(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126660
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】発光素子の選択領域におけるエラストマー層の形成
(51)【国際特許分類】
H01L 33/00 20100101AFI20220823BHJP
H01L 33/44 20100101ALI20220823BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20220823BHJP
H05K 13/04 20060101ALN20220823BHJP
【FI】
H01L33/00
H01L33/44
H01L21/52 C
H05K13/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085384
(22)【出願日】2022-05-25
(62)【分割の表示】P 2020528948の分割
【原出願日】2018-12-11
(31)【優先権主張番号】15/841,247
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】サケティ, プーヤ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ, パトリック ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー, ウイリアム パドレイク
(72)【発明者】
【氏名】オキーフ, ジョセフ
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】発光ダイオード(LED)は、ピックアンドプレース製造作業のためのピックアップヘッドとの接着による取り付けを容易にするエラストマー材料を含む。LEDは、メサ構造および発光面を画定するエピタキシャル層を含む。メサ構造は、光を発するための能動層を含み、発せられた光は、発光面の発光領域に向かってメサ構造で反射し、かつ発光領域において透過される。エラストマー材料は、発光領域または受動領域などの発光面の一部分上にある。
【効果】発光領域において、エラストマー材料は、発光領域から透過される光を平行化するレンズ状であってよく、また、ピックアップヘッドへの接着を容易にする。受動領域において、エラストマー材料は、発光領域から発せられる光に干渉することなく、ピックアップヘッドへの接着を容易にする。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)の発光面の、該発光面よりも小さい一部分上でエラストマー材料を形成することと、
前記エラストマー材料をピックアップヘッドに取り付けることによって前記LEDをピックアップすることと、
電子ディスプレイのディスプレイ基板上に前記エラストマー材料を介して前記ピックアップヘッドに取り付けられた前記LEDを載置することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記エラストマー材料は前記ピックアップヘッドの形状非適合面と接着される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エラストマー材料は、前記LEDの前記発光面の発光領域上に形成され、前記エラストマー材料は、前記発光領域から透過される光を平行化するレンズ状である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エラストマー材料は、フォトリソグラフィプロセス、マイクロ成形プロセス、転写印刷プロセスのうちの少なくとも1つによって前記LEDの前記発光面の前記一部分上に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記エラストマー材料は、前記エラストマー材料および溶剤を含む混合物を形成し、かつ形成された前記混合物を親水性を有する前記発光面の前記一部分上に落とすことによって前記LEDの前記発光面の前記一部分上に形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記LEDは、前記LEDの第1の側にメサ構造を画定するエピタキシャル層を含み、前記メサ構造は光を発するための能動層を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記エピタキシャル層は前記発光面を含む前記LEDの第2の側を画定し、前記LEDの前記第2の側は前記LEDの前記第1の側の反対側である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記LEDは光に対して透明である基板をさらに含み、前記エピタキシャル層は前記基板の第1の側にあり、前記基板の第2の側は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
