(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126591
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】インピーダンスの大きさを制御する電磁干渉フィルター
(51)【国際特許分類】
H03H 11/04 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
H03H11/04 J
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022010257
(22)【出願日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】21157900
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】504103641
【氏名又は名称】シャフナー・エーエムファウ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ・アマドゥッキ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ・マッツォーラ
【テーマコード(参考)】
5J098
【Fターム(参考)】
5J098AA01
5J098AA14
5J098AA16
5J098AB25
5J098AB31
5J098AC05
5J098AC09
5J098AC27
5J098AD11
5J098CA02
5J098CA05
5J098CB02
5J098CB06
(57)【要約】
【課題】従来技術の欠点と制限を克服した、バスを介して負荷機器に電力を供給するソース機器を備えたDC網又はAC網と協力して動作するように構成されたEMI(電磁干渉)フィルターを提示することである。
【解決手段】このバスは、入力側においてソース機器と接続可能であり、出力側において負荷機器と接続可能である。このEMIフィルターは、このバスと接続されており、能動フィルター帯域幅を有する能動フィルター回路を備え、バスに重畳された雑音成分を検知して、その雑音成分を抑制するすためにバスに打消し用雑音を注入するように構成されている。このEMIフィルターは、更に、入力側においてバスに接続されたソース回路と、出力側においてバスに接続された受動負荷回路とから成る受動回路を備え、この受動回路が、少なくとも能動フィルター帯域幅のカットオフ周波数において、出力側での負荷インピーダンスと少なくとも二倍異なるソースインピーダンスを入力側で提供するように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスを介して負荷機器に電力を供給するソース機器を備えたDC網又はAC網と協力して動作するように構成された電磁干渉フィルターであり、
このバスは、入力側においてソース機器と接続可能であり、出力側において負荷機器と接続可能であり、
このEMIフィルターは、このバスと接続されており、能動フィルター帯域幅を有する能動フィルター回路を備え、入力側においてバスに重畳されて、出力側に向かって伝搬する雑音成分を検知して、その雑音成分を抑制するすためにバスに打消し用雑音を注入するように構成されており、
このEMIフィルターは、更に、入力側においてバスに接続されたソース回路と、出力側においてバスに接続された受動負荷回路とを含む受動回路を備え、この受動回路が、少なくとも能動フィルター帯域幅のカットオフ周波数において、出力側での負荷インピーダンスと少なくとも二倍異なるソースインピーダンスを入力側において提供するように構成されている当該EMIフィルター。
【請求項2】
前記の受動回路が、能動フィルター帯域幅の各周波数において、出力側での負荷インピーダンスと少なくとも二倍異なるソースインピーダンスを入力側において提供するように構成されている請求項1に記載のEMIフィルター。
【請求項3】
前記の受動ソース回路が、n次受動フィルターを有し、ここで、nが2以上である請求項1又は2に記載のEMIフィルター。
【請求項4】
前記の受動ソース回路が、少なくともソースキャパシタンス、ソースインダクタンス及びソース制動抵抗を含むCL回路を備えている請求項3に記載のEMIフィルター。
【請求項5】
前記のソース制動抵抗が3Ω以下である請求項4に記載のEMIフィルター。
【請求項6】
前記の受動負荷回路が、少なくとも単一の受動コンポーネントと負荷制動抵抗を含む請求項1~5のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項7】
