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  • 特開-空調システム及び空調方法 図1
  • 特開-空調システム及び空調方法 図2
  • 特開-空調システム及び空調方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126422
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】空調システム及び空調方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 5/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
F24F5/00 101Z
F24F5/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024480
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 正樹
(72)【発明者】
【氏名】下 泰蔵
(72)【発明者】
【氏名】木部 晴仁
(72)【発明者】
【氏名】近藤 順也
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BF09
3L054BF20
3L054BG03
3L054BH05
(57)【要約】
【課題】快適性を高めると共に、省エネルギー化を実現させることができる空調システム及び空調方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る空調システムは、輻射空調手段2及び再熱手段を備えた空調システム1であって、再熱手段は、熱源として日射Sを用い、空調システム1は、日射Sの状況に基づいて輻射空調手段2及び再熱手段を制御する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輻射空調手段及び再熱手段を備えた空調システムであって、
前記再熱手段は、熱源として日射を用い、
前記空調システムは、前記日射の状況に基づいて前記輻射空調手段及び前記再熱手段を制御する、
空調システム。
【請求項2】
輻射空調手段、及び熱源として日射を用いる再熱手段によって行われる空調方法であって、
前記日射の状況に基づいて前記輻射空調手段及び前記再熱手段を制御する工程を備える、
空調方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システム及び空調方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-127555号公報には、輻射空調機能一体型空調機が記載されている。輻射空調機能一体型空調機は、セントラル空調方式と、輻射パネルを用いた輻射空調方式とを併用する。輻射空調機能一体型空調機は、高層建物の各階に配置された輻射パネル、外調機、及びファンコイルユニット(FCU)を備える。高層建物には、セントラル空調方式用の冷水系統である冷水送り管及び冷水返り管と、セントラル空調方式用の温水系統である温水送り管及び温水戻り管と、複数の枝管とが設けられる。
【0003】
外調機及びFCUのそれぞれは、冷水送り管、枝管及び冷水返り管を介して冷水の供給を受け、温水送り管、枝管及び温水返り管を介して温水の供給を受ける。冷水送り管、冷水返り管、温水送り管及び温水返り管は、高層建物に設けられた機械室のセントラル熱源に熱的に接続されている。輻射空調機能一体型空調機は、更に、輻射パネル用の冷温水系統である冷温水系統配管と、プレート式熱交換器とを備える。
【0004】
輻射パネルは、冷水送り管、冷水返り管、温水送り管及び温水返り管のそれぞれが接続された枝管と、プレート式熱交換器を介して熱的に接続されている。この枝管にはバルブが配置されており、輻射パネルとプレート式熱交換器とを接続する冷温水系統配管にはポンプ及びサーモスタットが配置されている。輻射空調機能一体型空調機は、サーモスタットの検知信号に基づいてバルブの開度を制御し、冷温水系統配管の冷温水の温度を調整する。この調整により、輻射パネルの冷温水系統配管にセントラル空調方式で使用する冷水及び温水とは異なる温度帯の冷温水を流す輻射空調方式が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-127555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した輻射パネル等を用いた輻射空調では、輻射空調による快適性が求められる。また、前述した輻射空調機能一体型空調機は、高層建物に設けられたセントラル熱源を用いて冷温水の供給を行う。しかしながら、輻射空調では、前述した快適性に加え、再生可能エネルギーの利用等による省エネルギー化が求められる。
