(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126754
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】抗EGFR抗体薬物複合体製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20220823BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220823BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20220823BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220823BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220823BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220823BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220823BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220823BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20220823BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220823BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220823BHJP
C07K 5/02 20060101ALI20220823BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K9/08 ZNA
A61K9/19
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/26
A61P35/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K38/05
A61K47/22
C07K16/28
C07K5/02
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098605
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2020096643の分割
【原出願日】2014-03-14
(31)【優先権主張番号】61/790,490
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513144626
【氏名又は名称】アッヴィ・ドイチュラント・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ツォープ
(72)【発明者】
【氏名】カタリナ・カレタ
(72)【発明者】
【氏名】ビニート・クマール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗体薬物複合体(ADC)を含む製剤、および抗上皮成長因子受容体(抗EGFR)ADCによる治療を必要とする障害、例えば癌を治療するためのこのような複合体を使用する方法を提供する。
【解決手段】抗EGFR抗体薬物複合体(ADC)、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含み、約5-7のpHを有し、前記抗EGFR ADCが、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体又はこれらの抗原結合部分を含む製剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含み、約5-7のpHを有し、前記抗EGFR ADCが、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む製剤。
【請求項2】
オーリスタチンがモノメチルオーリスタチンF(MMAF)である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
MMAFが、マレイミドカプロイルリンカーにより抗体と複合体化される、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
界面活性剤が、ポリソルベートまたはポロキサマーである、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
製剤が、0.05-0.15mg/mlのポリソルベートを含む、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
ポリソルベートがポリソルベート80である、請求項4または5に記載の製剤。
【請求項7】
製剤が、約1-40mg/mlの抗EGFR ADCを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
製剤が、約60-80mg/mlの糖を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
糖が、マンニトール、ソルビトール、スクロースおよびトレハロースからなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
約5-25mMのヒスチジンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
製剤が、約5.5から6.5のpHを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
製剤が凍結乾燥される、請求項1から11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
製剤が凍結乾燥され、糖がスクロースである、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
界面活性剤がポリソルベートである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
ポリソルベートがポリソルベート80である、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
前記製剤が、約1-100mg/mlの抗EGFR ADC、約1-10mg/mLのヒスチジン、約50-90mg/mlの糖および約0.01-0.2mg/mlの界面活性剤を含む水性製剤である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
糖がスクロースである、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
界面活性剤がポリソルベート80である、請求項16または17に記載の製剤。
【請求項19】
製剤が、約5.5から6.5のpHを有する、請求項16から18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
1-150mg/mlの抗EGFR ADCを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
1-40mg/mlの抗EGFR ADCを含む、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
抗体がヒト化抗体である、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
抗体またはこれらの抗原結合部分が、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
前記抗体またはこれらの抗原結合部分が、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
製剤が、スクロース、ポリソルベート80およびヒスチジンを含む凍結乾燥製剤であり、抗体またはこれらの抗原結合部分が、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項26】
1-120mgの抗EGFR ADCを含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
製剤が、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項28】
モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含み、前記ADC1-MMAFが、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む抗EGFR ADC、
スクロース、
ヒスチジン、および
ポリソルベート80、
を含み、
製剤が、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む、製剤。
【請求項29】
凍結乾燥される、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分が、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項28または29に記載の製剤。
【請求項31】
医薬製剤である、請求項1から30のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項32】
約5から7に及ぶpHを有し、1-20mgのヒスチジン、約320-410mgの糖、約0.1から0.9mgの界面活性剤および約1-150mgの抗EGFR ADCを含む水性製剤を凍結乾燥するステップを含む、請求項1から3または29のいずれか一項に記載の製剤を調製する方法。
【請求項33】
治療有効量の、請求項1から31のいずれか一項に記載の製剤を対象に投与するステップを含み、対象が抗EGFR ADCによる治療を必要とする障害を有する、対象を治療する方法。
【請求項34】
抗EGFR ADCによる治療を必要とする障害が癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
癌が、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
癌が、扁平上皮腫瘍、神経膠芽腫、グリオーマ、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、肛門癌、皮膚癌および外陰癌からなる群から選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
扁平上皮腫瘍が、扁平上皮肺腫瘍、頭部および頸部の扁平上皮腫瘍ならびに扁平上皮子宮頸部腫瘍からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
癌が、EGFRの過剰発現を有する固形腫瘍である、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
製剤が静脈内投与される、請求項33から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項1から29のいずれか一項に記載の製剤を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年3月15日出願の米国特許仮出願第61/790,490号明細書の利益を主張するものである。前述の優先権書類の内容は、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
ヒト上皮成長因子受容体(HER-1またはErb-B1としても公知であり、本明細書においては「EGFR」と称される。)は、c-erbB癌原遺伝子によりコードされる170kDaの膜貫通受容体であり、内因性のチロシンキナーゼ活性を示す(Modjtahedi et al.,Br.J.Cancer 73:228-235(1996);Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002))。SwissProtデータベースのエントリー番号P00533は、EGFRの配列を提供している。EGFRは、数多くの細胞過程を、限定するものではないが、細胞増殖、分化、細胞生存、アポトーシス、血管新生、有糸分裂誘発および転移を調節するシグナル伝達経路の活性化を含む、チロシンキナーゼ介在性シグナル伝達経路を介して制御している。(Atalay et al.,Ann.Oncology 14:1346-1363(2003);Tsao and Herbst,Signal 4:4-9(2003);Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002);Modjtahedi et al.,Br.J.Cancer 73:228-235(1996))。
【0003】
EGFRの過剰発現は、膀胱、脳、頭部および頸部、膵臓、肺、乳房、卵巣、結腸、前立腺および腎臓の癌を含む、ヒトの悪性病態において報告されている(Atalay et al.,Ann.Oncology 14:1346-1363(2003);Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002)Modjtahedi et al.,Br.J.Cancer 73:228-235(1996))。これらの病態の多くにおいて、EGFRの過剰発現は、患者の予後不良と相関、または関連している(Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002)Modjtahedi et al.,Br.J.Cancer 73:228-235(1996))。EGFRは、正常組織、特に、皮膚の上皮組織、肝臓および胃腸の細胞においても発現されるが、概して悪性細胞中より低レベルで発現される(Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002))。
【0004】
EGFR遺伝子の増幅(即ち、EGFR遺伝子の複数コピー)を含有する腫瘍のかなりの部分はまた、de2-7EGFR、ΔEGFRまたはΔ2-7(本明細書において交換可能に使用される用語)として知られる受容体の切断型(Wikstrand et al.(1998)J.Neurovirol.4,148-158)を同時発現する(Olapade-Olaopa et al.(2000)Br.J.Cancer.82,186-94)。de2-7EGFRにおいてみられる再配列は、エクソン2-7に及ぶ801ヌクレオチドが欠損するインフレーム成熟mRNAをもたらす(Wong et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89,2965-9;Yamazaki et al.(1990)Jpn.J.Cancer Res.81,773-9;Yamazaki et al.(1988)Mol.Cell.Biol.8,1816-20;Sugawa et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,8602-6)。対応するEGFRタンパク質は、細胞外ドメインの残基6-273を含む267アミノ酸の欠失および新規なグリシン残基を融合接合部に有する(Sugawa et al.,1990)。この欠失は、グリシン残基の挿入と一緒に、欠失接点に特有の接合ペプチドを作り出す(Sugawa et al.、1990)。
【0005】
de2-7EGFRは、グリオーマ、乳房、肺、卵巣および前立腺を含む多くの腫瘍型において報告されている(Wikstrand et al.(1997)Cancer Res.57,4130-40;Olapade-Olaopa et al.(2000)Br.J.Cancer.82,186-94;Wikstrand,et al.(1995)Cancer Res.55,3140-8;Garcia de Palazzo et al.(1993)Cancer Res.53,3217-20)。この切断型受容体はリガンドと結合しないが、低構成活性を保有し、ヌードマウスにおいて腫瘍異種移植片として成長させたグリオーマ細胞に対して有利な、有意な成長をもたらし(Nishikawa et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91,7727-31)、NIH3T3細胞(Batra et al.(1995)Cell Growth Differ.6,1251-9)およびMCF-7細胞の形質転換を可能にする。グリオーマ細胞中のde2-7EGFRにより利用される細胞機序は、完全には明確にされていないが、アポトーシスの減少(Nagane et al.(1996)Cancer Res.56,5079-86)および増殖のわずかな強化(Nagane et al.,1996)を含むことが報告されている。
【0006】
この切断型受容体の発現が腫瘍細胞に限定される場合、この発現は抗体療法の非常に特異的な標的を意味する。従って、抗EGFR抗体およびこれらを必要とする人々に対する有効な治療を提供可能な製剤が、当分野において必要である。
【0007】
抗体薬物複合体(ADC)は、細胞障害性薬物に化学的リンカーにより複合体化された抗体を含む新しい種類の治療薬を表す。今日、トラスツズマブ(DM1に連結されたハーセプチン(抗HER2抗体);Genentech/Roche)およびグレムバツムマブ・ベドチン(glembatumumab vedotin)(CDX-011;MMAEに連結された抗GPNMB抗体;Celldex Therapeutics)を含む、数多くのADCが臨床試験において試験されている。ADCの治療コンセプトは、標的表面抗原への結合を用いて、腫瘍細胞に細胞障害性薬物を送達するためのビヒクルとして抗体を使用することである。ADCは、非複合体化抗体より複雑で不均一な構造を有する。従って、ADCは、治療目的のための製剤化にとって困難な課題を提示する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Modjtahedi et al.,Br.J.Cancer 73:228-235(1996)
【非特許文献2】Herbst and Shin,Cancer 94:1593-1611(2002)
【非特許文献3】Atalay et al.,Ann.Oncology 14:1346-1363(2003)
【非特許文献4】Tsao and Herbst,Signal 4:4-9(2003)
【非特許文献5】Wikstrand et al.(1998)J.Neurovirol.4,148-158
【非特許文献6】Olapade-Olaopa et al.(2000)Br.J.Cancer.82,186-94
【非特許文献7】Wong et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89,2965-9
【非特許文献8】Yamazaki et al.(1990)Jpn.J.Cancer Res.81,773-9
【非特許文献9】Yamazaki et al.(1988)Mol.Cell.Biol.8,1816-20
【非特許文献10】Sugawa et al.(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,8602-6
【非特許文献11】Wikstrand et al.(1997)Cancer Res.57,4130-40
【非特許文献12】Wikstrand,et al.(1995)Cancer Res.55,3140-8
【非特許文献13】Garcia de Palazzo et al.(1993)Cancer Res.53,3217-20
【非特許文献14】Nishikawa et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.91,7727-31
【非特許文献15】Batra et al.(1995)Cell Growth Differ.6,1251-9
【非特許文献16】Nagane et al.(1996)Cancer Res.56,5079-86
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、抗体薬物複合体(ADC)を含む製剤および抗上皮成長因子受容体(抗EGFR)ADCによる治療を必要とする障害、例えば癌を治療するためのこのような複合体の使用に関連する方法を提供する。
【0010】
本発明は、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)、糖、ヒスチジンおよび界面活性剤を含み、約5-7のpHを有し、該抗EGFR ADCが、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む製剤を提供する。
【0011】
本発明は、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)、糖、スクシネートまたはシトレートおよび/またはホスフェートバッファーおよび界面活性剤を含み、該約5-7のpHを有し、抗EGFR ADCが、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む製剤を提供する。一実施形態において、製剤は凍結乾燥される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態において、製剤は、界面活性剤としてポリソルベート、例えばポリソルベート80またはポロキサマーを含む。一実施形態において、製剤は0.05-0.15mg/mlのポリソルベートを含む。
【0013】
別の実施形態において、製剤は約60-80mg/mlの糖を含む。一実施形態において、糖は、マンニトール、ソルビトール、スクロースおよびトレハロースからなる群から選択される。
【0014】
一実施形態において、本発明の製剤は、約5-25mMのヒスチジンを含む。
【0015】
さらに別の実施形態において、製剤は凍結乾燥される。一実施形態において、製剤は凍結乾燥され、糖はスクロースである。本発明の別の実施形態において、凍結乾燥製剤はラクトビオン酸を含まない。本発明の別の実施形態において、凍結乾燥製剤は糖酸を含まない。
【0016】
一実施形態において、本発明の製剤は水性であり、約1-40mg/mlの抗EGFR ADCを含む。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明の製剤は1-150mgの抗EGFR ADCを含む。一実施形態において、本発明の製剤は90-110mgの抗EGFR ADCを含む。
【0018】
一実施形態において、本発明の製剤は、約5から7のpHを有する。さらなる実施形態において、製剤は約5.5から6.5のpHを有する。
【0019】
一実施形態において、オーリスタチンはモノメチルオーリスタチンF(MMAF)である。一実施形態において、本発明の製剤は、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADCを含む。別の実施形態において、MMAFは、マレイミドカプロイルリンカーを有する抗体と複合体化される。
【0020】
本発明は、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分、糖、例えばスクロース、界面活性剤、例えばポリソルベート80などのポリソルベートおよびヒスチジンを含む、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)を含む凍結乾燥製剤を、さらに提供する。一実施形態において、凍結乾燥製剤は、1-20mgのヒスチジン、約320-410mgの糖、約0.1から0.9mgの界面活性剤および約1-150mgの抗EGFR ADCを含む。
【0021】
本発明はまた、オーリスタチンと複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む、約1-100mg/mlの抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)、約1-10mg/mLのヒスチジン、約50-90mg/mlの糖、例えばスクロースおよび約0.01-0.2mg/mlの界面活性剤、例えばポリソルベート80を含む水性製剤を提供する。
【0022】
一実施形態において、本発明の製剤は、抗EGFR抗体がヒト化された抗EGFR ADCを含む。
【0023】
別の実施形態において、本発明の製剤は、抗EGFR抗体が列配列番号13で示されるアミノ酸配を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、抗EGFR ADCを含む。
【0024】
別の実施形態において、本発明の製剤は、抗EGFR抗体が、配列番号13で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、配列番号14で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常領域、配列番号18で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号19で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を含む、抗EGFR ADCを含む。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明の製剤は、抗体が、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む、抗EGFR ADCを含む。
【0026】
本発明の別の実施形態において、抗EGFR ADCは、配列番号18のアミノ酸配列で示される軽鎖可変領域に記載のCDR(即ち、軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3)および配列番号13のアミノ酸配列に記載のCDR(即ち、重鎖CDR1、CDR2およびCDR3)を含む。
【0027】
本発明は、スクロース、ポリソルベート80およびヒスチジンを含み、抗体が、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む凍結乾燥製剤をさらに提供する。一実施形態において、製剤は、1-110mgの抗EGFR ADCを含む。
【0028】
一実施形態において、本発明の製剤は、約3の平均DARを有する抗EGFR ADCを含むADC混合物または約2-4のDARを有する抗EGFR ADCを含むADC混合物を含有する。
【0029】
一実施形態において、本発明の製剤は、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADCを含み、前記ADC1-MMAFは、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域、スクロース、ヒスチジンおよびポリソルベート80を含み、製剤は、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む。本発明のさらなる実施形態において、製剤は凍結乾燥される。またさらなる発明において、抗EGFR抗体は、マレイミドカプロイルリンカーを介してMMAFに連結される。この上さらなる実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0030】
一実施形態において、本発明の製剤は、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADCを含み、前記ADC1-MMAEは、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域、スクロース、ヒスチジンおよびポリソルベート80を含み、製剤は、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む。発明のさらなる実施形態において、製剤は凍結乾燥される。この上さらなる実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0031】
一実施形態において、本発明の製剤は医薬製剤である。
【0032】
本発明はさらに、約5から7に及ぶpHを有し、1-20mgのヒスチジン、約320-410mgの糖、約0.1から0.9mgの界面活性剤および約1-150mgの抗EGFR ADCを含む水性製剤を凍結乾燥するステップを含む、製剤の調製方法を特徴とする。
【0033】
本発明は、本明細書に記載の製剤において治療有効量の抗EGFR ADCを対象に投与するステップを含み、該対象が抗EGFR ADCによる治療を必要とする障害を有する、対象を治療する方法をさらに提供する。一実施形態において、抗EGFR ADCによる治療を必要とする障害は、癌、例えば、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌である。
【0034】
一実施形態において、本発明の製剤は、上皮成長因子受容体(EGFR)を過剰発現する可能性のある固形腫瘍または扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の治療に使用される。
【0035】
一実施形態において、本発明の製剤は、扁平上皮腫瘍(肺、頭部および頸部、子宮頸部などの扁平上皮腫瘍を含む)、神経膠芽腫、グリオーマ、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌からなる群から選択される癌の治療に使用される。
【0036】
一実施形態において、本発明の製剤は、多形性神経膠芽腫の治療に使用される。
【0037】
一実施形態において、本発明の製剤は、EGFRの過剰発現を有する固形腫瘍の治療に使用される。一実施形態において、本発明の製剤は、EGFRを過剰発現する可能性のある進行性固形腫瘍を有する対象の治療に使用される。
【0038】
一実施形態において、本発明の製剤は、静脈内投与される。
【0039】
本発明は、本明細書に記載の製剤を含むキットをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】リンカーにより対象となる抗体(mAb)に結合されたMMAE(GNリンカー+オーリスタチン:vcMMAE)の構造を示す略図である。
【
図2】リンカーにより対象となる抗体(mAb)に結合されたMMAF(リンカー+オーリスタチン:mcMMAF)の構造を示す略図である。
【
図3A】動的走査蛍光により決定されたアンフォールディング発生温度をグラフに表した図である。◆抗体1;■抗体薬物複合体(ADC)1-MMAF;▲ADC1-MMAE。
【
図3B】示差走査熱量計により決定されたアンフォールディング発生温度をグラフに表した図である。◆抗体1;■抗体薬物複合体(ADC)1-MMAF;▲ADC1-MMAE。
【
