(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012636
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】アウターロータ型レゾルバ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/20 20060101AFI20220107BHJP
【FI】
G01D5/20 110X
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114614
(22)【出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】小島 彰
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA42
2F077FF34
2F077PP26
2F077VV02
2F077VV31
2F077WW03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】輪状ステータに対するコネクタの固定を強固にする手段を提供する。
【解決手段】所定角度間隔毎に外方に向けて突出する多数の突出磁極2を有する輪状ステータと、各突出磁極2に対し輪状絶縁カバー4を介して巻回されたステータ巻線と、ステータ巻線の巻回後に、ステータ巻線を跨ぐように後付けされた信号入出力接続体12と、各突出磁極2の外側に回転自在に設けられたアウターロータと、からなるアウターロータ型レゾルバにおいて、信号入出力接続体12の下部に形成された一対の溶着用舌片13と、突出磁極2の外周に位置する輪状絶縁カバー4に形成された溶着用拡張部とは、溶着によって一体に接続されている構成である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度間隔毎に外方に向けて突出する多数の突出磁極(2)を有する輪状ステータ(1)と、前記各突出磁極(2)に対し輪状絶縁カバー(3、4)を介して巻回されたステータ巻線(5)と、前記ステータ巻線(5)の巻回後に、前記ステータ巻線(5)を跨ぐように後付けされた信号入出力接続体(12)と、前記各突出磁極(2)の外側に回転自在に設けられたアウターロータ(6)と、からなるアウターロータ型レゾルバにおいて、
前記信号入出力接続体(12)の下部に形成された一対の溶着用舌片(13)と、前記突出磁極(2)の外周に位置する前記輪状絶縁カバー(3、4)に形成された溶着用拡張部(3Aa)とは、溶着によって一体に接続されている構成からなることを特徴とするアウターロータ型レゾルバ。
【請求項2】
前記溶着用拡張部(3Aa)は、前記突出磁極(2)に位置する前記輪状絶縁カバー(3、4)に形成された耳部(3A)に形成されていることを特徴とする請求項1記載のアウターロータ型レゾルバ。
【請求項3】
前記信号入出力接続体(12)の下部に鉛直方向に垂下して形成された複数の足部(14)と、前記輪状ステータ(1)の内縁部(1M)に形成された複数の取付孔(15)と、を備え、前記足部(14)は前記取付孔(15)内に挿入されていることを特徴とする請求項1又は2記載のアウターロータ型レゾルバ。
【請求項4】
前記信号入出力接続体は、コネクタ又はワイヤハーネスからなることを特徴とする請求項1ないし3の何れか1項に記載のアウターロータ型レゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターロータ型レゾルバに関し、特に、突出磁極の上方に後付けで信号入出力接続体を取付ける際に溶着を用いることにより、使用中の振動による信号入出力接続体の脱落等を防止するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のアウターロータ型レゾルバとしては、例えば、特許文献1の「可変リラクタンス型レゾルバ」を挙げることができる。
前記特許文献1の第1従来構成においては、コネクタ又はハーネスを取付ける位置の突出磁極には巻線を巻回していなかった。
また、図示しない他の第2従来構成のアウターロータ型レゾルバにおいては、この構造を開示する文献名等を示すことはできないが、輪状ステータの輪状絶縁部に対してリベット等の金具を用いてコネクタ又はハーネスを固定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、前述の特許文献1に開示された第1従来構成の場合、コネクタ又はハーネスを設けた位置に該当する合計3個位の突出磁極には、ステータ巻線を巻き付けることができず、ステータ巻線の励磁巻線と出力巻線を設けることができなかった。
