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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126710
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
B65D1/02 242
B65D1/02 241
B65D1/02 221
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093195
(22)【出願日】2022-06-08
(62)【分割の表示】P 2019510038の分割
【原出願日】2018-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2017069778
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227032
【氏名又は名称】日精エー・エス・ビー機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 学史
(72)【発明者】
【氏名】青木 岳志
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容器内での液体の残留を防止するウォーターサーバー用樹脂容器を提供する。
【解決手段】上面部21と、上面部21に接続された側面部22と、上面部21と反対側に配置されて側面部22に接続された底面部23と、を備え、側面部22には、角丸面部25が形成され、角丸面部25上に、第一の折り畳み変形誘導部31が形成され、第一の折り畳み変形誘導部31は、容器11の中心軸Aと角丸面部25とが重なるように容器11を側面部22側から見た時に、中心軸Aに対して斜めである、樹脂製容器11を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の液体が収容可能であると共に可撓性を有し、前記液体の廃液に伴って容器が潰れるウォーターサーバー用樹脂製容器であって、
液体の出入口部が形成された上面部と、
前記上面部に接続された側面部と、
前記上面部と反対側に配置されて前記側面部に接続された底面部と、
を備え、
前記側面部には、前記容器を前記上面部側から見た時に前記容器が角丸の多角形状になるように角丸面部が形成され、
前記角丸面部上に、長尺状の第一の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第一の折り畳み変形誘導部は、前記容器の前記液体の出入口部を通る中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して斜めである、樹脂製容器。
【請求項2】
前記角丸面部上に、長尺状の第二の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第二の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記第一の折り畳み変形誘導部の前記中心軸に対する傾きと異なる傾きで、前記中心軸に対して斜めである、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記角丸面部上に、長尺状の第三の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第三の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して直交している、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部を脚とし、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部の前記容器の前記上面部側の端部を結ぶ線を上底とし、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部の前記容器の前記底面部側の端部を結ぶ線を下底とする台形の前記上底及び前記下底が、前記中心軸に対して直交しており、
前記台形は、前記中心軸方向に複数設けられており、
前記上面部に最も近い前記台形の高さが、前記底面部に最も近い前記台形の高さよりも大きく、
隣り合う前記台形のうち、前記上面部側の前記台形の高さが、前記底面部側の前記台形の高さ以上である、
請求項2に記載の樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターサーバー用の樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向や自然災害に対する備えの必要性といった意識が高まり、バッグ・イン・ボックス(BIB)と称される容器の需要が高まっている。このBIBは、飲料水(ミネラルウォーター)等の液体が充填された樹脂製容器を段ボール箱やカートンといった外装体に収容した複合構造式の容器である。保管・運搬は外装体に樹脂製容器を収容した状態で行い、使用時は外装体より取出した樹脂製容器をディスペンサ(ウォーターサーバー)にセットして給水等に供される。
【0003】
この樹脂製容器は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の可撓性を備えた材料をブロー成形機により成形した薄肉容器であり、容量が5~15リットル程度である。この樹脂製容器は可撓性を有し、上下を逆向きにしてウォーターサーバー上で使用する際に、液体の廃液に伴って大気圧により潰れていく。このような樹脂製容器は可撓性を有する薄肉容器であるので、特に、使用後に潰れて廃棄する使い捨て(ワンウェイ式)容器として用いられる。