前記の能動フィルター回路が、電流検知及び電流注入型能動フィルターであり、前記の受動回路が、ソースインピーダンスが負荷インピーダンスよりも少なくとも十倍大きくなるように構成されている請求項1~6のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項8】
前記の受動ソース回路が、約1nFのソースキャパシタンスと約7μHのソースインダクタンスを有する請求項4~7のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項9】
前記の能動フィルター回路が、電圧検知及び電圧注入型能動フィルターであり、前記の受動回路が、負荷インピーダンスがソースインピーダンスよりも少なくとも十倍大きくなるように構成されている請求項5~8のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項10】
前記の受動負荷回路が、約20nFの負荷キャパシタンスと約1Ωの負荷制動抵抗を有する請求項6~9のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項11】
前記の能動フィルター帯域幅が10kHz~10MHzである請求項1~10のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項12】
前記の受動ソース回路が、前記の能動フィルター回路の電流/電圧補償能力を調整するように構成されている請求項1~11のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【請求項13】
前記の受動ソース回路は、前記の雑音成分の大きさを調整して、前記の受動式ソース回路と能動フィルター回路の間の雑音成分のピーク・トゥ・ピーク電圧が前記の能動フィルター回路の最大出力電圧及び/又は電流容量よりも小さくなるように構成されている請求項12に記載のEMIフィルター。
【請求項14】
前記のバスが、第一の電力導線と第二の電力導線を備え、各電力導線から見たアースに対するインピーダンスを等しくするために、入力側とEMIフィルターの間のこれらの第一と第二の電力導線の間に、少なくとも一つのキャパシタンスが配備されている請求項1~13のいずれか1項に記載のEMIフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給線に重畳する望ましくない電磁雑音成分を抑制する電磁干渉フィルターに関する。特に、本発明は、性能を向上させた能動式電磁雑音干渉(EMI)フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
車両及び産業における電気システムは、益々複雑になってきており、電磁干渉を発生する、或いは電磁干渉によって妨害され易い多数のコンポーネントを有する。例えば、電気モーターは、しばしば、周波数と振幅が可変である波形を発生させることによってモーターの速度とトルクを制御する電子式インバータによって駆動される。それらのシステムは、高い効率を提供するが、強い電磁雑音を発生させる。
【0003】
スイッチング式電力コンバータは、電気車両及びハイブリッド車両で、並びに、固定式駆動モーター、バッテリー充電器、太陽光発電システム、照明制御、コンピュータ等のそれ以外の数えきれない用途で使用されている。それら全ての場合に、コンバータのスイッチング動作が電磁雑音の発生源であり、それは、管理又は減衰されないと、別のシステムの機能に影響を及ぼすか、或いは基準となる限界を上回る可能性がある。
【0004】
EMIフィルターと略称される、それらの望ましくない電磁干渉を減衰させるために用いられる電気式又は電子式フィルターが、信頼性を改善するとともに、存在する基準を遵守するために電気工学の全ての分野で使用されている。良好に設計されたフィルタリングシステムは、多くの複雑な電気システムの性能にとって必要不可欠である。
【0005】
電気車両及びハイブリッド車両は、非常に狭いスペースに異なる電力インバータを備えている。その共存は、深刻な電磁気的な問題を示して、効率的なEMIフィルタリングを必要とする。フィルターが雑音を受け入れ可能なレベルにするのに十分でない場合、シールドケーブルを使用することができるが、それらは、大きくコストに波及する。
【0006】
EMIを減衰させるために、CL受動ローパスフィルターを使用することが知られている。受動式の解決策が相当な減衰を提供する一方、それらは制限を有する。最近の電気車両で使用されている電流レベルに適合する磁気コンポーネントは、大きく、高価で、重く、必ずしも大量生産に適していない。
【0007】
特許文献1は、電気車両用の能動式EMIフィルターを開示している。能動フィルターは、それと同等の受動フィルターよりもコンパクトにすることができるが、電気車両で発生する広い帯域幅の高電流干渉に関して満足できる能動フィルターを提供することは難しい。
