(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126634
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】全血の保存のための方法および全血の組成
(51)【国際特許分類】
A61K 35/14 20150101AFI20220823BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220823BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220823BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220823BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K35/14 A
A61P7/00
A61P35/00
A61P37/06
A61P43/00 105
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022079462
(22)【出願日】2022-05-13
(62)【分割の表示】P 2017560500の分割
【原出願日】2016-05-18
(31)【優先権主張番号】62/163,269
(32)【優先日】2015-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507318956
【氏名又は名称】ヘマネクスト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】吉田 達郎
(57)【要約】
【課題】全血輸血を受ける外傷患者の臨床転帰を改善するための方法および組成。癌患者への輸血の臨床転帰を改善するための方法および組成もまた提供される。
【解決手段】頻回輸血を必要とする患者の生存を改善するための方法であって、酸素を低減した保存赤血球(OR保存RBC)を、それを必要とする、医療処置を受ける患者に提供することを含む、方法。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頻回輸血を必要とする患者の生存を改善するための方法であって、酸素を低減した保存赤血球(OR保存RBC)を、それを必要とする、医療処置を受ける患者に提供することを含む、方法。
【請求項2】
前記OR保存RBCは、酸素および二酸化炭素が低減されている(OCR-保存RBC)、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記OR保存RBCは、従来通りに保存された赤血球(保存RBC)と比較して低レベルの未結合RANTES因子を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RANTESのレベルは、21日後には500pg/ml未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記RANTESのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には300pg/ml未満である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記OR保存RBCは、従来通りに保存された赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのエオタキシン因子を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には150pg/ml未満である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には100pg/ml未満である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記頻回輸血を必要とする患者は、外傷患者、移植患者、心臓手術患者、産科患者、GI手術患者、または整形外科手術患者である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記外傷患者は、出血性外傷患者または鈍的外傷患者である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記患者は、癌患者であり、前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
周術期の輸血後に、それを必要とする癌患者の生存を改善するための方法であって、酸素低減保存赤血球(OR保存RBC)を、それを必要とする、外科的処置を受ける癌患者に提供することを含む、方法。
【請求項15】
前記OR保存RBCは、酸素および二酸化炭素低減赤血球(OCR-保存RBC)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)である、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記OR保存RBCは、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのRANTESまたはエオタキシン因子を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記RANTESのレベルは、21日後には500pg/ml未満であるか、前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には150pg/ml未満である、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
保存血液中のサイトカインを減少させるための方法であって、
抗凝固剤溶液中に血液を採取することと、
前記採取した血液から白血球を低減することと、
保存前の酸素飽和度(SO2)を30%以下に低下させることと、
前記採取した酸素低減血液を嫌気性条件下で保存して酸素低減保存血液を調製することと、を含む、方法。
【請求項20】
血小板を含む酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC+PLT)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記白血球の前記低減は、血小板を低減することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上のサイトカインのレベルが、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低い、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記サイトカインは、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)、アンジオゲニン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、上皮増殖因子(EGF)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ならびに血小板由来増殖因子(PDGF)からなる群から選択される、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記保存前の酸素飽和度を低下させることは、保存前の二酸化炭素分圧を60mmHg未満に低下させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
血小板を含む炭素および二酸化炭素低減濃厚赤血球(OCR-pRBC+PLT)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記白血球の前記低減は、血小板を低減することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記酸素低減保存血液は、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのRANTES因子を含む、請求項19または25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記酸素低減保存血液は、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのエオタキシン因子を含む、請求項19または25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記酸素低減保存血液は、改善されたレベルの2,3-DPGを有し、前記酸素低減‐白血球低減血液は、15日目に、白血球低減血液の初期2,3-DPGレベルよりも高い2,3-DPGレベルを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項32】
前記2,3-DPGレベルは、0日目の血液の2,3-DPGレベルよりも少なくとも80%またはそれ以上高い、請求項19または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記2,3-DPGレベルは、21日目に5~20μmol 2,3-DPG/gHbである、請求項19、31~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記酸素低減保存血液は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
抗凝固剤溶液中に酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を含み、30%以下の保存前および保存中の酸素飽和度(SO2)を有し、15日目に、前記酸素低減‐白血球低減全血の初期2,3-DPGレベルよりも高い2,3-DPGレベルを有するか、または、30%以下の保存前および保存中の酸素飽和度(SO2)ならびに60mmHg未満の保存前および保存中の二酸化炭素分圧を有する酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を含み、前記OCR-LRWBは、少なくとも3μmol/gHbのアデノシン三リン酸(ATP)レベルを有する、それを必要とする外傷患者への輸血のための血液組成。
【請求項36】
前記OR-LRWBの前記2,3-DPGレベルは、0日目の血液の2,3-DPGレベルよりも少なくとも80%またはそれ以上高い、請求項35に記載の血液組成。
【請求項37】
前記OR-LRWBの前記2,3-DPGレベルは、少なくとも5~20DPG μmol/gHbである、請求項35または請求項36に記載の血液組成。
【請求項38】
前記保存前の酸素飽和度は、20%未満、10%未満、または5%未満である、請求項35~37のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項39】
前記保存前の分圧は、1~60mmHg、10~60mmHg、20~40mmHg、1~20mmHgである、請求項35~38のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項40】
前記抗凝固剤溶液は、クエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA1)またはクエン酸リン酸デキストロース(CPD)である、請求項35~39のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項41】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)は、サイトカイン、ケモカイン、イソプロスタン、および酸化脂質産物からなる群から選択される、低レベルの生物学的応答調節物質(BRM)を有する、請求項35~40のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項42】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、炎症反応の低下を示す、請求項41に記載の血液組成。
【請求項43】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、免疫修飾作用の低下を示す、請求項41または請求項42に記載の血液組成。
【請求項44】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、多臓器機能障害のリスクが低下す
る、請求項41~43のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項45】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、敗血症のリスクが低下する、請求項41~44のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項46】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、感染のリスクが低下する、請求項41~45のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項47】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、死亡リスクが低下する、請求項41~46のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項48】
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、より高い赤血球(RBC)変形能を有する、請求項41~47のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項49】
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、トロンボエラストグラフィ(TEG)によって測定される同等のまたはより良好な凝固パラメータを有する、請求項41~48のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項50】
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、PT/PTT、フィブリノゲン、Dダイマー、およびトロンビン生成試験によって決定される同等のまたはより良好な凝固パラメータを有する、請求項41~49のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項51】
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、血小板凝集計によって測定される同等のまたはより良好な血小板機能パラメータを有する、請求項41~50のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項52】
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、第V因子、第VIII因子、AT、プロテインC、またはvWFを含む同等のまたはより良好なレベルの凝固因子を有する、請求項41~51のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項53】
前記血液は、それを必要としている患者への輸血に少なくとも3週間安全である、請求項41~52のいずれか一項に記載の血液組成。
【請求項54】
輸血を受ける患者における炎症反応を低下させる方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、嫌気性条件下での保存後に低レベルの炎症性サイトカインを有する、方法。
【請求項55】
前記低レベルの炎症性サイトカインは、非酸素低減保存赤血球と比較して低レベルのサイトカイン、エオタキシンまたはRANTESである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項54または請求項55に記載の方法。
【請求項57】
輸血を受ける患者における免疫修飾作用を低下させる方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、嫌気性条件下での保存後に低レベルのサイトカインを有し、前記サイトカインのレベルは、非酸素低減血液製剤と比較される、方法。
【請求項58】
前記サイトカインは、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)、アンジオゲニン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、上皮増殖因子(EGF)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ならびに血小板由来増殖因子(PDGF)からなる群から選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記サイトカインは、エオタキシンまたはRANTESである、請求項57または請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、血小板濃縮物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項57~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
それを必要とする患者における酸素の灌流を改善するための方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、従来通りに保存された血液製剤と比較してより高いRBC変形能を有する、方法。
【請求項62】
前記酸素低減血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、血小板濃縮物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記酸素低減血液製剤は、少なくとも1週間の保存後に、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)から、成分分離、血漿の低減、および添加液の添加によって得られた、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含む、回収された血液製剤である、請求項61または請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記回収された血液製剤は、最長42日間、最長56日間、または最長64日間保存される、請求項61~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
血液バンクを管理するための方法であって、
酸素低減全血および抗凝固剤、または酸素低減‐白血球低減全血および抗凝固剤を含む血液ユニットの在庫を維持することと、
患者の治療のために、前記在庫から前記血液ユニットのうちの1つ以上を提供することと、
前記在庫からの血液ユニットを再利用して、成分を分離した酸素低減血液ユニットを調製することと、を含む、方法。
【請求項66】
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットは、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、酸素低減血漿、またはそれらの組み合わせを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットを再利用して大量輸血キットを調製する、請求項65または請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記抗凝固剤は、クエン酸リン酸デキストロース(CPD)またはクエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA-1)を含む、請求項65~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記血液ユニットの再利用は、CPD含有血液ユニットの場合は保存の3週間前に、またはCPDA1含有血液ユニットの場合は保存の5週間前に行われる、請求項65~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記血液ユニットの再利用は、2週間で行われる、請求項65~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記血液ユニットの再利用は、嫌気性条件下で行われる、請求項65~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットは、添加液の添加後、最長6週間保存される、請求項65~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
ある体積の血漿およびある体積の血小板を含む白血球低減濃厚赤血球(LRpRBC+PLT)を含む大量輸血キットを調製することをさらに含む、請求項65~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:1である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:2である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記大量輸血キットは、ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記大量輸血キットは、ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:2である、請求項73または76に記載の方法。
【請求項78】
輸血医療のために血液製剤の供給を行う方法であって、
全血から酸素もしくは酸素および二酸化炭素を枯渇させて酸素低減全血(または酸素および二酸化炭素低減全血)を調製すること、ならびに
前記酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減全血をある期間保存し、前記保存血液を、それを必要とする患者に提供すること、または
前記酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減全血をある期間保存し、酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減濃厚赤血球を調製すること、を含む、方法。
【請求項79】
前記酸素または酸素および二酸化炭素低減濃厚赤血球は、第2の期間保存され、次いで、それを必要とする患者に提供される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の期間は、最長6週間である、請求項78または請求項79に記載の方法。
【請求項81】
酸素低減濃厚赤血球および血小板を含み、1×105/L未満の白血球を有する、血液組成。
