより、階段部251Cと階段部252C、及び階段部251Dと階段部252Dのそれぞれは、その形状を維持したまま、いずれも-z方向側に落とし込まれた状態となる。その後、積層体250からレジスト膜RF4が除去される。
【0096】
以上のように、本実施形態における上側階段形成工程では、異方性エッチングと、レジスト膜RF1のスリミングとが繰り返されることにより、先ず複数の階段部251及び階段部252が形成される(図20(A))。その後、階段部251や階段部252を、部分的に且つ段階的に落とし込んで行くことで、基板20側に行く程導電体層40がy方向に沿って長く伸びるような、上側階段部210が形成される(図20(B)~図20(D))。尚、このように形成された上側階段部210においては、図20(D)に示されるように、z方向に沿って階段部251A~251Dの各下り階段の間に、絶縁体層30及び犠牲層41の複数層分が-z方向側に落とし込まれた端面部分が介在することとなる。つまり、本実施形態に係る半導体記憶装置10のように、階段状に引き出される複数の導電体層40の一部分は、z方向に隣接するもの同士がy方向に沿った一方側(図20では右側)の端面を略一致させつつ、複数の導電体層40の他の部分が、z方向に沿って基板側に行く程、導電体層40がy方向に沿った上記の「一方側」へと向かって長く伸びるように形成された階段部200の構成としてもよい。
【0097】
本実施形態では、階段部251等を段階的に落とし込んで行く際に、積層体250のうち開口Gとなる部分に対しても同時に異方性エッチングが行われる。例えば図20(B)の工程においては、レジスト膜RF2のうち開口Gに対応する部分にも、開口OP2を形成しておけばよい。同様に、例えば図20(C)の工程においては、レジスト膜RF3のうち開口Gに対応する部分にも、開口OP3を形成しておけばよい。同様に、例えば図20(D)の工程においては、レジスト膜RF4のうち開口Gに対応する部分にも、開口OP4を形成しておけばよい。このような方法により、上側階段部210の形成と並行して、開口Gを段階的に形成することができる。
【0098】
尚、上記の例では、階段部251等の落とし込みが3回行われているが、実際に行われる落とし込みの回数はこれよりも多くてもよい。
【0099】
図21には、このような方法で上側階段部210が形成された直後における状態が模式的に示されている。この場合、開口Gの内壁面には、異方性エッチングが段階的に行われたことに伴う段差Dが形成される。図21においては、段差Dが一つだけ形成されているが、実際に形成される段差Dの数はこれよりも多くなる。
【0100】
図21に示されるように、上側階段部210の形成が完了した時点では、未だ開口Gはz方向に沿って境界BDには到達していない。すなわち、開口Gの底面と境界BDとの間には、絶縁体層30と犠牲層41とが残っている。尚、当該部分における絶縁体層30等の層数は、実際には図21に示されるものよりも多い。開口Gの底に、絶縁体層30及び犠牲層41が残されるのは、階段部251等が形成される最初の工程(図20(A))において、積層体250のうち開口Gに対応する部分への異方性エッチングが行われなかったからである。
【0101】
絶縁体層30及び犠牲層41の一部がこのように残されるのは、その直下にある犠牲材62を露出させないためである。図21の状態となった後には、上側階段部210の形成に用いられたマスクがアッシングにより除去される。このとき、本実施形態でも第1実施形態と同様に、予め形成されていた穴61Lや犠牲材62は一切露出しない。このため、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏することができる。
【0102】
図21の状態となった以降において行われる工程は、第1実施形態で説明した工程と同じである。この場合、後の開口形成工程においては、予め形成されていた開口Gと境界BDとの間の部分(絶縁体層30及び犠牲層41)が除去されることとなる。
【0103】
第1実施形態の開口形成工程(図15)では、開口Gが形成されるべき部分に複数の絶縁体層30及び犠牲層41が積層されており、更に、これらの一方とは異種の材料である支持柱60をも含む部分が、エッチングにより深く掘り下げられる。このため、開口Gの全体を形成するのは容易ではなく、加工に時間を要してしまう可能性がある。
【0104】
これに対し、本実施形態では、開口形成工程の前に、予め開口Gの大部分が予め形成されており、その内側が絶縁体80で埋められた状態となっている。このため、本実施形態の開口形成工程においては、単一の材料で形成された絶縁体80と支持柱60をエッチングで掘り下げた後、残されていた絶縁体層30、犠牲層41、及びこれらと同じ高さ位置にある部分の支持柱60を更にエッチングで掘り下げることとなる。本実施形態では、絶縁体層30、犠牲層41、及び支持柱60が混在して残されている部分、すなわち、エッチングによる加工に時間を要してしまう部分が、第1実施形態に比べて薄くなっている。このため、第1実施形態に比べて、開口Gを容易に形成することができる。
