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特開2022-126574二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126574
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20220823BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20220823BHJP
   B01J 23/78 20060101ALI20220823BHJP
   B01J 23/89 20060101ALI20220823BHJP
   A61L 9/013 20060101ALI20220823BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20220823BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220823BHJP
   A01N 59/06 20060101ALI20220823BHJP
   A01N 59/20 20060101ALI20220823BHJP
   A01N 59/16 20060101ALI20220823BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61L9/01 B
B01J35/02 J ZAB
B01J23/78 A
B01J23/89 A
A61L9/01 K
A61L9/013
A01P1/00
A01P3/00
A01N59/06 Z
A01N59/20 Z
A01N59/16 Z
A01N25/04
A01N59/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021067401
(22)【出願日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】10-2021-0021962
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521155955
【氏名又は名称】株式会社テスハイテック
(71)【出願人】
【識別番号】520218143
【氏名又は名称】株式会社ONE
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】キム チャンギュン
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
4H011
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180CC03
4C180CC15
4C180EA23X
4C180EA24Y
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180EA39Y
4C180EA40X
4C180EB15X
4C180EC01
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA48A
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169CA10
4G169CA11
4G169DA06
4G169EB18Y
4G169FA02
4G169FC08
4G169HA02
4G169HB01
4G169HC02
4G169HC29
4G169HE07
4H011AA02
4H011AA03
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB18
4H011BC01
4H011BC03
4H011BC04
4H011BC07
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA14
4H011DF04
4H011DG03
4H011DH02
(57)【要約】
【課題】可視光線領域で光触媒の効率が改善され分散力に優れた二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を提供する。
【解決手段】二酸化チタン光触媒及び抗菌消臭用組成物を含み、前記二酸化チタン光触媒は、二酸化チタン(TiO2)、銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタン光触媒及び抗菌消臭用組成物を含み、
前記二酸化チタン光触媒は、二酸化チタン(TiO)、銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)を含む、抗菌消臭剤。
【請求項2】
前記二酸化チタン光触媒を1~5重量%で含み、
前記二酸化チタン光触媒は、前記銅(Cu)と前記マグネシウム(Mg)の重量比が1:1.8~1:3.2である、請求項1に記載の抗菌消臭剤。
【請求項3】
前記抗菌消臭用組成物は、
