(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126406
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/08 20060101AFI20220823BHJP
G11C 16/30 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
G11C16/08 130
G11C16/30 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024460
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 竜太
(72)【発明者】
【氏名】有薗 大介
(72)【発明者】
【氏名】椎野 泰洋
(72)【発明者】
【氏名】草加 拓也
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225DB22
5B225DB31
5B225EA05
5B225EG08
5B225EH02
5B225EH05
5B225FA01
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】書き込み性能が向上した半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の不揮発性メモリ2は、複数のメモリセルトランジスタMTを備えたメモリセルアレイ23と、複数のメモリセルトランジスタMTの複数のゲートにそれぞれ接続された複数のワード線WLと、複数のワード線WLの少なくとも1つに接続されたVPGMモニタ34と、シーケンサ27を有する。シーケンサ27は、メモリセルアレイ23へのデータの書き込み時に、複数のワード線WLの中から選択された選択ワード線WLsに書き込み電圧VPGMが印加されたとき、選択ワード線WLsの電圧をVPGMモニタ34により検出し、検出された検出電圧DVが所定値に達したかの判定を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルトランジスタを備えたメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルトランジスタの複数のゲートにそれぞれ接続された複数のワード線と、
前記複数のワード線の少なくとも1つに接続された電圧検出回路と、
前記メモリセルアレイへのデータの書き込み時に、前記複数のワード線の中から選択された選択ワード線に書き込み電圧が印加されたとき、前記選択ワード線の電圧を前記電圧検出回路により検出し、検出された検出電圧が所定値に達したかの判定を行う制御回路と、
を有する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記制御回路が前記電圧検出回路により前記選択ワード線の電圧を検出するタイミングは、設定変更可能である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記タイミングは、1回だけである、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記制御回路が前記電圧検出回路により前記選択ワード線の電圧を検出するタイミングは、複数であり、
前記制御回路は、前記複数の検出電圧についての判定結果に基づいて、前記判定を行う、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記複数のメモリセルトランジスタの各々は、1ビットデータを記憶可能である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記複数のメモリセルトランジスタの各々は、複数のビットデータを記憶可能な多値セルであり、
前記所定値は、前記複数のビットデータを区別するために複数であり、
前記制御回路は、前記検出電圧が前記多値の各々に達したかの判定を行う、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記メモリセルアレイへの前記データの書き込みに対してベリファイ動作を行い、ベリファイをパスしないとき、前記判定を行う、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記所定値は、前記半導体記憶装置の個体差に応じて設定されるトリム電圧に基づいて設定される、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
複数のメモリセルトランジスタを備えたメモリセルアレイと、
前記複数のメモリセルトランジスタの複数のゲートにそれぞれ接続された複数のワード線と、
前記複数のメモリセルトランジスタのソース側に共通に接続されたソース線と、
前記ソース線に接続され、前記ソース線の電圧を検出する電圧検出回路と、
前記メモリセルアレイのデータの消去時に、前記ソース線に消去電圧が印加されたとき、前記ソース線の電圧を前記電圧検出回路により検出し、検出された検出電圧が所定値に達したかの判定を行う制御回路と、
を有する、半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベリファイ動作を省略した半導体記憶装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、書き込み性能が向上した半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数のメモリセルトランジスタを備えたメモリセルアレイと、前記複数のメモリセルトランジスタの複数のゲートにそれぞれ接続された複数のワード線と、前記複数のワード線の少なくとも1つに接続された電圧検出回路と、前記メモリセルアレイへのデータの書き込み時に、前記複数のワード線の中から選択された選択ワード線に書き込み電圧が印加されたとき、前記選択ワード線の電圧を前記電圧検出回路により検出し、検出された検出電圧が所定値に達したかの判定を行う制御回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態のメモリシステムのブロック図である。
【
図2】本実施形態の不揮発性メモリのブロック図である。
【
図3】本実施形態のセンスアンプのブロック図である。
【
図4】本実施形態の不揮発性メモリの回路図である。
【
図5】本実施形態の書き込み動作を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の選択ワード線の電圧と検出電圧を示すグラフである。
【
図7】本実施形態の他の例の不揮発性メモリのブロック図である。
【
図8】本実施形態の他の例の不揮発性メモリの回路図である。
【
図9】本実施形態の変形例1の書き込み動作を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の変形例2の書き込み動作を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態の変形例3の選択ワード線の電圧と電圧検出タイミングと示すグラフである。
【
図12】本実施形態の変形例4の選択ワード線の電圧と電圧検出タイミングと示すグラフである。
【
