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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126418
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】スペース確認器具
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
B66B7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024474
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】野地 一郎
(72)【発明者】
【氏名】上條 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】中井 彩華
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA15
3F305DA21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改修工事前の現地調査をより容易にするスペース確認器具を提供する。
【解決手段】スペース確認器具12は、エレベーターの改修工事前の現地調査において用いられる可搬の器具である。改修工事は、既設機器から新設機器への交換を含む。スペース確認器具12は、フレームを含む。フレームは、展開状態および収納状態の各々に変形可能である。展開状態は、既設機器を基準とする配置にフレームが置かれるときに、新設機器の保守点検に必要な作業スペースを内包するような状態である。収納状態は、展開状態より占める容積の小さい状態である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設機器から新設機器への交換を含むエレベーターの改修工事前の現地調査において用いられる可搬なスペース確認器具であり、
前記既設機器を基準とする配置に置かれるときに前記新設機器の保守点検に必要な作業スペースを内包する展開状態、および前記展開状態より占める容積の小さい収納状態の各々に変形可能なフレーム
を備えるスペース確認器具。
【請求項2】
前記フレームは1つ以上の線状部材からなり、前記1つ以上の線状部材の少なくともいずれかは長手方向に伸縮可能である
請求項1に記載のスペース確認器具。
【請求項3】
前記フレームは1つ以上の線状部材からなり、前記1つ以上の線状部材の少なくともいずれかは弾性変形可能である
請求項1に記載のスペース確認器具。
【請求項4】
前記フレームは1つ以上の線状部材からなり、前記1つ以上の線状部材の少なくともいずれかにおいて長手方向に沿った長さを計測する目盛りが付されている
請求項1に記載のスペース確認器具。
【請求項5】
前記フレームは1つ以上の線状部材からなり、前記1つ以上の線状部材の少なくともいずれかは前記収納状態において前記展開状態より大きく曲げられる弾性体であり、前記フレームは前記収納状態における線状部材の曲げを伸ばす弾性力によって前記展開状態に変形する
請求項1に記載のスペース確認器具。
【請求項6】
前記フレームは、前記展開状態において前記既設機器を基準とする配置に置かれるときに前記既設機器を内包する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスペース確認器具。
【請求項7】
前記フレームは、複数のサブフレームからなり、前記複数のサブフレームの各々は1つ以上の線状部材からなる
請求項1に記載のスペース確認器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スペース確認器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの機械室の例を開示する。エレベーターの機械室において、巻上機などの周りに作業スペースが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-219918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のエレベーターなどにおいて、巻上機などの機器について既設機器から新設機器への交換を含む改修工事が行われることがある。このとき、既設機器および新設機器の外寸法が異なる場合がある。この場合に、改修工事前の現地調査において、新設機器に必要な作業スペースが確保されるかを確認する必要がある。