(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126757
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】スコープシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220823BHJP
【FI】
A61B1/00 715
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022098796
(22)【出願日】2022-06-20
(62)【分割の表示】P 2020195283の分割
【原出願日】2017-02-28
(31)【優先権主張番号】62/301,705
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スルチ,ビハー
(72)【発明者】
【氏名】シグモン,ジョン・シィ
(72)【発明者】
【氏名】ギボンズ,ウィリアム・エス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内視鏡の力の伝達損失を排除する又は減少する内視鏡システムを提供する。操作性の向上及び容易化、洗浄が容易な又は使い捨ての内視鏡システムを提供する。
【解決手段】遠位部と、長尺状チューブ内に延びるルーメンとを有する長尺状チューブを含むスコープシステムが提供される。管状構造内に延びるアクセサリルーメンを有する環状構造を含む少なくとも1つのアクセサリチャネルを含み、少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも部分的に長尺状チューブのルーメン内に可動的に配置されている。少なくとも1つのアクセサリチャネルは、遠位部分並びに直視型構成及び側視型構成を含む。直視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、長尺状チューブの遠位部に実質的に平行であり、側視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、長尺状チューブの遠位部の半径よりも大きな半径の弧を形成する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコープシステムであって、
長尺状チューブであって、前記長尺状チューブ内に延びるルーメンを含み、遠位部を更に含む、長尺状チューブと、
少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも部分的に前記長尺状チューブの前記ルーメン内に可動的に配置されており、遠位部分を含み、直視型構成と側視型構成との間で移行可能である、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含み、
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部に実質的に平行であり、
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部に対し角度を成して配置されている、スコープシステム。
【請求項2】
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の半径よりも大きな半径の弧を形成する、請求項1に記載のスコープシステム。
【請求項3】
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の前記ルーメン内に実質的に配置されている、請求項1又は2に記載のスコープシステム。
【請求項4】
前記長尺状チューブに対する、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの近位部の遠位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが前記直視型構成から前記側視型構成に移行する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項5】
前記長尺状チューブに対する、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記近位部の近位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは前記側視型構成から前記直視型構成に移行する、請求項1~4のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項6】
前記アクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部に回転自在に結合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項7】
前記遠位部は回転中心を含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが前記直視型構成と前記側視型構成との間で移行する間、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは前記回転中心の周りで回転する、請求項1~6のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項8】
前記長尺状チューブの前記遠位部は複数の個別のリブを含み、各複数の個別のリブは、2つの側部と開口部とを含む実質的にU字形の断面を含み、前記2つの側部は実質的に菱形である、請求項1~8のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項9】
前記長尺状チューブの前記遠位部と近位部との間に配置された、軸方向に回転可能な軸受であって、前記近位部に対する前記遠位部の回転を可能にする、軸方向に回転可能な軸受を更に含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項10】
前記長尺状チューブの前記遠位部に接続されており、前記長尺状チューブに沿って近位
に延びる第1の駆動部材及び第2の駆動部材を更に含み、
前記第1の駆動部材の近位の動きによって前記長尺状チューブの前記遠位部が第1の方向に曲がり、前記第2の駆動部材の近位の動きによって前記長尺状チューブの前記遠位部が第2の方向に曲がる、請求項1~9のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項11】
前記遠位部に接続された照明を更に含み、前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材のうちの1つは、前記照明と電源との間に電気配線を更に含む、請求項10に記載のスコープシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは第1のアクセサリチャネル及び第2のアクセサリチャネルを含み、前記第1のアクセサリチャネルは、前記第2のアクセサリチャネルから独立して、前記直視型構成と前記側視型構成との間で移行可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは第1のアクセサリチャネル及び第2のアクセサリチャネルを含み、