【0004】
特許文献1には、底面付近に可撓性を有する帯状の吊り具を備えた、ウォーターサーバー用容器が開示されている。
特許文献2には、ウォーターディスペンサー用の容器であって、液体の廃液と共に、容器内の圧力と外気圧との違いにより生じる力により、容器の軸方向に潰れていく容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特開2012-46216号公報
【特許文献2】国際公開第2016/050977号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
軟質なウォーターサーバー用の容器は、使用と共に大気圧によって押し潰される。その際、水の流れ、成形時に生じた容器の厚みの微小なばらつき、運搬時等で容器についた微小な傷、歪み等に起因して、容器が不規則に変形する。そして、完全な円筒型ではなく、角丸の側壁部分が形成されている容器の場合、その側壁部分が潰れずに、容器の支えになってしまう場合がある。この支えができてしまうと、容器の折り畳み変形が阻害され、廃液を完全に行えず、容器内に液体が残留してしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、容器内での液体の残留を防止することができるウォーターサーバー用の樹脂製容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明の樹脂製容器は、
所定量の液体が収容可能であると共に可撓性を有し、前記液体の廃液に伴って容器が潰れるウォーターサーバー用樹脂製容器であって、
液体の出入口部が形成された上面部と、
前記上面部に接続された側面部と、
前記上面部と反対側に配置されて前記側面部に接続された底面部と、
を備え、
前記側面部には、前記容器を前記上面部側から見た時に前記容器が角丸の多角形状になるように角丸面部が形成され、
前記角丸面部上に、長尺状の第一の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第一の折り畳み変形誘導部は、前記容器の前記液体の出入口部を通る中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して斜めである。
【0009】
この構成の樹脂製容器によれば、第一の折り畳み変形誘導部により、液体の廃液と共に容器に不規則な向きにかかる力を誘導して、容器の角丸面部が支えになることを防止することができる。その結果、容器内での液体が残留しないように、容器を潰れさせることができる。
また、上記の不規則な力は、水の流れ、成形時に生じた容器の厚みの微小なばらつき、運搬時等で容器についた微小な傷、歪み等により、生じると考えられる。この構成の樹脂製容器によれば、このような容器の状態にかかわらず、容器内に液体が残留しないように、容器を潰れさせることができる。
【0010】
本発明の樹脂製容器において、
前記角丸面部上に、長尺状の第二の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第二の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記第一の折り畳み変形誘導部の前記中心軸に対する傾きと異なる傾きで、前記中心軸に対して斜めであることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、折り畳み変形誘導部が2種類設けられることで、さらに容器の角丸面部が支えになることを防止することができる。その結果、さらに容器内に液体が残留しないように、容器を潰れさせることができる。
【0012】
本発明の樹脂製容器において、
前記角丸面部上に、長尺状の第三の折り畳み変形誘導部が形成され、
前記第三の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して直交していることが好ましい。
【0013】
折り畳み変形誘導部が3種類設けられることで、さらに一層容器の角丸面部が支えになることを防止することができる。その結果、さらに一層容器内に液体が残留しないように、容器を潰れさせることができる。
【0014】
本発明の樹脂製容器において、
前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部を脚とし、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部の前記容器の前記上面部側の端部を結ぶ線を上底とし、前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部の前記容器の前記底面部側の端部を結ぶ線を下底とする台形の前記上底及び前記下底が、前記中心軸に対して直交しており、
前記台形は、前記中心軸方向に複数設けられており、
前記上面部に最も近い前記台形の高さが、前記底面部に最も近い前記台形の高さよりも大きく、
隣り合う前記台形のうち、前記上面部側の前記台形の高さが、前記底面部側の前記台形の高さ以上であることが好ましい。
【0015】