しかしながら、現地調査において新設機器はまだ設置されていないため、作業員は、これから設置される新設機器の配置を想像して確認作業を行う必要がある。このため、確認作業を含む改修工事前の現地調査は容易ではない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、改修工事前の現地調査をより容易にするスペース確認器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るスペース確認器具は、既設機器から新設機器への交換を含むエレベーターの改修工事前の現地調査において用いられる可搬なスペース確認器具であり、前記既設機器を基準とする配置に置かれるときに前記新設機器の保守点検に必要な作業スペースを内包する展開状態、および前記展開状態より占める容積の小さい収納状態の各々に変形可能なフレームを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るスペース確認器具によれば、改修工事前の現地調査がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係る巻上機の作業スペースの例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る巻上機の作業スペースの例を示す図である。
図4】実施の形態1に係るスペース確認器具の斜視図である。
図5】実施の形態1に係るスペース確認器具を用いた現地調査の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るスペース確認器具を用いた現地調査の例を示す図である。
図7】実施の形態2に係るフレームの変形の例を示す図である。
図8】実施の形態2に係るフレームの変形の例を示す図である。
図9】実施の形態2に係るフレームの変形の例を示す図である。
図10】実施の形態2に係るフレームの変形の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0011】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。建物において、エレベーター1の機械室3が設けられる。機械室3は、昇降路2の上方に配置される。
【0012】
エレベーター1は、巻上機4と、巻上機台5と、主ロープ6と、かご7と、釣合い錘8と、を備える。巻上機4は、駆動モーター9と、駆動シーブ10と、を備える。駆動モーター9は、駆動力を発生させる機器である。駆動シーブ10は、駆動モーター9が発生させる駆動力によって回転する機器である。この例において、駆動シーブ10の回転軸の方向を前後方向とし、巻上機4において駆動シーブ10が設けられる側を前方とする。巻上機4は、機械室3に配置される。巻上機台5は、巻上機4を支持する台である。巻上機台5は、機械室3に配置される。主ロープ6は、昇降路2においてかご7および釣合い錘8の荷重を支持するロープである。主ロープ6は、駆動シーブ10に巻きかけられる。主ロープ6は、駆動シーブ10の一方側においてかご7の荷重を支持する。主ロープ6は、駆動シーブ10の他方側において釣合い錘8の荷重を支持する。かご7は、昇降路2を上下方向に走行することでエレベーター1の利用者などを複数の階床の間で輸送する機器である。釣合い錘8は、駆動シーブ10の両側にかかる荷重の釣合いをかご7との間でとる機器である。かご7および釣合い錘8は、駆動モーター9が発生させる駆動力によって上下方向において昇降路2を互いに反対側に走行する。
【0013】
巻上機4などのエレベーター1の機器は、保守点検の際に作業員が作業を行う作業スペース11を必要とする。
【0014】
図2および図3は、実施の形態1に係る巻上機4の作業スペース11の例を示す図である。
【0015】
作業スペース11は、例えば直方体または多角柱などの多面体状の空間領域である。図2において、前方から見た巻上機4が示される。この例の巻上機4は、駆動モーター9の前方に六角柱状の作業スペース11を必要とする。また、巻上機4は、駆動シーブ10の下方に直方体状の作業スペース11を必要とする。図3において、上方から見た巻上機4が示される。この例の巻上機4は、駆動モーター9の後方に直方体状の作業スペース11を必要とする。
【0016】
エレベーター1において、改修工事が行われることがある。改修工事は、例えば既設の巻上機4から図2および図3に示されるような新設の巻上機4への交換を含む。このとき、既設の巻上機4および新設の巻上機4の形状および外寸法は異なる場合がある。この場合に、改修工事前に行われる現地調査において、新設の巻上機4に必要な作業スペース11が確保されるかを確認する必要がある。現地調査の作業を行う作業員は、図1から図3に図示されないスペース確認器具12を用いて、新設の巻上機4に必要な作業スペース11が確保されるかを確認する。