前記アクセサリルーメンは、第1のアクセサリルーメン及び第2のアクセサリルーメンを含み、前記第1のアクセサリルーメンは前記第1のアクセサリチャネル内に延び、前記第2のアクセサリルーメンは前記第2のアクセサリチャネル内に延び、カメラシステムが、前記第1のアクセサリルーメン内に少なくとも部分的に且つ着脱自在に配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項14】
スコープキャップであって、
取付部を含む筺体であって、前記取付部はスコープに係合するように構成されており、前記筺体は回転中心を更に含む、筺体と、
前記筺体に係合した少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは遠位部分及び近位部分を更に含み、前記近位部分は、前記スコープに着脱自在且つ摺動自在に係合するように構成されている、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含み、
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルを側視型構成と直視型構成との間で移行するために、前記回転中心の周りで回転可能である、スコープキャップ。
【請求項15】
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記直視型構成のときの前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分に対して少なくとも45度回転している、請求項14に記載のスコープキャップ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの近位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが前記直視型構成から前記側視型構成に移行する、請求項14又は15に記載のスコープキャップ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが側視型構成から前記直視型構成に移行する、請求項14~16のいずれか一項に記載のスコープキャップ。
【請求項18】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは第1のアクセサリチャネル及び第2のアクセサリチャネルを含み、
前記アクセサリルーメンは、前記第1のアクセサリチャネル内に延びる第1のアクセサリルーメンと、前記第2のアクセサリチャネル内に延びる第2のアクセサリルーメンとを
含み、カメラシステムが、前記第1のアクセサリルーメン内に少なくとも部分的に且つ着脱自在に配置されている、請求項14~17のいずれか一項に記載のスコープキャップ。
【請求項19】
スコープシステムを使用する方法であって、
スコープシステムを用意するステップであって、前記スコープシステムは、長尺状チューブであって、前記長尺状チューブ内に延びるルーメンを含む、長尺状チューブと、少なくとも部分的に前記長尺状チューブの前記ルーメン内に可動的に配置されている少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含む、ステップと、
前記スコープシステムを直視型構成に配置するステップであって、前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は前記長尺状チューブの遠位部に実質的に平行である、ステップと、
前記スコープシステムを側視型構成に移行するステップであって、前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の半径よりも大きな半径の弧を形成する、ステップとを含む、方法。
【請求項20】
スコープシステムであって、
長尺状チューブであって、前記長尺状チューブ内に延びるルーメンを含み、遠位部を更に含む、長尺状チューブと、
少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも部分的に前記長尺状チューブの前記ルーメン内に可動的に配置されており、遠位部分を含み、直視型構成及び側視型構成を更に含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含み、
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の前記ルーメン内に実質的に配置されており、
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の前記ルーメンから離れる方に弧を形成し、前記長尺状チューブの前記遠位部の前記ルーメンの外部に実質的に配置されている、スコープシステム。
【請求項21】
スコープシステムであって、
長尺状チューブであって、前記長尺状チューブ内に延びるルーメンを含み、遠位部を更に含む、長尺状チューブと、
少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも部分的に前記長尺状チューブの前記ルーメン内に可動的に配置されており、直視型構成と側視型構成との間で移行可能である遠位部分を含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含み、
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は前記長尺状チューブの前記遠位部と実質的に整列しており、
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部から離れる方に、前記長尺状チューブの前記遠位部に対して弧を形成する、スコープシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許文献は、参照により本明細書に援用される、2016年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/301,705号明細書の出願日の利益を主張する。
【0002】
本開示は、医療デバイスに関し、より具体的には、内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0003】
本段落の記載は、本開示に関連する背景情報を単に提供するものであり、従来技術を成すものではない。
【0004】
十二指腸内視鏡は、内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ERCP:endoscopic
retrograde cholangiopancreatography)を含む様々な内視鏡処置において使用される医療デバイスである。ERCPでは、医師が十二指腸内視鏡を患者の口腔に挿入し、患者の胃腸(GI:gastrointestinal)管を通過させ、十二指腸内視鏡の遠位端がファーター乳頭(総胆管及び膵管から十二指腸への入口として機能する小さな隆起状の構造)の近傍に配置されるまで十二指腸に挿入する。医師は、その後、十二指腸内視鏡内のルーメンを通過させた様々なツール及びアクセサリを使用し、ファーター乳頭を通じて総胆管又は膵管にアクセスする。
【0005】