図4A】フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して、抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAE中の構造不定要素の存在をグラフに表した図である。◆抗体1;■ADC1-MMAF;▲ADC1-MMAE。
【
図4B】
図4Bは、近UV-円偏光二色性(CD)を使用して、抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAE中の構造不定要素の存在をグラフに表した図である。◆抗体1;■ADC1-MMAF;▲ADC1-MMAE。
【
図5】ADC1-MMAFおよび抗体1と比較した、低濃度のADC1-MMAEの凝集傾向をグラフに表した図である。
【
図6】ADC1-MMAFおよび抗体1と比較した、高濃度のADC1-MMAEの凝集傾向をグラフに表した図である。
【
図7】血清安定性アッセイの概要を示し、抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEを含む多数の分子の、in vitro血清安定性を説明する図である。
【
図8A】15mMヒスチジンバッファー、pH5.75中の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAE製剤における、SECにより決定されたモノマー存在の百分率により示される、凍結/解凍安定性をグラフに表した図である。
【
図8B】1mg/ml pH7.0 10mMシトレートおよび10mMホスフェートバッファー中の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAE製剤における、SECにより決定されたモノマー存在の百分率により示される、凍結/解凍安定性をグラフに表した図である。
【
図9A】マイクロフローイメージング(MFI)により決定された、凍結-解凍の間の不可視粒子形成を定量したグラフである。
【
図9B】マイクロフローイメージング(MFI)により決定された、凍結-解凍の間の不可視粒子形成を定量したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
I.定義
本発明をより容易に理解可能にするために、特定の用語をまず定義する。加えて、パラメーターの値または値の範囲が列挙されるときは常に、列挙された値に介在する値および範囲もまた、本発明の一部であることが意図されることに留意するべきである。
【0042】
「抗上皮成長因子抗体薬物複合体」または「抗EGFR抗体薬物複合体」および「抗EGFR ADC」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、EGFRに特異的に結合して、これによって、抗体が薬物、例えば細胞障害性剤、例えばオーリスタチン(例えばモノメチルオーリスタチンF)と複合体化される抗体を含む抗体薬物複合体を指す。一実施形態において、抗EGFR抗体薬物複合体はADC1-MMAFであり、これは、マレイミドカプロイル(mc)連結を介してMMAFと複合体化された抗体1である。抗体1の軽鎖および重鎖に対応するアミノ酸配列は、配列番号13から22で提供される。特に他のことが明記されない限り、本明細書において使用する場合、「ADC1-MMAF」という用語は、精製ADC1-MMAF(ADC1-MMAFpとも称される。)を含む。
【0043】
本明細書において使用する場合、「オーリスタチン」という用語は、抗有糸分裂剤のファミリーを指す。オーリスタチン誘導体もまた「オーリスタチン」という用語の定義内に含まれる。オーリスタチンの例としては、限定するものではないが、、オーリスタチンE(AE)、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)およびドラスタチンの合成類似体が挙げられる。
【0044】
「抗EGFR抗体」という用語は、EGFRに特異的に結合する抗体を指すことを意味する。対象となる抗原、即ちEGFRに「結合する」抗体は、抗体が、抗原を発現する細胞の標的化に有用であるような、十分な親和性を有するこの抗原に結合できる抗体である。
【0045】
本明細書において使用する場合、「ADC混合物」という用語は、不均一なDAR分布のADCを含有する組成物を指す。一実施形態において、ADC混合物は、1から8、例えば2、4、6および8のDAR分布の抗EGFR ADC(即ち、2、4、6および8薬物負荷種)を含有する。別の実施形態において、ADC混合物は、4未満のDAR、例えばDARが2-4の抗EGFR ADCを含有する。特に、分解産物は、1、3、5および7のDARもまた混合物中に含まれるようにもたらし得る。さらに、混合物中のADCは、8を超えるDARを有してもよい。ADC混合物は、鎖間ジスルフィド還元の後の複合体化から得られる。
【0046】
本明細書において使用する場合、「ADC1-MMAFp」という用語は、ADCのDARが所望の範囲、例えば(2-4のDAR)である、またはADCが所望の平均値(例えば、3の平均DAR)を有するADC混合物中に含まれるように精製されている、ADC混合物内に見出されるADC1-MMAF分子を指す。
【0047】
本明細書において使用する場合、「製剤」という用語は、水性製剤または凍結乾燥製剤を指すことを意味する。一実施形態において、本発明の製剤は凍結乾燥される。一実施形態において、本発明の製剤は水性である。一実施形態において、本発明の製剤はキレート剤を含まない。一実施形態において、本発明の凍結乾燥製剤は、キレート剤を含まない。
【0048】
「水性製剤」という用語は、溶媒が水である溶液を指す。一実施形態において「水性製剤」という用語は、溶媒が水であり、以前に凍結乾燥されていない液体製剤(即ち、凍結乾燥製剤の再構成から得られるものではない。)を指す。別の実施形態において、「水性製剤」という用語は、溶媒が水であり、以前に凍結乾燥された液体製剤(即ち、再構成された製剤)を指す。
【0049】
本明細書において本発明に従った製剤に関連して使用する場合、「凍結乾燥された」という用語は、製剤を凍結して、その後凍結内容物由来の氷を、当分野において公知の任意のフリーズドライ方法、例えば市販のフリーズドライ装置により昇華することによって乾燥される製剤を表す。
【0050】
「再構成された」製剤は、タンパク質、例えばADCを含有する凍結乾燥製剤を、タンパク質が再構成された製剤に分散されるように希釈剤に溶解することによって調製されている製剤である。再構成された製剤は、対象となるタンパク質(例えば、抗EGFR抗体薬物複合体)により治療されるべき対象への投与(例えば、静脈内投与)に適切である。
【0051】
本明細書において対象となる「希釈剤」は、医薬として許容され(ヒトへの投与に関して安全で非毒性である。)、液体製剤、例えば凍結乾燥後に再構成される製剤の調製に有用である希釈剤である。例示的希釈剤としては、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液が挙げられる。代替の実施形態において、希釈剤としては、塩および/またはバッファーの水溶液を挙げることができる。
【0052】
「バッファー」という用語は、溶液中の場合、この酸-塩基複合体成分の作用によりpHの変化に抵抗する化合物を指す。一実施形態において、本発明に使用されるバッファーは、約4.5から約7.5の範囲のpHを有する。この範囲内にpHを調整するバッファーの例としては、アセテート(例えば酢酸ナトリウム)、スクシネート(例えば、コハク酸ナトリウム)、グルコネート、メチオニン、イミダゾール、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、シトレート、ホスフェート、シトレートおよびホスフェート、Trisならびに他の有機酸バッファーが挙げられる。一実施形態において、製剤に使用されるバッファーは、ヒスチジン、スクシネートまたはシトレートまたはホスフェートバッファーを含む。本発明の一実施形態において、製剤は、ヒスチジンを含む約1-10mg/mlのバッファーを含む。本発明の別の実施形態において、製剤は、ヒスチジンを含む1-20mgのバッファーを含む。
【0053】
「糖」という用語は、本明細書において使用する場合、単糖類またはオリゴ糖を表すことを意味する。単糖類は、単糖およびこれらの誘導体、例えばアミノ糖を含む、酸により加水分解されない単量体炭水化物である。単糖類の例としては、限定するものではないが、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、リボース、デオキシリボース、ノイラミン酸が挙げられる。オリゴ糖は、グリコシド結合を介して連結された、分枝型または鎖中のいずれかの複数の単量体糖単位からなる炭水化物である。オリゴ糖内の単量体糖単位は、同一であっても、または異なっていてもよい。単量体糖単位の数に依存して、オリゴ糖は、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-などの糖である。オリゴ糖の例としては、限定するものではないが、マルトース、スクロース、ラクトース、メレチトース、トレハロース、ソルボースおよびラフィノースが挙げられる。多糖類とは対照的に、単糖類およびオリゴ糖は水溶性である。糖の例としては、限定するものではないが、還元糖、非還元糖、糖アルコールおよび糖酸が挙げられる。「還元糖」は、遊離のアルデヒドまたはケトン基を含有し、金属イオンを還元でき、またはタンパク質中のリジンおよび他のアミノ基と共有結合的に反応できる糖である。「非還元糖」は、遊離のアルデヒドまたはケトン基を欠いており、穏やかな酸化剤、例えばフェーリング液またはベネディクト液により酸化されない糖である。還元糖の例は、フルクトース、マンノース、マルトース、ラクトース、アラビノース、キシロース、リボース、ラムノース、ガラクトースおよびグルコースである。非還元糖としては、スクロース、トレハロース、ソルボース、メレチトースおよびラフィノースが挙げられる。マンニトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、ソルビトールおよびグリセロールは、糖アルコールの例である。本発明の一実施形態において、糖は、マンニトール、ソルビトール、スクロースまたはトレハロースである。本発明の別の実施形態において、製剤は、約50-90mg/mlの糖、例えばスクロースを含む。本発明のさらに別の実施形態において、製剤は、約60-80mg/mlの糖、例えばスクロースを含む。本発明のさらに別の実施形態において、製剤は、約70mg/mlの糖、例えばスクロースを含む。本発明のまた別のさらなる実施形態において、凍結乾燥製剤は、約320-410mgの糖を含む。
【0054】
「界面活性剤」という用語は、概して、両親媒性構造を有する有機物質を指す、即ち、界面活性剤は、対抗する溶解性傾向の基、通常、油溶性炭化水素鎖および水溶性イオン性基から構成される。界面活性剤は、表面活性部分の電荷に依存して、陰イオン性、陽イオン性、および非イオン性界面活性剤に分類することができる。界面活性剤は、多くの場合、生体物質のさまざまな医薬組成物および調製物のための湿潤剤、乳化剤、可溶化剤および分散剤として使用される。適切な界面活性剤の例としては、限定するものではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、例えば、ポリオキシエチレン・ソルビタン・モノオレート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレートまたはポリオキシエチレン・ソルビタンの別のエステル(例えば、市販のTWEENS、例えば、TWEEN20およびTWEEN80(ICI Speciality Chemicals))、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート(DOSS)、レシチン、ステアリルアルコール(stearylic alcohol)、セトステアリルアルコール(cetostearylic alcohol)、コレステロール、ポリオキシエチレンリシン油、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、ポロキサマー(例えば、Pluronics F68(商標)およびF108(商標)、これらは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックコポリマーである);ポリエチレンキャスター油誘導体またはこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
「ポリソルベート」という用語は、本明細書において使用する場合、ソルビトールのオレートエステルおよびこの無水物を指し、通常エチレンオキサイドと共重合される。一実施形態において、ポリソルベートは、約1200Da(ポリソルベート20のおよこの分子量)から約1350Da(ポリソルベート80のおよこの分子量)の範囲の分子量を有する。一実施形態において、製剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60またはポリソルベート80を含む。一実施形態において、製剤は、約0.1から0.9mgのポリソルベートを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.01-0.2mg/mlのポリソルベートを含む。別の実施形態において、製剤は、0.05-0.15mg/mlのポリソルベートを含む。
【0056】
「医薬製剤」という用語は、有効成分の生物活性を有効にするような形態であり、従って、治療的使用のために対象に投与できる調製物を指す。
【0057】
「安定な」製剤は、抗EGFR抗体薬物複合体が本質的にこの物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物活性を保存において保有する製剤である。タンパク質の安定性を測定するためのさまざまな分析技術が当分野において利用可能であり、例えば、Peptide and Protein Drug Delivery,pp.247-301,Vincent Lee Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.,Pubs.(1991)およびJones(1993)Adv.Drug Delivery Rev.10:29-90に概説されている。一実施形態において、抗EGFR抗体薬物複合体の安定性は、溶液中の単量体タンパク質の百分率に従って決定され、分解された(例えば断片化)および/または凝集されたタンパク質の百分率が低い。例えば、安定な抗EGFR抗体薬物複合体を含む製剤は、少なくとも95%の単量体抗EGFR抗体薬物複合体を含み得る。または、製剤は、5%以下の凝集および/または分解抗EGFR抗体薬物複合体を含み得る。
【0058】
抗EGFR抗体薬物複合体が、色彩および/または透明度の目視検査による、またはUV光散乱またはサイズ排除クロマトグラフィーによって測定される、凝集、沈殿および/または変性の実質的兆候を示さない場合、抗EGFR抗体薬物複合体は、医薬製剤において「この物理的安定性を保有している」。一実施形態において、安定な水性製剤は、製剤中に約5%未満の抗EGFR抗体薬物複合体の凝集を有する製剤である。
【0059】
所与の時間における化学的安定性が、抗EGFR抗体薬物複合体が、以下で定義されるこの生物活性を未だ保有しているとみなされるような場合、抗EGFR抗体薬物複合体は、医薬製剤において「この化学的安定性を保有している」。化学的安定性は、抗EGFR抗体薬物複合体の化学的に改変された形態を検出および定量することによって評価できる。化学的改変は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGEおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析/飛行時間質量分析(MALDI/TOF MS)により評価可能なサイズ変更(例えばクリッピング)を伴い得る。化学的改変の他の型としては、例えばイオン交換クロマトグラフィーにより評価可能な(例えば脱アミドの結果として起こる。)電荷の改変が挙げられる。
【0060】
医薬製剤中のタンパク質が、この意図される目的に関して生物学的に活性である場合、抗EGFR抗体薬物複合体は、医薬製剤において「この生物活性を保有している」。例えば、医薬製剤において、抗EGFR抗体薬物複合体の生物活性が、(例えば、抗原結合アッセイで決定された場合)医薬製剤が調製される時点において示された生物活性の約30%、約20%または約10%以内(アッセイの誤差範囲内)である場合、抗EGFR抗体薬物複合体の生物活性は保有されている。一実施形態において、生物活性は、類表皮がん細胞の細胞障害性である。
【0061】
「抗体」という用語は、一般的に、4つのポリペプチド鎖、即ち2つの重鎖(H)および2つの軽鎖(L)で構成される免疫グロブリン(Ig)分子またはIg分子の本質的標的結合特徴を保有する任意の機能性断片、突然変異体、変異体もしくはこれらの誘導体を広範囲に指す。
【0062】
完全長抗体において、各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVRまたはVHと略される。)および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3で構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてLCVRまたはVLと略される。)および軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLで構成される。VHおよびVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性の領域と、フレームワーク(FR)と称されるより保存的な散剤する領域とにさらに分割可能である。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRから成り、アミノ末端からカルボキシ末端へ、次の順番:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置されている。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)およびクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであってよい。
【0063】
抗体の「抗原結合部分」(または単に「抗体部分」)という用語は、本明細書において使用する場合、抗原(例えばhIL-13)に特異的に結合する能力を保有する抗体の1以上の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、完全長抗体の断片により実施可能であることが示されている。このような抗体の実施形態は、二特異性(bispecific)、二重特異性(dual specific)または多重特異性フォーマット;2以上の異なる抗原への特異的結合であってよい。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる1価の断片(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域においてジスルフィド結合により連結された2つのFab断片を含む2価の断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)単一の可変ドメインを含むdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546、Winter et al.,PCT公開WO90/05144A1、参照により本明細書に組み込まれる);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。さらに、Fv断片の2つのドメイン、VLおよびVHは別の遺伝子によりコードされるが、これらは、組換え法を使用して、VLおよびVH領域対が1価の分子を形成する一本鎖タンパク質として作製可能にする合成リンカーにより接続することができる(一本鎖Fv(scFv)として公知;例えばBird et al.(1988)Science 242:423-426;およびHuston et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883を参照されたい。)。このような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部分」という用語内に包含されることが意図される。一本鎖抗体の他の形態、例えばダイアボディもまた包含される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインが一本鎖ポリペプチドに発現されるが、短すぎて同じ鎖の上の2つのドメインの間で対形成できないリンカーを使用し、これによって、別の鎖の相補性ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部分を作り出す、2価の二重特異性抗体である(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448;Poljak,R.J.,et al.(1994)Structure 2:1121-1123を参照されたい。)。このような抗体結合部分は当分野において公知である(Kontermann and Dubel eds.,Antibody Engineering(2001)Springer-Verlag.New York.790pp.(ISBN3-540-41354-5)。
【0064】
「単離抗体」は、本明細書において使用する場合、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指すことが意図される(例えば、EGFRと特異的に結合する単離抗体は、EGFR以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない。)。しかし、EGFRと特異的に結合する単離抗体は、他の抗原、例えば他の種由来のEGFR分子との交差反応性を有してもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞性材料および/または化学薬品を実質的に含んではいけない。
【0065】
「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト種(例えばマウス)由来の重鎖および軽鎖可変領域の配列を含むが、VHおよび/またはVL配列の少なくとも一部が、より「ヒト様」、即ち、ヒト生殖細胞系可変配列により類似しているように改変されている抗体を指す。特定の実施形態において、「ヒト化抗体」という用語は、対象となる抗原に特異的に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域を含み、非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するCDRを含む抗体または抗体の変異体、誘導体もしくは断片を指す。本明細書において使用する場合、CDRに関連する「実質的」という用語は、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するCDRを指す。一実施形態において、ヒト化抗体の1つの型は、ヒトCDR配列を非ヒトVHおよびVL配列に導入して、対応する非ヒトCDR配列を置き換えた、CDRグラフト化抗体である。
【0066】
本明細書において使用する場合、「CDR」という用語は、抗体可変配列内の相補性決定領域を指す。重鎖および軽鎖の可変領域のそれぞれに3つのCDRが存在し、これらは、可変領域のそれぞれがCDR1、CDR2およびCDR3と名付けられる。「CDRセット」という用語は、本明細書において使用する場合、抗原に結合可能な単一の可変領域内で発生する3つのCDRの群を指す。これらのCDRの正確な境界は、異なる系に従って定義が異なっている。Kabatにより記載される系(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987)および(1991))は、抗体の任意の可変領域に適用可能な明確な残基ナンバリング系を提供するだけでなく、3つのCDRを定義する正確な残基の境界もまた提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと呼ぶことができる。Chothiaおよび共同研究者(Chothia &Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)およびChothia et al.,Nature 342:877-883(1989))は、Kabat CDR内の特定のさらに小さい部分が、アミノ酸配列のレベルで大きな多様性を有するにもかかわらず、ほぼ同一のペプチド骨格構造に適用されることを見出した。これらのさらに小さい部分は、L1、L2およびL3またはH1、H2およびH3と名付けられ、「L」および「H」は、それぞれ軽鎖および重鎖領域を示している。これらの領域はChothia CDRと称され、これらは、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを定義する他の境界は、Padlanにより記載されている(FASEB J.9:133-139(1995))およびMacCallum(J Mol Biol 262(5):732-45(1996))。さらに他のCDR境界の定義は、上記の系の1つに厳密に従ってはいないが、それでもKabat CDRとは重複するものであり、特定の残基または残基の群またはさらにCDR全体が、抗原結合に重要な影響を与えないという予測または実験的発見を考慮して、これらは短縮または伸長されてよい。本明細書において使用される方法は、これらの系のいずれかに従って定義されるCDRを利用可能であるが、好ましい実施形態は、KabatまたはChothiaにより定義されるCDRを使用する。
【0067】
「障害」という用語は、本発明の製剤による治療から利益を受ける任意の病態、例えば、製剤中の抗EGFR抗体による治療を必要とする障害を指す。これは、慢性および急性の障害または疾患を含み、対象を問題となる障害にかかりやすくする病態を含む。
【0068】
「癌」という用語は、通常、制御不能な細胞成長により特徴付けられる、哺乳動物における病態を指す、または説明することを意味する。癌の例としては、限定するものではないが、がん腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病またはリンパ系腫瘍が挙げられる。このような癌のより具体的な例としては、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌が挙げられる。一実施形態において、製剤は、EGFR遺伝子の増幅を含有する腫瘍を有する患者に投与され、これによって、腫瘍がEGFR de2-7の切断型を発現する。一実施形態において、ADC1-MMAFを含む製剤は、結腸直腸癌、頭部および頸部癌(限定するものではないが、下咽頭癌、口腔咽頭癌、食道癌、喉頭癌、および口腔癌を含む)、非小細胞肺がん、膵臓癌、胃がん、乳がん、固形腫瘍、例えば上皮成長因子受容体(EGFR)を過剰発現しやすい固形腫瘍または多形性神経膠芽腫の治療のために対象に投与することができる。
【0069】
「投与する」という用語は、本明細書において使用する場合、治療目的(例えば、EGFR関連障害の治療)を達成するための物質(例えば、抗EGFR抗体薬物複合体)の送達を指すことを意味する。投与の様式は、非経口、経腸および局所であってよい。非経口投与は、普通は注射であり、限定するものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、鞘内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、髄腔内および胸骨下(intrasternal)の注射および注入が挙げられる。
【0070】
ADCの「治療有効量」または「有効量」という用語は、本明細書において使用する場合、ADCが有効である治療のために、障害の症状の予防または治療または緩和に有効な量を指す。
【0071】
「治療」という用語は、治療および予防もしくは防止的基準の両方を指す。治療の必要な患者は、既に障害を有する患者および障害を防止されるべき患者を含む。
【0072】
本発明のさまざまな態様を、下記の項においてさらに詳細に記載する。
【0073】
II.本発明の抗EGFR抗体薬物複合体製剤
本発明は、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む製剤を特徴とし、前記EGFR抗体は、1以上の薬物、例えばオーリスタチン(例えばMMAF)と複合体化される。本発明は、少なくとも一部、抗EGFR抗体薬物複合体(ADC)、(抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分が、オーリスタチン、例えばMMAFの1以上の分子と複合体化される。)を含む製剤が、再構成においてADCの生物活性を維持可能であり、5℃および25℃において6ヶ月までの製剤を保存した後に薬物抗体比を維持するという発見に基づく。
【0074】
本明細書に記載の製剤は、凍結乾燥可能であるか、または水性であり得る。特に他のことが明記されない限り、「製剤」という用語は、凍結乾燥および水性の両方を示す。
【0075】
特定の製剤は、好ましくは、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬物複合体(ADC)、糖、バッファーおよびポリソルベートを含み、約5-7のpHを有する。ある実施形態において、製剤は、オーリスタチン、例えばMMAFの1以上の分子と複合体化された、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分、例えば抗体1を含む抗EGFR ADCをさらに含む。
【0076】
一実施形態において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体、糖、例えばスクロース、界面活性剤、例えばポリソルベート(例えばポリソルベート80)およびヒスチジンを含み、約5-7のpHを有し、該抗EGFR抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む、凍結乾燥製剤を提供する。
【0077】
一実施形態において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体、スクロース、界面活性剤およびバッファーを含み、約5-7のpHを有し、該抗EGFR抗体薬物複合体が、マレイミドカプロイルリンカーを介してモノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された(mc-MMAF)、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分、例えば抗体1を含む、凍結乾燥製剤を提供する。
【0078】
