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特開2022-126554分析装置管理システムおよびプログラム
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  • 特開-分析装置管理システムおよびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126554
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】分析装置管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021024706
(22)【出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】中谷 嵩之
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GE10
2G058HA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の分析装置を用いた分析処理を実行可能なシステムにおいて、個々の分析装置の状態を把握可能な機能を提供することである。
【解決手段】分析装置管理システム10は、1または複数の分析装置6を管理するシステムであって、各分析装置6と一対一で対応し、対応している分析装置6の状態情報を管理するモジュールJを生成する第1生成部105と、モジュールJを記憶する記憶装置16と、1または複数の分析装置6を使用する分析実行要求を受け付ける受付部101と、分析実行要求を受け付けた1または複数の分析装置6に対応する1または複数のモジュールJの状態情報を更新する状態管理部102とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の分析装置を管理するシステムであって、
各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する第1生成部と、
前記モジュールを記憶する記憶部と、
前記1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける受付部と、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの前記状態情報を更新する状態管理部と、
を備える分析装置管理システム。
【請求項2】
前記1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する第2生成部、
をさらに備え、
前記記憶部が前記仮想装置を記憶している、請求項1に記載の分析装置管理システム。
【請求項3】
前記受付部は、前記仮想装置を選択した前記分析実行要求を受け付ける、請求項2に記載の分析装置管理システム。
【請求項4】
前記モジュールは、各分析装置が備える消耗品の使用情報を管理しており、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する前記1または複数のモジュールの使用情報を更新する消耗品管理部、
をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の分析装置管理システム。
【請求項5】
前記1または複数のモジュールの前記状態情報を参照することにより、前記状態管理部において、少なくとも1つの分析装置が実行不可であると判断される場合には、実行不可メッセージを提示する提示部、
をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の分析装置管理システム。
【請求項6】
前記1または複数のモジュールの前記使用情報を参照することにより、前記消耗品管理部において、少なくとも1つの分析装置の少なくとも1つの前記消耗品が使用不可であると判断される場合には、実行不可メッセージを提示する提示部、
をさらに備える、請求項4に記載の分析装置管理システム。
【請求項7】
1または複数の分析装置を管理するプログラムであって、
各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する処理、
前記1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける処理、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの前記状態情報を更新する処理、
をコンピュータに実行させる、分析装置管理プログラム。
【請求項8】
前記1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する処理、をさらにコンピュータに実行させる、請求項7に記載の分析装置管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置の管理システムおよびその管理システムを実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフや質量分析装置などの分析装置を管理する管理システムがある。管理システムは、分析装置の機種名、シリアル番号などの情報、分析装置の状態情報、および、分析装置が備える消耗品の使用情報などを管理する。ユーザは、管理システムを利用することで、所望の分析処理を実行可能な分析装置を探すことや、分析装置の使用率などの統計的な情報を得ることができる。