【請求項82】
前記組成は、1×104/L未満の白血球を含む、請求項81に記載の血液組成。
【請求項83】
AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、AS-7、ESOL-5、EAS61、OFAS1、OFAS3、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される添加液をさらに含む、請求項81または請求項82に記載の血液組成。
【請求項84】
ある体積の血漿およびある体積のLRpRBC+PLTを含む、大量輸血キット。
【請求項85】
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:1である、請求項84に記載の大量輸血キット。
【請求項86】
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:2である、請求項84または請求項85に記載の大量輸血キット。
【請求項87】
ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、請求項84に記載の大量輸血キット。
【請求項88】
ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、請求項84または請求項87に記載の大量輸血キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者への輸血に有用な全血の品質を改善するための方法に関する。全血の嫌気的保存により、サイトカインレベルの低下、ならびに2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG)およびアデノシン三リン酸(ATP)レベルの改善がもたらされる。改善された血液組成は、癌患者および外傷患者への輸血に有用である。
【背景技術】
【0002】
保存血液を従来通りに保存した場合、特に、溶血、ヘモグロビン分解、ならびにATPおよび2,3-DPG濃度の低下を含む、種々の保存障害に関連する劣化が着実に起こる。患者に輸血されると、保存中の着実な劣化の影響が、例えば、24時間での体内回復として現れる。これらおよび他の保存血液の輸血による医学的後遺症のために、保存が血液に及ぼす影響を最小限に抑え、医学的転帰を改善するための様々な手法が開発されてきた。例えば、Zimring et al.,「Established and theoretical factors to consider in assessing the red cell storage lesion」 in Blood,125:2185-90(2015)を参照されたい。
【0003】
保存障害を最小限に抑え、輸血の転帰を改善することを目的とした数多くの手法が開発されている。ある手法は、保存中に含まれる添加液の開発であった。この手法の例として、血液の保存および活性化のための添加液を対象とする、Hamasakiらに対する米国特許第4,769,318号およびSasakawaらに対する米国特許第4,880,786号が挙げられる。例えば、Rejuvesol(登録商標)(Citra Lab LLC、Braintree,MAから入手可能)は、低温保存(すなわち、4℃)の後で輸血の直前に、または長期保存のために凍結する(すなわち、グリセロールを用いて-80℃)前に、血液に加えられる。Hessらに対する米国特許第6,447,987号は、ヒト赤血球の冷蔵保存のための添加液を対象としている。代替の手法は、血液を冷凍して保存障害の発生を防止することである。凍結血液の保存は当該技術分野で既知であるが、そのような凍結血液には限界がある。Serebrennikovらに対する米国特許第6,413,713号は、0℃未満の温度で血液を保存する方法を対象としている。Chaplin et al.,「Blood Cells for Transfusion,」Blood,59:1118-20(1982)、およびValeri et al.,「The survival,function,and hemolysis of human RBCs stored at 4 degrees C in additive solution(AS-1,AS-3,or AS-5)for 42 days and then biochemically modified,frozen,thawed,washed,and stored at 4 degrees C in sodium chloride and glucose solution for 24 hours,」Transfusion,40:1341-5(2000)を参照されたい。別のアプローチは、Satoらに対する米国特許第4,837,047号に提供されるような血液保存のための容器に関する。
【0004】
血液の品質を改善し、その有用性を拡張することに成功することが証明されている手法の1つは、酸素の枯渇および嫌気性条件下での保存によるものである。Bitenskyらに対する米国特許第5,624,794号、Bitenskyらに対する米国特許第6,162,396号、およびBitenskyに対する米国特許第5,476,764号は、酸素枯渇条件下での赤血球の保存を対象としている。Bitenskyらに対する米国特許第5,789,151号は、血液保存添加液を対象としている。酸素枯渇条件下で血液を保存することの利点の中には、ATPおよび2,3-DPGレベルの改善、ならびに溶血の低減がある。また、酸素枯渇条件下で血液を保存することは、従来の条件下で保存された血液と比較した場合に、微小粒子レベルの低下、変形能喪失の低減、脂質およびタンパク質酸化の低減、ならびにより高い輸血後生存率をもたらし得る。
【0005】
Bitenskyらに対する米国特許第6,162,396号(‘396特許)は、酸素不透過性の外層、酸素に対して透過性の赤血球(RBC)適合性内層を備え、内層と外層との間に配置された酸素スクラバーを有する、血液保存のための嫌気的保存バッグを開示している。
【0006】
酸素枯渇が濃厚赤血球に及ぼす影響については調査されてきたが、酸素枯渇が全血に及ぼす影響は報告されていない。一つには、全血の脱酸素化に関する研究の欠如は、有害作用が血小板の酸素が不足したときに起こり得るという予想に起因している可能性がある。より具体的には、凝固プロセスにおける血小板の重要な役割を考えると、血小板機能の低下が凝固障害を引き起こし、臨床転帰に悪影響を与えるという懸念が存在する。
【0007】
血小板の保存は、温度、pH、O2およびCO2濃度を含む最も好ましい条件を特定するために広く研究されてきた。この研究の結果は、保存血小板が輸血後にレシピエント内で生き残るために、血小板は、酸素への接触および室温での保存を必要とするという結論である。MurphyおよびGardnerは、1975年に、望ましくない形態学的変化は酸素消費量の低下と関連していると述べている。Murphy et al.,「Platelet storage at 22 degrees C:role of gas transport across plastic containers in maintenance of viability,」Blood 46(2):209-218(1975)を参照されたい。著者は、酸素への接触の増加が好気的代謝(酸化的リン酸化)を可能にし、乳酸産生速度の低下を引き起こすと観察している。低PO2レベルでは、パスツール効果と一致して乳酸産生が増加する。Moroffらは、保存血小板のpHをpH7に維持するためには、持続的な酸素消費が必要であると述べている。Moroff et al.,「Factors Influencing Changes in pH during Storage of Platelet Concentrates at 20-24℃,」Vox Sanguinis 42(1):33-45(1982)を参照されたい。特別に適合させた容器システムは、二酸化炭素および酸素に対する透過性を実現し、pHの壊滅的な低下を防止する。Kakaiya et al.,「Platelet preservation in large containers,」Vox Sanguinis 46(2):111-118(1984)に示されるように、血小板の品質を維持することは、ガス交換に利用可能な表面積の増加によって達成される改善されたガス交換条件の結果であった。血小板の保存中に酸素レベルを維持することの重要性が、ガス透過性容器の開発、および酸素富化雰囲気中での血小板の保存に結び付いた。1984年6月19日にGrodeに対して発行された米国特許第4,455,299号を参照されたい。保存血小板の生存能力に関する酸素の重要性は、酸素の乏しい環境では乳酸レベルが5~8倍増加するという観察によって裏付けられた。Kilkson et al.,「Platelet metabolism during storage of platelet concentrates at 22 degrees C.,」Blood 64(2):406-14(1984)を参照されたい。Wallvik et al.,「Platelet Concentrates Stored at 22℃ Need Oxygen The Significance of Plastics in Platelet Preservation,」Vox Sanguinis 45(4):303-311(1983)は、保存の最初の5日間に酸素を維持することが血小板の保存にとって不可欠であったと報告している。また、Wallvikおよび同僚は、成功裏に5日間保存することができる最大血小板数は、保存バッグの酸素拡散能の決定に基づいて予測可能であることも示した。Wallvik et al,「The platelet storage capability of different plastic containers,」Vox Sanguinis 58(1):40-4(1990)を参照されたい。十分なガス交換特性を有する血液バッグを提供することにより、pHが維持され、ATPの喪失およびα顆粒血小板因子4(PF4)の放出が防止された。上記参考文献の各々は、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0008】
これらの知見は、特に、輸血後の生存能力を最大限に生かすために、室温での保存中に血小板の酸素添加を確実にするよう業務の標準化をもたらした。血小板が冷蔵温度で保存された場合、輸血後の生存能力が失われ、そのような血小板は、自身の血小板を産生することができない癌患者への予防的輸血には不適切となる。その一方で、冷蔵温度で保存された血小板は、レシピエントに輸血されたときに止血機能を維持する。したがって、外傷性出血を呈する患者に血小板を投与する場合、生存能力は止血活性ほど重要ではない。我々は、最長3週間冷蔵した全血の嫌気的保存が、従来通りに冷蔵保存した全血と一致する止血活性をもたらすことを実証し、たとえそれらが酸素欠乏状態であっても、血小板の止血活性は低温保存によって維持されることを明確に示した。
【0009】
全血中の酸素の枯渇は文献中に述べられているが、全血の嫌気的保存の影響については開示されていない。前述のように、レシピエントにおける血小板(PLT)の長期生存(24時間を上回る)のためには、室温での保存だけではなく保存中の酸素も必要であることは十分に確立されている。しかしながら、出血性外傷蘇生の場合、PLTの長期生存は、その止血能と比較して重要ではない。近頃、保存全血または新鮮全血、および再構成全血(血漿、赤血球、および血小板の混合物)を輸血された患者が、有意により低い外傷後死亡率を有することが明らかとなった。我々は、最近、低温保存がPLTの嫌気的保存を可能にし、また、全血において、濃厚赤血球中に観察される嫌気的に保存されたRBCの既知の利点も提供することを発見した。より具体的には、有害な影響を引き起こすことなく予想外に凝固能を保持する一方で、脱酸素化された全血は、2,3,-DPGレベルの改善を提供する。保存期間にわたって、RBCの変形能は、脱酸素化条件下で維持される。
【0010】
イソプロスタン等の脂質過酸化のマーカーの蓄積によって示唆されるように、保存中の酸化による損傷は、濃厚赤血球(pRBC)の膜損傷の主要原因として関与しているとされてきた。保存期間中のサイトカイン量の増加も、輸血の負の転帰に関する潜在的な臨床的意義を有する保存障害の発生の一因となり得る。
【0011】
ある特定の患者集団は、他の集団よりも保存障害の影響を受けやすい。これらのより感受性の高い集団の中には、非限定的な例として、外傷患者および癌患者が含まれる。有害な臨床転帰には、炎症を媒介し、細胞増殖を調節し、血管新生を調節し、T細胞の機能を調整する、サイトカインを含む生物学的応答調節物質(BRM)の蓄積が関係している。これらのBRMとして、インターロイキン17(IL-17)、エオタキシン(CCL11)、塩基性FGF(bFGF)、マクロファージ炎症性タンパク質1a(MIP-1a)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、血小板由来増殖因子(PDGF)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、および血管内皮増殖因子(VEGF)が挙げられる。Behrens et al.,「Accumulation of biologic response modifiers during red blood cell cold storage,」Transfusion 49(Suppl3):10A(2009)を参照されたい。また、サイトカインが血液の保存中に蓄積することも観察されており、これらの蓄積したサイトカインは、癌患者に周術期に投与された場合、負の転帰に関連する可能性がある。Benson et al.,「Accumulation of Pro-Cancer Cytokines in the Plasma Fraction of Stored Packed Red Cells,」J Gastrointest Surg.16:460-468(2012)を参照されたい。BRMおよびサイトカインのレベル低下をもたらし、それによって患者転帰を改善する血液保存方法の必要性が存在する。
【0012】
外傷性損傷は、癌(生存年数の16%)および心疾患(12%)を上回り、米国で失われる生存年数の30%を占めている。外傷は、1~46歳の患者の間で死亡の主要原因となっている。出血による死亡は、外傷性損傷の24時間以内に起こることが多いが、大量出血に起因する早期死亡(3~6時間以内)は、早急かつ適切な処置により回避可能である。
【0013】
Damage Control Resuscitation(DCR)のプロトコルは、バランスの取れた比率の血液成分を使用することの概念について説明している。DCRは、急激な出血を呈する外傷患者の止血を行ってショックから回復させるための標準に急速になりつつある。民間の状況において、現在の血液貯蔵業務は全血の在庫を含まないため、DCRは、血液がレシピエント内で「再構成」されるように、別個の成分(RBC、血漿、および血小板)の連続的輸血によって実行される。今年早くに、大規模なランダム化比較試験(RCT)であるPragmatic Randomized Optimal Platelet and Plasma Ratios(PROPPR)が終了し、「再構成血液」を1:1:1のユニット比(血漿、血小板、およびRBC)および1:1:2の比で大量輸血を受ける外傷患者に輸血することの有効性を比較した。主な外傷センターでは、1:1:1の比の融解した新鮮凍結血漿(FFP)、血小板、およびRBCからなる包装済み血液製剤を組み合わせた大量輸血キットが、現在、容易に利用可能である。
【0014】
最近の研究によって、重度の出血を呈する患者を治療する場合、致命的な出血を起こしている患者の出血を制御し、ショックから回復させるために全血が優れていることが示されている。NHLBI State of the Science in Transfusion Medicine Symposiumの2015年の議事録は、重度の出血がある患者のための全血の研究を優先事項にした。同様に、ダメージコントロール蘇生に焦点を当てている国際的団体であるTHOR Networkは、出血性ショックに対する全血および成分の有効性および安全性の比較を優先事項にしている。現代の血液バンクは全血を日常的に供給しないため、調査を行ったレベル1外傷センターの80%超が、外傷性および非外傷性の両方の致命的な出血症例に対して、1:1:1~1:1:2の比で血漿、血小板、および赤血球ユニットを用いて、大量輸血プロトコルに必要とされる止血性のショック回復特性を模倣しようとしている。特に、融解した血漿の在庫が直ちに利用可能でない場合に、センターで血漿を融解する必要性を考慮すると、3つ全ての血液成分を迅速かつ安全に物理的に提供することは困難である。また最近のデータは、4℃で最長14日間の全血の保存が、22℃で保存するよりも優れた血小板機能および全体的な止血効果を維持することを示している。
【0015】
血液バンクがある特定の患者集団に使用するために全血を提供することの必要性に加えて、貴重な血液資源を保存する能力が重要である。特に、血液バンクは、通常、2週間後には全血ストックを廃棄するため(FDAの規制は、より長期の使用可能な有効期間を認めているにもかかわらず)、貴重な、そして不足しがちな資源を利用することができていない。そのような血液資源の価値を最大限に生かす能力は、レベルIIIおよびレベルIV外傷センターとしての役割を果たす小規模な病院にとって特に有用であり、その場合、酸素を枯渇させた止血性全血製剤を嫌気性条件下で維持し、次いで濃厚赤血球用に処理することができる。本明細書は、外傷患者に使用するための改善された全血の品質を提供し、またさらに、改善された特性を有し、保存障害の少ない濃厚赤血球のさらなる源も提供する。本明細書は、貴重なO型RH-のRBCS(典型的には全血輸血に用いられる)の無駄に関する懸念を克服する。したがって、嫌気性RBCは、酸素低減全血から得ることができ、最長6週間の保存に適した酸素枯渇RBCユニット中に再利用することができる。本明細書で提供される場合、脱酸素化濃厚赤血球は、輸血に使用されるか、または嫌気性条件下で後に使用するために保存された、未使用の酸素枯渇全血から得ることができる。
【発明の概要】
【0016】
本開示は、頻回輸血を必要とする患者の生存を改善するための方法であって、酸素を低減した保存赤血球を、それを必要とする、医療処置を受ける患者に提供することを含む方法を提供し、かつ含む。
【0017】
本開示は、周術期の輸血後に、それを必要とする癌患者の生存を改善するための方法であって、酸素を低減した保存赤血球を、それを必要とする、外科的処置を受ける癌患者に提供することを含む方法を提供し、かつ含む。
【0018】
本開示は、保存血液中の癌促進性サイトカインを減少させるための方法であって、抗凝固剤溶液中に血液を採取することと、採取した血液から白血球を低減することと、保存前の酸素飽和度(SO2)を30%以下に低下させることおよび保存前の二酸化炭素分圧を60mmHg未満に低下させることと、酸素および二酸化炭素低減血液を嫌気性条件下で保存することと、を含む、保存の前に血液から酸素を枯渇させることを含む、方法を提供し、かつ含む。
【0019】
本開示は、抗凝固剤溶液中に脱酸素化した白血球低減全血を含み、20%以下の保存前の酸素飽和度(SO2)および60mmHg未満の保存前の二酸化炭素分圧を有し、脱酸素化した白血球低減全血は、15日目に、脱酸素化した白血球低減血液の初期2,3-DPGレベルよりも高い2,3-DPGレベルを有する、それを必要とする外傷患者への輸血のための血液組成を提供し、かつ含む。
【0020】
本開示は、輸血を受ける患者における炎症反応を低下させる方法であって、酸素枯渇血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、酸素枯渇全血は、嫌気性条件下での保存後に低レベルの炎症性サイトカインを有する方法を提供し、かつ含む。
【0021】
本開示は、輸血を受ける患者における免疫応答を低下させる方法であって、酸素枯渇血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、酸素枯渇血液製剤は、嫌気性条件下での保存後に低レベルのサイトカインを有する方法を提供し、かつ含む。本開示による態様において、免疫応答は、免疫修飾作用または免疫抑制である。他の態様において、免疫応答は、例えば、炎症を含む活性化である。
【0022】
本開示は、それを必要とする患者における酸素の灌流を改善するための方法であって、酸素枯渇血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、酸素枯渇血液製剤は、従来通りに保存された血液製剤と比較してより高いRBC変形能を有する方法を提供し、かつ含む。
【0023】
本開示は、血液バンクを管理するための方法であって、酸素低減全血および抗凝固剤、または酸素低減‐白血球低減全血および抗凝固剤を含む血液ユニットの在庫を維持することと、患者の治療のために、在庫から血液ユニットのうちの1つ以上を提供することと、在庫からの血液ユニットを再利用して成分を分離した酸素低減血液ユニットを調製することと、を含む方法を提供し、かつ含む。本開示はさらに、大量輸血を必要とする外傷患者の治療のために再構成血液ユニットを調製するための、再利用血液ユニットの使用を提供する。
【0024】
本開示は、輸血医療のために血液製剤の供給を行う方法であって、全血から酸素もしくは酸素および二酸化炭素を枯渇させて酸素低減もしくは酸素および二酸化炭素低減全血を調製すること、ならびに酸素低減もしくは酸素および二酸化炭素低減全血を一定期間保存し、保存血液を、それを必要とする患者に提供すること、または、酸素低減もしくは酸素および二酸化炭素低減全血をある期間保存し、酸素低減もしくは酸素および二酸化炭素低減濃厚赤血球を調製することを含む方法を提供し、かつ含む。
【0025】
本開示は、添付の図面を参照して開示される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】
図1A~1Dは、サイトカイン測定の結果を示すグラフであり、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のエオタキシン(1A)およびRANTES(1B)レベルの低下を示す。
図1Cは、好気的に保存された濃厚赤血球と比較して、無細胞ヘモグロビンレベルの低下を示す。
図1Dは、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のイソプロスタンレベルの低下を示す。破線=好気的に保存された血液であり、実線=嫌気的に保存された血液である。
【
図1B】
図1A~1Dは、サイトカイン測定の結果を示すグラフであり、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のエオタキシン(1A)およびRANTES(1B)レベルの低下を示す。
図1Cは、好気的に保存された濃厚赤血球と比較して、無細胞ヘモグロビンレベルの低下を示す。
図1Dは、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のイソプロスタンレベルの低下を示す。破線=好気的に保存された血液であり、実線=嫌気的に保存された血液である。
【
図1C】