【0007】
本開示は、快適性を高めると共に、省エネルギー化を実現させることができる空調システム及び空調方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る空調システムは、輻射空調手段及び再熱手段を備えた空調システムであって、再熱手段は、熱源として日射を用い、空調システムは、日射の状況に基づいて輻射空調手段及び再熱手段を制御する。
【0009】
この空調システムでは、輻射空調手段を備えることにより、輻射空調によって温度ムラが生じにくくなるため、高い快適性を得ることができる。また、輻射空調手段のみを備える場合には、外気処理ができないため、外気処理と共に除湿再熱が必要となりうる。そこで、この空調システムでは、再熱手段を備えることにより、除湿再熱を行うことができる。また、空調システムは、日射の状況に基づいて輻射空調手段及び再熱手段を制御する。すなわち、除湿再熱に日射を利用し、更に日射の状況に応じて輻射空調手段及び再熱手段を制御する。従って、快適性が高い輻射空調の利用を図りつつ、日射という再生可能エネルギーを利用することにより、化石燃料系の熱源利用を抑えて省エネルギー化を実現させることができる。
【0010】
本開示に係る空調方法は、輻射空調手段、及び熱源として日射を用いる再熱手段によって行われる空調方法であって、日射の状況に基づいて輻射空調手段及び再熱手段を制御する工程を備える。
【0011】
この空調方法では、前述した空調システムと同様、輻射空調手段によって高い快適性を得ることができると共に、再熱手段によって除湿再熱を行うことができる。更に、日射の状況に基づいて輻射空調手段及び再熱手段を制御することにより、快適性が高い輻射空調の利用を図りつつ、日射という再生可能エネルギーを利用することができる。従って、化石燃料系の熱源利用を抑えて省エネルギー化を実現させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、快適性を高めると共に、省エネルギー化を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る空調システムの構成の例を示す図である。
図2】実施形態に係る空調方法の工程の例を示すフローチャートである。
図3図1の空調システムにおける貯湯槽の構成の具体例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る空調システム及び空調方法の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述する実施形態の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0015】
本開示において、「空調」とは、所定の空間における空気の温度又は湿度を調節することを示している。「輻射空調」とは、建物を構成する面(例えば天井面、壁面又は床面)に冷温水を流して身体の温度とは異なる温度の輻射面を形成し、輻射の効果によって行う空調を示している。「再熱」とは、冷却された空気を加熱することを示している。本実施形態では、余分な湿度除去のために外気を冷やして冷却すると共に、温度が下がりすぎた外気を再熱する例について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る空調システム1の構成を示す図である。図1に示されるように、一例としての空調システム1は、建物の部屋Rを画成する面Cに設けられる輻射空調手段2と、部屋Rに設けられる空調機20と、日射Sからの熱を集める日射集熱手段10とを備える。
【0017】
建物の部屋Rを画成する面Cは、例えば、部屋Rの天井面であり、輻射空調手段2は天井面に設けられた複数の輻射パネルを含む。本実施形態では、日射Sの状況に応じて稼動させる輻射空調手段2の輻射パネルの台数と、空調機20とが制御される。なお、部屋Rには例えばチルドビームが設けられていてもよく、部屋Rに設けられる機器の種類は適宜変更可能である。輻射空調手段2の各輻射パネルには、熱媒体が流入する流入管2b、及び熱媒体が流出する流出管2cが接続されている。空調システム1は、流入管2bを介して所定の温度の熱媒体を各輻射パネルに供給することにより、輻射空調手段2の制御を行う。