図13】本実施形態の変形例5の所定値の設定方法を示す図である。
【
図14】本実施形態の変形例6の所定値の設定方法を示す図である。
【
図15】本実施形態の変形例7の不揮発性メモリのブロック図である。
【
図16】本実施形態の変形例7の消去動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(メモリシステムの構成)
【0008】
図1は、メモリシステムのブロック図である。本実施形態のメモリシステムは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2とを備える。メモリシステムは、ホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末などの電子機器である。
【0009】
不揮発性メモリ2は、データを不揮発に記憶する半導体記憶装置であり、例えば、NAND型フラッシュメモリを備えている。本実施形態では、不揮発性メモリ2は、メモリセルトランジスタMTあたり1bitを記憶可能なメモリセルトランジスタMTを有するNANDメモリ、すなわち1bit/Cell(SLC:Single Level Cell)のNANDメモリであるとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0010】
例えば、不揮発性メモリ2は、メモリセルトランジスタMTあたり2bitあるいは3bitを記憶可能なメモリセルトランジスタMTを有するNANDメモリ、すなわち2bit/Cell(MLC:Mulitplr Level Cell)あるいは3bit/Cell(TLC:Triple Level Cell)等の多値セルのNANDメモリでもよい。不揮発性メモリ2は、3次元化されている。
【0011】
メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2とはNANDバスを介して接続される。メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って不揮発性メモリ2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って不揮発性メモリ2からのデータの読み出しを制御する。メモリコントローラ1は、RAM(Random Access Memory)11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC(Error Check and Correct)回路14およびメモリインターフェイス15を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14およびメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16により互いに接続される。
【0012】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータである書き込みデータなどを内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、不揮発性メモリ2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答などをホストへ送信する。
【0013】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいてユーザデータ等を不揮発性メモリ2への書き込み処理および不揮発性メモリ2からの読み出し処理を制御する。
【0014】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを不揮発性メモリ2へ記憶するまでに一時格納する。RAM11は、不揮発性メモリ2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納する。RAM11は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの汎用メモリである。
【0015】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2へのユーザデータの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、不揮発性メモリ2からのユーザデータの読み出しを、メモリインターフェイス15へ指示する。
【0016】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、不揮発性メモリ2上の格納領域(以下、メモリ領域という)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ、すなわちページデータ、に対して実施する。本明細書では、不揮発性メモリ2の1ページに格納されるユーザデータをユニットデータと定義する。ユニットデータは、例えば、ECC回路14により符号化されて符号語として不揮発性メモリ2に格納される。
【0017】
なお、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを不揮発性メモリ2に格納してもよいが、
図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0018】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の不揮発性メモリ2のメモリ領域を決定する。不揮発性メモリ2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域の物理アドレスを指定してユーザデータを不揮発性メモリ2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0019】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して符号語を生成する。また、ECC回路14は、不揮発性メモリ2から読み出された符号語を復号する。
【0020】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例を示した。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、不揮発性メモリ2に内蔵されていてもよい。
【0021】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。プロセッサ12は、書き込みデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に与える。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を不揮発性メモリ2に書き込む。
【0022】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、メモリコントローラ1は次のように動作する。メモリインターフェイス15は、不揮発性メモリ2から読み出した符号語をECC回路14に与える。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
(不揮発性メモリの構成)
【0023】