発光ダイオード(LED)であって、
前記LEDの第1の側にメサ構造を画定するエピタキシャル層であって、前記メサ構造は光を発するための能動層を含む、エピタキシャル層と、
前記LEDの前記第1の側の反対側の前記LEDの第2の側において画定される前記LEDの発光面であって、前記能動層から発せられる前記光は前記発光面の発光領域に向かって前記メサ構造で反射し、かつ前記発光領域において透過される、発光面と、
前記発光面の前記発光領域上のエラストマー材料であって、前記発光領域から透過された前記光を平行化するレンズ状である、エラストマー材料と、を含む、
発光ダイオード(LED)。
【請求項10】
前記エピタキシャル層は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項9に記載のLED。
【請求項11】
前記光に対して透明である基板をさらに含み、前記エピタキシャル層は前記基板の第1の側にあり、前記基板の第2の側は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項9に記載のLED。
【請求項12】
前記エラストマー材料は前記発光面の一部分を覆っている、請求項9に記載のLED。
【請求項13】
前記能動層からの前記光は、前記メサ構造で反射する時に平行化され、レンズ状の前記エラストマー材料は前記発光領域から透過された前記光を平行化する、請求項9に記載のLED。
【請求項14】
前記エラストマー材料はピックアップヘッドの形状非適合面と接着される、請求項9に記載のLED。
【請求項15】
発光ダイオード(LED)であって、
前記LEDの第1の側にメサ構造を画定するエピタキシャル層であって、前記メサ構造は光を発するための能動層を含む、エピタキシャル層と、
前記LEDの前記第1の側の反対側の前記LEDの第2の側において画定される前記LEDの発光面であって、前記能動層から発せられる前記光は前記発光面の発光領域に向かって前記メサ構造で反射し、かつ前記発光領域において透過される、発光面と、
前記発光面の受動領域上に形成され、かつ前記発光面の前記発光領域を露出させる、エラストマー材料と、を含む、発光ダイオード(LED)。
【請求項16】
前記エピタキシャル層は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項15に記載のLED。
【請求項17】
前記光に対して透明である基板をさらに含み、前記エピタキシャル層は前記基板の第1の側にあり、前記基板の第2の側は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項15に記載のLED。
【請求項18】
前記能動層からの前記光は、前記メサ構造で反射する時に平行化され、かつ前記エラストマー材料を通ることなく前記発光領域から透過される、請求項15に記載のLED。
【請求項19】
前記エラストマー材料はピックアップヘッドの形状非適合面と接着される、請求項15に記載のLED。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電子ディスプレイは、ウェアラブル電子デバイス、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、テレビ、およびディスプレイシステムに見出され得る。ディスプレイ技術のいくつかの例として、無機発光ダイオード(ILED)ディスプレイおよび有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイが挙げられる。マイクロ発光ダイオード(mLED)は、電子ディスプレイのサブピクセルを形成するために使用可能である(例えば、1μm2~20μm2の能動領域を有する)小型発光素子である。電子ディスプレイを製造するために、mLEDは、キャリア基板から、ディスプレイ、または「ディスプレイ基板」の一部を形成するターゲット基板に移行され得る。小さいサイズのmLEDにより、従来のピックアンドプレース技術は不適当である。さらに、mLEDの輝度は、この小さいサイズによって限定される可能性があるため、このようなmLEDの光抽出効率は非常に低い。
【発明の概要】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、LEDの第1の側にメサ構造を画定するエピタキシャル層と、LEDの第1の側の反対側のLEDの第2の側において画定されるLEDの発光面と、発光面の発光領域上のエラストマー材料とを含む。エピタキシャル層は、LEDの第1の側においてメサ構造を画定する。メサ構造は、光を発するための能動層を含む。能動層から発せられる光は、発光面の発光領域に向かってメサ構造で反射し、かつ発光領域において透過される。いくつかの実施形態では、能動層からの光は、メサ構造で反射する時に平行化され、レンズ状のエラストマー材料は発光領域から透過された光を平行化する。