しかしながら、十二指腸内視鏡には設計の課題がいくつかある。例えば、ファーター乳頭の位置及び十二指腸内視鏡の形状により、十二指腸内視鏡の遠位端において内視鏡ツール又はアクセサリを90度の(又は時として90度を超える)角度で鋭く曲げなければならず、ツールと十二指腸内視鏡との間で大きな摩擦が生じ、力の伝達損失を伴う。したがって、アクセサリは、この鋭い曲げに耐えるのに十分な耐久性を備えていなければならず、医師は、ツールを前進させ続けるために、所望される力より大きな力を加えなければならない。更に、十二指腸内視鏡の内蔵カメラシステムは側面型であり、初心者及び経験豊富な医師でさえも十二指腸内視鏡を胃腸管内でナビゲートすることを困難にしている。また、従来の十二指腸内視鏡はアクセサリチャネルを1つしか有さず、複数のアクセサリの使用を非常に時間のかかるもの且つ面倒なものにしている。加えて、十二指腸内視鏡は洗浄が困難であり、使用後のデバイスの不適切な洗浄及び後の十二指腸内視鏡の使用時に患者の潜在的な細菌汚染をもたらすおそれがある。
【0006】
したがって、従来の十二指腸内視鏡の力の伝達損失を排除する又は減少する内視鏡システムを有することが望ましい。更に、胃腸管を通過する及び胃腸管内における内視鏡システムの操作性の向上及び容易化が望まれる。また、洗浄が容易な又は使い捨ての内視鏡システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一形態では、スコープシステムが提供される。スコープシステムは、長尺状チューブであって、長尺状チューブ内に延びるルーメンを含み、遠位部を更に含む、長尺状チューブを含む。スコープシステムはまた、管状構造を含む少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造は、管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、少なくとも部分的に長尺状チューブのルーメン内に可動的に配置されており、遠位部分を含み、直視型構成及び側視型構成を更に含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルを含む。付加的に、直視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、長尺
状チューブの遠位部に実質的に平行であり、側視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、長尺状チューブの遠位部の半径よりも大きな半径の弧を形成する。
【0008】
スコープシステムの少なくとも1つのアクセサリチャネルは、また、少なくとも1つのアクセサリチャネルが直視型構成から側視型構成に移行する遠位方向に可動であってもよく、少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも1つのアクセサリチャネルが側視型構成から直視型構成に移行する近位方向に可動であってもよい。スコープシステムは、回転中心を含む遠位部を更に含んでもよく、少なくとも1つのアクセサリチャネルが直視型構成と側視型構成との間で移行する間、少なくとも1つのアクセサリチャネルは回転中心の周りで回転する。スコープシステムは、また、長尺状チューブの遠位部と近位部との間に配置された、軸方向に回転可能な軸受であって、近位部に対する遠位部の回転を可能にする、軸方向に回転可能な軸受を含んでもよい。スコープシステムは、また、長尺状チューブの遠位部に接続されており、長尺状チューブに沿って近位に延びる第1の駆動部材及び第2の駆動部材を更に含んでもよく、第1の駆動部材の近位の動きによって長尺状チューブの遠位部が第1の方向に曲がり、第2の駆動部材の近位の動きによって長尺状チューブの遠位部が第2の方向に曲がる。システムは、遠位部に接続された照明を更に含んでもよく、第1の駆動部材及び第2の駆動部材のうちの1つは、照明と電源との間に電気配線を更に含む。
【0009】
本開示の別の形態では、スコープキャップが提供される。スコープキャップは、取付部を含む筺体であって、取付部はスコープに係合するように構成されており、筺体は回転中心を更に含む、筺体を含む。スコープキャップは、また、筺体に係合した少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、管状構造は、管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、少なくとも1つのアクセサリチャネルは遠位部分及び近位部分を更に含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルを含み、近位部分は、スコープに着脱自在に係合するように構成されている。更に、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、少なくとも1つのアクセサリチャネルを側視型構成と直視型構成との間で移行するために、回転中心の周りで回転可能である。
【0010】
スコープキャップの少なくとも1つのアクセサリチャネルは、また、側視型構成において、直視型構成のときの少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分に対して少なくとも45度回転していてもよい。付加的に、少なくとも1つのアクセサリチャネルの近位方向の動きによって少なくとも1つのアクセサリチャネルが直視型構成から側視型構成に移行してもよく、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位方向の動きによって少なくとも1つのアクセサリチャネルが側視型構成から直視型構成に移行してもよい。
【0011】
本開示の更に別の形態では、方法が提供される。方法は、スコープシステムを患者の体に挿入するステップを含み、スコープシステムは、長尺状チューブであって、長尺状チューブ内に延びるルーメンを含む、長尺状チューブと、少なくとも部分的に長尺状チューブのルーメン内に可動的に配置されている少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、管状構造は、管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含む、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含む。方法は、スコープシステムを直視型構成に配置するステップであって、直視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は長尺状チューブの遠位部に実質的に平行である、ステップを更に含む。また、方法は、スコープシステムを側視型構成に移行するステップであって、側視型構成において、少なくとも1つのアクセサリチャネルの遠位部分は、長尺状チューブの遠位部の半径よりも大きな半径の弧を形成する、ステップを含む。
【0012】
更なる適用可能領域は、本明細書に提供される記載から明らかになろう。記載及び特定
の例は単なる説明のためであり、本開示の範囲の限定を意図するものではないと理解すべきである。
【0013】
本明細書で説明される図面は、単なる説明のためであり、本開示の範囲の限定を一切意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】直面型構成にある内視鏡システムの遠位部の詳細図である。
【