図2は、不揮発性メモリ2のブロック図である。不揮発性メモリ2は、ロジック制御回路21、入出力回路22、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、ロウデコーダ25、レジスタ26、シーケンサ27、電圧生成回路28、アドレスデコーダ29、ドライバ30、入出力用パッド群31、ロジック制御用パッド群32、及び、電源入力用端子群33を備えている。
【0024】
ロジック制御回路21及び入出力回路22は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1に接続される。入出力回路22は、メモリコントローラ1との間でNANDバスを介して、信号DQ(例えばDQ0~DQ7)を送受信する。
【0025】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からNANDバスを介して、外部制御信号(例えば、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、書き込みイネーブル信号/WE、読み出しイネーブル信号RE,/RE、及びライトプロテクト信号/WP)を受信する。また、ロジック制御回路21は、NANDバスを介して、メモリコントローラ1にレディー・ビジー信号R/Bを送信する。
【0026】
ロジック制御回路21は、メモリコントローラ1からの外部制御信号を受信すると、外部制御信号に応じて入出力回路22へ内部制御信号を出力する。
【0027】
入出力回路22は、ロジック制御回路21からの内部制御信号に応じて、入出力用パッド群31から入力されたデータを、センスアンプ24内のデータラッチ回路XDL及びレジスタ26へ出力する。また、複数のデータラッチ回路XDL又はレジスタ26からのデータを、入出力用パッド群31に出力する。
【0028】
メモリセルアレイ23は、複数のメモリセルトランジスタMT(
図4)を備える。メモリセルアレイ23は、後述するように、複数のブロック(メモリブロック)BLKを備える。複数のブロックBLKの各々は、複数のメモリセルトランジスタ(メモリセル)MTを備える。メモリセルアレイ23には、メモリセルトランジスタMTに印加する電圧を制御するために、複数のビット線、複数のワード線、及びソース線などが配設される。各ブロックBLKの具体的な構成については後述する。
【0029】
入出力用パッド群31は、メモリコントローラ1との間でデータを含む各信号の送受信を行うため、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSに対応する複数の端子(パッド)を備えている。
【0030】
ロジック制御用パッド群32は、メモリコントローラ1との間で各信号の送受信を行うため、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号/WPに対応する複数の端子(パッド)を備えている。信号名に付記された"/"は、アクティブ・ローを示す。
【0031】
信号/CEは、不揮発性メモリ2の選択を可能にする。信号CLEは、信号DQとして送信されるコマンドをコマンドレジスタにラッチすることを可能にする。信号ALEは、信号DQとして送信されるアドレスをアドレスレジスタにラッチすることを可能にする。信号/WEは、書き込みを可能にする。信号REは、読み出しを可能にする。信号/WPは、書き込み及び消去を禁止する。信号R/Bは、不揮発性メモリ2がレディー状態(外部からの命令を受け付けることが可能である状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けることができない状態)であるかを示す。メモリコントローラ1は、信号R/Bを受けることで、不揮発性メモリ2の状態を知ることができる。
【0032】
電源入力用端子群33は、外部から不揮発性メモリ2に、種々の動作電源を供給するため、電源電圧Vcc、VccQ、Vppと、接地電圧Vssを入力する複数の端子を備えている。電源電圧Vccは、動作電源として一般的に外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧が入力される。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧が入力される。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と不揮発性メモリ2との間で信号を送受信する際に用いられる。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧が入力される。
【0033】
センスアンプ24は、レジスタ26からカラムアドレスを受け、このカラムアドレスをデコードする。センスアンプ24は、デコードされたカラムアドレスに基づいて、いずれかのビット線BL(
図4)を選択する。また、センスアンプ24は、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタMTからビット線BLに読み出されたデータを検知及び増幅する。また、センスアンプ24は、データの書き込み時には、書き込みデータをビット線BLに転送する。
【0034】
センスアンプ24は、センスアンプユニット群24A及びデータレジスタ24Bを有している。センスアンプユニット群24Aは、複数のビット線BLに対応した複数のセンスアンプユニットSAUを備える。
【0035】
図3は、センスアンプ24のブロック図である。
図3は、メモリセルトランジスタMTがTLC(Triple Level Cell)の場合を示す。図示するようにセンスアンプ24は、各々がビット線BL毎に設けられた複数のセンスユニットSAU(SAU0~SAU(K-1))を備えている。
【0036】
複数のセンスユニットSAUの各々は、センスアンプ部SA、2つのデータラッチ回路(以下、単にデータラッチともいう)ADL及びSDLを備えている。データラッチ回路ADLは、書き込みデータを一時的に保持する。すなわち、データラッチ回路ADLは、メモリコントローラ1による不揮発性メモリ2へのデータの書き込みのために用いられる。
【0037】
データレジスタ24Bは、複数のデータラッチ回路XDLを備えている。
【0038】
これらのセンスアンプ部SA、データラッチ回路ADL及びSDLは、互いにデータを送受信可能なようにバスによって接続されている。そしてこのバスは、更にデータラッチ回路XDLに接続されている。
【0039】
センスアンプ24は、各々が1ページ分のデータを格納する複数のデータラッチ回路ADL、XDL、SDLを有する。
【0040】
なお、メモリセルトランジスタMTが多値セル、例えばTLC(Triple Level Cell)の場合、データラッチ回路は、データラッチ回路ADLに加えて、点線で示すように、データラッチ回路BDL、CDLをさらに含む。その場合、データラッチ回路ADL、BDL、CDLは、メモリセルトランジスタMTが2ビット以上のデータを保持する多値動作用に使用される。すなわち、データラッチ回路ADLは、下位ページを保持するために使用される。データラッチ回路BDLは、中位ページを保持するために使用される。データラッチ回路CDLは、上位ページを保持するために使用される。なお、センスアンプユニットSAUが備えるデータラッチ回路の数は、1つのメモリセルトランジスタMTが保持するビット数に応じて任意に変更可能である。