一実施形態において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体、スクロース、ポリソルベート、およびヒスチジンを含み、約5-7のpHを有し、該抗EGFR抗体薬物複合体が、マレイミドカプロイルリンカーを介してモノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された(mc-MMAF)、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分、例えば抗体1を含む、凍結乾燥製剤を提供する。
【0079】
本明細書に記載の製剤は、好ましくは、約4.0から約8.0のpHを有する。一実施形態において、製剤のpHは、約5.0から約7.0の範囲であり、またはpHは約5から約6.5の範囲であってよく、または製剤のpHは、約5.5から約6.5の範囲であってよい。前述のpH値に介在する範囲、例えば、約5.6から約6.4もまた、本発明の一部であることが意図される。前述の値の上限/下限のいずれの組み合わせを使用する値の範囲、例えば約5.5から約6.2のpH範囲もまた、含まれることが意図される。
【0080】
本発明の製剤は、好ましくは、抗EGFR ADC、糖、界面活性剤およびバッファーを含む。本発明の製剤に使用可能な当分野において公知のバッファーの例としては、限定するものではないが、アセテート、ヒスチジン、グリシン、アルギニン、ホスフェート、Trisおよびシトレートが挙げられる。一実施形態において、製剤に使用されるバッファーはヒスチジンである。
【0081】
一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpHまたは約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する1-20mg/mlのヒスチジンバッファー(例えば、約1から約20、約1から約10;約1から約5または約1から約3mg/ml)を含む。
【0082】
一実施形態において、製剤は、約5-25mMのヒスチジン(例えば、約2から約25mM;約5から約25mM;約10から約25mMまたは約20から約25mM)およびこれらの間の範囲を含む。
【0083】
一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpHまたは約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する1-20mg/mlのスクシネートバッファー(例えば、約1から約20、約1から約10;約5から約20または約5から約10mg/ml)を含む。一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpHまたは約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する約1-10mg/mlのスクシネートバッファーを含む。
【0084】
一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpH、約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する1-20mg/mlのシトレートバッファー(例えば、約1から約20、約1から約10、約5から約20または約5から約10mg/ml)を含む。一実施形態において、製剤に使用されるバッファーは、約1-10mg/mlのシトレートバッファーを含み、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpHまたは約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する。
【0085】
一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5または約5.5から約6.5のpH、およびこの間の範囲を有する1-20mg/mlのホスフェートバッファー(例えば、約1から約20、約1から約10、約5から約20または約5から約10mg/ml)を含む。一実施形態において、製剤に使用されるバッファーは、約1-10mg/mlのホスフェートバッファーを含み、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpH、約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する。
【0086】
一実施形態において、製剤は、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpH、約5.5から約6.5のpHを有する1-20mg/mlのシトレート/ホスフェートバッファー(例えば、約1から約20、約1から約10、約5から約20または約5から約10mg/ml)を含む。一実施形態において、製剤に使用されるバッファーは、約1-10mg/mlのシトレート/ホスフェートバッファーを含み、約5.0から約7.0のpH、約5から約6.5のpH、約5.5から約6.5のpHおよびこれらの間の範囲を有する。
【0087】
バッファーに加えて、糖が製剤に含まれる。製剤に使用可能な糖の例としては、限定するものではないが、マンニトール、ソルビトール、スクロースおよびトレハロースが挙げられる。一実施形態において、製剤に使用される糖はスクロースである。
【0088】
一実施形態において、製剤は、糖を、約50から約90mg/ml、約50から約85mg/ml、約50から約80mg/ml、約50から約75mg/ml、約50から約70mg/ml、約50から約65mg/ml、約50から約60mg/ml、約60から約90mg/ml、約60から約85mg/ml、約60から約75mg/ml、約60から約70mg/mlまたは約60から約75mg/mlおよびこの間の範囲の濃度で、例えば約55から約85mg/mlの糖およびこれらの間の範囲を含む。
【0089】
一実施形態において、製剤は、スクロースを、約50から約90mg/ml、約50から約85mg/ml、約50から約80mg/ml、約50から約75mg/ml、約50から約70mg/ml、約50から約65mg/ml、約50から約60mg/ml、約60から約90mg/ml、約60から約85mg/ml、約60から約75mg/ml、約60から約70mg/mlまたは約60から約75mg/mlおよびこの間の範囲の濃度で、例えば約55から約85mg/mlのスクロースおよびこれらの間の範囲で含む。
【0090】
界面活性剤もまた、例えば安定性を加えるために製剤に加えられる。例示的界面活性剤としては、限定するものではないが、非イオン性洗浄剤、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、80)またはポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)が挙げられる。
【0091】
一実施形態において、製剤は、ポリソルベート、例えばポリソルベート80を、約0.05-0.20mg/mlの濃度(例えば、約0.05-0.19、0.05-0.18、0.05-0.17、0.05-0.16、0.05-0.15、0.05-0.14、0.05-0.13、0.05-0.12、0.05-0.11または0.05-0.10mg/mlおよびこれらの間の範囲)で含む。一実施形態において、水性製剤は、0.05-0.15mg/mlのポリソルベート、例えばポリソルベート80を含む。
【0092】
一実施形態において、製剤は、抗EGFR抗体薬物複合体を、約1-150mg/mlの濃度(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、120、125、130、135、140、145または150mg/mlおよびこの間の値の抗EGFR抗体薬物複合体)で含む。
【0093】
一実施形態において、製剤は、抗EGFR抗体薬物複合体を、約1-150mg、約10-150mg、約20-150mg、約30-150mg、約40-150mg、約50-150mg、約60-150mg、約70-150mg、約80-150mg、約90-150mg、約100-150mg、約10-140mg、約20-140mg、約30-140mg、約40-140mg、約50-140mg、約60-140mg、約70-140mg、約80-140mg、約90-140mg、約100-140mg、約10-130mg、約20-130mg、約30-130mg、約40-130mg、約50-130mg、約60-130mg約70-130mg、約80-130mg、約90-130mg、約100-130mg、約10-120mg、約20-120mg、約30-120mg、約40-120mg、約50-120mg、約60-120mg、約70-120mg、約80-120mg、約90-120mg、約100-120mg、約10-110mg、約20-110mg、約30-110mg、約40-110mg、約50-110mg、約60-110mg、約70-110mg、約80-110mg、約90-110mgおよび約100-110mgならびにこれらの間の範囲の量で含む。
【0094】
一実施形態において、製剤は、抗EGFR抗体薬物複合体を、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/ml、20mg/ml、21mg/ml、22mg/ml、23mg/ml、24mg/ml、25mg/ml、26mg/ml、27mg/ml、28mg/ml、29mg/ml、30mg/ml、31mg/ml、32mg/ml、33mg/ml、34mg/ml、35mg/ml、36mg/ml、37mg/ml、38mg/ml、39mg/ml、40mg/ml、41mg/ml、42mg/ml、43mg/ml、44mg/ml、45mg/ml、46mg/ml、47mg/ml、48mg/ml、49mg/ml、50mg/ml、51mg/ml、52mg/ml、53mg/ml、54mg/ml、55mg/ml、56mg/ml、57mg/ml、58mg/ml、59mg/ml、60mg/ml、61mg/ml、62mg/ml、63mg/ml、64mg/ml、65mg/ml、66mg/ml、67mg/ml、68mg/ml、69mg/ml、70mg/ml、71mg/ml、72mg/ml、73mg/ml、74mg/ml、75mg/ml、76mg/ml、77mg/ml、78mg/ml、79mg/ml、80mg/ml、81mg/ml、82mg/ml、83mg/ml、84mg/ml、85mg/ml、86mg/ml、87mg/ml、88mg/ml、89mg/ml、90mg/ml、91mg/ml、92mg/ml、93mg/ml、94mg/ml、95mg/ml、96mg/ml、97mg/ml、98mg/ml、99mg/ml、100mg/ml、101mg/ml、102mg/ml、103mg/ml、104mg/ml、105mg/ml、106mg/ml、107mg/ml、108mg/ml、109mg/ml、110mg/ml、111mg/ml、112mg/ml、113mg/ml、114mg/ml、115mg/ml、116mg/ml、117mg/ml、118mg/ml、119mg/ml、120mg/ml、121mg/ml、122mg/ml、123mg/ml、124mg/ml、125mg/ml、126mg/ml、127mg/ml、128mg/ml、129mg/ml、130mg/ml、131mg/ml、132mg/ml、133mg/ml、134mg/ml、135mg/ml、136mg/ml、137mg/ml、138mg/ml、139mg/ml、140mg/ml、141mg/ml、142mg/ml、143mg/ml、144mg/ml、145mg/ml、146mg/ml、147mg/ml、148mg/ml、149mg/mlまたは150mg/mlの抗体の濃度で含む。前述の数値のいずれかを含む範囲、例えば、10-150mg/ml、10-100mg/ml、20-90mg/ml、10-70mg/ml、10-40mg.mlおよび1-70mg/mlもまた本発明に含まれる。
【0095】
一態様において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体を含み、再構成された水性製剤が、約1-100mg/mlの抗EGFR ADC、約1-10mg/mLのバッファー(例えばヒスチジン)、約50-90mg/mlの糖(例えばスクロース)および約0.01-0.2mg/mlのポリソルベート(例えばポリソルベート80)を含み、約5-7のpHを有し、前記抗EGFR抗体薬物複合体が、オーリスタチン(例えばMMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分、(例えば、抗体1)を含む、凍結乾燥製剤から再構成された水性製剤を特徴とする。
【0096】
凍結乾燥製剤は、初めに、凍結乾燥工程の前の製剤である予備凍結乾燥製剤として調製される。予備凍結乾燥製剤中に存在する抗EGFR抗体薬物複合体の量は、所望の投薬容積、投与の様式などを考慮して決定される。
【0097】
一態様において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体、糖、(例えばスクロース)、界面活性剤、(例えばポリソルベート80)およびヒスチジンを含み、約5.0から7.0のpHを有し、該抗EGFR抗体薬物複合体が、オーリスタチン(例えばMMAF)と複合体化された抗EGFR抗体、(例えば抗体1)を含む凍結乾燥製剤を特徴とする。
【0098】
本発明の一実施形態において、凍結乾燥製剤は、抗EGFR ADC、例えばADC1-MMAF、スクロース、ポリソルベート、例えばポリソルベート80およびヒスチジンを含み、マンニトールおよび/またはセリンを含まない、または実質的に含まない。本発明の一実施形態において、凍結乾燥製剤は、抗EGFR ADC、例えばADC1-MMAF、スクロース、ポリソルベート、例えばポリソルベート80およびヒスチジンを含み、二価の陽イオンを含まない、または実質的に含まない。本発明の別の実施形態において、凍結乾燥製剤はラクトビオン酸を含まない。本発明の別の実施形態において、凍結乾燥製剤は糖酸を含まない。
【0099】
ある例示的態様において、本発明は、約5.0から7.0の範囲のpHを有し、1-20mgのバッファー(例えばヒスチジン)、約320-410mgの糖(例えばスクロース)、約0.1から0.9mgの界面活性剤(例えばポリソルベート80)および約50-150mgの抗EGFR抗体薬物複合体を含み、該抗EGFR抗体薬物複合体が、オーリスタチン(例えばMMAF)と複合体化された抗EGFR抗体、(例えば抗体1)を含む、凍結乾燥製剤を特徴とする。
【0100】
一実施形態において、凍結乾燥製剤は、約320-410mg、約330-400mg、約340から390mg、約350から380mgまたは約360から370mgおよびこの間の範囲(例えば355mgから375mg)の糖(例えばスクロース)を含む。
【0101】
一実施形態において、凍結乾燥製剤は、約0.1-0.9mgの界面活性剤(例えば約0.1-0.8、0.1-0.7、0.01-0.6、0.01-0.55、0.2-0.6、0.3-0.6、0.4-0.6およびこの間の範囲)を含む。
【0102】
一実施形態において、凍結乾燥製剤は、抗EGFR抗体薬物複合体を、約1-150mg、約10-150mg、約20-150mg、約30-150mg、約40-150mg、約50-150mg、約60-150mg、約70-150mg、約80-150mg、約90-150mg、約100-150mg、約10-140mg、約20-140mg、約30-140mg、約40-140mg、約50-140mg、約60-140mg、約70-140mg、約80-140mg、約90-140mg、約100-140mg、約10-130mg、約20-130mg、約30-130mg、約40-130mg、約50-130mg、約60-130mg、約70-130mg、約80-130mg、約90-130mg、約100-130mg、約10-120mg、約20-120mg、約30-120mg、約40-120mg、約50-120mg、約60-120mg、約70-120mg、約80-120mg、約90-120mg、約100-120mg、約10-110mg、約20-110mg、約30-110mg、約40-110mg、約50-110mg、約60-110mg、約70-110mg、約80-110mg、約90-110mgおよび約100-110mgならびにこの間の範囲の量で含む。
【0103】
一実施形態において、凍結乾燥製剤は、1-20mg/mlのヒスチジンを含み、または2-18mg、3-17mg、4-16mg、5-15mg、6-14mgもしくは7-13mgおよびこれらの間の範囲のヒスチジンを含む。
【0104】
凍結乾燥は、当分野において公知の方法に従って実施することができる。例えば、多くの異なるフリーズドライヤー、例えば、HULL50(Hull、USA)またはGT20(Leybold-Heraeus、Germany)フリーズドライヤーがこの目的のために利用可能である。フリーズドライは、製剤を凍結して、この後凍結内容物由来の氷を、一次乾燥に適切な温度において昇華することによって達成される。この条件下で、生成物温度は製剤の共晶融点または崩壊温度未満である。通常、一次乾燥のための棚温度は、通常約50から250mTorrの範囲の適切な圧力において、約-30から25℃の範囲である(生成物が一次乾燥の間凍結されたままであるという条件で)。製剤、サイズおよび試料を保持する容器の型(例えば、ガラスバイアル)ならびに液体の容積が、主に乾燥に必要な時間を決定し、この時間は、数時間から数日(例えば40-60時間)の範囲であり得る。場合により、二次乾燥段階もまた、生成物中の所望の残留水分レベルに依存して実施してもよい。二次乾燥が実施される温度は、主に用いる容器の型およびサイズならびにタンパク質の型に依存して、約0-40℃の範囲である。例えば、凍結乾燥の水分除去段階全体を通して棚温度は、約15-30℃(例えば、約20℃)であってよい。適切な凍結乾燥ケーキを生成する、二次乾燥に必要な時間および圧力は、例えば、温度および他のパラメーターに依存するものである。二次乾燥時間は、生成物中の所望の残留水分レベルに依存し、通常少なくとも約5時間(例えば、10-15時間)かかる。圧力は、一次乾燥ステップの際に用いられた圧力と同じであってよい。フリーズドライ条件は、製剤およびバイアルのサイズに依存して変動してよい。
【0105】
患者に投与する前に、凍結乾燥製剤は、再構成された製剤中の抗EGFR抗体薬物複合体の濃度が、例えば治療に必要な濃度、例えば、少なくとも約1-150mg/mlであるように、医薬として許容される希釈剤で再構成される。再構成は、概して、完全な水和を確実にするために約25℃の温度において行うが、所望に応じて他の温度を用いてもよい。再構成に必要な時間は、例えば、希釈剤の型、賦形剤およびタンパク質の量に依存するものである。例示的希釈剤としては、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌食塩水(例えば、0.9%の食塩水)、リンゲル液またはデキストロース溶液が挙げられる。一実施形態において、凍結乾燥物は、注射のために滅菌水に溶解され、滅菌生理食塩水で希釈される。希釈剤は、場合により、防腐剤を含有する。例示的防腐剤は上に記載されており、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェノールアルコールが好ましい防腐剤である。用いる防腐剤の量は、タンパク質との適合性および防腐剤の有効性試験に対して、さまざまな防腐剤濃度を評価することによって決定される。例えば、防腐剤が芳香族アルコール(例えば、ベンジルアルコール)である場合、防腐剤は、約0.1-2.0%からの、約0.5-1.5%からのまたは約1.0-1.2%の量で存在してよい。
【0106】
III.本発明の製剤に使用するための抗EGFR抗体薬物複合体
本明細書に記載の製剤および方法は、EGFRに特異的に結合する抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗体薬物複合体(ADC)の使用を包含する。本発明の製剤に使用される抗EGFR抗体薬物複合体は、治療薬と複合体化され、これによって、治療薬が、EGFR発現細胞に対して細胞障害性、細胞増殖抑制または免疫抑制の効果を発揮する。
【0107】
特に、本発明は、腫瘍原性、過剰増殖性または異常な細胞中に見出されるEGFRエピトープを認識する抗体またはこれらの抗原結合部分を含み、該エピトープが正常または野生型細胞において検出不能である、抗EGFR抗体薬物複合体を含む製剤に関する。好ましくは、抗体またはこれらの抗原結合部分は、過剰発現が不在であり、正常なEGFRの翻訳後修飾が存在する、正常または野生型EGFRエピトープを含有する正常細胞または野生型細胞と結合しないか、またはこれらを認識しない。
【0108】
本製剤および方法に従った使用に適切な抗EGFR抗体は、通常モノクローナルであり、例えば、キメラ(例えば、ヒト定常領域およびマウス可変領域を有する)、ヒト化またはヒト抗体、一本鎖抗体などを含んでよい。免疫グロブリン分子は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)または免疫グロブリン分子のサブクラスであってよい。例えば、本発明の抗EGFR抗体薬物複合体に使用される抗EGFR抗体は、抗EGFR抗体1もしくは2またはこれらの抗原結合部分であってよい。抗体1および2の配列および特徴は、下記のとおりである(また、WO2011/041319およびUS20110076232を参照されたい(例えば、
図55の抗体配列を参照されたい。)、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。)。抗体1および2は、それぞれ、上皮由来の全ての癌の50%に存在する、上皮成長因子受容体(EGFR)の過剰発現形態を標的化する。
【0109】
本発明の特定の実施形態において、抗EGFR抗体薬物複合体に使用される抗EGFR抗体は、増幅された野生型EGFRおよびde2-7EGFRを認識する。抗EGFR抗体(または抗EGFR ADC)は、de2-7EGFRおよび増幅されたEGFRを認識するが、正常、野生型のEGFRまたはde2-7EGFRの特徴である特有の接合部ペプチドを認識しないという点で、有用な特異性を実証している。これらの結合特徴を有する抗体の例は、抗体1、抗体2および抗体3である。抗体1および抗体2の配列を下記に提供する。
【0110】
抗体2は、モノクローナルネズミ抗EGFR抗体である。抗体2のVH鎖は、下記の核酸配列(配列番号:1)およびシグナルペプチドを有するアミノ酸配列(配列番号2)を含む(配列番号2において、シグナルペプチドに下線を引いてある。)。
【0111】
【0112】
【0113】
抗体2のVL鎖は、下記の核酸配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)を含む(配列番号4において、シグナルペプチドに下線を引いてある。)。
【0114】
【0115】
【0116】
シグナルペプチドを含まないVH鎖配列、配列番号2(配列番号11)の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3(それぞれ、配列番号5、6および7)を、下記に下線により示す。VH鎖配列(配列番号11)の鍵となる残基は24、37、48、67および78である。
【0117】
【0118】
シグナルペプチドを含まないVL鎖配列、配列番号4(配列番号12)の相補性決定領域CDR1、CDR2およびCDR3(それぞれ、配列番号8、9および10)を、下記に下線により示す。VH鎖配列(配列番号12)の鍵となる残基は36、46、57および71である。
【0119】
【0120】
抗体3は、抗体2の軽鎖および重鎖の可変ドメインならびにヒト定常領域を含む、キメラ抗体である。
【0121】
本発明の一実施形態において、本発明の製剤および方法に使用される抗EGFR抗体は、抗体1である。上記のように、抗体1は、抗体2のCDRを含むヒト化抗EGFR抗体である。抗体1の重鎖の可変(VH)領域および定常(CH)領域は、それぞれ、下記の配列番号13および14のように示される。VH領域のCDR1、CDR2およびCDR3(それぞれ、配列番号:15、16および17)は、下線により示される。
【0122】
【0123】
【0124】
抗体1の軽鎖の可変(VL)領域および定常(CL)領域は、それぞれ、下記の配列番号18および19ように示される。VL領域のCDR1、CDR2およびCDR3(それぞれ、配列番号20、21および22)は、下線により示される。
【0125】
【0126】
【0127】
一実施形態において、本発明は、抗EGFR抗体薬物複合体、スクロース、ポリソルベート80およびヒスチジンを含み、約5-7のpHを有し、該抗EGFR抗体薬物複合体が、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含み、前記抗体が、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域および配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域を含む、凍結乾燥製剤を特徴とする。
【0128】
一実施形態において、本発明は、約5-7のpHを有し、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14で示されるアミノ酸配列を有する重鎖定常領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域および配列番号19で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖定常領域を含む抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADC、ヒスチジン、糖、例えばスクロースならびにポリソルベート、例えばポリソルベート80を含む、凍結乾燥製剤を提供する。
【0129】
一実施形態において、本発明は、配列番号18のアミノ酸配列で記載されるCDRを含む軽鎖可変領域、配列番号13のアミノ酸配列で記載されるCDRを含む重鎖可変領域を有する、(オーリスタチン、例えばMMAFと複合体化された)抗EGFR抗体を含むADCを含む製剤を提供する。
【0130】
抗EGFR抗体薬物複合体を調製するために使用可能な抗EGFR抗体は、当分野において公知の任意の適切な方法により作製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマの使用、組換え法およびファージディスプレイ技術またはこれらの組み合わせを含む広範囲の技術を使用して調製することができる。ハイブリドーマ技術は、例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.,1988);およびHammerling,et al.,In Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas,pp.563-681(Elsevier,N.Y.,1981)において大まかに考察されている。抗CD70抗体の調製に使用できるファージディスプレイ法の例としては、例えば、Brinkman et al.,1995,J Immunol Methods 182:41-50;Ames et al.,1995,J Immunol Methods 184:177-186;Kettleborough et al.,1994,Eur J Immunol 24:952-958;Persic et al.,1997,Gene 187:9-18;Burton et al.,1994,Advances in Immunology 57:191-280;PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開WO90/02809;WO91/10737;WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;および米国特許第5,698,426号明細書;5,223,409号明細書;第5,403,484号明細書;第5,580,717号明細書;第5,427,908号明細書;第5,750,753号明細書;第5,821,047号明細書;第5,571,698号明細書;第5,427,908号明細書;第5,516,637号明細書;第5,780,225号明細書;第5,658,727号明細書;第5,733,743号明細書および第5,969,108号明細書に開示された技術が挙げられる(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。
【0131】
特異的エピトープを認識する抗体断片の作製のための技術もまた、当分野において一般的に知られている。例えば、FabおよびF(ab’)2断片は、酵素、例えば、パパイン(Fab断片の作製用)またはペプシン(F(ab’)2断片の作製用)を使用して、免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断により作製することができる。F(ab’)2断片は、可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有する。Fab,Fab’およびF(ab’)2断片を組換え的に作製するための技術は、例えば、PCT公開WO92/22324;Mullinax et al.,1992,BioTechniques 12(6):864-869;およびSawai et al.,1995,AJRI 34:26-34;およびBetter et al.,1988,Science 240:1041-1043に開示される方法を使用して、採用可能である(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。)。
【0132】
一本鎖Fvおよび抗体を作製するために使用可能な技術の例としては、米国特許第4,946,778号明細書および第5,258,498号明細書;Huston et al.,1991,Methods in Enzymology 203:46-88;Shu et al.,1993,Proc Natl Acad Sci USA 90:7995-7999;およびSkerra et al.,1988,Science 240:1038-1040に記載の技術が挙げられる。
【0133】
抗体は、当分野において公知の任意の多数の技術により作製することができる。例えば、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを、標準的技術により宿主細胞に形質移入する、宿主細胞からの発現。「形質移入」のさまざまな形態は、外来DNAを、原核宿主細胞または真核宿主細胞に導入するために一般的に使用される広範囲の技術、例えば、エレクトロポレーション、カルシウム-ホスフェート沈殿、DEAE-デキストラン形質移入などを包含することが意図される。
【0134】
