(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126489
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G01B21/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024594
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】390003193
【氏名又は名称】東洋鋼鈑株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592010519
【氏名又は名称】システム精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 信夫
(72)【発明者】
【氏名】木村 和則
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA54
2F069CC07
2F069GG63
2F069JJ06
2F069MM02
2F069PP01
(57)【要約】
【課題】被測定物が比較的に薄い形状であってもより正確に平坦度を測定することができる測定装置を提供する。
【解決手段】ディスク10を測定する測定装置20であって、ディスク10の表面を測定するA面測定部と、ディスク10を搬送する第1搬送部24と、を備え、A面測定部は、鉛直方向から傾斜角θで傾いている測定基準面61aを有し、第1搬送部24は、ディスク10が測定基準面61aに対して平行になるようにディスク10を保持する保持部81を有し、保持部81は、ディスク10が傾斜角θで傾いている姿勢を維持したまま、ディスク10を保持して鉛直方向に移動し、ディスク10のA面測定部23への取付けおよび取外しを行うことを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を測定する測定装置であって、
前記被測定物の表面および裏面の少なくとも一方の形状を測定する測定手段と、
前記被測定物を搬送する搬送手段と、を備え、
前記測定手段は、鉛直方向から所定の角度だけ傾いている測定基準面を有し、
前記搬送手段は、前記被測定物が前記測定基準面に対して平行になるように前記被測定物を保持する保持部を有し、
前記保持部は、前記被測定物が前記所定の角度だけ傾いている姿勢を維持したまま、前記被測定物の前記測定手段への取付けおよび取外しを行うことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記搬送手段が、前記被測定物を前記測定手段に取付ける取付用保持部および前記被測定物を前記測定手段から取外す取外用保持部を有することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記搬送手段が、前記測定手段に対向して前記被測定物を搬送する際、前記被測定物が前記測定基準面に対して平行に搬送されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定手段が、互いに対向して配置される第1測定手段および第2測定手段を有することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記搬送手段が、前記第1測定手段に対向して前記被測定物を搬送する第1搬送手段と、前記第2測定手段に対向して前記被測定物を搬送する第2搬送手段とを有し、前記第1搬送手段の搬送方向と前記第2搬送手段の搬送方向とが互いに逆方向であることを特徴とする請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記被測定物が鉛直方向に沿って位置する鉛直姿勢と前記被測定物の鉛直方向から所定の角度だけ傾いて位置する傾斜姿勢との間で、前記鉛直姿勢と前記傾斜姿勢とを変換する受渡部を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記搬送手段を駆動する駆動手段を有し、前記駆動手段は、前記測定手段よりも鉛直方向で下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、水平方向および前記測定基準面に対して垂直方向に往復移動可能に構成され、前記被測定物は、前記搬送手段により主面の向きを前記測定基準面側に維持したまま測定装置の入側から出側まで搬送されることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記被測定物が板厚方向に貫通する貫通孔を有し、前記保持部は、前記貫通孔の内壁部を保持することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定基準面は、前記被測定物を支持する支持体と、該支持体に支持された前記被測定物に当接する振れ止めを有することを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被測定物を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、
図13(a)および
図13(b)に示すように、ベースブロック1と、ベースブロック1に設けられ円盤状のディスクなどの被測定物Dを水平に保持する測定台2と、センサ3とを備えたものが開示されている(特許文献1参照)。この測定装置は、センサを測定台2に保持された被測定物Dの表面と平行に非接触で移動させることにより被測定物Dの表面の平坦度を測定するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置においては、被測定物Dが測定台2に水平に保持されているので、重力が被測定物Dをたわませる方向に作用する。即ち、被測定物Dの自重により被測定物Dにたわみが発生する。自重によるたわみが小さい比較的に厚い被測定物Dの場合は、良好に測定することができるが、被測定物Dが比較的に薄い形状の場合、自重によりたわみが大きく被測定物Dが変形してしまうため、平坦度を正確に測定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、被測定物が比較的に薄い形状であっても、平坦度をより正確に測定することができる測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る測定装置は、被測定物を測定する測定装置であって、前記被測定物の表面および裏面の少なくとも一方の形状を測定する測定手段と、前記被測定物を搬送する搬送手段とを備え、前記測定手段は、鉛直方向から所定の角度だけ傾いている測定基準面を有し、前記搬送手段は、前記被測定物が前記測定基準面に対して平行になるように前記被測定物を保持する保持部を有し、前記保持部は、前記被測定物が前記所定の角度だけ傾いている姿勢を維持したまま、前記被測定物の前記測定手段への取付けおよび取外しを行うことを特徴とする。
【0007】
(2)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記搬送手段が、前記被測定物を前記測定手段に取付ける取付用保持部と前記被測定物を前記測定手段から取外す取外用保持部とを有することを特徴とする。
【0008】
(3)本発明に係る測定装置は、(1)または(2)に記載の測定装置であって、前記搬送手段が、前記測定手段に対向して前記被測定物を搬送する際、前記被測定物が前記測定基準面に対して平行に搬送されることを特徴とする。
【0009】
(4)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記測定手段が、互いに対向して配置される第1測定手段および第2測定手段を有することを特徴とする。
【0010】
(5)本発明に係る測定装置は、(4)に記載の測定装置であって、前記搬送手段が、前記第1測定手段に対向して前記被測定物を搬送する第1搬送手段と、前記第2測定手段に対向して前記被測定物を搬送する第2搬送手段とを有し、前記第1搬送手段の搬送方向と前記第2搬送手段の搬送方向とが互いに逆方向であることを特徴とする。
【0011】
(6)本発明に係る測定装置は、(1)から(5)の何れか一つに記載の測定装置であって、前記被測定物が鉛直方向に沿って位置する鉛直姿勢と前記被測定物が鉛直方向から所定の角度だけ傾いて位置する傾斜姿勢との間で、前記鉛直姿勢と前記傾斜姿勢とを変換する受渡部を有することを特徴とする。
【0012】
(7)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記搬送手段を駆動する駆動手段を有し、前記駆動手段は、前記測定手段よりも鉛直方向で下方に配置されていることを特徴とする。
【0013】