【0003】
いくつかの実施形態では、LEDは、発光面を含むLEDの第2の側を画定する透明な(例えば、LEDによって発せられる光に対して)基板を含む。基板は、基板の第1の側においてエピタキシャル層が取り付け可能であり、第1の側の反対側の基板の第2の側は発光面を含む。基板は、窒化ガリウム(GaN)系エピタキシャル層用のガラスまたはサファイア基板など、エピタキシャル層が成長する基板であってよい。
【0004】
エラストマー材料は、発光面の一部分を覆うことができるが、発光面全体を覆わない場合がある。いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、発光面の発光領域上にあり、かつ発光領域から透過される光を平行化するレンズ状である。ここで、エラストマー材料は、キャリア基板からディスプレイ基板へのLEDのピックアンドプレース中にピックアップヘッドとの接着のための界面層としての役割を果たし、また、発光領域から発せられた光を平行化し、かつ光抽出効率を改善する光学部品としての役割を果たす。他の実施形態では、エラストマー材料は、発光領域と異なる発光面の受動領域上で形成される。ここで、エラストマー材料は、LEDのピックアンドプレース中のピックアップヘッドとの接着のための界面層として使用されてよく、発光領域から発せられた光に干渉しない。
【0005】
いくつかの実施形態は、電子ディスプレイを製造する方法を含む。方法は、発光ダイオード(LED)の発光面の一部分上でエラストマー材料を形成することと、エラストマー材料をピックアップヘッドに取り付けることによってLEDをピックアップすることと、電子ディスプレイのディスプレイ基板上にエラストマー材料を介してピックアップヘッドに取り付けられたLEDを載置することと、を含む。LEDの発光領域上に形成されたエラストマー材料は、発光領域から透過される光を平行化するレンズ状であってよい。他の実施形態では、エラストマー材料は、フォトリソグラフィプロセス、マイクロ成形プロセス、転写印刷プロセスのうちの少なくとも1つによってLEDの発光面の一部分上に形成される。
【0006】
いくつかの構成では、エラストマー材料は、エラストマー材料および溶剤を含む混合物を形成し、かつ形成された混合物を発光面の一部分上に落とすことによってLEDの発光面の一部分上に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つの実施形態による、発光面を有する成長基板を含む発光ダイオード(LED)の断面図である。
【
図2】1つの実施形態による、発光面を有するエピタキシャル層を含むLEDの断面図である。
【
図3A】1つの実施形態による、発光面の発光領域上にレンズ状のエラストマー材料を有するLEDの断面図である。
【
図3B】1つの実施形態による、発光面の受動領域上にエラストマー材料を有するLEDの断面図である。
【
図4】1つの実施形態による、基板の発光面から透過される光を平行化するためのレンズ状のエラストマー材料を有するLEDの断面図である。
【
図5】1つの実施形態による、ディスプレイ製造システムにおけるピックアンドプレースヘッド(PPH)を使用するLEDのピックアップを示す模式図である。
【
図6】1つの実施形態による、ディスプレイ製造システムにおけるPPHを使用するLEDの載置を示す模式図である。
【
図7】1つの実施形態による、ディスプレイ製造システムにおけるPPHを使用して、LED上のエラストマー材料を介してLEDをピックアンドプレースするためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図および以下の説明は、単に例示としての実施形態に関する。以下の論述から、本明細書に開示される構造および方法の代替的な実施形態が、本明細書に開示される原理から逸脱することなく用いられてよい実行可能な代替策として容易に認識されるものになることは、留意されるべきである。
【0009】
発光ダイオード(LED)は、LEDの第1の側においてメサ構造を画定するエピタキシャル層と、LEDの光抽出効率を高めるためにLEDによって発せられる光を平行化するレンズとして形成される透明なエラストマー層を有するLEDの発光面とを含む。LEDの発光面は、LEDの第1の側の反対側のLEDの第2の側で画定される。メサ構造は、光を発するための能動層を含み、能動層から発せられる光は、発光面の発光領域に向かってメサ構造において反射し、かつ発光領域において透過される。エラストマー材料は、電子ディスプレイの製造時にLEDに対するピックアンドプレース動作のためのピックアップヘッドとの接着を容易にするために発光面(例えば、全体)より小さい発光面の一部分を覆う。例えば、エラストマー材料は、発光面の発光領域上にあってよい。いくつかの実施形態では、エラストマー材料は、発光領域から透過される光を平行化するレンズ状である。他の実施形態では、エラストマー材料は、光を発しない発光面の受動領域を覆い、受動領域におけるエラストマー材料は発せられた光に干渉しない。いくつかある利点の中でも特に、ピックアップヘッドとの接着による取り付けを容易にするためにLED上で形成されるエラストマー材料は、発光面から除去される必要はないが、これは、エラストマー材料が、光抽出を高める、または発せられた光に干渉しない受動領域にあるからである。