界面活性剤1~5重量%、
苛性ソーダ1~5重量%、
トリエタノールアミン(TEA)1~5重量%、
ブチルグリコール(BDG)5~15重量%、
イソプロピルアルコール(IPA)2~8重量%、及び
残量の水を含む、請求項1に記載の抗菌消臭剤。
【請求項4】
前記抗菌消臭用組成物は、
アルキルジメチルベンゼン1~5重量%、及び
着香剤0.1~3重量%をさらに含み、
前記着香剤は、ゲンティアナエキス、セージエキス、カモミール抽出物、ラベンダー抽出物、クララエキス、プロポリス抽出物、ペパーミント油、マスチック油、ミルラティンク、ラタニアティンク、ヒノキ油及びユーカリーフ油からなる群から1種以上を含んでいる、請求項3に記載の抗菌消臭剤。
【請求項5】
前記二酸化チタン光触媒は、ジルコニア(ZrO)を2~20重量%さらに含む、請求項1に記載の抗菌消臭剤。
【請求項6】
戦記二酸化チタン光触媒は、表面上に銀(Ag)0.1~5重量%をさらに含む、請求項1に記載の抗菌消臭剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロナウイルス感染症-19(COVID-19)は、2019年12月、中国武漢で初めて発生した後、中国全土と全世界に拡散された、新しいタイプのコロナウイルス(SARS-CoV-2)による呼吸器感染症疾患である。コロナウイルスの感染を防止するためには、マスクを正しく着用し、手をよく洗ったり、手を目/鼻/口に持って行かないだけでも、コロナウイルスの感染をかなりの部分予防することができる。
【0003】
二酸化チタン光触媒は、光エネルギー照射により生成されたOHラジカルによって、強力な化学殺菌活性を持つことができる。
【0004】
二酸化チタン(TiO)の結晶構造は、ルチル構造とアナターゼ構造があるが、アナターゼ結晶構造を有する二酸化チタンは、ルチル結晶構造を有する二酸化チタンに比べて、より強い酸化エネルギーを有し、これらの特性により光触媒で使用する為にはアナターゼ結晶構造を有する二酸化チタンがより有利である。
【0005】
しかし、アナターゼ二酸化チタン(TiO)は、紫外線の条件下でのみ光分解能を発揮し、アナターゼ二酸化チタンそのものは、太陽の光の大部分を占める可視光線領域で反応せず、紫外線ランプなどの特殊な光源で紫外線を照射してこそ光分解能を発揮するようになる。したがって、太陽光の大部分を占める可視光線領域で反応することができる光触媒に関する研究が活発に進められている。
【0006】
また、特別な加工なしの純粋な二酸化チタン光触媒を添加して抗菌消臭剤を作成する場合、二酸化チタン光触媒自体の大きさによって分散力が低下することがある。
【0007】
したがって、可視光線領域での光触媒効率を向上させるだけでなく、特定の粒子の大きさに成形が可能な二酸化チタン光触媒を含み、分散力に優れた抗菌消臭剤の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、可視光線領域で光触媒の効率が改善され分散力に優れた二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を提供する為のものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記及びその他の目的は、下記に説明されている本発明によって、全て達成することができる。
【0010】
本発明の一つの観点は、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤に関するものである。
【0011】
一具体例によると、上記の二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤は、二酸化チタン光触媒と抗菌消臭用組成物を含み、上記二酸化チタン光触媒は、二酸化チタン(TiO)、銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)を含んでいる。
【0012】
上記抗菌消臭剤は、二酸化チタン光触媒を1~5重量%で含むことができる。
【0013】
上記二酸化チタン光触媒は、上記銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)の重量比が1:1.8~1:3.2であることができる。
【0014】
上記の抗菌消臭用組成物は、界面活性剤1~5重量%、苛性ソーダ1~5重量%、トリエタノールアミン(TEA)1~5重量%、ブチルグリコール(BDG)5~15重量%、イソプロピルアルコール(IPA)2~8重量%と残量の水を含むことができる。
【0015】
上記の抗菌消臭用組成物は、ポリスチレン硫酸塩0.01~0.10重量%を更に含むことができる。
【0016】
上記の抗菌消臭用組成物は、アルキルジメチルベンゼン1~5重量%を更に含むことができる。
【0017】
上記の抗菌消臭用組成物は、クエン酸0.01~2重量%を更に含むことができる。
【0018】
上記二酸化チタン光触媒は、上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)が、一部以上共融された可能性がある。