【0003】
管理システムが分析装置を管理する方法としては、分析装置を単体で管理する方法、および、複数台の分析装置を1つの仮想装置として管理する方法がある。前者の管理方法では、複数の分析装置を必要とする分析処理を行うとき、ユーザは、個々に管理された分析装置の情報から、分析装置間の接続方法、連携方法などを検討し、分析処理が実行可能か否かを判断する必要がある。後者の管理方法では、複数の分析装置を必要とする分析処理を行うとき、ユーザは、仮想装置の情報を参照することで、複数の分析装置を一体的に操作することができる。下記特許文献1は、複数の分析装置に関連したファイルを管理するデータ管理サーバを利用したネットワーク型分析装置システムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-148992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、複数台の分析装置の組み合わせを管理する方法は、複数の分析装置を必要とする分析処理を実行可能な装置を見つける上で有益である。一方で、この管理方法は、個々の分析装置の状態を把握することが難しいという課題がある。例えば、異なる2つの仮想装置が1つの分析装置を共有している場合、共有されている分析装置の状態や消耗品の使用状況などを正確に把握することができないという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、複数の分析装置を必要とする分析処理を実行可能な装置の探索を可能としながら、個々の分析装置の状態を把握可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に従う分析装置管理システムは、1または複数の分析装置を管理するシステムであって、各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する第1生成部と、モジュールを記憶する記憶部と、1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける受付部と、分析実行要求を受け付けた1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの状態情報を更新する状態管理部とを備える。
【0008】
分析装置管理システムは、1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する第2生成部を備えていてもよい。
【0009】
本発明の他の局面に従う分析装置管理プログラムは、1または複数の分析装置を管理するプログラムであって、各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する処理、1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける処理、分析実行要求を受け付けた1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの状態情報を更新する処理をコンピュータに実行させる。
【0010】
分析装置管理プログラムは、1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する処理をさらにコンピュータに実行させてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の分析装置を用いた分析処理を実行可能なシステムにおいて、個々の分析装置の状態を把握可能な機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る分析装置管理システムを含む分析システムの全体図である。
図2】本実施の形態に係る管理装置の構成図である。
図3】本実施の形態に係る管理装置を示す機能ブロック図である。
図4】本実施の形態に係る分析装置の管理方法を示すフローチャートである。
図5】分析実行要求により指定される仮想装置とモジュールとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る分析装置管理システムおよびプログラムについて説明する。
【0014】
(1)分析システムの全体構成
図1は、本実施の形態に係る分析装置管理システム10を備える分析システムの全体図である。分析システムは、管理装置1、端末5A,5Bおよび分析装置6X,6Y,6Zを備える。管理装置1、端末5A,5Bおよび分析装置6X,6Y,6Zは、ネットワーク7に接続される。管理装置1および端末5A,5Bにより分析装置管理システム10が構成される。以下、端末5A,5Bを総称して、適宜、端末5と呼ぶ。また、分析装置6X,6Y,6Zを総称して、適宜、分析装置6と呼ぶ。