図1A~1Dは、サイトカイン測定の結果を示すグラフであり、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のエオタキシン(1A)およびRANTES(1B)レベルの低下を示す。
図1Cは、好気的に保存された濃厚赤血球と比較して、無細胞ヘモグロビンレベルの低下を示す。
図1Dは、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のイソプロスタンレベルの低下を示す。破線=好気的に保存された血液であり、実線=嫌気的に保存された血液である。
【
図1D】
図1A~1Dは、サイトカイン測定の結果を示すグラフであり、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のエオタキシン(1A)およびRANTES(1B)レベルの低下を示す。
図1Cは、好気的に保存された濃厚赤血球と比較して、無細胞ヘモグロビンレベルの低下を示す。
図1Dは、嫌気的に保存された濃厚赤血球中のイソプロスタンレベルの低下を示す。破線=好気的に保存された血液であり、実線=嫌気的に保存された血液である。
【0027】
【
図2A】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2B】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2C】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2D】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2E】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2F】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図2G】
図2A~2Gは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPD中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPD)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDの保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図2Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図2Bは、ATPのレベルを表す。
図2Cは、pHを表す。
図2Dは、血小板数を表す。
図2Eは、カリウムレベルを表す。
図2Fは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図2Aのデータを表す。
図2Gは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図2Bのデータを表す。凡例:試料c68/80は、68%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c50/94は、50%の初期酸素飽和度および94mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc91/75は、91%の初期酸素飽和度および75mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc69/87は、69%の初期酸素飽和度および87mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc5/78は、5%の初期酸素飽和度および78mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc7/64は、7%の初期酸素飽和度および64mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T4/26は、4%の初期酸素飽和度および26mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【0028】
【
図3A】
図3A~3Dは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図3Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図3Bは、ATPのレベルを表す。
図3Cは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図3Aのデータを表す。
図3Dは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図3Bのデータを表す。凡例:試料c32/98は、32%の初期酸素飽和度および98mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c56/86は、56%の初期酸素飽和度および86mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc59/95は、59%の初期酸素飽和度および95mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc82/84は、82%の初期酸素飽和度および84mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc7/80は、7%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc6/77は、6%の初期酸素飽和度および77mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T7/23は、7%の初期酸素飽和度および23mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図3B】
図3A~3Dは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図3Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図3Bは、ATPのレベルを表す。
図3Cは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図3Aのデータを表す。
図3Dは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図3Bのデータを表す。凡例:試料c32/98は、32%の初期酸素飽和度および98mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c56/86は、56%の初期酸素飽和度および86mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc59/95は、59%の初期酸素飽和度および95mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc82/84は、82%の初期酸素飽和度および84mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc7/80は、7%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc6/77は、6%の初期酸素飽和度および77mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T7/23は、7%の初期酸素飽和度および23mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図3C】
図3A~3Dは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図3Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図3Bは、ATPのレベルを表す。
図3Cは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図3Aのデータを表す。
図3Dは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図3Bのデータを表す。凡例:試料c32/98は、32%の初期酸素飽和度および98mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c56/86は、56%の初期酸素飽和度および86mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc59/95は、59%の初期酸素飽和度および95mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc82/84は、82%の初期酸素飽和度および84mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc7/80は、7%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc6/77は、6%の初期酸素飽和度および77mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T7/23は、7%の初期酸素飽和度および23mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【
図3D】
図3A~3Dは、酸素低減下、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による2つの実験の結果を表すグラフである。
図3Aは、2,3-DPGのレベルを表す。
図3Bは、ATPのレベルを表す。
図3Cは、0日目(T
0)の2,3-DPGのレベルと比較して再度プロットした
図3Aのデータを表す。
図3Dは、0日目(T
0)のATPのレベルと比較して再度プロットした
図3Bのデータを表す。凡例:試料c32/98は、32%の初期酸素飽和度および98mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料c56/86は、56%の初期酸素飽和度および86mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc59/95は、59%の初期酸素飽和度および95mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料sc82/84は、82%の初期酸素飽和度および84mmHgのCO
2分圧を有する、従来通りに保存された血液である;試料tc7/80は、7%の初期酸素飽和度および80mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料tc6/77は、6%の初期酸素飽和度および77mmHgのCO
2分圧を有する、酸素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T5/28は、5%の初期酸素飽和度および28mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である;試料T7/23は、7%の初期酸素飽和度および23mmHgのCO
2分圧を有する、酸素および二酸化炭素を枯渇させた、嫌気的に保存された血液である。
【0029】
【
図4A】
図4A~4Cは、酸素低減(OR)下、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図4Aは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のATPのレベルを表す。
図4Bは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の2,3-DPGのレベルを表す。
図4Cは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のパーセント溶血を表す。
図4A~4Cに表されるグラフにおいて、点線=OR-LRWB/CPDA1保存血液であり、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図4B】
図4A~4Cは、酸素低減(OR)下、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図4Aは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のATPのレベルを表す。
図4Bは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の2,3-DPGのレベルを表す。
図4Cは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のパーセント溶血を表す。
図4A~4Cに表されるグラフにおいて、点線=OR-LRWB/CPDA1保存血液であり、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図4C】
図4A~4Cは、酸素低減(OR)下、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図4Aは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のATPのレベルを表す。
図4Bは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の2,3-DPGのレベルを表す。
図4Cは、OR-LRWB/CPDA1、OCR-LRWB/CPDA1、および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のパーセント溶血を表す。
図4A~4Cに表されるグラフにおいて、点線=OR-LRWB/CPDA1保存血液であり、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【0030】
【
図5A】
図5A~5Dは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図5Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における活性化部分トロンビン時間(aPTT)を秒で表す。
図5Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロトロンビン時間(PT)を秒で表す。
図5Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフィブリノゲンのレベルを表す。
図5Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のDダイマーのレベルを表す。血漿凝固パラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線は=従来通りに保存された血液である。
【
図5B】
図5A~5Dは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図5Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における活性化部分トロンビン時間(aPTT)を秒で表す。
図5Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロトロンビン時間(PT)を秒で表す。
図5Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフィブリノゲンのレベルを表す。
図5Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のDダイマーのレベルを表す。血漿凝固パラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線は=従来通りに保存された血液である。
【
図5C】
図5A~5Dは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図5Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における活性化部分トロンビン時間(aPTT)を秒で表す。
図5Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロトロンビン時間(PT)を秒で表す。
図5Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフィブリノゲンのレベルを表す。
図5Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のDダイマーのレベルを表す。血漿凝固パラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線は=従来通りに保存された血液である。
【
図5D】
図5A~5Dは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図5Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における活性化部分トロンビン時間(aPTT)を秒で表す。
図5Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロトロンビン時間(PT)を秒で表す。
図5Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフィブリノゲンのレベルを表す。
図5Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のDダイマーのレベルを表す。血漿凝固パラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線は=従来通りに保存された血液である。
【0031】
【
図6A】
図6A~6Eは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図6Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第V因子のレベルを表す。
図6Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第VIII因子のレベルを表す。
図6Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインC活性を表す。
図6Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインS活性を表す。
図6Eは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを表す。血漿凝固因子を表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図6B】
図6A~6Eは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図6Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第V因子のレベルを表す。
図6Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第VIII因子のレベルを表す。
図6Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインC活性を表す。
図6Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインS活性を表す。
図6Eは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを表す。血漿凝固因子を表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図6C】
図6A~6Eは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図6Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第V因子のレベルを表す。
図6Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第VIII因子のレベルを表す。
図6Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインC活性を表す。
図6Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインS活性を表す。
図6Eは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを表す。血漿凝固因子を表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図6D】
図6A~6Eは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図6Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第V因子のレベルを表す。
図6Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第VIII因子のレベルを表す。
図6Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインC活性を表す。
図6Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインS活性を表す。
図6Eは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを表す。血漿凝固因子を表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図6E】
図6A~6Eは、酸素および二酸化炭素低減下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図6Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第V因子のレベルを表す。
図6Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中の第VIII因子のレベルを表す。
図6Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインC活性を表す。
図6Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるプロテインS活性を表す。