【0019】
上記二酸化チタン光触媒は、上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を1~15重量%で含まれる二酸化チタン光触媒を含むことができる。
【0020】
上記二酸化チタン光触媒は、ジルコニア(ZrO)を2~20重量%さらに含むことができる。
【0021】
上記ジルコニア(ZrO)は、平均粒径(D50)が二酸化チタン(TiO)よりも大きい可能性がある。
【0022】
上記二酸化チタン光触媒の平均粒径(D50)が100μm~500μmを含むことができる。
【0023】
上記二酸化チタン光触媒は、表面上に銀(Ag)0.01~3重量%を含むことができる。
【0024】
上記マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の重量比が1.3:1~2:1であることができる。
【0025】
上記銀(Ag)の平均粒径(D50)が10nm~25nmであることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、可視光線領域で光触媒効率が改善され分散力に優れた二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を提供する効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本出願の具体例をより詳細に説明しようと思う。しかし、本出願に開示された技術は、ここで説明されている具体例に限定されず、他の形態で具体化される可能性もある。
【0028】
ただ、ここで紹介されている具体例は、開示された内容が徹底して完全になるように、また当業者に本出願の思想が十分に伝えられる様に提供するものである。図面では、各装置の構成要素を明確に表現するために、上記の構成要素の幅や厚さなどのサイズをやや拡大して示した。また、説明の便宜の為に、構成要素の一部のみを図示したりしたが、当業者であれば、構成要素の残りの部分に対しても容易に把握することができるだろう。
【0029】
全体的に図面の説明時に観察者視点で説明し、一つの要素が他の要素の上部または下部に位置することに言及されている場合、これは上記の一要素が他の要素の上部、または下部に直接位置するか、またはそれらの要素の間に追加的な要素が介在される可能性があるという意味を全て含んでいる。また、当該分野で通常の知識を有する者であれば、本出願の技術的思想を逸脱しない範囲内で、本出願の思想を多様な他の形態で実装することができるだろう。そして、複数の図面上で同一符号は、実質的に互いに同一の要素を指す。
【0030】
一方、本出願で記述されている単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示さない限り、複数の表現を含むものと理解しなければならず、「含む」又は「有する」等の用語は、記述される特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はこれらの組み合わせたものに存在することを指定しようとするのであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、又はこれらの組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除していないものと理解しなければならない。
【0031】
また、本明細書において、範囲を示す「XないしY」は「X以上Y以下」を意味し、「重量部」は、構成の含有量の比率を意味している。
【0032】
<二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤>
本発明の二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤は、二酸化チタン光触媒と抗菌消臭用組成物を含み、上記二酸化チタン光触媒は、二酸化チタン(TiO)、銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を含んでいる。
【0033】
二酸化チタン(TiO)は光触媒として、約387nm以下の波長を有する近赤外光を照射すると、照射された光エネルギー(hv)を吸収して伝導帯(CB)の電子(e)と原子価電子帯(VB)の正孔(h)を生成する光触媒である。このように二酸化チタンから生成された電子(e)-正孔(h)のペアは、数秒以内に再結合(recombination)されるが、再結合する前に、空気中の水分(HO)と酸素(O)と反応時、OHラジカルとOラジカルで分解させる。また、二酸化チタン(TiO)のエネルギーバンドギャップは3.2eV程度も上記バンドギャップを超える少量の電流を流してくれる場合も、上記のようにラジカル分解反応が進行されることができる。
【0034】