【0008】
図1は、能動フィルターの動作原理を図示している。負荷機器21は、主電流を導通させるバス15を有する。バス15を介して負荷機器21と接続されたソース機器20は、雑音、特に、EMIを発生する。その雑音は、矢印で表示されている通り、バス15上を負荷機器21にまで流れる。図示されていないが、その雑音は、アース接続を介して、ソース機器20に逆流する。ソース機器20と負荷機械21の間の能動フィルター22は、ソース機器20からの雑音を打ち消すために、打消し用雑音を発生して、その打消し用雑音をバス15に注入する。その結果、雑音は、能動フィルター22と負荷機器21の間で打消し用雑音によって打ち消される。その打消し用雑音は、能動フィルター22から負荷機器21に流れた後、アース接続を介して、能動フィルター22に逆流する。
【0009】
図2は、フィードバック式電流検出及び電流注入回路として実現された簡単な能動フィルター回路の代表例を図示しており、それにより、この能動フィルターが、雑音電流を測定して、雑音打消し電流を注入している。能動フィルターの正しい機能性、性能及び安定性のためには、ソースインピーダンスZ
Sと負荷インピーダンスZ
Lを知らなければならない。
【0010】
その性能、即ち、(挿入損失ILと呼ばれる)フィードバック式電流検知及び電流注入型能動フィルターの減衰量は、次の式1によって与えられる。
【0011】
【0012】
ここで、Aは、フィルター利得である。式1は、ソースインピーダンスZSと負荷インピーダンスZLの各々が能動フィルターの減衰量に影響し、それらを知って、制御しなければならないことを示している。
【0013】
実際の能動フィルター回路では、能動フィルターの動作周波数帯域FWにおけるソースインピーダンスZSと負荷インピーダンスZLを精確に知るか、或いは測定することが必ずしも可能ではないので、能動フィルターの安定した動作を保証するためには、ソースインピーダンスZSと負荷インピーダンスZLを制御する必要が有る。このフィードバック式電流検知及び電流注入型能動フィルターの減衰量を最大にするためには、ソースインピーダンスZSと負荷インピーダンスZLの大きさの比率を周波数に渡って同じにすべきである。その場合、ソースインピーダンスZSを負荷インピーダンスZLよりも大きくすべきである。
【0014】
能動フィルターの電圧検知及び電圧注入回路型構成に関して、挿入損失ILは、次の式2によって与えられ、この減衰量は、負荷インピーダンスZLがソースインピーダンスZSよりも大きい場合に最大となる。
【0015】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許公開第20180269781号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、従来技術の欠点と制限を克服したEMIフィルターを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本開示は、ACバス又はDCバスであるとすることができるバスを介して負荷機器に電力を供給するソース機器を備えたDC網又はAC網と協力して動作するように設計されたEMIフィルターに関する。このバスは、入力側においてソース機器と接続可能であり、出力側において負荷機械と接続可能である。このEMIフィルターは、バスと接続されるか、バスの一部であるか、或いはその両方であり、能動フィルター帯域幅を有し、入力側でバスに重畳して、出力側に向かって伝搬する雑音成分を検知して、その雑音成分を抑制するために、バスに打消し用雑音を注入するように構成された能動フィルター回路を備えている。このEMIフィルターは、更に、入力側においてバスに接続されたソース回路と、出力側においてバスに接続された受動負荷回路とを含む受動回路を備え、この受動回路は、少なくとも能動フィルター帯域幅のカットオフ周波数において、出力側での負荷インピーダンスと少なくとも二倍異なるソースインピーダンスを入力側で提供するように構成されている。
【0019】
ここで開示するEMIフィルターは、所望の性能が達成されるように、能動フィルター帯域幅の少なくともカットオフ周波数及び/又は全ての動作周波数においてインピーダンスの最小値又は最大値を提供する。このEMIフィルターは、能動回路の飽和及び/又は不安性を伴うこと無く、電子回路の正しい機能を保証する。このEMIフィルターは、複数のカットオフ周波数を有するように構成することができる。
【0020】