底面部側の側面部は、液体の廃液時に上面部側の側面部よりも先に潰れる。容器の底面部側の第一の折り畳み変形誘導部及び第二の折り畳み変形誘導部を脚とする台形の高さを短くすることで、廃液の初期において容器の変形を誘導しやすくなり、容器の角丸面部が支えになることを防止することができる。そして、廃液が進むと、内部の液体が減ることで液体による支えがなくなるため、変形する容器の高さ幅が大きくなる場合が多い。容器上部側の第一の折り畳み変形誘導部及び第二の折り畳み変形誘導部を脚とする台形の高さを長くすることで、廃液の中期及び終期においても容器の変形を誘導しやすくなり、容器の角丸面部が支えになることを防止することができる。その結果、容器内に液体が残留しないように、容器を潰れさせることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器内での液体の残留を防止することができるウォーターサーバー用の樹脂製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す側面図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す側面図である。
図3】本発明の第一及び第二の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す平面図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す斜視図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す側面図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す側面図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係るウォーターサーバー用の樹脂製容器を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る樹脂製容器の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0019】
(第一の実施形態)
図1図4は本発明の第一の実施形態に係る樹脂製容器11を示す図である。本実施形態において樹脂製容器11は、上面部21と、上面部21に接続された側面部22と、上面部21と反対側に配置されて側面部22に接続された底面部23とを備え、略立方体形状に形成されている。その内部には、所定量の液体(飲料水等)が収容可能とされている。
【0020】
上面部21は、樹脂製容器11の天面を形成するもので、その中心には、上方へ突出する筒状の出入口部24が形成されている。樹脂製容器11内には、出入口部24から液体が流入される。また、樹脂製容器11内の液体は、出入口部24から流出される。出入口部24には、キャップが取り付けられる。このキャップは出入口部24に対して着脱可能とされており、出入口部24にキャップを装着することで、樹脂製容器11が密閉される。
【0021】
側面部22は、樹脂製容器11の周面を形成するもので、上面部21に接続されて下方側へ延在されている。底面部23は、樹脂製容器11の底面を形成するもので、上面部21と反対側に配置されて側面部22に接続されている。
【0022】
側面部22には、容器11を上面部21側から見た時に容器11が角丸の正方形状に見えるように角丸面部25が形成されている(図3)。図3の破線は、本実施形態における角丸面部25に該当する箇所を示す線である。図3に示すように、角丸面部25は、角丸が形成されている部分のみを指すわけではなく、角丸が形成されている部分から平坦な部分に延在している。また、図1図4の二点鎖線は、立体的形状を示す線ではないが、角丸面部25の認識を容易にするための想像線である。
【0023】
角丸面部25上には、長尺状の第一の折り畳み変形誘導部31が形成されている。この第一の折り畳み変形誘導部31は、容器11の出入口部24を通る中心軸Aと角丸面部25とが重なるように容器11を側面部22側から見た時(すなわち図2のように見た時。以下単に、容器11を角丸面部25側から見た時、とする。)に、当該中心軸Aに対して斜めになるように形成されている。なお、本明細書において斜めにとは、中心軸Aに対して0°を超えて90°未満であること又は中心軸Aに対して90°を超えて180°未満であることを意味する。
【0024】
角丸面部25上には、長尺状の第二の折り畳み変形誘導部32が形成されている。第二の折り畳み変形誘導部32は、容器11を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部31の中心軸Aに対する傾きと異なる傾きで中心軸Aに対して斜めになるように形成されている。また、第二の折り畳み変形誘導部32は、中心軸Aが角丸面部25の中心線と重なるように容器11を側面部22側から見た時に、中心軸Aを対称軸として第一の折り畳み変形誘導部31と線対称の関係にある。
【0025】
角丸面部25上には、長尺状の第三の折り畳み変形誘導部33が形成されている。この第三の折り畳み変形誘導部33は、容器11を角丸面部25側から見た時に、中心軸Aに対して直交するように形成され、第三の折り畳み変形誘導部33の中心点を中心軸Aが通る位置に形成されている。
【0026】
角丸面部25上には、容器11を角丸面部25側から見た時に、第三の折り畳み変形誘導部33を対称軸として第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32とそれぞれ線対称の関係となる、長尺状の第四の折り畳み変形誘導部34及び第五の折り畳み変形誘導部35が形成されている。
【0027】