(8)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記搬送手段は、水平方向および測定基準面に対して垂直方向に往復移動可能に構成され、前記被測定物は、前記搬送手段により主面の向きを測定基準面側に維持したまま測定装置の入側から出側まで搬送されることを特徴とする。
【0014】
(9)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記被測定物が板厚方向に貫通する貫通孔を有し、前記保持部は、前記貫通孔の内壁部を保持することを特徴とする。
【0015】
(10)本発明に係る測定装置は、(1)に記載の測定装置であって、前記測定基準面は、前記被測定物を支持する支持体と、該支持体に支持された前記被測定物に当接する振れ止めを有することを特徴とする。
【0016】
上記(1)に記載した本発明に係る測定装置によれば、被測定物の表面および裏面の少なくとも一方の形状を測定する測定手段と被測定物を搬送する搬送手段とを備え、測定手段は、鉛直方向から所定の角度だけ傾いている測定基準面を有し、搬送手段は、被測定物が測定基準面に対して平行になるように被測定物を保持する保持部を有している。また、保持部は、被測定物が所定の角度だけ傾いている姿勢を維持したまま、被測定物の測定手段への取付けおよび取外しを行う。
【0017】
この構成により、従来の測定装置における問題、即ち、被測定物が測定台に水平に保持されたことによる被測定物のたわみを効果的に抑制でき、被測定物が薄い形状における平坦度測定精度の低下という問題が解消される。この構成によれば、被測定物を所定の角度だけ傾けた姿勢に保持してその表面及び裏面の少なくとも一方の形状を測定するので、被測定物に自重によるたわみが発生するのを抑制し、より正確に形状を測定できる。
【0018】
また、保持部は、被測定物が所定の角度で傾いている傾斜姿勢を維持したまま、被測定物の測定手段への取付けおよび取外しを行うように構成されている。この構成により、傾斜姿勢を高い精度で保持し、被測定物の測定手段への取付けおよび取外しが円滑に行われる。さらに、被測定物の自重によるたわみの影響を抑制し、測定装置に置かれたときの被測定物の姿勢を安定させることができる。
【0019】
上記(2)に記載した本発明に係る測定装置によれば、被測定物が取付用搬送部により測定手段に取付けられ、取外用搬送部により測定手段から取外される。この構成により、被測定物が迅速に搬送され、被測定物の測定手段への取付けおよび取外しが円滑に行われ、効率よく被測定物を搬送することができる。
【0020】
上記(3)に記載した本発明に係る測定装置によれば、搬送手段が、測定手段に対向して被測定物を搬送する際、被測定物が測定基準面に対して平行に搬送される。この構成により、被測定物に対して余計な応力が発生することなく、効率よく多くの被測定物が搬送され、多数の被測定物を迅速に測定することができる。
【0021】
上記(4)に記載した本発明に係る測定装置によれば、測定手段が、互いに対向して配置される第1測定手段および第2測定手段を有するので、測定装置の構成要素の配置スペースが小さくなり、測定装置のコンパクト化が図られる。
【0022】
上記(5)に記載した本発明に係る測定装置によれば、搬送手段が、第1測定手段に対向して被測定物を搬送する第1搬送手段と、第2測定手段に対向して被測定物を搬送する第2搬送手段とを有し、第1搬送手段の搬送方向と第2搬送手段の搬送方向とが互いに逆方向である。この構成により、第1搬送手段および第1測定手段と、第2搬送手段および第2測定手段との各配置スペースが小さくなり、測定装置のコンパクト化が図られる。
【0023】
上記(6)に記載した本発明に係る測定装置によれば、被測定物が鉛直方向に沿って位置する鉛直姿勢と被測定物の鉛直方向から所定の角度だけ傾いて位置する傾斜姿勢との間で、鉛直姿勢と傾斜姿勢とを変換する受渡部を有している。この構成により、搬送された鉛直姿勢の被測定物が受渡部で円滑に傾斜姿勢に変換され、傾斜姿勢で搬送された被測定物が受渡部で円滑に鉛直姿勢に変換されるための、搬送部で傾斜姿勢に変換する過程が不要となり、搬送中に被測定物に余計な応力が発生することを抑制し、測定装置に置かれた時の被測定物の姿勢を安定させることができる。
【0024】
上記(7)に記載した本発明に係る測定装置によれば、搬送手段を駆動する駆動手段を有し、駆動手段は、測定手段よりも鉛直方向で下方に配置されている。この構成により、駆動手段から発生した細かな発塵物が測定手段を構成する基板などの構成要素に付着し難くなり、基板などの構成要素が汚染するリスクが減少する。
【0025】
上記(8)に記載した本発明に係る測定装置によれば、搬送手段は、水平方向および測定基準面に対して垂直方向に往復移動可能に構成されているので、効率的かつ迅速に被測定物が搬送される。また、被測定物は、搬送手段により主面の向きを測定基準面側に維持したまま測定装置の入側から出側まで搬送されるので、無駄なく多数の被測定物が迅速に測定され、搬送される。
【0026】
上記(9)に記載した本発明に係る測定装置によれば、被測定物が板厚方向に貫通する貫通孔を有し、保持部は、貫通孔の内壁部を保持するので、傾斜している被測定物に対して余計な応力を発生させることなく安定して被測定物が保持される。
【0027】
上記(10)に記載した本発明に係る測定装置によれば、測定基準面は、被測定物を支持する支持体と、振れ止めを有しているので、被測定物の振れを抑制し、被測定物の姿勢を維持し、安定させることで平坦度の測定精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被測定物が比較的に薄い形状であってもより正確に平坦度を測定することができる測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態~第3実施形態に係る測定装置により測定されるディスクの図であり、
図1(a)は、ディスクの斜視図を示し、
図1(b)は、ディスクの断面図を示す。
【
図2】本発明の第1実施形態~第3実施形態に係るディスクの製造工程を示す工程図。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る測定装置の構成を模式的に示した模式図。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る測定装置の正面を模式的に示した模式図。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る測定装置の模式図であり、
図5(a)は、拡大した測定装置の正面を示し、
図5(b)は、拡大した測定装置の側面を示す。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る測定装置の模式図であり、
図6(a)は、ロボット搬送部のディスク保持部およびディスクの正面を示し、
図6(b)は、ロボット搬送部のディスク保持部およびディスクの側面を示し、
図6(c)は、A面測定部の測定基準面側に設けられた支持体、ディスクの振れ止めおよびディスクの正面を示し、
図6(d)は、A面測定部の測定基準面側に設けられた支持体およびディスクの側面を示し、
図6(e)は、取付用搬送機構または取外用搬送機構の保持部およびディスクの正面を示し、
図6(f)は、取付用搬送機構または取外用搬送機構の保持部およびディスクの側面を示す。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る測定装置の動作を示す模式図で有り、
図7(1)は、保持部がディスクから離反した位置に待機している状態を示し、
図7(2)は、保持部がディスクに接近した状態を示し、
図7(3)は、保持部の上昇中の状態を示し、
図7(4)は、保持部によりディスクを保持した状態を示す。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る測定装置の動作を示す模式図であり、
図8(a)は、ロボット搬送部のディスク保持部がディスクを入側受渡部に渡す状態を示し、
図8(b)は、入側受渡部が第1搬送部の取付用搬送機構にディスクを渡す状態を示し、
図8(c)は、取付用搬送機構がA面測定部のディスク保持部にディスクを取付ける状態を示す。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る測定装置の動作を示す模式図であり、
図9(a)は、第1搬送部の取付用搬送機構がA面測定部から離隔している状態を示し、
図9(b)は、第1搬送部の取付用搬送機構がA面測定部に近接してディスクをA面測定部のディスク保持部に取付けた状態を示す。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る測定装置の動作を示す模式図であり、
図10(a)は、A面測定部のセンサが入側受渡部の方向に移動しディスクのA面を測定した状態を示し、
図10(b)は、第1搬送部の取外用搬送機構が出側受渡部にディスクを渡す状態を示し、