本発明の組換え抗体を発現するための哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載のdhfr-CHO細胞を、例えば、Kaufman and Sharp(1982年)J.Mol.Biol.159:601-621に記載のDHFR選択可能マーカーと共に使用することを含む。)およびDG44またはDUXB11細胞(Urlaub et al.(1986)Som.Cell Molec.Genet.12:555;Haynes et al.(1983)Nuc.Acid.Res.11:687-706;Lau et al.(1984)Mol.Cell.Biol.4:1469-1475)、NS0骨髄腫細胞、サル腎臓系(例えば、CVIおよびCOS、例えばCOS7細胞)、SP2細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞、例えばHEK-293細胞、チャイニーズハムスター線維芽細胞(例えば、R1610)、ヒト子宮頸がん(例えば、HELA)、ネズミ線維芽細胞(例えば、BALBc/3T3)、ネズミ骨髄腫(P3x63-Ag3.653;NS0;SP2/O)、ハムスター腎臓系(例えば、例えば、HAK)、ネズミL細胞(例えば、L-929)、ヒトリンパ球(例えば、RAJI)、ヒト腎臓(例えば、293および293T)が挙げられる。宿主細胞系は、通常市販品として利用可能(例えば、BD Biosciences、Lexington、Ky.;Promega、Madison、Wis.;Life Technologies、Gaithersburg、Md.などから)またはAmerican Type Culture Collection (ATCC、Manassas、Va.)から入手可能である。
【0135】
抗体をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、抗体は、宿主細胞を、宿主細胞中における抗体の発現または宿主細胞が成長する培養培地への分泌に十分な期間培養することによって作製される。抗体は、標準的タンパク質精製方法を使用して培養培地から回収することができる。
【0136】
抗体の組換え発現のための例示的系において、抗体重鎖および抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターが、カルシウム-ホスフェート介在性形質移入によりdhfr-CHO細胞に導入される。組換え発現ベクター内で、抗体の重鎖および軽鎖cDNAが、それぞれ、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター制御要素に動作可能に連結され、cDNAの高レベルの転写が駆動される。組換え発現ベクターはまた、DHFRをコードするcDNAを担持し、DHFRは、メトトレキセート選択/増幅を使用して、ベクターを形質移入されているCHO細胞の選択を可能にする。選択された組換え宿主細胞を培養して、抗体の重鎖および軽鎖を発現させ、無傷抗体が培養培地から回収される。標準的分子生物学技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞に形質移入し、組み換え体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地から抗体を回収する。またさらに、本発明は、本発明の宿主細胞を、適切な培養培地において抗体が合成されるまで培養することによって、抗体を合成する方法を提供する。この方法は、培養培地から抗体を単離するステップをさらに含み得る。
【0137】
本発明に使用される抗EGFR抗体薬物複合体は、得られたADCが、EGFR発現がん細胞に細胞障害性または細胞増殖抑制効果を発揮するように、細胞障害剤または免疫抑制剤と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む。従って、抗EGFR抗体薬物複合体は、EGFR発現がん細胞に細胞障害性または細胞増殖抑制効果を発揮する。一実施形態において、抗EGFR ADCはEGFR発現細胞内に内在化または蓄積され、ADCは治療効果(例えば、細胞障害性、細胞増殖抑制または免疫抑制果)を発揮する。
【0138】
抗体と複合体化するための適切な部分の例としては、化学療法薬、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体もしくは化合物または毒素が挙げられる。例示的実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、オーリスタチン、例えば、MMAFまたはMMAEと複合体化される。がん細胞または活性化された免疫細胞に対して治療効果を発揮する全ての薬剤が、抗EGFR抗体またはこれらの誘導体と複合体化するための治療薬として使用できる(例えば、WO2004/010957、「Drug Conjugates and Their Use for Treating Cancer,An Autoimmune.Disease or an Infectious Disease」(上記)および米国特許仮出願第60/400,403号明細書(上記)を参照されたい。)。通常、治療薬は細胞障害性薬である。幾つかの実施形態において、抗EGFR薬物複合体は、複数の治療薬/複合体、例えば、約1から約20の治療薬/複合体を含む。
【0139】
好ましい実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、オーリスタチン(1以上)と複合体化される。オーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解および/または核および細胞分裂に干渉し、抗がんおよび/または抗真菌活性を有することが示されている。
【0140】
本発明の抗EGFR抗体は、少なくとも1つのオーリスタチンと複合体化され得る。オーリスタチンは、微小管動態およびGTP加水分解に干渉し、これによって細胞分裂を阻害することによって抗がん活性を保有することが一般に示されている、ドラスタチン類似体の群を表す。例えば、オーリスタチンE(米国特許第5,635,483号明細書に記載、参照により本明細書に組み込まれる。)は、海洋天然物のドラスタチン10の合成類似体であり、チューブリンにおいて抗がん薬のビンクリスチンと同じ部位に結合することによってチューブリン重合を阻害する化合物である(G.R.Pettit,Prog.Chem.Org.Nat.Prod,70:1-79(1997))。ドラスタチン10、オーリスタチンPEおよびオーリスタチンEは4個のアミノ酸を有する線形ペプチドであり、このうちの3個は、ドラスタチンクラスの化合物に特有である。有糸分裂阻害剤のオーリスタチンサブクラスの例示的実施形態としては、限定するものではないが、モノメチルオーリスタチンD(MMADまたはオーリスタチンD誘導体)、モノメチルオーリスタチンE(MMAEまたはオーリスタチンE誘導体)、モノメチルオーリスタチンF(MMAFまたはオーリスタチンF誘導体)、オーリスタチンFフェニレンジアミン(AFP)、オーリスタチンEB(AEB)、オーリスタチンEFP(AEFP)および5-ベンゾイル吉草酸-AEエステル(AEVB)が挙げられる。オーリスタチン誘導体の合成および構造は、米国特許出願公開第2003-0083263号明細書、第2005-0238649号明細書および第2005-0009751号明細書;国際特許公開第WO04/010957号パンフレット、国際特許公開第WO02/088172号パンフレットおよび米国特許第6,323,315号明細書;第6,239,104号明細書;第6,034,065号明細書;第5,780,588号明細書;第5,665,860号明細書;第5,663,149号明細書;第5,635,483号明細書;第5,599,902号明細書;第5,554,725号明細書;第5,530,097号明細書;第5,521,284号明細書;第5,504,191号明細書;第5,410,024号明細書;第5,138,036号明細書;第5,076,973号明細書;第4,986,988号明細書;第4,978,744号明細書;第4,879,278号明細書;第4,816,444号明細書および第4,486,414号明細書に記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
一実施形態において、抗EGFR抗体、例えば抗体1は、リンカー、例えば限定するものではないが、マレイミドカプロイル(mc-MMAF)により少なくとも1つのMMAF(モノメチルオーリスタチンF)と複合体化される。MMAFの構造は
図2に提供される。抗EGFR抗体ADCは、2、4、6または8の薬物抗体比(DAR)を有することができる。特に、ADCのDARは0から8の範囲であり得るが、高負荷、例えば10も可能である。モノメチルオーリスタチンF(MMAF)は、チューブリンの重合を遮断することによって細胞分裂を阻害する。MMAFは、この非荷電対応物のMMAEと比較して、この細胞障害性活性を弱める荷電C末端フェニルアラニン残基を有する。この毒性のために、MMAFは、これ自体を薬剤として使用することはできないが、MMAFをがん細胞に向かわせるモノクローナル抗体(mAb)と連結することができる。一実施形態において、リンカーと抗EGFR抗体とは、細胞外液中で安定であるが、複合体がひとたび腫瘍細胞に進入すると、カテプシンにより切断され、抗有糸分裂機序が活性化される。
【0142】
一実施形態において、本発明の抗EGFR抗体は、少なくとも1つのMMAE(モノメチルオーリスタチンE)と複合体化される。MMAEの構造は
図1に提供され、これは、MMAEを含む例示的ADCである。モノメチルオーリスタチンE(MMAE、ベドチン)は、チューブリンの重合を遮断することによって細胞分裂を阻害する。この非常に強い毒性のため、MMAEもまたこれ自体を薬物として使用することはできない。近年の癌療法の開発において、MMAEはがん細胞において特異的マーカー発現を認識するモノクローナル抗体(mAb)に連結され、MMAEをがん細胞に向かわせる。一実施形態において、MMAEと抗EGFR抗体とを連結するリンカーは、細胞外液(即ち、細胞の外側の媒体または環境)中で安定であるが、ひとたびADCが特異的がん細胞抗原と結合し、がん細胞に進入するとカテプシンにより切断され、毒性MMAEを放出し、強力な抗有糸分裂機序を活性化する。
【0143】
一実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、MMAFであるオーリスタチンと複合体化される。一実施形態において、抗EGFR ADCはADC1-MMAFである。ADC1-MMAFは、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)の1以上の分子と共有結合的に連結された抗体1(上記および配列番号13から22)(構造は
図2を参照されたい。)を含む。ADC1-MMAFを作製するために、抗体1の鎖間ジスルフィド結合が、スルフヒドリル基に還元される。MMAFはその後、これらのスルフヒドリル基によって抗体と結合される。ADC1-MMAFは、
図2に示すように、非切断性リンカー、即ち、非切断性マレイミドカプロイル(mc)連結を使用して作製される。
【0144】
特定の一実施形態において、本発明の製剤は、検出可能または機能性の標識により標識される抗EGFR ADCを含む。検出可能な標識としては、限定するものではないが、放射性標識、例えば、同位元素の2H、3H、11C、13C、14C、32P、33S、34S、35S、36S、36C1、51Cr、57Co、58Co、59Fe、90Y、121I、124I、125I、131I、211At、198Au、67Cu、225Ac、213Bi、99Tcおよび186Reが挙げられ、これらは、抗体イメージングの分野において公知の従来の化学を使用して、本発明の抗体に結合することができる。標識としては、蛍光標識およびMRI-CT画像の分野において慣例的に使用される標識がさらに挙げられる。これらは酵素標識、例えば、ホースラッディシュペルオキシダーゼもまた含む。標識は、化学部分、例えばビオチンもさらに含み、ビオチンは、特異的な同種の検出可能部分、例えば、標識されたアビジンとの結合により検出することができる。
【0145】
機能性標識は、腫瘍の部位を標的化して、腫瘍組織の破壊を引き起こすようにデザインされた物質もまた含む。このような機能性標識としては、細胞障害性薬、例えば、5-フルオロウラシルまたはリシンならびに酵素、例えば細菌性カルボキシペプチターゼまたはニトロレダクターゼが挙げられ、これらは、腫瘍部位においてプロドラッグを活性薬剤に変換することができる。
【0146】
当業者には理解されるであろうように、上記の薬剤ならびに他の適切な薬剤は、本発明において有用な抗EGFR ADCを作製するための任意の適切な様式で、抗EGFR抗体、例えば抗体1と複合体化、または結合させることができる。例えば、限定するものではないが、本発明のさまざまな実施形態において、抗EGFR抗体および薬剤は、リンカー、スペーサーおよび/または伸長体(stretcher)化合物を使用して共有結合的に結合および/または複合体化することができ、本発明のさまざまな実施形態において、これらは切断性または非切断性であり、標的細胞により内在化される治療薬をもたらす。
【0147】
一実施形態において、抗体1は、非切断性マレイミドカプロイル連結(抗体1-mc-MMAF)を使用して、MMAFと複合体化される。
【0148】
治療薬とタンパク質、特に抗体とを複合体化する技術は周知である(例えば、Arnon et al.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy,」Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy(Reisfeld et al.eds.,Alan R.Liss,Inc.,1985);Hellstrom et al.,「Antibodies For Drug Delivery,」Controlled Drug Delivery(Robinson et al.eds.,Marcel Dekker,Inc.,2nd ed.1987);Thorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review,」Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications(Pinchera et al.eds.,1985);「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy,」Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy(Baldwin et al.eds.,Academic Press,1985);およびThorpe et al.,1982,Immunol.Rev.62:119-58。例えば、PCT公開WO89/12624も参照されたい。)。
【0149】
一実施形態において、ADCは、細胞障害性薬物と抗体との間にリンカー領域を含む。例えば、このようなリンカー、スペーサーおよび/または伸長体(stretcher)化合物としては、限定するものではないが、下記のアミノ安息香酸スペーサー(例えば、限定するものではないが、米国特許第7,091,186号明細書および第7,553,816号明細書を参照されたい、これらはそれぞれ、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。);マレイミドカプロイル;p-アミノベンジルカルバモイル(PAB);リソソーム酵素切断性リンカー(例えば、限定するものではないが、米国特許第6,214,345号明細書を参照されたい、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。);マレイミドカプロイル-ポリエチレン20グリコール(MC(PEG)6-OH);N-メチル-バリンシトルリン;N-スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)(例えば、限定するものではないが、Yoshitake et al.(1979)Eur.J.Biochem.,101,395-399を参照されたい、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルジチオ)ブタノエート(SPDB)(例えば、限定するものではないが、米国特許第4,563,304号明細書参照されたい、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。);N-スクシンイミジル4-(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP);バリン-シトルリンならびに他のリンカー、スペーサーおよび/または伸長体(stretcher)化合物(例えば、限定するものではないが、米国特許第7,090,843号明細書、第7,223,837号明細書および第7,659,241号明細書ならびに米国特許公開第2004/0018194号明細書、第2004/0121940号明細書、第2006/0116422号明細書、第2007/0258987号明細書、第2008/0213289号明細書、第2008/0241128号明細書、第2008/0311136号明細書、第2008/0317747号明細書および第2009/0010945号明細書を参照されたい、これらはそれぞれ、この全体が参照により本明細書に組み込まれる。)が挙げられる。一般的に言えば、上記の薬剤および他の薬剤と本発明の特異的結合メンバー、特に抗体およびこれらの断片とを結合および/または複合体化するための技術は、当分野において公知である。例えば、限定するものではないが、Amon et al.,「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy,Reisfeld et al.(eds.),pp.243-56(Alan R.Liss,Inc.1985);Hellstrom et al.,「Antibodies For Drug Delivery」,Controlled Drug Delivery (2nd Ed.),Robinson et al.(eds.),pp.623-53(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe,「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Revew」,In Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,Pinchera et al.(eds.),pp.475-506(1985);「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」,Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy,Baldwin et al.(eds.),pp.303-16(Academic Press 1985)およびThorpe et al.,「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」,Immunol.Rev.,62:119-58(1982)を参照されたく、これらはそれぞれ、この全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
多数の異なる反応が、薬物と抗体との共有結合に利用可能である。これは、多くの場合、リジンのアミノ基、グルタミン酸およびアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基および芳香族アミノ酸のさまざまな部分を含む、抗体分子のアミノ酸の残基の反応により達成される。共有結合の最も一般的に使用される非特異的方法の1つは、化合物のカルボキシ(またはアミノ)基と抗体のアミノ(またはカルボキシ)基とを連結するためのカルボジイミド反応である。さらに、二官能性薬剤、例えば、ジアルデヒドまたはイミドエステルは、化合物のアミノ基と抗体分子のアミノ基とを連結するために使用されている。さらに、シッフ塩基反応が、薬物と抗体との結合に利用可能である。この方法は、グリコールまたはヒドロキシ基を含有する薬物の過ヨウ素酸酸化を伴い、従って、その後抗体分子と反応するアルデヒドを形成する。結合は、抗体分子のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートは、薬物を抗体に共有結合させるカップリング剤として使用することができる。他の技術は当業者に公知であり、本発明の範囲内である。このような技術の限定されない例は、例えば、米国特許第5,665,358号明細書;第5,643,573号明細書および第5,556,623号明細書に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
ある実施形態において、リンカーの前駆体である中間体は、適切な条件下で薬物と反応される。ある実施形態において、反応基が薬物および/または中間体に対して使用される。薬物および中間体、または誘導体化された薬物との間の反応の生成物は、その後、適切な条件下で抗EGFR抗体と反応される。
【0152】
複合体化方法の他の例は、米国特許第7,837,980号明細書(Seattle Genetics)、Carter and Senter(2008年)Cancer J,14(3):154および米国出願公開第2004-0157782A1号明細書および第2005-0238649号明細書および国際特許出願第PCT/US04/038392号に記載されている。
【0153】
ある実施形態において、抗EGFR ADCは、所望の薬物抗体比(DAR)を有するADCを得るために精製することができる。本発明の一実施形態において、製剤は、所望の平均薬物抗体比(DAR)、例えば、約3の平均DARを有する抗EGFR ADCを含む抗EGFR ADC混合物を含有する。本発明の一実施形態において、製剤は、所望のDAR比、例えば、約2-4のDARを有する抗EGFR ADCを含むADC混合物を含む。
【0154】
一実施形態において、製剤は、存在するADCの70%が4以下の薬物負荷種を有し、ADCが、抗EGFR抗体およびオーリスタチンを含むADC混合物を含有する。または、存在するADCの75%が4以下の薬物負荷種を有し、存在するADCの80%が4以下の薬物負荷種を有し、存在するADCの85%が4以下の薬物負荷種を有し、存在するADCの90%が4以下の薬物負荷種を有し、または、存在するADCの95%が4以下の薬物負荷種を有する。
【0155】
本発明の一実施形態において、製剤は、モノメチルオーリスタチンF(MMAF)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADCを含み、前記ADC1-MMAFは、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域、スクロース、ヒスチジンおよびポリソルベート80を含み、製剤は、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む。本発明のさらなる実施形態において、製剤は凍結乾燥される。またさらなる実施形態において、抗EGFR抗体は、マレイミドカプロイルリンカーによってMMAFに連結される。さらにさらなる実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0156】
一実施形態において、製剤は、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)と複合体化された抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分を含む抗EGFR ADCを含み、前記ADC1-MMAEは、配列番号15、16および17で示されるアミノ酸配列を含む相補性ドメイン領域(CDR)を含む重鎖可変領域を含み、配列番号20、21および22で示されるアミノ酸配列を含むCDRを含む軽鎖可変領域、スクロース、ヒスチジンおよびポリソルベート80を含み、製剤は、約3の平均DARを有するADC混合物または約2-4のDARを有するADC混合物を含む。本発明のさらなる実施形態において、製剤は凍結乾燥される。さらにさらなる実施形態において、抗EGFR抗体またはこれらの抗原結合部分は、配列番号13で示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0157】
ADCの精製は、特定のDARを有するADCが回収されるような方法で達成され得る。例えば、HIC樹脂は、高薬物負荷ADCを、最適な薬物抗体比(DAR)、例えば4以下のDARを有するADCから分離するために使用することができる。一実施形態において、疎水性樹脂が、望ましくないADC、即ち高薬物負荷ADCが樹脂に結合して、混合物から選択的に除去できるように、ADC混合物に加えられる。ある実施形態において、ADCの分離は、ADC混合物(例えば、4以下のADC薬物負荷種および6以上のADC薬物負荷種を含む混合物)を、疎水性樹脂と接触させ、樹脂の量が、ADC混合物から除去されるべき薬物負荷種を結合させるために十分であることによって達成することができる。樹脂およびADC混合物は、除去されるADC種(例えば、6以上の薬物負荷種)が樹脂と結合し、ADC混合物中の他のADC種から分離され得るように、一緒に混合される。この方法に使用される樹脂の量は、除去される種と樹脂との間の重量比に基づき、使用される樹脂の量は、所望の薬物負荷種の有意な結合を可能にするものではない。従って、平均DAR5.5から4未満に低下させるための方法を使用可能である。さらに、精製方法は、任意の所望の範囲の薬物負荷種、例えば、4以下の薬物負荷種、3以下の薬物負荷種、2以下の薬物負荷種、1以下の薬物負荷種を有するADCを単離するために使用することができる。
【0158】
特定の種の分子は、種と疎水性樹脂との間の疎水性相互作用に基づき表面に結合する。一実施形態において、本発明の方法は、疎水性樹脂とADCの混合物との混合に頼る精製過程を指し、混合物に加える樹脂の量は、どの種(例えば、6以上のDARを有するADC)が結合するかを決定する。発現系(例えば、哺乳動物発現系)から抗体を作製および精製後、抗体は還元され、複合体化反応を介して薬物に結合される。得られたADC混合物は、多くの場合、一定範囲のDAR、例えば1から8を有するADCを含有する。一実施形態において、ADC混合物は、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含む。本発明の方法に従って、ADC混合物は、4以下の薬物負荷種を有するADCが選択され、より高い薬物負荷を有するADC(例えば、6以上の薬物負荷種を有するADC)から分離されるように、例えば、限定するものではないが、バッチ処理などの処理を使用して精製することができる。とりわけ、本明細書に記載の精製方法は、任意の所望の範囲のDAR、例えば4以下のDAR、3以下のDAR、2以下のDARを有するADCを単離するために使用することができる。
【0159】
従って、一実施形態において、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物を疎水性樹脂と接触させ、樹脂混合物を形成することができ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種と樹脂とを結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種は有意に結合できない;また、ADCを含む組生物が得られるように、疎水性樹脂をADC混合物から除去することができ、組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、ADCはオーリスタチンと複合化された抗体を含む。別個の実施形態において、該方法は、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と、疎水性樹脂とを接触させ、樹脂混合物を形成させ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量が6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合させることができないステップ、および疎水性樹脂を、ADCを含む組成物が得られるように、ADC混合物から除去して、該組成物が15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCがオーリスタチンと複合体化された抗体を含み、該疎水性樹脂の重量がADC混合物中の6以上の薬物負荷種の重量の3から12倍であるステップを含むことができる。
【0160】
ADC分離方法は、バッチ精製方法を使用して実施することができる。バッチ精製処理は、概して、ADC混合物を、容器中の疎水性樹脂に加えるステップ、混合するステップ、およびその後、樹脂を上清から分離するステップを含む。例えば、バッチ精製の文脈において、疎水性樹脂は、所望の平衡バッファー中で調製され得るか、またはこれに平衡化され得る。疎水性樹脂のスラリーは、このようにして得ることができる。その後、ADC混合物をスラリーと接触させ、疎水性樹脂により分離されるべきADCの特定の種を吸着させることができる。疎水性樹脂材料と結合しない所望のADCを含む溶液を、その後、例えばろ過によりスラリーから分離する、またはスラリーを沈殿させて、上清から除去することができる。得られたスラリーは、1以上の洗浄ステップに供することができる。結合したADCを溶出するために、塩濃度を低下することができる。一実施形態において、本発明に使用される工程は、50g以下の疎水性樹脂を含む。
【0161】
従って、バッチ方法を使用して、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを接触させ、樹脂混合物を形成することができ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず、疎水性樹脂は、ADCを含む組成物が得られるようにADC混合物から除去することができ、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCがオーリスタチンと複合体化された抗体を含む。別個の実施形態において、バッチ方法を使用して、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを接触させ、樹脂混合物を形成し、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず、疎水性樹脂は、ADCを含む組成物が得られるようにADC混合物から除去することができ、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCはオーリスタチンと複合体化された抗体を含み、疎水性樹脂の重量は、ADC混合物中の6以上の薬物負荷種の重量の3から12倍である。
【0162】
または、精製は、樹脂を容器に充填し、ADC混合物を、分離されるべき特定種のADCが除去されるまで疎水性樹脂床を通過させる、循環処理を使用して実施することができる。その後、(所望のADC種を含有する)上清を、容器からポンプで汲み出し、樹脂床を洗浄ステップに供することができる。
【0163】