【0017】
図4は、実施の形態1に係るスペース確認器具12の斜視図である。
【0018】
スペース確認器具12は、フレーム13を備える。フレーム13は、展開状態および収納状態の各々に変形可能である。図4の左側において、展開状態のフレーム13が示される。図4の右側において、収納状態のフレーム13が示される。
【0019】
展開状態において、フレーム13は空間を内部に有する。フレーム13の内部の空間の形状は、現地調査において確保されるかを確認する作業スペース11の形状に対応する。すなわち、スペース確認器具12が既設の巻上機4を基準とする配置に置かれるときに、展開状態のフレーム13は、新設の巻上機4の作業スペース11を内包する。ここで、既設の巻上機4を基準とする位置は、例えば既設の巻上機4に隣接する位置などである。既設の巻上機4を基準とする位置は、既設の巻上機4の左右方向の中心線を含み前後方向に垂直な平面にフレーム13の左右方向の中心線が含まれる位置などであってもよい。既設の巻上機4を基準とする位置は、既設の巻上機4の設置位置を基準とする位置であってもよい。既設の巻上機4の設置位置は、例えば既設の巻上機4を固定するために既設の巻上機台5に設けられたボルトまたはボルト孔などの位置を含む。この例において、フレーム13の内部の空間は多面体状の形状である。すなわち、フレーム13は多面体状の構造を有する。
【0020】
フレーム13は、1つ以上の線状部材14からなる。この例において、フレーム13は、複数の線状部材14からなる。一部または全部の線状部材14は、例えば棒状の弾性体である。各々の線状部材14は、多面体状の形状であるフレーム13の内部の空間の辺をなす。一部または全部の線状部材14において、長手方向に沿った長さを計測する目盛り15が付されている。一部または全部の線状部材14は、長手方向に伸縮可能である。長手方向に伸縮可能な線状部材14は、例えば、フレーム13の中心を通る左右方向に垂直な平面と交わる4つの線状部材14などである。この例において、4つの線状部材14が該当する。これにより、フレーム13の左右方向の長さが調整可能となる。あるいは、長手方向に伸縮可能な線状部は、例えば、フレーム13の中心を通り前後方向に垂直な平面と交わる線状部材14などであってもよい。この例において、4つの線状部材14が該当する。これにより、フレーム13の前後方向の長さが調整可能となる。あるいは、長手方向に伸縮可能な線状部は、例えば、フレーム13の中心を通り上下方向に垂直な平面と交わる線状部材14などであってもよい。この例において、6つの線状部材14が該当する。これにより、フレーム13の上下方向の長さが調整可能となる。各々の線状部材14は、例えばテレスコピック機構、またはネジによる機構などによって伸縮する。各々の線状部材14において、伸縮する箇所は、例えば目盛り15が付されていない箇所である。伸縮可能な線状部材14の長さは、新設の巻上機4の機種などに応じて調整される。
【0021】
収納状態においてフレーム13の占める容積は、展開状態においてフレーム13の占める容積より小さい。収納状態は、例えば多面体構造を有するフレーム13の頂点において接続されている線状部材14を分解することによって展開状態から変形可能な状態である。このとき、展開状態は、線状部材14を互いに接続して多面体構造を有するフレーム13の頂点とすることによって収納状態から変形可能な状態となる。各々の線状部材14は、例えば接手などによって互いに接続される。収納状態において、各々の線状部材14は、分離されていてもよいし、紐、ゴム、またはバネなどによって互いの端部が連結されていてもよい。フレーム13は、線状部材14を端部などにおいて互いに連結する継ぎ手を含んでもよい。
【0022】
なお、スペース確認器具12は、多面体構造を有するフレーム13の面をなす面状部材を備えてもよい。面状部材は、例えば可撓性を有するシートなどである。面状部材は、例えば線状部材14を通す筒状部を端部に有する。面状部材は、フックまたは面ファスナーなどによって線状部材14に取り付けられてもよい。
【0023】
図5および図6は、実施の形態1に係るスペース確認器具12を用いた現地調査の例を示す図である。
【0024】
図5において、上方から見た既設の巻上機4が実線で示される。図5において、改修作業によって配置される新設の巻上機4が破線で示される。
【0025】