【0005】
また、前述の第2従来構成におけるコネクタ又はハーネスをリベット留めする構成においては、リベットを留める輪状絶縁カバーに亀列が入ることがあり、耐久性及び信頼性に問題が存在していた。
また、第1、第2従来構成の何れにおいても、輪状ステータに対するコネクタ又はハーネスの取付強度には問題があり、通常、ハイブリッド自動車に搭載した場合、自動車の車体の振動は、
図4の振動方向Aであるため、コネクタ又はハーネスの取付部分の限界を超えると、コネクタ又はハーネスが損傷して落下する恐れがあった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、突出磁極の上方に後付けで信号入出力接続体を取付ける際に溶着を用いることにより、使用中における信号入出力接続体の脱落等を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるアウターロータ型レゾルバは、所定角度間隔毎に外方に向けて突出する多数の突出磁極を有する輪状ステータと、前記各突出磁極に対し輪状絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記ステータ巻線の巻回後に、前記ステータ巻線を跨ぐように後付けされた信号入出力接続体と、前記各突出磁極の外側に回転自在に設けられたアウターロータと、からなるアウターロータ型レゾルバにおいて、前記信号入出力接続体の下部に形成された一対の溶着用舌片と、前記突出磁極の外周に位置する前記輪状絶縁カバーに形成された溶着用拡張部とは、溶着によって一体に接続されている構成であり、また、前記溶着用拡張部は、前記突出磁極に位置する前記輪状絶縁カバーに形成された耳部に形成されている構成であり、また、前記信号入出力接続体の下部に鉛直方向に垂下して形成された複数のピンと、前記輪状ステータの内縁部に形成された複数の取付孔と、を備え、前記ピンは前記取付孔内に挿入されている構成であり、また、前記信号入出力接続体は、ワイヤハーネスからなる構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるアウターロータ型レゾルバは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ワイヤハーネスからなる信号入出力接続体を、ステータ巻線を巻回した複数の突出磁極の上方に置き、一対の溶着用舌片を輪状絶縁カバーの拡張部に溶着しているため、車輪等の揺れに対しても大きい強度を有しており、長い耐久性と信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態によるアウターロータ型レゾルバの全体構成を示す概略平面図である。
【
図9】
図5の信号入出力接続体を輪状ステータに溶着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明によるアウターロータ型レゾルバは、突出磁極の上方に後付けで信号入出力接続体を取付ける際に溶着を用いることにより、使用中の振動による信号入出力接続体の脱落等を防止することができる構成である。
【実施例0011】
以下、図面と共に本発明によるアウターロータ型レゾルバの好適な実施の形態について説明する。
図1において、符号1で示されるものは、所定角度間隔毎に外方に向けて突出する多数の突出磁極2を有する輪状ステータであり、前記各突出磁極2には、輪状絶縁カバー3、4を介してステータ巻線5が巻回されている。
【0012】
前記輪状ステータ1の外側には、例えば、1Xの軸倍角を内面に有するアウターロータ6が回転自在に設けられていることにより、アウターロータ型レゾルバ10が構成されている。
前記輪状ステータ1の全周にわたり形成された全ての突出磁極2に巻回されていた出力巻線と励磁巻線からなるステータ巻線5は、
図5で示される複数の中間ピン11にからげて接続されている。
【0013】
図5に示されるように、3個の前記突出磁極2の上方には、これらの各突出磁極2を跨ぐ状態で複数のリード線50を有するハーネスをなす信号入出力接続体12が配設され、前記信号入出力接続体12の両側に羽を横に広げたような形状の溶着用舌片13、13が形成されている。
前記各溶着用舌片13、13の溶着面13A、13Aには、
図6で示されるように、溶着を容易化するための突条からなる溶着用リブ13B、13Bが形成されている。
【0014】
前記各溶着用舌片13の溶着用リブ13Bに対応する第1、第2の突出磁極2A、2Bの各耳部3Aは、
図7で示されるように、前記輪状ステータ1の径方向及び周方向に沿って拡張(肉厚形状)されている溶着用拡張部3Aaを有している。