【0018】
本実施形態において、空調機20は外調機(OAU:Outdoor Air Conditioning Unit)としての機能を備える。この場合、空調機20は、外部から空気を取り入れて部屋Rの空気の温度調整及び湿度調整を行う。
【0019】
空調機20は、一例として、ファン22,23を備えており、ファン22には変風量(VAV:Variable Air Volume system)ユニット21が接続されている。例えば、空調システム1は、変風量ユニット21及びファン22,23を制御して、部屋Rに対して送風を行い、部屋Rの温度に応じて変風量ユニット21に部屋Rへの送風量を調整させる。
【0020】
例えば、空調機20は、日射集熱手段10に熱的に接続されたコイル24と、冷却除湿用のコイル25とを備える。コイル24は、例えば、冷却された部屋Rの空気を再熱する再熱手段に含まれる。本実施形態において、空調システム1の再熱手段は、コイル24と、日射集熱手段10とを備える。
【0021】
日射集熱手段10は、日射Sを集める太陽熱集熱パネル11を含む太陽熱集熱器と、貯湯槽12とを備える。太陽熱集熱パネル11及び貯湯槽12は、熱媒体が流通する管路P1を介して互いに接続されており、管路P1にはポンプ13が設けられている。従って、太陽熱集熱パネル11によって得られた熱は管路P1を介して貯湯槽12に集められる。
【0022】
貯湯槽12からは管路P2が延び出しており、管路P2には熱交換器5が設けられている。貯湯槽12の内部に貯湯された温水は、熱交換器5が設けられた管路P2を循環する。更に、熱交換器5には、空調機20のコイル24から延び出す管路P3が接続されている。従って、日射集熱手段10によって集められた熱は、貯湯槽12及び熱交換器5を経由して空調機20のコイル24に伝達する。
【0023】
なお、図3は、貯湯槽12の詳細構造の例を示している。貯湯槽12は、例えば、太陽熱集熱パネル11から熱を集める太陽熱集熱部12bと、空調機20(例えば、外調機系統、二次側)への熱供給を行う熱供給部12cとを有する。貯湯槽12は、太陽熱集熱部12b及び熱供給部12cを有する二槽構造とされており、太陽熱集熱部12b及び熱供給部12cの間に仕切り板12dが介在している。太陽熱集熱部12b及び熱供給部12cは管路を介して互いに接続されており、太陽熱集熱部12b及び熱供給部12cを仕切る仕切り板12dは、一例として、鋼板である。
【0024】
図1に示されるように、管路P3には、一対のヘッダH、及び複数のポンプ3bを含む熱媒体流量調整部3が設けられている。しかしながら、管路P3には、例えば、熱媒体流量調整部3とは異なる他の温熱源が接続されていてもよく、管路P3に設けられる機器の構成は、熱媒体流量調整部3に限られず適宜変更可能である。管路P1に設けられる機器の構成、及び管路P2に設けられる機器の構成についても適宜変更可能である。
【0025】
次に、本実施形態に係る空調方法の例について図1及び図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る空調方法の工程の例を示すフローチャートである。まず、空調システム1は空調時間帯であるか否かを判定する( ステップS1)。このとき、現在時刻が予め設定された空調時間帯(一例として午前8時から午後6時まで)であるか否かが判定される。
【0026】
空調時間帯でないと判定された場合には、ステップS2に移行して、空調機20をOFFとして一連の工程を終了する。ステップS1において空調時間帯であると判定された場合には、空調システム1が空調立ち上げ時間帯であるか否かを判定する(ステップS3)。空調立ち上げ時間とは、例えば、部屋Rを予め冷やしておく時間帯を示しており、ステップS3では、現在時刻が空調立ち上げ時間であるか否かが判定される。
【0027】
空調立ち上げ時間帯であると判定された場合(ステップS3においてYES)、ステップS4に移行して輻射空調手段2(本実施形態では天井放射)をOFFにする。そして、例えば、室温が設定値となるように外調機の給気温度を制御してもよい。また、空調立ち上げ時間帯である場合には、外気を取り入れずにレターンエアを導入し、空調機20が、部屋Rの室内の空調を行ってもよい。この場合、より省エネルギー性を高めることができ、且つ迅速に立ち上げを行うことができる。その後、一連の工程を終了する。また、空調立ち上げ時間帯でないと判定された場合(ステップS3においてNO)、ステップS5に移行する。