図3】直面型構成にあるピボットアームの詳細図である。
【
図4】側面型構成にあるピボットアームの詳細図である。
【
図5】側面型構成にある内視鏡システムの遠位部の詳細図である。
【
図6】湾曲構成にある内視鏡システムの遠位部の詳細図である。
【
図8】湾曲及び側面型構成にある内視鏡システムの遠位部の詳細図である。
【
図9】内視鏡システムの軸方向に回転可能な軸受の詳細図である。
【
図10】内視鏡システムのハンドルの詳細図である。
【
図11】使用時の内視鏡システムの絵画的表現である。
【
図12】使用時の内視鏡システムの別の絵画的表現である。
【
図13】使用時の内視鏡システムの別の絵画的表現である。
【
図14】直視型構成にある内視鏡キャップの図である。
【
図15】側視型構成にある内視鏡キャップの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、用途又は使用の限定を意図するものではない。図面の全体を通して、対応する参照番号は、同様の又は対応する部品及び特徴を示すことは理解すべきである。図面に使用される様々なクロスハッチングパターンは、本開示に用いられ得る特定の材料の限定を意図するものではないことも理解すべきである。クロスハッチングパターンは、好ましい材料の単に例示である、又は図面内に示される隣接する若しくは相手構成要素間を明確化の目的で区別するために使用される。
【0016】
図1を参照すると、内視鏡システム10が提供される。内視鏡システム10は、概して、遠位部12と、中央部14と、近位即ちハンドル部13とを含む、長尺状チューブとして成形されていてもよい。中央部14は、中央部14の長さ全体に延びる少なくとも1つのルーメン15を有する可撓性の長尺状チューブであってもよい。中央部14は、遠位部12と近位部13とを互いに接続してもよい。中央部14のルーメン15は、内視鏡システム10の遠位部12及びハンドル部13内にも延びてよい。中央部14は、十分なトルク性及び押し込み性を付与するために、ポリテトラフルオロエチレンライナーを備えるペバックスなどの編組材料で作製されていてもよい。中央部14の他の材料の可能性としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びナイロンが挙げられるが、これらに限定されない。内視鏡システム10は、2つのアクセサリチャネル16、18を更に含んでもよく、2つのアクセサリチャネル16、18はそれぞれ、中に延びるルーメン17、19(
図7に示される)を有する。アクセサリチャネル16、18は個別の長尺状チューブとして設計されてもよく、個別の長尺状チューブは、システム10のルーメン15内を可動であってもよく、したがって、中央部14に対するアクセサリチャネル16、18の長手方向の動きを可能にする。この実施形態は2つのアクセサリチャネル16、18を含むが、1つ又は更には3つ以上のアクセサリチャネルを使用してもよい。例えば、1つのより大きなアクセサリチャネルを、より大きな内視鏡ツールを収容するために使用してもよい。更に、個別のアクセサリチャネル16、18の代わりに、中に2つ以上のルーメンが延びている1つの長尺状チューブを使用してもよい。アクセサリチャネル16、18は直径が1~1
0ミリメートルの範囲であってもよい。一例示的実施形態では、第1のアクセサリチャネル16は直径4.2ミリメートルであってもよく、第2のアクセサリチャネル18は直径3.7ミリメートルであってもよい。アクセサリチャネル16、18はハンドル部13から近位に又はハンドル部13を越えて延び、ルーメン15を通り、遠位部12へと達してもよい。種々のツール、デバイス及びカメラがアクセサリチャネル16、18に挿入されてもよく、アクセサリチャネル16、18から取り外されてもよい。
【0017】
ここで
図2を参照すると、内視鏡システム10の遠位部12の詳細図が示される。内視鏡システム10は、中央部14と遠位部12との間に配置された回転軸受20を含んでもよく、回転軸受20は、遠位部12が中央部14と独立して回転することを可能にする。遠位部12は、複数の個別のリブ22が互いに結合されて、ルーメン15を有する長尺状チューブを作製する可撓性リブ状構造を有してもよい。これらリブ22は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリオキシメチレンなどの種々の材料で作られていてもよい。アクセサリチャネル16、18はリブ22内を通って遠位部12の遠位端部分24に達してもよい。遠位端部分24は、第1及び第2のアクセサリルーメン28、30(
図3及び
図4に示される)を有するピボットアーム26を含んでもよい。アクセサリチャネル16、18の遠位端は、各々のアクセサリルーメン28、30内に固定的に又は可動的に配置されてもよい。遠位端部分24は、また、ルーメン15から内視鏡システム10の外部の箇所へのアクセスを提供するサイドポート32を含んでもよい。
【0018】
遠位部12の遠位端部分24は、
図3及び
図4により詳細に示される。明確にするために、アクセサリチャネル16、18は
図3及び
図4から省略されている。ピボットアーム26は、ピン34を介して遠位端部分24に接続されていてもよい。ピン34は回転中心を作成してもよく、回転中心の周りでピボットアーム26が、
図4に示される位置まで遠位端部分24に対して回転してもよい。ピボットアーム26は、
図3に示すような直視位置と
図4に示すような側視位置との間で移動してもよい。LED照明35が、患者の胃腸管のナビゲーションを補助するために遠位端部分24に配置されていてもよい。あるいは、LED照明35は、サイドポート32の近傍など、遠位端部分24の他の位置に配置されていてもよい。また、複数のLED照明35をシステム10の種々の位置で使用してもよい。
【0019】
図2及び
図5に示すように、アクセサリチャネル16、18の遠位端はピボットアーム26に固定されていてもよい。したがって、アクセサリチャネル16、18は、ピボットアーム26を側視型構成と直視型構成との間で移行させるとき、ピボットアーム26とともに回転してもよい。
図2は、直視型構成にあるアクセサリチャネル16、18を示し、
図5は、側視型構成にあるアクセサリチャネル16、18を示す。
図5に示されるように、側視型構成にあるとき、ピボットアーム26の回転によって、アクセサリチャネル16、18の遠位部はリブ22の範囲外で曲がり、その後、ピボットアーム26に向かって、ピボットアーム26へと湾曲して戻る。したがって、直視型構成では、アクセサリチャネル16、18とスコープシステム10の遠位部12とが実質的に平行であるように、遠位部12の湾曲角度又は曲げ半径はアクセサリチャネル16、18の湾曲角度と同一であるが、側視型構成では、アクセサリチャネル16、18の遠位部が遠位部12のルーメン15の外に延びるように、アクセサリチャネル16、18の湾曲角度又は曲げ半径は遠位部12の湾曲角度よりも大きい。2つの構成間の動きを容易にするために、リブ22は、アクセサリチャネル16、18がリブ22(
図7に最も良く示される)に自由に出入りすることを可能にする開放部分を有するU字形又はV字形の設計を有してもよい。
【0020】
ピボットアーム26を直視位置から側視位置に移動するために、アクセサリチャネル16、18を近位部13及び中央部14に対して遠位方向に押してもよく、これによりアク