【0010】
LED上で形成されるものとしてエラストマー材料について論述しているが、同様の技法がLEDの代わりに垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)に適用可能であってよい。例えば、エラストマー材料は、ピックアンドプレース動作を容易にするために、または、エラストマー材料がレンズ状である場合、VSCELから発せられる光を平行化するために、VCSELの発光面の一部分上に載置されてよい。
【0011】
LEDの例
図1は、1つの実施形態による、発光ダイオード(LED)100の断面図である。LED100はマイクロLEDの一例である。マイクロLED(または「μLED」もしくは「mLED」)は、小さい能動発光面積(例えば、1μm
2~400μm
2といった2,000μm
2未満)を有する特定のタイプのLED100を指し、平行光出力を含んでよい。平行光出力は、小さい能動発光面積から発せられた光の輝度レベルを増大させる。
【0012】
LED100は、いくつかある構成部品の中でも特に、LED基板102(または「基板102」)であって、基板102上に半導体エピタキシャル層104が配設されているLED基板102と、エピタキシャル層104上に配設される誘導体層114と、誘導体層114上に配設されるp接触子116と、エピタキシャル層104上に配設されるn接触子118と、を含んでよい。発光面110は基板102の一部分であり、エピタキシャル層104は基板102上に配設される。発光面110は、光を発する発光領域122と、光を発しない(または、あらかじめ定められた強度閾値を下回るなどの少量の光を発する)1つまたは複数の受動領域124と、を含む。受動領域124および発光領域122はそれぞれ、発光面110全体より小さい発光面110の領域である。基板102は、エピタキシャル層104が成長する成長基板であってよい。いくつかの実施形態では、基板102は、窒化ガリウム(GaN)系エピタキシャル層104から発せられた光用のサファイアまたはガラス基板など、LED100によって発せられた光に対して透明である。
【0013】
他の実施形態では、発光面110はエピタキシャル層104の一部分であり、基板102はLED100から省かれる。例えば、基板102は、
図2に示されるようにエピタキシャル層104上の発光面を露出する、レーザリフトオフ(LLO)プロセスを使用してエピタキシャル層104から分離されてよい。基板102が、ガリウムヒ素(GaAs)系エピタキシャル層104から発せられる光用のGaAs基板などの不透明基板である場合、基板102は除去されてよい。エピタキシャル層104および基板102において使用される材料のタイプは変化し得る。
【0014】
図1に戻ると、エピタキシャル層104はメサ106に成形される。メサ106の形状によって、非成形または標準LEDと比較する時LED100の抽出効率が増大することになる。能動(または発光)層108(または「能動発光面積」)は、メサ106の構造に含まれる。メサ106は、LED100の発光面110の反対側の切頭頂部を有する。メサ106は、LED100内に生成される光用の反射筐体を形成するようにほぼ放物形状である。メサ106の形状は、エピタキシャル層104が基板102上で成長した後エピタキシャル層104にエッチングされてよく、光抽出効率を高めるさまざまな形状にエッチングされてよい。切頭頂部を有する放物形メサが
図1に示されているが、メサ106は、切頭頂部を有する円筒形または切頭頂部を有する円錐形などの他の形状を含むことができる。能動層108から突出している矢印は、能動層108から発せられる光112が、光がLED100を出ていくのに十分な角度で(すなわち、発光面110の総内部反射の角度の範囲内で)発光面110の発光領域122に向かってp接触子116およびメサ106の内壁にどのように反射するのかを示す。p接触子116およびn接触子118は、LED100をディスプレイ基板、とりわけ、ディスプレイ基板のサブピクセルに対する接触パッドに接続する。
【0015】
LED100は、能動発光面積からの光出力を方向づけ、かつ光出力の輝度レベルを増大させる。メサ106は、発光面110から出現する擬似平行光ビームを形成するためのウエハー処理工程中にLEDダイ上に直接エッチングされてよい。
【0016】