カットオフ周波数又はコーナー周波数は、電気工学において良く知られている。これは、しばしば、増幅器又は電子フィルターの出力電力が、その周波数を上回る、或いは下回ると、通過帯域内の電力の(しばしば、3dB点と称される)所与の割合にまで低下する周波数に相当する。増幅器回路又は電子フィルターは、そのような複数の周波数を有することができる。例えば、能動バンドパスフィルター回路は、しばしば、二つのカットオフ周波数を有するように構成される。
【0021】
このEMIフィルターは、単一の用途毎に微調整する必要無しに様々なDC網又はAC網において、即ち、ソースインピーダンスと負荷インピーダンスが未知である様々なコンバータ又は様々な構成において動作することができる。
【0022】
このEMIフィルターは、更に、能動フィルターの電子回路の飽和を防止することができる。このEMIフィルターは、ソースインピーダンスと負荷インピーダンスの安定した所望の値を保証して、EMIフィルターの安定性を確保するとともに、動作周波数帯域内での性能を向上させる。
【0023】
本発明の実施例は、本明細書に開示され、図面により図解されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】フィードバック式電流検知及び電流注入回路として実現された能動フィルター回路の代表例のブロック図
【
図3】一つの実施形態による受動回路を備えたEMIフィルターのブロック図
【
図4】一つの実施形態による受動回路の考え得る構成のブロック図
【
図5】
図4の能動フィルター回路の動作周波数の関数としてプロットされたソースインピーダンスと負荷インピーダンスのグラフ図
【
図6】別の実施形態による受動回路の考え得る構成のブロック図
【
図7】
図6の能動フィルター回路の動作周波数の関数としてプロットされたソースインピーダンスと負荷インピーダンスのグラフ図
【
図8】別の実施形態によるEMIフィルターのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図3を参照すると、一つの実施形態によるEMIフィルター22が図示されている。このEMIフィルター22は、DCバス15を介して負荷機器21に電力を供給するソース機器20を備えたDC網と協力して動作するように設計されている。このDCバス15は、入力側23においてソース機器20に接続されている。ここで、「入力側」との用語は、基本的に「ソース機器20の側」を意味する。このDCバス15は、更に、出力側24において負荷機器21に接続されている。ここで、「出力側」との用語は、基本的に「負荷機器21の側」を意味する。このEMIフィルター22は、DCバス15に接続されているか、DCバス15の一部を構成するか、或いはその両方である。このEMIフィルター22は、能動フィルター帯域幅を有する、入力側23でDCバス15に重畳する雑音成分を検知して、その雑音成分を抑制するために、DCバス15に打消し用雑音を注入するように構成された能動フィルター回路220を備えている。この雑音成分は、入力側23から出力側24に伝搬する。
【0026】
このEMIフィルター22は、更に、入力側23に接続された受動ソース回路221と、出力側24に接続された受動負荷回路222とを含む受動回路221,222を備えている。この受動回路221,222は、少なくとも能動フィルター帯域幅のカットオフ周波数FCにおいて、出力側24での負荷インピーダンスZLと少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍異なるソースインピーダンスZSを入力側23において提供するように構成されている。それに代わって、或いはそれに追加して、この受動回路221,222は、能動フィルター帯域幅の各動作周波数FWにおいて、出力側24での負荷インピーダンスZLと少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍異なるソースインピーダンスZSを入力側23において提供するように構成されている。
【0027】
この能動フィルター帯域幅は、10kHz~10MHzである。
【0028】
この受動ソース回路221は、更に、雑音成分の大きさを調整して、能動フィルター回路220の飽和を防止するように構成されている。このために、受動ソース回路221は、雑音成分の大きさを調整して、受動ソース回路221と能動フィルター回路220の間における雑音成分のピーク・トゥ・ピーク電圧が能動フィルター回路220の最大出力電圧及び/又は電流容量を下回るように構成されている。
【0029】