上記OHラジカルは、強力な有機物質を酸化分解することができる能力が非常に優れている為、空気中で常に存在している悪臭物質、ウイルス、バクテリアのような細菌等を分解し、水と二酸化炭素に変える。したがって、上記の二酸化チタン光触媒は、光エネルギー照射により生成されたOHラジカルによって、強力な化学殺菌活性を示すことができる。
【0035】
したがって、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤は、携帯したり、家庭の室内に備えて使用することができるだけではなく、マスク、衣類などの繊維製品、布団、枕などの寝具製品にふりかけても使用することができる。
【0036】
上記光触媒は、二酸化チタン光触媒を1~5重量%、具体的には1.5~3重量%であることができ、上記範囲で、上記抗菌消臭剤の化学殺菌活性と消臭効果が優れながらも、経済的である。
【0037】
上記二酸化チタンは、平均粒径(D50)が1nm~100nm、具体的に5nm~80nmであることを利用することができる。
【0038】
上記二酸化チタンは、平均粒径(D50)が異なる2種以上の二酸化チタンが含まれることがある。この場合には、光触媒の緻密性による光触媒効率が改善される。
【0039】
例えば、上記二酸化チタン(TiO)は、平均粒径(D50)が異なる第1及び第2二酸化チタン(TiO)を含み、前記第1二酸化チタン(TiO)は、平均粒径(D50)が1nm~70nm、具体的には10nm~50nm、前記第2の二酸化チタン(TiO)は、平均粒径(D50)が20nm~100nm、具体的には20nm~80nmであることができる。また、前記第1二酸化チタン(TiO)及び第2二酸化チタン(TiO)の平均粒径(D50)比は1:0.4~1:0.6であることができる。上記の平均粒径の範囲で二酸化チタン光触媒は、さらに緻密になり、光触媒効率を最大化することができる。
【0040】
上記二酸化チタン光触媒は、上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の重量比が1:1.8~1:3.2であることができる。
【0041】
上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)は、触媒成分に含まれ、可視光線領域の光吸収率を高めることで、光触媒効率を改善させる効果があるだけでなく、二酸化チタン(TiO)、及びその他の成分の結合力も向上させることができる。また、より低い電流でも触媒活性を発揮することができるか、同じ電流でも触媒活性がより高くなることがあり、光触媒効率が優れている。
【0042】
特に、本発明の二酸化チタン光触媒は、銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の重量比を共融点(eutectic point)に近くなるように1:1.8~1:3.2、具体的には1:2~1:2.8の範囲に適用することにより、二酸化チタン光触媒の製造工程の温度を著しく下げることができ、これはルチル結晶構造への転移を最小限に抑えることができるので、光触媒効率を最大化することができる。
【0043】
上記二酸化チタン光触媒は、銅(Cu)とマグネシウム(Mg)は、一部以上共融された可能性がある。この際、前記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)成分は、二酸化チタン光触媒の成分間の結合力を向上させることができる。
【0044】
上記二酸化チタン光触媒は、上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)を1~15重量%、具体的には、1~12重量%、より具体的には、1~10重量%で含まれることができる。
【0045】
上記二酸化チタン光触媒に含まれる銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の重量%を調節することにより、上記二酸化チタン光触媒が、上記抗菌消臭剤に適した粒径を持つように製造することができる。
【0046】
上記二酸化チタン光触媒は、平均粒径(D50)が100μmないし500μm、具体的には150μmないし400μm、更に具体的には、200μmないし300μmであることがあり、上記範囲で抗菌消臭剤噴射時、分散力に優れていという利点がある。
【0047】
上記に言及した銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の範囲で、二酸化チタン光触媒は、抗菌消臭剤噴射に適した粒径を持つように製造することができる。
【0048】
他の具体例において、上記二酸化チタン光触媒は、ジルコニア(ZrO)を2~20重量%をさらに含むことができる。
【0049】
上記ジルコニア(ZrO)は、二酸化チタン光触媒に含まれており、安定性と耐久性を改善させる役割をすることができる。具体的には、上記ジルコニア(ZrO)は、高い溶融温度(約2,700℃)を有する耐熱性材料として、低熱伝導率、酸性からアルカリ性領域までの広い内化学的安定性、低熱膨張性、高硬度などの優れた素材特性を持っている。
【0050】