【0015】
管理装置1、端末5A,5Bとして、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)が利用される。分析装置6X~6Zは、例えば、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフおよび質量分析装置などである。ネットワーク7は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)である。
【0016】
管理装置1は、分析装置管理システム10においてサーバとしての役割を有する。ユーザは、端末5を操作することで、ネットワーク7経由で管理装置1にアクセスし、分析装置管理システム10の各種機能を利用することができる。あるいは、ユーザは、管理装置1を直接操作することで、分析装置管理システム10の各種機能を利用することができる。
【0017】
分析装置管理システム10は、分析装置6をシステム上で仮想装置として管理する。図1で示す例では、分析装置6Xと分析装置6Yの組み合わせが、仮想装置である装置Pとして管理される。分析装置6Yと分析装置6Zの組み合わせが、仮想装置である装置Qとして管理される。分析装置6Zは、仮想装置である装置Rとして、単体の分析装置として管理される。
【0018】
(2)管理装置の構成
次に、図2を参照しながら管理装置1の構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る管理装置1の構成図である。管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、入力部14、モニタ15、記憶装置16、通信部17およびデバイスインタフェース18を備える。CPU11,RAM12,ROM13、入力部14、モニタ15、記憶装置16、通信部17およびデバイスインタフェース18は、バス19に接続される。
【0019】
入力部14は、キーボードまたはマウスなどの入力装置を含む。記憶装置16は、例えば、ハードディスクなどの記憶媒体である。記憶装置16には、管理プログラムP1および管理データD1が記憶される。CPU11は、RAM12を作業領域として使用しつつ、管理プログラムP1を実行することで、本実施の形態の分析装置管理方法を実行する。
【0020】
通信部17は、ネットワーク7を経由したデータの送受信を行う。管理装置1は、通信部17を利用して、端末5との間で通信処理を実行する。デバイスインタフェース18は、外部デバイスとのインタフェースである。CPU11は、デバイスインタフェース18を介して、記憶媒体M1にアクセスすることが可能である。記憶媒体M1は、例えば、CD-ROM,DVD-ROMまたはDVD-RAMなどである。
【0021】
(3)管理装置の機能構成
次に、管理装置1の機能構成について説明する。図3は、本実施の形態に係る管理装置1を示す機能ブロック図である。図3に示すように、管理装置1は制御部100を備える。制御部100は、図2に示すCPU11がRAM12を作業領域として利用しつつ管理プログラムP1を実行することで実現する機能部である。制御部100は、受付部101、状態管理部102、消耗品管理部103、提示部104、第1生成部105および第2生成部106を備える。
【0022】
記憶装置16には、モジュールJX,JY,JZが記憶される。モジュールJX,JY,JZは、分析装置6X,6Y,6Zに対応して1対1で生成されたデータ構造である。モジュールJX,JY,JZは、管理プログラムP1が管理データD1を参照しつつ実行されることによって生成されるデータ構造である。以下、モジュールJX,JY,JZを総称して、適宜、モジュールJと呼ぶ。モジュールJは、分析装置6に関する状態情報および使用情報を含んでいる。分析装置6の状態情報として、分析装置6のステータス、例えば、分析可能、分析中、準備中、エラーなどのステータスがモジュールJに設定される。分析装置6の使用情報として、分析装置6が備える全ての消耗品の使用回数、残り実行可能回数などの情報がモジュールJに設定される。そのほか、モジュールJには、分析装置6の使用率、故障率などの統計情報が設定される。モジュールJに設定されるこれらの情報は、管理データD1に記録されている。
【0023】
受付部101は、通信部17を介して端末5から送信された分析実行要求を受け付ける。状態管理部102は、受付部101が受け付けた分析実行要求に基づいて、モジュールJに設定された状態情報の参照および状態情報の更新処理を実行する。消耗品管理部103は、受付部101が受け付けた分析実行要求に基づいて、モジュールJに設定された使用情報の参照および使用情報の更新処理を実行する。提示部104は、受付部101が受け付けた分析実行要求が実行不可の場合に、メッセージを提示する。
【0024】
第1生成部105は、モジュールJを生成する。第1生成部105は、分析装置6X,6Y,6Zに対応するモジュールJX,JY,JZを生成する。つまり、第1生成部105は、分析装置6と一対一に対応するモジュールJを生成する。第2生成部106は、1または複数のモジュールJにより構成される仮想装置を生成する。具体的には、仮想装置は、1または複数のモジュールJの組み合わせを設定した情報である。モジュールJおよび仮想装置の設定情報は、記憶装置16に格納される。