スペース確認器具12は、フレーム13を収納状態として現地に持ち込まれる。作業員は、巻上機4の近傍でフレーム13を収納状態から展開状態に変形させる。この例において、作業員は、複数の線状部材14を接続することで展開状態のフレーム13を組み立てる。
【0026】
作業員は、フレーム13を展開状態として既設の巻上機4を基準とする配置に置く。この例において、作業員は、既設の巻上機4の駆動モーター9の前方に隣接する位置に六角柱状のフレーム13を有するスペース確認器具12を配置する。フレーム13を展開状態としたスペース確認器具12は新設の巻上機4の作業スペース11を内包するので、スペース確認器具12が配置できるだけの空間があれば作業スペース11が確保されることになる。このため、作業員は、現地調査においてスペース確認器具12を配置できるかどうかを確認すればよく、これから設置される新設機器の配置を想像することでまだ設置されていない新設の巻上機4から干渉しうる構造物までの距離を計測する必要がない。
【0027】
作業員は、スペース確認器具12が配置できたかどうかを確認した後に、フレーム13を展開状態から収納状態に変形させる。この例において、作業員は、接続された複数の線状部材14を分解することで収納状態に変形させる。
【0028】
作業員は、駆動シーブ10の下方の直方体状の作業スペース11、および駆動モーター9の後方の直方体状の作業スペース11が確保されるかを同様に確認する。このとき、作業員は、例えば直方体状のフレーム13を有するスペース確認器具12を用いてもよい。
【0029】
図6において、構造物がスペース確認器具12のフレーム13に干渉する場合の例が示される。
【0030】
新設の巻上機4の作業スペース11において、柱、梁、配管、または他の機器などの周囲の構造物が干渉する場合がある。ここで、作業スペース11は保守点検に必要なスペースであり、形状の決まっている機器を配置するためのスペースではないので、構造物の干渉の程度が小さければ、構造物の干渉があっても十分な作業スペース11が確保される場合がある。このような場合に、フレーム13をなす線状部材14は、構造物との干渉によって弾性変形する。作業員は、フレーム13が弾性変形したスペース確認器具12を配置できるときに、作業スペース11が確保されたと判断してもよい。なお、スペース確認器具12は、フレーム13の線状部材14が弾性変形しやすいほど、程度の大きい干渉であっても配置できるようになる。このため、スペース確認器具12の線状部材14の弾性変形のしやすさは、作業スペース11における構造物の干渉に対する許容度に応じて設定されてもよい。構造物の干渉に対する許容度は、例えば改修工事において設置される新設の機器の種類などに応じて設定される。
【0031】
また、線状部材14において目盛り15が付された箇所に構造物が干渉する場合に、作業員は、目盛り15によって構造物の長さを計測することで、干渉の程度を定量的に把握できる。これにより、作業スペース11が確保されているか否かの判断が容易になる。
【0032】
なお、スペース確認器具12は、改修工事において設けられる巻上機4の他の新設の機器の作業スペース11が確保されているかの確認に用いられてもよい。例えば改修工事においてかご7の上の機器が交換される場合に、作業員は、スペース確認器具12を用いて当該機器の作業スペース11が確保されるかを確認してもよい。かご7の上の機器は、例えば電源装置などである。
【0033】
また、建物において、エレベーター1の機械室3が設けられていなくてもよい。この場合に、巻上機4は、例えば昇降路2の上部または下部に配置される。
【0034】
また、展開状態のフレーム13の内部の空間の形状は、現地調査において確保されるかを確認する作業スペース11を含む当該作業スペース11より大きい形状であってもよい。
【0035】
以上に説明したように、実施の形態1に係るスペース確認器具12は、エレベーター1の改修工事前の現地調査において用いられる可搬な器具である。改修工事は、既設機器から新設機器への交換を含む。スペース確認器具12は、フレーム13を含む。フレーム13は、展開状態および収納状態の各々に変形可能である。展開状態は、既設機器を基準とする配置にフレーム13が置かれるときに、新設機器の保守点検に必要な作業スペース11を内包するような状態である。収納状態は、展開状態より占める容積の小さい状態である。
【0036】