上記ジルコニア(ZrO)も光触媒として、二酸化チタンと一緒に使用し、光触媒効率を最大化させることができるだけでなく、二酸化チタン光触媒の耐久性を向上させることができるので、二酸化チタン光触媒が割れたり剥離される現象を最小限に抑えることができる。
【0051】
上記ジルコニア(ZrO)は、二酸化チタン光触媒のうち、2~20重量%、具体的には5~15重量%で含まれることができる。上記範囲では、二酸化チタン光触媒の光触媒効率と耐久性の改善効果が優れている。
【0052】
上記ジルコニア(ZrO)は、平均粒径(D50)が二酸化チタン(TiO)より大きい場合がある。
【0053】
この場合には、二酸化チタン光触媒は、耐久性の改善効果が優れている。具体的には、上記ジルコニア(ZrO)は、平均粒径(D50)が100nmを超え800nm以下、200nm~500nmの範囲であるものを利用することができる。
【0054】
上記二酸化チタン光触媒は、表面上に銀(Ag)0.01~3重量%を含むことができる。
【0055】
上記銀(Ag)は、酸素分子が表面に触れると、酸素原子に吸着するが、この酸素原子がバクテリア、ウイルス等を細胞膜を酸化させて溶かし取り除くことで殺菌と抗菌効果を示すことができる。
【0056】
上記銀(Ag)は、二酸化チタン光触媒の内0.01~5重量%、具体的には0.1~4重量%、より具体的には0.5~3重量%で含まれることができる。上記範囲では、二酸化チタン光触媒の表面上で光触媒効率を改善させ抗菌消臭剤の抗菌及び消臭効果を更に高めることができる。また、前記銀(Ag)が二酸化チタン光触媒表面上にのみ含まれることにより、製造単価が低く、経済的である。
【0057】
上記マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の重量比が1.3:1~2:1であることができる。
【0058】
上記二酸化チタン光触媒は、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)の重量比を共融点(eutectic point)に近くなるように1.3:1~2:1、具体的には1:5~1.8:1の範囲で適用することにより、上記銀(Ag)成分が二酸化チタン光触媒の表面上に効果的に結合され二酸化チタン光触媒の殺菌と抗菌効果をさらに向上させることができる。
【0059】
上記銀(Ag)の平均粒径(D50)が10nm~25nmであることができる。
【0060】
上記銀(Ag)の殺菌作用は、表面反応を介して行われるようになる。上記銀をナノサイズで形成したのは、同じ質量の銀の表面積を大幅に増加させたことを意味し、それに応じて上記銀の殺菌や抗菌能力も最大化させることになる。つまり、表面積と粒子の大きさは反比例の関係にあるため、表面積が広ければ広いほど銀の抗菌力はさらに向上する。
【0061】
上記銀(Ag)の平均粒径(D50)が10nm~25nm、具体的には、12nm~22nm、より具体的には、14nm~20nmであることができ、前記範囲で強力な殺菌性と抗菌性を有し、上記銀(Ag)が二酸化チタン光触媒の表面から脱落し、人が摂取しても人体に無害な特徴を有する。
【0062】
上記抗菌消臭用組成物は、界面活性剤1~5重量%、苛性ソーダ1~5重量%、トリエタノールアミン(TEA)1~5重量%、ブチルグリコール(BDG)5~15重量%、イソプロピルアルコール(IPA)2~8重量%と残量の水を含むことができる。
【0063】
上記界面活性剤は、親水性基と疎水性基を持っており、浸透、分散、乳化、気泡、吸着、再汚染防止等の界面活性の作用により汚染物質を洗浄物で分散解離させる役割をする。
【0064】
上記界面活性剤は1~5重量%、具体的には2~4重量%であることができ、上記の範囲で洗浄物に付着している汚染物質と抗菌消臭用組成物の間に表面張力を下げ汚染物を効果的に解離させることができる。
【0065】
上記苛性ソーダは上記抗菌消臭用組成物のpHを調節し、上記抗菌消臭用組成物の抗菌力を向上させる役割をする。
【0066】
上記苛性ソーダは1~5重量%、具体的には2~4重量%であることができ、上記の範囲で抗菌消臭剤に適したpH環境を造成することができ、上記抗菌消臭用組成物の抗菌力と消臭力を増加させることができる。
【0067】
上記トリエタノールアミン(TEA)は、前記抗菌消臭用組成物のpHを調節する役割をする。
【0068】
上記トリエタノールアミン(TEA)は1~5重量%、具体的には1.5~3重量%であることができ、前記範囲で抗菌消臭剤に適したpH環境を造成することができる。
【0069】
上記ブチルグリコール(BDG)は、前記抗菌消臭用組成物に溶けない物質の結晶化を防ぎ、水に溶けない物質の溶解を助ける。また、ブチルグリコール自体が抗微生物効果を持っており、上記抗菌消臭用組成物の腐敗を防止する役割をする。
【0070】
上記ブチルグリコール(BDG)は5~15重量%、具体的には7~12重量%であることができ、前記範囲において、前記抗菌消臭用組成物の溶解度を高め、抗微生物効果が優れている。
【0071】
上記抗菌消臭用組成物は、ポリスチレン硫酸塩0.01~0.05重量%を更に含むことができる。