【0025】
(4)分析装置管理方法
次に、図4を参照しながら本実施の形態に係る分析装置管理方法について説明する。図4は、分析装置管理方法を示すフローチャートである。図4で示す分析装置管理方法は、CPU11が管理プログラムP1を実行することで実行される。
【0026】
ステップS1において、受付部101は、通信部17を介して端末5から分析実行要求を受け付けた否かを判定する。この実施の形態では、図1に示すように、2つの端末5A,5Bを図示しているが、管理装置1にアクセスする端末5の数は特に限定されない。ネットワーク7に接続された他の端末5から分析実行要求を受け付けてもよい。あるいは、ユーザが管理装置1を操作している場合には、受付部101は入力部14から分析実行要求を受け付けてもよい。
【0027】
図5は、分析実行要求により指定される仮想装置とモジュールJとの関係を示す図である。受付部101は、端末5からネットワーク7経由でアクセスを受けると、仮想装置の選択インタフェースを端末5に与える。図5では、仮想装置として3つの装置P,Q,Rの選択インタフェースを例示している。装置Pは、分析装置6Xおよび分析装置6Yを組み合わせた仮想装置である。装置Qは、分析装置6Yおよび分析装置6Zを組み合わせた仮想装置である。装置Rは、単体の分析装置6Zに対応付けられた仮想装置である。
【0028】
図5においては図示省略しているが、選択インタフェースにおいて、装置P,Qについては、複数の分析装置6の情報が表示される。例えば、装置Pについては、分析装置6Xおよび6Yの組み合わせにより実行可能な分析処理の内容などが表示される。これにより、ユーザは、複数の分析装置6を必要とする所望の分析処理が実行可能な仮想装置を見つけることができる。図5では、端末5Aを操作して、ユーザAが装置Pの分析実行要求を行う場合を例示している。また、端末5Bを操作して、ユーザBが装置Qの分析実行要求を行う様子を例示している。
【0029】
図4のステップS1において、受付部101が端末5から分析実行要求を受け付けた場合、処理はステップS2に遷移する。ステップS2において、状態管理部102が、分析実行要求で選択された仮想装置を構成する少なくとも1つの分析装置6が実行不可であるか否かを判定する。状態管理部102は、分析実行要求で選択された仮想装置を構成する全ての分析装置6に対応するモジュールJにアクセスする。状態管理部102は、参照した少なくとも1つのモジュールJにおいて、状態情報として分析処理が実行不可であるステータスが設定されている場合には、分析実行要求が実行不可であると判断する。例えば、分析中、準備中、エラーなどのステータスがモジュールJに設定されている場合には、対応する分析装置6が分析処理を実行不可であると判断する。
【0030】
図5の例を用いてステップS2を説明する。ユーザAが端末5Aを操作して装置Pの分析実行要求を行った場合であれば、状態管理部102が、分析実行要求で選択された装置Pを構成する分析装置6Xまたは6Yが実行不可であるか否かを判定する。つまり、状態管理部102は、モジュールJXまたはJYを参照し、いずれかのモジュールJの状態情報として分析処理が実行不可であるステータスが設定されている場合には、分析実行要求が実行不可であると判断する。
【0031】
図4のステップS2において、少なくとも1つの分析装置6が実行不可であると判断された場合、ステップS3において、提示部104は、端末5に対して実行不可メッセージを提示する。提示部104は、通信部17を介して、端末5に実行不可メッセージを送信する。端末5は、端末5が備えるモニタに分析実行要求が実行不可である旨のメッセージを表示させる。管理装置1を操作するユーザが分析実行要求を行っている場合には、管理装置1のモニタ15に実行不可メッセージを表示させてもよい。
【0032】
図4のステップS2において、少なくとも1つの分析装置6が実行不可であると判断されない場合、つまり、分析実行に必要とされる全ての分析装置6が実行可能であると判断される場合、処理はステップS4に遷移する。ステップS4において、消耗品管理部103が、分析実行要求で指定された仮想装置を構成する少なくとも1つの分析装置6の少なくとも1つの消耗品が使用不可であるか否かを判定する。消耗品管理部103は、分析実行要求で指定された仮想装置を構成する全ての分析装置6に対応するモジュールJにアクセスする。消耗品管理部103は、参照した少なくとも1つのモジュールJにおいて、使用情報として消耗品が使用不可である情報が設定されている場合には、分析実行要求が実行不可であると判断する。
【0033】
図5の例を用いてステップS4を説明する。ユーザAが端末5Aを操作して装置Pの分析実行要求を行った場合であれば、状態管理部102が、分析実行要求で指定された装置Pを構成する分析装置6Xの少なくとも1つの消耗品または分析装置6Yの少なくとも1つの消耗品が使用不可であるか否かを判定する。状態管理部102は、モジュールJXまたはJYを参照し、いずれかのモジュールJにおいて使用情報として消耗品が使用不可である情報が設定されている場合には、分析実行要求が実行不可であると判断する。
