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特開2022-126773難治性全身型重症筋無力症の処置のための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126773
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】難治性全身型重症筋無力症の処置のための方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20220823BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20220823BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220823BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P21/04 ZNA
C07K16/18
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100008
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2018562058の分割
【原出願日】2017-05-15
(31)【優先権主張番号】62/500,643
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/342,321
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/489,240
(32)【優先日】2017-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/346,168
(32)【優先日】2016-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508191042
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Alexion Pharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】カミール・ベドロシアン
(72)【発明者】
【氏名】ファニー・オブライエン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ジン・ワン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重症筋無力症(MG)処置に有用な医薬組成物を提供する。
【解決手段】抗補体成分5(C5)抗体であるエクリズマブを含む医薬組成物であって、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与される、医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に治療有効量のエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;かつ
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与される、
上記方法。
【請求項2】
1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用してエクリズマブが投与され;そして
ここで患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続く、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の4時間以内に患者に300mgと1200mgとの間の用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の90分以内に患者に600mgと900mgとの間の用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の1時間以内に患者に600mgの用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
患者は、26週の処置の後に、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコアにおける臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-ADLスコアにおける少なくとも3ポイントの減少である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者は、26週の処置の後に定量的重症筋無力症スコア(QMG)において臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGスコアにおける少なくとも4ポイントの減少である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者は、26週の処置の後に重症筋無力症コンポジット(MGC)スコアにおいて臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおけ
る少なくとも6ポイントの減少である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
患者は、26週の処置の後に重症筋無力症生活の質(MG-QOL-15)スコアにより測定した生活の質における臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも6ポイントの減少である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者は、26週の処置の後にNeuro-QOL疲労スコアにより測定して神経-疲労における臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも8ポイントの減少である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者は、26週の処置の後にEQ-5D健康状態スコアにより測定して健康状態において臨床的に有意な改善(増加)を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも2つの測定で臨床的に有意な改善(減少)を有する、
上記方法。
【請求項19】
エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用してエクリズマブが投与され;
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも3ポイントの減少、QMGの少なくとも4ポイントの減少、MGCにおける少なくとも6ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも6ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも8ポイントの減少である、
上記方法。
【請求項20】
患者は全身型重症筋無力症の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも4ポイントの減少、QMGの少なくとも5ポイントの減少、MGCにおける少なくとも10ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも11ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも16ポイントの減少である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エクリズマブは静脈内注入により投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