図6Eは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1中のフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを表す。血漿凝固因子を表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【0032】
【
図7A】
図7A~7Dは、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図7Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるフィブリンの堆積および架橋が起こる速度(TEG角度)を表す。
図7Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における血中動態(TEG K)の比較を表す。
図7Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における最大振幅を表す。
図7Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における反応時間を表す。トロンボエラストグラフィ(TEG)のパラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図7B】
図7A~7Dは、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図7Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるフィブリンの堆積および架橋が起こる速度(TEG角度)を表す。
図7Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における血中動態(TEG K)の比較を表す。
図7Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における最大振幅を表す。
図7Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における反応時間を表す。トロンボエラストグラフィ(TEG)のパラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図7C】
図7A~7Dは、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図7Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるフィブリンの堆積および架橋が起こる速度(TEG角度)を表す。
図7Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における血中動態(TEG K)の比較を表す。
図7Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における最大振幅を表す。
図7Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における反応時間を表す。トロンボエラストグラフィ(TEG)のパラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【
図7D】
図7A~7Dは、酸素および二酸化炭素低減(OCR)下の抗凝固剤溶液CPDA1中に採取された白血球低減全血(LRWB/CPDA1)、ならびに従来通りに保存されたLRWB/CPDA1の保存を21日の期間にわたって比較した、本開示による実験の結果を表すグラフである。
図7Aは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1におけるフィブリンの堆積および架橋が起こる速度(TEG角度)を表す。
図7Bは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における血中動態(TEG K)の比較を表す。
図7Cは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における最大振幅を表す。
図7Dは、OCR-LRWB/CPDA1および従来通りに保存されたLRWB/CPDA1における反応時間を表す。トロンボエラストグラフィ(TEG)のパラメータを表すグラフにおいて、破線=ORC-LRWB/CPDA1保存血液であり、実線=従来通りに保存された血液である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
別途定義されない限り、本明細書で使用される科学的用語および技術的用語は、当該技術分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。当業者は、多くの方法が本開示の実施において使用され得ることを認識するであろう。実際に、本開示は、記載される方法および材料を決して限定するものではない。本明細書に引用されるいずれの参考文献も、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本開示の目的のために、以下の用語を下記に定義する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、血液製剤を受ける医療処置を必要とする人物を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「頻回輸血」という用語は、患者が195ユニットを超える血液を受けることを指す。別の態様において、頻回輸血は、患者が少なくとも1×105mLの血液を受けることを含むことができる。別の態様において、頻回輸血は、患者が1~1×105mLの血液を受けることを含む。別の態様において、頻回輸血は、患者が1×104~1×105mLの血液を受けることを含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「血液」という用語は、全血、白血球低減RBC、血小板低減RBC、ならびに白血球および血小板低減RBCを指す。血液という用語はさらに、濃厚赤血球、血小板低減濃厚赤血球、白血球低減濃厚赤血球(LRpRBC)、ならびに白血球および血小板低減濃厚赤血球を含む。血液の温度は、採取プロセスの段階に応じて異なり得るが、採取時点の正常な体温である37℃から始まって、血液が患者の体外に出るとすぐに約30℃まで急速に低下し、処理されない場合は、その後さらに約6時間で室温まで低下し、最終的には約4℃~6℃で冷蔵される。
【0037】
本明細書で使用される場合、「血液製剤」は、分離された血小板、血漿、または白血球を含む。
【0038】
本明細書で使用される場合、「回収された血液製剤」は、ドナーから採取された、分離された血小板、血漿、または白血球を含む。
【0039】
本明細書で使用される場合、「回収された血液」は、ドナーから採取され、以前に酸素低減条件下で保存されていた全血および赤血球を含む。本開示のある態様において、この方法における使用に適した血液は、少なくとも1週間の保存後に、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)から得られた、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含む。別の態様において、この方法における使用に適した血液は、最長42日間保存される。別の態様において、この方法における使用に適した血液は、最長56日間保存される。別の態様において、この方法における使用に適した血液は、最長64日間保存される。
【0040】
本明細書で使用される場合、「成分を分離した血液製剤」を得る方法は、血液バンクの在庫から再利用血液を得ることと、血小板、血漿、および白血球に分離することとを含む。この方法における使用に適した血液は、抗凝固剤を有する酸素低減全血および抗凝固剤を有する酸素低減‐白血球低減全血を含む。本開示の一態様において、成分を分離した酸素低減血液は、最長6週間保存される。別の態様において、成分を分離した酸素低減血液は、添加液を含む。ある特定の態様において、添加液は、AS-1であってもよい。ある特定の態様において、添加液は、AS-3(Nutricel(登録商標))である。ある特定の態様において、添加液は、AS-5である。ある特定の態様において、添加液は、SAGMである。ある特定の態様において、添加液は、PAGG-SMである。ある特定の態様において、添加液は、PAGG-GMである。ある特定の態様において、添加液は、MAPである。ある特定の態様において、添加液は、SOLXである。ある特定の態様において、添加液は、ESOLである。ある特定の態様において、添加液は、EAS61である。ある特定の態様において、添加液は、OFAS1である。ある特定の態様において、添加液は、OFAS3である。ある特定の態様において、添加液は、単独のまたは併用される、AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、SOLX、ESOL、EAS61、OFAS1、およびOFAS3の組み合わせである。
【0041】
本明細書で使用される場合、「再構成されたWB」は、輸血の間に、血小板、RBC、および血漿を並行して患者に提供することを含む。
【0042】
本明細書で使用される場合、「誘導されたWB」は、酸素低減全血ならびに酸素および二酸化炭素低減全血を含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「保存赤血球」は、1~6℃で保存された、酸素低減赤血球または酸素および二酸化炭素低減赤血球を含む。一態様において、保存赤血球は、全血中に存在する赤血球(RBC)を含む。別の態様において、保存赤血球は、白血球低減全血中に存在するRBCを含む。別の態様において、保存赤血球は、白血球低減RBC中に存在する赤血球(RBC)を含む。さらなる態様において、保存赤血球は、血小板低減RBC中に存在する赤血球(RBC)を含む。さらに別の態様において、保存赤血球は、白血球低減RBCおよび血小板低減RBC中に存在する赤血球(RBC)を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「全血」は、白血球(WBC)、血漿中に懸濁された血小板を含み、電解質、ホルモン、ビタミン、抗体等を含む。全血中には、白血球が、通常、4.5~11.0~109細胞/Lの範囲で存在し、海面位での正常なRBCは、男性で4.6~6.2×1012/L、女性で4.2~5.4×1012/Lである。正常なヘマトクリット値、または血中血球容積は、男性で約40~54%、女性で約38~47%である。血小板数は、通常、男性および女性とも150~450×109/Lである。全血は、献血者から採取され、通常、抗凝固剤と組み合わされる。採取された全血は、最初は約37℃であり、採取中および採取の直後には約30℃まで急速に冷却するが、約6時間かけて周囲温度まで徐々に冷却する。全血は、30~37℃から開始して、または室温(典型的には約25℃)で、採取時に本開示の方法に従って処理されてもよい。本明細書で使用される場合、血液の「ユニット」は、抗凝固剤を含めて約450~500mlである。適切な抗凝固剤として、CPD、CPDA1、ACD、およびACD-Aが挙げられる。本明細書で使用される場合、「採取時間」(Tc)は、患者から血液が採取される時間である。
【0045】
本明細書で使用される場合、「赤血球」(RBC)、保存赤血球、酸素低減赤血球、ならびに酸素および二酸化炭素低減赤血球は、全血中に存在するRBC、白血球低減RBC、血小板低減RBC、白血球および血小板低減RBC、ならびに濃厚赤血球(pRBC)を含む。体内にあるヒト赤血球は動的状態にある。赤血球は、体中に酸素を運び、赤い血液にその色を与える鉄含有タンパク質であるヘモグロビンを含有する。赤血球で構成される血液の体積の割合は、ヘマトクリット値と称される。本明細書で使用される場合、別途限定されない限り、RBCは濃厚赤血球(pRBC)も含む。濃厚赤血球は、当該技術分野で一般的に知られる遠心分離技術を使用して全血から調製される。本明細書で使用される場合、別途指示されない限り、pRBCのヘマトクリット値は約70%である。本明細書で使用される場合、酸素低減RBC(OR-RBC)は、酸素および二酸化炭素(OCR-)を低減したRBC(OCR-RBC)を含むことができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「白血球低減全血」(LRWB)は、通常、濾過または遠心分離によって白血球および血小板を低減するために処理された、抗凝固剤を有する全血を含む。白血球低減全血は、少なくとも5対数低下した白血球のレベルを有する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「酸素低減‐白血球低減全血」(OR-LRWB)は、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を含むことができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「血小板を含む白血球低減全血」(LRWB+PLT)は、抗凝固剤を有し、血小板保存フィルタを用いて白血球を低減した酸素低減(OR-)全血を含む。本明細書で使用される場合、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+ PLT)は、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を含むことができる。
【0049】
本明細書で使用される場合、「白血球低減濃厚赤血球」(LRpRBC)は、通常、濾過または遠心分離によって白血球を低減するために処理された、抗凝固剤を有する酸素低減(OR-)全血を有する濃厚赤血球を含む。本明細書で使用される場合、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)は、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)を含むことができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「血小板を含む白血球低減濃厚赤血球」(LRpRBC+PLT)は、血小板保存フィルタを用いて白血球を低減するために処理された、抗凝固剤を有する酸素低減全血から得られた血小板を有する濃厚赤血球を含む。本明細書で使用される場合、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)は、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含むことができる。
【0051】
本開示の態様において、方法および組成は、濃厚RBCに添加液を加えて懸濁液を形成することを含んでもよい。多数の添加液が、当該技術分野で既知である。ある特定の態様において、添加液は、AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、AS-7、ESOL-5、EAS61、OFAS1、およびOFAS3からなる群から、単独でまたは組み合わせて選択されてもよい。添加剤AS-1は、Heaton et al.,「Use of Adsol preservation solution for prolonged storage of low viscosity AS-1 red blood cells,」Br J Haematol.,57(3):467-78(1984)に開示されている。さらなる態様において、添加液は、5.0~9.0のpHを有してもよい。別の態様において、添加剤は、抗酸化剤を含んでもよい。本開示によるいくつかの態様において、抗酸化剤は、ケルセチン、αトコフェロール、アスコルビン酸、またはオキシダーゼ酵素阻害剤であってもよい。
【0052】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、±10%を指す。
【0053】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの活用形は、「限定されないが~を含む」を意味する。
【0054】
「~なる」という用語は、「~を含み、それに限定される」を意味する。
【0055】
「~から本質的になる」という用語は、追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求される組成、方法、または構造の基本的なおよび新規の特徴に実質的に影響を及ぼさない場合に限り、組成、方法、または構造が、それらの追加の成分、ステップ、および/または部分を含んでもよいことを意味する。
【0056】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに別途指示されない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含んでもよい。
【0057】
本出願を通して、本開示の種々の態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式の記載は、便宜上および簡潔さのためであるに過ぎず、本開示の範囲に対する確固たる制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、全ての考えられる部分的な範囲、およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、「1~6」等の範囲の記載は、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等の部分的な範囲だけではなく、その範囲内の個々の数字、例えば、1、2、3、4、5、および6も具体的に開示されたと見なされるべきである。これは、範囲の広さに関係なく適用される。
【0058】
本明細書に数値範囲が示される場合はいつでも、示される範囲内に挙げられたいかなる数値(分数または整数)も含むことを意味する。第1の指示数と第2の指示数「に及ぶ/との間の範囲」という句と、第1の指示数「から」第2の指示数「に及ぶ/までの範囲」という句は、本明細書において同義に使用され、第1および第2の指示数と、それらの間の全ての小数および整数を含むもことを意味する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「方法」という用語は、既知であるか、または化学、薬理学的、生物学的、生化学、および医療分野の従事者によって、既知の様式、手段、技術、および手順から容易に開発されるかのいずれかである、様式、手段、技術、および手順を含むがこれに限定されない所与の作業を達成するための様式、手段、技術および手順を意味する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「均等」という用語は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の測定値を、別の方法で同等に処理された従来通りに保存された血液の測定値と比較した場合に、各比較測定条件につき少なくとも5つの試料サイズで、互いの1標準偏差以内であることを意味する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「より高い」または「増加した」という用語は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の測定値をOR-WBと比較した場合に、別の方法で同等に処理された従来通りに保存された血液の測定値と比較した場合に、各比較測定条件につき少なくとも5つの試料サイズで、少なくとも1標準偏差高いことを意味する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「減少した」または「より少ない」という用語は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の測定値をOR-WBと比較した場合に、別の方法で同等に処理された従来通りに保存された血液の測定値と比較した場合に、各比較測定条件につき少なくとも5つの試料サイズで、少なくとも1標準偏差低いことを意味する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「従来通りに保存された」、「従来の保存」、および「従来の条件」という用語は、保存前にガス低減ステップなしで、1~6℃の酸素および二酸化炭素透過性容器内に保存された、全血、白血球低減RBC、血小板低減RBC、白血球および血小板低減RBC、濃厚赤血球、血小板低減濃厚赤血球、白血球低減濃厚赤血球(LRpRBC)、ならびに白血球および血小板低減濃厚赤血球を含む。本開示の一態様において、酸素および二酸化炭素は両方とも、従来通りに保存された全血、白血球低減RBC、血小板低減RBC、白血球および血小板低減RBC、濃厚赤血球、血小板低減濃厚赤血球、白血球低減濃厚赤血球(LRpRBC)、ならびに白血球および血小板低減濃厚赤血球中で、酸素および二酸化炭素の容器透過性に起因して経時的に周囲レベルまで増加する。本来は従来通りであるとは見なされないが、本開示の目的のために、従来の保存は、6℃を上回る温度での保存を含むことができる。また、本来は従来通りであるとは見なされないが、本開示の目的のために従来の保存は、凍結温度での保存を含むことができる。
【0064】
本開示は、輸血用の血液製剤に望ましい特徴を提供するための方法を提供し、かつ含む。濃厚赤血球からの酸素の枯渇が、未結合サイトカイン、特に、RANTES(C-Cモチーフケモカインリガンド5、CCL5)およびエオタキシン(C-Cモチーフケモカインリガンド11、CCL11)、ならびに無細胞ヘモグロビンおよび8-イソプロスタンF2αの蓄積の減少をもたらすことが発見された。理論によって拘束されるものではないが、RANTESおよびエオタキシンは、通常、DARC(非典型的ケモカイン受容体1、ACKR1)への結合およびDARCへの酸化ストレスによる損傷によって隔離され、結合ケモカインを放出すると考えられる。したがって、ケモカインの総含有量は変化しないが、有効濃度(例えば、自由拡散および未結合)が上昇し、次いで、輸血された患者に影響を及ぼすことができる。理解されるように、これらの活性ケモカインの存在(用量依存様式で作用する)は、2回以上の輸血を受ける外傷患者および他の患者にとって有害であり得る。これらの知見は、2,3-DPG値の上昇に関連する望ましい効率的な酸素送達に加えて、嫌気的に保存された血液の予想外の利点を実証するものであり、保存中のpRBCの酸化による損傷に起因する保存障害の成分のうちのいくつかの潜在的な減少を提供する。これらのサイトカインは、いくつかの患者集団において患者転帰と負の関連があることが知られている。したがって、未結合サイトカインの蓄積を減少させることができるという発見は、サイトカインの影響を受けやすい患者を治療する改善された方法を提供する。
【0065】
本開示は、酸素を低減した保存赤血球(OR保存RBC)を、医療処置を受ける、それを必要とする患者に提供することにより、頻回輸血を必要とする患者の生存を改善することを提供し、かつ含む。理論によって拘束されるものではないが、サイトカインレベルの上昇は、レシピエント患者に有害な影響を及ぼし、死亡率を増加させると考えられる。一態様において、保存赤血球は、酸素が低減されている(OR)。さらなる態様において、保存赤血球は、酸素および二酸化炭素の両方が低減されている(OCR)。実施例に示されるように、OCR試料において、ATPのレベルが低下し、少なくとも15日間より低いレベルで維持されたのに対し、OR試料では、ATPのレベルは従来通りに保存された試料と比較して上昇した(