【0041】
センスアンプ部SAは、読み出し動作時には、対応するビット線BLに読み出されたデータを検知し、データが"0"データであるか"1"データであるかを判定する。また、センスアンプ部SAは、書き込み動作時には、書き込みデータに基づいてビット線BLに電圧を印加する。
【0042】
データレジスタ24Bは、データの読み出し時には、センスアンプ24により検出したデータを一時的に保持し、これをシリアルに入出力回路22へ転送する。また、データレジスタ24Bは、データの書き込み時には、入出力回路22からシリアルに転送されたデータを一時的に保持し、これをセンスアンプ24へ転送する。データレジスタ24Bは、SRAMなどで構成される。
【0043】
データレジスタ24Bは、複数のセンスアンプユニットSAUに対応した数のデータラッチ回路XDLを備える。データラッチ回路XDLは、入出力回路22に接続される。データラッチ回路XDLは、センスアンプ24と外部とのデータ転送に用いられる回路であり、入出力回路22から送られた書き込みデータを一時的に保持し、また、センスアンプユニットSAUから送られた読み出しデータを一時的に保持する。より具体的には、入出力回路22と複数のセンスアンプユニットSAUとの間のデータ転送は、1ページ分の複数のデータラッチ回路XDLを介して行われる。入出力回路22が受信した書き込みデータは、データラッチ回路XDLを介して、データラッチ回路ADLに転送される。センスアンプ部SAによって読み出された読み出しデータは、データラッチ回路XDLを介して、入出力回路22に転送される。
【0044】
ロウデコーダ25は、レジスタ26からロウアドレスを受け、このロウアドレスをデコードする。ロウデコーダ25は、デコードされたロウアドレスに基づいて、ワード線の選択動作を行う。そして、ロウデコーダ25は、選択されたブロックに、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を転送する。
【0045】
レジスタ26は、コマンドレジスタ、アドレスレジスタ、及びステータスレジスタなどを備える。コマンドレジスタは、コマンドを一時的に保持する。アドレスレジスタは、アドレスを一時的に保持する。ステータスレジスタは、不揮発性メモリ2の動作に必要なデータを一時的に保持する。レジスタ26は、例えばSRAMから構成される。
【0046】
制御回路としてのシーケンサ27は、レジスタ26からコマンドを受け、このコマンドに基づくシーケンスに従って不揮発性メモリ2を制御する。
【0047】
電圧生成回路28は、不揮発性メモリ2の外部から電源電圧を受け、この電源電圧を用いて、書き込み動作、読み出し動作、及び消去動作に必要な複数の電圧を生成する。電圧生成回路28は、生成した電圧を、ドライバ30を介して、メモリセルアレイ23、センスアンプ24、及びロウデコーダ25などに供給する。
【0048】
アドレスデコーダ29は、シーケンサ27からの制御信号に従って、順次、レジスタ26のアドレスデータを参照し、そのアドレスデータをデコードして、アドレスデータに対応する複数の信号線の状態を制御する。ここでは、アドレスデコーダ29は、アドレスデータに対応する電圧選択線を"H"状態として、それ以外のブロック選択線BSL(
図4)及び電圧選択線VSL(
図4)を"L"状態とする。
【0049】
ドライバ30は、レジスタ26内のブロックアドレスBA及びページアドレスPAに基づいて、各種電圧信号を生成して、ロウデコーダ25を介して選択されたブロックBLKへ各種電圧を供給する。
【0050】
ドライバ30は、複数のVPGMモニタ34を含む。各VPGMモニタ34は、グローバルワード線に設けられている。各VPGMモニタ34は、各ワード線WLに接続され、各ワード線WLの電圧を検出する電圧検出回路である。グローバルワード線は、複数のブロックBLKに信号を供給するワード線である。各VPGMモニタ34は、シーケンサ27からの制御信号に従って、各ワード線WLに供給される書き込み時のプログラム電圧VPGMを検出する検出回路である。各VPGMモニタ34は、アナログ電圧同士の比較を行う回路でもよいし、電圧をデジタル値に変換して、デジタル値同士の比較を行う回路でもよい。各VPGMモニタ34は、シーケンサ27の制御の下、検出した電圧値をシーケンサ27へ出力することができる。
【0051】
【0052】
上述したように、メモリセルアレイ23は、複数(
図4では3つ)のブロックBLKを有している。メモリセルアレイ23の各ブロックBLKは、複数(
図4では3つ)のストリングユニットSUを有する。
図4では、1つのストリングユニットSUの構成のみ示しているが、他のストリングユニットSUも同様の構成を有する。各ストリングユニットSUは、複数のメモリストリングMS(
図4では4つ)を有する。各メモリストリングMSは、ここでは、NANDストリングである。各メモリストリングMSの一端は、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。各メモリストリングMSの他端は、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。なお、
図4では、1つのブロックBLKの構成のみ示しているが、他のブロックBLKも同様の構成を有する。
【0053】
各メモリストリングMSは、ビット線BLとソース線SL間に直列に接続された、ドレイン選択トランジスタSTD、複数のメモリセルトランジスタMT及びソース選択トランジスタSTSを備える。以下、ドレイン選択トランジスタSTD及びソース選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタとも言う。
【0054】
各メモリセルトランジスタMTは、チャネル領域としての機能する半導体層、電荷蓄積膜を含むゲート絶縁膜、及びゲート電極を備える電解効果型のトランジスタである。メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルトランジスタMTは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶可能である。各メモリセルトランジスタMTのゲート電極には、ワード線WLが接続されている。各ブロックBLK内において、各ワード線WLは、複数のストリングユニットSU間で共通である。すなわち、複数のワード線WLの各々は、1つのブロックBLK中の全てのストリングユニットSUに共通に接続される。
【0055】
選択トランジスタSTD,STSは、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。ドレイン選択トランジスタSTDのゲート電極には、ドレイン選択ゲート線SGDが接続される。ソース選択トランジスタSTSのゲート電極には、ソース選択ゲート線SGSが接続される。ドレイン選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSU毎に対応して設けられている。各ドレイン選択ゲート線SGDは、1つのストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース選択ゲート線SGSは、1つのブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0056】