セサリチャネル16、18を介してピボットアーム26に力を加える。結果として生じた力によって、ピボットアーム26がピン34の回転中心の周りを回転することで、アクセサリチャネル16、18及びピボットアーム26を側視型構成に移行させる。直視型構成に再び移行させるために、アクセサリチャネル16、18に、近位部13及び中央部14に対する近位力がかけられてもよく、それによって近位力をピボットアーム26に伝達する。その後、近位力によって、ピボットアーム26が再び、ピン34の回転中心の周りを反対方向に回転し、それによって、アクセサリチャネル16、18及びピボットアーム26を再び直視型構成に移行させる。これらの動きの最中にアクセサリチャネル16、18が同時に動くようにするために、アクセサリチャネル16、18はシステム10の長さに沿った任意の箇所で、又は更には全長に沿って互いに固定されていてもよい。一例では、アクセサリチャネル16、18は、中央部の全長にわたりプラスチックチューブを使用して互いに固定されていてもよい。別の例では、アクセサリチャネル16、18は、システム10が側視型構成にあるとき、遠位部12の制限(constraints)外に延びるアクセサリチャネル16、18の部分において互いに固定されていてもよい。
【0021】
この実施形態はアクセサリチャネル16、18を直視型構成と側視型構成との間で移行するのを補助するためのピボットアーム26の使用について記載しているが、種々の他の方法及び構造を使用してもよい。更に、1つのピボットアーム26を使用するのではなくむしろ、複数のピボットアームを使用してもよい、又は各アクセサリチャネル16、18につき1つのピボットアームを使用してもよい。したがって、各アクセサリチャネル16、18を直視型構成と側視型構成との間で互いに独立して移行させてもよい。更に、直視型構成と側視型構成との間のピボットアーム26の回転の程度は変化してもよく、潜在的には45度~135度超の範囲である。
【0022】
直視型構成と側視型構成との間で切り換える機能に加えて、内視鏡システム10の遠位部12はまた、所望のように湾曲し、回転してもよい。
図2は、直線構成の遠位部12を示し、
図6は、湾曲構成の遠位部12を示す。内視鏡システム10は、第1の駆動部材36と、第2の駆動部材38と、第3の駆動部材39と(
図7に示される)を含んでもよい。第2の駆動部材38及び第3の駆動部材39は、
図2及び
図6の同一平面内においてリブ22内に延び得るため、これらの図では第2の駆動部材38のみが代表的に示される。
図7は、断面図における3つの駆動部材36、38、39の向きの可能性の1つを示す。駆動部材36、38、39は遠位端部分24に固定的に取り付けられ、ルーメン15内又はその外側において、ハンドル部13まで延びてもよい。あるいは、駆動部材36、38、39は内視鏡システム10の長さに沿って、専用の低摩擦ルーメン又はカテーテル内において、ハンドル13まで延びてもよい。第1の駆動部材36は遠位端部分24の壁に固定されていてもよく、第2及び第3の駆動部材38、39は、遠位端部分24の、第1の駆動部材36に対して反対側の壁に固定されていてもよい。遠位部12を、
図2に示される直線構成から
図6に示される湾曲構成に移行させるために、第1の駆動部材36を近位方向に引いてもよい。この第1の駆動部材36の近位の動きにより、第1の駆動部材36によって遠位端部分24に力がかけられることになってもよい。この力により、遠位部12の可撓性リブ付き本体が
図6に示される構成に湾曲してもよい。遠位部12を再び直線構成に移行させるために、第2及び第3の駆動部材38、39を近位方向に引いてもよい。第2の駆動部材38と第3の駆動部材39は、遠位端部分24の反対側に接続されているため、第2及び第3の駆動部材38、39によって、遠位端部分24に、遠位部12を再び直線構成に移行させることができる力がかけられる。
【0023】
図7の個々のリブ22の断面図に示すように、駆動部材36、38、39はまた、遠位部12の個々のリブ22を互いに固定するために使用してもよい。駆動部材36、38、39は、それぞれ個々のリブ22内の穴37内に延びてもよく、十分な張力が駆動部材36、38、39にかけられることで、駆動部材36、38、39に沿ってリブ22を互い
に固定してもよい。この設計により、リブ22は、個々のリブ22間の最小限の接触を可能にするような形状にされてもよい。例えば、この実施形態に示されるリブ22は、開口部と2つの側部とを有する実質的にU字形の断面を有する。リブ22の各側部は、システム10を横のアングルから見ると菱形であってもよい(
図3~
図4で最も良くわかるように)。菱形は各リブ間の接点を減らすため、摩擦を最小にするとともに、遠位部12の、湾曲構成へのより容易な湾曲及び最大の可撓性を可能にする。任意選択的に、第2又は第3の駆動部材38、39はまた、第2又は第3の駆動部材38、39がLED照明35の回路としても機能することを可能にする、内蔵された電気配線を含んでもよい。更に、この実施形態は3つの駆動部材36、38、39の使用のみについて記載しているが、より多くの又は少ない駆動部材を所望のように使用してもよい。駆動部材36、38、39の代わりに又はこれに加えて、リブ22は機械的なヒンジ、接着剤、及び他の周知のデバイスなどの種々の他の方法を使用して互いに接続されてもよい。更に、遠位部12に付加的な支持を与えるために、駆動部材36、38、39に類似する付加的な長尺状の部材がリブ22内に延びてもよい。
【0024】
付加的に、リブ22は、エラストマー材料などの種々の生体適合性材料製であり得る保護スリーブによって被覆されていてもよい。保護スリーブはリブ22を保護し得る一方、遠位部12が湾曲構成と直線構成との間で移行するときに体組織が個々のリブ22間に誤って挟まれることも防止する。保護スリーブは、また、アクセサリチャネル16、18が保護スリーブの外に移動すること、及び直視型構成と側視型構成との間で移行することを可能にする、リブ22の開口部に対応するスロットを含んでもよい。保護スリーブは、また、遠位部12を湾曲構成と直線構成との間で移行させる際のトルク伝達を補助してもよい。駆動部材36、38、39を操作する際に、ある程度の自然な遅れが生じる可能性があり、遠位部12の一部を最初に移行させ得る一方、遠位部の残りは遅れるものの最終的には同じく移行する。保護スリーブは、遠位部12の全体が最小限の遅れを伴って共に移行するようにしてもよい。
【0025】
内視鏡システム10は湾曲構成と直線構成との間で移行してもよい一方、内視鏡システム10はまた、直面型構成又は側面型構成のいずれかにある。例えば、
図8は、湾曲及び側面型構成にある内視鏡システム10を示す。内視鏡システム10は、上述の構成の任意の組み合わせにて操作及び使用することができ、全構成間で繰り返し移行可能であってもよい。
【0026】
アクセサリチャネル16、18は、内視鏡システム10内及び患者の体への様々な医療ツール及びアクセサリのアクセスを与えるために使用してもよい。例えば、カメラシステムをアクセサリチャネル16のうちの1つに挿入してもよい一方、鉗子、括約筋切開器、ワイヤ、拡張バルーン、摘出バルーン(extraction balloon)、ステント、ニードルナイフ、止血クリップ、及び任意の他のカテーテルを用いたツールなどの種々のツールを第2のアクセサリチャネル18に挿入してもよい。ツールはアクセサリチャネル16、18の遠位端を越えて進めてもよく、そこで患者を手術するために使用してもよい。