図4Aを参照)。実施例に示されるように、OCR試料において、2,3-DPGのレベルが上昇し、少なくとも15日間高いレベルで維持されたのに対し、OR試料では、2,3-DPGレベルは従来の保存にわたって増加したが、OCR試料の2,3-DPGレベルほど高くはなかった(
図4Bを参照)。さらに、実施例に示されるように、溶血は、OR試料、OCR試料、および従来通りに保存された試料において同等であった。
【0066】
本開示の一態様において、サイトカインは、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)を含む。別の態様において、サイトカインは、活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)を含む。別の態様において、サイトカインはアンジオゲニンを含む。本開示の別の態様において、サイトカインは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)を含む。別の態様において、サイトカインは、上皮増殖因子(EGF)を含む。さらなる態様において、サイトカインは、血小板由来増殖因子(PDGF)を含む。
【0067】
本開示の一態様において、RANTES因子のレベルは、OR条件下で21日後には500pg/ml未満である。別の態様において、RANTES因子のレベルは、OR条件下で21日後には400pg/ml未満である。別の態様において、RANTES因子のレベルは、OR条件下で21日後には300pg/ml未満である。別の態様において、RANTES因子のレベルは、OR条件下で21日後には100pg/mlを上回る。さらなる態様において、RANTES因子のレベルは、OR条件下で21日後には0~300pg/mlである。
【0068】
本開示の一態様において、エオタキシン因子のレベルは、OR条件下で21日後には150pg/ml未満である。別の態様において、エオタキシン因子のレベルは、OR条件下で21日後には100pg/ml未満である。別の態様において、エオタキシン因子のレベルは、OR条件下で21日後には0~100pg/mlである。別の態様において、エオタキシン因子のレベルは、好ましくはOR条件下で21日後には100pg/mlである。別の態様において、エオタキシン因子のレベルは、OR条件下で21日後には100pg/mlを上回る。さらなる態様において、エオタキシン因子のレベルは、OR条件下で21日後には0~300pg/mlである。
【0069】
本開示による態様において、OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される。他の態様において、前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を含む。
【0070】
一態様において、頻回輸血を必要とする患者は、外傷患者である。別の態様において、頻回輸血を必要とする患者は、移植患者である。別の態様において、頻回輸血を必要とする患者は、心臓手術患者である。別の態様において、頻回輸血を必要とする患者は、産科患者である。別の態様において、頻回輸血を必要とする患者は、消化管(GI)手術患者である。さらなる態様において、患者は、整形外科手術患者である。
【0071】
一態様において、頻回輸血を必要とする患者は、外傷患者である。別の態様において、頻回輸血を必要とする患者は、出血性外傷患者である。さらなる態様において、頻回輸血を必要とする患者は、鈍的外傷患者である。
【0072】
一態様において、酸素低減保存濃厚赤血球中のサイトカインの減少は、輸血を必要とする癌患者の治療の改善を提供する。当該技術分野において、サイトカインは、癌患者の外科治療のために周術期輸血を受ける患者の負の患者転帰と関連していることが知られている。一態様において、酸素を枯渇させ、サイトカインを減少させた血液製剤は、手術を受ける前に癌患者に提供される。別の態様において、酸素を枯渇させ、サイトカインを減少させた血液製剤は、手術中に癌患者に提供される。別の態様において、酸素を枯渇させ、サイトカインを減少させた血液製剤は、手術後に癌患者に提供される。
【0073】
本開示による態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された白血球低減全血(WB)と比較してより高いレベルの2,3-DPGを有し、改善された酸素送達を提供する。嫌気性条件下では、2,3-DPGレベルは、全血中で最長4週間維持することができる。一態様において、2,3-DPGレベルは、生理学的レベルの50%超で最長4週間維持される。本開示による態様において、改善された2,3-DPGレベルは2週間維持される。他の態様において、2,3-DPGレベルは3週間維持される。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の2,3-DPGレベルは、ゼロ日目の血液の,3-DPGレベルの少なくとも80%以上である。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の2,3-DPGレベルは、少なくとも5~20DPG μmol/gHbである。
【0074】
また、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの生物学的応答調節物質(BRM)を有する、枯渇全血(OR-WB)を有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)も提供され、かつ本開示に含まれる。ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中に存在するBRMは、21日後には従来通りに保存された血液のレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、嫌気性条件下で保存した10日後に、比較的変化してないサイトカインのレベルを有する。別の態様において、サイトカインレベルは、30日保存した後に比較的変化していない。別の態様において、サイトカインレベルは、40日保存した後に比較的変化していない。本明細書で使用される場合、「比較的変化していない」は、ヘモグロビンレベルに正規化されたサイトカインの濃度が、サイトカインの初期正規化濃度の1標準偏差以内であることを意味する。
【0075】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルのサイトカインエオタキシンを有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のエオタキシンのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するエオタキシンのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のエオタキシンのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するエオタキシンのレベルの約25%以下である。
【0076】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルのサイトカインRANTES(活性化時調節正常T細胞発現および分泌物)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のRANTESのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中のRANTESのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のRANTESのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するRANTESのレベルの約25%以下である。
【0077】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの単球走化性タンパク質-1(MCP-1)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のMCP-1のレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するMCP-1のレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のMCP-1のレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するMCP-1のレベルの約25%以下である。
【0078】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルのアンジオゲニンを有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のアンジオゲニンのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するアンジオゲニンのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のアンジオゲニンのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するアンジオゲニンのレベルの約25%以下である。
【0079】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの腫瘍壊死因子α(TNF-α)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のTNF-αのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するTNF-αのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のTNF-αのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するTNF-αのレベルの約25%以下である。
【0080】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの上皮増殖因子(EGF)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のEGFのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するEGFのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のEGFのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するEGFのレベルの約25%以下である。
【0081】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの可溶性CD40リガンド(sCD40L)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のsCD40Lのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するsCD40Lのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のsCD40Lのレベルは、40日後に従来通りに保存された血液中に存在するsCD40Lのレベルの約25%以下である。
【0082】
ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された全血と比較して低レベルの血小板由来増殖因子(PDGF)を有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のPDGFのレベルは、ヘモグロビン濃度に正規化された、21日後に従来通りに保存された血液中に存在するPDGFのレベルの約半分である。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中のPDGFのレベルは、40日後には従来通りに保存された血液中に存在するPDGFのレベルの約25%以下である。
【0083】
本開示は、従来通りに保存された酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)と比較して、患者に輸血されたときに炎症反応の低下を提供する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。
【0084】
本開示は、従来通りに保存された血液製剤と比較してより高いRBC変形能を有する血液製剤を提供する酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を提供し、かつ含む。ある特定の態様において、血液製剤は全血製剤である。別の態様において、血液製剤は白血球低減全血である。別の態様において、血液製剤は、白血球低減全血および血小板低減全血である。さらなる態様において、血液製剤は、白血球低減濃厚赤血球または白血球および血小板低減濃厚赤血球である。
【0085】
本開示は、トロンボエラストグラフィ(TEG)によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のTEG凝固パラメータは、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球除去全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のTEG凝固パラメータよりも高いTEG凝固パラメータを有する。一態様において、TEG角度は、40度よりも大きい。別の態様において、TEG動態(K)は、5分未満である。別の態様において、TEG Kは、1~5分である。別の態様において、TEG最大振幅(TEG MA)は、50mmよりも大きい。別の態様において、TEG最大振幅(TEG MA)は、70mm未満である。別の態様において、TEG最大振幅(TEG MA)は、30~65分である。別の態様において、TEG反応時間(TEG R)は、10分未満である。別の態様において、TEG反応時間(TEG R)は、8分未満である。別の態様において、TEG反応時間(TEG R)は、少なくとも3分である。さらなる態様において、TEG反応時間(TEG R)は、4~8分である。
【0086】
本開示は、プロトロンビン時間(PT)によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のPTは、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のPTよりも長いPTを有する。さらなる態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)は、15秒未満のPTを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)は、5秒より長いPTを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)は、10~15秒のPTを有する。
【0087】
本開示は、部分トロンボプラスチン時間(PTT)によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のPTTは、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のPTTよりも長いPTTを有する。さらなる態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、25秒よりも長いPTTを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、40秒未満のPTTを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、32~42秒のPTTを有する。
【0088】
本開示は、フィブリノゲン活性のレベルによって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する全血(OR-WB)を有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のフィブリノゲン活性は、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のフィブリノゲン活性よりも高いフィブリノゲン活性を有する。さらなる態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、少なくとも200mg/mlであるフィブリノゲンレベルを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、多くとも400mg/mlであるフィブリノゲンレベルを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、250~350mg/mlのフィブリノゲンレベルを有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、250~300mg/mlのフィブリノゲンレベルを有する。
【0089】
本開示は、Dダイマー分析によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する全血(OR-WB)を有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のDダイマー値は、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のDダイマー値よりも高いDダイマー値を有する。
【0090】
本開示は、トロンビン生成試験によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の凝固パラメータの少なくとも75%である凝固パラメータを有する全血(OR-WB)を有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のトロンビン生成値は、従来通りに保存された血液と同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液のトロンビン生成値よりも高いトロンビン生成値を有する。
【0091】
本開示は、血小板凝集計によって測定した場合に、従来通りに保存された全血の血小板機能パラメータの少なくとも75%である血小板機能パラメータを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)の血小板機能パラメータは、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータと同等である。さらに別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高い血小板機能パラメータを有する。
【0092】
本開示は、従来通りに保存された血液中の凝固因子のレベルの少なくとも75%である凝固因子のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、凝固因子のレベルは、従来通りに保存された血液の凝固因子のレベルと同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高い血小板機能パラメータを有する。理論によって拘束されるものではないが、凝固因子の酸化分解は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)において防止または低減され、より高いレベルの凝固因子活性を提供すると考えられる。凝固能に関する治療の効果を評価するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Pidcoke et al.,「Primary hemostatic capacity of whole blood:a comprehensive analysis of pathogen reduction and refrigeration effects over time,」Transfusion 53:137S-149S(2013)に記載されている。
【0093】
本開示は、従来通りに保存された血液中に存在する第V因子活性のレベルの少なくとも75%である特異的活性を有する第V因子のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、第V因子の特異的活性は、従来通りに保存された血液の活性と同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高い第V因子の特異的活性を有する。第V因子の特異的活性を測定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0094】
本開示は、従来通りに保存された血液中に存在する第VIII因子活性のレベルの少なくとも75%である特異的活性を有する第V因子のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、第VIII因子の特異的活性は、従来通りに保存された血液の活性と同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高い第VIII因子の特異的活性を有する。第VIII因子の特異的活性を測定する方法は、当該技術分野で既知である。ある態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、21日保存した後に40%未満である第V因子の特異的活性を有する。
【0095】
本開示は、従来通りに保存された血液中に存在するAT活性のレベルの少なくとも75%である特異的活性を有するアンチトロンビン(AT)のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、ATの特異的活性は、従来通りに保存された血液の活性と同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高いATの特異的活性を有する。ATの特異的活性を測定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0096】
本開示は、従来通りに保存された血液中に存在する第XIV因子活性のレベルの少なくとも75%である特異的活性を有する第XIV因子(オートプロトロンビンIIAまたはプロテインC)のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、第XIV因子の特異的活性は、従来通りに保存された血液の活性と同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高い第XIV因子の特異的活性を有する。第XIV因子の特異的活性を測定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0097】