エクリズマブは皮下投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
エクリズマブは、配列番号10に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
エクリズマブは、配列番号14に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
患者は、1年又はそれ以上にわたる2つ又はそれ以上のISTを順番に又は組み合わせて用いた処置に失敗した、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
患者は少なくとも1つのISTで失敗し、そして症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
治療有効量のエクリズマブは患者の血清中50~100μg/mLの濃度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
患者は、少なくとも26週の処置の後に1つ又はそれ以上のISTの投与の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
患者は、少なくとも26週の処置の後にIST投薬の減少を経験する、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
患者は、少なくとも26週の処置の後に、1つ又はそれ以上のIST投薬の減少及び1つ又はそれ以上のISTの中止を経験する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
重症筋無力症(MG)は、神経筋伝達の不全により引き起こされる珍しい衰弱性の後天的な神経筋接合部(NMJ)の自己免疫神経障害であり、これは自己抗体(Ab)のNMJにおけるシグナル伝達に関与するタンパク質への結合から生じる。これらのタンパク質としては、ニコチンアセチルコリン受容体(AChR)又は、より低い頻度で、AChRクラスター形成に関与する筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
MGは米国において100,000人あたり14~20の有病率を有し、およそ60,000人のアメリカ人が患っている。これは男性及び女性に等しい比で影響するが、ピークの発生年齢が60歳代又は70歳代である男性と比較して女性の発生率は30歳代でピークとなる。MGによる死亡率は約4%であり、大部分は呼吸不全に起因する。
【0003】
重症筋無力症は、臨床的には随意骨格筋の脱力及び易疲労性を特徴とする。MGは最初は眼及び眼瞼の運動に影響を及ぼし得る眼筋MG(oMG)と呼ばれる眼筋脱力を示し得る。被験体の10パーセントは眼筋に限定された疾患を有する。被験体の90パーセントは、首、頭部、脊柱、眼球、呼吸器、または四肢の筋肉を含む筋力低下を伴う全身型MGを有する。眼球脱力(Bulbar weakness)は、脳幹の球状部分(bulb-like part)から生じる神経により制御される筋肉を指し、そして話すこと、咀嚼、嚥下、及び頭部の制御の困難性として現れる。MGは筋無力症性クリーゼと呼ばれる生命を脅かす呼吸不全を引き起こし得る。被験体の約15%~20%は、それらの疾患の過程で筋無力症性クリーゼを経験し、75%は診断の2年以内であり、入院及び換気補助を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MG治癒はないが、筋力低下を減少させ、そして神経筋機能を改善する様々な治療がある。重症筋無力症の現在利用可能な処置は、神経筋伝達を調節すること、病原性抗体の産生もしくは効果を阻害すること、又は炎症性サイトカインを阻害することを目的とする。現在のところNMJ傷害の根底にある病理を具体的に標的とする具体的な処置はない。抗AChR抗体-AChR相互作用は、古典的経路を介した補体活性化及び炎症を生じ、結果としてNMJの破壊を生じる。MGにおける自己免疫欠損を修正する具体的な処置はない。免疫抑制治療(IST)を用いて、現在の標準的な治療は、通常はコリンエステラーゼ阻害剤、コルチコステロイド及び免疫抑制剤(最も一般的にはアザチオプリン[AZA]、シクロスポリン、及びミコフェノール酸モフェチル[MMF])を組み合わせて、MGを有する被験体の大部分は、彼らの疾患をかなりよく制御される。しかし、ISTに対して適切に応答しないか、又はISTに対して不耐容であり、かつ臨床的安定を維持するために血漿交換(PE)及び/又は静脈内免疫グロブリン(IVIg)を必要とする難治性の被験体のコホートが存在する。これらの被験体のために代替の治療が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本開示は、治療有効量の抗補体成分5(C5)抗体又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを少なく
とも26週間投与される。
【0006】
特定の実施態様において、本開示は、治療有効量の抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで抗C5抗体、又はその抗原結合フラグメントはエクリズマブ又はエクリズマブ変異体であり、患者はエクリズマブ又はエクリズマブ変異体を少なくとも26週間投与される。
【0007】
別の実施態様において、本開示は、治療有効量のエクリズマブを患者に投与することを含む方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候(bulbar signs)及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;そしてここで患者は、エクリズマブを少なくとも26週間投与される。
【0008】
一実施態様において、本開示は、エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ以前にすくなくとも2つの免疫抑制剤を用いた処置に失敗し、又は少なくとも1つの免疫抑制剤を用いた処置に失敗し、かつ慢性的な血漿交換もしくはIVIgを受けており、かつ試験登録時にMG-ADL総スコア≧6を有しており;ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入量として1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、ここで患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き、そしてここで患者は、MG-ADL、QMG、及びMGCからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の2つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する。
【0009】
特定の実施態様において、本開示は、エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、又は臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換もしくは慢性的なIVIgを必要とし;ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、ここで患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与される。