【0027】
図9は、軸方向に回転可能な軸受20の断面図及びその機能を示す。軸方向に回転可能な軸受20は、第1のリング50及び第2のリング52を含んでもよい。軸方向に回転可能な軸受20は、第1のチューブ54及び第2のチューブ56を更に含んでもよい。第1のチューブ54は、中央部14と第1のリング50とに固定的に取り付けられていてもよい。第2のチューブ56は、遠位部12と第2のリング52とに固定的に取り付けられていてもよい。第1のチューブ54及び第1のリング50は、第2のチューブ56及び第2のリング52に対して自由に回転可能であってもよく、それによって、遠位部12を中央部14に対して自由に回転可能にする。第1のリング50は中央部14に間接的に固定さ
れてはいるが、遠位部12に間接的に固定された第2のリング52の遠位側に位置するため、遠位部12と中央部14とは、なお互いに対して自由に回転可能なままである一方、互いに固定されたままであってもよい。内視鏡システム10が、直面型構成、側面型構成、直線構成及び湾曲構成を含む上述の構成のうちのいずれか1つにあるとき、遠位部12は自由に回転させてもよい。アクセサリチャネル16、18及び駆動部材36、38、39は、軸受20に対する干渉なく又は最小限の干渉で、軸受のルーメン15を自由に通過してもよい。これは軸方向に回転可能な軸受20の単なる設計可能性の1つであり、中央部14に対する遠位部12の自由回転を可能にする他の種々の設計を使用してもよい。
【0028】
ここで
図10を参照すると、内視鏡システム10のハンドル部13の詳細図が示される。ハンドル13は、内視鏡システム10の遠位部12を操作するために使用されるいくつかの制御部を含んでもよい。ハンドル13は、第1部分40と第2部分42とを含んでもよく、第1部分40は第2部分42に対して自由に回転可能である。ハンドル13はアーム44を含んでもよく、アーム44は第1の駆動部材36に接続されており、第1の駆動部材36は遠位端部分24に更に接続されている。アーム44は近位方向に動作及び/又は枢動してもよく、これにより第1の駆動部材36が近位方向に引かれることで遠位端部分24に近位力を加え、遠位部12を
図6に示すように湾曲させる。ハンドル13は第1のスライダ46を更に含んでもよく、第1のスライダ46は第2及び第3の駆動部材38、39に接続されていてもよく、更に、遠位端部分24に接続されている。アーム44と同様に、第1のスライダ46は近位方向に動かしてもよく、これにより第2及び第3の駆動部材38、39によって遠位端部分24に近位力が加えられることで、遠位部12を
図2に示される位置に向かって、及び更にはこの位置を越えて再び湾曲させることになる。
【0029】
ハンドル13は、スロット47に沿って近位方向及び遠位方向に摺動してもよい第2のスライダ48を更に含んでもよい。第2のスライダ48は第1及び第2のアクセサリチャネル16、18に接続されていてもよく、第2のスライダ48の近位又は遠位の動きが第1及び第2のアクセサリチャネル16、18の対応する動きを生じさせる。したがって、第2のスライダ48を遠位方向に動かすとアクセサリチャネル16、18が遠位方向に動き、それにより、ピボットアーム26が回転して側視型構成に移行する。更に、第2のスライダ48を近位方向に動かすとピボットアーム26が再び直視型構成へと回転する。また、前述のように、第1部分40は第2部分42に対して自由に回転してもよい。アクセサリチャネル16、18は第2のスライダ48に固定されているため、第1部分40の回転によりアクセサリチャネル16、18の対応する回転を生じさせてもよい。アクセサリチャネル16、18はまたそれらの遠位端にてピボットアーム26に固定されており、ピボットアーム26は更にはシステム10の遠位部12の残部に固定されているため、第1部分の回転により遠位部12全体の対応する回転を生じさせてもよい。更に、
図9に示すような軸方向に回転可能な軸受20は遠位部12と中央部14との間に配置されているため、遠位部12は、システム10の残部が回転することなしに、ハンドル13の第1部分40の回転に応じて回転してもよい。付加的に、少なくとも部分的に第2の及び/又は第3の駆動部材38、39を通じてつまみ49まで配線されるLED照明35の明るさ又はパワーを制御するためにつまみ49を使用してもよい。
【0030】
ハンドル13は、単にハンドル部13の潜在的実施形態の1つであり、システム10の種々の特徴を制御するアーム又はスライダの変形形態を含む、内視鏡システム10を制御可能な任意の他のハンドル設計を使用してもよい。例えば、ハンドル13並びにアーム44及びスライダ46、48などの種々の制御部は、システムを前述の種々の構成にロックするロック要素を含んでもよい。一例では、ハンドル13は、種々のアーム及びスライダが摩擦力によってそれらの現在位置に維持され得る摩擦ロックを含んでもよい。しかしながら、外力の印加によって、尚、所望のように制御部を動かしてもよい。別の代替的なハンドル13設計では、アーム44はハンドルの中心に回転中心を有してもよく、アーム4
4の一端は第1の駆動部材36に接続されており、アーム44の他端は第2及び第3の駆動部材38、39に接続されているため、アーム44は遠位部12の両方向の湾曲運動を制御することが可能である。
【0031】
本明細書中に記載される内視鏡システム10は、種々の医療処置のために使用されてもよい。しかしながら、そのような処置の1つ、内視鏡的逆行性胆管膵管造影法について、ここで
図11~
図13を参照して記載する。内視鏡システム10は患者の口腔及び胃腸管に挿入してもよい。内視鏡システム10を、側面姿勢に比べてより薄型であることで胃腸管内における前進をより容易にする直面姿勢で挿入することが好ましい場合がある。更に、アクセサリチャネル16のうちの1つに、医師が内視鏡システム10を患者の胃腸管内で案内するのを補助するためのカメラシステム70を挿入してもよい。カメラシステム70はアクセサリチャネル16と一体であってもよく、又はアクセサリチャネル16の遠位端を越えて前進可能であってもよい。更に、カメラシステム70は、システム10の残部から独立した光源を含んでもよい。カメラシステム70は、カメラシステムの遠位端がピボットアーム26内に延びる又はピボットアーム26をわずかに越えることで、内視鏡システム10を前進させる際に内視鏡システム10の遠位端がはっきりと見えるように、アクセサリチャネル16内に配置されていてもよい。内視鏡システム10は、
図11に示すように遠位端部分24がファーター乳頭Pの近傍に配置されるまで胃を越えて、十二指腸D内に前進させてもよい。
【0032】
遠位端部分24がファーター乳頭Pの近傍に配置されると、遠位部12は、遠位端部分24がファーター乳頭Pに実質的に垂直になるまでハンドル13のアーム44及び第1のスライダ46を使用して湾曲又は真直にされてもよい。遠位部12は、サイドポート32がファーター乳頭Pの方に向けられるように、ハンドル13の第1部分40によって更に回転させてもよい。アクセサリチャネル16、18は、次いで、ピボットアーム26が側面型構成に回転するまでハンドル13の第2のスライダ48を遠位方向に動かすことによって直面型構成から側面型構成に移行させてもよい。
図12に示すように遠位端部分24がファーター乳頭Pに対して適切に配置されるまで、遠位部12はハンドル13の制御部によって更に操作されてもよい。この位置において、アクセサリチャネル16、18はファーター乳頭Pへの直接及び直線のアクセスを有する。