角丸面部25上には、容器11を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部31~第五の折り畳み変形誘導部35を挟み込むように形成され、中心軸Aに対して直交するように形成されている、第三の折り畳み変形誘導部33よりも長い長尺状の第六の折り畳み変形誘導部36が形成されている。
【0028】
第一の折り畳み変形誘導部31~第六の折り畳み変形誘導部36は、それぞれ角丸面部25上に設けられた凹部である。角丸面部25上には、第一の折り畳み変形誘導部31~第六の折り畳み変形誘導部36により形成される1つのユニットが、中心軸Aが延びる方向に3つ並んで形成されている。なお、第一の折り畳み変形誘導部31と第二の折り畳み変形誘導部32との間の角度、および、第四の折り畳み変形誘導部34と第五の折り畳み変形誘導部35との間の角度は、90°以上の鈍角になっているのが望ましい。また、第一の折り畳み変形誘導部31、第二の折り畳み変形誘導部32、第四の折り畳み変形誘導部34および第五の折り畳み変形誘導部35の各々と第六の折り畳み変形誘導部36との間の角度は、90°以下の鋭角になっているのが望ましい。そして、第一の折り畳み変形誘導部31~第五の折り畳み変形誘導部35が、これらの上下の位置に設けられた第六の折り畳み変形誘導部36の左の端点同士および右の端点同士を結んだ直線を縦とする横長の略長方形の囲いの内側に構成されているのが望ましい。これにより、角丸面部25の鉛直方向の撓み易さ(折り畳み易さ)を向上させることができる。
【0029】
樹脂製容器11は、上下を反転させた状態でウォーターサーバー上部に設けられる箱状の収容部へ入れられる。そして、この状態で、樹脂製容器11の出入口部24から内部の液体である水がウォーターサーバーへ供給される。
【0030】
ウォーターサーバーで水が消費されて樹脂製容器11内の水が減少すると、それに伴って可撓性を有する軟質の樹脂製容器11は、変形して容積が減少する。したがって、水の減少に伴って樹脂製容器11の内部に空気が入り込むことを防止でき、衛生が確保される。このとき、周面である側面部22の角丸面部25上の折り畳み変形誘導部31~36が水の減少に伴って容易に変形する。
【0031】
本実施形態では、角丸面部25上に容器11の内側に凹む構成の第一の折り畳み変形誘導部31が設けられている。この第一の折り畳み変形誘導部31は、折り畳み変形の起点になりやすく、容器11の角丸面部25が支えになることを防ぐことができ、容器11内に液体が残留しないように容器11を潰れさせることができる。より具体的には、第一の折り畳み変形誘導部31により、液体の廃液と共に容器11に不規則な向きにかかる力を誘導して容器11の角丸面部25が支えになることを防止することができる。その結果、容器11内で液体が残留しないように容器11を潰れさせることができる。また、上記の不規則な力は、水の流れ、成形時に生じた容器11の厚みの微小なばらつき、運搬時等で容器11についた微小な傷、歪み等により生じると考えられる。本実施形態に係る容器11では、このような容器11の状態にかかわらず、容器11内に液体が残留しないように容器11を潰れさせることができる。なお、「角丸面部25が支えになる」とは、例えば、角丸面部25の両側の側面部22が先に内側に潰れて角丸面部25が角張ってしまい、角丸面部25が鉛直方向において柱状に突っ張ってしまう状態を示す。
【0032】
また、本実施形態では、さらに角丸面部25上に容器11の内側に凹む構成の第二の折り畳み変形誘導部32が設けられ、折り畳み変形の起点が第一の折り畳み変形誘導部31と併せて設けられている。互いに異なる向きに第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32が設けられていることにより、さらに容器11の角丸面部25が支えにならないように容器11に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0033】
また、本実施形態では、さらに角丸面部25上に容器11の内側に凹む構成の第三の折り畳み変形誘導部33が設けられ、折り畳み変形の起点が第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32と併せて設けられている。互いに異なる向きに設けられている第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32と併せて、中心軸Aに対して直行するように第三の折り畳み変形誘導部33が設けられている。これにより、さらに容器11の角丸面部25が支えにならないように、かつ角丸面部25を内側に折り畳み変形させるように、容器11に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0034】
また、本実施形態では、さらに角丸面部25上に容器11の内側に凹む構成の第四の折り畳み変形誘導部34~第六の折り畳み変形誘導部36が設けられ、折り畳み変形を誘導する領域が設けられている。当該領域によって折り畳み変形を誘導することができるので、広範囲で容器11に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0035】
また、本実施形態では、角丸面部25上に前述の折り畳み変形を誘導する領域が中心軸Aが延びる方向に3つ設けられている。これにより、中心軸Aが延びる方向について広範囲で容器11に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0036】
(第二の実施形態)