【0010】
さらなる実施態様において、本開示は、エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mg、そしてその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続く方法を提供する。
【0011】
特定の実施態様において、本開示は、投薬レジメンが第三期を更に含み、そして第三期
が、患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の4時間以内に患者に300mgと1200mgとの間の用量でエクリズマブを投与することをさらに含む方法を提供する。他の実施態様において、第三期は、患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の90分以内に患者に600mgと900mgとの間の用量でエクリズマブを投与することを含む。さらに他の実施態様において、第三期は、患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の1時間以内に患者に600mgの用量でエクリズマブを投与することを含む。
【0012】
一実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後に、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコアにおいて臨床的に有意な改善(減少)を経験する。特定の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-ADLスコアにおける少なくとも3ポイントの減少である。別の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-ADLスコアにおける4ポイントの減少である。
【0013】
別の実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後に定量的重症筋無力症スコア(QMG)における臨床的に有意な改善(減少)を経験する。特定の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGスコアにおける少なくとも4ポイントの減少である。別の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGスコアにおける5ポイントの減少である。
【0014】
別の実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後に重症筋無力症コンポジット(Myasthenia Gravis Composite)(MGC)スコアにおける臨床的に有意な改善(減少)を経験する。特定の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおける少なくとも6ポイントの減少である。別の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおける少なくとも10ポイントの減少である。
【0015】
別の実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後に重症筋無力症生活の質(MG-QOL-15)スコアにより測定して生活の質において臨床的に有意な改善(減少)を経験する。特定の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも6ポイントの減少である。別の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも11ポイントの減少である。
【0016】
別の実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後にNeuro-QOL疲労スコアにより測定して神経-疲労(neuro-fatigue)において臨床的に有意な改善(減少)を経験する。特定の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも8ポイントの減少である。別の実施態様において、患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも16ポイントの減少である。
【0017】
特定の実施態様において、本明細書において提供される方法により処置される患者は、26週の処置の後にEQ-5D健康状態スコアにより測定して健康状態において臨床的に有意な改善(増加)を経験する。
【0018】
特定の実施態様において、本開示は、患者にエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;ここでエクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き、そして患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも1つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する。
【0019】
別の実施態様において、本開示は、患者にエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、ここで患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;ここでエクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き、そして患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の2つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する。
【0020】
別の実施態様において、本開示は、患者にエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、又は臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換若しくは慢性的なIVIgを必要とし;ここでエクリズマブは、1日目に900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五用量として1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、ここで患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;ここでエクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き、そして患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の3つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する。特定の実施態様において、患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の4つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する。別の実施態様において、患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意
な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLである。