図12は、アクセサリチャネル16、18のうちの少なくとも1つがファーター乳頭Pとは反対側の十二指腸Dの壁に接触していることを更に示す。この接触は、内視鏡システム10全体をファーター乳頭Pのより近傍に押すのを補助し、内視鏡システム10を十二指腸又は解剖学的構造の他の標的部分内に固定するのを補助するためのアンカー点を提供する。
【0033】
この時点で、ファーター乳頭Pを通って膵管D又は総胆管Cにアクセスするための種々のツールを使用してもよい。カメラシステム70が予め使用されていた場合、任意選択的に、付加的なツールの使用を可能にするために取り外してもよい。アクセサリチャネル16、18の緩やかな、湾曲した経路によってアクセサリチャネル16、18とツールとの間の摩擦を低減してもよく、したがって、医師がツールをファーター乳頭Pに向かって前進させるのに必要な力の量を低減する。例えば、ファーター乳頭P内に見られる強固な筋肉であるオッディ括約筋は、総胆管CBD又は膵管PDへのアクセスを可能にするために拡張される又は切開される必要があり得る。したがって、
図13に示すように、括約筋切開器72(オッディ括約筋を切開可能な細いワイヤを備える長いツール)を、アクセサリチャネル18内において、乳頭Pに向かって前進させてもよい。その後、括約筋切開器72を使用してオッディ括約筋を切開することで、総胆管CBD及び膵管PDへのアクセスポイントを形成してもよい。医師は、括約筋切開器72又は他のツールを括約筋に対して適切に位置決めし、括約筋に十分な力を与えることに苦慮することが多い。十二指腸Dの反対側の壁に接触するアクセサリチャネル16、18は、内視鏡システム10の位置決めを損なうことを懸念することなく医師が十分量の力を括約筋切開器72又は他のツールに
加えることを可能にし得るアンカー点を提供する。アクセスポイントが作成されると、カメラシステム70、放射線不透過性色素注入器、腎結石除去器等を含む種々のツールを、アクセサリチャネル16、18のいずれかを通じて、総胆管CBD又は膵管PDへと前進させてもよい。
【0034】
処置の完了後、使用した種々のツールを抜去してもよく、内視鏡システム10を直線構成及び直視型構成に移行することで、医師が内視鏡システム10を挿入した際と実質的に同じ手法で患者の体から取り出すことを可能にしてもよい。
【0035】
図14に示される第2の実施形態では、スコープキャップ100を標準的な十二指腸内視鏡又は内視鏡に取り付け可能であってもよい。スコープキャップ100は、前述の実施形態の特徴の多くを有する。スコープキャップ100は、摩擦嵌合、弾性ベルト及び接着剤を含む種々の方法を使用して、十二指腸内視鏡102に着脱自在に又は固定的に取り付けられてもよい。あるいは、スコープキャップ100は、内視鏡、胆道鏡、又は任意の他の類似のデバイスに取り付けてもよい。内視鏡キャップ100は、ピボットアーム104を含んでもよい。ピボットアーム104は、前述の実施形態に記載されているピボットアームに類似してもよく、ピン106が回転中心を形成し、回転中心の周りでピボットアーム104をスコープキャップ100の残部に対して回転させてもよい。ピボットアーム104は、第1のピボットルーメン108及び第2のピボットルーメン110を更に含んでもよい。それぞれ各々のルーメンを備える第1のアクセサリチャネル112及び第2のアクセサリチャネル114は各々のピボットルーメン108、110に接続してもよい。アクセサリチャネル112、114は、ピボットアーム104から十二指腸内視鏡102の外側に沿って、十二指腸内視鏡102の近位端に又はその近傍に延びてもよい。アクセサリチャネル112、114を十二指腸内視鏡102に固定するために複数のクリップ116(
図14に1つのみを示す)を使用してもよい。クリップ116は、十二指腸内視鏡102の全長に間隔を開けて配置することで、アクセサリチャネル112、114が十二指腸内視鏡102から大きく離れないようにしてもよい。クリップ116が十二指腸内視鏡102の長さに沿ったアクセサリチャネル112、114の長手方向の動きをなお可能とする一方、他の動きは制限又は限定することが理想的であり得る。例えば、クリップ116はアクセサリチャネル112、114に固定的に接続されてもよく、スコープ102に摺動自在に接続されてもよい。この例ではクリップ116が使用されているが、十二指腸内視鏡102の長さに沿って所望の位置まで摺動し得るループ又はリングなどの他の様々な取付方法を使用してもよい。
【0036】
スコープキャップ100は、
図14に示すような直視型構成と
図15に示すような側視型構成との間で移行してもよい。スコープキャップ100を直視型構成から側視型構成に移行するために、アクセサリチャネル112、114を十二指腸内視鏡102及びスコープキャップ100に対して遠位方向に前進させてもよい。この動きによってピボットアーム104に力がかけられ、それによってピボットアーム104が回転中心106の周りを回転し、それによってスコープキャップ100を
図15に示すような側視型構成に移行する。側視型構成において、ピボットアーム104は直視型構成と比較して約90度回転してもよい一方、アクセサリチャネル112、114は十二指腸内視鏡102から離れる方に湾曲し、その後、スコープキャップ100に向かって、十二指腸内視鏡102の長さに実質的に垂直に再び湾曲してもよい。あるいは、ピボットアーム104は場合によっては45度~135度超の範囲の様々な角度で回転してもよい。この湾曲又はアーチを容易にするために、最遠位のクリップ116とスコープキャップ100との間に十分量の空間を与えることで、アクセサリチャネル112、114が最遠位のクリップ116とスコープキャップ100との間において、最小限の制限を伴って十二指腸内視鏡から離れる方に湾曲することを可能にすることが理想的であり得る。側視型構成にあるとき、スコープキャップ100の開口部118は、アクセサリチャネル112、114を通過するツール又は
アクセサリがスコープキャップ100を越えて前進することを可能にしてもよい。
【0037】
使用時、スコープキャップ100はERCP法において、上述の実施形態に類似する手法で使用されてもよい。スコープキャップ100は十二指腸内視鏡102若しくは他のスコープに予め装着されていてもよく、又は医師若しくは他の術者がスコープキャップ100及びアクセサリチャネル112、114を任意の標準的な既存のスコープに取り付けてもよい。スコープキャップ100は十二指腸内視鏡102の遠位端に取り付けてもよい一方、アクセサリチャネル112、114を十二指腸内視鏡102の外側に固定するためにクリップ116を使用してもよい。十二指腸内視鏡102は、その後、スコープキャップ100及びアクセサリチャネル112、114と共に、直視型構成で患者の口腔に挿入されてもよく、スコープキャップ100がファーター乳頭の近傍に配置されるまで胃腸管内を前進させてもよい。その後、アクセサリチャネル112、114は、ピボットアーム104を回転中心106の周りで側視型構成へと回転させるために、遠位に前進させてもよい。その後、種々のアクセサリ又はツールをアクセサリチャネル112、114内に前進させ、所望のように使用してもよい。
【0038】
内視鏡システム10及びスコープキャップ100又はその任意の部分は、使い捨てで設計されてもよく、したがって、使用間における不完全な洗浄による細菌感染のリスクが低下する。