本明細書に使用されるように、「方向づけられた光」は平行および擬似平行光を含む。例えば、方向づけられた光はLEDの光生成領域から発せられる光であってよく、発せられた光の少なくとも一部分は半角を有するビームに向けられる。これによって、光のビームの方向にLEDの輝度を増大させることができる。そのように、LED100は、低減させた電流で(例えば、駆動電流のナノアンプ)人間の目に見える光を生じさせる。いくつかの実施形態において適用可能なμLEDに関するさらなる詳細については、全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,518,149号に論じられている。
【0017】
エラストマー層を有するLEDをピックアンドプレースするためのPPHの使用など、本明細書に論じられる技法は、μLEDダイのような小型半導体素子に限定されておらず、より緩和した間隔のパラメータによる大型半導体素子にも適用されてよい。
【0018】
図2は、1つの実施形態による、発光面を有するLED200の断面図である。LED200は、エラストマー材料がピックアップヘッドとの接着を容易にするために形成されてよい発光面を有するLEDの別の例である。LED200は、いくつかの構成部品の中でも特に、成長基板から分離されているエピタキシャル層104上に発光面210を含む。
【0019】
発光面210は、光112を発する発光領域222と、光を発しない(または、あらかじめ定められた強度閾値を下回るなどの最小の光を発する)1つまたは複数の受動領域224と、を含む。光112は、能動層108から発せられた光がLED200の発光面210の発光領域222において発光面210に向かってp接触子116およびメサ106の内壁にどのように反射するのかを示す。光112の一部分は、光が、出力光220としてLED200を出ていくのに十分な角度で(すなわち、総内部反射の角度の範囲内で)発光領域222に入射する。
【0020】
LED200は、能動層108から出力された光112を方向づけ、かつ出力光220の輝度レベルを増大させる。いくつかの実施形態では、LED200は、発光面210の発光領域222から出現する擬似平行光ビームを形成するためのウエハー処理工程中にLEDダイ上に直接エッチングされる放物形構造(または同様の構造)を画定するメサ206を有する。出力光220は、
図1に示されるLED100について上で論じられるように、平行および擬似平行光を含む。
【0021】
図3Aは、1つの実施形態による、発光面310の発光領域222上のレンズ状のエラストマー材料305を有するLED300の断面図である。LED300は、
図2に示されるLED200の一例であり、エピタキシャル層104の発光面310の発光領域222上にエラストマー材料305をさらに含む。LED300は、いくつかの構成部品の中でも特に、エラストマー層305と、エピタキシャル層104上に画定される発光面310とを含む。同様に、
図1に示されるLED100は、基板102上の発光面110の発光領域122上にレンズ状のエラストマー材料を含んでよい。
【0022】
エラストマー層305は、発光面310上に配設される形状適合層である。エラストマー層305は、形状非適合ピックアップ面を含むPPHのピックアップ面とのLED300の取り付けを容易にする。
図5および
図6と併せて後述されるように、LEDのそれぞれのエラストマー層305は、キャリア基板からディスプレイ基板へのLEDの移行を容易にするためにPPHのピックアップ面に装着するように構成される。エラストマー層305はPPHの形状非適合面と接着されてよい。例えば、エラストマー層305は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、UV硬化性PDMS、NuSilなどで構成されてよい。エラストマー層305は、可視光スペクトルに対する透過性、スピンコーティングによる蒸着、マイクロ成形する能力、硬化後に順応する能力、比較的高温の熱安定性などを含むがこれらに制限されない特性と関連付けられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、レンズ状のエラストマー材料305は、エラストマー材料305を溶剤(例えば、シクロヘキサン、イソブチルメチルケトン)と混合させ、かつ混合させた液体の制御された量を発光領域222上に落とすことによって形成される。溶剤は、硬化プロセスまたはその他との関連で蒸発して、レンズ状のエラストマー材料305を形成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、レンズ状のエラストマー層305は、フォトリソグラフィプロセスを使用して発光面310上に形成される。エラストマー材料はフォトレジストと混合される。プロセスは、発光面310上での前処理(例えば、クリーニング、脱水など)を行うこと、発光面310上でフォトレジストを有するエラストマー材料を回転させること、およびエラストマー材料およびフォトレジストの一部分を露光させることをさらに含む。