【0021】
別の実施態様において、本開示は、患者にエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、又は臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換若しくは慢性的なIVIgを必要とし;ここでエクリズマブは、1日目に900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五用量として1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され、ここで患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;ここでエクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとに1200mgを投与することを含む維持期が続き、そして患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも3ポイントの減少、QMGにおける少なくとも4ポイントの減少、MGCにおける少なくとも6ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも6ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも8ポイントの減少である。特定の実施態様において、患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも4ポイントの減少、QMGにおける少なくとも5ポイントの減少、MGCにおける少なくとも10ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも11ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも16ポイントの減少である。
【0022】
さらなる実施態様において、本開示は、エクリズマブを静脈内注入により投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供する。別の実施態様において、エクリズマブは皮下投与される。別の実施態様において、エクリズマブは、配列番号10に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含む。さらに別の実施態様において、エクリズマブは、配列番号14に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である。特定の実施態様において、エクリズマブは、配列番号12に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である。
【0023】
さらに別の実施態様において、本開示は、抗C5抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで抗体は、配列番号27に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号28に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントである。さらに別の実施態様において、抗体は、配列番号35に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号36に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントである。さらに別の実施態様において、抗体は、配列番号37に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号38に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0024】
一実施態様において、本開示は、抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、1年又はそれ以上にわたる2つ又はそれ以上のISTを順番に又は組み合わせて用いた処置に失敗した。
【0025】
一実施態様において、本開示は、抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、少なくとも1つのISTに失敗し、かつ重症筋無力症の症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする。
【0026】
一実施態様において、本開示は、治療有効量のエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、治療有効量のエクリズマブは、患者の血清中50~100μg/mLの間の濃度で維持される。
【0027】
一実施態様において、本開示は、治療有効量のエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、少なくとも26週の処置の後に1つ又はそれ以上のISTの投与の中止を経験する。
【0028】
一実施態様において、本開示は、治療有効量のエクリズマブを投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法を提供し、ここで患者は、少なくとも26週の処置の後にIST投薬の減少を経験する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本明細書に開示される臨床試験の全体設計の図である。
図2A図2Aは、本明細書に開示される臨床試験において使用された健康状態質問票のEUROQOL(EQ-5D)調査の図である。
図2B図2Bは、本明細書に開示される臨床試験において使用された健康状態質問票のEUROQOL(EQ-5D)調査の図である。
図3図3は、本明細書に開示される臨床試験において使用された髄膜炎菌(N. meningitidis)ワクチン接種スケジュールの図である。
図4図4は、本明細書に開示される臨床試験において使用される投薬スケジュールの図である。
図5図5は、本明細書に開示される臨床試験において使用される、投薬、臨床評価及び安全性経過観察スケジュールの図である。
図6図6は、本明細書に開示される延長期間も含む臨床試験において使用される投薬スケジュールの図である。
図7図7は、試験の初期26週の間にプラセボ及びエクリズマブ群について得られたMG-ADL値のベースラインからの変化の図式表現である。
図8図8は、試験の初期26週の間にプラセボ及びエクリズマブ群について得られたQMG値のベースラインからの変化の図式表現である。
図9図9は、試験の初期26週の間にプラセボ及びエクリズマブ群について得られたMGC値のベースラインからの変化の図式表現である。
図10図10は、試験の初期26週の間にプラセボ及びエクリズマブ群について得られたMG-QOL 15値のベースラインからの変化の図式表現である。
図11図11は、試験の初期26週の間にQMGスコアにおいて5ポイントと10ポイントの間を達成したプラセボ及びエクリズマブ処置群の両方における患者の数の図式表現である。
図12図12はREGAIN試験設計の図である。
図13図13は、ベースラインkら26週目に、総スコアにおける改善を有し救援治療のない患者の比率を示すレスポンダー解析(MG-ADL及びQMG)の図式表現である。
図14図14は、ベースラインから26週までの期間にわたってMG-ADL総スコアにおける≧3、≧5、または≧8ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない患者の比率の図式表現である。