図10(c)は、出側受渡部が第3搬送部のディスク保持部にディスクを渡す状態を示す。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る測定装置の構成を模式的に示した模式図。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る測定装置の構成を模式的に示した模式図。
【
図13】従来の測定装置の図であり、
図13(a)は、測定装置の斜視図を示し、
図13(b)は、測定装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る測定装置を適用した第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態に係る測定装置20、20A、20Bについてそれぞれ図面を参照して説明する。
【0031】
まず、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態に係る測定装置20、20A、20Bにより測定される被測定物としてのディスク10について説明する。ディスク10は、
図1(a)、
図1(b)に示すように、厚みがth、外径がD、中心の貫通孔hの内径がdの円盤形状を有している。なお、ディスク10は、円盤に限定されず、例えば、方形や楕円形等の円盤以外の他の形状であってもよい。ディスク10は、本実施形態、第2実施形態および第3実施形態では、ハードディスク用ディスクであるが、他の用途に用いるディスクであってもよい。
【0032】
ディスク10の厚みthは0.3mm~2mm程度、外径Dは30mm~270mm程度、内径dは10mm~70mm程度の寸法を有している。具体的には、厚みthが1.75mm、1.6mm、1.27mm、1.0mm、0.8mm、0.635mm、0.6mm、0.5mm、0.38mm、0.3mm、外径Dのサイズが3.5inch、2.8inch、2.5inch、内径dが20mm、25mmの内から選択される何れかの円盤形状を有する。
【0033】
ディスク10は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の板材からなるアルミニウム基材によって構成されている。ディスク10は、平滑性と表面硬度を有しており、高速回転による振動の発生を抑制することができる剛性および耐衝撃性も有している。また、ディスク10は、例えば貫通孔hに挿入された支持部材により鉛直に支持された場合に、その姿勢状態を自己維持できる剛性を有している。これらの特性を備えるためにディスク10は硬い素材で形成されており、ガラスの板材からなるガラス基板であってもよい。
【0034】
次いで、ディスク10の製造工程の一例について
図2を参照して簡単に説明する。
まず、基材としてのアルミブランクに対して面取りを含めた旋盤加工が行われ(ステップS1)円盤形状のディスクが形成される。形成されたディスクに対して焼鈍が施される(ステップS2)。
【0035】
次いで、ディスクに対するグラインド1段目(ステップS3)およびグラインド2段目(ステップS4)が順に行われ、ディスクの表面および裏面が研削され、ディスクに焼鈍が施される(ステップS5)。焼鈍後、ディスクの表面および裏面に、前処理および無電解ニッケル-りんメッキ(NiP)が施され、ディスクにニッケル-りんメッキの被膜が形成され(ステップS6)、ディスクに焼鈍が施される(ステップS7)。
【0036】
次いで、研磨パッドによりディスクに対するポリッシュ1段目(ステップS8)およびポリッシュ2段目(ステップS9)が順に行われ、ディスクの表面および裏面が精密に研磨される。仕上げ研磨後に、ディスクに対して最終洗浄が行われ、洗浄後にディスクが乾燥され、ディスク10が完成する(ステップS10)。最終洗浄として、例えば、洗剤を使った超音波による精密洗浄が挙げられる。
【0037】
最終洗浄後に、第1実施形態に係る測定装置20により、ディスク10の全数に対して平坦度が測定される。平坦度は、ディスク10の表面および裏面の平坦の度合いを表す割合であり、例えば、JIS規格(JIS B 0621-1984)に定義される平面度と同様の度合いであってもよい。
【0038】
平坦度全数測定後に、表面検査機によるディスク10の表面検査が行われる(ステップS11)。表面検査(ステップS11)において不良品とされたディスク10は、不良品の処理が行われ、良品とされたディスク10は、真空梱包が行われ(ステップS12)、段ボール箱梱包が行われ(ステップS13)、所定の送り先へ出荷される。
【0039】
一方、ディスク10の仕様によっては、表面検査において良品とされたディスク10に対して出荷検査が行われる(ステップS14)。出荷検査において不良品とされたディスク10は、不良品の処理が行われ、良品とされたディスク10は、所定の梱包形態で所定の送り先へ出荷される。
【0040】
次いで、本実施形態に係る測定装置20について図面を参照して説明する。
測定装置20は、
図3、
図4、
図5(a)および
図5(b)に示すように、第1ロボット搬送部21と、第1受渡部22と、A面測定部23と、第1搬送部24と、第1駆動部25とを有している。
【0041】
また、測定装置20は、第3搬送部36と、第2受渡部32と、第2搬送部34と、第2駆動部35と、B面測定部33と、第2ロボット搬送部31と、各構成要素の動作を制御する図示しない制御部とを有している。
【0042】
測定装置20は、第1ロボット搬送部21により所定の場所からディスク10を搬入し、A面測定部23にてディスク10の表面の形状、即ちA面の平坦度を測定する。そして、ディスク10をA面測定部23からB面測定部33まで搬送し、B面測定部33にてディスク10の裏面の形状、即ちB面の平坦度を測定する。そして、測定後のディスク10を第2ロボット搬送部31により所定の場所へ搬出する構成を有している。測定装置20は、所定の場所からディスク10を搬入し、A面およびB面の平坦度を測定して所定の場所へ搬出するまでの間、全自動で行うことが可能になっている。
【0043】
なお、本実施形態に係る測定装置20の第1搬送部24および第2搬送部34は、本発明に係る搬送装置の搬送手段を構成する第1搬送手段および第2搬送手段に対応する。第1受渡部22および第2受渡部32は、本発明に係る搬送装置の受渡部に対応し、A面測定部23およびB面測定部33は、本発明に係る搬送装置の測定手段を構成する第1測定手段および第2測定手段に対応し、第1駆動部25および第2駆動部35は、本発明に係る搬送装置の駆動手段に対応する。
【0044】
第1ロボット搬送部21は、
図4に示すように、アーム41、42と、ディスク保持部43とを有している。第1ロボット搬送部21は、ディスク10を所定の場所から搬送し、入側受渡部51に渡すように構成されている。
【0045】
第1ロボット搬送部21は、小型の多関節ロボットにより構成される。多関節ロボットは、例えば、様々な姿勢を取ることが可能であり重力方向で広い範囲で動作することができる垂直多関節ロボットでもよく、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットであってもよい。
【0046】
第1ロボット搬送部21のディスク保持部43は、
図6(a)および
図6(b)に示すように、上部ディスク受け43aと、溝付フック43bとを有しており、ディスク10を鉛直方向に沿って、即ち垂直に保持する構成を有している。ディスク保持部43は、溝付フック43bが上下に可動し、上部ディスク受け43aと溝付フック43bの間でディスク10を把持する。
【0047】
第1受渡部22は、
図3に示すように、入側受渡部51と、出側受渡部52を有している。入側受渡部51は、第1駆動部25の入側に配置されており、第1ロボット搬送部21のディスク保持部43からディスク10を受け取り、X方向に沿って移動して、第1搬送部24の取付用搬送機構71にディスク10を渡す構成を有している。
【0048】
入側受渡部51は、ディスク保持部43からディスク10を受け取って保持する際に、ディスク保持部43により垂直に保持されたディスク10の鉛直姿勢を、
図5(b)、
図6(c)~
図6(f)に示すように、鉛直方向から傾斜角θで傾く傾斜姿勢に変換して保持する構成を有している。つまり、入側受渡部51は、ディスク保持部43によって垂直となる姿勢に保持されたディスク10を受け渡されると、垂直の姿勢から傾けて傾斜角θとなる傾斜姿勢に保持する。なお、本実施形態に係る傾斜角θは、本発明の測定装置に係る所定の角度に対応し、傾斜角θは、例えば0°よりも大きく、15°よりも小さい範囲であり、好ましくは5°~10°程度の角度に設定されている。
【0049】
出側受渡部52は、第1駆動部25の出側に配置されており、ディスク10を第1搬送部24から受け取り、傾斜角θで傾く傾斜姿勢を維持しつつ、X方向に移動する。そして、傾斜角θで傾くディスク10の姿勢を鉛直姿勢に変換してから、第3搬送部36に受け渡す構成を有している。