周辺回路PCは、センスアンプ24、ロウデコーダ25、レジスタ26(
図2)、シーケンサ27、電圧生成回路28、アドレスデコーダ29、及びドライバ30を含む。
【0057】
ロウデコーダ25は、複数のブロックBLKに対応する複数のブロック選択回路41を含む。各ブロック選択回路41は、複数のブロック選択トランジスタ42を含む。なお、
図4では、1つのブロックBLKに対応するブロック選択回路41の構成のみ示しているが、他のブロック選択回路41も同様の回路構成を有する。複数のブロック選択トランジスタ42は、複数のドレイン選択ゲート線SGD、複数(
図4では5本)のワード線WL及びソース選択ゲート線SGSに対応して設けられている。
【0058】
ブロック選択トランジスタ42は、電界効果型の耐圧トランジスタである。各ブロック選択トランジスタ42の一端は、対応するドレイン選択ゲート線SGD、対応するワード線WLあるいはソース選択ゲート線SGSに電気的に接続されている。各ブロック選択トランジスタ42の他端は、対応する配線CGに電気的に接続されている。1つのブロック選択回路41内の各ブロック選択トランジスタ42のゲート電極は、アドレスデコーダ29からの対応するブロック選択線BSLに共通に接続されている。
【0059】
ドライバ30は、複数の電圧選択回路43、43wを備えている。
図4に示すように、ドライバ30は、複数の選択ゲート線SGDに対応する複数の電圧選択回路43を備えている。また、ドライバ30は、複数のワード線WLに対応する複数の電圧選択回路43wを備えている。さらに、ドライバ30は、選択ゲート線SGSに対応する電圧選択回路43を備えている。
【0060】
各電圧選択回路43、43wは、複数(ここでは、3つ)の電圧選択トランジスタ44を有している。なお、
図4では、2つの電圧選択回路43wの回路構成のみ示されているが、各電圧選択回路43、43wの回路構成も、同じである。各電圧選択トランジスタ44は、電界効果型の耐圧トランジスタである。
【0061】
電圧選択回路43の各電圧選択トランジスタ44の一端は、配線CGに接続されている。電圧選択回路43wの各電圧選択トランジスタ44の一端は、VPGMモニタ34を介して配線CGに接続されている。
【0062】
すなわち、各電圧選択トランジスタ44の一端は、対応する配線CG及び対応するブロック選択トランジスタ42を介して、対応するワード線WL又は選択ゲート線SGC,SGSに電気的に接続されている。
【0063】
各電圧選択トランジスタ44の他端は、対応する動作電圧生成ユニット45に接続されている。
図4に示すように、各電圧選択トランジスタ44の他端は、対応する動作電圧出力端子28aに電気的に接続されている。
【0064】
各電圧選択トランジスタ44のゲート電極は、対応する電圧選択線VSLに接続されている。
【0065】
電圧生成回路28は、複数(ここでは3つ)の動作電圧生成ユニット45を有している。各動作電圧生成ユニット45には、例えば電源電圧Vcc,Vssの供給端子が接続されている。各動作電圧生成ユニット45は、シーケンサ27からの制御信号に従って、メモリセルアレイ23に対する読み出し動作、書き込み動作及び消去動作に際して、ソース線SL、各ワード線WL及び各選択ゲート線SGD,SGSに印加される動作電圧を順次生成し、複数の動作電圧出力端子28aに出力する回路である。
【0066】
また、図示しないが、各動作電圧生成ユニット45は、シーケンサ27からの制御信号に従って、各ビット線BLに印加される動作電圧も順次生成し、各ビット線BLに出力する。
【0067】
複数のブロック選択線BSL及び複数の電圧選択線VSLは、アドレスデコーダ29に接続されている。アドレスデコーダ29は、シーケンサ27からの制御信号に従って、順次、レジスタ26のアドレスデータを参照し、そのアドレスデータをデコードして、アドレスデータに対応する複数のブロック選択線BSL及び複数の電圧選択線VSLの一部を"H"状態とし、他の複数のブロック選択線BSL及び他の複数の電圧選択線VSLを"L"状態とする。
【0068】
シーケンサ27は、レジスタ26に保持されたコマンドを順次デコードし、センスアンプ24、ロウデコーダ25、ドライバ30及び電圧生成回路28へ内部制御信号を出力する。
【0069】
また、シーケンサ27は、適宜、自己の状態を示すステータスデータをレジスタ26に出力する。例えば、書き込みシーケンス又は消去シーケンスの実行に際して、書き込みシーケンス又は消去シーケンスが正常に終了したか否かを示す情報をステータスデータとして出力する。
(動作)
【0070】
次に、本実施形態のメモリシステムの動作について説明する。
【0071】
データの書き込まれるとき、ドライバ30の各電圧選択トランジスタ44は、シーケンサ27からの制御信号に応じてオン又はオフ状態となる。各電圧選択トランジスタ44のオン及びオフにより、各ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSに所定の電圧が印加される。
【0072】
例えば、データの書き込み対象として選択されたワード線WL(以下、選択ワード線をWLsという)には、所定のプログラム電圧VPGMが印加される。
【0073】
図5は、書き込み動作の処理を示すフローチャートである。
図6は、プログラム電圧VPGMが印加されたとき選択ワード線WLsの電圧とVPGMモニタ34により検出される検出電圧DVT1示すグラフである。
【0074】
ステップS1は、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGMを印加する。選択ワード線WLsにかかる実際の電圧を電圧DVとする。
【0075】
ステップS2は、プログラム電圧VPGMの印加後、一定時間経過後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。シーケンサ27は、制御信号線LCを介して、選択ワード線WLsに設けられたVPGMモニタ34を制御して、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。
図6に示すように、プログラム電圧VPGMの印加タイミングT0から所定の時間Tpが経過後の検出タイミングT1で、シーケンサ27は、選択ワード線WLsの電圧を検出し検出電圧DVT1とする。所定の時間Tpは予め設定されている。本実施形態では、選択ワード線WLsの電圧を検出するタイミングは1回だけである。
【0076】
ステップS3は、VPGMモニタ34により検出された検出電圧DVT1が所定値THを超えたかを判定する。所定値THは、予め設定され、不揮発性メモリ2の所定の記憶領域に書き込まれている。シーケンサ27は、所定値THを予め読み出す。
【0077】
所定値THは、その所定値THを超えた電圧が選択ワード線WLsに印加されたときには、各メモリセルトランジスタMTに所望の電荷量が蓄積されるとして予め設定された電圧である。
【0078】
検出電圧DVT1が所定値THを超えた場合(S3:YES)、シーケンサ27は、
図5の処理を終了する。
【0079】
検出電圧DVT1が所定値THを超えない場合(S3:NO)、ステップS4は、ステータス不良を、メモリコントローラ1へ出力する。具体的には、シーケンサ27は、プログラムステータス不良を示すステータスデータを、レジスタ26に書き込む。