図15図15は、ベースラインから26週までの期間にわたってQMG総スコアにおける≧5、≧7、または≧10ポイントの減少を有し、かつ救援のない患者の比率の図式表現である。
図16図16は、26週目に救援治療のない二重レスポンダー(dual responders)(MG-ADL及びQMG総スコアにより評価される)の図式表現である。
図17図17は、ベースラインから26週までの期間にわたって評価された、MG-ADL総スコアにおける少なくとも3ポイントの改善及びQMG総スコアにおける≧5ポイントの改善を有し、かつ救援治療のない患者の比率の図式表現である。
図18図18は、MG-ADL及びQMGに基づく徐々に厳しくなる基準を同時に満たす患者のパーセンテージの図式表現である。一番下の行は、MCID(最小の臨床的に有意な差異: MG-ADLについて3及びQMGについて5)の上の両方のスケールについての閾値を示す。より高いバーは増加する閾値を表す。一番右のパネルは、エクリズマブ処置患者対プラセボ処置患者についての各閾値を満たすことについてのオッズ比を示す。
図19図19は、反復測定モデルを使用した試験ECU-MG-302におけるECU-MG-302ベースラインから52週までの期間にわたる処置アームごとのMG-ADL総スコア(LS平均及び95%CI)におけるベースラインからの変化の図式表現である。
図20図20は、試験ECU-MG-302におけるECU-MG-301ベースラインから52週までの期間にわたる処置アームごとのMG-ADL総スコア(平均及び95%CI)におけるベースラインからの変化の図式表現である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本開示は、補体成分5(C5)に特異的に結合する抗体を投与することをにより、それを必要とする被験体または患者において重症筋無力症(MG)を処置する方法を提供する。特定の実施態様において、C5に特異的に結合する抗体は、インビボでC5が切断されてC5a及びC5bになる速度を減少させる。他の実施態様において、C5に特異的に結合する抗体は、C5a及び/又はC5bフラグメントの1つまたは両方に結合する。これらの実施態様のいずれかにおいて、C5に特異的に結合する抗体は、C5における補体カスケードを遮断し、それによりC5aのような炎症促進性メディエーターの放出及びC5b-9膜侵襲複合体(MAC)の形成を減少させる。
【0031】
特定の実施態様において、C5に特異的に結合する抗体はエクリズマブである。より特定の実施態様において、エクリズマブは抗体またはそのフラグメントである。
【0032】
エクリズマブ(h5G1.1-mAb)は、マウス抗ヒトC5抗体m5G1.1から誘導されたヒト化モノクローナル抗体(mAb)である。エクリズマブは終末補体タンパク質C5に特異的に結合し、それにより補体活性化の間のC5a及びC5bへのその切断を阻害する。C5での補体カスケードのこの戦略的遮断は、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに必須である補体活性化の初期成分を保存しながら、炎症促進性メディエーターの放出及び膜侵襲複合体または細胞溶解性膜孔の形成を防止する。
【0033】
C5結合タンパク質は、米国特許第6,355,245号(本明細書において参照によりその全体として本明細書に加入される)に記載される。特定の実施態様において、抗C5抗体はハイブリッドIgG2/4アイソタイプを有するモノクローナル抗体である。他の実施態様において、抗C5抗体は、ヒト血液中に存在する補体の細胞溶解能力を減少させる際に有効である。抗体のこの特性は、例えば、米国特許第6,355,245号に記載されるニワトリ赤血球溶血法のような当該分野で周知の方法により決定され得る。
【0034】
特定の実施態様において、抗C5抗体はC5またはそのフラグメント、例えばC5aまたはC5bに結合する。他の実施態様において、抗C5抗体は、精製されたヒト補体成分C5のアルファ鎖またはベータ鎖のいずれか上のエピトープを認識しそして結合し、そしてC5転換酵素によるC5のC5a及びC5bへの変換を遮断することができる。Wurzner et al.、Complement. Inflamm. 8(5-6):
328-40 (1991)を参照のこと。
【0035】
他の実施態様において、抗C5抗体は、精製されたヒト補体成分C5のアルファ鎖内のエピトープを認識し結合する。この実施態様において、抗体は、C5転換酵素によるC5のC5a及びC5bへの変換を遮断することができる。本実施態様の一例において、抗体は、溶血活性を遮断するために必要な濃度と実質的に同じ濃度でこの遮断生じ得る。
【0036】
いくつかの実施態様において、抗体はアルファ鎖内のアミノ末端領域に特異的に結合するが、しかしそれらは遊離C5aには特異的に結合しない。特定の実施態様において、C5抗体は、補体溶血活性を実質的に阻害することができ、そしてC5aを生じるC5の変換を実質的に阻害することができる。いくつかの実施態様において、C5抗体は3:1またはそれ以下の抗体対抗原(C5)のモル比で使用された場合にこれらの機能を生じる。
【0037】
本明細書で使用される用語「抗体」は、インビボで産生された免疫グロブリン、さらにはハイブリドーマによりインビトロで産生されたもの、及びこのような免疫グロブリンの抗原結合フラグメント(例えば、Fab’調製物)、さらには組み換え的に発現された抗体または抗原結合タンパク質を指し、これらには、免疫グロブリン、キメラ免疫グロブリン、「ヒト化」免疫グロブリン、このような免疫グロブリンの抗原結合フラグメント、単鎖抗体、並びにDVD-Ig及びCODV-Igのような免疫グロブリンから誘導された抗原結合ドメインを含有する他の組み換えタンパク質が含まれる。米国特許第7,161,181号及び同第9,181,349号を参照のこと。「特異性」は、抗原の表面にしばしば見られるエピトープとして知られる特定の位置または構造において抗原を選択的に認識しそして結合する結合タンパク質の能力を指す。
【0038】
用語「特異的に結合する」は、結合タンパク質またはそのフラグメントが、生理学的条件下で比較的安定な複合体を抗原と形成することを意味する。特異的結合は、少なくとも約1x10-6Mまたはそれより小さい解離定数により特徴づけられる。他の実施態様において、解離定数は、少なくとも約1x10-7M、1x10-8M、1x10-9M、または1x10-10Mである。2つの分子が特異的に結合するかどうかを決定するための方法は当該分野で周知であり、これらとしては、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴等が挙げられる。
【0039】
本明細書に記載される抗C5抗体は、補体成分C5(例えば、ヒトC5)に結合し、そしてフラグメントC5a及びC5bへのC5の切断を阻害する。本発明における使用に適した抗C5抗体(またはそれら由来のVH/VLドメイン)は、当該分野で公知の方法を使用して生成することができる。
【0040】
例となる抗C5抗体は、それぞれ配列番号10及び11において示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むエクリズマブ又はそれらの抗原結合フラグメント及び変異体である。エクリズマブ(SOLIRIS(R)としても知られる)は米国特許第6,355,245号に記載される。エクリズマブは、終末補体阻害剤であるヒト化モノクローナル抗体である。
【0041】
他の実施態様において、抗体は、エクリズマブの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR
