(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126484
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】マイクロホン保持装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/12 20060101AFI20220823BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
H04R1/12
H04R1/00 328Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024588
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100086335
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 榮一
(72)【発明者】
【氏名】池田 尚
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BB20
(57)【要約】
【課題】
マイクロホンの集音部をマイクロホングリルにより覆うとともに、マイクロホン本体をマイクロホン保持部により覆うことにより、使用によるマイクロホンの汚損を防止することを可能とし、これらをマイクロホンに対し着脱可能とすることで、常時清潔な状態でマイクロホンの使用を可能とする。
【解決手段】
筒状をなす筐体を有するマイクロホン本体3の一端側に設けられた開口部に集音面を臨ませてマイクロホン本体3内に収納配置されたマイクロホンユニット2を含む集音部5を備えたマイクロホン1のマイクロホン本体3の外周側に、着脱自在に取り付けられるマイクロホン保持体11と、マイクロホン保持体11に支持され、マイクロホン保持体11がマイクロホン本体3に取り付けられたとき、マイクロホンユニット2を含む集音部5を覆うマイクロホングリル21とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状をなす筐体を有するマイクロホン本体の一端側に設けられた開口部に集音面を臨ませて前記マイクロホン本体内に収納配置されたマイクロホンユニットを含む集音部を備えたマイクロホンの前記マイクロホン本体の外周側に、着脱自在に取り付けられるマイクロホン保持体と、
前記マイクロホン保持体に支持され、前記マイクロホン保持体が前記マイクロホン本体に取り付けられたとき、前記マイクロホンユニットを含む集音部を覆うマイクロホングリルと
を備えてなるマイクロホン保持装置。
【請求項2】
前記マイクロホン保持体は、互いに組み合わせられて前記円筒状をなすマイクロホン本体の外周面の全面を覆う一対の保持体半体を備え、
前記一対の保持体半体は、基端部側を一つの回転軸に支持され、前記回転軸を中心にして、前記マイクロホン本体の外周面を覆う閉位置と前記マイクロホン本体の外周面を開放する位置との間に亘って回転可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載のマイクロホン保持装置。
【請求項3】
前記一対の保持体半体は、前記回転軸に設けられた付勢部材により、開放端側が近接された閉位置方向に回転付勢されていることを特徴とする請求項2記載のマイクロホン保持装置。
【請求項4】
前記一対の保持体半体の基端部には、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記保持体半体を、前記回転軸を中心に開放方向に回転させるための操作子が設けられていることを特徴とする請求項3記載のマイクロホン保持装置。
【請求項5】
前記マイクロホングリルの内周面側には、前記マイクロホンの集音部を被覆するカバー部材が交換可能に配設されていることを特徴とする請求項1-4のいずれか1項に記載のマイクロホン保持装置。
【請求項6】
前記マイクロホングリルには、前記マイクロホンの集音部を覆ったとき、マイクロホン本体に設けられた係合固定部に係合固定される係合手段が設けられていることを特徴とする請求項1―5のいずれか1項に記載のマイクロホン保持装置。
【請求項7】
筒状をなす筐体を有するマイクロホン本体の一端側に設けられた開口部に集音面を臨ませて前記マイクロ本体内に収納配置されたマイクロホンユニットを含む集音部を備えた少なくとも1のマイクロホンと
前記1のマイクロホンに対し前記請求項1-6のいずれか1項に記載のマイクロホン保持装置を複数備え、
前記1のマイクロホンに対し、前記複数のマイクロホン保持装置のいずれか1を選択的に取り付けて使用することを特徴とするマイクロホン装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホンのマイクロホンユニットを含む集音部を覆うマイクロホングリルを備え、マイクロホンに着脱可能とされたマイクロホン保持装置及びこのマイクロホン保持装置を備えたマイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手に持って使用される可搬型のマイクロホンが用いられている。この種のマイクロホンにあっては、集音特性を良好にするとともに、マイクロホンユニットを含む集音部に異物が付着して汚損されることや、器物の接触や衝突による損傷を防止することを目的にマイクロホングリルが取り付けられている。