【0050】
入側受渡部51および出側受渡部52は、ディスク10の姿勢を鉛直姿勢と傾斜姿勢とに変換する機能を、後述する搬送機構とは分離して有している。したがって、搬送機構によって搬送される際に余計な応力がディスク10に発生することを抑制し、ディスク10が測定装置20に置かれた時のディスクの角度を含む姿勢を安定させることができ、平坦度の測定精度を高めることもできる。
【0051】
例えば、鉛直姿勢では自立しているが水平姿勢では自重により撓むような剛性を有する薄さのディスクの場合、ディスクの姿勢を鉛直姿勢から傾斜姿勢に変換した際に、ディスク10に応力が作用し、ディスク10の姿勢が不安定になるおそれがある。これに対し、本実施形態では、入側受渡部51および出側受渡部52において予めディスク10の姿勢変換を済ませておき、同じ姿勢のままディスクをA面測定部23やB面測定部33に渡している。したがって、自重によるたわみの影響を抑制し、A面測定部23やB面測定部33に取付けられたときの被測定物の姿勢を安定させ、より正確な測定を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態において入側受渡部51および出側受渡部52はX方向に移動するように構成されているが、入側受渡部51および出側受渡部52はX方向に移動せず、ディスク10の姿勢を鉛直姿勢と傾斜姿勢とに変換する機能を有する構成のみとしてもよい。受渡部の駆動部によって、ディスク10をX方向に移送することで、特に第1ロボット搬送部21および第2ロボット搬送部31から搬送機構への距離が長い場合に、搬送作業の作業効率を向上させることができる。
【0053】
A面測定部23は、
図5(a)および
図5(b)に示すように、測定部本体61と、支持体62と、センサ63と、振れ止め64と、図示しないセンサ移動機構とを有している。A面測定部23は、測定部本体61の測定基準面61aにディスク10を保持し、測定基準面61aに対向して配置されたセンサ63を測定基準面61aに沿って移動させることによって、ディスク10の表面であるA面の平坦度を測定するように構成されている。
【0054】
測定部本体61には、センサ63を支持して測定基準面61aに沿って移動させるセンサ移動機構が設けられている。測定基準面61aは、A面測定部23によってディスク10の表面の平坦度を測定する際の基準となる面であり、測定基準面61aの平坦度は限りなくゼロに近い値を有している。ディスク10は、B面が測定基準面61aに対向してA面が露出するように支持体62に支持される。
【0055】
支持体62は、ディスク10の貫通孔hに挿入してディスク10を引っ掛けて測定基準面61aに対向して吊り下げた状態で支持するためのものであり、本実施形態では一対のフックにより構成されている。支持体62は、
図6(c)および
図6(d)に示すように、鉛直方向の上方の角に面取り部が形成されており、面取り部とディスク10の貫通孔hの内壁部(ディスクの主面を除く貫通孔の一部)が当接している。即ち、ディスク10は、支持体62の面取り部に掛けられている。
【0056】
振れ止め64は、支持体62によって測定基準面61aにディスク10を支持させた際に、ディスク10の振れを止めて、予め設定された傾斜角θに支持するものであり、測定基準面61aに設けられている。振れ止め64は、
図6(c)および
図6(d)に示すように、鉛直方向の上方の角に面取り部が形成されており、面取り部とディスクの外壁部(ディスクの主面を除く外周端面の一部)が当接する。振れ止め64は、
図6(c)に示す通り、ディスク下部の左右に接するように対をなして設けられている。振れ止め64は、ディスク10が支持体62によって支持されたときのディスク10の姿勢を維持し、安定させることができ、センサ63による平坦度の測定精度を高める機能がある。一対の振れ止め64の間の間隔は、後述する取付用搬送機構71及び取外用搬送機構72がそれぞれ有する保持部80の下部ディスク受け81bが一対の振れ止め64の間を上下に通過できる間隔に設定されている。
【0057】
センサ63は、ディスク10のA面の平坦度を測定することができる公知のセンサにより構成されている。センサ63は、センサ移動機構により測定部本体61の測定基準面61aに沿って平行に移動され、その際に支持体62に掛けられて測定基準面61aに保持されているディスク10のA面の平坦度を測定する。
【0058】
センサとしては、例えば、センサを非接触で移動させながらディスク10のA面の高さ方向の変位量を検出することにより平坦度を高精度に測定することができるレーザー変位センサや、センサを非接触で移動させながら電磁誘導によりコイルを流れる誘導電流の強度を検出することにより平坦度を高精度に測定することができる渦電流変位センサが挙げられる。
【0059】
センサ移動機構は、公知の駆動機構、例えば、図示しない直線的な方向に動力を発するリニアモータを備えている。なお、駆動機構は、直線的な方向に動力を発するものに限定されず、モータなどの回転電機と、回転電機の回転運動を直線運動に変換するタイミングプーリおよびタイミングベルト、ボールねじなどの変換機構とを有する移動機構も含まれる。
【0060】
第1搬送部24は、A面測定部23に対向してディスク10を搬送する際、ディスク10が測定基準面61aに対して平行に搬送する構成を有している。第1搬送部24は、
図3および
図4に示すように、入側受渡部51と出側受渡部52の間をX方向に沿って往復移動してディスク10をシャトル搬送可能な構成を有している。第1搬送部24には、取付用搬送機構71と取外用搬送機構72が取付けられている。取付用搬送機構71と取外用搬送機構72は、ディスク10を保持する保持部81をそれぞれ有している。取付用搬送機構71は、入側受渡部51からディスク10を受け取り、測定部本体61の測定基準面61aにセットし、取外用搬送機構72は、測定部本体61の測定基準面61aからディスク10を取外し、出側受渡部52に受け渡す動作を行う。取付用搬送機構71と取外用搬送機構72は、ディスク10のA面が測定部本体61から離隔する側に露出する向きとなり、ディスク10のB面が測定部本体61に接近する側で対向する向きとなるように、ディスク10を保持して搬送する。
【0061】
保持部81は、
図5(a)、
図6(e)および
図6(f)に示すように、フック部81aと、下部ディスク受け81bと、上部ディスク受け81cと、枠81dとを有している。フック部81aは、ディスク10の貫通孔hに挿入されて貫通孔hの内壁部を引っ掛けて保持する構成を有し、下部ディスク受け81bは、ディスク10の下部を載せて保持する構成を有する。上部ディスク受け81cは、枠81dに固定されており、ディスク10の上部に当接してディスク10の上方への移動を規制する構成を有している。フック部81aと下部ディスク受け81bは、枠81dに対して一体に移動可能に設けられており、不図示の移動手段によってZ方向とY方向に移動されることにより、上部ディスク受け81cと協働してディスク10を保持し、また、解放する。
【0062】
取付用搬送機構71及び取外用搬送機構72は、第1駆動部25の第1搬送部24に一体に固定されており、第1駆動部25の水平移動部91によって第1搬送部24が移動されることによって水平方向、即ち
図4に示すX方向に沿って往復移動される。また、第1駆動部25は、第1搬送部24と水平移動部91との間に、幅方向移動部92を有しており、幅方向移動部92によって第1搬送部24を移動させることによって、取付用搬送機構71及び取外用搬送機構72を測定基準面61aに対して接近又は離隔する垂直方向、即ち、
図5(b)に示すY方向に往復移動させことができるようになっている。
【0063】
取付用搬送機構71は、第1駆動部25の水平移動部91によって、保持部81を入側受渡部51に対向する位置に配置させることができる(
図7(1)を参照)。そして、第1駆動部25の幅方向移動部92によって保持部81をY方向に移動させて、フック部81aをディスク10の貫通孔hに挿入しかつ下部ディスク受け81bをディスク10の下方に配置し、上部ディスク受け81cをディスク10の上部に対向して配置することができる(
図7(2)を参照)。そして、フック部81aと下部ディスク受け81bをZ方向に沿って上昇させ(
図7(3)を参照)、ディスク10を上部ディスク受け81cとの間に挟持し、持ち上げることにより入側受渡部51から受け取り、保持部81に保持することができる(
図7(4)を参照)。
【0064】
そして、取付用搬送機構71は、第1駆動部25の水平移動部91によってX方向に移動され、保持部81を測定基準面61aに対向する位置に配置し、保持部81をY方向に沿って移動させて測定部本体61の測定基準面61aに接近させる。これにより、測定部本体61の支持体62をディスク10の貫通孔hに挿入することができる。そして、フック部81aと下部ディスク受け81bをZ方向に沿って下降させ、保持部81によるディスク10の保持を解除する。これにより、ディスク10は、貫通孔hに支持体62が引っ掛けられてディスク10の下部に振れ止め64を接触させて、測定基準面61aに保持される(