また、循環処理を使用してもまた、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを接触させ、樹脂混合物を形成することができ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず;疎水性樹脂は、ADCを含む組成物が得られるようにADC混合物から除去することができ、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCはオーリスタチンと複合体化された抗体を含む。別個の実施形態において、循環処理を使用して、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを接触させ、樹脂混合物を形成し、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず、疎水性樹脂は、ADCを含む組成物が得られるようにADC混合物から除去することができ、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCはオーリスタチンと複合体化された抗体を含み、疎水性樹脂の重量は、ADC混合物中の6以上の薬物負荷種の重量の3から12倍である。
【0164】
または、精製は、樹脂を容器、例えばカラムに充填し、ADC混合物を、所望のADC種が樹脂と実質的に結合しないように、充填された樹脂を通過させ、樹脂を通して流して、望ましくないADC種が樹脂に結合される、フロースルー処理を使用して実施することができる。フロースルー処理は、シングルパス様式(対象となるADC種が、容器の樹脂の単回通過の結果として得られる。)またはマルチパス様式(対象となるADC種が、容器の樹脂の複数回通過の結果として得られる。)で実施することができる。フロースルー処理は、選択された樹脂の重量が望ましくないADC集団と結合して、所望のADC(例えばDAR2-4)が樹脂の間を流れ、1または複数回の通過の後でフロースルーにおいて回収されるように実施される。
【0165】
本発明の一実施形態において、フロースルー処理を使用して、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを接触させることができ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず、4以下の薬物負荷種を樹脂の間を流し、その後、所望のADC(例えばDAR2-4)を含む組成物が得られるように、1または複数回通過後回収し、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、ADCはオーリスタチンと複合体化された抗体を含む。別個の実施形態において、フロースルー処理を使用して、4以下の薬物負荷種および6以上の薬物負荷種を含むADC混合物と疎水性樹脂とを、ADC混合物を樹脂の間に通すことによって接触させ、ADC混合物と接触させる疎水性樹脂の量は、6以上の薬物負荷種を樹脂に結合させるために十分であるが、4以下の薬物負荷種を有意に結合できず、4以下の薬物負荷種を樹脂の間に通し、その後、ADCを含む組成物が得られるように回収し、該組成物は15%未満の6以上の薬物負荷種を含み、該ADCはオーリスタチンと複合体化された抗体を含み、疎水性樹脂の重量は、ADC混合物中の6以上の薬物負荷種の重量の3から12倍である。
【0166】
精製方法は、ADCの高薬物負荷種と低薬物負荷種とを分離するための疎水性樹脂の使用に基づくことができる。疎水性樹脂は、ADCの疎水特性と相互作用する疎水性基を含む。ADCの疎水性基は、疎水性樹脂内の疎水性基と相互作用する。タンパク質が疎水性であるほど、疎水性樹脂との相互作用は強くなると思われる。
【0167】
疎水性樹脂は普通、疎水性リガンド(例えば、アルキルまたはアリール基)が結合する、基材マトリックを含む(例えば、架橋されたアガロースまたは合成コポリマー材料)。多くの疎水性樹脂は市販されている。例としては、限定するものではないが、低置換度または高置換度のPhenyl Sepharose(商標)6 Fast Flow (Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Phenyl Sepharose(商標)High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Octyl Sepharose(商標)High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology,AB,Sweden);Fractogel(商標)EMD PropylまたはFractogel(商標)EMD Phenylカラム(E.Merck,Germany);Macro-Prep(商標)MethylまたはMacro-Prep(商標)t-Butyl Supports(Bio-Rad,California);WP HI-Propyl(C3)(商標)(J.T.Baker,New Jersey);およびToyopearl(商標)エーテル、ヘキシル、フェニルまたはブチル(TosoHaas,PA)が挙げられる。一実施形態において、疎水性樹脂は、ブチル疎水性樹脂である。別の実施形態において、疎水性樹脂はフェニル疎水性樹脂である。別の実施形態において、疎水性樹脂はヘキシル疎水性樹脂、オクチル疎水性樹脂またはデシル疎水性樹脂である。一実施形態において、疎水性樹脂は、n-ブチルリガンド(例えばTOYOPEARL(R)Butyl-600M)を有するメタクリル系ポリマーである。
【0168】
別個の低および高DAR ADCを精製するさらなる方法は、米国特許仮出願第61/792,834号明細書および2014年3月14日出願の米国特許出願第14/210,602号明細書に開示されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0169】
IV.製剤の使用
本方法に従って、抗EGFR ADCを含む製剤は、抗EGFR抗体または抗EGFR-ADCによる治療を必要とする障害を有する(または有するリスクのある)対象に投与される。抗EGFR ADCを含む製剤は、抗EGFR抗体による治療を必要とする障害の予防または治療において、単独または他の組成物の併用とのいずれかで投与することができる。
【0170】
本明細書において使用する場合、「EGFR活性が有害である障害」という用語は、障害を患う対象においてEGFRの存在が、障害の病理生態学の原因であるか、もしくは障害の悪化に寄与する要因のいずれかであることが示されている、またはこのように疑われる、疾患および他の障害を含むことが意図される。従って、EGFR活性が有害である障害は、EGFR活性の阻害が、障害の症状および/または進行を緩和することが期待される障害である。このような障害は、例えば、EGFRの活性の増加または障害を患う対象由来の生体試料中に存在するEGFRの量の増加(例えば、対象の組織試料中、血清、血漿、滑液などのEGFR濃度の上昇)により証明することができ、これらは、例えば、抗EGFR抗体を使用して検出可能である。
【0171】
本発明の製剤は、癌の治療に使用することができる。治療可能な癌の例としては、限定するものではないが、、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌が挙げられる。
【0172】
一実施形態において、ADC1-MMAFを含む製剤は、結腸直腸癌、頭部および頸部癌(限定するものではないが、下咽頭癌、口腔咽頭癌、食道癌、喉頭癌および口腔癌を含む)、膵臓癌および胃がんの治療のために、対象に投与することができる。本発明の一態様において、ADC1-MMAFを含む製剤は、上皮成長因子受容体(EGFR)を過剰発現する可能性のある固形腫瘍、扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)または多形性神経膠芽腫を治療するために、対象に投与される。本発明の組成物により治療することができるこのような癌のさらなる例としては、扁平上皮腫瘍(肺、頭部および頸部、子宮頸部などの扁平上皮腫瘍を含む)、神経膠芽腫、グリオーマ、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌が挙げられる。
【0173】
抗EGFR ADCの特有の特異性は、多数の腫瘍原性細胞型、および腫瘍型、例えば、限定するものではないが、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、肺がん、結腸癌、頭部および頸部癌、乳がん、扁平上皮細胞腫瘍、肛門癌、皮膚癌および外陰癌を、以前から知られているEGFR抗体に見ることができる正常組織の取込みに関する問題を伴わずに、同定、特徴付け、標的化および治療、低減または排除するための診断的および治療的使用を提供する。従って、EGFRを過剰発現する細胞(例えば、突然変異体または変異体EGFRの増幅または発現により)、および特定の実施形態において、異常な翻訳後修飾を表す細胞が、抗EGFR ADCを利用して、認識、単離、特徴付け、標的化および治療または排除され得る。
【0174】
本発明の一態様において、本明細書に記載の製剤のいずれかにおいて治療有効量の抗EGFR ADCを投与するステップを含み、対象が、製剤中の抗EGFR抗体による治療を必要とする障害(例えば、腫瘍、がん性病態、前癌病態および過剰増殖性細胞成長に関連する、またはこれからもたらされる任意の病態)、例えば、限定するものではないが、上皮成長因子受容体(EGFR)を過剰発現する可能性のある固形腫瘍または多形性神経膠芽腫を有する、対象を治療するための方法が提供される。
【0175】
腫瘍中のEGFRの発現を検出するための方法は、当分野において公知であり、例えば、EGFR pharmDx(商標)Kit(Dako)である。対照的に、「EGFR陰性腫瘍」は、免疫組織化学的技術により決定される、腫瘍試料中のバックグラウンドを超えたEGFR膜染色が存在しない腫瘍として定義される。
【0176】
従って、抗EGFR ADCを含む製剤は、染色またはEGFRの過剰発現、特に増幅および/またはEGFRの突然変異、特にde2-7EGFRが存在する、腫瘍または細胞を認識する別な方法により、EGFR腫瘍または腫瘍原性細胞の性質を分類するために特に使用することができる。さらに、抗EGFR ADCは、増幅されたEGFRを含有する腫瘍およびde2-7EGFR陽性異種移植片に対するin vivoの有意な抗腫瘍活性を表すことが示されてきている。
【0177】
従って、本発明のさらなる態様において、本明細書に記載の製剤で抗EGFR ADCの投与を含む、腫瘍、がん性病態、前がん性病態および過剰増殖性細胞成長に関連する、またはこれからもたらされる任意の病態の治療方法を提供する。
【0178】
さまざまな送達系が公知であり、抗EGFR ADCを含む製剤を投与するために使用可能である。導入方法としては、限定するものではないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。ADCは、例えば、注入またはボーラス注入により、上皮または皮膚粘膜の内膜(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収により投与することができ、他の生物学的活性剤、例えば、化学療法剤と一緒に投与することができる。投与は全身性または局所的であってよい。一実施形態において、本発明の製剤は、静脈内的に対象に送達される。別の実施形態において、本発明の製剤は、皮下的に対象に送達される。一実施形態において、対象が、彼自身/彼女自身に製剤を投与する(自己投与)。
【0179】
製剤中の抗EGFR ADCによる治療を必要とする障害、例えば癌の治療または予防に有効なADCの量は、標準的臨床技術により決定することができる。加えて、in vitroアッセイが場合により用いられ、最適な投薬量範囲の同定を手助けすることができる。正確な用量は、投与の経路、免疫学的障害のステージまたはEGFR発現癌に依存し、開業医の判断および各患者の状況に従って決定され得る。一実施形態において、製剤において治療有効量の抗EGFR ADCが、これを必要とする対象に投与される。抗EGFR ADCの「治療有効量」または「有効量」という用語は、本明細書において使用する場合、ADCが有効である治療のために、障害の症状を予防または治療または緩和に有効な量を指す。製剤中の治療有効量の抗EGFR ADCの例は、有害なEGFR活性を阻害するため、またはEGFR活性が有害である障害を治療するために十分な量である。
【0180】
抗EGFR ADCの用量は、例えば、毎日、週に一回(毎週)、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、2週間に1回、3週間に1回、月に1回もしくは4週間に1回または必要に応じて別の方法で投与することができる。
【0181】
ある実施形態において、ある実施形態において、抗EGFR ADCは、癌治療のための1以上のさらなる治療薬と共に、対象に同時投与することができる。「同時投与」という用語は、同じ医薬組成物または別の医薬組成物において組み合わせて対象に投与される、2以上の異なる医薬品または治療(例えば、放射線治療)の投与を意味する。従って、同時投与は、2以上の医薬品を含む単一の医薬組成物での同時投与、または2以上の異なる組成物の同じ対象への同時もしくは異なる時点における投与を伴う。
【0182】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、薬剤の例としては、例えば、放射線、アルキル化剤、血管新生阻害薬、抗体、代謝拮抗薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬、抗ウイルス薬、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えば、Bcl-xL、Bcl-wおよびBfl-1)阻害剤、細胞死受容体経路の活性化物質、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体、抗体薬物複合体、生体応答調節剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD(二重可変ドメイン抗体)、白血病ウイルス癌遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、成長因子阻害剤、ヒートショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法薬、免疫薬、アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)の阻害剤、インターカレート抗生物質(intercalating antibiotics)、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳動物標的のラパマイシン阻害剤、マイクロRNA阻害剤、マイトジェン活性化細胞外シグナル制御キナーゼ阻害剤、多価結合タンパク質、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシン二リン酸)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、プラチナ化学療法薬、ポロ様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(ブロモドメイン)阻害剤、プロテオソーム阻害剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド(etinoids)/デルトイド(deltoids)植物アルカノイド、低分子阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤などが挙げられ、これらの薬剤の1以上との組み合わせて同時投与することもできる。
【0183】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、BiTE抗体を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、BiTE抗体は、T細胞とがん細胞とを同時に結合することによって、T細胞にがん細胞を攻撃するように仕向ける二重特異性抗体である。その後、T細胞は標的がん細胞を攻撃する。BiTE抗体の例としては、アデカツムマブ(Micromet MT201)、ブリナツモマブ(Micromet MT103)などが挙げられる。理論に縛られるものではないが、T細胞が標的がん細胞のアポトーシスを誘発する機序の1つは、パーフォリンおよびグランザイムBを含む細胞溶解性顆粒成分のエキソサイトーシスによるものである。これに関して、Bcl-2は、パーフォリンおよびグランザイムBの両方によるアポトーシスの誘導を弱めることが示されてきた。これらのデータは、がん細胞を標的化する場合、Bcl-2の阻害が、T細胞によって誘発される細胞障害性効果を強化し得ることを示唆している(V.R.Sutton,D.L.Vaux and J.A.Trapani,J.of Immunology 1997,158(12),5783)。
【0184】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、siRNAを含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。SiRNAは、内在性RNAの塩基または化学修飾されたヌクレオチドを有する分子である。修飾は、細胞活性を無効にすることはなく、むしろ安定性の増加および/または細胞の分化能(cellular potency)の増加をもたらす。化学修飾の例としては、ホスホロチオエート基、2’-デオキシヌクレオチド、2’-OCH3-含有リボヌクレオチド、2’-F-リボヌクレオチド、2’-メトキシエチルリボヌクレオチド、これらの組み合わせなどが挙げられる。siRNAは、さまざまな長さ(例えば、10-200bps)および構造(例えば、ヘアピン、一本鎖/二本鎖、バルジ、ニック/ギャップ、ミスマッチ)を有することができ、細胞内でプロセシングされ、活性遺伝子のサイレンシングを提供する。二本鎖siRNA(dsRNA)は、同じ数のヌクレオチドを各鎖に有しても(平滑末端)、または非対称の末端(オーバーハング)を有してもよい。1-2ヌクレオチドのオーバーハングは、センスおよび/またはアンチセンス鎖に存在してもよく、所与の鎖の5’-および/または3’-末端に存在してもよい。
【0185】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、DVDおよび他の多価結合タンパク質を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。多価結合タンパク質は、2以上の抗原結合部分を含む結合タンパク質である。多価結合タンパク質は、3以上の抗原結合部分を有するように遺伝子操作されており、一般に天然の抗体ではない。「多重特異的結合タンパク質」という用語は、2以上の関連する標的または関連しない標的を結合できる結合タンパク質を意味する。二重可変ドメイン(DVD)結合タンパク質は、2以上の抗原結合部分を含む4価または多価の結合タンパク質結合タンパク質である。このようなDVDは、単一特異的(即ち1つの抗原に結合できる。)であっても、または多重特異的(即ち2以上の抗原に結合できる。)であってもよい。2つの重鎖DVDポリペプチドおよび2つの軽鎖DVDポリペプチドを含むDVD結合タンパク質は、DVD Igと称される。DVD Igの各半分は、重鎖DVDポリペプチド、軽鎖DVDポリペプチドおよび2つの抗原結合部分を含む。各結合部位は、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含み、合計6つのCDRが抗原結合/抗原結合部分に関与する。多重特異性DVDは、DLL4とVEGFと、またはC-metとEGFRと、またはErbB3とEGFRとを結合させるDVD結合タンパク質を含む。
【0186】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、アルキル化剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。アルキル化剤としては、アルトレタミン、AMD-473、AP-5280、アパジコン、ベンダムスチン、ブロスタリシン、ブスルファン、カルボコン、カルムスチン(BCNU)、クロラムブシル、CLORETAZINE(R)(ラロムスチン、VNP40101M)、シクロホスファミド、デカルバジン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルホスファミド、イホスファミド、KW-2170、ロムスチン(CCNU)、マホスファミド、メルファラン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ニムスチン、ナイトロジェンマスタードN-オキシド、ラニムスチン、テモゾロミド、チオテパ、TREANDA(R)(ベンダムスチン)、トレオスルファン、ロホスファミドなどが挙げられる。
【0187】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤は、血管新生阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。血管新生阻害剤としては、無内皮特異的受容体型チロシンキナーゼ(Tie-2)阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、インスリン成長因子-2受容体(IGFR-2)阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ-2(MMP-2)阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ-9(MMP-9)阻害剤、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)阻害剤、トロンボスポンジン類似体、血管内皮成長因子受容体チロシンキナーゼ(VEGFR)阻害剤などが挙げられる。
【0188】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、代謝拮抗薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。代謝拮抗薬としては、ALIMTA(R)(ペメトレキセド二ナトリウム、LY231514、MTA)、5-アザシチジン、XELODA(R)(カペシタビン)、カルモフール、LEUSTAT(R)(クラドリビン)、クロファラビン、シタラビン、シタラビンオクホスフェート、シトシンアラビノシド、デシタビン、デフェロキサミン、ドキシフルリジン、エフロルニチン、EICAR(5-エチニル-1-β-D-リボフラノシルイミダゾール-4-カルボキサミド)、エノシタビン、エトニルシチジン、フルダラビン、5-フルオロウラシル単独またはロイコボリンと組み合わせた5-フルオロウラシル、GEMZAR(R)(ゲムシタビン)、ヒドロキシ尿素、ALKERAN(R)(メルファラン)、メルカプトプリン、6-メルカプトプリンリボシド、メトトレキセート、ミコフェノール酸、ネララビン、ノラトレキセド、オクホスフェート、ペリトレキソール、ペントスタチン、ラルチトレキセド、リバビリン、トリアピン、トリメトレキサート、S-1、チアゾフリン、テガフール、TS-1、ビダラビン、UFTなどが挙げられる。
【0189】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、抗ウイルス薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。抗ウイルス薬としては、リトナビル、ヒドロキシクロロキンなどが挙げられる。
【0190】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、オーロラキナーゼ阻害薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。オーロラキナーゼ阻害薬としては、ABT-348、AZD-1152、MLN-8054、VX-680、オーロラA特異的キナーゼ阻害剤、オーロラB特異的キナーゼ阻害剤およびパンオーロラキナーゼ阻害薬などが挙げられる。
【0191】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、Bcl-2タンパク質阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。Bcl-2タンパク質阻害剤としては、AT-101((-)ゴシポール)、GENASENSE(R)(G3139またはオブリメルセン(Bcl-2標的化アンチセンスオリゴヌクレオチド))、IPI-194、IPI-565、N-(4-(4-((4’-クロロ(1,1’-ビフェニル)-2-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)ベンゾイル)-4-(((1R)-3-(ジチルアミノ)-1-((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)-3-ニトロベンゼンスルホンアミド)(ABT-737)、N-(4-(4-((2-(4-クロロフェニル)-5,5-ジチル-1-クロロヘキサ-1-エン-1-イル)メチル)ピペラジン-1-イル)ベンゾイル)-4-(((1R)-3-(モルホリン-4-イル)-1-((フェニルスルファニル)メチル)プロピル)アミノ)-3-((トリフルオロメチル)スルホニル)ベンゼンスルホンアミド(ABT-263)、GX-070(オバトクラックス)、ABT-199などが挙げられる。
【0192】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤としては、例えば、DASATINIB(R)(BMS-354825)、GLEEVEC(R)(イマチニブ)などが挙げられる。
【0193】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、CDK阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。CDK阻害剤としては、AZD-5438、BMI-1040、BMS-032、BMS-387、CVT-2584、フラボピリドール、GPC-286199、MCS-5A、PD0332991、PHA-690509、セリシクリブ(CYC-202、R-ロスコビチン)、ZK-304709などが挙げられる。
【0194】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、COX-2阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。COX-2阻害剤としては、ABT-963、ARCOXIA(R)(エトリコキシブ)、BEXTRA(R)(バルデコキシブ)、BMS347070、CELEBREX(R)(セレコキシブ)、COX-189(ルミラコキシブ)、CT-3、DERAMAXX(R)(デラコキシブ)、JTE-522、4-メチル-2-(3,4-ジメチルフェニル)-1-(4-スルファモイルフェニル-1H-ピロール)、MK-663(エトリコキシブ)、NS-398、パレコキシブ、RS-57067、SC-58125、SD-8381、SVT-2016、S-2474、T-614、VIOXX(R)(ロフェコキシブ)などが挙げられる。
【0195】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、他のEGFR阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。EGFR阻害剤としては、EGFR抗体、ABX-EGF、抗EGFRイムノリポソーム、EGF-ワクチン、EMD-7200、ERBITUX(R)(セツキシマブ)、HR3、IgA抗体、IRESSA(R)(ゲフィチニブ)、TARCEVA(R)(エルロチニブまたはOSI-774)、TP-38、EGFR融合タンパク質、TYKERB(R)(ラパチニブ)などが挙げられる。
【0196】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、HER2阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。ErbB2受容体阻害剤としては、CP-724-714、CI-1033(カルネチニブ)、HERCEPTIN(R)(トラスツズマブ)、TYKERB(R)(ラパチニブ)、OMNITARG(R)(2C4、ペツズマブ)、TAK-165、GW-572016(イオナファルニブ)、GW-282974、EKB-569、PI-166、dHER2(HER2ワクチン)、APC-8024(HER-2ワクチン)、抗HER/2neu二重特異性抗体、B7.her2IgG3、AS HER2三官能性二重特異性抗体、mAB AR-209、mAB 2B-1などが挙げられる。
【0197】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ヒストン脱アセチラーゼ阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ヒストン脱アセチラーゼ阻害剤としては、例えば、デプシペプチド、LAQ-824、MS-275、トラポキシン、スベロイラニリドヒドロキサム酸(SAHA)、TSA、バルプロ酸などが挙げられる。
【0198】
HSP-90阻害剤としては、17-AAG-nab、17-AAG、CNF-101、CNF-1010、CNF-2024、17-DMAG、ゲルダナマイシン、IPI-504、KOS-953、MYCOGRAB(R)(HSP-90に対するヒト組換え抗体)、NCS-683664、PU24FCl、PU-3、ラジシコール、SNX-2112、STA-9090 VER49009などが挙げられる。
【0199】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、アポトーシス阻害剤タンパク質の阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、アポトーシス阻害剤タンパク質の阻害剤としては、例えば、HGS1029、GDC-0145、GDC-0152、LCL-161、LBW-242などが挙げられる。
【0200】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、他のADCを含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、他のADCとしては、例えば、抗CD22-MC-MMAF、抗CD22-MC-MMAE、抗CD22-MCC-DM1、CR-011-vcMMAE、PSMA-ADC、MEDI-547、SGN-19Am SGN-35、SGN-75 ADCなどが挙げられる。
【0201】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、細胞死受容体経路のアクチベーターを含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、細胞死受容体経路のアクチベーターとしては、例えば、TRAIL、TRAILまたは細胞死受容体(例えばDR4およびDR5)を標的化する抗体または他の薬剤、例えばアポマブ、コナツムマブ、ETR2-ST01、GDC0145、(レクサツムマブ)、HGS-1029、LBY-135、PRO-1762およびトラスツズマブが挙げられる。