【0003】
このようなマイクロホングリルを設けたマイクロホンとして、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されたマイクロホンは、筒状をなすマイクロホン本体を構成する筐体にマイクロホンユニットを収納している。マイクロホンユニットは、集音面をマイクロホン本体の一端部側の開口部に臨ませて取り付けられている。マイクロホングリルは、半球状に形成され、マイクロホンユニットを含む集音部を覆うようにして、マイクロホン本体の開口部側に配置されている。このマイクロホングリルは、マイクロホンユニットが臨む開口部を囲むようにマイクロホン本体に取り付けられた支持リングに、下端側の開口端を固定してマイクロホン本体に一体に取り付けられている。
【0004】
また、可搬型のマイクロホンにあっては、不特定多数の人により使用されることにより、集音部を含んでマイクロホングリルが汚損され、清潔感に劣り、衛生上の問題もある。このような問題を解決するため、集音部を覆うマイクロホングリルをさらに覆う被覆カバーが特許文献2において提案されている。この被覆グリルは、交換可能にマイクロホンに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58-147378号公報
【特許文献2】特開平10-285680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
可搬型のマイクロホンは、不特定多数の人により使用される。そのため、集音部を含んだマイクロホングリルのみならず、手で把持されるマイクロホン本体を構成する筐体も汚損されるおそれがある。
【0007】
本発明は、使用者が変わる毎に、マイクロホンユニットが配置された集音部を覆うマイクロホングリルを含みマイクロホン本体の手で把持される部分を清潔で衛生上問題のない状態で使用可能とするマイクロホン保持装置、さらにこのマイクロホンと本マイクロホン保持装置を用いたマイクロホン装置を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、本発明は、マイクロホンに対する着脱が容易で、使用される毎に容易に交換可能とし、清潔で衛生上問題のない状態で使用可能とするマイクロホン保持装置及びこのマイクロホン保持装置を用いたマイクロホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した技術課題を解決するために提案される本発明は、筒状をなす筐体を有するマイクロホン本体の一端側に設けられた開口部に集音面を臨ませて前記マイクロホン本体内に収納配置されたマイクロホンユニットを含む集音部を備えたマイクロホンの前記マイクロホン本体の外周側に、着脱自在に取り付けられるマイクロホン保持体と、前記マイクロホン保持体に支持され、前記マイクロホン保持体が前記マイクロホン本体に取り付けられたとき、前記マイクロホンユニットを含む集音部を覆うマイクロホングリルとを備えてなる。
【0010】
前記マイクロホン本体を構成する前記一対の保持体半体は、基端部側を一つの回転軸に支持され、前記回転軸を中心にして、前記マイクロホン本体の外周面を覆う閉位置と前記マイクロホン本体の外周面を開放する位置との間に亘って回転可能に支持されている。
【0011】
そして、前記一対の保持体半体は、前記回転軸に設けられた付勢部材により、開放端側が近接され閉じられる方向に回転付勢されている。
【0012】
さらに、前記一対の保持体半体の基端部には、前記付勢部材の付勢力に抗して、前記保持体半体を、前記回転軸を中心に開放方向に回転させるための操作子が設けられている。
【0013】
前記マイクロホングリルの内周面側に、前記マイクロホンの集音部を被覆するカバー部材が交換可能に配設することが望ましい。
【0014】
また、前記マイクロホングリルは、前記マイクロホンの集音部を覆ったとき、マイクロホン本体に設けられた係合固定部に係合固定される係合手段を備え、マイクロホン本体に固定されることが望ましい。
【0015】
さらに本発明は、筒状をなす筐体を有するマイクロホン本体の一端側に設けられた開口部に集音面を臨ませて前記マイクロ本体内に収納配置されたマイクロホンユニットを含む集音部を備えた少なくとも1のマイクロホンと、この1のマイクロホンに対し前述したいずれかのマイクロホン保持装置を複数備えたマイクロホン装置であって、前記1のマイクロホンに対し、前記複数のマイクロホン保持装置のいずれか1を選択的に取り付けて使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマイクロホン保持装置は、マイクロホンに着脱自在に取り付けられ、使用時に異物が付着して汚損されるおそれが高い集音部をマイクロホングリルにより覆う。また、手指で把持される把持部とされるマイクロホン本体をマイクロホン保持装置のマイクロホン保持部が覆う。これらにより、本発明に係るマイクロホン保持装置は、使用によるマイクロホンの汚損を防止することができる。