【0028】
ステップS5では、日射量が基準値を超えているか否かが空調システム1によって判定される(日射の状況に基づいて輻射空調手段及び再熱手段を制御する工程)。なお、実際の日射量ではなく、日射量の予測値が基準値を超えているか否かが判定されてもよい。例えば、空調システム1は日射集熱手段10による日射量計測値(又は日射量予測値)が基準値を超えているか否かを判定する。ステップS5の基準値は一例として500kW/mである。
【0029】
ステップS5において基準値を超えていないと判定された場合、ステップS6に移行し、例えば、第3制御モードが実行される。第3制御モードでは、日射集熱手段10による太陽熱利用率が「低」と判定され、例えば、空調機20の優先制御が行われる。第3制御モードでは、省エネルギー化の観点から再熱手段による再熱量を抑え、輻射空調手段2の輻射パネルの運転台数を最小限とする。「最小限」とは、例えば、輻射パネルの総数の20%程度である。更に、空調機20の吹き出し空気温度を変風量ユニット21の稼働状況に応じて可変として給気温度のリセットを行ってもよい。以上の第3制御モードを経た後に、一連の工程を終了する。
【0030】
ステップS5において基準値を超えていると判定された場合、ステップS7に移行する。ステップS7では、貯湯槽12の温水の温度が基準値を超えているか否かが判定される。例えば、貯湯槽12の出口温度(貯湯槽12の管路P2側の出口部分の温度)が基準値を超えているか否かが判定される。
【0031】
ステップS7の基準値は、例えば、30℃以上且つ35℃以下である。なお、貯湯槽12の実際の出口温度ではなく、貯湯槽12の出口温度の予測値が基準値を超えているか否かが判定されてもよい。そして、貯湯槽12の出口温度が基準値を超えていないと判定された場合、ステップS8に移行し、例えば、第2制御モードが実行される。
【0032】
第2制御モードでは、日射集熱手段10による太陽熱利用率が「中」と判定され、例えば、輻射空調手段2の輻射パネルの運転台数を中程度とする。「中程度」とは、例えば、輻射パネルの総数の50%程度である。更に、空調機20の吹き出し空気温度を標準値-t(℃)とする。標準値は、例えば、24(℃)である。tは、実数であり、一例として2(℃)である。しかしながら、tの値は適宜変更可能である。以上の第2制御モードを経た後に、一連の工程を終了する。
【0033】
ステップS7において、貯湯槽12の出口温度が基準値を超えていると判定された場合、ステップS9に移行し、例えば、第1制御モードが実行される。第1制御モードでは、日射集熱手段10による太陽熱利用率が「高」と判定され、例えば、輻射空調手段2の輻射パネルの運転台数を最大限とする。「最大限」とは、例えば、輻射パネルの総数である。また、第1制御モードでは、再熱手段による再熱を日射熱で賄えるため、空調機20の吹き出し空気温度を前述した標準値(一例として24℃)とする。以上の第1制御モードを経た後に、一連の工程を終了する。
【0034】
次に、本実施形態に係る空調システム1及び空調方法から得られる作用効果について説明する。本実施形態に空調システム1及び空調方法では、輻射空調手段2を備えることにより、輻射空調によって温度ムラが生じにくくなるため、高い快適性を得ることができる。また、輻射空調手段2のみを備える場合には、外気処理ができないため、外気処理と共に除湿再熱が必要となりうる。そこで、本実施形態に係る空調システム1及び空調方法では、日射Sの状況に基づいて輻射空調手段2及び再熱手段を制御する。すなわち、除湿再熱に日射Sを利用し、更に日射Sの状況に応じて輻射空調手段2及び再熱手段を制御する。従って、快適性が高い輻射空調の利用を図りつつ、日射Sという再生可能エネルギーを利用することにより、化石燃料系の熱源利用を抑えて省エネルギー化を実現させることができる。
【0035】
本実施形態に係る空調システム1では、再熱手段として日射集熱手段10を含んでおり、日射集熱手段10は貯湯槽12を備える。このように貯湯槽12を備えることにより、日射Sから得られた熱を貯湯槽12に効果的に貯めることができるので、再熱手段による温度制御を容易に行うことができる。
【0036】