【0080】
ステップS3の後、ステップS5は、バッドブロック処理を実行する。バッドブロック処理は、ステップS1でプログラム電圧VPGMを印加した選択ワード線WLsを含むブロックを、その後はバッドブロック(すなわち欠陥ブロック)として扱うようにする処理である。
【0081】
ステップS5の後、シーケンサ27は、
図5の書き込み処理を終了する。
【0082】
なお、ここでは、シーケンサ27がS1~S5の処理を実行しているが、シーケンサ27とは別の回路により、S1~S5の処理の全部又は一部を実行するようにしてもよい。
【0083】
図6を用いて、ステップS3をより詳しく説明する。
図6において、選択ワード線WLsの電圧DVが実線で示すように変化した場合、検出電圧DVT1が所定値THを超えているので(S3:YES)、シーケンサ27は、
図5の書き込み処理を終了する。
【0084】
図6において、選択ワード線WLsの電圧DVが二点鎖線で示すように変化した場合、検出電圧DVT1が所定値THを超えていないので(S3:NO)、シーケンサ27は、ステータス不良をメモリコントローラ1へ通知し(S4)、バッドブロック処理を実行して
図5に示す書き込み処理を終了する。
【0085】
なお、上述した例では、各VPGMモニタ34は、各ワード線WLにおけるグローバルワード線に設けられているが、各ワード線WLにおけるローカルワード線に設けてもよい。ローカルワード線は、各ブロックBLKに対応したワード線である。
【0086】
図7は、本実施形態の他の例の不揮発性メモリ2のブロック図である。
図8は、本実施形態の他の例の不揮発性メモリ2の回路図である。
図7及び
図8において、
図2及び
図4と同じ構成要素については同じ符号を付している。
図7及び
図8では、
図4における各VPGMモニタ34は、各ブロックBLK内のローカルワード線毎に設けられている。
図7において、複数のVPGMモニタ34は、メモリセルアレイ23とロウデコーダ25の間に設けられ、VPGMモニタ部35として示されている。
【0087】
VPGMモニタ34は、ロウデコーダ25とメモリセルアレイ23の間であって、ローカルワード線WLに設けられている。すなわち、各VPGMモニタ34は、各ローカルワード線WLに設けられている。
【0088】
各VPGMモニタ34は、制御信号線LCを介して、シーケンサ27により制御されて検出電圧をシーケンサ27へ出力する。
【0089】
シーケンサ27は、選択ワード線WLsに対応するVPGMモニタ34を制御して、検出電圧DVT1を得ることができる。シーケンサ27における処理は、
図5と同様である。
【0090】
従って、本実施形態によれば、メモリシステムでは、書き込み動作においてベリファイ動作を実行しないので、データの書き込みを高速に行うことができる。よって、本実施形態によれば、書き込み性能が向上した半導体記憶装置を提供することができる。
(変形例1)
【0091】
上述した実施形態では、各メモリセルトランジスタMTは、1ビットデータを記憶可能なSLCであるが、2ビット以上のデータを記憶可能な多値セルでもよい。各メモリセルトランジスタMTが多値セルの場合、検出電圧DVT1と比較される所定値は、複数となる。
【0092】
図9は、変形例1の書き込み動作の処理を示すフローチャートである。
【0093】
ここでは、各メモリセルトランジスタMTは、2ビットデータを記憶可能なMLCである例を説明する。各メモリセルトランジスタMTがMLCであるので、各メモリセルトランジスタMTは4つのレベルを持ち得る。よって、所定値は、3つとなる。4つのレベルが、Er、A、B、Cであり、所定値が、第1から第3の所定値TH1~TH3となる。
【0094】
ステップS11は、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGM(A~C)を印加する。所定のプログラム電圧VPGM(A~C)は、例えば、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がレベルErとAの間の電圧VA以上になる電圧である。
【0095】
ステップS12は、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。シーケンサ27は、制御信号線LCを介して、選択ワード線WLsに設けられたVPGMモニタ34を制御して、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。
【0096】
ステップS13は、VPGMモニタ34により検出された検出電圧DVT1が所定値TH1を超えたかを判定する。所定値TH1は、その所定値TH1を超えた電圧が選択ワード線WLsに印加されたときには、レベルAに対応する所定の電荷量が各メモリセルトランジスタMTに蓄積されるとして予め設定された電圧である。TH1は
図6における、THに読み替える。
【0097】
検出電圧DVT1が所定値TH1を超えた場合(S13:YES)、ステップS14は、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGM(B~C)を印加する。所定のプログラム電圧VPGM(B~C)は、例えば、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がレベルAとBの間の電圧VB以上になる電圧である。
【0098】
検出電圧DVT1が所定値TH1を超えない場合(S13:NO)、ステップS4は、ステータス不良を、メモリコントローラ1へ出力する。ステップS4の後、ステップS5は、バッドブロック処理を実行する。
【0099】
S5の後、シーケンサ27は、
図9の書き込み処理を終了する。
【0100】
ステップS4の後、ステップS15は、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。シーケンサ27は、制御信号線LCを介して、選択ワード線WLsに設けられたVPGMモニタ34を制御して、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。
【0101】
ステップS16は、VPGMモニタ34により検出された検出電圧DVT1が所定値TH2を超えたかを判定する。所定値TH2は、その所定値TH2を超えた電圧が選択ワード線WLsに印加されたときには、レベルBに対応する所定の電荷量が各メモリセルトランジスタMTに蓄積されるとして予め設定された電圧である。TH2は
図6における、THに読み替える。
【0102】
検出電圧DVT1が所定値TH2を超えた場合(S16:YES)、ステップS17は、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGM(C)を印加する。所定のプログラム電圧VPGM(C)は、例えば、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がレベルBとCの間の電圧VC以上になる電圧である。
【0103】
検出電圧DVT1が所定値TH2を超えない場合(S16:NO)、シーケンサ27は、ステップS4及びステップS5の処理を実行する。ステップS5の後、シーケンサ27は、
図9の書き込み処理を終了する。
【0104】