【0202】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、キネシン阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、キネシン阻害剤としては、例えば、AZD4877、ARRY-520などのEg5阻害剤;GSK923295AなどのCENPE阻害剤などが挙げられる。
【0203】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、JAK-2阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、JAK-2阻害剤としては、例えば、CEP-701(レサウルチニブ)、XL019およびINCB018424などが挙げられる。
【0204】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、MEK阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、MEK阻害剤としては、例えば、ARRY-142886、ARRY-438162 PD-325901、PD-98059などが挙げられる。
【0205】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、mTOR阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、mTOR阻害剤としては、例えば、AP-23573、CCI-779、エベロリムス、RAD-001、ラパマイシン、テムシロリムス、PI-103、PP242、PP30、Torin1を含むATP-競合性TORC1/TORC2阻害剤などが挙げられる。
【0206】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)としては、例えば、AMIGESIC(R)(サルサレート)、DOLOBID(R)(ジフルニサル)、MOTRIN(R)(イブプロフェン)、ORUDIS(R)(ケトプロフェン)、RELAFEN(R)(ナブメトン)、FELDENE(R)(ピロキシカム)、イブプロフェンクリーム、ALEVE(R)(ナプロキセン)およびNAPROSYN(R)(ナプロキセン)、VOLTAREN(R)(ジクロフェナク)、INDOCIN(R)(インドメタシン)、CLINORIL(R)(スリンダク)、TOLECTIN(R)(トルメチン)、LODINE(R)(エトドラク)、TORADOL(R)(ケトロラク)、DAYPRO(R)(オキサプロジン)などが挙げられる。
【0207】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、PDGFR阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、PDGFR阻害剤としては、例えば、C-451、CP-673、CP-868596などが挙げられる。
【0208】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、プラチナ化学療法薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、プラチナ化学療法薬としては、例えば、シスプラチン、ELOXATIN(R)(オキサリプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、PARAPLATIN(R)(カルボプラチン)、サトラプラチン、ピコプラチンなどが挙げられる。
【0209】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ポロ様キナーゼ阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ポロ様キナーゼ阻害剤としては、例えば、BI-2536などが挙げられる。
【0210】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤としては、例えば、ウォルトマンニン、LY294002、XL-147、CAL-120、ONC-21、AEZS-127、ETP-45658、PX-866、GDC-0941、BGT226、BEZ235、XL765などが挙げられる。
【0211】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、トロンボスポンジン類似体を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、トロンボスポンジン類似体としては、例えばABT-510(トロンボスポンジン模倣体)、ABT-567、ABT-898(トロンボスポンジン-1模倣体ペプチド)、TSP-1などが挙げられる。
【0212】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、VEGFR阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、VEGFR阻害剤としては、例えば、AVASTIN(R)(ベバシズマブ)、ABT-869、AEE-788、ANGIOZYME(商標)(血管新生を阻害するリボザイム(Ribozyme Pharmaceuticals(Boulder、CO.)およびChiron(Emeryville、CA))、アキシチニブ(AG-13736)、AZD-2171、CP-547,632、IM-862、MACUGEN(ペガプタミブ)、NEXAVAR(R)(ソラフェニブ、BAY43-9006)、パゾパニブ(GW-786034)、バタラニブ(PTK-787、ZK-222584)、SUTENT(R)(スニチニブ、SU-11248)、VEGF trap、ZACTIMA(商標)(バンデタニブ、ZD-6474)、GA101、オファツムマブ、ABT-806(mAb-806)、ErbB3特異的抗体、BSG2特異的抗体、DLL4特異的抗体およびC-met特異的抗体などが挙げられる。抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、抗生物質を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、抗生物質としては、例えば、インターカレート抗生物質のアクラルビシン、アクチノマイシンD、アムルビシン、アンナマイシン、アドリアマイシン、BLENOXANE(R)(ブレオマイシン)、ダウノルビシン、CAELYX(R)またはMYOCET(R)(リポソーマルドキソルビシン)、エルサミトルシン、エピルブシン、グラルブイシン、ZAVEDOS(R)(イダルビシン)、ミトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルジノスタチン、ぺプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、VALSTAR(R)(バルルビシン)、ジノスタチンなどが挙げられる。
【0213】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、トポイソメラーゼ阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、トポイソメラーゼ阻害剤としては、例えば、アクラルビシン、9-アミノカンプトテシン、アモナフィド、アムサクリン、ベカテカリン、ベロテカン、BN-80915、CAMPTOSAR(R)(イリノテカンヒドロクロリド)、カンプトテシン、CARDIOXANE(R)(デクスラゾキシン)、ジフロモテカン、エドテカリン、ELLENCE(R)またはPHARMORUBICIN(R)(エピルビシン)、エトポシド、エキサテカン、10-ヒドロキシカンプトテシン、ギマテカン、ルルトテカン、ミトキサントロン、オラテシン、ピラルブシン、ピクロサントロン、ルビテカン、ソブゾキサン、SN-38、タフルポシド、トポテカンなどが挙げられる。
【0214】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、治療用抗体を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、治療用抗体としては、例えば、AVASTIN(R)(ベバシズマブ)、CD40特異的抗体、chTNT-1/B、デノスマブ、ERBITUX(R)(セツキシマブ)、HUMAX-CD4(R)(ザノリムマブ)、IGF1R特異的抗体、リンツズマブ、PANOREX(R)(エドレコロマブ)、RENCAREX(R)(WX G250)、RITUXAN(R)(リツキシマブ)、チシリムマブ、トラスツジマブ、CD20抗体I型およびII型などが挙げられる。
【0215】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ホルモン療法薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ホルモン療法薬としては、例えば、ARIMIDEX(R)(アナストロゾール)、AROMASIN(R)(エキセメスタン)、アルゾキシフェン、CASODEX(R)(ビカルタミド)、CETROTIDE(R)(セトロレリクス)、デガレリクス、デスロレリン、DESOPAN(R)(トリロスタン)、デキサメタゾン、DROGENIL(R)(フルタミド)、EVISTA(R)(ラロキシフェン)、AFEMA(商標)(ファドロゾール)、FARESTON(R)(トレミフェン)、FASLODEX(R)(フルベストラント)、FEMARA(R)(レトロゾール)、ホルメスタン、グルココルチコイド、HECTOROL(R)(ドキセルカルシフェロール)、RENAGEL(R)(セベラマーカルボネート)、ラソフォキシフェン、ロイプロリドアセテート、MEGACE(R)(メゲステロール)、MIFEPREX(R)(ミフェプリストン)、NILANDRON(商標)(ニルタミド)、NOLVADEX(R)(タモキシフェンシトレート)、PLENAXIS(商標)(アバレリクス)、プレドニゾン、PROPECIA(R)(フィナステリド)、リロスタン、SUPREFACT(R)(ブセレリン)、TRELSTAR(R)(黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH))、VANTAS(R)(ヒストレリンインプラント)、VETORYL(R)(トリロスタンまたはモドラスタン)、ZOLADEX(R)(ホスレリン、ゴセレリン)などが挙げられる。
【0216】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、デルトイドおよびレチノイドを含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、デルトイドおよびレチノイドとしては、例えば、セオカルシトール(EB1089、CB1093)、レクサカルシトール(KH1060)、フェンレチニド、PANRETIN(R)(アリレチノイン)、ATRAGEN(R)(リポソーマルトレチノイン)、TARGRETIN(R)(ベキサロテン)、LGD-1550などが挙げられる。
【0217】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、PARP阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、PARP阻害剤としては、例えば、ベリパリブ、オラパリブ、KU-59436、AZD-2281、AG-014699、BSI-201、BGP-15、INO-1001、ONO-2231などが挙げられる。
【0218】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、植物アルカロイドを含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、植物アルカロイドとしては、例えば、限定するものではないが、、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビンなどが挙げられる。
【0219】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、プロテアソーム阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、プロテアソーム阻害剤としては、例えば、VELCADE(R)(ボルテゾミブ)、MG132、NPI-0052、PR-171などが挙げられる。
【0220】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、免疫薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができる。免疫薬の例としては、インターフェロンおよび他の免疫強化剤が挙げられる。インターフェロンとしては、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ-1a、ACTIMMUNE(R)(インターフェロンガンマ-1b)またはインターフェロンガンマ-n1、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の薬剤としては、ALFAFERONE(R)、(IFN-α)、BAM-002(酸化型グルタチオン)、BEROMUN(R)(タソネルミン)、BEXXAR(R)(トシツモマブ)、CAMPATH(R)(アレムツズマブ)、CTLA4(細胞障害性リンパ球抗原4)、デカルバジン、デニロイキン、エプラツズマブ、GRANOCYTE(R)(レノグラスチム)、レンチナン、白血球アルファインターフェロン、イミキモド、MDX-010(抗CTLA-4)、メラノーマワクチン、ミツモマブ、モルグラモスチム、MYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、NEUPOGEN(R)(フィルグラスチム)、OncoVAC-CL、OVAREX(R)(オレゴボマブ)、ぺムツモマブ(Y-muHMFG1)、PROVENGE(R)(シプロイセル-T)、サルガラモスチム、シゾフィラン、テセロイキン、THERACYS(R)(バチルス・カルメット-ゲリン(Bacillus Calmette-Guerin))、ウベニメクス、VIRULIZIN(R)(免疫療法薬、Lorus Pharmaceuticals)、Z-100(丸山ワクチン(SSM))、WF-10(テトラクロロデカオキシド(TCDO))、PROLEUKIN(R)(アルデスロイキン)、ZADAXIN(R)(チマルファシン)、ZENAPAX(R)(ダクリズマブ)、ZEVALIN(R)(90Y-イブリツモマブチウキセタン)などが挙げられる。
【0221】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、生体応答調節剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、生体応答調節剤としては、生命体の防御機序または組織細胞の生存、成長もしくは分化などの生体応答を調整して、抗腫瘍活性を有するよう仕向ける薬剤であり、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニールPF-3512676(CpG-8954)、ウベニメクスなどが挙げられる。
【0222】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ピリミジン類似体を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ピリミジン類似体としては、例えば、シタラビン(araCまたはアラビノシドC)、シトシンアラビノシド、ドキシフルリジン、FLUDARA(R)(フルダラビン)、5-FU(5-フルオロウラシル)、フロクスウリジン、GEMZAR(R)(ゲムシタビン)、TOMUDEX(R)(ラチトレキセド)、TROXATYL(商標)(トリアセチルウリジントロキサシタビン)などが挙げられる。
【0223】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、プリン類似体を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、プリン類似体としては、例えば、LANVIS(R)(チオグアニン)およびPURI-NETHOL(R)(メルカプトプリン)が挙げられる。
【0224】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、抗有糸分裂薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、抗有糸分裂薬としては、例えば、バタブリン、エポチロンD(KOS-862)、N-(2-((4-ヒドロキシフェニル)アミノ)ピリジン-3-イル)-4-メトキシベンゼンスルホンアミド、イキサベピロン(BMS247550)、パクリタキセル、TAXOTERE(R)(ドセタキセル)、PNU100940(109881)、パツピロン、XRP-9881(ラロタキセル)、ビンフルニン、ZK-EPO(合成エポチロン)などが挙げられる。
【0225】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、ユビキチンリガーゼ阻害剤を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、ユビキチンリガーゼ阻害剤としては、例えば、MDM2阻害剤、例えばヌトリン、NEDD8阻害剤、例えばMLN4924などが挙げられる。
【0226】
本発明の化合物は、放射線療法の有効性を強化する放射線増感剤としても使用することができる。放射線療法の例としては、外部ビーム放射線療法、遠隔放射線療法、小線源療法および密封、非密封線源放射線療法などが挙げられる。
【0227】
抗EGFR ADC(または抗EGFR ADCを含む製剤)は、化学療法薬を含む、治療有効量の1以上の癌治療薬と同時投与することができ、化学療法薬としては、例えば、ABRAXANE(商標)(ABI-007)、ABT-100(ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤)、ADVEXIN(R)(Ad5CMV-p53ワクチン)、ALTOCOR(R)もしくはMEVACOR(R)(ロバスタチン)、AMPLIGEN(R)(ポリI:ポリC12U、合成RNA)、APTOSYN(R)(エクシスリンド)、AREDIA(R)(パミドロン酸)、アルグラビン、L-アスパラギナーゼ、アタメスタン(1-メチル-3,17-ジオン-アンドロスタ-1,4-ジエン)、AVAGE(R)(タザロテン)、AVE-8062(コンブレスタチン誘導体)BEC2(ミツモマブ)、カケクチンもしくはカケキシン(腫瘍壊死因子)、カンバキシン(ワクチン)、CEAVAC(R)(癌ワクチン)、CELEUK(R)(セルモロイキン)、CEPLENE(R)(ヒスタミンジヒドロクロリド)、CERVARIX(R)(ヒトパピローマウイルスワクチン)、CHOP(R)(C:CYTOXAN(R)(シクロホスファミド);H:ADRIAMYCIN(R)(ヒドロキシドキソルビシン);O:ビンクリスチン(ONCOVIN(R));P:プレソニゾン)、CYPAT(商標)(シプロテロンアセテート)、コンブレスタチンA4P、DAB(389)EGF(His-Alaリンカーを介してヒト上皮成長因子に融合しているジフテリア毒素の触媒ドメインおよび転移ドメイン)もしくはTransMID-107R(商標)(ジフテリア毒素)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、5,6-ジメチルキサンテノン-4-酢酸(DMXAA)、エニルウラシル、EVIZON(商標)(スクアラミンラクテート)、DIMERICINE(R)(T4N5リポソームローション)、ディスコデルモライド、DX-8951f(エキサテカンメシレート)、エンザスタウリン、EPO906(エピチロンB)、GARDASIL(R)(四価ヒトパピローマウイルス(6型、11型、16型、18型)組換えワクチン)、GASTRIMMUNE(R)、GENASENSE(R)、GMK(ガングリオシド結合型ワクチン)、GVAX(R)(前立腺癌ワクチン)、ハロフギノン、ヒステレリン、ヒドロキシカルバミド、イバンドロン酸、IGN-101、IL-13-PE38、IL-13-PE38QQR(シントレデキンベスドトクス)、IL-13-シードモナス外毒素、インターフェロン-α、インターフェロン-γ、JUNOVAN(商標)もしくはMEPACT(商標)(ミファムルチド)、ロナファルニブ、5,10-メチレンテトラヒドロフォレート、ミルテホシン(ヘキサデシルホスホコリン)、NEOVASTAT(R)(AE-941)、NEUTREXIN(R)(トリメトレキサートグルクロネート)、NIPENT(R)(ペントスタチン)、ONCONASE(R)(リボヌクレアーゼ酵素)、ONCOPHAGE(R)(メラノーマワクチン処置)、ONCOVAX(R)(IL-2ワクチン)、ORATHECIN(商標)(ルビテカン)、OSIDEM(R)(抗体系細胞薬)、OVAREX(R)MAb(ネズミモノクローナル抗体)、パクリタキセル、PANDIMEX(商標)(20(S)プロトパナキサジオール(aPPD)および20(S)プロトパナキサトリオール(aPPT)を含むチョウセンニンジンのアグリコンのサポニン)、パニツムマブ、PANVAC(R)-VF(治験中の癌ワクチン)、ペグアスパラガーゼ、PEGインターフェロンA、フェノキソジオール、プロカルバジン、レビマスタット、REMOVAB(R)(カツマキソマブ)、REVLIMID(R)(レナリドミド)、RSR13(エファプロキシラル)、SOMATULINE(R)LA(ランレオチド)、SORIATANE(R)(アシトレチン)、ステウロスポリン(ストレプトマイセス・スタウロスポレス(Streptomyces staurospores))、タラボスタット(PT100)、TARGRETIN(R)(ベキサロテン)、TAXOPREXIN(R)(DHA-パクリタキセル)、TELCYTA(R)(カンホスファミド、TLK286)、テミリフェン、TEMODAR(R)(テモゾロミド)、テスミリフェン、サリドマイド、THERATOPE(R)(STn-KLH)、チミタク(2-アミノ-3,4-ジヒドロ-6-メチル-4-オキソ-5-(4-ピリジルチオ)キナゾリンジヒドロクロリド)、TNFERADE(商標)(アデノベクター:腫瘍壊死因子-αに関する遺伝子を含有するDNA担体)、TRACLEER(R)もしくはZAVESCA(R)(ボセンタン)、トレチノイン(レチン-A)、テトランドリン、TRISENOX(R)(三酸化ヒ素)、VIRULIZIN(R)、ウクライン(クサノオウ植物由来のアルカロイドの誘導体)、ビタキシン(抗-アルファvベータ3抗体)、XCYTRIN(R)(モテキサフィンガドリニウム)、XINLAY(商標)(アトラセンタン)、XYOTAX(商標)(パクリタキセルポリグルメックス)、YONDELIS(R)(トラベクテジン)、ZD-6126、ZINECARD(R)(デクスラゾキサン)、ZOMETA(R)(ゾレドロン酸)、ゾルビシンなどが挙げられる。
【0228】
一実施形態において、抗EGFR-ADCを含む製剤は、放射線および/またはTEMODAR(R)(テモゾロミド)と組み合わせて、神経膠芽腫を有する対象に静脈内投与される。
【0229】
さらに、一実施形態において、製剤は、(a)凍結乾燥形態の抗EGFR ADCを含有する容器および(b)注射用の医薬として許容される希釈剤(例えば、滅菌水)を含有する第2の容器を含む医薬キットとして提供することができる。医薬として許容される希釈剤は、凍結乾燥ADCの再構成または希釈に使用することができる。場合により、このような容器は、医薬品もしくは生物学的製品の製造、使用もしくは販売を管理している政府機関により規定された形態の注意書きを伴うことができ、この注意書きは、ヒトへの投与に関する製造、使用もしくは販売の機関による承認を反映する。
【0230】
本発明は、下記の実施例においてさらに記載されるが、この実施例は、本発明の範囲を限定する意図のものではない。
【実施例0231】
[実施例1]
抗体薬物複合体(ADC)の安定性試験
下記の実施例は、非複合体化抗体と比較した、特定の(液体形態の)ADCの安定性をアッセイするために使用される試験を記載する。MMAF(
図2を参照されたい。)(下記において「ADC1-MMAF」と称され、これはヒト化抗EGFR抗体1-MMAF複合体である。)またはMMAE(
図1を参照されたい。)(下記において「ADC1-MMAE」と称され、これはヒト化抗EGFR抗体1-MMAE複合体である。)のいずれかに複合体化された抗体を試験して、ヒト化抗EGFR抗体1単独と比較した。特性の中の、動的走査蛍光およびDSCを使用したアンフォールディング発生温度、それぞれ、FTIRおよび近UV-CDによる二次および三次構造分析、低濃度および高濃度における安定性の促進、血清安定性、低濃度および高濃度における凍結/解凍安定性ならびに溶解度を検査した。本実施例に記載の製剤は、液体製剤であった。
【0232】
動的走査蛍光(DSF)および示差走査熱量計(DSC)を使用したアンフォールディングの発生の分析
2つの異なる技術、動的走査蛍光(DSF)および示差走査熱量計(DSC)を使用して、熱変性の間の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEのアンフォールディングの発生および立体配座安定性を決定した。
図3Aに示すように、蛍光強度の変化は、タンパク質のアンフォールディングレベルおよび温度に関係した。熱安定性測定から得られた結果を、DSC(
図3B)を使用して得られたデータと比較した。55℃を超える温度におけるタンパク質のアンフォールディングを、安定性の基準として使用した。
図3AおよびBに示すように、アンフォールディングの発生は、ADC1-MMAF(55℃)と比較してADC1-MMAEではより低温(46℃)において発生し、抗体1において最も高く(61℃)、抗体1が3種の分子の中で最も安定であることを示した。従って、ADCは、熱動的安定性の低下を示し、このことは、ADC1-MMAFおよびADC-1MMAE対抗体1単独に関する低アンフォールディング温度に反映されていた。
【0233】
抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの二次および三次構造分析
抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの安定性を、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)および近UV-円偏光二色性(CD)の両方を使用して決定した。260およびおよそ180nmの間のCDスペクトルが、異なる二次構造型:アルファヘリックス、平行ベータシートおよび逆平行ベータシート、ターンなどに関して分析可能であることが示されている。pH5/6/7のシトレート/ホスフェートバッファー単独中の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの二次構造の変化を、FTIR(
図4A)およびCD(
図4B)によりモニターした。
図4Aおよび4Bに示すように、ADC1-MMAEおよびADC1-MMAFの物理的特徴は、抗体1と比較して、構造化されていない構成要素においてわずかに改変された。さらに、
図4AのFTIRデータにより証明されたように、抗体1単独と比較して、ADC1-MMAEおよびADC1-MMAFにおいてわずかに改変された構造化されていない構成要素が存在した。しかし、全体として、3種の分子はそれぞれ、1638cm
-1において>40%のβシートのバンドの存在を示した。CDの結果は、ADC1-MMAFおよび抗体1と比較して、ADC1-MMAEに関して異なるプロファイルを示した(
図4B)。しかし、全体として、これらの分子はそれぞれ、280nmにおいて負の楕円率を有するS字型プロファイルを有した。
【0234】
抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの安定性促進研究
安定性促進研究は、通常長期にわたって発生する条件への短期曝露の効果に対する情報を提供する助けになり得る。抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEを、10mMシトレート/ホスフェートバッファー、pH6中低濃度(1mg/ml)および15mMヒスチジン、pH5.75中高濃度(60mg/ml)の両方で製剤化した。安定性は、最も安定なpHにおいて40℃で7日後、モノマーの喪失が5%未満として定義した。
【0235】
これらの研究の結果を、
図5および
図6に示す。
図5は、初期時点(T0)および40℃において7日間保存後の凝集(SEC分析により決定された凝集体の%として)を示す。
図5は、1mg/mlの濃度において、ADC1-MMAFおよび抗体1と比較して、低濃度においてADC1-MMAEの凝集増加傾向が存在することを示している。
図6は、初期時点(T0)および40℃において7日間保存後の凝集(凝集体の%として)を示す。
図6は、60mg/mlの濃度において、ADC1-MMAFおよび抗体1と比較して、高濃度においてADC1-MMAEの有意な凝集増加傾向が存在することを示している。さらに、凝集に対して、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン(
図6では、標識された「HPBCD」)などの公知の安定化剤の影響は存在しなかった。
【0236】
抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの血漿安定性
不安定な化合物は急速なクリアランスおよび短い半減期を有し、不十分なin vivo性能をもたらすので、血漿安定性は、薬物の発見および開発において重要な役割を果たす。抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEのin vitroの血清安定性を、血清安定性アッセイで評価した。簡潔に言うと、抗体をAexa Flur(R)(Life Technologies)で標識した。標識された抗体1およびADC-1-MMAFおよびADC-1-MMAEを、その後、ろ過された血清中でインキュベートした。試料を、0、1、3、5、7日目に回収し、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により分析した。高分子量(HMW)凝集体のパーセントの勾配を、0-7日目の間で計算した。安定性を、1日当たり1%未満のHMW種として定義した。従って、勾配が低いほど、凝集の存在が少ない。より詳細には、
図7のグラフは、ADC1-MMAFの勾配(0.5%)は、抗体1(1.10%)およびADC1-MMAE(2.30)より低く、従って、凝集が少なく、血漿安定性が優れていることを示している。
図7はまた、さまざまな他の分子、例えば、抗体およびDVD-Igに関するHMW凝集体のパーセントの勾配もまた、比較目的で記載している。
【0237】
高濃度および低濃度の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1--MMAEの凍結/解凍安定性