本開示は、従来通りに保存された血液中に存在するvWF活性のレベルの少なくとも75%である特異的活性を有するフォン・ヴィルブランド因子(vWF)のレベルを有する、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、vWFの特異的活性は、従来通りに保存された血液と同等である。さらに他の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも高いvWFの特異的活性を有する。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液の血小板機能パラメータよりも低いvWFの特異的活性を有する。vWFの特異的活性を測定する方法は、当該技術分野で既知である。
【0098】
本開示は、全血の保存有効期間を現在の2週間から3週間以上に延長するための方法を提供し、かつ含む。本開示の酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来の条件下で2週間保存された全血によって提供される患者転帰と同等である患者転帰を3週間で提供する。
【0099】
本明細書で提供される場合、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液と比較して輸血レシピエントへの副作用が少ない。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液と比較して、2週間の保存後に少ない炎症反応を示す。他の態様において、炎症反応は、3週間後に従来通りに保存された血液と比較して低下される。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、3週間よりも長く保存することができ、2週間後に、従来通りに保存された血液と比較して炎症反応のレベルを保持する。
【0100】
本明細書で提供される場合、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液と比較して輸血レシピエントへの副作用が少ない。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、従来通りに保存された血液と比較して、2週間の保存後に免疫修飾作用が低い。他の態様において、免疫修飾作用は、3週間保存した後に、従来通りに保存された血液と比較して低い。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、3週間より長く保存することができ、2週間後に、従来通りに保存された血液と比較して免疫修飾作用のレベルを保持する。
【0101】
本開示の方法および全血製剤は、輸血されると改善された患者転帰を提供する。特に、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、周術期の輸血において提供された場合、癌患者における生存の改善を提供する。ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、膵癌患者に周術期に提供された場合、死亡率の低下および生存の改善を提供する。理論によって拘束されるものではないが、死亡率の低下は、サイトカインレベルの低下と、2,3-DPGおよびATPレベルの上昇に起因する酸素運搬および送達の改善とを組み合わせた結果である。
【0102】
一態様において、輸血を必要とする癌患者への輸血のための血液は、低レベルの活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)サイトカインを有する。一態様において、RANTESレベルは、保存開始時に存在するRANTESのレベルと同等である。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のRANTESレベルは、従来通りに保存された血液中に存在するRANTESのレベルよりも低い。一態様において、RANTESのレベルは、保存期間を通して、従来通りに保存された血液中に存在するRANTESのレベルよりも低い。他の態様において、RANTESは、保存中に増加しない。
【0103】
一態様において、輸血を必要とする癌患者への輸血のための血液は、低レベルのCCケモカイン、すなわち、好酸球走化性タンパク質であるエオタキシンを有する。一態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)中で低レベルのエオタキシンは、エオタキシン-1であり、C-Cモチーフケモカイン11としても知られている。一態様において、エオタキシンレベルは、保存開始時に存在するエオタキシンのレベルと同等である。別の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)のエオタキシンレベルは、従来通りに保存された血液中に存在するエオタキシンのレベルよりも低い。一態様において、エオタキシンのレベルは、保存期間を通して、従来通りに保存された血液中に存在するエオタキシンのレベルよりも低い。他の態様において、エオタキシンは、保存期間中に増加しない。
【0104】
本開示の方法および全血製剤は、輸血されると、多臓器機能障害症候群の軽減および患者転帰の改善を提供する。特に、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、周術期の輸血において提供されると、外傷患者における多臓器機能障害症候群の軽減を提供する。ある特定の態様において、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、救急処置中に提供されると、外傷患者における多臓器機能障害症候群の軽減を提供する。
【0105】
本開示は、抗凝固剤を含む全血のユニットを得ることと、全血を濾過して白血球低減全血を生成することと、白血球低減全血から酸素を枯渇させることと、嫌気性条件下で酸素低減‐白血球低減全血を保存することとを含む、酸素低減‐白血球低減全血を調製する方法を提供し、かつ含む。
【0106】
本開示は、30%以下の保存前の酸素飽和度(SO2)を有する酸素低減‐白血球低減全血を調製する方法を提供し、かつ含む。静脈穿刺を用いてドナーから得られた全血は、約30%~約70%に及ぶ飽和酸素の範囲の酸素飽和度(SO2)を有する。ある特定の態様において、SO2は、25%以下に低下させられる。ある特定の態様において、SO2は、20%以下に低下させられる。ある特定の態様において、SO2は、15%以下に低下させられる。他の態様において、SO2は、10%以下に低下させられる。さらに他の態様において、SO2は、5%以下に低下させられる。
【0107】
また、酸素低減および二酸化炭素低減‐白血球低減全血の組成および組成を調製する方法も提供され、かつ本開示に含まれる。ある特定の態様において、SO2値は20%未満であり、二酸化炭素分圧は60mmHg未満である。他の態様において、二酸化炭素分圧は、10~60mmHgである。別の態様において、二酸化炭素分圧は、20~40mmHgである。また、15%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を提供する全血組成および方法も含まれる。別の態様において、方法および組成は、15%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を有する全血製剤を含む。さらに別の態様において、本開示の血液組成および方法は、10%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を有する。他の態様において、本開示の血液組成および方法は、10%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を有する。さらなる態様において、本開示の血液組成および方法は、5%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を有する。他の態様において、本開示の血液組成および方法は、5%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を有する。
【0108】
また、酸素低減および二酸化炭素低減‐白血球低減全血の組成および組成を調製する方法も提供され、かつ本開示に含まれる。ある特定の態様において、SO2値は20%以下であり、二酸化炭素分圧は、1~60mmHgである。他の態様において、二酸化炭素分圧は、10~60mmHgである。別の態様において、二酸化炭素分圧は、20~40mmHgまたは1~20mmHgである。また、15%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を提供する全血組成および方法も含まれる。ある特定の態様において、SO2値は15%以下であり、二酸化炭素分圧は1~60mmHgである。別の態様において、方法および組成は、15%以下のSO2および20~40mmHgまたは1~20mmHgの二酸化炭素分圧を有する全血製剤を含む。さらに別の態様において、本開示の血液組成および方法は、10%以下のSO2および1~60mmHgまたは10~60mmHgの二酸化炭素分圧を有する。他の態様において、本開示の血液組成および方法は、10%以下のSO2および20~40mmHgまたは1~20mmHgの二酸化炭素分圧を有する。さらなる態様において、本開示の血液組成および方法は、5%以下のSO2および1~60mmHgまたは10~60mmHgの二酸化炭素分圧を有する。他の態様において、本開示の血液組成および方法は、5%以下のSO2および20~40mmHgまたは1~20mmHgの二酸化炭素分圧を有する。
【0109】
特に、また
図2A、2B、3A、および3Bにおいて明らかなように、保存された酸素低減血液中のATPレベルは、CO
2分圧に依存する。具体的には、約10%のSO
2までの酸素の枯渇および約25mmHgまでの二酸化炭素の枯渇は、21日を超えて持続する2,3-DPGレベルの増加をもたらす一方で、ATPは、初期値の約半分のレベルまで低減する。
図2Gおよび3Dを参照されたい。したがって、本開示は、上昇したレベルの2,3-DPGを有し、かつ20日目までATPの初期濃度の少なくとも50%を保持する酸素および二酸化炭素低減全血を得るために、約5%のSO
2レベルまでの酸素の枯渇、および約30~40mmHgの分圧までの二酸化炭素の枯渇を提供し、かつ含む。他の態様において、CO
2分圧は、初期ATP値の少なくとも75%であるATPレベルを保持するように調整することができる。CO
2レベルの調整は、本開示を考慮して、当業者によって実験によって決定され得る。
【0110】
従来の条件下での長期低温保存は、保存RBCの変形能を損なうことが分かっており、輸血時に、それらが微小血管網を灌流して組織および重要な臓器に酸素を送達する能力に支障を来す可能性がある。酸化による損傷は、RBCの生体力学的機能喪失の主要原因であり得ると考えられる:したがって、酸素低減(OR)ならびに酸素および二酸化炭素低減(OCR)条件下でRBCを保存することは、酸化による損傷を改善し、それによって従来の(好気的)保存よりも優れた本来のレオロジー特性を保存する。この研究のために、我々は、保存された細胞に酸素低減が及ぼす影響を実証するために、体内微小血管の毛細血管床を再現した体外マイクロ流体システムを用いた。
【0111】
本開示は、外傷患者および頻回輸血を必要とする患者のために血液製剤の利用可能性を改善し、全体的な血液資源の節約を提供する、血液バンクを管理するための方法を提供し、かつ含む。成分血液製剤は、本出願の保存全血から調製することができ、輸血に使用することができるか、または大量輸血キットに組み込むことができる。血液化学の改善(低溶血性、2,3-DPGの改良等)に加えて、本方法は、ホメオスタシスの改善および変形能の向上を提供する。
【0112】
本明細書による態様において、本方法は、前述のような酸素低減全血および抗凝固剤を含む血液ユニットの在庫を維持することと、患者の治療のために、在庫から血液ユニットのうちの1つ以上を提供することと、在庫からの血液ユニットを再利用して、酸素低減血漿、および血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)を含む、成分を分離した酸素低減血液ユニットを調製することとを提供する。態様において、抗凝固剤は、クエン酸-リン酸-デキストロース(CPD)、アデニンを含むクエン酸-リン酸-デキストロース(CPDA-1)、またはCP2Dを含む。
【0113】
一態様において、本明細書は、前述のような酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血および抗凝固剤を含む血液ユニットの在庫を維持し、患者の治療のために、在庫から血液ユニットのうちの1つ以上を提供し、在庫からの血液ユニットを再利用して、酸素および二酸化炭素低減血漿、ならびに血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含む、成分を分離した酸素低減血液ユニットを調製するための方法を提供する。態様において、抗凝固剤は、クエン酸-リン酸-デキストロース(CPD)、アデニンを含むクエン酸-リン酸-デキストロースアデニン(CPDA-1)、または抗凝固剤クエン酸リン酸2デキストロース(CP2D)を含む。
【0114】
本明細書は、酸素低減血漿、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減血漿、ならびに血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含む、後に記載されるような1つ以上の大量輸血キットを調製することをさらに提供する。
【0115】
本発明による態様において、在庫の未使用の血液は、一定期間後に再利用される。ある特定の態様において、抗凝固剤がCPDである場合、血液ユニットは、3週間保存される前に再利用される。他の態様において、抗凝固剤がCPDA-1である場合、血液ユニットは、5週間保存される前に再利用される。さらに他の態様において、血液ユニットは、2週間後、またはそれ以前に再利用される。一態様において、血液ユニットの再利用は、2日~1週間で行われる。別の態様において、再利用は、2日~2週間で行われる。いくつかの態様において、再利用は、1週間~2週間で行われる。再利用の時期は、血液施設の回転率および必要性と一致して異なり得る。
【0116】
再利用プロセスは、好ましくは嫌気性条件下で行われるが、該プロセスは、好気性条件下で行われてもよい。好気性条件は、コストの節約を提供し得るが、同時に、より高い回転率の施設で適応とされ得る。回転率の高い施設では、回収された血液成分が、再利用プロセスの直後に使用され得るため、嫌気性条件下でのさらなる血液の保存は、追加の利点をほとんど提供し得ない。
【0117】
血液バンクを管理するための方法は、後に詳述するような大量輸血キットの調製をさらに提供する。
【0118】
本開示は、白血球低減全血から酸素を枯渇させて酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)を調製することと、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)を一定期間保存し、前記保存血液を、それを必要とする患者に提供することとを含む、輸血医療のための血液製剤の供給を行うための方法を提供し、かつ含む。ある特定の態様において、白血球低減ステップは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を生成するための血小板低減を含む。
【0119】
本開示は、白血球低減全血から酸素および二酸化炭素を枯渇させて酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を調製することと、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を一定期間保存し、前記保存血液を、それを必要とする患者に提供することとを含む、輸血医療のための血液製剤の供給を行うための方法を提供し、かつ含む。ある特定の態様において、白血球低減ステップは、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を生成するための血小板低減を含む。
【0120】
本開示は、白血球低減全血から酸素を枯渇させて酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)を調製することと、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)を一定期間保存することと、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)を調製することとを含む、輸血医療のための血液製剤の供給を行うための方法を提供し、かつ含む。ある特定の態様において、白血球低減ステップは、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)を生成するための血小板低減を含む。
【0121】
本開示は、白血球低減全血から酸素および二酸化炭素を枯渇させて酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を調製することと、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を一定期間保存することと、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を調製することとを含む、輸血医療のための血液製剤の供給を行うための方法を提供し、かつ含む。ある特定の態様において、白血球低減ステップは、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)を生成するための血小板低減を含む。
【0122】
本明細書で提供される場合、OR-LRpRBC+PLT、OR-LRpRBC、OCR-LRpRBC+PLT、およびOCR-LRpRBCは、供給のために血液製剤の保存に戻され、患者による使用に必要になるまで一定期間保存されてもよい。本開示の態様において、全血製剤として、または濃厚RBC製剤としての合計保存時間は、最長6週間であってもよい。いくつかの態様において、第2の保存期間は、2~4週間である。
【0123】
血液製剤の供給を行うための方法は、酸素または酸素および二酸化炭素のいずれかを枯渇させることを含み、かつ提供する。血液製剤の供給を行う方法のための酸素レベルについては上で詳述している。ある特定の態様において、SO2値は20%以下に低下させられ、二酸化炭素分圧は60mmHg未満である。他の態様において、二酸化炭素分圧は、10~60mmHgである。別の態様において、二酸化炭素分圧は、20~40mmHgである。また、15%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を提供する方法も含まれる。別の態様において、本方法は、15%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を有する血液製剤を提供する。さらに別の態様において、本開示の方法は、10%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を有する血液製剤を提供する。他の態様において、血液製剤の供給を行うための方法は、10%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を提供する。さらなる態様において、本方法は、5%以下のSO2および10~60mmHgの二酸化炭素分圧を提供する。他の態様において、本方法は、5%以下のSO2および20~40mmHgの二酸化炭素分圧を提供する。
【0124】
本開示は、OR-LRWB+PLTおよびOCR-LRWB+PLTの血液成分回収プロセスの間に得られる新しい血液組成を提供し、また含む。上に提供されるように、従来の全血製剤は、FDA承認の有効期間(CPD中のWBで3週間、CPDA1中で5週間)を有するが、WBを使用する医師は、その有効期間を2~14日に限定する。従来の保存において、血液は廃棄されることが多い。本開示では、血液をORまたはOCR枯渇状態で保持するために改良された従来の成分分離法を用いて、OR-LRWB+PLTおよびOCR-LRWB+PLTを処理することができる。一般に、方法は、成分に対して酸素不透過性ならびに酸素および二酸化炭素不透過性の障壁を組み込み、酸素の侵入を防ぐための特徴を組み込むように改良される。適切な手法は、例えば、2016年3月10日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/021794号、および2016年4月22日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/029069号に見出すことができ、これらは両方とも、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0125】
本開示による態様において、1×105/L未満の白血球を有する酸素低減濃厚赤血球および血小板を含む血液組成が提供される。そのような組成は、OR-LRWB+PLTおよびOCR-LRWB+PLTから得られる。一態様において、白血球のレベルは、1×104/L白血球未満である。本開示による態様において、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)の酸素飽和度は、30%未満である。一態様において、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)の酸素飽和度は、20%未満である。一態様において、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)の酸素飽和度は、10%未満である。さらなる態様において、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)の酸素飽和度は、5%未満である。
【0126】