図6(c)、(d)を参照)。
【0065】
取付用搬送機構71は、保持部81に保持していたディスク10を測定部本体61の測定基準面61aに保持させると、第1駆動部25の水平移動部91によって第1搬送部24が出側受渡部52から入側受渡部51に向かって移動され、保持部81が入側受渡部51に対向する位置に配置される。なお、この第1搬送部24が出側受渡部52から入側受渡部51に向かって移動されるタイミングで、センサ63が入側受渡部51側から出側受渡部52側に向かって、あるいは出側受渡部52側から入側受渡部51側に向かって移動され、測定基準面61aに保持されているディスク10のA面の平坦度が測定される。
【0066】
取外用搬送機構72は、取付用搬送機構71と同様に、保持部81を有している。取外用搬送機構72は、第1駆動部25の水平移動部91によってX方向に移動されて取付用搬送機構71の保持部81が入側受渡部51に対向する位置に配置されると、取外用搬送機構72の保持部81が測定基準面61aに対向する位置に配置されるようになっている。
【0067】
取外用搬送機構72は、保持部81が測定基準面61aに対向する位置に配置された状態で、第1駆動部25の幅方向移動部92によって保持部81をY方向に移動させる。そして、測定基準面61aに保持されているディスク10の貫通孔hにフック部81aを挿入しかつ下部ディスク受け81bをディスク10の下方に配置し、上部ディスク受け81cをディスク10の上部に対向して配置する。そして、フック部81aと下部ディスク受け81bをZ方向に沿って上昇させ、ディスク10を上部ディスク受け81cとの間に挟持し、持ち上げることにより測定基準面61aから取外し、保持部81に保持する。
【0068】
そして、取外用搬送機構72は、第1駆動部25の水平移動部91によってX方向に移動され、保持部81を出側受渡部52に対向する位置に配置する。そして、フック部81aと下部ディスク受け81bをZ方向に沿って下降させて、上部ディスク受け81cと協働した保持部81によるディスク10の把持を解除する。これにより、ディスク10は、出側受渡部52に保持される。
【0069】
第1駆動部25は、
図9に示すように、水平移動部91と幅方向移動部92とを有している。水平移動部91は、公知の駆動機構、例えば、直線的な方向に動力を発する図示しないリニアモータを備えている。なお、駆動機構は、直線的な方向に動力を発するものに限定されず、モータなどの回転電機と、回転電機の回転運動を直線運動に変換するタイミングプーリおよびタイミングベルト、ボールねじなどの変換機構とを有するものであってもよい。
【0070】
水平移動部91は、第1搬送部24をX方向に往復移動させるように構成される。そして、幅方向移動部92は、測定基準面61aに対して垂直方向に、すなわち、
図4に示すY方向に保持部81を往復移動させるように構成されている。
【0071】
ディスク10は、
図3に示すように、出側受渡部52から第3搬送部36に受け渡されて、対向する第2受渡部32まで搬送され、第2受渡部32の入側受渡部51に受け渡される。
【0072】
第2受渡部32は、第1受渡部22と同様、入側受渡部51と、出側受渡部52とを有しており、入側受渡部51でディスク10を第3搬送部36から受け取り、出側受渡部52で第2ロボット搬送部31に渡すように構成されている。
【0073】
B面測定部33は、
図3に示すように、A面測定部23に対して、対向して配置されている。B面測定部33は、A面測定部23と同様に、測定部本体61と、支持体62と、センサ63と、振れ止め64と、図示しないセンサ移動機構とを有している。B面測定部33は、測定部本体61の測定基準面61aにディスク10を保持し、測定基準面61aに対向して配置されたセンサ63を測定基準面61aに沿って移動させることによって、ディスク10の裏面であるB面の平坦度を測定する。
【0074】
第2搬送部34は、B面測定部33に対向してディスク10を搬送する際、ディスク10が測定基準面61aに対して平行搬送されるように構成されている。第2搬送部34は、第1搬送部24と同様、入側受渡部51および出側受渡部52の間をX方向に往復移動してディスク10をシャトル搬送可能に構成されており、取付用搬送機構71と取外用搬送機構72が取付けられている。
【0075】
取付用搬送機構71及び取外用搬送機構72は、第2駆動部35の第2搬送部34に一体に固定されており、第2駆動部35の水平移動部91によって第2搬送部34が移動されることによってX方向に往復移動される。また、第2駆動部35は、第2搬送部34と水平移動部91との間に、幅方向移動部92を有しており、幅方向移動部92によって第2搬送部34を移動させることによって、取付用搬送機構71及び取外用搬送機構72をB面測定部33の測定基準面61aに対して接近又は離隔する垂直方向であるY方向に往復移動させことができるようになっている。
【0076】
第3搬送部36は、図示しないディスク保持部と、図示しない搬送駆動部とにより構成されており、ディスク保持部は、第1ロボット搬送部21のディスク保持部43と同様に構成されている。第3搬送部36は、出側受渡部52から鉛直姿勢のディスク10を受け取り、ディスク保持部で鉛直姿勢を維持しつつ保持し、第2受渡部32の入側受渡部51にディスク10を渡す構成を有している。
【0077】
第3搬送部36の搬送駆動部は、
図3に示すように、第3搬送部36のディスク保持部をY方向に往復移動させる構成を有している。
【0078】
制御部は、演算処理を行う中央処理装置および制御プログラムを格納したメモリを備え、測定装置20を構成する各構成要素の動作、即ち第1ロボット搬送部21からディスク10を受け取って、ディスク10のA面およびB面の平坦度を測定し、測定が終了したディスク10を第2ロボット搬送部31へ渡すまでの各動作を制御するように構成されている。
【0079】
次いで、本実施形態に係る測定装置20の動作について、図面を参照して説明する。
なお、測定装置20の各構成要素の動作は、制御部により制御されているので、主に各構成要素の動作について説明し、各構成要素の各動作が制御部により制御されていることの説明については省略する。測定装置20の各構成要素の動作は全て自動的に行われる。
【0080】
測定装置20は、まず、A面測定部23によりディスク10のA面の平坦度を測定し、次いでB面測定部33によりディスク10のB面の平坦度を測定する。
【0081】
(A面の平坦度の測定)
測定装置20においては、まず、
図3に示す第1ロボット搬送部21のディスク保持部43により所定の場所のディスク10が
図6(a)および
図6(b)に示す鉛直姿勢で保持され、所定の場所からX方向、Y方向およびZ方向に移動して第1受渡部22の入側受渡部51まで搬送される。
【0082】
搬送されたディスク10は、
図8(a)に示すように、ディスク保持部43から第1受渡部22の入側受渡部51に渡され、渡された際にディスク10は、例えば鉛直方向から5°傾けられた傾斜姿勢に変換されて第1受渡部22の入側受渡部51に保持される。
【0083】
次いで、入側受渡部51が、
図8(b)に示すように、水平移動部91によりX方向に移動され、第1搬送部24の取付用搬送機構71に到達し、ディスク10が、入側受渡部51から取付用搬送機構71の保持部81に渡される。このとき、渡されたディスク10は、傾斜姿勢が維持される。
【0084】
次いで、第1搬送部24が水平移動部91によりX方向に移動され、取付用搬送機構71の保持部81が、
図8(c)および
図9(a)に示すように、A面測定部23の測定基準面61aに対向する位置に配置される。それから、取付用搬送機構71の保持部81は、
図9(a)に示す位置から矢印aで示すZ方向に一端上昇し、そのまま
図9(b)に示すようにY方向に沿って測定基準面61aに近接する方向に移動し、支持体62がディスク10の貫通孔hに挿入される位置にディスク10を配置させる。
【0085】
停止後、取付用搬送機構71の保持部81は、Z方向に沿って下降し、ディスク10を支持体62に掛けることによりディスク10を測定基準面61aに保持させる。次いで、取付用搬送機構71は、第1搬送部24が幅方向移動部92によりY方向に移動され、測定基準面61aから離隔して、
図9(a)に示す位置に戻る。そして、
図10(a)に示すように、第1搬送部24が水平移動部91によりX方向に移動され、取外用搬送機構72の保持部81が、A面測定部23の測定基準面61aに対向する位置に配置される。
【0086】
取付用搬送機構71が
図10(a)に示す位置に戻る際に、A面測定部23のセンサ63が、センサ移動機構により移動されて、