ステップS17の後、ステップS18は、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。シーケンサ27は、制御信号線LCを介して、選択ワード線WLsに設けられたVPGMモニタ34を制御して、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。
【0105】
ステップS19は、VPGMモニタ34により検出された検出電圧DVT1が所定値TH3を超えたかを判定する。所定値TH3は、その所定値TH3を超えた電圧が選択ワード線WLsに印加されたときには、レベルCに対応する所定の電荷量が各メモリセルトランジスタMTに蓄積されるとして予め設定された電圧である。TH3は
図6における、THに読み替える。
【0106】
検出電圧DVが所定値TH3を超えた場合(S19:YES)、シーケンサ27は、
図9の処理を終了する。
【0107】
検出電圧DVT1が所定値TH3を超えない場合(S19:NO)、シーケンサ27は、ステップS4及びステップS5の処理を実行する。ステップS5の後、シーケンサ27は、
図9の書き込み処理を終了する。
【0108】
以上のように、複数のメモリセルトランジスタMTの各々は、複数のビットデータを記憶可能な多値セルである場合、所定値は、複数のビットデータを区別するために複数であり、シーケンサ27は、検出電圧DVT1が多値の各々に達したかの判定を行う。
【0109】
以上の例は、各メモリセルトランジスタMTが2ビットデータを記憶可能であるが、各メモリセルトランジスタMTが3ビット以上のデータを記憶可能な、TLC、QLC、PLCなどの場合も、本実施形態は、同様に適用可能である。
(変形例2)
【0110】
上述した実施形態では、書き込み動作においてプログラム動作の後に、ベリファイ動作を行わないで、選択ワード線WLsの電圧を検出して書き込みの成否を判定しているが、書き込み動作は、ベリファイ動作を含んでもよい。
【0111】
図10は、本変形例2に関わる、シーケンサ27における書き込み動作を示すフローチャートである。
【0112】
ステップS21は、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGMを印加する。
【0113】
ステップS22は、書き込んだデータについてベリファイ動作を実行する。
【0114】
ステップS23は、ベリファイ動作の結果、選択されたメモリセルトランジスタMTがベリファイレベルに達したか、すなわちベリファイをパスしたかを判定する。選択されたメモリセルトランジスタMTがベリファイレベルに達したということは、選択されたメモリセルトランジスタMTにデータが書き込まれたことを意味する。
【0115】
よって、ベリファイをパスした場合(S23:YES)、シーケンサ27は、処理を終了する。
【0116】
ベリファイをパスしない場合(S23:NO)、ステップS24は再度、選択ワード線WLsに所定のプログラム電圧VPGMを印加する。
【0117】
ステップS25は、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。シーケンサ27は、選択ワード線WLsに設けられたVPGMモニタ34(あるいは35)を制御して、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧を検出する。
【0118】
シーケンサ27は、VPGMモニタ34により検出された検出電圧DVT1が所定値THを超えたかを判定する(S26)。
【0119】
検出電圧DVT1が所定値THを超えた場合(S26:YES)、シーケンサ27は、
図10の書き込み処理を終了する。
【0120】
検出電圧DVT1が所定値THを超えない場合(S26:NO)、ステップS4は、ステータス不良を、メモリコントローラ1へ出力し、ステップS5は、バッドブロック処理を実行する。
【0121】
すなわち、本変形例2によれば、書き込み動作において、最初のVPGM印加に対してはベリファイ動作を行い、ベリファイをパスしないときに、VPGMモニタ34の検出電圧DVT1により、書き込み状態が判定される。ベリファイをパスしなくても、検出電圧DVT1が所定値THを上回ったのであれば、書き込みは成功したとしてもよい。
【0122】
なお、VPGM印加がプログラムシーケンス中に複数回ある場合、最初のVPGM印加のときに、ベリファイ動作を行い、最後のVPGM印加のときにVPGMモニタ34の検出電圧DVに基づいて書き込み状態を判定するようにしてもよい。
(変形例3)
【0123】
選択ワード線WLsの電圧の検出タイミングは設定変更可能でもよい。
【0124】
図11は、本変形例3の選択ワード線WLsの電圧の変化を示すグラフである。
【0125】
図11において、二点鎖線で示すように、プログラム電圧VPGMの印加後の選択ワード線WLsの電圧DVの変化が緩やかな場合もある。そのような場合、
図11の検出タイミングT2において、選択ワード線WLsの検出電圧DVT2は所定値THに達していない。本変形例3では、シーケンサ27がVPGMモニタ34により選択ワード線WLsの電圧DVを検出するタイミングは、設定変更可能である。よって、電圧検出タイミングを遅らせて、
図11の検出タイミングT2aにおいて、選択ワード線WLsの検出電圧DVT2aを検出するようにできる。電圧検出タイミングは、半導体記憶装置の特性に応じて、設定される。
(変形例4)
【0126】
上述した実施形態及び変形例3では、選択ワード線WLsの電圧DVの検出タイミングは、1回であるが、複数回検出するようにしてもよい。
【0127】
図12は、本変形例4の選択ワード線WLsの電圧の変化と電圧検出タイミングを示すグラフである。
【0128】
図12では、電圧検出タイミングは、2回設けられている。二点鎖線で示すように、選択ワード線WLsの電圧DVがいったん上昇するが、その後に下降する場合もある。
図12では、第1の検出タイミングT11と、その後の検出タイミングT12の2回、選択ワード線WLsの検出電圧DVT11と検出電圧DVT12とが検出される。2つの検出タイミングは、選択ワード線WLsの特性に応じて設定される。本変形例4では、シーケンサ27がVPGMモニタ34により選択ワード線WLsの電圧DVを検出するタイミングは、2回であり、シーケンサ27は、検出電圧DVT11とDVT12とについての判定結果から書き込みが成功したか否かを決定する。なお、本変形例では電圧の検出タイミングは2回であったが、もっと多くてもよい。
【0129】
電圧の検出タイミングを複数回設けることで、データ書き込みが成功したかどうかをより正確に決定することができる。
【0130】
例えば、第1の検出タイミングT11では所定値THを検出電圧DVT11が上回ったが、第2の検出タイミングT12では所定値THを検出電圧DVT12が下回ったとする。
このような場合、シーケンサ27は、検出電圧DVT11は所定値THを上回ったのだから、書き込みは成功した、と判定してもよい。
【0131】
第1の検出タイミングT11では所定値THを検出電圧DVT11が下回ったが、第2の検出タイミングT12では所定値THを検出電圧DVT12が上回った場合も、シーケンサ27は、書き込みは成功した、と判定してもよい。
【0132】