本開示は、30%未満のSO2および60mmHg未満の保存中の二酸化炭素分圧を有する血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を提供し、かつ含む。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、30%未満の酸素飽和度および20~40mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、30%未満の酸素飽和度および0~20mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、20%未満の酸素飽和度および60mmHg未満の保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、20%未満の酸素飽和度および20~40mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、20%未満の酸素飽和度および0~20mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。別の態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、15%未満の酸素飽和度および60mmHg未満の保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、15%未満の酸素飽和度および20~40mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、15%未満の酸素飽和度および0~20mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。別の態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、10%未満の酸素飽和度および60mmHg未満の保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、10%未満の酸素飽和度および20~40mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、10%未満の酸素飽和度および0~20mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。他の態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、5%未満の酸素飽和度および60mmHg未満の保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、5%未満の酸素飽和度および20~40mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。一態様において、OCR-LRpRBC+PLTは、5%未満の酸素飽和度および0~20mmHgの保存中の二酸化炭素分圧を有する。
【0127】
血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)および血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)は、通常、添加液をさらに含む。本開示による適切な添加液は、AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、AS-7、ESOL-5、EAS61、OFAS1、OFAS3、およびそれらの組み合わせを含む。一態様において、添加液は、成分分離の時点で加えられる。一態様において、添加液はAS-1である。別の態様において、添加液はAS-3である。他の態様において、添加液はSAGMである。
【0128】
本開示の方法および組成は、従来の組成から調製されるキットと比べて改善された特性を有する「大量輸血キット」(MTK)の調製を提供し、かつ含む。本開示の大量輸血キットは、臨床上の必要性に応じて種々の構成で調製することができる。本開示のMTKは、使用のために調製されるまで無酸素条件下または無酸素および無二酸化炭素条件下で保存される。ORおよびOCR条件は、適切な吸収剤材料を用いてまたは用いずに、不透過性筐体内に密閉することによって維持することができる。本開示のMTKは、使用前に再び酸素添加されてもよいか、または直接使用されてもよい。一般に、本明細書は、改善された2,3-DPGレベルを有するRBCを送達するように最適化された大量輸血キットを提供する。そのようなキットは、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)から得られた成分血液製剤から調製される。代替として、より高いレベルのATPを有するキットを生成するために、キットは、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)から得られた成分血液製剤から調製されてもよい。本明細書の方法を使用して調製されたキットは、酸素低減保存赤血球とともにホメオスタシスに適した血小板を提供する。したがって、本明細書の大量輸血キットは、より高い品質(例えば、より変形可能、より多くの2,3-DPG、より少ない保存障害)のRBCをさらに提供する一方で、追加の希釈を行わずに血小板の利用可能性を高めることができる。重要なのは、本開示の酸素低減全血からの血液成分の回収が、外傷患者のための輸血製剤の利用可能性を高め、貴重な、限りある資源を節約および保存するということである。前述のように、従来の大量輸血キットは、ある体積の血漿、ある体積のpRBC、およびある体積の血小板を1:1:1の比で含み、3つの成分の量は、必要とする患者に連続的にまたは並行して輸血されたときの「再構成血液」のユニットに対応する。再構成血液は、添加液を含まない、より高いレベルの抗凝固剤を有する全血に直接対応しない。さらに、再構成血液は、典型的には、典型的な全血のユニットよりも多くの体積を含む。本開示の再構成血液は、pRBC画分(例えば、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)ならびに血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT))中にさらなる血小板を提供するため、従来の再構成血液よりも改善されている。そのような低温保存された血小板は、血小板の保存障害(PSL)として一般的に知られる変化を受け、また、低温保存された血小板は、体内の循環から迅速に低減される。重要なのは、低温保存された血小板が、凝集する能力を保持しており、凝集の増加および脱凝集に対する抵抗性を有すると報告されていることである。したがって、本明細書の酸素低減全血から得られた血液成分は、単独で、または従来の血小板と組み合わさって、外傷に対する輸血中にさらなる利点を提供する。
【0129】
本開示は、ある体積の血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)またはそれらの組み合わせを含む大量輸血キットを提供し、かつ含む。一態様において、大量輸血キットは、ある体積の血漿およびある体積のLRpRBC+PLTを提供する。一態様において、血漿の体積およびLRpRBC+PLTの体積は、1:1である。他の態様において、血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:1~1:2である。一態様において、血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:2である。
【0130】
本開示は、血漿と、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)と一緒に、追加の血小板を含む大量輸血キットを提供し、かつ含む。
【0131】
本開示の大量輸血キットは、ある体積の血漿を提供する。MTKの血漿は、新鮮な血漿または融解した新鮮凍結血漿(FFP)のいずれかであり得る。本明細書は、従来の源(例えば、非酸素低減)、または酸素低減もしくは酸素および二酸化炭素低減源のいずれかから、MTKのための血漿を得ることを提供する。一態様において、本開示のMTKのための血漿は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)から得られてもよい。理論によって拘束されるものではないが、酸素低減源から得られた血漿は、例えば、より低いレベルのサイトカイン、イソプロスタン、および微小粒子を含む、より低いレベルの保存障害を有する。本明細書で提供される場合、本明細書による血漿、血小板、およびpRBCを有するMTKは、1:1:1または1:1:2の体積比で提供される。当業者は、本開示のMTKは、従来のMTKと同様に、1ユニットの血液の均等物を提供するように設計されることを理解するであろう。再構成血液と同等であるために必要な記載される比を維持する一方で、いずれの任意の総体積が選択されてもよいことを認識されたい。
【実施例0132】
実施例1:嫌気的保存中の濃厚赤血球におけるサイトカイン、無細胞ヘモグロビン、およびイソプロスタンの蓄積
15個のpRBCユニットを健常なドナーから採取する。各ユニットを分割し、以下のように保存する:1つは、標準的な血液バンクの条件で保存し(対照)、他は、Yoshida et al.,“Anaerobic Storage of Red Blood Cells in a Novel Additive Solution Improves In vivo Recovery,”Transfusion 49:458-64(2008)に記載される方法に従って嫌気的に保存する(試験)。0、1、2、3、および6週目に、無菌接続デバイスを使用してPRBCユニットから試料を低減する。以下のアッセイのために血漿試料を凍結させる:Procarta Immunoassay Magnetic Beadキットを使用した22個のサイトカインに関する単一バッチ試験、質量分析アッセイによる8-イソプロスタンF2α、およびHemoCue血漿/光度計(HemoCue AB、Angelholm,Sweden)による無細胞ヘモグロビン。
【0133】
図1Aに示されるように、エオタキシンは、2週目に統計学的有意差に達した(86.6pg/ml-対照(c)、64.9-試験(t)、P値-0.00213、p<0.05の統計的優位性;42日目(292-c、112-t;p=0.000)。
図1Bに示されるように、RANTESは、3日目から始まって全ての時点で異なっており(374.6-c、55.1-t)、p-=0.00000であり、42日目に非常に大きな差が観察される(3371.6-c、88.4-t;p<0.002)。
図1Cに示されるように、無細胞ヘモグロビンにおける差は、2週目に見られる(96.0mg/dl-c、41.7-t)、p-=0.00001;42日目(170-c、63-t、p=0.0002)。
図1Dに示されるように、保存3日目に、イソプロスタンにおける差が示される(45.5pg/ml-c、32.1-t)、p=0.00689;42日目(101.9-c、64.7-t、p=0.0048)。
【0134】
実施例2:全血の採取、白血球低減、およびガスの枯渇
ヘパリン管の回収を含む標準的なプロトコルに従って、1ユニットの血液をドナー患者からCPDA1またはCPDAのいずれかを含む抗凝固剤溶液中に採取する。最初の採血後4時間以内に、抗凝固剤を含有する採取した血液から製造業者の指示に従って白血球を低減する。ベースラインのABL90血液ガスおよび代謝パラメータは、標準的な手順に従ってドナーのヘパリン管および全血製剤から決定される。BSL Handbook Procedure BSL-P024:Procedure ManualおよびRadiometer ABL90 FLEX Gas Analyzer instructionsを参照されたい。
【0135】
必要に応じて表示を付し、室温(15℃~30℃)に置いた150mL輸送バッグに、120mlのLRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDを移すことにより白血球低減血液の各ユニットから嫌気性対照を調製する。
【0136】
Sorin D100に接続された血液処理用バッグに残りのLRWB LRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDを移すことにより、酸素枯渇または酸素および二酸化炭素枯渇のために処理し、BOF処理対照を作製するためにガスを用いずに700ml/分の流速で5分間処理する。その結果得られた120gのBOF処理血液を、嫌気性条件下で保管されていた、BOF処理対照と表示された300ml輸送バッグに移す。残りのLRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDは、血液が約5%のSO2に達するまで、Sorin D100上で5%CO2/95%N2を含むガス組成の3L/分のガス流速を用いて、700ml/分のピーク流速で処理し、ラジオメーターABL90 FLEX Gas Analyzerで血液ガス値を3~5分間隔で測定する。二酸化炭素レベルを低下させるために、SO2が5±1%に達し、pCO2が30±3mmHgに達するまで1~4分間、ガス混合物を100%N2に切り替え、脱酸素化速度を監視するために血液ガス値を15~30秒ごとに監視する。その結果得られた120gの酸素および二酸化炭素低減LRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDを、前述のように以前に嫌気性条件下で保管されていた300ml輸送バッグに移し、(「C」)と表示を付す。LRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDが5±1%のSO2に達し、pCO2が7±3mmHgに達するまで、Sorin D100上で、99%N2および1%O2を用いて700ml/分の流速でLRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDのさらなる処理を行う。その結果得られた120gの酸素および二酸化炭素低減LRWB/CPDA-1またはLRWB/CPDを、前述のように以前に嫌気性条件下で保管されていた300ml輸送バッグに移し、(「D」)と表示を付す。新しいSorin D100を使用して、さらなる試料を前述のように処理する。各試料を調製した直後に、製造業者の指示に従ってABL90血液ガスレベルを決定し、ベースラインのSO2およびpCO2レベル(例えば、T0)を画定する。BSL Handbook Proceduresを参照されたい。サイトカイン分析用の試料を採取し、後に分析するために-80℃で保存する。
【0137】
全ての試料を、実施例6で後に記載されるように分析する。
【0138】
実施例3:嫌気性試験用製剤の保存
輸送バッグに入った酸素低減ならびに酸素および二酸化炭素低減血液を、メッシュに包み、ゴム紐で固定し、4つの吸収剤袋(Mitsubishi、SS-300)とともに嫌気性キャニスター内に入れる。キャニスターを密閉し、Alicat Gas Processing Systemを使用してキャニスターから空気を追放する。BSL Handbook Procedure BSL-P040:Procedure for Placing Blood Products in Anaerobic Storage in Canistersを参照されたい。嫌気性および好気性の血液を1~6℃の血液バンクの冷蔵庫内に入れる。キャニスターのゲージを毎日監視して、それらが5±1psiを表示することを確認する。2psi未満のキャニスターは、標準的な手順に調整される。BSL Handbook Procedure BSL-P040:Procedure for Placing Blood Products in Anaerobic Storage in Canistersを参照されたい。
【0139】
実施例4:試料試験
指定された時点で試料を試験する:処理後0日目(T0)、1日目、1週間目、2週間目、および3週間目。試料は、所与の試験の必要に応じて、新鮮な状態で、または後の試験のために凍結した状態で試験されてもよい。試験は、全血球数(CBC)、トロンボエラストグラフィ(TEG)を含む。
【0140】
製造業者の指示に従って、直ちに血小板凝集のための血小板に富んだ血漿(PRP)を調製する。
【0141】
製造業者の指示に従って、凝固スクリーニングおよび追加のアッセイを行う。
【0142】
製造業者の指示に従って、直ちにサイトカインの試料を調製する。
【0143】
実施例5:ATP試料採取および測定
ATPの測定のために、脱タンパク質および沈殿により試料を処理する。1mlの試料(例えば、LRWB/CPDもしくはLRWB/CPDA-1または前述の試料)を、1.0mlの氷冷トリクロロ酢酸(TCA)(12%w/v)で沈殿させ、15~30秒間ボルテックスし、氷上で5分間インキュベートする。TCA/試料混合物を含む試験管を4℃で5分間、3600gで遠心分離する。TCAへの曝露を最小限に抑えるために、試料を直ちに処理する。清澄な上清を予め冷却しておいた試験管に移し、ドライアイスアルコール浴で瞬間凍結させ、-70℃で保存する。
【0144】
実施例6:酸素低減条件下で保存されていた保存RBCにおける変形能の改善
9ユニットの個々の全血を、標準的な500mLの献血を通じて、同意を得た健常なボランティアから得る。献血された全血を、標準的なAABB/FDAガイドラインに従って白血球低減赤血球(LR-RBC)ユニットに処理し、得られたユニットを次いで2等分する。ユニットの一方の半分は、実施例2および3に記載されるようにO2およびCO2を低減する。
【0145】
得られた試料を嫌気的に低温保存し、第2の半分は、従来通りに好気的に低温保存する。一対のRBCユニットを血液バンクの冷蔵庫に保存し、6週間の保存期間全体を通して毎週評価する。試験前に、生理食塩水(0.9%NaCl;RBC-S)を使用して全てのRBC試料のヘマトクリット値を40%に調整した。試験開始時および試験中のRBC-Sの変形能を、2013年11月28日に公開された国際特許出願第WO2013/177339号に記載されるように決定する。人工微小血管網(AMVN)チップを横断する血液試料の高速画像シーケンス(約150FPS)を録画する。変形不能な細胞によって妨げられた血管網を流れる時間である閉塞時間、および血管網を通る血液の灌流が中断される頻度(閉塞頻度)を決定する。
【0146】
AMVNシステムを通る全体的な大量灌流速度は、好気的に保存されたユニットと比較して、O2およびCO2を制御した血液の方が一貫してより速く、合計閉塞時間は、酸素低減RBCの方が一貫してより短い(表1)。これらの結果は、LR-RBCユニットにおける酸素レベルの低下が、低温保存中の赤血球の生体力学的特性の劣化を緩和することを示唆している。
【0147】
酸素枯渇および保存プロセスは、低温保存中にRBCのレオロジー特性が劣化する速度を有意に遅らせ、保存中に生理的により適切な赤血球の生体力学的特性を保存することが可能である。RBCの改善された変形能は、全血輸血の利点と相まって、保存されたRBCの機能が輸血後のRBC保持を改善すること、および輸血されたRBCが微小血管系を灌流する能力の増大を意味する。
表1:酸素低減保存後の血液細胞の灌流速度
【0148】
実施例7:血小板の脱酸素化は止血性能を妨げない
8ユニットの全血(WB)を、標準的な500mLの献血を通じて、同意を得た健常なボランティアから得る。献血された全血を、実施例2に記載されるようにCPDA-1抗凝固剤中に採取し(Research Blood Components,Inc.)、血小板保存フィルタ(Imuflex(登録商標)WB-SP)(LRWB;Terumo Medical Corporation)を用いて白血球を低減する。その結果得られた濾過済みのユニットを、次いで2等分する。ユニットの一方の半分は、従来通りに好気的に低温保存し、第2の半分は、さらに分割して嫌気的に低温保存する。嫌気的に保存されたユニットは、酸素が低減されているか(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素が低減されている(OCR-LRWB)。嫌気的に保存されたユニットを、Sorin D100膜型人工肺を用いて処理し、約5%のSO2および約35mmHgpCO2を含む嫌気性ユニットを得る。その結果得られた嫌気性ユニットを標準的なPVCバッグに入れ、酸素吸収剤および窒素ガスを含む嫌気性キャニスター内に保存する。一対の白血球低減血小板ユニットを、下記のように21日の保存期間全体を通して毎週評価する。
【0149】
製造業者の指示に従って、パーセント溶血(Plasma Low、Angelholm Sweden)、ATP(DiaSys、Flacht,Germany)、および2,3-DPG(Sigma-Aldrich、St.Louis,MO)を含む代謝パラメータについてユニットを評価する。
図4Aに示されるように、従来通りに保存されたLRWB(実線)と比較して、保存OCR-LRWBにおいて低レベルのATPが維持されているが、保存OR-LRWBでは増加する。
図4Bに示されるように、保存OCR-LRWBおよびOR-LRWBにおいて、従来通りに保存されたLRWBと比較して上昇したレベルの2,3-DPGが、最長21日間維持された。さらに、
図4Cに示されるように、保存OR-LRWBおよび保存OCR-LRWBを従来通りに保存されたLRWB(実線)と比較した場合に、溶血に有意な変化は認められなかった。
【0150】
従来通りに保存されたLRWBおよびOCR-LRWBを、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分プロトロンビン時間(aPTT)、ならびにフィブリノゲンおよびDダイマーのレベルを評価することにより、血漿凝固パラメータについて評価する。
図5に示されるように、aPPTおよびPTは、従来通りに保存されたLRWB(実線)において若干延長されたが有意には延長されなかった。同様のフィブリノゲンレベルおよびDダイマーレベルからも明らかであるように、凝固活性化の証拠は観察されなかった。
【0151】
従来通りに保存されたLRWBおよびOCR-LRWBを、第V因子、第VIII因子、プロテインC活性、プロテインS活性、およびフォン・ヴィルブランド因子(vWF)の活性レベルを決定することにより、血漿凝固因子についてさらに評価する。プロテインCおよびプロテインSの分析は、製造業者の指示に従って、ACL TOP(登録商標)(Instrumentation Laboratory)およびSTA-R Evolution Coagulation Analyzer(登録商標)(Diagnostica Stago,Inc.)をそれぞれ使用して行う。
図6に示されるように、従来通りに保存されたWB(実線)と比較して、嫌気的に低温保存したOCR-LRWB(破線)における第V因子、第VIII因子、プロテインC活性、プロテインS活性、およびvWFのレベルに有意な変化は認められなかった。
【0152】
従来通りに保存されたLRWBおよびOCR-LRWBを、製造業者の指示に従ってHaemoscope Thromboelastograph(登録商標)アナライザー(Haemonetics)を装備するトロンボエラストグラフィ(TEG)を使用して、凝固についてさらに評価する。
図7A~7Dに示されるように、従来通りに保存されたLRWB(実践)と比較して、OCR-LRWB(破線)における伝播(TEG角度)、増幅(TEG K)、最大振幅(TEG MA)、または反応時間(TEG R)に有意差は観察されなかった。
【0153】
特定の実施形態を参照して本開示を説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われてもよく、また均等物がその要素と置き換えられてもよいことを理解するであろう。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために、多くの修正が行われてもよい。
【0154】
したがって、本開示は、本開示を実行するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内および主旨に属する全ての実施形態を含むことが意図される。