【0072】
上記ポリスチレン硫酸塩は、菌等を固定化して活性を殺す抗菌作用を持っている。
【0073】
上記ポリスチレン硫酸塩は0.01~0.10重量%、具体的には、0.03~0.06重量%であることができ、前記範囲で抗菌効果を示すことができる。
【0074】
上記抗菌消臭用組成物は、アルキルジメチルベンゼン1~5重量%、具体的には2~4重量%を更に含むことが出来る。
【0075】
上記のアルキルジメチルベンゼンは強力な酸化力を基に、ウイルス、最近又はカビ等の様な各種病原性微生物に広範囲にわたり作用し、殺菌効果を活気すると同時に、ベンゼン環の芳香(aromatic)の特性により発散する特性を有する。
【0076】
上記アルキルジメチルベンゼンは1~5重量%、具体的には、2~4重量%であることができ、上記範囲で殺菌及び消臭効果を効果的に示すことが出来る。
【0077】
例えば、上記のアルキルジメチルベンゼンはヘキシルジメチルベンゼンであることができるが、これらに限定されない。
【0078】
上記抗菌消臭用組成物は、特定の香りを付加するために着香剤をさらに含むことができる。上記着香剤はゲンティアナエキス、セージエキス、カモミール抽出物、ラベンダー抽出物、クララエキス、プロポリス抽出物、ペパーミント油、マスチック油、ミルラティンク、ラタニアティンク、ヒノキ油及びユーカリユーフからなる群から1種以上を含むことができる。上記着香剤は0.1~3重量%、具体的には、0.1~1重量%であることができ、上記アルキルジメチルベンゼンと1:1~1:3の重量比で含まれている場合、より優れた芳香効果を示すことができる。
【0079】
上記抗菌消臭用組成物は、クエン酸0.01~2重量%をさらに含むことができる。
【0080】
上記クエン酸は、酸度を調節して菌の繁殖を抑制することにより、抗菌効果があり、組成物の凝固を抑制し、前記抗菌消臭用組成物の保存期間を増やすことができる。
【0081】
上記クエン酸は、0.01~2重量%、具体的には、0.03~1.5重量%であることができ、上記範囲で抗菌、保存期間の向上と抗菌消臭用組成物の凝固を防ぐ効果が優れている。
【0082】
<二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤の製造方法>
上記二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤の製造方法は、二酸化チタン(TiO)粉末、銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の混合物形成段階で、前記混合物を1次熱処理する段階と、熱処理された二酸化チタン光触媒の銀(Ag)を添加後、2次熱処理する段階、また上記2次熱処理された二酸化チタン光触媒と抗菌消臭用組成物を混合する段階を含むことができる。
【0083】
上記二酸化チタン(TiO)粉末、銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)は、本発明の一の観点による二酸化チタン光触媒に記載されたものと実質的に同一であることができる。
【0084】
前記1次熱処理段階は、H/Ar雰囲気で485℃~490℃で行うことができる。
【0085】
他の具体例において、前記1次熱処理段階は、H/Ar雰囲気で490℃を超える温度で行うことができる。
【0086】
本発明の二酸化チタン光触媒に含まれる銅(Cu)とマグネシウム(Mg)の重量比を1:1.8~1:3.2、具体的には1:2~1:2.8の範囲に適用し、前記熱処理の温度範囲で、一部以上共融されることができ、これにより光触媒をなす成分間の結合力を十分に付加することができる。
【0087】
特に、前記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)成分の含有量は、二酸化チタン光触媒粒子の大きさに影響を与えることができ、具体的には、上記銅(Cu)とマグネシウム(Mg)は、二酸化チタン光触媒の1~15重量%で含まれており、二酸化チタン光触媒の平均粒径(D50)を100μm~500μmに制御することができる。上記の平均粒径の範囲において、前記抗菌消臭剤噴射時、噴射力に優れ、可視光線領域の光吸収率を高めることで、光触媒効率を改善させる効果が現れ、抗菌作用を効果的にすることができる二酸化チタン光触媒を形成することができる。
【0088】
前記2次熱処理段階は、前記1次熱処理段階の後、二酸化チタン(TiO)、銅(Cu)及びマグネシウム(Mg)が含まれている二酸化チタン光触媒に銀(Ag)を添加後、H/Ar雰囲気で450℃~485℃、具体的には472℃~485℃で行うことができる。本発明の二酸化チタン光触媒に含まれるマグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の重量比が1.3:1~2:1で適用し、前記熱処理の温度範囲で、マグネシウム(Mg)と(Ag)が、一部以上共融されることができ、これにより二酸化チタン光触媒の表面に銀(Ag)を結合させることができる。