【0105】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0106】
図22には、本実施形態に係る半導体記憶装置10の構成が、図2と同様の視点及び方法により模式的に示されている。図22に示されるように、本実施形態に係る半導体記憶装置10では、下側階段部220の直上であって、且つ、境界BDよりもz方向側の部分に、導電体層40と絶縁体層30とが交互に積層されている。z方向側から下側階段部220に接続されるコンタクト70は、これらの導電体層40及び絶縁体層30を貫くように形成されている。このような構成の半導体記憶装置10は、先に述べた開口形成工程を省略することにより簡略に製造することができる。
【0107】
下側階段部220の直上であり、且つ境界BDよりもz方向側の部分では、コンタクト70の側面全体を覆うように絶縁膜71が形成されている。絶縁膜71により、下側階段部220に接続されるコンタクト70と、上側階段部210の各導電体層40との間の導通を防止することができる。尚、境界BDよりも-z方向側の部分においても、コンタクト70の側面全体が絶縁膜71に覆われている構成としてもよい。
【0108】
ところで、第2実施形態で説明した方法を用いて開口Gを形成する場合には、例えば、図21に示されるように、開口Gと境界BDとの間に、絶縁体層30及び犠牲層41を残しておき、そのまま開口形成工程を経ることなく半導体記憶装置10を製造することとしてもよい。この場合、開口Gと下側階段部220との間には、絶縁体層30及び導電体層40が複数形成されることとなる。このような構成においても、図22と同様に、z方向側から下側階段部220に接続されるコンタクト70を、側面が絶縁膜71で覆われつつ導電体層40及び絶縁体層30を貫くように形成すればよい。
【0109】
この場合も、開口形成工程が不要となるので、半導体記憶装置10を簡略に製造することができる。また、このような構成においては、絶縁膜71を挟んで導電体層40とコンタクト70とが近接しているような部分を、図22の構成よりも減らすことができるので、半導体記憶装置10の耐久性の向上も期待される。
【0110】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0111】
図23には、本実施形態に係る半導体記憶装置10の構成が、図2と同様の視点及び方法により模式的に示されている。図23に示されるように、本実施形態に係る半導体記憶装置10では、第1実施形態(図2)における下側階段部220を、x-z平面について対称となるように反転させたような形状となっている。つまり、本実施形態においては、下側階段部220が、z方向に沿って基板20側に行く程、導電体層40が-y方側へと向かって長く伸びるように形成されている。
【0112】
本実施形態では、下側階段部220において積層されているそれぞれの導電体層40は、-y方向側にある積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、図4に示されるものと同様のブリッジ部BRにより電気的に接続されている。下側階段部220において積層されているそれぞれの導電体層40と、y方向側にある積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものと、の間は、上側階段部210の-z方向側において積層された各導電体層40を介して直接的に繋がっている。
【0113】
このような構成の半導体記憶装置10は、第1実施形態において説明した方法と同様の方法で製造することができる。本実施形態における開口Gは、第1実施形態で説明したものと同様の開口形成工程により形成されてもよいし、第2実施形態で説明したものと同様の方法により形成されてもよい。このような構成の本実施形態においても、第1実施形態で説明したのと同様の効果、具体的には、犠牲材62としてカーボンを用いた場合でも、上側階段部210が形成される際に犠牲材62が除去されない、という効果を奏することができる。
【0114】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。以下では、上記の第4実施形態と異なる点について主に説明し、第4実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0115】
図24には、本実施形態に係る半導体記憶装置10の構成が、図23と同様の視点及び方法により模式的に示されている。本実施形態では、上側階段部210の直下であって、且つ境界BDよりも-z方向側の部分にも開口Gが形成されている。当該部分に形成された開口Gのことを、以下では「開口GL」とも称する。