【0034】
ステップS4において、少なくとも1つの分析装置6の少なくとも1つの消耗品が使用不可であると判断された場合、ステップS5において、提示部104は、端末5に対して実行不可メッセージを提示する。提示部104は、通信部17を介して、端末5に実行不可メッセージを送信する。端末5は、端末5が備えるモニタに分析実行要求が実行不可である旨のメッセージを表示させる。管理装置1を操作するユーザが分析実行要求を行っている場合には、管理装置1のモニタ15に実行不可メッセージを表示させてもよい。
【0035】
ステップS4において、少なくとも1つの分析装置6の少なくとも1つの消耗品が使用不可であると判断されない場合、つまり、分析実行に必要とされる全ての分析装置6の全ての消耗品が使用可能であると判断される場合、処理はステップS6に遷移する。ステップS6において、状態管理部102は、モジュールJの状態情報を更新する。具体的には、状態管理部102は、分析実行要求により起動される全ての分析装置6のステータスを分析中に変更する。また、ステップS6において、消耗品管理部103は、モジュールJの使用情報を更新する。具体的には、消耗品管理部103は、分析実行要求により起動される全ての分析装置6の全ての消耗品の使用回数を分析回数分だけ増加させる。
【0036】
図5の例を用いてステップS6を説明する。ユーザAが端末5Aを操作して装置Pの分析実行要求を行った場合であれば、状態管理部102は、モジュールJXおよびJYの状態情報を更新し、モジュールJXおよびJYに設定されたステータスを分析中に変更する。また、ステップS6において、消耗品管理部103は、モジュールJXおよびJYの使用情報を更新し、モジュールJXおよびJYに設定された全ての消耗品の使用回数を分析回数分だけ増加させる。状態管理部102が、モジュールJXおよびJYのステータスを分析中に変更した後、ユーザBが端末5Bを操作して装置Qの分析実行要求を行った場合には、モジュールJYのステータスが分析中となっているため、図4のステップS3において分析処理は実行不可のメッセージが表示される。これにより、ユーザBは、分析実行要求に係る分析処理が実行不可であることを速やかに知ることができる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態に係る分析装置管理システム10は、分析装置6と1対1に対応したモジュールJを生成し、モジュールJにより分析装置6を管理する。分析装置管理システム10は、複数の分析装置6を使用する分析実行要求をユーザから受け付けたとき、モジュールJを参照することで、分析処理が実行可能か否かをユーザに提示することができる。また、分析装置6の消耗品を、分析装置6と1対1に対応して生成されたモジュールJにより管理するので、分析装置6の消耗品の使用回数を正確に把握することが可能である。これにより、分析装置6の消耗品の残り使用回数を正確に把握することができるので、モジュールJを参照することで、分析処理が実行可能か否かをユーザに提示することができる。
【0038】
そして、本実施の形態に係る分析管理システム1は、複数の分析装置6から構成される仮想装置を管理するので、複数の仮想装置により共有されている分析装置6が存在する場合にも、各仮想装置から個々の分析装置6の状態および消耗品の使用状況を把握することが可能である。ある仮想装置が、共有されている分析装置を使用しているときであっても、他の仮想装置がその分析装置の状態および消耗品の使用状況を把握することが可能である。
【0039】
(5)他の実施の形態
上記実施の形態においては、2つの分析装置6Xおよび6Yを装置Pとして管理し、2つの分析装置6Yおよび6Zを装置Qとして管理する場合を例に説明した。その他の実施の形態として、3つ以上の分析装置を1つの仮想装置として管理してもよい。例えば、3つの分析装置を1つの仮想装置として管理する場合、分析装置管理システム10は、3つのモジュールJを参照し、3つのモジュールの更新処理を実行すればよい。
【0040】
上記実施の形態においては、分析装置管理システム10は、管理装置1の記憶装置16に記憶されたモジュールJを参照することで、分析装置6の管理を行っている。これにより、管理装置1は分析装置6から直接情報を取得することや、分析装置6を直接制御する必要はない。他の実施の形態として、管理装置1が、ネットワーク7経由で分析装置6の情報を取得する機能や分析装置6を制御する機能を持っていてもよい。
【0041】
上記実施の形態においては、管理プログラムP1は、記憶装置16に保存されている場合を例に説明した。他の実施の形態として、管理プログラムP1は、記憶媒体M1に保存されて提供されてもよい。管理装置1のCPU11は、デバイスインタフェース18を介して記憶媒体M1にアクセスし、記憶媒体M1に保存された管理プログラムP1を、記憶装置16またはROM13に保存するようにしてもよい。あるいは、CPU11は、デバイスインタフェース18を介して記憶媒体M1にアクセスし、記憶媒体M1に保存された管理プログラムP1を実行するようにしてもよい。あるいは、CPU11がネットワーク7経由で管理プログラムP1をダウンロードし、記憶装置16またはROM13に保存するようにしてもよい。通信部17がインターネットに接続されている場合には、インターネット上のサーバから管理プログラムP1がダウンロードされてもよい。