ポジ型フォトレジスト材料の例では、発光領域222にわたるフォトレジスト材料305の一部分は光から遮られ、受動領域224にわたるフォトレジスト材料の他の部分は露光させて、他の部分を可溶性にする。フォトレジスト材料の可溶性部分はさらにまた、フォトレジスト現像液などにおいて受動領域224上のエラストマー材料と共に溶解させる。そのように、エラストマー材料305は発光領域222に残っている。エラストマー材料305は材料を硬化させるために加熱させてよい。いくつかの実施形態では、エッチングまたは他のエラストマー材料除去プロセスを使用して、エラストマー材料305を、発光面310から透過される光を平行化する所望のレンズ状に成形してよい。1つの例では、レンズ状のエラストマー材料305は、マイクロニードルマトリックス、ピエゾディスペンサ、インクジェットプリンタなどのうちの少なくとも1つを使用することによって、LED300の部分面積を親水性にし、かつ有機材料を蒸着させることによって、形成される。このような構成では、エラストマー材料305は、LED300上の親水性を有するLED300の部分面積上にのみ形成される。異なる例では、レンズ状のエラストマー材料305は、エラストマー材料305の部分成型のためのマスタモールドを作成すること、マスタモールドに希釈形態のエラストマー材料305を充填すること、エラストマー材料305を硬化させること、およびエラストマー材料305を離型させることによって形成される。
【0025】
LED300は、示されるように能動層108から出力される光112を方向づけて、メサ206に向かって発せられる一部分は、メサ206で反射しかつ平行化され、発光領域222に向けられる。平行光は方向づけられるため、LED300に面するビューアに対する光112の輝度レベルは増大する。臨界角の範囲内の発光領域222に入射する光112の一部分は、発光領域222を通して透過される。透過された光112は、レンズ状のエラストマー材料305によってさらに平行化され、方向付けられた光320として出力される。よって、LED300の能動層108から発せられる光の一部分は、メサ206、さらに、レンズ状のエラストマー材料305の両方で平行化される。エラストマー材料305は、可視光に対する透過性、調整可能な屈折率、80℃を下回る(約30,000時間の)経時安定性などを含むがこれらに制限されない光学的性質と関連付けられる。
【0026】
図3Bは、1つの実施形態による、発光面の受動領域上のエラストマー材料330を有する発光素子(LED)302の断面図である。LED302は、
図2に示されるLED200の一実施形態であり、エピタキシャル層104の発光面310の受動領域224上にエラストマー材料330をさらに含む。発光面310は、LED302が出力光325を出力する発光領域222と異なる1つまたは複数の受動領域を含んでよい。
【0027】
受動領域224上のエラストマー材料330は、出力光325に干渉しない。それにもかかわらず、エラストマー材料330は、
図5~
図7を参照して後述されるように、ディスプレイ基板上のLEDの組み立て中のPPHとのLED302の取り付けのために適合界面層をもたらす。エラストマー材料330は、平面層、レンズ、または他の形状に成形されてよい。さらに、発せられた光に対して不透明なエラストマー材料330が使用されてよい。
【0028】
図4は、1つの実施形態による、基板102の発光面410から透過される光を平行化するためのレンズ状のエラストマー材料305を有するLED400の断面図である。LED400は、
図1のLED100の一例であり、基板102の発光面410の発光領域122上にレンズ状のエラストマー材料305をさらに含む。発光面410は基板102の一部分であり、エピタキシャル層104は基板102上に配設される。エピタキシャル層104は基板102上で成長することができ、基板102は能動層108から発せられる光に対して透明な基板であってよい。
【0029】
LED400は、示されるように能動層108から出力される光112を方向づけて、メサ206に向かって発せられる一部分は、メサ206で反射しかつ平行化され、発光領域222に向けられる。平行光は方向づけられるため、LED400に面するビューアに対する光112の輝度レベルは増大する。臨界角の範囲内の発光領域122に入射する光112の一部分は、発光領域122を通して透過される。透過された光112は、レンズ状のエラストマー材料305によってさらに平行化され、方向付けられた光420として出力される。よって、LED400の能動層108から発せられる光の一部分は、メサ106、さらに、レンズ状のエラストマー材料305の両方で平行化される。
【0030】
LEDピックアンドプレースプロセス