前記各溶着用拡張部3Aa間には、前記輪状ステータ1に対して前記輪状絶縁カバー3、4をインサート成形した時に形成された他の突出磁極2の耳部3Aと同じ形状のものが形成されているが、前記溶着用拡張部3Aaの場合、前述のインサート成形時に、2個のみの前記耳部3Aの溶着用拡張部3Aaが形成されるように、金型の一部に、例えば、「ザグリ」状の変形個所を形成しておくことにより、前記輪状絶縁カバー3、4を有する輪状ステータ1を形成することができる。
【0015】
前記信号入出力接続体12の下部には、ピン状の複数の足部14、14が形成されており、前記各足部14、14は、前記輪状ステータ1の内縁部1Mに互いに離間して形成された一対の取付孔15、15に挿入されて、前記輪状ステータ1に対する取付強度の強度アップが得られている。
【0016】
前述の構成において、前記各突出磁極2に対して前記輪状絶縁カバー3がインサート成形され、かつ、前記各突出磁極2にステータ巻線5が巻回され、かつ、前記各中間ピン11にからげられた状態(
図1に示す)で、前記信号入出力接続体12の各足部14を前記各取付孔15内に挿入しつつ、押し込むと、前記各足部14が前記各取付孔15内に完全に挿入されると同時に、前記各溶着用舌片13、13の前記各溶着用リブ13B、13Bが一対の前記耳部3A、3Aの各溶着用拡張部3Aaに当接する。
【0017】
前述の当接状態で、図示しない樹脂溶着機によって、前記溶着用拡張部3Aa部分を加熱すると、前記各溶着用リブ13B、13Bが溶融すると共に、前記各溶着用拡張部3Aa、3Aaも同時にわずかに溶融し、前記樹脂溶着機による加熱を停止すると、前記各溶着用拡張部3Aa、3Aaと前記溶着用舌片13、13とが前記各溶着用リブ13B、13Bを介して強固に一体状に溶着される。
尚、前述の場合、前記信号入出力接続体12の前記各足部14、14が前述のように、前記各取付孔15に挿入されているため、前記信号入出力接続体12と前記輪状ステータ1との結合が極めて強固となる。
【0018】
そのため、本発明によるアウターロータ型レゾルバ10をハイブリッド自動車のエンジンに装着し、前記アウターロータ型レゾルバ10が、
図4に示されるように振動方向Aに沿って振動した場合でも、前記信号入出力接続体12が前記アウターロータ型レゾルバ10から離脱することはない。
【0019】
また、前記輪状ステータ1に設けられた6本の前記各中間ピン11は、
図5及び
図6で示されるように、前記輪状ステータ1から下方へ向けて延設され、6本の下部端子20として中央の突出磁極2から外部に向けて突出している。
前記信号入出力接続体12には、各リード線50と係合するためのメス型端子12aが設けられ、前記各メス型端子12aには、各突出端子12bが一体接続されている。
従って、前記信号入出力接続体12が
図2のように輪状ステータ1に結合すると、前記各メス型端子12aに一体接続された各突出端子12bは、
図5及び
図6で示される前記各中間ピン11に各々係合して接続される。
【0020】
図6に示される前記各下部端子20には、他の全ての突出磁極2に巻回されたステータ巻線5(
図1に示す)の端線が接続されている。
従って、前記下部端子20における入出力信号は、
図6に示されるように、前記信号入出力接続体12の各メス型端子12aに導通されており、この各メス型端子12aに接続された各リード線50を用いて、外部に対して信号の出し入れを行うことができるように構成されている。
尚、今回の構成においては、前記信号入出力接続体12として、周知のワイヤハーネスを用いた場合について述べたが、例えば、
図6と同様の形状に構成した周知のコネクタを用いた場合も同様の作用効果を得ることができることは述べるまでもないことである。
本発明によるアウターロータ型レゾルバは、所定角度間隔毎に外方に向けて突出する多数の突出磁極を有する輪状ステータと、前記各突出磁極に対し輪状絶縁カバーを介して巻回されたステータ巻線と、前記ステータ巻線の巻回後に、前記ステータ巻線を跨ぐように後付けされたハーネスよりなる信号入出力接続体と、前記各突出磁極の外側に回転自在に設けられたアウターロータと、からなるアウターロータ型レゾルバにおいて、前記信号入出力接続体の下部に形成された一対の溶着用舌片と、前記突出磁極の外周に位置する前記輪状絶縁カバーに形成された溶着用拡張部とは、溶着によって一体に接続されている構成からなることにより、信号入出力接続体と輪状絶縁カバーとを溶着することにより、強固な取付けを得ることができる。
また、前記溶着用拡張部は、前記突出磁極に位置する前記輪状絶縁カバーに形成された耳部に形成されていることにより、簡単で強固な溶着を得ることができる。