このような構成により、作業員は、現地調査においてスペース確認器具12を配置できるかどうかを確認すれば十分となる。現地調査において、まだ設置されていない新設機器から干渉しうる構造物までの距離の計測が行われないので、作業スペース11が確保されるかの確認の精度が高くなる。また、スぺ-ス確認器具の配置によって複数個所の必要な寸法が確保されていることが同時に確認されるので、計測の漏れなどが生じにくくなる。また、スペース確認器具12の配置を行えば十分となるので、作業員は、作業性の悪い場所においても作業スペース11が確保されるかを確認しやすくなる。また、収納状態に変形することで、フレーム13は現地に持ち込みやすくなる。このように、改修工事前の現地調査がより容易になる。
【0037】
また、フレーム13は、1つ以上の線状部材14からなる。1つ以上の線状部材14の少なくともいずれかは、長手方向に伸縮可能である。
【0038】
このような構成により、新設機器の種類または機種などに応じて、展開状態のフレーム13の大きさを調整できるようになる。このため、一つのスペース確認器具12で複数の作業スぺースの確保を確認できるようになる。
【0039】
また、フレーム13は、1つ以上の線状部材14からなる。1つ以上の線状部材14の少なくともいずれかは、弾性変形可能である。
【0040】
このような構成により、構造物の干渉の程度が小さい場合において、構造物の干渉があっても十分な作業スペース11が確保されることを確認できるようになる。
【0041】
また、フレーム13は、1つ以上の線状部材14からなる。1つ以上の線状部材14の少なくともいずれかにおいて、長手方向に沿った長さを計測する目盛り15が付されている。
【0042】
このような構成により、作業スペース11に干渉しうる周囲の構造物の長さを容易に計測できるようになる。これにより、作業員は生じうる干渉の程度を定量的に把握できるようになるので、作業スペース11が確保されているか否かの判断が容易になる。
【0043】
なお、フレーム13は、展開状態において既設機器を基準とする配置に置かれるときに、既設機器を内包するものであってもよい。すなわち、展開状態のフレーム13は、既設機器に被せて配置するものであってもよい。これにより、新設機器の前後などの複数個所に作業スペース11を必要とする場合においても、複数個所の作業スペース11の確保の確認を同時に行えるようになる。これにより、改修工事前の現地調査がより容易になる。ここで、既設機器を内包しうるように、既設機器を基準とする配置に置かれるときに既設機器に干渉しうる線状部材14は、展開状態においてフレーム13から取外し可能であってもよい。
【0044】
また、フレーム13は、複数のサブフレームからなるものであってもよい。各々のサブフレームは、1つ以上の線状部材からなる。各々のサブフレームは、例えば図4などに示されるフレーム13と同様の構成である。各々のサブフレームは、例えば直方体または立方体などの単純な形状である。複数のサブフレームを組み合わせてフレーム13とすることによって、作業員は、作業スペース11が複雑な形状である場合においても、当該作業スペース11が確保されていることを容易に確認できるようになる。各々のサブフレームは、互いの線状部材同士を連結する連結部などを有していてもよい。
【0045】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0046】
フレーム13において、展開状態および収納状態の間の変形は、分解および組み立てによらないものであってもよい。この例において、折り畳みによって展開状態から収納状態に変形するフレーム13の例が示される。
図7から図10は、実施の形態2に係るフレーム13の変形の例を示す図である。
【0047】
図7において、展開状態のフレーム13の例が示される。この例において、展開状態のフレーム13の内部の空間の形状は、直方体状の形状である。フレーム13は、単一の線状部材14からなる。線状部材14は、環状の弾性体である。線状部材14は、直方体の上面において交差するようにひねられている。線状部材14は、直方体状の形状であるフレーム13の内部の空間の辺の一部をなす。フレーム13は、直方体状の形状の頂点に対応する位置に、隣接する部分より高い曲率を有する部分またはキンクを有していてもよい。フレーム13は、拘束部材16を備えてもよい。拘束部材16は、弾性力によって線状部材14が展開状態より広がろうとする場合に、線状部材14の形状を拘束して展開状態の形状に留める部材である。拘束部材16は、例えば紐などの伸びない可撓性を有する線状部材14などである。あるいは、拘束部材16は、シートなどの直方体状の空間の面をなす伸びない可撓性を有する面状部材などであってもよい。フレーム13の内部の空間は、例えば線状部材14および拘束部材16などからなるフレーム13によって囲まれる空間である。なお、線状部材14が弾性力によっては展開状態より広がろうとしない場合などに、スペース確認器具12は、拘束部材を備えていなくてもよい。