図5は、1つの実施形態による、ディスプレイ製造システム500におけるPPHを使用するLEDのピックアップを示す模式図である。製造システム500は、いくつかの構成部品の中でも特に、PPH502、コントローラ506、視覚フィードバックシステム508、1つまたは複数のLED512、マイクロマニピュレータ514、キャリアステージ516、およびキャリア基板522を含む。LED512はそれぞれ、発光面の一部分上にエラストマー材料550を含む。エラストマー材料550は、レンズ状でかつ発光領域上のエラストマー材料305であってよい、または受動領域上のエラストマー材料330であってよい。ピックアップヘッドとしてPPHを使用するLEDが本明細書では論じられているが、エラストマー材料550による接着力を利用することが可能な他のタイプのピックアップヘッドも使用可能である。
【0031】
視覚フィードバックシステム508は、PPH502およびキャリア基板522上のLED512の画像を生成し、かつその画像をコントローラ506に提供する。PPH502およびキャリア基板522上のLED512の相対位置を指示する画像に基づいて、コントローラ506は、PPH502を移動させるために制御信号をマイクロマニピュレータ514に送信する。
【0032】
PPH502は、ピックアップ面504AがLED512の配列と整合するようにキャリア基板522と整合させる。さらに、PPH502が、複数のピックアップ面504上のLED512の配列をピックアップするためにLED512の配列に沿って並んで回転可能であるように整合される。
【0033】
いくつかの実施形態では、PPH502を整合させることは、適正な整合時にキャリア基板522上にPPH502を位置付けるために6自由度などに沿って複数の自由度に沿ってPPH502を移動させることを含んでよい。いくつかの実施形態では、PPH502およびキャリア基板522を整合させることは、キャリア基板522の位置を調節することを含んでよい。例えば、コントローラ506はキャリアステージ516を制御し、かつ1または複数の自由度に沿ってキャリアステージ516の位置を調節してよい。
【0034】
PPH502は、PPH502の第1のピックアップ面514Aによって1つまたは複数のLEDをピックアップするためにキャリア基板522上でエラストマー材料550を有する1つまたは複数のLED512に向かって移動させられる。例えば、整合の後で、PPH502は、LED512に向かって下げられてピックアップ面504AによってLED512をピックアップする。
【0035】
PPH502が第1のピックアップ面514Aによって1つまたは複数のLED512をピックアップした後で、PPH502は、PPH502の第2のピックアップ面504Bによって1つまたは複数の第2のLED512をピックアップするために回転する。第2のピックアップ面504Bは、
図5に示されるように、第1のピックアップ面504Aに隣接していてよい、または第1のピックアップ面504Aに隣接していないピックアップ面であってよい。
【0036】
載置プロセスの例
図6は、1つの実施形態による、ディスプレイ製造システム500におけるPPHを使用するLEDの載置を示す模式図である。ディスプレイ製造システム500は、PPH502、1つまたは複数のLED512、マイクロマニピュレータ514、コントローラ506、視覚フィードバックシステム508、ターゲットステージ620、およびディスプレイ基板618を含む。
【0037】
視覚フィードバックシステム508は、LED512が取り付けられたPPH502およびディスプレイ基板618の画像を生成し、その画像をコントローラ506に提供する。LED512を有するPPH502およびディスプレイ基板618の相対位置を指示する画像に基づいて、コントローラ506は、PPH502を移動させるために制御信号をマイクロマニピュレータ514に送信する。
【0038】
LEDの載置中にPPH502を制御するマイクロマニピュレータ514は、LEDのピックアップ中にPPH502を制御する同じマイクロマニピュレータであってよい、またはLEDが取り付けられたPPH502を受ける異なるマイクロマニピュレータであってよい。PPH502は、ピックアップ面504Aの長さに沿ったLED512の配列を含むピックアップ面504Aがディスプレイ基板618上のLED512に対する対応するダイ載置場所と整合するようにディスプレイ基板618と整合させる。さらに、PPH502が、ディスプレイ基板618上のPPH502の複数のピックアップ面504上にLED512を載置するためにディスプレイ基板618に沿って並んで回転可能であるように整合される。
【0039】
PPH502は、ディスプレイ基板618上に1つまたは複数のLED512を載置するためにディスプレイ基板618に向かってPPH502のピックアップ面504に取り付けられた1つまたは複数のLED512と共に移動する。例えば、整合の後で、PPH502は、ディスプレイ基板618に向かって下げられてLED512をディスプレイ基板618上に載置する。
【0040】
PPH502がディスプレイ基板618上に第1のピックアップ面504Aによって取り付けられた1つまたは複数のLED512を載置した後で、PPH502は、ディスプレイ基板618上にPPH502の第2のピックアップ面504Bに取り付けられた1つまたは複数のLED512を載置するために回転する。第2のピックアップ面504Bは、