【0042】
(6)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0043】
(第1項)
本発明の一態様に係る分析装置管理システムは、
1または複数の分析装置を管理するシステムであって、
各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する第1生成部と、
前記モジュールを記憶する記憶部と、
前記1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける受付部と、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの前記状態情報を更新する状態管理部と、
を備える。
【0044】
複数の分析装置を用いた分析処理を実行可能なシステムにおいて、個々の分析装置の状態を把握可能なシステムを提供することができる。
【0045】
(第2項)
第1項に記載の分析装置管理システムにおいて、
1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する第2生成部、
をさらに備え、
前記記憶部が前記仮想装置を記憶していてもよい。
【0046】
1または複数の分析装置を1つの仮想装置として記憶装置内で管理することができる。
【0047】
(第3項)
第2項に記載の分析装置管理システムにおいて、
前記受付部は、前記1または複数の分析装置からなる仮想装置を選択した前記分析実行要求を受け付けてもよい。
【0048】
ユーザは、仮想装置を選択することにより、複数の分析装置を必要とする分析処理の実行要求を行うことができる。
【0049】
(第4項)
第1項から第3項のいずれか一項に記載の分析装置管理システムにおいて、
前記モジュールは、各分析装置が備える消耗品の使用情報を管理しており、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する前記1または複数のモジュールの使用情報を更新する消耗品管理部、
をさらに備えてもよい。
【0050】
複数の分析装置を必要とする分析処理を実行可能なシステムにおいて、複数の仮想装置から共有されている分析装置がある場合にも、それぞれの仮想装置から個々の分析装置の状態や消耗品の使用状況を把握可能なシステムを提供することができる。
【0051】
(第5項)
第1項から第4項のいずれか一項に記載の分析装置管理システムにおいて、前記1または複数のモジュールの前記状態情報を参照することにより、前記状態管理部において、少なくとも1つの分析装置が実行不可であると判断される場合には、実行不可メッセージを提示する提示部、
をさらに備えてもよい。
【0052】
ユーザは、分析実行要求に係る分析処理が実行可能か否かを速やかに把握することができる。
【0053】
(第6項)
第4項に記載の分析装置管理システムにおいて、
前記1または複数のモジュールの前記使用情報を参照することにより、前記消耗品管理部において、少なくとも1つの分析装置の少なくとも1つの前記消耗品が使用不可であると判断される場合には、実行不可メッセージを提示する提示部、
をさらに備えてもよい。
【0054】
ユーザは、分析実行要求に係る分析処理が実行可能か否かを速やかに把握することができる。
【0055】
(第7項)
本発明の他の態様に係る分析装置管理プログラムは、
1または複数の分析装置を管理するプログラムであって、
各分析装置と一対一で対応し、対応している分析装置の状態情報を管理するモジュールを生成する処理、
前記1または複数の分析装置を使用する分析実行要求を受け付ける処理、
前記分析実行要求を受け付けた前記1または複数の分析装置に対応する1または複数のモジュールの前記状態情報を更新する処理、
をコンピュータに実行させる。
【0056】
複数の分析装置を必要とする分析処理の実行可否の判断を可能としながら、個々の分析装置の状態を把握可能なシステムを提供することができる。
【0057】
(第8項)
第7項に記載の分析装置管理プログラムにおいて、
前記1または複数のモジュールより構成される仮想装置を生成する処理、をさらにコンピュータに実行させてもよい。
【0058】
1または複数の分析装置を1つの仮想装置としてコンピュータ内で管理することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…管理装置、5A,5B…端末、6X,6Y,6Z…分析装置、101…受付部、102…状態管理部、103…消耗品管理部、104…提示部、105…第1生成部、106…第2生成部、JX,JY,JZ…モジュール、P,Q,R…装置(仮想装置)、P1…管理プログラム、D1…管理データ
図1
図2
図3
図4
図5