【0039】
本明細書に記載する実施形態は内視鏡検査分野及び内視鏡的逆行性胆管膵管造影法に関して示されているが、実施形態は、複数の器具を同時に有すること及び/又は直視の観点及び側視の観点の両方からものを見る機能によって利する内視鏡粘膜下切開及び任意の他の内視鏡処置を含む他の種々の医療処置で使用してもよい。
【0040】
本開示の記載は本質的に単なる例示であり、したがって、本開示の実体から逸脱しない変更形態は本開示の範囲内にある。このような変更形態は本開示の範囲及び趣旨から逸脱するものではないと考えられる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スコープシステムであって、
長尺状チューブであって、前記長尺状チューブ内に延びるルーメンを含み、遠位部を更に含む、長尺状チューブと、
少なくとも1つのアクセサリチャネルであって、管状構造を含み、前記管状構造は、前記管状構造内に延びるアクセサリルーメンを含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは、少なくとも部分的に前記長尺状チューブの前記ルーメン内に可動的に配置されており、遠位部分を含み、直視型構成と側視型構成との間で移行可能である、少なくとも1つのアクセサリチャネルとを含み、
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部と揃っており、
前記側視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部に対し角度を成して配置されており、
前記スコープシステムは、前記アクセサリルーメン内に少なくとも部分的にかつ着脱自在に配置されているカメラシステムをさらに含む、スコープシステム。
【請求項2】
前記直視型構成において、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部の前記ルーメン内に実質的に配置されている、請求項1に記載のスコープシステム。
【請求項3】
前記長尺状チューブに対する、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの近位部の遠位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが前記直視型構成から前記側視型構成に移行する、請求項1または2に記載のスコープシステム。
【請求項4】
前記長尺状チューブに対する、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルの近位部の近位方向の動きによって、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは前記側視型構成から前記直視型構成に移行する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項5】
前記アクセサリチャネルの前記遠位部分は、前記長尺状チューブの前記遠位部に回転自在に結合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項6】
前記遠位部は回転中心を含み、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルが前記直視型構成と前記側視型構成との間で移行する間、前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは前記回転中心の周りで回転する、請求項1~5のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項7】
前記長尺状チューブの前記遠位部は複数の個別のリブを含み、各複数の個別のリブは、2つの側部と開口部とを含む実質的にU字形の断面を含み、前記2つの側部は実質的に菱形である、請求項1~6のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項8】
前記長尺状チューブの前記遠位部に接続されており、前記長尺状チューブに沿って近位に延びる第1の駆動部材及び第2の駆動部材を更に含み、
前記第1の駆動部材の近位の動きによって前記長尺状チューブの前記遠位部が第1の方向に曲がり、前記第2の駆動部材の近位の動きによって前記長尺状チューブの前記遠位部が第2の方向に曲がる、請求項1~7のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項9】
前記遠位部に接続された照明を更に含み、前記第1の駆動部材及び前記第2の駆動部材のうちの1つは、前記照明と電源との間に電気配線を更に含む、請求項8に記載のスコープシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは第1のアクセサリチャネル及び第2のアクセサリチャネルを含み、前記第1のアクセサリチャネルは、前記第2のアクセサリチャネルから独立して、前記直視型構成と前記側視型構成との間で移行可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアクセサリチャネルは第1のアクセサリチャネル及び第2のアクセサリチャネルを含み、
前記アクセサリルーメンは、第1のアクセサリルーメン及び第2のアクセサリルーメンを含み、前記第1のアクセサリルーメンは前記第1のアクセサリチャネル内に延び、前記第2のアクセサリルーメンは前記第2のアクセサリチャネル内に延びる、請求項1~9のいずれか一項に記載のスコープシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
この時点で、ファーター乳頭Pを通って膵管
PD又は総胆管C
BDにアクセスするための種々のツールを使用してもよい。カメラシステム70が予め使用されていた場合、任意選択的に、付加的なツールの使用を可能にするために取り外してもよい。アクセサリチャネル16、18の緩やかな、湾曲した経路によってアクセサリチャネル16、18とツールとの間の摩擦を低減してもよく、したがって、医師がツールをファーター乳頭Pに向かって前進させるのに必要な力の量を低減する。例えば、ファーター乳頭P内に見られる強固な筋肉であるオッディ括約筋は、総胆管CBD又は膵管PDへのアクセスを可能にするために拡張される又は切開される必要があり得る。したがって、
図13に示すように、括約筋切開器72(オッディ括約筋を切開可能な細いワイヤを備える長いツール)を、アクセサリチャネル18内において、乳頭Pに向かって前進させてもよい。その後、括約筋切開器72を使用してオッディ括約筋を切開することで、総胆管CBD及び膵管PDへのアクセスポイントを形成してもよい。医師は、括約筋切開器72又は他のツールを括約筋に対して適切に位置決めし、括約筋に十分な力を与えることに苦慮することが多い。十二指腸Dの反対側の壁に接触するアクセサリチャネル16、18は、内視鏡システム10の位置決めを損なうことを懸念することなく医師が十分量の力を括約筋切開器72又は他のツールに加えることを可能にし得るアンカー点を提供する。アクセスポイントが作成されると、カメラシステム70、放射線不透過性色素注入器、腎結石除去器等を含む種々のツールを、アクセサリチャネル16、18のいずれかを通じて、総胆管CBD又は膵管PDへと前進させてもよい。
【外国語明細書】