抗体の凝集は、開発、製造および保存の間の典型的なストレス因子である、凍結/解凍および昇温により誘導される。抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEを、0、1または2回の凍結-解凍サイクルに供し、分光技術(SEC)により特徴付けた。高濃度の抗体1(210mg/ml)、ADC1-MMAF(135mg/ml)およびADC1-MMAE(145mg/ml)を、15mMヒスチジンバッファー、pH5.75中で製剤化した。モノマー%(SECにより決定)を示す結果を
図8Aに記載するが、
図8Aは3種の分子の中で凝集(2F/Tサイクル後にHMW種の増加が<2%ととして定義された。)の変化がなかったことを示唆している。
図8Bに示された実験において、同じ濃度の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEを、10mMシトレートおよび10mMホスフェートバッファー、pH7.0中1mg/mlの濃度において製剤化した。
図8Aおよび8Bに示すように、抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの中で、高濃度または低濃度のいずれかにおいても、1または2回のサイクルの凍結/解凍後、凍結/解凍安定性に有意な変化はなかった。
【0238】
粒子形成を、シトレート/ホスフェートバッファー、pH6、単独中1mg/mlの濃度で、凍結/解凍(0、1または2回の凍結/解凍サイクル)の間、3種の分子に関して試験した。不可視粒子(それぞれ、≧10μmおよび≧25μm)は、薬局方限界以下であることが決定された(それぞれ、≧10μmおよび600/Ml以下(≧25μm)(
図9A)。マイクロフローイメージング(MFI)を使用して、不可視粒子(10ミクロン未満)を検出および定量した(
図9B)。
図9Aおよび9Bは、抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEに関する不可視粒子の全体の増加を継時的に記載している。
【0239】
抗体1対MMAFまたはMMAEを含むADC1の溶解度
10mMシトレートおよび10mMホスフェートバッファー系、pH6を含有する製剤中の抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEの溶解度を、5℃において検査した。溶解度は、少なくとも50mg/mlの濃度で製剤化された場合、沈殿を有さない溶液として定義された。抗体1、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEそれぞれの溶解度は、下記:抗体1>210mg/mL;ADC1-MMAF:>135mg/mL(ソース1);ADC1-MMAF:>92mg/mLA(ソース2);ADC1-MMAE:>145mg/mL(ソース1);およびADC1-MMAE:>116mg/mL(ソース2)であることが決定された。溶解度は上記の濃度を超えてもよいが、限定された材料はさらなる濃度が防止されることに留意されたい。
【0240】
結論
全体として、ADC1-MMAFおよびADC1-MMAEは、例えば、本明細書に記載の促進研究およびアンフォールディングアッセイに記載のように非複合体化抗体1より安定性が低いことが示された。
【0241】
[実施例2]
ADC1-MMAFの安定凍結乾燥製剤
ADC1-MMAFは、MMAFに共有結合された抗体1を含む抗EGFR抗体薬物複合体である。ADC1-MMAFを、再構成による注射用凍結乾燥粉末として製剤化し、ガラスバイアルに充填した。凍結乾燥粉末を、5mLの注射用滅菌水(SWFI)で再構成し、20mg/mLのADC1-MMAF注射用溶液を提供した。薬物製品製剤は、単回使用のためであり、防腐剤は含有しなかった。ADC1-MMAF/バイアル(凍結乾燥粉末)および/mL(再構成溶液)の組成を、下記の表1に記載する。再構成薬物製品は、注入による用量投与のために0.9%の食塩水(Sodium Chloride Injection、USP)で希釈した。
【0242】
【0243】
表1に記載の製剤は、抗EGFR ADCに関する凍結乾燥製剤の代表であり、複合体はオーリスタチン誘導体、例えばMMAFである。該製剤は、バッファー、糖、界面活性剤および抗EGFR抗体薬物複合体を含む。
【0244】
実施例3-5は、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1-MMAF製剤を試験する安定性研究を記載する。実施例6-8は、精製された実施例2に記載の凍結乾燥ADC1-MMAF製剤を試験する安定性研究を記載する。安定性研究のために、ADC1-MMAF(またはADC1-MMAFp)は、灰色のゴムのストッパーおよび灰色のプラスチックキャップにより密閉された20mlの無色のガラスバイアルにおいて、凍結乾燥物として保存された。ADC1-MMAF(またはADC1-MMAFp)は、安定性試験のために、下記の3つの別個の条件下:5℃;25℃(相対湿度60%);40℃(相対湿度75%)で保存された。
【0245】
[実施例3]
5℃における凍結乾燥製剤中のADC1-MMAFの安定性
下記の実験を、初期時点において、および凍結乾燥物を5℃において18か月までの間保存した後に再構成後、SWFIで再構成した後に実施した。
【0246】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、5℃における長期保存により影響を受けなかった。
【0247】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。5℃において12ヶ月までの間保存した後の再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0248】
溶液の色は、5℃における長期保存により影響受けなかった
再構成溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BYスケール)を使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0249】
溶液の透明度および乳白色は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を、光散乱原理を使用して標準的比濁計により測定し、それぞれPh.EurまたはUSPの方法に従った。(この方法は、実施例4から8に関しても実施した。)。初期時点および5℃において12ヶ月まで保存した後の再構成後において、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方(European Pharmacopeia)、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0250】
溶液のタンパク質含有量は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のタンパク質含有量を決定した。ADCのタンパク質濃度を、280nmの波長およびADC1-MMAF透過係数(1.43)を使用して、分光測定的に決定した(これは、実施例4から8に関しても実施した。)。初期時点において、再構成溶液のタンパク質含有量は18.8mg/mlであった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のタンパク質含有量は20.2mg/mlであった。
【0251】
溶液の生物活性は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は109%であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は97%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は108%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は99%であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は112%であった。
【0252】
分子および/または分子複合体のサイズは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のサイズ排除クロマトグラフィーを、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)を使用して実施した。SE-HPLCは、サイズ排除HPLCを使用してADC1-MMAFの純度を決定した。巨大分子は、分子サイズの低下に従ってゲルろ過HPLCの間に均一濃度で分離される。純度を、ADC1-MMAF主要ピークの面積と、バッファー関連ピークを除く試料クロマトグラムの合計面積とを比較することによって決定した。この方法は、高分子量凝集体および切断型抗体種をADC1-MMAF主要ピークから分離できる。この方法を、実施例4から8においても使用した。
【0253】
主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0254】
5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0255】
5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0256】
5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.0%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.3%であった。
【0257】
5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.8%であり、低分子量種は0.4%であった。
【0258】
5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.3%であった。
【0259】
従って、初期、1、3、6、9、12および18か月の時点の測定の中で、全ての時点において、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかな変化から変化なしを示した。
【0260】
溶液のクロマトグラフピークは、5℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)を使用して再構成溶液に対して実施した。陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、正に荷電した分子は、負に荷電した固体支持体に引き付けられる。陽イオン交換(CEX-HPLC)クロマトグラフィーアッセイは、参照基準(既に特徴付けられたADC1-MMAF)との比較を介した、試験試料中のADC1-MMAFの安定性をモニターするために使用される、荷電に基づく分離方法である。この方法は、主要ピークを酸性種および塩基性種から分離することができる。
【0261】
初期時点において、および5℃において18か月まで保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、対照のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けられ、対照は既に特徴付けられたADC1-MMAFであった。従って、クロマトグラフピークは、5℃における18か月の過程にわたって相対的に変化しないままであった。
【0262】
溶液の純度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点および5℃において18か月まで保存した後の再構成後において、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度を決定した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.1%であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.7%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.2%であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.3%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、18か月までの再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0263】
溶液の薬物抗体比は、5℃における長期保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、薬物抗体比(DAR)を18か月の期間にわたって決定するために、再構成溶液に対して実施した。HICは、相対疎水性に基づきタンパク質を分離するために使用される。HIC法は、ADC1-MMAFの疎水性の測定法である。結合された成分は、 移動相の塩濃度を低下させる勾配を使用することによって、疎水性の増加の順にリガンドから溶出される。ADC1-MMAFに関して、カラムから溶出された最初のピークは非複合体化抗体であった。残存ピークは、薬物-リンカー分子/抗体の数の増加を表した。従って、薬物-リンカー分子/抗体の数を、ピーク保持時間および相対ピーク面積により決定した。この方法を、実施例4から8においても使用した。初期時点において、および5℃において18ヶ月まで保存した後の再構成後、薬物抗体比(DAR)は、全ての再構成溶液に関して4.1-4.2であった。
【0264】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、5℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液をさらに分析し、DARを決定するための(および実施例4から8においても使用した)上記のHIC法を使用して、ADC1-MMAFに関する非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは4.1以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.0以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントは同様であった。
【0265】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、5℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施して、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。RP-HPLCは、これらの極性に大きく基づく疎水性マトリックスとのこれらの相互作用に基づく、分子の分離である。この方法は、溶液中のクエンチされた薬物-リンカーおよび合計不純物の量を決定する。ADC1-MMAFを、メタノールによる沈殿、その後の遠心分離により試料から除去した、クエンチされた薬物-リンカーおよび合計不純物に関する上清の分析を、RP-HPLCによりC-18カラムおよび214nmにおけるUV検出を使用して実施した。この方法は、実施例4から8においても使用した。
【0266】
初期時点において、パーセントは0.007以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.007以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントはクエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0267】
溶液中の合計不純物は、5℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液をさらに分析して、合計不純物のパーセントを、RP-HPLCを使用し、クエンチされたリンカーのパーセントに関する(実施例4から8においても使用した。)上記の方法を使用して決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において9ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.007以下であった。5℃において18ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点における合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0268】
溶液の微粒子汚染は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は22であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は25であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は73であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は20であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0269】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、NMTが600であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は10であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は3であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0270】
溶液の含水量は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.7%であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.7%であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに5℃において1、3、6および12ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0271】
溶液のpHは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに5℃において1、3、6および12ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において6ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において12ヶ月間保存した後の再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0272】
溶液のモル浸透圧濃度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のモル浸透圧濃度を、初期時点および5℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、溶質のミリオスモルの平均値/キログラム溶媒(mOsmol/kg)を測定することによって決定した。初期時点において、モル浸透圧濃度は235mOsmol/kgであった。1ヶ月において、モル浸透圧濃度は251mOsmol/kgであった。
【0273】
[実施例4]
25℃における凍結乾燥製剤中のADC1-MMAFの安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに凍結乾燥物を25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、SWFIで再構成した後に実施した。
【0274】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、25℃における長期保存により影響を受けなかった。
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。従って、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液が無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の微粒子状物質は実際に含まれなかった。
【0275】
溶液の色は、25℃における長期保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BY)スケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0276】
溶液の透明度および乳白色は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0277】
溶液の生物活性は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は109%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は113%であった。25℃/相対湿度60%において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は103%であった。25℃/相対湿度60%において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は109%であった。
【0278】
分子および/または分子複合体のサイズは、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低子量種は0.2%であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、初期、1、3および6ヶ月の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0279】
溶液のクロマトグラフピークは、25℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに25℃/相対湿度60%において1ヶ月間、3ヶ月間および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0280】
溶液の純度は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった。
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセンは97.4%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.1%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0281】
溶液の薬物抗体比は、25℃における長期保存後変化しなかった。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、全ての再構成溶液に関してDARが4.2であることを測定した。
【0282】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセント4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。
【0283】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、25℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは、クエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0284】
溶液中の合計不純物は、25℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点において、合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0285】
溶液の微粒子汚染は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は18であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は25であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は50であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0286】
溶液の含水量は、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。25℃(相対湿度60%)において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは検出不能であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.9%であった。従って、初期時点および1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0287】
溶液のpHは、25℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において3および6ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。25℃(相対湿度60%)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃(相対湿度60%)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0288】
[実施例5]
40℃におけるADC1-MMAF凍結乾燥製剤の安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに40℃/(75%相対湿度)において凍結乾燥物を1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1-MMAF製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0289】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、40℃における長期保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0290】
溶液の色は、40℃における長期保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)を、BYスケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0291】
溶液の透明度および乳白色は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0292】
溶液の生物活性は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった。
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、生物活性は109%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は117%であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は113%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は110%であった。従って、全ての時点における生物活性のパーセントは、100%を超える生物活性を有した。
【0293】
分子および/または分子複合体のサイズは、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは98.9%であった。高分子量種は0.9%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.7%であった。高分子量種は1.1%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは98.8%であった。高分子量種は1.0%であり、低分子量種は0.2%であった。初期、1、3および6ヶ月の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0294】
溶液のクロマトグラフピークは、40℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間、3ヶ月間および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0295】
溶液の純度は、長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度パーセントを決定するために使用した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは96.9%であった。6ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.2%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0296】
溶液の薬物抗体比は、40℃における長期保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、全ての再構成溶液に関してDARが4.2であることを測定した。
【0297】
溶液中の非複合体化抗体のパーセントは、40℃における長期保存後変化しなかった
初期時点において、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において、1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは4.1以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは3.9以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは同様であった。
【0298】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、40℃における長期保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施して、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点においてパーセントは、クエンチされた薬物リンカーのパーセントに関して同様であった。
【0299】