図5図7は、本発明の第二の実施形態に係る樹脂製容器111を表す図である。本実施形態に係る樹脂製容器111は、角丸面部25に形成された折り畳み変形誘導部が異なる以外は、第一の実施形態に係る樹脂製容器11と同様である。また、図5図7の二点鎖線は、立体的形状を示す線ではないが、角丸面部25の認識を容易にするための想像線である。
【0037】
本実施形態において、角丸面部25上には、長尺状の第一の折り畳み変形誘導部131(131a、131b、131c及び131dを総称して131と呼ぶ。)が形成されている。この第一の折り畳み変形誘導部131は、容器111の出入口部24を通る中心軸Aと角丸面部25とが重なるように容器111を側面部22側から見た時(すなわち図6のように見た時。以下単に、容器111を角丸面部25側から見た時、とする。)に、当該中心軸Aに対して斜めに形成されている。
【0038】
角丸面部25上には、長尺状の第二の折り畳み変形誘導部132(132a、132b、132c及び132dを総称して132と呼ぶ。)が形成されている。第二の折り畳み変形誘導部132は、容器111を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部131の中心軸Aに対する傾きと異なる傾きで中心軸Aに対して斜めに形成されている。また、第二の折り畳み変形誘導部132は、中心軸Aが角丸面部25の中心線と重なるように容器111を側面部22側から見た時に、中心軸Aを対称軸として第一の折り畳み変形誘導部131と線対称の関係にある。
【0039】
角丸面部25上には、長尺状の第三の折り畳み変形誘導部133(133a、133b、133c及び133dを総称して133と呼ぶ。)が形成されている。この第三の折り畳み変形誘導部133は、容器111を角丸面部25側から見た時に、中心軸Aに対して直交するように形成され、第三の折り畳み変形誘導部133の中心点を中心軸Aが通る位置に形成されている。第一の折り畳み変形誘導部131と第二の折り畳み変形誘導部132と第三の折り畳み変形誘導部133とは連なって形成されている。
【0040】
角丸面部25上には、容器111を角丸面部25側から見た時に、第三の折り畳み変形誘導部133を対称軸として第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132とそれぞれ線対称の関係となる、長尺状の第四の折り畳み変形誘導部134(134a、134b、134c及び134dを総称して134と呼ぶ。)及び第五の折り畳み変形誘導部135(135a、135b、135c及び135dを総称して135と呼ぶ。)が形成されている。第三の折り畳み変形誘導部133と第四の折り畳み変形誘導部134と第五の折り畳み変形誘導部135とは連なって形成されている。
【0041】
角丸面部25上には、容器111を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部131~第五の折り畳み変形誘導部135を挟み込むように形成され、中心軸Aに対して直交するように形成されている、第三の折り畳み変形誘導部133よりも長い長尺状の第六の折り畳み変形誘導部136(136a、136b、136c及び136dを総称して136と呼ぶ。)及び第七の折り畳み変形誘導部137(137a、137b、137c及び137dを総称して137と呼ぶ。)が形成されている。第一の折り畳み変形誘導部131と第二の折り畳み変形誘導部132と第六の折り畳み変形誘導部136とは連なって形成されている。第四の折り畳み変形誘導部134と第五の折り畳み変形誘導部135と第七の折り畳み変形誘導部137とは連なって形成されている。
【0042】
第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132は、第六の折り畳み変形誘導部側136の端部から第三の折り畳み変形誘導部133の端部に向かうにつれて、容器111内部に向かうように形成されている。また、第四の折り畳み変形誘導部134及び第五の折り畳み変形誘導部135は、第七の折り畳み変形誘導部137の端部から第三の折り畳み変形誘導部133の端部に向かうにつれて、容器111内部に向かうように形成されている。角丸面部25上には、第一の折り畳み変形誘導部131~第七の折り畳み変形誘導部137により形成される1つのユニットが、中心軸Aが延びる方向に4つ並んで形成されている。
【0043】
角丸面部25上には、容器111を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132を脚とし、第三の折り畳み変形誘導部133を上底とし、第六の折り畳み変形誘導部136を下底とする台形が見られる。また、角丸面部25上には、容器111を角丸面部25側から見た時に、第四の折り畳み変形誘導部134及び第五の折り畳み変形誘導部135を脚とし、第七の折り畳み変形誘導部137を上底とし、第三の折り畳み変形誘導部133を下底とする台形が見られる。
【0044】
容器111の底面部23に最も近い第一の折り畳み変形誘導部131a~第七の折り畳み変形誘導部137aにより形成される第一のユニットには、容器111を角丸面部25側から見た時に、第三の折り畳み変形誘導部133aを対称軸として対称となる二つの台形が形成されている。容器111の底面部23に二番目に近い第一の折り畳み変形誘導部131b~第七の折り畳み変形誘導部137bにより形成される第二のユニットにおいても、同様の二つの台形が形成されている。容器111の底面部23に三番目に近い第一の折り畳み変形誘導部131c~第七の折り畳み変形誘導部137cにより形成される第三のユニットにおいても、同様の二つの台形が形成されている。容器11の底面部23に四番目に近い第一の折り畳み変形誘導部131d~第七の折り畳み変形誘導部137dにより形成される第四のユニットにおいても、同様の二つの台形が形成されている。底面部23側から上面部21側に向かうにつれて、各ユニットに見られる台形の高さが大きくなっている。