【0089】
上記銀(Ag)は、酸素分子が表面に触れると、酸素原子で吸着するが、この酸素原子が細菌、ウイルスなどを細胞膜を酸化させて溶かし取り除くことで殺菌及び抗菌効果を示すことができる。上記銀(Ag)成分が二酸化チタン光触媒の表面上に効果的に結合され殺菌及び抗菌効果を更に向上された二酸化チタン光触媒を得ることができる。
【0090】
他の具体例において、上記の混合物形成段階において、前記混合物はジルコニア(ZrO)をさらに含むように形成されることができ、上記ジルコニア(ZrO)は本発明の一観点による二酸化チタン光触媒に記載されたものと実質的に同一であることができる。
【0091】
前記2次熱処理された二酸化チタン光触媒と抗菌消臭用組成物を混合する段階において、前記抗菌消臭用組成物は、本発明の一観点による抗菌消臭用組成物に記載されたものと実質的に同一であることができる。
【0092】
上記抗菌消臭用組成物は、界面活性剤1~5重量%、苛性ソーダ1~5重量%、トリエタノールアミン(TEA)1~5重量%、ブチルグリコール(BDG)5~15重量%、イソプロピルアルコール(IPA)2~8重量%と残量の水を攪拌機を用いて順番に混入し60分~75分の間攪拌した後、上記攪拌機から引き出し形成することができる。
【0093】
上記2次熱処理された二酸化チタン光触媒と前記の引き出された抗菌消臭用組成物を混合し、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を製造することができる。
【0094】
他の具体例において、上記抗菌消臭用組成物は、ポリスチレン硫酸塩0.01~0.05重量%を更に含むように形成することができる。
【0095】
また別の具体例において、上記抗菌消臭組成物は、アルキルジメチルベンゼン1~5重量%をさらに含むように形成することができる。
【0096】
また別の具体例において、上記抗菌消臭用組成物は、クエン酸0.01~2重量%を更に含むように形成することができる。
【実施例0097】
<実施例1>
二酸化チタン(TiO、アルドリッチ)95重量%、銅(Cu)1.4重量%及びマグネシウム(Mg)3.6重量%を混合し、上記混合物をチューブ炉内に投入し、H/Ar雰囲気で、530℃で5時間加熱した。その後、1.0M HCl溶液で24時間攪拌し、水で洗浄し酸を除去した後、乾燥させ二酸化チタン光触媒を製造した。
【0098】
苛性ソーダ3重量%をpH7.5以下である水76.5重量%に溶解及び攪拌させた後、5分後、前記苛性ソーダが溶解された水に界面活性剤3重量%を投入し攪拌機を用いて5分間攪拌させた。上記界面活性剤が投入された混合物にトリエタノールアミン(TEA)2.5重量%を投入しながら5分間攪拌した。トリエタノールアミンが投入された混合物にブチルグリコール(BDG)10重量%を投入しながら、50分間攪拌した。ブチルグリコールが投入された混合物にイソプロピルアルコール(IPA)5重量%を投入しながら10分~15分の間、連続して攪拌させた後、撹拌機から引き出し洗浄用組成物を製造した。
【0099】
前記の製造された二酸化チタン光触媒の2.5重量%と抗菌消臭用組成物97.5重量%を混ぜ、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0100】
上記二酸化チタン光触媒の平均粒径(D50)は250μmであった。
【0101】
<実施例2>
抗菌消臭用組成物中のポリスチレン硫酸塩0.05重量%が含まれ、水76.45重量%で含まれていることを除いては、実施例1と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0102】
<実施例3>
抗菌消臭用組成物中のアルキルジメチルベンゼン3重量%が含まれ、水73.5重量%が含まれていることを除いては、実施例1と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0103】
<実施例4>
二酸化チタン(TiO、アルドリッチ)92.9重量%、銅(Cu)1.4重量%及びマグネシウム(Mg)3.6重量%を混合し、上記混合物をチューブ炉内に投入し、H/Ar雰囲気で、530℃で5時間加熱した。その後、1.0M HCl溶液で24時間攪拌し、水で洗浄し酸を除去した後、乾燥させ二酸化チタン光触媒を製造した。上記二酸化チタン光触媒97.9重量%と銀(Ag)2.1重量%を混合し、上記混合物をチューブ炉内に投入し、H/Ar雰囲気で、495℃で5時間加熱した後、加熱後472℃で冷却させた。
【0104】
苛性ソーダ3重量%をpH7.5以下である水76.5重量%に溶解及び攪拌させた後、5分後、前記苛性ソーダが溶解された水に界面活性剤3重量%を投入し、攪拌機を用いて5分間攪拌させた。上記界面活性剤が投入された混合物にトリエタノールアミン(TEA)2.5重量%を投入し、5分間攪拌した。トリエタノールアミンが投入された混合物にブチルグリコール(BDG)10重量%を投入しながら、50分間攪拌した。ブチルグリコールが投入された混合物にイソプロピルアルコール(IPA)5重量%を投入し、10分~15分の間、連続して攪拌した後、撹拌機で引き出し洗浄用組成物を製造した。