したがって、本開示は、本開示を実行するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲の範囲内および主旨に属する全ての実施形態を含むことが意図される。
なお、本発明としては、以下の態様も好ましい。
〔1〕
頻回輸血を必要とする患者の生存を改善するための方法であって、酸素を低減した保存赤血球(OR保存RBC)を、それを必要とする、医療処置を受ける患者に提供することを含む、方法。
〔2〕
前記OR保存RBCは、酸素および二酸化炭素が低減されている(OCR-保存RBC)、〔1〕〔に記載の方法。
〔3〕
前記OR保存RBCは、従来通りに保存された赤血球(保存RBC)と比較して低レベルの未結合RANTES因子を含む、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕
前記RANTESのレベルは、21日後には500pg/ml未満である、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の方法。
〔5〕
前記RANTESのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には300pg/ml未満である、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の方法。
〔6〕
前記OR保存RBCは、従来通りに保存された赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのエオタキシン因子を含む、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の方法。
〔7〕
前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には150pg/ml未満である、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕
前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には100pg/ml未満である、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
〔10〕
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白
血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)を含む、〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の方法。
〔11〕
前記頻回輸血を必要とする患者は、外傷患者、移植患者、心臓手術患者、産科患者、GI手術患者、または整形外科手術患者である、〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の方法。
〔12〕
前記外傷患者は、出血性外傷患者または鈍的外傷患者である、〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の方法。
〔13〕
前記患者は、癌患者であり、前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)である、〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕
周術期の輸血後に、それを必要とする癌患者の生存を改善するための方法であって、酸素低減保存赤血球(OR保存RBC)を、それを必要とする、外科的処置を受ける癌患者に提供することを含む、方法。
〔15〕
前記OR保存RBCは、酸素および二酸化炭素低減赤血球(OCR-保存RBC)である、〔14〕に記載の方法。
〔16〕
前記OR保存RBCは、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)である、〔14〕または〔15〕に記載の方法。
〔17〕
前記OR保存RBCは、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのRANTESまたはエオタキシン因子を含む、〔14〕~〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕
前記RANTESのレベルは、21日後には500pg/ml未満であるか、前記エオタキシンのレベルは、脱酸素化条件下で21日保存した後には150pg/ml未満である、〔14〕~〔17〕のいずれか一項に記載の方法。
〔19〕
保存血液中のサイトカインを減少させるための方法であって、
抗凝固剤溶液中に血液を採取することと、
前記採取した血液から白血球を低減することと、
保存前の酸素飽和度(SO2)を30%以下に低下させることと、
前記採取した酸素低減血液を嫌気性条件下で保存して酸素低減保存血液を調製することと、を含む、方法。
〔20〕
血小板を含む酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC+PLT)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、〔19〕に記載の方法。
〔21〕
前記白血球の前記低減は、血小板を低減することをさらに含む、〔19〕に記載の方法。
〔22〕
酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、〔21〕に記載の方法。
〔23〕
1つ以上のサイトカインのレベルが、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低い、〔19〕~〔22〕のいずれか一項に記載の方法。
〔24〕
前記サイトカインは、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)、アンジオゲニン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、上皮増殖因子(EGF)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ならびに血小板由来増殖因子(PDGF)からなる群から選択される、〔19〕~〔23〕のいずれか一項に記載の方法。
〔25〕
前記保存前の酸素飽和度を低下させることは、保存前の二酸化炭素分圧を60mmHg未満に低下させることをさらに含む、〔19〕に記載の方法。
〔26〕
血小板を含む炭素および二酸化炭素低減濃厚赤血球(OCR-pRBC+PLT)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、〔25〕に記載の方法。
〔27〕
前記白血球の前記低減は、血小板を低減することをさらに含む、〔25〕に記載の方法。
〔28〕
酸素低減濃厚赤血球(OR-pRBC)を調製するために、血漿を低減することおよび添加液を加えることをさらに含む、〔27〕に記載の方法。
〔29〕
前記酸素低減保存血液は、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのRANTES因子を含む、〔19〕または〔25〕~〔28〕のいずれか一項に記載の方法。
〔30〕
前記酸素低減保存血液は、非酸素低減保存赤血球(保存RBC)と比較して低レベルのエオタキシン因子を含む、〔19〕または〔25〕~〔29〕のいずれか一項に記載の方法。
〔31〕
前記酸素低減保存血液は、改善されたレベルの2,3-DPGを有し、前記酸素低減‐白血球低減血液は、15日目に、白血球低減血液の初期2,3-DPGレベルよりも高い2,3-DPGレベルを有する、〔19〕に記載の方法。
〔32〕
前記2,3-DPGレベルは、0日目の血液の2,3-DPGレベルよりも少なくとも80%またはそれ以上高い、〔19〕また〔31〕に記載の方法。
〔33〕
前記2,3-DPGレベルは、21日目に5~20μmol 2,3-DPG/gHbである、〔19〕、〔31〕~〔32〕のいずれか一項に記載の方法。
〔34〕
前記酸素低減保存血液は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、〔19〕~〔33〕のいずれか一項に記載の方法。
〔35〕
抗凝固剤溶液中に酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)を含み、30%以下の保存前および保存中の酸素飽和度(SO2)を有し、15日目に、前記酸素低減‐白血球低減全血の初期2,3-DPGレベルよりも高い2,3-DPGレベルを有するか、または、30%以下の保存前および保存中の酸素飽和度(SO2)ならびに60mmHg未満の保存前および保存中の二酸化炭素分圧を有する酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を含み、前記OCR-LRWBは、少なくとも3μmol/gHbのアデノシン三リン酸(ATP)レベルを有する、それを必要とする外傷患者への輸血のための血液組成。
〔36〕
前記OR-LRWBの前記2,3-DPGレベルは、0日目の血液の2,3-DPGレベルよりも少なくとも80%またはそれ以上高い、〔35〕に記載の血液組成。
〔37〕
前記OR-LRWBの前記2,3-DPGレベルは、少なくとも5~20DPG μmol/gHbである、〔35〕または〔36〕に記載の血液組成。
〔38〕
前記保存前の酸素飽和度は、20%未満、10%未満、または5%未満である、〔35〕~〔37〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔39〕
前記保存前の分圧は、1~60mmHg、10~60mmHg、20~40mmHg、1~20mmHgである、〔35〕~〔38〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔40〕
前記抗凝固剤溶液は、クエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA1)またはクエン酸リン酸デキストロース(CPD)である、〔35〕~〔39〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔41〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)は、サイトカイン、ケモカイン、イソプロスタン、および酸化脂質産物からなる群から選択される、低レベルの生物学的応答調節物質(BRM)を有する、〔35〕~〔40〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔42〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、炎症反応の低下を示す、〔41〕に記載の血液組成。
〔43〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、免疫修飾作用の低下を示す、〔41〕または〔42〕に記載の血液組成。
〔44〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、多臓器機能障害のリスクが低下する、〔41〕~〔43〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔45〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、敗血症のリスクが低下する、〔41〕~〔44〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔46〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、感染のリスクが低下する、〔41〕~〔45〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔47〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、死亡リスクが低下する、〔41〕~〔46〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔48〕
前記酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)を輸血される患者は、より高い赤血球(RBC)変形能を有する、〔41〕~〔47〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔49〕
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、トロンボエラストグラフィ(TEG)によって測定される同等のまたはより良好な凝固パラメータを有する、〔41〕~〔48〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔50〕
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、PT/PTT、フィブリノゲン、Dダイマー、およびトロンビン生成試験によって決定される同等のまたはより良好な凝固パラメータを有する、〔41〕~〔49〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔51〕
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、血小板凝集計によって測定される同等のまたはより良好な血小板機能パラメータを有する、〔41〕~〔50〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔52〕
前記血液は、非酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)または非酸素および二酸化炭素‐白血球低減全血(OCR-LRWB)と比較した場合に、第V因子、第VIII因子、AT、プロテインC、またはvWFを含む同等のまたはより良好なレベルの凝固因子を有する、〔41〕~〔51〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔53〕
前記血液は、それを必要としている患者への輸血に少なくとも3週間安全である、〔41〕~〔52〕のいずれか一項に記載の血液組成。
〔54〕
輸血を受ける患者における炎症反応を低下させる方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、嫌気性条件下での保存後に低レベルの炎症性サイトカインを有する、方法。
〔55〕
前記低レベルの炎症性サイトカインは、非酸素低減保存赤血球と比較して低レベルのサイトカイン、エオタキシンまたはRANTESである、〔54〕に記載の方法。
〔56〕
前記血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、〔54〕または〔55〕に記載の方法。
〔57〕
輸血を受ける患者における免疫修飾作用を低下させる方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、嫌気性条件下での保存後に低レベルのサイトカインを有し、前記サイトカインのレベルは、非酸素低減血液製剤と比較される、方法。
〔58〕
前記サイトカインは、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)、活性化時調節正常T細胞発現および分泌物(RANTES)、アンジオゲニン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、上皮増殖因子(EGF)、可溶性CD40リガンド(sCD40L)、ならびに血小板由来増殖因子(PDGF)からなる群から選択される、〔57〕に記載の方法。
〔59〕
前記サイトカインは、エオタキシンまたはRANTESである、〔57〕または〔58〕に記載の方法。
〔60〕
前記血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、血小板濃縮物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、〔57〕~〔59〕のいずれか一項に記載の方法。
〔61〕
それを必要とする患者における酸素の灌流を改善するための方法であって、酸素低減血液製剤を、それを必要とする患者に輸血することを含み、前記酸素低減血液製剤は、従来通りに保存された血液製剤と比較してより高いRBC変形能を有する、方法。
〔62〕
前記酸素低減血液製剤は、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、血漿、血小板濃縮物、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、〔61〕に記載の方法。
〔63〕
前記酸素低減血液製剤は、少なくとも1週間の保存後に、酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減全血(OR-LRWB+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減全血(OCR-LRWB+PLT)から、成分分離、血漿の低減、および添加液の添加によって得られた、酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC)、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC)、または血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)を含む、回収された血液製剤である、〔61〕または〔62〕に記載の方法。
〔64〕
前記回収された血液製剤は、最長42日間、最長56日間、または最長64日間保存される、〔61〕~〔63〕のいずれか一項に記載の方法。
〔65〕
血液バンクを管理するための方法であって、
酸素低減全血および抗凝固剤、または酸素低減‐白血球低減全血および抗凝固剤を含む血液ユニットの在庫を維持することと、
患者の治療のために、前記在庫から前記血液ユニットのうちの1つ以上を提供することと、
前記在庫からの血液ユニットを再利用して、成分を分離した酸素低減血液ユニットを調製することと、を含む、方法。
〔66〕
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットは、血小板を含む酸素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OR-LRpRBC+PLT)、血小板を含む酸素および二酸化炭素低減‐白血球低減濃厚赤血球(OCR-LRpRBC+PLT)、酸素低減血漿、またはそれらの組み合わせを含む、〔65〕に記載の方法。
〔67〕
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットを再利用して大量輸血キットを調製する、〔65〕または〔66〕に記載の方法。
〔68〕
前記抗凝固剤は、クエン酸リン酸デキストロース(CPD)またはクエン酸リン酸デキストロースアデニン(CPDA-1)を含む、〔65〕~〔67〕のいずれか一項に記載の方法。
〔69〕
前記血液ユニットの再利用は、CPD含有血液ユニットの場合は保存の3週間前に、またはCPDA1含有血液ユニットの場合は保存の5週間前に行われる、〔65〕~〔68〕のいずれか一項に記載の方法。
〔70〕
前記血液ユニットの再利用は、2週間で行われる、〔65〕~〔69〕のいずれか一項に記載の方法。
〔71〕
前記血液ユニットの再利用は、嫌気性条件下で行われる、〔65〕~〔70〕のいずれか一項に記載の方法。
〔72〕
前記成分を分離した酸素低減血液ユニットは、添加液の添加後、最長6週間保存される、〔65〕~〔71〕のいずれか一項に記載の方法。
〔73〕
ある体積の血漿およびある体積の血小板を含む白血球低減濃厚赤血球(LRpRBC+PLT)を含む大量輸血キットを調製することをさらに含む、〔65〕~〔72〕のいずれか一項に記載の方法。
〔74〕
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:1である、〔73〕に記載の方法。
〔75〕
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:2である、〔73〕または〔74〕に記載の方法。
〔76〕
前記大量輸血キットは、ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、〔73〕に記載の方法。
〔77〕
前記大量輸血キットは、ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:2である、〔73〕または〔76〕に記載の方法。
〔78〕
輸血医療のために血液製剤の供給を行う方法であって、
全血から酸素もしくは酸素および二酸化炭素を枯渇させて酸素低減全血(または酸素および二酸化炭素低減全血)を調製すること、ならびに
前記酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減全血をある期間保存し、前記保存血液を、それを必要とする患者に提供すること、または
前記酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減全血をある期間保存し、酸素もしくは酸素および二酸化炭素低減濃厚赤血球を調製すること、を含む、方法。
〔79〕
前記酸素または酸素および二酸化炭素低減濃厚赤血球は、第2の期間保存され、次いで、それを必要とする患者に提供される、〔78〕に記載の方法。
〔80〕
前記第2の期間は、最長6週間である、〔78〕または〔79〕に記載の方法。
〔81〕
酸素低減濃厚赤血球および血小板を含み、1×105/L未満の白血球を有する、血液組成。
〔82〕
前記組成は、1×104/L未満の白血球を含む、〔81〕に記載の血液組成。
〔83〕
AS-1、AS-3(Nutricel(登録商標))、AS-5、SAGM、PAGG-SM、PAGG-GM、MAP、AS-7、ESOL-5、EAS61、OFAS1、OFAS3、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される添加液をさらに含む、〔81〕または〔82〕に記載の血液組成。
〔84〕
ある体積の血漿およびある体積のLRpRBC+PLTを含む、大量輸血キット。
〔85〕
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:1である、〔84〕に記載の大量輸血キット。
〔86〕
血漿対LRpRBC+PLTの体積比は、1:2である、〔84〕または〔85〕に記載の大量輸血キット。
〔87〕
ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、〔84〕に記載の大量輸血キット。
〔88〕
ある体積の血小板をさらに含み、血漿、血小板、およびLRpRBC+PLTの体積比は、1:1:1である、〔84〕または〔87〕に記載の大量輸血キット。