図6に示されるように、第1のピックアップ面504Aに隣接していてよい、または第1のピックアップ面504Aに隣接していないピックアップ面であってよい。
【0041】
ディスプレイ基板618にPPH502からLEDが装着された後、PPH502はディスプレイ基板618から離れる。例えば、PPH502は、キャリア基板522からのLEDの後続のピックアップ、およびディスプレイ基板618上でのピックアップ済みLEDの載置などのためにディスプレイ基板618から離れるように持ち上げられてよい。
【0042】
図7は、1つの実施形態による、ディスプレイ製造システム500のPPHを使用して、LED上のエラストマー材料を介してLEDをピックアンドプレースするためのプロセス700を示すフローチャートである。プロセス700は、PPH502によって行われるように論じられているが、LEDの発光面の一部分上に形成されるエラストマー材料による接着による取り付けが可能である他のタイプのピックアップヘッドが使用されてよい。
【0043】
エラストマー材料は、LEDの発光面の一部分上に形成される710。エラストマー材料は、レンズ状のエラストマー材料305であってよく、発光面の発光領域上に形成されてよい、または、発光面の受動領域上に形成されるエラストマー材料330であってよい。
【0044】
ディスプレイ製造システム500のPPH502などのピックアップヘッドは、発光面の一部分上におけるエラストマー材料によって取り付けることによってLEDをピックアップする720。
【0045】
ピックアップヘッドは、電子ディスプレイのディスプレイ基板618上にエラストマー材料を介してピックアップヘッドに取り付けられたLEDを載置する730。それぞれのLEDは電子ディスプレイのサブピクセルを形成してよい。ディスプレイ基板618は、LEDのn接触子およびp接触子と連結する接触パッドを含んでよい。LEDは、熱圧着プロセスまたはレーザ結合プロセスを使用してディスプレイ基板と結合されかつ電気的に接続可能である。ディスプレイ基板618は、それぞれ制御回路に接続されたLEDを駆動する制御回路または制御系統(例えば、データおよびゲート信号系統)を含んでよい。
【0046】
本発明の実施形態の前述の説明は、例示の目的で提示されており、網羅的であることも、開示される正確な形態に本発明を限定することも意図されていない。多くの修正および変形が上記の開示を考慮して可能であることを、当業者は理解可能である。
【0047】
本明細書において使用される用語は、主に読み易さおよび教授の目的で選択されており、本発明の主題を叙述するまたはその範囲を定めるために選択されていない可能性がある。従って、本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されず、むしろ、本明細書に基づく出願上で公布される全ての請求項によって限定されることが意図されている。したがって、本発明の実施形態の開示は、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲の例示を意図したものであり、限定することを意図していない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオード(LED)であって、
前記LEDの第1の側にメサ構造を画定するエピタキシャル層であって、前記メサ構造は光を発するための能動層を含む、エピタキシャル層と、
前記LEDの前記第1の側の反対側の前記LEDの第2の側において画定される前記LEDの発光面であって、前記能動層から発せられた前記光は前記発光面の発光領域に向かって前記メサ構造で反射し、かつ前記発光領域において透過される、発光面と、
前記発光面の前記発光領域上のエラストマー材料であって、前記発光領域から透過された前記光を平行化するレンズ状である、エラストマー材料と、を含む、
発光ダイオード(LED)。
【請求項2】
前記エピタキシャル層は、前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項1に記載のLED。
【請求項3】
前記光に対して透明である基板をさらに含み、前記エピタキシャル層は前記基板の第1の側にあり、前記基板の第2の側は前記発光面を含む前記LEDの前記第2の側を画定する、請求項1に記載のLED。
【請求項4】
前記エラストマー材料は前記発光面の一部分を覆っている、請求項1に記載のLED。
【請求項5】
前記能動層からの前記光は、前記メサ構造で反射する時に平行化され、レンズ状の前記エラストマー材料は前記発光領域から透過された前記光を平行化する、請求項1に記載のLED。
【請求項6】
前記エラストマー材料は、ピックアップヘッドの形状非適合面と接着される、請求項1に記載のLED。
【外国語明細書】