図5(a)に示す矢印a方向に移動され、ディスク10のA面の上を通過する。センサ63がディスク10のA面の上を通過することにより、A面の平坦度が測定される。なお、
図5(a)に示す例では、センサ63が保持部81よりも入側受渡部51に偏った位置に待機している状態から矢印a方向に移動する場合について説明したが、センサ63が保持部81よりも出側受渡部52に偏った位置に待機している場合には、矢印a方向とは反対向きの方向に移動することによって平坦度が測定される。
【0087】
第1駆動部25によって取外用搬送機構72の保持部81がA面測定部23の測定基準面61aの支持体62に対向する位置に配置され、かつセンサ63によるA面の平坦度測定が完了すると、取外用搬送機構72の保持部81は、
図9(a)および
図9(b)に示す取付用搬送機構71と同様に、幅方向移動部92によってY方向に沿って測定基準面61aに接近する方向に移動される。そして、フック部81aがディスク10の貫通孔hに挿入され、下部ディスク受け81bがディスク10の下方に配置され、上部ディスク受け81cがディスク10の上部に対向する位置に配置される。
【0088】
そして、取外用搬送機構72の保持部81は、フック部81aと下部ディスク受け81bをZ方向に沿って上昇させ、ディスク10を上部ディスク受け81cとの間に挟持し、持ち上げることにより測定基準面61aから取外して保持する。そして、保持部81をZ方向に上昇させることで支持体62からディスク10を取外し、Y方向に沿って測定基準面61aから離隔する方向に移動し、さらにZ方向に下降させて、取付用搬送機構71の保持部81と同様、
図9(a)に示す位置に戻って停止させる。
【0089】
この状態で、ディスク10は、取外用搬送機構72の保持部81に傾斜姿勢で保持されている。さらに、取付用搬送機構71の保持部81と取外用搬送機構72の保持部81は、次に測定するディスク10の取付け準備と、測定を終了したディスク10の取外しとを、同時に行うことで多数のディスク10を連続測定する際、搬送効率を向上させる機能を有している。
【0090】
次いで、第1搬送部24の取付用搬送機構71および取外用搬送機構72が水平移動部91によりX方向に沿って出側受渡部52に近接する方向に移動され、
図10(b)に示すように、第1搬送部24の取外用搬送機構72の保持部81が、出側受渡部52に対向する位置に停止される。そして、ディスク10が、取外用搬送機構72の保持部81から出側受渡部52に渡される。この状態でも、ディスク10は、出側受渡部52に傾斜姿勢で保持されている。
【0091】
続いて、出側受渡部52は、
図10(c)に示すように、取外用搬送機構72から離隔する方向に移動して停止する。このとき、ディスク10は、傾斜姿勢から鉛直姿勢に変換される。そして、
図3に示すように、ディスク10が、出側受渡部52から第3搬送部36の図示しないディスク保持部に渡される。
【0092】
第3搬送部36は図示しない搬送駆動部により、Y方向で出側受渡部52から離隔する方向に移動し、B面を測定するB面測定部33側の入側受渡部51に到達する。そして、ディスク10は、第3搬送部36のディスク保持部からB面測定部33側の入側受渡部51に渡される。
【0093】
(B面の平坦度の測定)
B面の測定は、A面の測定と同様に行われるが、A面測定部23と、B面測定部33とは互いに対向して配置されているので、第1搬送部24によるディスク10の搬送方向と、第2搬送部34によるディスク10の搬送方向とは、互いに逆方向に搬送される。しかしながら、ディスク10自体は、第1ロボット搬送部21の搬送開始から、第1搬送部24、第3搬送部および第2搬送部34を経て、第2ロボット搬送部31の搬送が完了するまでの間、一方向に搬送される。
【0094】
B面の測定においては、まず、
図3に示すように、B面測定部33側の入側受渡部51は、第2搬送部34からディスク10を受け取ると、例えば鉛直方向から5°傾けられた傾斜姿勢に変換する。そして、第2駆動部35の出側に向かってX方向に移動して、第2搬送部34の取付用搬送機構71に渡す。ディスク10は、鉛直方向から5°傾けられた傾斜姿勢が維持されたまま、入側受渡部51から第2搬送部34の取付用搬送機構71の保持部81に渡される。
【0095】
次いで、第2搬送部34が第2駆動部35の出側に向かってX方向に移動され、取付用搬送機構71の保持部81が、B面測定部33の測定基準面61aに設けられている支持体62に対向する位置に停止する。そして、取付用搬送機構71の保持部81は、Z方向に一端上昇し、そのままY方向に沿って支持体62に近接する方向に移動し、支持体62がディスク10の貫通孔hに挿入された位置で停止する。
【0096】
停止後、取付用搬送機構71の保持部81は下降し、ディスク10を支持体62に掛けることによりディスク10を支持体62に取付ける。次いで、取付用搬送機構71は、Y方向に沿って測定基準面61aから離隔する方向に移動し、元の位置に戻る。そして、第2搬送部34が第2駆動部35の入側に向かってX方向に移動され、取外用搬送機構72の保持部81が、B面測定部33の測定基準面61aに対向する元の位置に戻る。
【0097】
取付用搬送機構71が元の位置に戻る際に、B面測定部33のセンサ63が、センサ移動機構により移動されて、ディスク10のB面の上を通過する。センサ63がディスク10のB面の上を通過することにより、B面の平坦度が測定される。
【0098】
第2駆動部35によって取外用搬送機構72の保持部81がB面測定部33の測定基準面61aの支持体62に対向する位置に配置され、かつセンサ63によるB面の平坦度測定が完了すると、取付用搬送機構71の保持部81は、幅方向移動部92によってY方向に沿って測定基準面61aに接近する方向に移動される。そして、フック部81aがディスク10の貫通孔hに挿入され、下部ディスク受け81bがディスク10の下方に配置され、上部ディスク受け81cがディスク10の上部に対向する位置に配置される。
【0099】
そして、取外用搬送機構72は、保持部81をZ方向に上昇させることで支持体62からディスク10を取外し、Y方向に沿って測定基準面61aから離隔する方向に移動し、さらにZ方向に下降させて、元の位置に戻って停止する。この状態で、ディスク10は、取外用搬送機構72の保持部81に傾斜姿勢で保持されている。
【0100】
次いで、第2搬送部34が第2駆動部35の出側に向かってX方向に移動され、取外用搬送機構72の保持部81が、出側受渡部52に対向する位置に停止される。そして、ディスク10が、取外用搬送機構72の保持部81から出側受渡部52に渡される。この状態で、ディスク10は、出側受渡部52に傾斜姿勢で保持されている。
【0101】
続いて、出側受渡部52は、取外用搬送機構72から離隔する方向に移動して停止する。そして、
図3に示すように、ディスク10が、出側受渡部52から第2ロボット搬送部31のディスク保持部43に渡される。
【0102】
このとき、ディスク10は、傾斜姿勢から鉛直姿勢に変換され、第2ロボット搬送部31が、ディスク10を所定の場所に搬送する。続いて、第1ロボット搬送部21が搬送を開始してから第2ロボット搬送部31が搬送を終了するまでの動作が繰り返し行われ、全てのディスク10のA面およびB面の平坦度の測定が完了すると、測定装置20の動作が終了する。
【0103】
以下、本実施形態に係る測定装置20の効果について説明する。
(1)本実施形態に係る測定装置20は、ディスク10のA面測定部23およびB面測定部33と、第1搬送部24と第2搬送部34とを備えている。A面測定部23およびB面測定部33は、鉛直方向から傾斜角θ°傾いている測定基準面61aを有し、第1搬送部24と第2搬送部34は、ディスク10が測定基準面61aに対して平行になるようにディスク10を保持する保持部81を有している。保持部81は、ディスク10が傾斜角θ°傾いている傾斜姿勢を維持したまま、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを行うように構成されている。
【0104】
本実施形態に係る測定装置20は、A面測定部23およびB面測定部33が、鉛直方向から傾斜角θ°傾いている測定基準面61aを有し、ディスク10は、測定基準面61aに沿って支持される。その結果、従来の測定装置における問題、即ち、ディスクが測定台に水平に保持されたことによるディスクのたわみを効果的に抑制でき、平坦度をより正確に測定することができるという効果が得られる。
【0105】
また、保持部81は、ディスク10が傾斜角θ°傾いている傾斜姿勢を維持したまま、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを行うように構成されている。その結果、傾斜姿勢を高い精度で保持し、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを円滑に行うことができるという効果が得られる。さらに、自重によるたわみの影響を抑制し、測定装置に置かれたときの被測定物の姿勢を安定させることができる。