【0017】
さらに、本発明に係るマイクロホン保持装置は、マイクロホンに対し着脱可能であって、適宜交換しながらマイクロホンに装着することができる。そのため、除菌などの清掃をしたマイクロホン保持装置は、容易に交換できるため、マイクロホンに対して適宜交換可能であり、常時清潔な状態のマイクロホンを提供できる。
【0018】
本発明の具体的な構成、本発明によって得られる利点は、以下において、図面を参照して説明される実施の形態から一層明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るマイクロホン保持装置が用いられるマイクロホンの一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るマイクロホン保持装置のマイクロホン保持体を開いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示すマイクロホン保持装置のマイクロホン保持体を閉じた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図2に示すマイクロホン保持装置をマイクロホンに装着する状態を示す斜視図である。
【
図5】マイクロホングリルにより集音部を覆ってマイクロホン保持装置をマイクロホンに装着した状態を示す斜視図である。
【
図6】マイクロホングリルとカバー部材を示す斜視図である。
【
図7】マイクロホングリルの固定機構を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置とこのマイクロホン保持装置が取り付けられるマイクロホン、並びにマイクロホン装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
なお、本発明は、以下において説明される実施形態のみに限定されるものではなく、その特徴的構成を変更しない範囲で適宜変更される実施の形態を含む。
【0022】
本実施の形態に係るマイクロホン保持装置が用いられるマイクロホン1は、手に持って使用される可搬型に構成されたものであって、
図1に示すように、マイクロホンユニット2を収納配置したマイクロホン本体3を備える。マイクロホン本体3は、筒状に形成されたハウジング4を備える。マイクロホン本体3は、ハウジング4の一端側に構成された開口部に集音面を臨ませてマイクロホンユニット2を収納配置している。マイクロホン本体3のマイクロホンユニット2が配置された一端部は、集音部5とされている。
【0023】
マイクロホン本体3を構成する円筒状に形成されたハウジング4は、使用時に把持される把持部とされる。
【0024】
本実施の形態において用いられるマイクロホン1の他端部側には、マイクロホンユニット2により集音した音声信号を外部に無線で送信する音声信号送信部が設けられている。なお、本実施の形態におけるマイクロホン1は、音声信号を外部に送信する方式として無線方式を採用しているが、マイクロホン1は、出力コネクタを設けてケーブル等で音声信号を送信する有線方式を採用してもよい。
【0025】
このマイクロホン1には、マイクロホン保持装置10が着脱自在に取り付けられる。マイクロホン保持装置10は、
図2に示すように、マイクロホン本体3の外周側に、着脱自在に取り付けられるマイクロホン保持体11を備える。
【0026】
マイクロホン保持体11は、一対の保持体半体12,13を備える。一対の保持体半体12,13は、互いに組み合わせられて円筒状とされる半円筒状に形成され、円筒状をなすマイクロホン本体3の外周面を覆う。
【0027】
ここで、一対の保持体半体12,13は、互いに組み合わせられて円筒状にされたとき、マイクロホン本体3の外周面に密接し圧着支持する大きさの半円状に形成されている。これら一対の保持体半体12,13は、
図2に示すように、基端部側を一つの回転軸14に支持される。この回転軸14を中心にして、一対の保持体半体12,13は、マイクロホン本体3の外周面を覆う閉位置とマイクロホン本体3の外周面を開放する位置との間に亘って回転可能に支持されている。これら一対の保持体半体12,13は、
図2に示すように、回転軸14に取り付けられた回動付勢部材15により、開放端12a、13a側が互いに近接され円筒状となる方向の矢印R1方向、矢印R2方向に回動付勢されている。
【0028】
ここで回動付勢部材15として、回転軸14に巻回するように取り付けられたトーションバネが用いられている。
【0029】
回動付勢部材15により回動付勢された一対の保持体半体12,13は、
図3に示すように、開放端12a、13a側を突き合わせ、マイクロホン本体3の外周面を覆う円筒状とされる。
【0030】