一つの観点において、この受動ソース回路221は、雑音成分の大きさを300mA以内に調整するように構成されている。より一般的には、ソース機器20から到来する雑音妨害と能動フィルター回路220の最大電流/電圧容量を知って、受動ソース回路221は、能動フィルター回路220の電流/電圧補償能力を調整するように、言い換えると、雑音妨害の振幅を低減して、能動フィルター回路220の最大能力を引き出すように構成することができる。例えば、受動ソース回路221は、雑音成分の大きさを少なくとも五分の一に調整するように構成することができる。特に、ソース機器20から到来する雑音が5Aの電流ピークを有し、能動フィルター回路220のソース/シンク最大電流を1Aにすることができる場合、受動ソース回路221は、電流ピークを少なくとも1Aに低減するように設計される。
【0030】
一つの実施形態では、能動フィルター回路220は、電流検知及び電流注入型能動フィルターを備えている。この受動回路221,222は、少なくともカットオフ周波数FCにおいて、ソースインピーダンスZSが、負荷インピーダンスZLよりも少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍大きくなるように構成されている。それに代わって、或いはそれに追加して、この受動回路221,222は、能動フィルター帯域幅の各動作周波数FWにおいて、ソースインピーダンスZSが、負荷インピーダンスZLよりも少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍大きくなるように構成されている。
【0031】
一つの観点において、この受動ソース回路221は、n次受動フィルターを有することができ、nは、2又はそれを上回る数である。
【0032】
図4は、一つの実施形態による入力側23に接続されたソース回路221と、出力側24に接続された受動負荷回路222とを含む受動回路221,222の考え得る構成を図示している。
図4に図示されている通り、この受動ソース回路221は、少なくともソースキャパシタンスC
S、ソースインダクタンスL
S及びソース制動抵抗R
Sを含むCL回路を備えることができる。例えば、この受動ソース回路221は、DCバス15に接続された少なくともソースキャパシタンスC
S、ソースインダクタンスL
S及びソース制動抵抗R
Sを含むCL回路を備えることができる。
【0033】
図4に図示されている通り、DCバス15は、第一の電力導線11と第二の電力導線12を備えることができる。そのような構成では、少なくともソースキャパシタンスC
S、ソースインダクタンスL
S及びソース制動抵抗R
Sを含むCL回路は、第一及び第二の電力導線11,12の各々と接続することができる。
【0034】
一つの観点では、ソース制動抵抗RSは3Ω以下である。
【0035】
一つの観点では、受動ソース回路221は、約1nFのソースキャパシタンスCSと約7μHのソースインダクタンスLSを有することができる。
【0036】
この受動負荷回路222は、少なくとも単一の受動コンポーネントC
L,L
Lと負荷制動抵抗R
Lから構成することができる。例えば、この受動負荷回路222は、DCバス15と接続された少なくとも単一の受動コンポーネントC
L,L
Lと負荷制動抵抗R
Lから構成することができる。
図4に図示されている通り、このDCバス15は、第一の電力導線11と第二の電力導線12を備えることができる。そのような構成では、受動負荷回路222は、第一及び第二の電力導線11,12の各々と接続することができる。
【0037】
一つの観点では、受動負荷回路222は、約20nFの負荷キャパシタンスCLと約1Ωの負荷制動抵抗RLから構成することができる。
【0038】
前述した通りの部品又はコンポーネントは、
図4に図示されている通り、個別の電気部品又はコンポーネントから構成/集積されても良い。
【0039】
図5は、
図4の能動フィルター回路220の動作周波数F
Wの関数としてプロットされたソースインピーダンスZ
Sと負荷インピーダンスZ
Lのグラフを図示している。この能動フィルターの帯域幅は、グラフ上の灰色の領域によって表示される一方、カットオフ周波数F
Cは表示されていない。この能動フィルター回路220は、複数のカットオフ周波数F
Cを有するように構成されても良い。
【0040】
別の実施形態では、能動フィルター回路220は、電圧検知及び電圧注入型能動フィルターを備えている。この受動負荷回路222は、少なくともカットオフ周波数FCにおいて、負荷インピーダンスZLがソースインピーダンスZSよりも少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍大きくなるように構成することができる。それに代わって、或いはそれに追加して、この受動回路221,222は、能動フィルター帯域幅の各周波数において、負荷インピーダンスZLがソースインピーダンスZSよりも少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍大きくなるように構成されている。