溶液中の合計不純物は、40℃における長期保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを、RP-HPLCを使用して決定した。初期時点において、パーセントは0.007以下であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.006以下であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.005以下であった。従って、全ての時点において、合計不純物に関するパーセントは同様であった。
【0300】
溶液の微粒子汚染は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、不可視粒子を決定することによって評価した。許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は33であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は5であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は12であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は32であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0301】
溶液の含水量は、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは2.0%であった。40℃(75%相対湿度)において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは検出不能であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.9%であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の含水量は1.0%であった。従って、初期時点および1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0302】
溶液のpHは、40℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに40℃(75%相対湿度)において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は6.0であった。40℃(75%相対湿度)において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃(75%相対湿度)において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0303】
ADC1-MMAFの精製を、本明細書に記載され、米国特許仮出願第61/792834号明細書および2014年3月14日出願の米国特許出願第14/210,602号明細書に開示のバッチ精製方法に従って実施し、当該特許出願は、参照によりこの内容が本明細書に組み込まれる。実施例6から8に記載のADC1-MMAFpを含むADC混合物に関する平均DARは約3.0であった。
【0304】
実施例6から8に記載の安定性実験を、初期時点においてSWFIで再構成後およびADC1-MMAFpを含む凍結乾燥物を、5℃において3ヶ月間保存した後、ならびに25℃(相対湿度60%)および40℃/(75%相対湿度)において1および3ヶ月間保存した後の再構成後に実施した。
【0305】
[実施例6]
5℃における凍結乾燥製剤中の精製されたADC1-MMAF(ADC1-MMAFp)の安定性
下記の試験を、初期時点において、および5℃において凍結乾燥物を3ヶ月までの間保存した後の製剤の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1-MMAFp製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0306】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、5℃における長期保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。
【0307】
溶液の色は、5℃における長期保存により影響を受けなかった
再構成溶液の色(視覚的)をブルー/イエロースケール(BYスケール)を使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、および5℃において3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、ADC1-MMAFp製剤の保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0308】
溶液の透明度および乳白色は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0309】
溶液の生物活性は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、相対生物活性は102%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は98%であった。
【0310】
分子および/または分子複合体のサイズは、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のサイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.6%であった。初期および凍結乾燥形態で3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において、高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。
【0311】
従って、初期および3ヶ月の時点の測定の中で、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、全ての時点においてわずかな変化から変化なしを示した。
【0312】
溶液のクロマトグラフピークは、5℃における長期保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)を使用して、再構成溶液に対して実施した。陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、正に荷電した分子は、負に荷電した固体支持体に引き付けられる。初期時点において、および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、対照のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付け、対照は既に特徴付けられたADC1-MMAFであった。従って、クロマトグラフピークは、5℃における3ヶ月の過程にわたって相対的に変化しないままであった。
【0313】
溶液の純度は、5℃における長期保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施して、溶液の純度を決定した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と3ヶ月間保存との間に有意に変化しなかった。
【0314】
ADC1-MMAFの薬物抗体比(DAR)は、5℃における保存後に変化しないままであった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、3ヶ月の保存期間にわたった薬物抗体比(DAR)を決定するために、再構成溶液に対して実施した。HICは、相対疎水性に基づきタンパク質を分離するために使用される。初期時点において、および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、ADC1-MMAFに関する平均薬物抗体比(DAR)は、それぞれ3.0および2.9であることが測定された。
【0315】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、5℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、ADC1-MMAFに関する非複合体化抗体のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは7.6以下であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。従って、非複合体化抗体1のパーセントは、3ヶ月の期間にわたって同じままであった。
【0316】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、5℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされた薬物リンカーのパーセントを決定した。クエンチされた薬物リンカーのパーセントは、初期および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において検出されなかった(実用検出限界は0.001%であった。)。
【0317】
溶液中の合計不純物は、5℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を、RP-HPLCを使用して分析し、合計不純物のパーセントを決定した。合計不純物のパーセントは、初期および凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後の両方において検出不能であった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。
【0318】
溶液の微粒子汚染は、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2種の異なる許容基準を使用して不可視粒子を決定することによって評価した。
【0319】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は20であった。従って、両方の時点で10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準が満たされた。
【0320】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、NMTが600であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。従って、両方の時点で25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準が満たされた。
【0321】
溶液の含水量は、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。凍結乾燥形態で5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0322】
溶液のpHは、5℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、および5℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。5℃において3ヶ月保存した後、再構成溶液のpH値は5.9であった。従って、ADC1-MMAFp組成物の、5℃における3ヶ月間の保存は、pHに影響を及ぼさなかった。
【0323】
[実施例7]
25℃における凍結乾燥製剤中のADC1-MMAFpの安定性
下記の実験を、初期時点において、ならびに25℃(相対湿度60%)において凍結乾燥物を1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥ADC1-MMAFp製剤(実施例2を参照されたい。)をSWFIで再構成した後に実施した。
【0324】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、25℃における保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。従って、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まないものであった。
【0325】
溶液の色は、25℃における保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をブルー/イエロー(BY)スケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0326】
溶液の透明度および乳白色は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eurによる)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0327】
溶液の生物活性は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。
初期時点において、相対生物活性は102%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は101%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は97%であった。
【0328】
分子および/または分子複合体のサイズは、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(Chromatograph)を、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)により実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.6%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、初期、1および3ヶ月の測定の中で、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0329】
溶液のクロマトグラフピークは、25℃における保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに25℃において1ヶ月間および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフピークパターンにより特徴付けた。
【0330】
溶液の純度は、25℃の保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0331】
溶液中のADC1-MMAFpの薬物抗体比(DAR)は、25℃における保存後変化しないままであった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、DARは3.0であることが測定された。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、DARは3.0であることが測定された。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、DARは2.9であることが測定された。従って、ADC1-MMAFpのDARは、初期時点と、25℃おいて1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間に有意に変化しなかった。
【0332】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、25℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、非複合体化抗体1のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは7.6以下であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは7.6以下であった。
【0333】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、25℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点、1ヶ月時点および3ヶ月時点において、クエンチされたリンカー(quenched linked)のパーセントは検出不能であった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。
【0334】
溶液中の合計不純物は、25℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を分析して、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、不純物のパーセントは0.003未満であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった(実用検出限界は0.001%であった;実用定量限界は0.003%であった。)。従って、合計不純物に関するパーセントは全ての時点において同様であった。
【0335】
溶液の微粒子汚染は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2つの許容基準に従って、不可視粒子を決定することによって評価した。
【0336】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は12であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は17であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は7であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0337】
溶液の含水量は、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0338】
溶液のpHは、25℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに25℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。25℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0339】
[実施例8]
40℃におけるADC1-MMAFp凍結乾燥製剤の安定性
下記の試験を、初期時点において、ならびに40℃/(75%相対湿度)において凍結乾燥物を1および3ヶ月間保存した後の再構成後、実施例2に記載の凍結乾燥ADC1-MMAFp製剤をSWFIで再構成した後に実施した。
【0340】
凍結乾燥物および再構成溶液の外観は、40℃における保存により影響を受けなかった
凍結乾燥物および再構成溶液の外観を視覚的に評価し、凍結乾燥物が、実際に可視の異質な微粒子状物質を含まず、充填材料中に水分を含まないことを確認した。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、凍結乾燥物の外観は、前述の基準を満たした。再構成後、再構成溶液は、無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まなかった。初期時点において、ならび40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、溶液が無色からわずかに黄色の溶液であり、可視の粒子状物質は実際に含まないものであった。
【0341】
溶液の色は、40℃における保存により影響を受けなかった
溶液の色(視覚的)をBYスケールを使用して評価し、試料を、参照溶液に対して試験して、値を記録した。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月保存した後の再構成後、全ての再構成溶液は、7以下のBYスケール基準を有した。従って、保存は溶液の色に影響を及ぼさなかった。
【0342】
溶液の透明度および乳白色は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液の透明度および乳白色を評価した。再構成溶液の許容基準は、再構成溶液が参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による。)の乳白色を超えなかった場合、満たされた。初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観は、参照懸濁液IV(ヨーロッパ薬局方、ph.Eur.による)(≦RSII)の乳白色を超えなかった。
【0343】
溶液の生物活性は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
ヒト類表皮がん細胞系を使用する細胞障害性アッセイを使用して、細胞障害活性を有することが既に確認されているADC1-MMAF対照(100%活性を有する対照)と比較した再構成溶液の生物活性(%)を試験した。初期時点において、生物活性は102%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は101%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、相対生物活性は105%であった。従って、全ての時点における生物活性のパーセントは、実施例2の製剤を100%として、これを上回る生物活性を有した。
【0344】
分子および分子複合体のサイズは、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
サイズ排除クロマトグラフィー(chromatograph)を、Size Exclusion-High Performance Liquid Chromatography(SE-HPLC)を使用して実施した。主要ピーク(%)を、高分子量種(%)および低分子量種(%)に加えて測定した。初期時点において、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.2%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、主要ピークは99.5%であった。高分子量種は0.3%であり、低分子量種は0.2%であった。従って、主要ピークの%ならびに高分子量種および低分子量種は、初期、1および3ヶ月の測定の中で、わずかに変化したものから変化しなかったものが存在した。
【0345】
溶液のクロマトグラフピークは、40℃における保存により変化しなかった
陽イオン交換クロマトグラフィー(CEX)を、High Performance Liquid Chromatography(CEX-HPLC)により実施した。初期時点において、ならびに40℃において1ヶ月間および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の外観を、参照基準のピークパターンに適合した試料の優勢なクロマトグラフパターンにより特徴付けた。
【0346】
溶液の純度は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS-R)を、初期時点において、ならびに40℃において1、3および6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液に対して実施し、溶液の純度パーセントを決定するために使用した。初期時点において、純度パーセントは97.4%であった。1ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.5%であった。3ヶ月間保存した後の再構成後、純度パーセントは97.6%であった。従って、再構成溶液の純度は、初期時点と、40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成時、およびその後との間に有意に変化しなかった。
【0347】
ADC1-MMAFpの薬物抗体比(DAR)は、40℃における保存後変化しなかった
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)を、再構成溶液に対して実施した。初期時点において、DARは3.0であることが測定された。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、DARは3.0であることが測定された。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、DARは2.9であることが測定された。従って、DARは、初期時点と、40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後との間で有意に変化しなかった。
【0348】
溶液中の非複合体化抗体1のパーセントは、40℃における保存後変化しなかった
初期時点において、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、非複合体化抗体1のパーセントは、7.6以下であった。従って、全ての時点におけるパーセントは同様であった。
【0349】
溶液中のクエンチされた薬物リンカーのパーセントは、40℃における保存により変化しなかった
逆相クロマトグラフィー(RP-HPLC)を再構成溶液に対して実施し、クエンチされたリンカーのパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。従って、全ての時点においてクエンチされた薬物リンカーのパーセントは検出されなかった。
【0350】
溶液中の合計不純物は、40℃における保存後変化しなかった
再構成溶液を、RP-HPLCを使用して分析し、合計不純物のパーセントを決定した。初期時点において、パーセントは検出されなかった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは0.003未満であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、パーセントは検出されなかった。従って、合計不純物に関するパーセントは全ての時点において同様であった。
【0351】
溶液の微粒子汚染は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
微粒子汚染を、2つの許容基準に従って、不可視粒子を決定することによって評価した。
【0352】
許容基準は、10μmを超える粒子の数/容器を決定し、6000以下であること(USP(US薬局方)およびヨーロッパ薬局方基準)によって満たされた。初期時点において、10μmを超える粒子の数/容器は13であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は5であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、10μmを超える粒子の数/容器は8であった。従って、全ての時点において、10μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0353】
許容基準は、25μmを超える粒子の数/容器を決定し、600以下であることによってさらに満たされた。初期時点において、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は0であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、25μmを超える粒子の数/容器は2であった。従って、全ての時点において、25μmを超える粒子の数/容器に関する許容基準を満たした。
【0354】
溶液の含水量は、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
含水量を、Karl-Fischer滴定により評価した。Karl Fischer滴定は、電量的または容積的滴定を使用して試料中の微量の水を決定し、パーセントとして記録する。初期時点において、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。40℃において1ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセントは0.8%であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液中の水分パーセント0.8%であった。従って、初期時点において、ならびに1および3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液の含水量は無視できるほどであった。
【0355】
溶液のpHは、40℃における保存により影響を及ぼされなかった
再構成溶液のpHを、初期時点において、ならびに40℃において1および3ヶ月間保存した後の再構成後、決定した。初期時点において、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃において3ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。40℃において6ヶ月間保存した後の再構成後、再構成溶液のpH値は5.9であった。
【0356】
[実施例9]
凍結乾燥ADC1-MMAF製剤の大規模製造
バルク溶液の調製のために、ヒスチジンを注射用水に溶解し、pHを10%w/w塩酸により調整して、注射用水を最終重量まで加えた。製剤のバッファー賦形剤(スクロースおよびポリソルベート80)を秤量して、15mMヒスチジン溶液に溶解した。得られた溶液を、その後、外観に関して検査した。
【0357】
ADC1-MMAFを、ウォーターバスにおいて30℃で解凍し、外観に関して検査し、プールして、秤量した。15mMヒスチジンバッファー、ポリソルベート80およびスクロースを、ADC1-MMAFに加えた。溶液の外観を検査し、このpHおよび密度を決定し、次いで、滅菌ろ過した。その後、管理された条件下で溶液を凍結乾燥した。
【0358】
注射溶液20mg/mL用ADC1-MMAF粉末の製造中に実行された、進行中の限界試験を下記の表にに列挙した。
【0359】
【0360】
凍結乾燥のためのADC1-MMAF溶液の典型的なバッチに使用されるADC1-MMAFおよびバッファー溶液の量を、下記の表3に示す。製剤のバッファーを製造するために使用される成分および量のリストを、表4および表5に記載する。
【0361】
【0362】
【0363】
【0364】
本明細書に記載の実施例および実施形態が、単なる例示目的であること、およびこれらを考慮してさまざまな変形および変更が当業者には示唆されること、および添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれることは理解されるものと思われる。本明細書に引用された全ての出版物、特許および特許出願は、全ての目的のために、参照によりこの全体が本明細書に組み込まれる。
【0365】
配列の概要
【0366】