そして、一対の保持体半体12,13の基端部には、操作子16,17がそれぞれ設けられている。操作子16,17は、回動付勢部材15の付勢力に抗して、これら保持体半体12,13を、回転軸14を中心に回転させる。
【0031】
一対の保持体半体12,13は、操作子16,17が摘ままれて互いに近接する方向に移動することにより、回動付勢部材15の付勢力に抗して、回転軸14を中心に先端側を離間させて開放する
図2、
図3中矢印R3方向、矢印R4方向に回転される。
【0032】
本実施の形態において、マイクロホン保持体3は、マイクロホン1のマイクロホン本体3の全周に亘って覆うに足る大きさの円筒形に形成することが望ましい。すなわち、マイクロホン保持体3の大きさは、一対の保持体半体12,13が突き合わせられ、その先端側が閉塞した状態において、マイクロホン本体3の全周に亘って覆うに足る大きさであることが望ましい。また、マイクロン保持体11は、高さ方向においても、マイクロホン本体3のほぼ全面を覆うに足る大きさに形成することが望ましい。
【0033】
このように形成されたマイクロホン保持体11は、マイクロホン本体3の手指により把持される部分のほぼ全周を覆うため、手指が直接マイクロホン本体3に接触することを防止する。
【0034】
本実施の形態において、マイクロホン保持体3には、
図2、
図3に示すように、マイクロホン1の上部側に構成されたマイクロホンユニット2を含む集音部5を覆うマイクロホングリル21が取り付けられている。このマイクロホングリル21は、マイクロホンユニット2を含む集音部5を覆うに足る大きさを有する略球体状に形成されている。マイクロホングリル21は、音響の透過を図るため、多数の透孔が形成されたメッシュ状の部材を用いて形成されている。マイクロホングリル21は、基端部側に形成した開口部22から集音部5を収納するように覆って、マイクロホン1に取り付けられる。
【0035】
本実施の形態において、マイクロホングリル21は、カップ状に形成された上グリル半体21aと、基端部側に開口部22を設けた下グリル半体21bを突き合わせ、リング状のグリル連結部材23によって連結されることにより略球体状に形成されている。
【0036】
なお、本実施の形態に用いられるマイクロホン1には、
図4に示すように、位置決め部24が設けられている。位置決め部24は、マイクロホングリル21が取り付けられたとき、マイクロホングリル21の開口部22の周縁を支持し位置決めする。また、位置決め部24は、
図1に示すように、集音部5の基端側の外周部を囲むように鍔状突出して形成されている。
【0037】
そして、マイクロホングリル21に設けられたグリル連結部材23の外周部には、
図2、
図3に示すように、グリル支持片25が一体に設けられている。グリル支持片25は、マイクロホングリル21をマイクロホン保持体11に回動可能に支持するため、グリル連結部材23の外周部から突出して設けられる。グリル支持片25は、
図2に示すように、マイクロホン保持体11の上端部に突設された一対の取り付け片26,27間に挿入され、これら一対の取り付け片26,27により挟持されるようにして支持される。
【0038】
ここで、一対の取り付け片26,27は、
図2、
図3に示すように、他方のマイクロホン保持片13の上端部であって、回転軸14に近接した位置に相対向して設けられている。そして、一対の取り付け片26,27とグリル支持片25には孔が設けられており、グリル支持片25を一対の取り付け片26,27間に挿入したとき、それらの孔が一連に連通して軸挿通孔28が形成される。
【0039】
マイクロホングリル21は、軸挿通孔28に回転支持軸31が挿入されることにより、この回転支持軸31を中心にしてマイクロホン保持体11に対し回転可能に支持される。
【0040】
なお、本実施の形態において、回転支持軸31が軸挿通孔28に対し抜き差し可能に構成されることにより、マイクロホングリル21をマイクロホン保持体11に対し着脱可能かつ、交換可能としてもよい。
本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、使用者の飛沫等が付着しやすいマイクロホングリル21をマイクロホン保持体11に対し交換可能とすることにより、長期間に亘って清浄な状態で使用可能となる。また、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、交換用のマイクロホングリル21のみを複数用意しておくことで、清浄な状態のマイクロホン保持装置10を安価に提供することができる。
【0041】
上述したように構成されたマイクロホン保持装置10は、次に述べるような手順でマイクロホン1の外周側に取り付けられる。
【0042】
まず、マイクロホングリル21が、回転支持軸31を中心にして
図2中矢印Y1方向に回転され、マイクロホン保持体11の外側に配置される。次に、操作子16,17が把持されることで、回動付勢部材15の付勢力に抗して一対の保持体半体12,13のそれぞれが、回転軸14を中心にして