【0048】
図8に示されるように、フレーム13は、展開状態から収納状態に変形するときに、2重に巻かれた平坦な環をなすように畳まれる。作業員は、例えば図7の状態から上面において交差している部分が平行になるようにフレーム13を畳む。このとき、拘束部材16は可撓性を有するので、フレーム13の変形を妨げない。その後、作業員は、図9に示されるように、フレーム13を環の中央において半周ひねる。その後、作業員は、ひねられた位置からフレーム13を半分に折り畳む。これにより、図10に示されるように、フレーム13は収納状態に変形する。収納状態において、フレーム13は、4重に巻かれた平坦な環をなす。このように、ひねられた位置で折り畳まれることによって、フレーム13の巻き数は2重から4重と2倍になる。このとき、フレーム13をなす線状部材14の収納状態における曲率および捩率は、展開状態における曲率および捩率より大きい。すなわち、フレーム13をなす線状部材14は、収納状態において展開状態より大きく曲げられている。
【0049】
作業員は、収納状態から展開状態にフレーム13を変形させるときに、4重の環状に折り畳まれたフレーム13を開く。この際、大きく曲げられていた線状部材14が伸びるときの弾性力によって、フレーム13は図10図9図8、および図7の状態の順に自然に変形する。ここで、可撓性を有する拘束部材16は収納状態において弛んでいるので、展開状態に至るまでのフレーム13の変形を妨げない。これにより、フレーム13の収納状態から展開状態への変形が容易になる。
【0050】
なお、作業員は、フレーム13を展開状態から収納状態に変形させるときに、図8のように平坦な環をなすように畳まれたフレーム13の2箇所以上で半周ひねってもよい。その後、作業員は、2箇所以上のひねられた位置の各々からフレーム13を折り畳む。このように、ひねられた複数の位置の各々で折り畳まれることによって、フレーム13の巻き数は3倍以上になる。このとき、フレーム13の収納状態はよりコンパクトになる。また、フレーム13の収納状態において線状部材14がより大きく曲げられているので、展開状態への変形を引き起こす弾性力がより大きくなる。
【0051】
また、フレーム13は、環状ではない線状部材14からなるものであってもよい。このとき、線状部材14の両端部は可撓性を有する伸びない拘束部材16で接続されていてもよい。また、フレーム13は、複数の線状部材14からなるものであってもよい。複数の線状部材14は、可撓性を有する伸びない拘束部材16で接続されていてもよい。
【0052】
また、フレーム13は、複数のサブフレームからなるものであってもよい。各々のサブフレームは、単一の線状部材からなる。各々のサブフレームは、例えば図7から図10などに示されるフレーム13と同様の構成である。各々のサブフレームは、例えば直方体または立方体などの単純な形状である。複数のサブフレームを組み合わせてフレーム13とすることによって、作業員は、作業スペース11が複雑な形状である場合においても、当該作業スペース11が確保されていることを容易に確認できるようになる。
【0053】
以上に説明したように、実施の形態2に係るスペース確認器具12のフレーム13は、1つ以上の線状部材14からなる。1つ以上の線状部材14の少なくともいずれかは、収納状態において展開状態より大きく曲げられる弾性体である。フレーム13は、収納状態における線状部材14の曲げを伸ばす弾性力によって展開状態に変形する。
【0054】
このような構成により、フレーム13の収納状態から展開状態への変形は、線状部材14に蓄えられた弾性エネルギーによって行われるようになる。このため、作業員は、現地調査においてフレーム13を展開状態とするために複数の線状部材14を組み立てる必要がない。これにより、改修工事前の現地調査がより容易になる。また、作業員は、展開状態から収納状態への変形を、フレーム13をひねって折り畳むことによって行う。このように簡単な手順によって展開状態から収納状態への変形が行われるので、現地からの撤収が容易になる。これにより、改修工事前の現地調査がより容易になる。
【符号の説明】
【0055】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 機械室、 4 巻上機、 5 巻上機台、 6 主ロープ、 7 かご、 8 釣合い錘、 9 駆動モーター、 10 駆動シーブ、 11 作業スペース、 12 スペース確認器具、 13 フレーム、 14 線状部材、 15 目盛り、 16 拘束部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10