【0116】
開口GLでは、絶縁体層30及び導電体層40が形成されておらず、その内部全体が絶縁体80で埋められた状態となっている。開口GLは、例えば、下側穴形成工程が完了した後であり、且つ上側積層工程が行われるよりも前の段階で、開口形成工程と同様の方法を用いることにより形成することができる。
【0117】
開口GLよりも紙面奥側の部分には、図4に示されるものと同様のブリッジ部BRが形成されている。下側階段部220において積層されているそれぞれの導電体層40と、y方向側にある積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものと、の間は、当該ブリッジ部BRにより電気的に接続されている。
【0118】
このような構成の半導体記憶装置10では、第1実施形態と同様に、上側階段部210よりも-z方向側領域において、導電体層40及び支持柱60が形成されていない。
【0119】
このような構成の本実施形態では、犠牲材62としてカーボンを用いた場合でも、上側階段部210が形成される際に犠牲材62が除去されない、という第4実施形態と同様の効果に加えて、境界BDと近接した高さ位置にある上側階段部210の導電体層40とコンタクト70との間の接続不良が確実に防止され得る、という第1実施形態と同様の効果もあわせて奏することができる。
【0120】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と共通する点については適宜説明を省略する。
【0121】
図25は、本実施形態に係る半導体記憶装置10の構成を、z方向側から見て模式的に描いた図である。図26は、図25のXXVI-XXVI断面を示す図である。尚、図25においては、階段部200の構成を示すために、階段部200の周囲を埋めている絶縁体80の図示が省略されている。また、支持柱60やコンタクト70についても図示が省略されている。
【0122】
本実施形態では、y方向に沿って階段部200の両側となる位置に積層部100が配置されているのではなく、階段部200のy方向側となる位置にのみ、一つの積層部100が配置されている。図26に示されるように、上側階段部210は、下側階段部220よりも-y方向側となる位置に配置されている。すなわち、上側階段部210は、下側階段部220を間に挟んで、積層部100とは反対側となる位置に配置されている。
【0123】
本実施形態では、下側階段部220において積層されているそれぞれの導電体層40は、積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものに対し、直接的に繋がっている。上側階段部210において積層されているそれぞれの導電体層40と、積層部100において積層されているそれぞれの導電体層40のうち、同じ高さ位置(z座標)にあるものと、の間は、図25から明らかなように、x方向側となる位置において引き回された導電体層40を介して直接的に繋がっている。上記構成は、下側階段部220よりもx方向側でy方向に沿って伸びるブリッジ部BRが、上側階段部210の各導電体層40と積層部100における対応する各導電体層40との間を電気的に接続しているということもできる。
【0124】
上側階段部210では、z方向(つまり第1方向)に沿って下側階段部220側に行く程、導電体層40が、y方向(つまり第2方向)に沿った一方側(この例では図26の左側)へと向かって長く伸びるように形成されている。下側階段部220は、上側階段部210よりも、y方向(つまり第2方向)に沿って上記の「一方側」とは反対側(この例では図26の右側)となる位置に形成されている。このような構成の本実施形態においても、第1実施形態で説明したのと同様の効果を奏する。尚、上側階段部210及び下側階段部220は、上記の各実施形態において、導電体層40とコンタクト70が接続されるテラス部分がy方向に沿って1列に並んで形成される場合について示したが、各実施形態に係る半導体記憶装置10は、2列以上のテラス部分がy方向に沿って配置され、y方向に隣接するテラス面間に導電体層40の複数層分の段差が形成されるような階段部200の構成とされてもよい。
【0125】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0126】
10:半導体記憶装置、40:導電体層、60:支持柱、100:積層部、200:階段部、210:上側階段部、220:下側階段部、BR:ブリッジ部。
図1
図2
図3
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図5
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