または、第1の検出タイミングT11と第2の検出タイミングT12とで両方とも検出した電圧が所定値THを上回らなければ書き込みは不成功であったと判定してもよい。 また、第1の検出タイミングT11と第2の検出タイミングT12とで所定値をTH1、TH2のように変更してもよい。第1の検出タイミングT11での所定値TH1は、第2の検出タイミングT12の所定値TH2よりも大きくても小さくてもよい。すなわち、複数の検出タイミングにおいて、所定値はそれぞれ異なった値に設定することができる。
(変形例5)
【0133】
上述した実施形態及び各変形例では、所定値THは、任意に予め設定されるが、書き込み時の設定電圧(いわゆるトリム電圧)に基づいて設定するようにしてもよい。書き込み時の設定電圧(いわゆるトリム電圧)は、不揮発性メモリ2の製造時に、不揮発性メモリ2の個体差に基づいて、各不揮発性メモリ2に設定され、記憶される。
【0134】
図13は、本変形例5の所定値THの設定方法を示す図である。
図13では、所定値THは、トリム電圧Vtrからのオフセット電圧値Voffで設定される。すなわち、所定値THは、不揮発性メモリ2の個体差に応じて設定されるトリム電圧に基づいて設定される。
【0135】
オフセット電圧値Voffは、設定変更可能である。よって、半導体記憶装置毎の特性に応じて、オフセット電圧値Voffを変更することによって、選択ワード線WLsの電圧を確実に検出するようにすることができる。
(変形例6)
【0136】
上述した変形例5では、所定値THは、書き込み時の設定電圧(いわゆるトリム電圧)に対するオフセット電圧値Voffに基づいて設定されるが、書き込み時の設定電圧(いわゆるトリム電圧)に対する比率に基づいて設定するようにしてもよい。
【0137】
図14は、本変形例6の所定値THの設定方法を示す図である。
図14では、所定値TH(V)は、トリム電圧Vtr(V0)に対する比率kを用いて設定される。比率kは、(V/V0)である。すなわち、所定値THは、不揮発性メモリ2の個体差に応じて設定されるトリム電圧に基づいて設定される。
【0138】
比率kは、設定変更可能である。よって、半導体記憶装置毎の特性に応じて、比率kを変更することによって、選択ワード線WLsの電圧を確実に検出するようにすることができる。
(変形例7)
【0139】
上述した実施形態及び各変形例は、書き込み動作時に、ベリファイ動作を省略して、各メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が所望の閾値電圧になったかを確認するが、データの消去動作にも、ベリファイ動作を省略して、消去電圧を検出して、各メモリセルトランジスタのデータが消去されたかを確認するようにしてもよい。
【0140】
図15は、本変形例7の不揮発性メモリ2のブロック図である。
図15において、
図2と同じ構成要素は、同じ符号を付して説明は省略し、異なる構成要素について説明する。
【0141】
消去電圧VERAは、ソース線SLに印加される。ソース線SLは、複数のメモリセルトランジスタMTのソース側に共通に接続されている。ソース線SLに印加された電圧は、ドライバ30のソース線SLに設けられたVERAモニタ36により、検出される。すなわち、VERAモニタ36は、ソース線SLに接続され、ソース線SLの電圧を検出する電圧検出回路である。
【0142】
図16は、本変形例7の消去動作を示すフローチャートである。
【0143】
ステップS41は、ソース線SLに所定の消去電圧VERAを印加する。
【0144】
ステップS42は、消去電圧VERAの印加後のソース線SLの電圧を検出する。シーケンサ27は、制御信号線LCを介して、ソース線SLに設けられたVERAモニタ36を制御して、消去電圧VERAの印加後のソース線SLの電圧を検出する。検出タイミングは、
図6に示すように、消去電圧VERAの印加タイミングT0から所定の時間Tpが経過後の検出タイミングT1で、ソース線SLの電圧が検出される。所定の時間Tpは予め設定されている。
【0145】
なお、以降
図6、11、12おいて電圧DVはソース線SLの電圧と読み替える。
【0146】
ステップS43は、VERAモニタ36により検出されたソース線SLの検出電圧DVT1が所定値THeを超えたかを判定する。なお、以降
図6、11、12、13、14において所定値THは所定値THeと読み替える。
【0147】
所定値THeは、その所定値THeを超えた電圧がソース線SLに印加されたときには、各メモリセルトランジスタMTのデータが消去されるとして予め設定された電圧である。
【0148】
検出電圧DVが所定値THeを超えた場合(S43:YES)、シーケンサ27は、
図16の処理を終了する。このとき電圧DVは実線のように変化したとする。
【0149】
検出電圧DVが所定値THeを超えない場合(S43:NO)、ステップS4は、ステータス不良を、メモリコントローラ1へ出力し、ステップS5は、バッドブロック処理を実行する。このとき電圧DVは二点鎖線のように変化したとする。
【0150】
以上のように、シーケンサ27は、メモリセルアレイ23のデータの消去時に、ソース線SLに消去電圧VERAが印加されたとき、ソース線SLの電圧をVERAモニタ36により検出し、検出された検出電圧DVT1が所定値に達したかの判定を行う。
【0151】
本変形例においても、
図11で示す変形例3のように、検出タイミングは設定変更可能でもよい。
【0152】
また、本変形例においても、
図12で示す変形例4のように、検出タイミングの回数は複数回でもよい。
【0153】
また、本変形例においても、
図13で示す変形例5のように、所定値THeは、消去時の設定電圧(いわゆるトリム電圧Vtr)からのオフセット電圧に基づいて設定するようにしてもよい。なお、
図13、
図14においてVtrは、消去時にソース線SLに印可する設定電圧Vtrと読み替える。
【0154】
また、本変形例においても、変形例6のように、所定値THeは、消去時の設定電圧(いわゆるトリム電圧Vtr)に対する比率に基づいて設定するようにしてもよい。
【0155】
以上のように、上述した実施形態及び各変形例によれば、メモリシステムにおいて、書き込み動作あるいは消去動作においてベリファイ動作を実行しないので、データの書き込みあるいは消去を高速に行うことができる。
【0156】
よって、本実施形態によれば、書き込み性能が向上した半導体記憶装置を提供することができる。
【0157】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として例示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0158】
1 メモリコントローラ、2 不揮発性メモリ、12 プロセッサ、13 ホストインターフェイス、14 ECC回路、15 メモリインターフェイス、16 内部バス、21 ロジック制御回路、22 入出力回路、23 メモリセルアレイ、24 センスアンプ、24A センスアンプユニット群、24B データレジスタ、25 ロウデコーダ、26 レジスタ、27 シーケンサ、28 電圧生成回路、28a 動作電圧出力端子、29 アドレスデコーダ、30 ドライバ、31 入出力用パッド群、32 ロジック制御用パッド群、33 電源入力用端子群、33 VPGMモニタ群、34 VPGMモニタ、35 VPGMモニタ部、36 VERAモニタ、41 ブロック選択回路、42 ブロック選択トランジスタ、43、43w 電圧選択回路、44 電圧選択トランジスタ、45 動作電圧生成ユニット。