図2中矢印R3方向、矢印R4方向に回転し、先端側を離間させて開放した状態とする。
【0043】
ここで、一対の保持体半体12,13間にマイクロホン本体3が挿入される。次に、一対の操作子16,17の摘まみの把持が解かれ、回動付勢部材15の付勢力により一対のマイクロホン支持片12,13が、回転軸14を中心にして先端側が近接する方向の
図3中矢印R1方向、R2方向に回転する。そして、一対の保持片半体12,13は、回動付勢部材15の付勢力を受けてマイクロホン本体3の外周面に圧着し、
図4に示すように、このマイクロホン本体3を保持する。
【0044】
次に、マイクロホングリル21は、回転支持軸31を中心にして
図4中矢印Y2方向のマイクロホン1の先端側に回転され、マイクロホンユニット2を含む集音部5を覆う。このとき、マイクロホングリル21は、開口部22の周縁を位置決め部24に当接し、
図5に示すように、集音部5に対するマイクロホングリル21の回動位置が位置決めされる。
【0045】
本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、マイクロホン本体3の手指が掛かる外周側全面をマイクロホン保持体11により覆うことができる。そのため、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、手指の把持によるマイクロホン本体3の汚損を防止できる。そして、マイクロホン保持装置10は、マイクロホングリル21により集音部5を覆うため、歌唱等を行うことによる集音部5の汚損も防止される。
【0046】
このように、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、使用によるマイクロホン1全体の汚損を防止し、清潔な状態を維持することができる。
【0047】
さらに、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10がマイクロホン1に装着されたとき、マイクロホン本体3の上部側に突出して設けられた操作子16,17は、テーブル等の載置台上に載置させたときの支持片となる。操作子16,17とマイクロホン保持体11の他端部とがマイクロホン1を含むマイクロホン保持装置11を載置台上に支持するため、マイクロホン保持装置10は、集音部5を載置台から浮かした状態として異物の付着による汚損を防止する。さらに、マイクロホン保持装置10は、マイクロホン保持体11の主要部である手指で把持される部分が載置台に接触して塵埃などによる汚染されることも防止する。
【0048】
本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、マイクロホングリル21を、回転支持軸31を中心にして、
図5中矢印Y1方向に回転できるようにするとともに、集音部5を覆う位置から開放した位置に移動する。次いで、マイクロホン保持装置10は、操作子16,17が摘ままれることで、回動付勢部材15の付勢力に抗して、一対の保持体半体12,13の先端側が離間して開放される。一対の保持体半体12,13が回転軸14を中心にして
図5中矢印R3方向、矢印R4方向に回転することにより、マイクロホン保持装置10は、マイクロホン1より容易に取り外され、交換可能となる。
【0049】
このように、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10は、マイクロホン1に対する着脱を容易に行うことができる。そして、複数個用意されたマイクロホン保持装置10を使用することで、使用者が変わる毎に、清掃した新たなマイクロホン保持装置10をマイクロホン1に装着することができる。したがって、本実施の形態に係るマイクロホン保持装置10によれば、他人の使用により汚損等された状態のマイクロホンの使用を避けることができる。
【0050】
本実施の形態においては、1台のマイクロホン1に対し、複数個のマイクロホン保持装置10が組み合わされて一組のセットとしたマイクロホン装置を構成することにより、使用者毎に固有のマイクロホン保持装置10を利用することが可能になる。そのため、使用者は他人の使用によって汚損等したマイクロホン1の使用を避けることができる。
【0051】
さらに、複数の、例えば2台のマイクロホン1,1に対し4個のマイクロホン保持装置10を用意することにより、複数の使用者が、汚損を避けた状態でマイクロホン1の使用を途切らすことなく連続した使用を可能とする。
【0052】
ここで、上述したようなマイクロホン装置は、先端側の集音部5を上向きにして設置支持できるマイクロホン支持基台によって保管されることが望ましい。マイクロホン支持基台は、複数のマイクロホン1,1を個別に独立して設置支持してもよい。このようにマイクロホン1,1を保管することにより、各マイクロホン1,1とともにマイクロホン保持装置10の汚損の防止は一層確実になる。
【0053】