【0106】
また、第1実施形態に係る測定装置20は、第1ロボット搬送部21および第2ロボット搬送部31を含んで構成されており、第1ロボット搬送部21からディスク10が搬送されてから第2ロボット搬送部31で搬送されるまでの間は、自動的にディスク10を測定するので、多数のディスク10を比較的に速やかに測定することができるという効果が得られる。
【0107】
(2)本実施形態に係る測定装置20は、第1搬送部24が取付用搬送機構71と、取外用搬送機構72とを有している。そして、取付用搬送機構71によりディスク10がA面測定部23またはB面測定部33に取付けられ、取外用搬送機構72により、ディスク10がA面測定部23またはB面測定部33から取外される。その結果、ディスク10を迅速に搬送することができるとともに、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを円滑に行うことができ、効率よく搬送することができるという効果が得られる。
【0108】
(3)本実施形態に係る測定装置20は、第1搬送部24が、A面測定部23に対向してディスク10を搬送する際、および第2搬送部34が、B面測定部33に対向してディスク10を搬送する際、ディスク10が測定基準面61aに対して平行に搬送されるように構成されている。その結果、ディスク10に対して余計な応力が発生することなく、効率よく多くのディスク10を搬送することができるという効果が得られる。
【0109】
(4)本実施形態に係る測定装置20は、A面測定部23およびB面測定部33が、互いに対向して配置されているので、測定装置20の構成要素の配置スペースが小さくなり、測定装置20のコンパクト化を図ることができるという効果が得られる。
【0110】
(5)本実施形態に係る測定装置20は、第1搬送部24がA面測定部23に対向して配置され、第2搬送部34がB面測定部33に対向して配置され、第1搬送部24の搬送方向と第2搬送部34の搬送方向とが互いに逆方向になるように構成されている。その結果、第1搬送部24およびA面測定部23と、第2搬送部34およびB面測定部33との各配置スペースが小さくなり、測定装置20のコンパクト化を図ることができるという効果が得られる。
【0111】
(6)本実施形態に係る測定装置20は、ディスク10が鉛直方向に沿って位置する鉛直姿勢とディスク10の鉛直方向から傾斜角θ°度傾いて位置する傾斜姿勢との間で、鉛直姿勢と傾斜姿勢とを変換する第1受渡部22および第2受渡部32を有している。その結果、第1ロボット搬送部21から搬送された鉛直姿勢のディスク10を第1受渡部22で円滑に傾斜姿勢にすることができ、傾斜姿勢で搬送されたディスク10を第2受渡部32で円滑に鉛直姿勢に変換している。すなわち、搬送部で傾斜姿勢に変換する過程が不要となり、ディスク10に発生する余計な応力を抑制し、測定装置に置かれた時の被測定物の姿勢を安定させることができるという効果が得られる。
【0112】
(7)本実施形態に係る測定装置20は、第1搬送部24を駆動する水平移動部91を有し、第1駆動部25は、測定部本体61よりも鉛直方向で下方に配置されている。この構成により、第1駆動部25から発生した細かな発塵物はそのまま下方に落下し、第1駆動部25の上方に位置する測定部本体61には付着し難くなる。したがって、発塵物により測定部本体61が汚染されるリスクが減少する。
【0113】
(8)本実施形態に係る測定装置20は、第1搬送部24は、水平方向および測定基準面に対して垂直方向に往復移動可能に構成されているので、効率的かつ迅速にディスク10を搬送し、A面測定部23の支持体62に掛けることができるという効果が得られる。また、第1搬送部24は、ディスク10を主面の向きを測定基準面側に維持したまま測定装置の入側から出側まで搬送するので、無駄なく多数のディスク10を迅速に測定し、ディスク10を搬送することができるという効果が得られる。
【0114】
(9)本実施形態に係る測定装置20は、ディスク10が板厚方向に貫通する貫通孔を有し、取付用搬送機構71および取外用搬送機構72の保持部81は、貫通孔の内壁部を保持するので、傾斜姿勢のディスク10を余計な応力を発生させることなく安定して保持することができるという効果が得られる。
【0115】
(10)本実施形態に係る測定装置20は、測定基準面61aにディスク10を支持する支持体62と、支持体62に支持されたディスク10に当接する振れ止め64を有している。その結果、支持体62に支持されたディスク10の振れを抑制し、ディスク10の姿勢を維持し、安定させることでセンサ63による平坦度の測定精度を高めることができるという効果が得られる。
【0116】
なお、第1実施形態に係る測定装置20においては、A面測定部23と、B面測定部33を互いに対向して配置した構造で構成した場合について説明した。しかしながら、本発明に係る測定装置においては、A面測定部23と、B面測定部33を互いに対向して配置した構造以外の構造で構成するようにしてもよい。
【0117】
例えば、A面測定部23とB面測定部33を向きが同じ方向で並列に配置した構造で構成した測定装置20Aであってもよく、A面測定部23とB面測定部33を向きが異なる方向で並列に配置した構造で構成した測定装置20Bであってもよい。
【0118】
また、本実施形態では、測定装置20がA面測定部23とB面測定部33の両方を有する構成の場合を例に説明したが、いずれか一方だけでもよく、A面測定部23とB面測定部33の少なくとも一方だけ有していてもよい。
【0119】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係る測定装置20Aについて図面を参照して説明する。
第2実施形態に係る測定装置20Aは、
図11に示すように、第1実施形態に係る測定装置20と異なり、A面測定部23と、B面測定部33とが同じ向きで並列に配置されている。なお、第1実施形態に係る測定装置20と同様の構成要素には、第1実施形態に係る測定装置20と同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0120】
第2実施形態に係る測定装置20Aは、A面測定ユニット11と、B面測定ユニット12と、表裏反転機構13とを備えている。測定装置20Aは、A面測定ユニット11によりディスク10のA面の平坦度を測定し、表裏反転機構13でディスク10の表裏を反転させ、B面測定ユニット12によりディスク10のB面の平坦度を測定する構成を有する。
【0121】
A面測定ユニット11は、入側受渡部51と、第1搬送部24と、A面測定部23と、水平移動部91とを備えている。B面測定ユニット12は、B面測定部33と、第2搬送部34と、出側受渡部52とを備えている。
【0122】
表裏反転機構13は、図示しない公知の反転機構で構成されている。表裏反転機構13は、ディスク10のA面がA面測定部23の測定基準面61aに対向する姿勢でA面測定ユニット11からディスク10を受け取ると、ディスク10のB面がB面測定部33の測定基準面61aに対向する姿勢になるように、ディスク10の姿勢を維持してB面測定ユニット12に渡す構成を有している。ディスク10は、表裏反転機構13によりディスク10のA面とB面が反転される。
【0123】
次いで、第2実施形態に係る測定装置20Aの動作について図面を参照して説明する。第1実施形態に係る測定装置20と同一の符号が付された構成要素の動作は測定装置20の構成要素と同様に動作するので簡単に説明する。
【0124】
測定装置20Aにおいては、まず、
図11に示す入側受渡部51でディスク10を受け取るとディスク10が傾斜姿勢に変換され、ディスク10が傾斜姿勢のまま、水平移動部91によりX方向で第1搬送部24に近接する方向に移動し第1搬送部24にディスクを渡す位置で停止する。
【0125】
ディスク10の停止後、傾斜姿勢のまま、ディスク10が第1搬送部24の取付用搬送機構71の保持部81に渡され、取付用搬送機構71が水平移動部91により移動されて、ディスク10がA面測定部23の支持体62に掛けられる。続いて、センサ63が移動してディスク10のA面の平坦度が測定される。そして、取外用搬送機構72により支持体62からディスク10が取外され、取外用搬送機構72が水平移動部91により移動して、表裏反転機構13にディスク10を渡す位置で停止する。
【0126】
ディスク10の停止後、ディスク10は、表裏反転機構13に渡され、ディスク10の表裏が反転される。表裏反転機構13は、ディスク10を反転させると、ディスク10の傾斜姿勢をB面測定部33側に傾斜する姿勢に変更する。これにより、ディスク10の傾斜姿勢は、表裏反転機構13に渡される前と同じ方向に傾斜した姿勢に維持される。
【0127】
表裏が反転されたディスク10は、第2搬送部34の取付用搬送機構71の保持部81に傾斜姿勢を維持したまま渡される。ディスク10は、取付用搬送機構71により、B面測定部33の支持体62に掛けられる。