本実施形態では、日射量と貯湯槽12の温度とに応じて第1制御モード、第2制御モード及び第3制御モードのいずれかが選択されて稼動する輻射パネルの台数及び空調機20が制御される。従って、冷却された部屋Rの再熱(例えば除湿再熱)にあたり、日射Sからの熱が十分に得られる場合には可能な限り多くの輻射パネルを稼動させることができる。よって、日射量等を勘案して太陽熱利用率を可能な限り高めることができるので、更なる省エネルギー化に寄与する。更に、日射量が基準値を超えている場合には、日射量が基準値以下である場合と比較して、より多くの輻射パネルを稼働させる。従って、輻射空調による快適性を一層高めることが可能となる。
【0037】
本実施形態では、前述したように、日射量の予測値が基準値を超えているか否かが判定され、貯湯槽12の出口温度の予測値が基準値を超えているか否かが判定されてもよい。このように予測値が基準値を超えているか否かが判定されることにより、輻射空調手段及び再熱手段の予測制御を行うことが可能となる。
【0038】
以上、本開示に係る空調システム及び空調方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、空調システムの各部の構成、数及び配置態様、並びに、空調方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0039】
例えば、前述の実施形態では、天井面に設けられた複数の輻射パネルを含む輻射空調手段2について説明した。しかしながら、本開示に係る空調システムは、壁面又は床面に設けられた輻射パネルを含む輻射空調手段を備えていてもよい。すなわち、輻射空調手段が設けられる場所は、壁又は床等であってもよく、適宜変更可能である。輻射空調手段は、対流を伴うものであってもよい。また、前述の実施形態では、1台の貯湯槽12を備える例について説明した。しかしながら、本開示に係る空調システムは、複数台の貯湯槽12を備えたものであってもよいし、貯湯槽12が省略されたものであってもよい。
【0040】
前述の実施形態では、再熱手段が熱源として日射Sを用いる例について説明した。但し、再熱手段は日射以外の熱源を併用してもよい。例えば、太陽熱集熱パネル11が設けられた管路P1、及び貯湯槽12が設けられた管路P2、の少なくともいずれかに日射以外の熱源が接続されていてもよい。
【0041】
前述した実施形態では、前述したステップS5及びステップS7において、日射量、及び貯湯槽12の温度のそれぞれが基準値を超えているか否かを空調システム1が判定する例について説明した。しかしながら、ステップS5及びステップS7のいずれかが省略された空調方法であってもよい。すなわち、日射量が基準値を超えているか否かのみが空調システム1によって判定されてもよい。また、貯湯槽12の温度が基準値を超えているか否かのみが空調システム1によって判定されてもよい。この場合、日射量が直接判定されるわけではなく、日射の状況が太陽熱を集める貯湯槽12の温度から判定される。このように、日射の状況を間接的に判定してもよい。
【0042】
前述した実施形態では、ファン22,23及びコイル24,25を備える空調機20について例示した。しかしながら、空調機20の構成は、この例に限られず適宜変更可能である。例えば、空調機20は、レターンエアを常時導入するものであってもよい。この場合、前述した空調立ち上げ時間帯に外気が遮断されてもよい。また、外調機としての機能を有しない空調機を備えていてもよい。また、前述した実施形態では、貯湯槽12から延びる管路P2の熱媒体と空調機20から延びる管路P3の熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器5を備えた空調システム1について説明した。しかしながら、本開示に係る空調システムは、複数の熱交換器5を有する空調システムであってもよいし、熱交換器5を有しない空調システムであってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…空調システム、2…輻射空調手段、2b…流入管、2c…流出管、3…熱媒体流量調整部、3b…ポンプ、5…熱交換器、10…日射集熱手段(再熱手段)、11…太陽熱集熱パネル、12…貯湯槽、12b…太陽熱集熱部、12c…熱供給部、12d…仕切り板、13…ポンプ、20…空調機、21…変風量ユニット、22,23…ファン、24…コイル(再熱手段)、25…コイル、C…面、H…ヘッダ、P1,P2,P3…管路、R…部屋、S…日射。

図1
図2
図3