さらにまた、本実施の形態において、マイクロホン保持体11は、マイクロホングリル21を着脱可能とする。そして、マイクロホン保持体11に対し着脱自在とされたマイクロホングリル21が、一つのマイクロホン保持体11に対し複数用意される。そして、複数用意されたマイクロホングリル21は、マイクロホン1の使用者が変わる毎に交換される。このように、マイクロホングリル21が、マイクロホン1の使用者が変わる毎に交換されることにより、使用者は、他人の使用により汚損されたマイクロホングリル21を使用することなく、マイクロホン1を使用することができる。
【0054】
さらに、マイクロホン保持体11に対し着脱自在とされたマイクロホングリル21は、マイクロホン1の使用者が変わる毎にマイクロホン保持体11から外される。このように、マイクロホン保持体11から外されたマイクロホングリル21は、マイクロホン1の使用者が変わる毎に清掃され、常に清浄な状態にしておくことができる。
【0055】
以上のように、マイクロホングリル21が着脱自在とされ、交換可能とされたマイクロホン保持体11を用いるマイクロホン1は、一層清潔な状態を維持して使用可能となる。
【0056】
ところで、集音部5を覆うマイクロホングリル21は、マイクロホン1の使用時に、塵埃や使用者の飛沫などの付着が著しい。そのため、このマイクロホングリル21に形成した透孔や集音部5との間の隙間等を介して、塵埃や飛沫などが内部に侵入し集音部5やその周辺を汚損させてしまうおそれがある。
【0057】
そこで、マイクロホングリル21は、その内周面に、
図6に示すように、マイクロホングリル21を透過してその内部に侵入する塵埃や飛沫の侵入を阻止するためのカバー部材32を備えてもよい。このカバー部材32は、高能率での音響の透過を可能としながら微小な塵埃や飛沫の侵入を阻止するため、和紙や発泡ウレタンのシート体によって形成されることが望ましい。
【0058】
また、カバー部材32は、マイクロホングリル21の内部への塵埃や飛沫の浸入を一層確実に防止するため、マイクロホングリル21の内周側に密接して装着されることが望ましい。そのため、カバー部材32は、マイクロホングリル21の内周形状に対応した形状に形成されることが望ましい。
【0059】
さらに、カバー部材32が1つのマイクロホン保持装置10に対し複数枚用意されることにより、マイクロホンユニット2を含む集音部5の周辺部の汚損防止効果は一層向上する。また、マイクロホングリル21の消毒や清掃も容易となし、マイクロホン1はいつでも清潔な状態で使用可能になる。
【0060】
また、本実施の形態において、マイクロホングリル21をマイクロホン1に安定した状態で支持されるように、
図7に示すように、マイクロホングリル21とマイクロホン1との間にグリル固定機構35が設けられてもよい。
【0061】
グリル固定機構35は、例えば、バヨネット式の機構により構成されている。この固定機構35は、複数の係合爪36を備えたリング状の係合部材37と、複数の係合爪36が係合する係合溝38を備えたリング状の被係合部材39とから構成されている。この係合溝38には、係合爪36を挿通させるための挿通溝38aが形成されている。なお、係合溝38内には、係合溝38内に係合された係合爪36を圧接して支持する傾斜支持部38bが形成されている。
【0062】
そして、係合部材37は、マイクロホングリル21の基端部側に形成した開口部22の内周側に取り付けられている。一方、被係合部材39は、マイクロホン本体3の集音部5の外周囲に、この集音部5を囲むように取り付けられている。本実施の形態において、マイクロホングリル21は、回転可能な状態でグリル連結部材23に対し支持されている。
【0063】
なお、マイクロホングリル21は、係合爪36を係合溝38に係合する方向と逆方向への回転操作により、マイクロホン本体3から外すことができる。
【0064】
このようなグリル固定機構35が設けられたマイクロホン保持装置10は、マイクロホン1を保持した状態において、マイクロホングリル21が回転操作されながら複数の係合爪36が挿通溝38aを介して係合溝38に係合していくことにより傾斜支持部38bに圧接する。複数の係合爪36は、傾斜支持部38bに圧接することにより、係合溝38に固定される。
【0065】
このように、係合爪36が係合溝38に圧接係合することにより、マイクロホングリル21はマイクロホン本体3に安定して支持される。そのため、マイクロホン保持装置10をマイクロホン1に装着したときのマイクロホン1の使用感が良好なものとなる。
【0066】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく。本発明の特徴ある構成を含む範囲で適宜変更したものを含む。
【符号の説明】
【0067】
1 マイクロホン、2 マイクロホンユニット、3 マイクロホン本体、5 集音部、10 マイクロホン保持装置、11 マイクロホン保持体、12 保持体半体、13 保持体半体、 14 回転軸、15 回動付勢部材、16,17 操作子、21 マイクロホングリル、22 開口部、25 グリル支持片、26,27 取り付け片、31 回転支持軸、32 カバー部材、35 グリル固定機構 37 係合部材、39 被係合部材