【0045】
本実施形態では、角丸面部25上に、第六の折り畳み変形誘導部側136の端部から第三の折り畳み変形誘導部133の端部に向かうにつれて容器111内部に向かう、第一の折り畳み変形誘導部131が設けられている。この第一の折り畳み変形誘導部131が折り畳み変形の起点になりやすい。これにより、容器111の角丸面部25が支えになることを防ぐことができ、容器111内に液体が残留しないように容器111を潰れさせることができる。より具体的には、第一の折り畳み変形誘導部131により液体の廃液と共に容器111に不規則な向きにかかる力を誘導して、容器111の角丸面部25が支えになることを防止することができる。その結果、容器111内で液体が残留しないように容器111を潰れさせることができる。また、上記の不規則な力は、水の流れ、成形時に生じた容器111の厚みの微小なばらつき、運搬時等で容器111についた微小な傷、歪み等により、生じると考えられる。本実施形態に係る容器111では、このような容器111の状態にかかわらず、容器111内に液体が残留しないように容器111を潰れさせることができる。
【0046】
また、本実施形態では、さらに角丸面部25上に、第六の折り畳み変形誘導部136の端部から第三の折り畳み変形誘導部133の端部に向かうにつれて容器111内部に向かう、第二の折り畳み変形誘導部132が設けられ、折り畳み変形の起点が第一の折り畳み変形誘導部131と併せて設けられている。互いに異なる向きに第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132が設けられていることにより、さらに容器111の角丸面部25が支えにならないように容器111に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0047】
また、本実施形態では、さらに第六の折り畳み変形誘導部136よりも容器111の内側に第三の折り畳み変形誘導部133が設けられ、折り畳み変形の起点が第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132と併せて設けられている。互いに異なる向きに設けられている第一の折り畳み変形誘導部131及び第二の折り畳み変形誘導部132と併せて、中心軸Aに対して直行するように第三の折り畳み変形誘導部133が設けられている。これにより、さらに容器111の角丸面部25が支えにならないように、かつ角丸面部25を内側に折り畳み変形させるように、容器111に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0048】
また、本実施形態では、さらに角丸面部25上に、第七の折り畳み変形誘導部137の端部から第三の折り畳み変形誘導部133の端部に向かうにつれて容器111内部に向かう、第四の折り畳み変形誘導部134及び第五の折り畳み変形誘導部135が設けられている。そして、第一の折り畳み変形誘導部131~第七の折り畳み変形誘導部137により折り畳み変形を誘導する領域が設けられている。当該領域によって折り畳み変形を誘導することができるので、広範囲で容器111に不規則な向きにかかる力を誘導することができる。
【0049】
また、本実施形態では、角丸面部25上に前述の折り畳み変形を誘導する領域が中心軸Aが延びる方向に4つ設けられている。これにより、中心軸Aが延びる方向について広範囲で容器111に不規則な向きでかかる力を誘導することができる。
【0050】
また、ウォーターサーバー用の樹脂製容器111は、容器111内の液体の廃液時に、底面部23側の側面部22が、上面部21側の側面部22よりも先に潰れる。容器111の底面部23に最も近い第一のユニットに見られる台形の高さを小さくすることで、廃液の初期において容器111の変形を誘導しやすくなり、容器111の角丸面部25が支えになることを防止することができる。そして、廃液が進むと、内部の液体が減ることで液体による支えがなくなるため、変形する容器111の高さ幅が大きくなる場合が多い。容器111の上面部21側に向かうにつれて各ユニットに見られる台形の高さを大きくすることで、廃液の中期及び終期においても容器111の変形を誘導しやすくなり、容器111の角丸面部25が支えになることを防止することができる。
【0051】
なお、上述した第一の実施形態において、角丸面部25上には、容器11を角丸面部25側から見た時に、第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32を脚とし、第三の折り畳み変形誘導部33側の第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32の端部を結ぶ想像線を上底とし、第六の折り畳み変形誘導部36側の第一の折り畳み変形誘導部31及び第二の折り畳み変形誘導部32の端部を結ぶ想像線を下底とする台形が見られる。また、角丸面部25上には、容器11を角丸面部25側から見た時に、第四の折り畳み変形誘導部34及び第五の折り畳み変形誘導部35を脚とし、第六の折り畳み変形誘導部36側の第四の折り畳み変形誘導部34及び第五の折り畳み変形誘導部35の端部を結ぶ想像線を上底とし、第三の折り畳み変形誘導部33側の第四の折り畳み変形誘導部34及び第五の折り畳み変形誘導部35の端部を結ぶ想像線を下底とする台形が見られる。すなわち、第一の折り畳み変形誘導部31~第六の折り畳み変形誘導部36により形成される1つのユニットの中に上記台形が2つ見られる。