【0041】
図6は、入力側23に接続された受動ソース回路221と、出力側24に接続された受動負荷回路222とを含む電圧検知及び電圧注入型能動フィルターを備えた、そのような能動フィルター回路220の例を図示している。この回路の一般的な記述は、
図4の電流検知及び電流注入型フィルター、即ち、ソース側での2次以上のフィルターと負荷側での単一コンポーネントのフィルターに関する記述と同じである。例えば、この受動ソース回路221は、(例えば、約3.3μFの)ソースキャパシタンスC
S、(例えば、約100nHの)ソースインダクタンスL
S及び1Ω以内の制動抵抗R
Sを含むCL回路を備えることができる。この受動負荷回路222は、例えば、30μHの単一のインダクタンスから構成することができる。
図6に図示されたEMIフィルター22の構成は、能動フィルターの少なくともカットオフ周波数F
C及び/又は動作周波数、即ち、10kHz~10MHzにおいて、ソースインピーダンスZ
Sよりも少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍大きい負荷インピーダンスZ
Lを実現可能である。
【0042】
前述した部品又はコンポーネントは、
図6に図示されている通り、個別の電気部品又はコンポーネントから形成/集積されても良い。
【0043】
図7は、
図6の能動フィルター回路220の動作周波数F
Wの関数としてプロットされたソースインピーダンスZ
Sと負荷インピーダンスZ
Lのグラフを図示している一方、カットオフ周波数F
Cは表示されていない。この能動フィルター回路220は、複数のカットオフ周波数F
Cを有するように構成されても良い。
【0044】
この受動回路221,222は、能動フィルター帯域幅のカットオフ周波数FCにおいて、負荷インピーダンスZLと少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍異なるソースインピーダンスZSを提供するように構成されている。それに代わって、或いはそれに追加して、この受動回路221,222は、能動フィルター帯域幅の各周波数において、負荷インピーダンスZLと少なくとも二倍、より好ましくは、少なくとも十倍異なるソースインピーダンスZSを提供するように構成される。この受動回路221,222は、能動フィルター220の構成に関係無く、雑音成分の大きさを調整して、能動フィルター回路220の飽和を防止するように構成されている。そのために、この受動ソース回路221は、雑音成分の大きさを調整して、受動ソース回路221と能動フィルター回路220の間の雑音成分のピーク・トゥ・ピーク電圧が能動フィルター回路220の最大出力電圧及び/又は電流容量よりも小さくなるように構成されている。
【0045】
例えば、この能動フィルター220は、電流検知及び電流注入型能動フィルター、電圧検知及び電圧注入型能動フィルター、電流検知及び電圧注入型能動フィルター又は電圧検知及び電圧注入型能動フィルターを備えることができる。
【0046】
更に別の実施形態では、各電力導線11,12から見たアースに対するインピーダンスを等しくするために、ソース機器20とEMIフィルター22の間の第一と第二の電力導線11,12の間に少なくとも一つのキャパシタンスを配備することができる。
図8に図示されたEMIフィルター22では、キャパシタンスC
2が、受動ソース回路221の側の二つの電力導線11,12の間に追加されている。この場合、受動ソース回路221と受動負荷回路222は、
図4に図示された回路と同様である。
【0047】
前述した部品又はコンポーネントは、
図8に図示されている通り、個別の電気部品又はコンポーネントから形成/集積されても良い。
【0048】
このEMIフィルター22は、電気車両において、DC電力バス上又はAC側のモーター駆動ユニットに配置することができるが、それは、本開示の唯一の用途ではない。このEMIフィルター22の別の用途は、例えば、車両における、DC/DCコンバータと車載充電器の入力部又は出力部を含むことができる。
【符号の説明】
【0049】
11 第一の電力導線
12 第二の電力導線
15 DCバス、バス
20 ソース機器
21 負荷機器
22 電磁干渉(EMI)フィルター
220 能動フィルター回路
221 受動ソース回路
222 受動負荷回路
23 入力側
24 出力側
A フィルター利得
BF 能動フィルター帯域幅
CL 負荷キャパシタンス
CS ソースキャパシタンス
C2 キャパシタンス
FC カットオフ周波数
FF 動作周波数
IL 挿入損失
LL 負荷イダクタンス
LS ソースインダクタンス
RL 負荷制動抵抗
RS ソース制動抵抗
ZS ソースインピーダンス
ZL 負荷インピーダンス
【外国語明細書】