【0105】
二酸化チタン光触媒の表面に銀(Ag)が含まれている二酸化チタン光触媒2.5重量%と抗菌消臭用組成物97.5重量%を混合し二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0106】
上記二酸化チタン光触媒の平均粒径(D50)は270μmであり、銀(Ag)の平均粒径(D50)は、17nmであった。
【0107】
<実施例5>
抗菌消臭用組成物中のポリスチレン硫酸塩0.05重量%が含まれ、水を76.45重量%で含まれていることを除いては、実施例1と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0108】
<実施例6>
抗菌消臭用組成物中のアルキルジメチルベンゼン3重量%が含まれ、水を73.5重量%で含まれていることを除いては、実施例1と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0109】
<実施例7>
抗菌消臭用組成物中のポリスチレン硫酸塩0.05重量%とアルキルジメチルベンゼン3重量%を含み、水を73.45重量%で含むことを除いては、実施例4と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0110】
<実施例8>
抗菌消臭用組成物中のポリスチレン硫酸塩0.05重量%、アルキルジメチルベンゼン3重量%とクエン酸0.5重量%を含み、水を72.95重量%で含むことを除いては、実施例4と同様の方法で二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を形成した。
【0111】
<比較例1>
苛性ソーダ3重量%をpH7.5以下である水76.5重量%に溶解及び攪拌させた後、5分後、前記苛性ソーダが溶解された水に界面活性剤3重量%を投入し、攪拌機を用いて5分間攪拌させた。上記界面活性剤が投入された混合物にトリエタノールアミン(TEA)2.5重量%を投入しながら、5分間攪拌した。トリエタノールアミンが投入された混合物にブチルグリコール(BDG)10重量%を投入しながら、50分間攪拌した。ブチルグリコールが投入された混合物にイソプロピルアルコール(IPA)5重量%を投入し、10分~15分の間、連続して攪拌した後、撹拌機から引き出し抗菌消臭用組成物を製造した。
【0112】
<抗菌活性の測定方法>
Paper discに実施例及び比較例の試料を処理した後、菌株が塗抹された培地の上に上記discを無菌操作の下、一定の間隔で配列し、2日間培養し抗菌力を測定した。試料の抗菌力評価はpaper disc周辺に生じた菌の成長抑制領域の直径(mm)を測定して評価した。
【0113】
実験対象菌株としては、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、緑膿菌、黒カビを利用し、各菌株はAmerican Type Culture Collection(ATCC、U.S.A.)で分譲を受けて使用した。上記菌株は、培地(Malt Extract Agar 6%、Ox-bile 2%、Tween-40 1%、Glycerol mono-oleate 0.25%)に接種した後、37℃で24時間培養された。
【0114】
上記培養された菌株を1/100の割合で希釈しプレートの固体培地上に平板塗抹し、上記Paper discを配置し、2日経過後の成長抑制環(mm)を測定した。上記Paper disc周囲に生じる抑制環のサイズは抗菌力を意味し、抑制環が大きいほど抗菌力が優れているということを示す。
【0115】
上記成長抑制環の測定結果は、下記表1の通りである。
【0116】
【表1】
【0117】
上記表1に示すように、二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤を処理した時、大腸菌に対する抗菌活性が顕著に増大した。
【0118】
特に、比較例1と比較し、ポリスチレン硫酸塩を含む実施例2及び6の抗菌消臭剤は、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性、アルキルジメチルベンゼンを含む実施例3及び7の抗菌消臭剤は、緑膿菌に対する抗菌活性及び銀を含む、実施例4~8の抗菌消臭剤は、サルモネラ菌に対する抗菌活性が増大したために、本発明の二酸化チタン光触媒を含む抗菌消臭剤の殺菌力はさらに増大することがあることを知ることができる。
【0119】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須的な特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施されることがあるということを理解できるだろう。したがって、以上で記述した実施例は、全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。