【0052】
第一の実施形態においても、底面部23側から上面部21側に向かうにつれて、各ユニットに見られる台形の高さが大きくなるように、第一の折り畳み変形誘導部31~第六の折り畳み変形誘導部36を形成してもよい。容器11の底面部23に最も近いユニットに見られる台形の高さを小さくすることで、廃液の初期において容器11の変形を誘導しやすくなり、容器11の角丸面部25が支えになることを防止することができる。そして、容器11の上面部21側に向かうにつれて各ユニットに見られる台形の高さを大きくすることで、廃液の中期及び終期においても容器11の変形を誘導しやすくなり、容器11の角丸面部25が支えになることを防止することができる。
【0053】
このように、上記実施形態によれば、容器内での液体の残留を防止することができるウォーターサーバー用樹脂製容器を提供できる。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、容器は略直方体形状になっていても構わない。
【0055】
本願は、2017年3月31日付で出願された日本国特許出願(2017-069778)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
【符号の説明】
【0056】
11,111:樹脂製容器、21:上面部、22:側面部、23:底面部、24:出入口部、25:角丸面部、31,131:第一の折り畳み変形誘導部、32,132:第二の折り畳み変形誘導部、33,133:第三の折り畳み変形誘導部、34,134:第四の折り畳み変形誘導部、35,135:第五の折り畳み変形誘導部、36,136:第六の折り畳み変形誘導部、137:第七の折り畳み変形誘導部、A:中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-07-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の液体が収容可能であると共に可撓性を有し、前記液体の廃液に伴って容器が潰れるポリエチレンテレフタレート製のウォーターサーバー用樹脂製容器であって、
前記容器の中心軸を通るように、前記液体の出入口部が形成された上面部と、
前記上面部に接続された側面部と、
前記上面部と反対側に配置されて前記側面部に接続された底面部と、
前記側面部に形成され、前記容器を前記上面部側から見た時に前記容器が角丸の多角形状となるように設けられる4つの角丸面部と、
前記角丸面部上に形成された折り畳み変形誘導部ユニットと、
を備え、
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、前記容器の内側に凹む長尺状の複数の折り畳み変形誘導部から構成されており、
前記角丸面部上に、前記折り畳み変形誘導部ユニットが複数並んで形成されている、
樹脂製容器。
【請求項2】
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、第一の折り畳み変形誘導部を有し、
前記第一の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して斜めであるように前記角丸面部上に形成されている、
請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項3】
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、第二の折り畳み変形誘導部を有し、
前記第二の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記第一の折り畳み変形誘導部の前記中心軸に対する傾きと異なる傾きで、前記中心軸に対して斜めである、
請求項2に記載の樹脂製容器。
【請求項4】
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、第三の折り畳み変形誘導部を有し、
前記第三の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して直交している、
請求項3に記載の樹脂製容器。
【請求項5】
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、第四の折り畳み変形誘導部及び第五の折り畳み誘導部と、を有し、
前記第四の折り畳み変形誘導部及び前記第五の折り畳み誘導部は、前記容器を角丸面部側から見た時に、前記第三の折り畳み変形誘導部を対称軸として前記第一の折り畳み変形誘導部及び前記第二の折り畳み変形誘導部とそれぞれ線対称の関係となる、
請求項4に記載の樹脂製容器。
【請求項6】
前記折り畳み変形誘導部ユニットは、第六の折り畳み変形誘導部を有し、
前記第六の折り畳み変形誘導部は、前記中心軸と前記角丸面部とが重なるように前記容器を側面部側から見た時に、前記中心軸に対して直交しており、前記第三の折り畳み変形誘導部と平行で前記第三の折り畳み変形誘導部よりも長く形成されている、
請求項4に記載の樹脂製容器。
【請求項7】
前記第一の折り畳み変形誘導部と前記第二の折り畳み変形誘導部との間の角度は90°以上の鈍角になっている、
請求項3に記載の樹脂製容器。
【請求項8】
前記第一の折り畳み変形誘導部と前記第六の折り畳み変形誘導部との間の角度は90°以下の鋭角になっている、
請求項6に記載の樹脂製容器。