【0128】
続いて、センサ63が移動してディスク10のB面の平坦度が測定される。そして、取外用搬送機構72により支持体62からディスク10が取外され、取外用搬送機構72が水平移動部91により移動して、次の搬送工程に渡す位置で停止する。
【0129】
以下、第2実施形態に係る測定装置20Aの効果について説明する。測定装置20Aは、第1実施形態に係る測定装置20と同様に構成され、動作も測定装置20と同様に行われるので、測定装置20Aは、測定装置20と同様の効果が得られる。
【0130】
即ち、第2実施形態に係る測定装置20Aは、従来の測定装置におけるディスクのたわみ発生の問題が解消されるという効果が得られる。また、ディスク10にたわみが発生するおそれがないので、平坦度をより正確に測定することができる。
【0131】
また、第2実施形態に係る測定装置20Aの第1搬送部24の保持部81は、ディスク10が傾斜角θ°傾いている傾斜姿勢を維持したまま、ディスク10を保持して鉛直方向に移動し、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを行うように構成されている。その結果、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを円滑に行うことができるという効果が得られる。さらに、自重によるたわみの影響を抑制し、測定装置に置かれたときの被測定物の姿勢を安定させることができる。
【0132】
なお、第2実施形態に係る測定装置20Aにおいて、表裏反転機構13が、ディスク10の表裏を反転させ、ディスク10の傾斜姿勢を変換せず、ディスク10をA面測定部23に向けて、A面測定ユニット11の第1搬送部24に渡すようにして、A面測定部23により、ディスク10のB面の平坦度を測定するように構成してもよい。この構成により、B面を測定するB面測定ユニット12が不要となり、構成が簡素化されるという効果が得られる。
【0133】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る測定装置20Bは、
図12に示すように、第1実施形態に係る測定装置20と第2実施形態に係る測定装置20Aと異なり、A面測定部23と、B面測定部33とが異なる向きで並列に配置されている。第1実施形態に係る測定装置20と同様の構成要素には、第1実施形態に係る測定装置20と同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0134】
第3実施形態に係る測定装置20Bは、
図12に示すように、A面測定ユニット11と、B面測定ユニット12と、傾斜変換機構14とを備えている。測定装置20Bは、A面測定ユニット11によりディスク10のA面の平坦度を測定し、傾斜変換機構14でディスク10の傾斜姿勢を変換し、B面測定ユニット12によりディスク10のB面の平坦度を測定する構成を有している。
【0135】
A面測定ユニット11は、入側受渡部51と、第1搬送部24と、A面測定部23と、水平移動部91とを有している。B面測定ユニット12は、B面測定部33と、第2搬送部34と、出側受渡部52とを有している。A面測定部23とB面測定部33は、水平移動部91の移動方向に対して幅方向一方側である右側と幅方向他方側である左側とに分かれて配置される。
【0136】
傾斜変換機構14は、入側受渡部14aと、出側受渡部14bと、図示しない公知の変換機構で構成されている。変換機構は、ディスク10のA面がA面測定部23の測定基準面に平行に対向する姿勢でA面測定ユニット11からディスク10を受け取る。そして、ディスク10のB面がB面測定部33に平行に対向する姿勢になるようにディスク10の姿勢を変換してB面測定ユニット12に渡すように構成されている。
【0137】
次いで、第3実施形態に係る測定装置20Bの動作について図面を参照して説明する。第1実施形態に係る測定装置20と同一の符号が付された構成要素の動作は測定装置20の構成要素と同様に動作するので簡単に説明する。
【0138】
測定装置20Bにおいては、まず、入側受渡部51でディスク10を受け取るとディスク10がA面測定部23側に傾斜した傾斜姿勢に変換される。そして、ディスク10が傾斜姿勢のまま、入側受渡部51がX方向に沿って第1搬送部24に近接する方向に移動し、第1搬送部24にディスク10を渡す位置で停止する。
【0139】
ディスク10の停止後、傾斜姿勢のまま、第1搬送部24の取付用搬送機構71の保持部81に渡され、取付用搬送機構71が水平移動部91により移動して、ディスク10がA面測定部23の支持体62に掛けられる。続いて、センサ63が移動してディスク10のA面の平坦度が測定される。そして、取外用搬送機構72により支持体62からディスク10が取外され、取外用搬送機構72が水平移動部91により移動して、傾斜変換機構14の入側受渡部14aにディスク10を渡す位置で停止する。
【0140】
ディスク10の停止後、ディスク10は、傾斜変換機構14の入側受渡部14aに渡され、ディスク10の傾斜が反対側への傾斜に変換される。つまり、A面測定部23側に傾いた傾斜姿勢からB面測定部33側に傾いた傾斜姿勢に変換される。そして、ディスク10は、傾斜変換機構14の出側受渡部14bに搬送される。ディスク10は、出側受渡部14bで取付用搬送機構71に渡され、取付用搬送機構71により、B面測定部33の支持体62に掛けられる。
【0141】
続いて、センサ63が移動してディスク10のB面の平坦度が測定される。そして、取外用搬送機構72により支持体62からディスク10が取外され、取外用搬送機構72が水平移動部91により移動して、次の搬送工程に渡す位置で停止する。
【0142】
以下、第3実施形態に係る測定装置20Bの効果について説明する。
測定装置20Bは、測定装置20Aおよび第1実施形態に係る測定装置20と同様に構成され、動作も測定装置20と同様に行われるので、測定装置20Bは、測定装置20と同様の効果が得られる。
【0143】
即ち、第3実施形態に係る測定装置20Bは、従来の測定装置におけるディスクのたわみ発生の問題が解消されるという効果が得られる。また、ディスク10にたわみが発生するおそれがないので、平坦度をより正確に測定することができる。
【0144】
また、第3実施形態に係る測定装置20Bの第1搬送部24の保持部81は、ディスク10が傾斜角θ°傾いている傾斜姿勢を維持したまま、ディスク10を保持して鉛直方向に移動し、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを行うように構成されている。その結果、ディスク10のA面測定部23またはB面測定部33への取付けおよび取外しを円滑に行うことができるという効果が得られる。さらに、自重によるたわみの影響を抑制し、測定装置に置かれたときの被測定物の姿勢を安定させることができる。
【0145】
以上、本発明の第1実施形態~第3実施形態について詳述したが、本発明は、前記の第1実施形態~第3実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
特に、上述の各実施形態では、本発明に係る測定装置が被測定物を測定する測定装置に使用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被測定物を検査する検査装置や、検査後に良品と不良品に仕分ける仕分装置として使用することもできる。
【符号の説明】
【0146】
10・・・ディスク(被測定物)
11・・・A面測定ユニット
12・・・B面測定ユニット
13・・・表裏反転機構
14・・・傾斜変換機構
14a、51・・・入側受渡部(受渡部)
14b、52・・・出側受渡部(受渡部)
20、20A、20B・・・測定装置
21・・・第1ロボット搬送部
22・・・第1受渡部(受渡部)
23・・・A面測定部(測定手段、第1測定手段)
24・・・第1搬送部(搬送手段、第1搬送手段)
25・・・第1駆動部(駆動手段)
31・・・第2ロボット搬送部
32・・・第2受渡部(受渡部)
33・・・B面測定部(測定手段、第2測定手段)
34・・・第2搬送部(搬送手段、第2搬送手段)
35・・・第2駆動部(駆動手段)
36・・・第3搬送部
41、42・・・アーム
43・・・ディスク保持部
43a・・・上部ディスク受け
43b・・・溝付フック
61・・・測定部本体
61a・・・測定基準面
61b・・・支持部
62・・・支持体
63・・・センサ
64・・・振れ止め
71・・・取付用搬送機構(第1取付用搬送部)
72・・・取外用搬送機構(第2取外用搬送部)
81・・・保持部
81a・・・フック部(保持部)
81b・・・下部ディスク受け(保持部)
81c・・・上部ディスク受け(保持部)
81d・・・枠
91・・・水平移動部(搬送駆動部)
92・・・幅方向移動部
θ・・・傾斜角(所定の角度)