)又は可変領域を含む。従って、一実施態様において、抗体は、配列番号7に示される配列を有するエクリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するエクリズマブのVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号1、及び2、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号7及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。
【0042】
経験的データは、50μg/mLより高く、かつ少なくとも100μg/mLに近い血清エクリズマブ濃度が、遊離C5濃度を有意に減少させるために必要であることを示す。詳細には、遊離C5濃度は、エクリズマブ濃度を>50μg/mLで開始して増加させるにつれて有意に減少し、そして100μg/mlより高いエクリズマブ濃度ではほぼゼロレベルであった。従って、様々な実施態様において、方法は、治療有効量のエクリズマブを被験体に投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも50μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。別の実施態様において、方法は被験体に治療有効量のエクリズマブを投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも60μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。一実施態様において、方法は治療有効量のエクリズマブを被験体に投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも70μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。別の実施態様において、方法は治療有効量のエクリズマブを被験体に投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも80μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。別の実施態様において、方法は被験体に治療有効量のエクリズマブを投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも90μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。別の実施態様において、方法は、被験体に治療有効量のエクリズマブを投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブは、被験体の血清中少なくとも100μg/mLのエクリズマブの濃度で維持される。
【0043】
別の例となる抗C5抗体は、それぞれ配列番号14及び11において示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含むヒトにおいてより長い半減期(T1/2)を有するように操作された抗体BNJ441として知られるエクリズマブ変異体、又はその抗原結合フラグメント及び変異体である。BNJ441(ALXN1210としても知られる)は、国際公開第WO 2015/134894 A1号及び米国特許第9,079,949号(教示又はそれらは参照により本明細書に加入される)に記載される。BNJ441は、エクリズマブ(SOLIRIS(R))と構造的に関連するヒト化モノクローナル抗体である。BNJ441はヒト補体タンパク質C5に選択的に結合し、補体活性化の間C5a及びC5bへの切断を阻害する。この阻害は、微生物のオプソニン化及び免疫複合体のクリアランスに必須である補体活性化の近位又は初期成分(例えば、C3及びC3b)を保存しながら、炎症促進性メディエーターC5aの放出及び細胞溶解性膜孔を形成する膜侵襲複合体C5b-9の形成を防止する。
【0044】
他の実施態様において、抗体はBNJ441の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含む。従って、一実施態様において、抗体は配列番号12に示される配列を有するBNJ441のVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ441のVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体はそれぞれ配列番号12及び配列番号8に示され
るアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施態様において、抗体は配列番号13に示されるアミノ酸配列を有するBNJ441の重鎖定常領域を含み得る。
【0045】
様々な実施態様において、エクリズマブは多段階投薬レジメンで投与される。例えば、多段階投薬レジメンは、様々な実施態様において第一期及び第二期を含む。特定の実施態様において、第一期は導入期であり、そして1週間に1回エクリズマブを900mgの間で被験体に1~10週間の間投与することを含む。導入期は、最後の900mg用量の1週間後に第一維持期用量1200mgを投与することにより終了する。
【0046】
他の実施態様において、第二期は維持期であり、そして2週ごとに1回エクリズマブを1000と1400mgとの間で被験体に2週間、4週間、6週間、8週間、12週間、26週間、又は重症筋無力症が持続する限り投与することを含む。他の実施態様において、維持期は、エクリズマブを1000と1400mgとの間で2週ごとに1回被験体に2ヶ月間、4ヶ月間、6ヶ月間、8ヶ月間、12ヶ月間、2年間、3年間、4年間、5年間、又は患者の残りの寿命の間投与することを含む。他の実施態様において、導入期が完了すると、維持期はエクリズマブを約1200mgで月に2回(隔週)投与することを含む。
【0047】
別の実施態様において、方法は、治療有効量のエクリズマブ又はエクリズマブ変異体を被験体に投与することを含み、ここで治療有効量のエクリズマブ又はエクリズマブ変異体は、被験体の血清中50~100μg/mLの間、60~100μg/mLの間、70~100μg/mLの間、80~100μg/mLの間、又は90~100μg/mLの間のエクリズマブの濃度で維持される。
【0048】
別の例となる抗C5抗体は、それぞれ配列番号20及び11に示される配列を有する重鎖及び軽鎖を含む抗体BNJ421、又はその抗原結合フラグメント及び変異体である。BNJ421(ALXN1211としても知られる)は、国際公開第WO 2015/134894 A1号及び米国特許第9,079,949号(教示又はそれらは参照により本明細書に加入される)に記載される。
【0049】
他の実施態様において、抗体はBNJ421の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含む。従って、一実施態様において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。別の実施態様において、抗体は、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するBNJ421の重鎖定常領域を含み得る。
【0050】
別の例となる抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号及び同第8,883,158号に記載される7086抗体である。一実施態様において、抗体は7086抗体の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含み得る。米国特許第8,241,628号及び同第8,883,158号を参照のこと。別の実施態様において、抗体又はそのフラグメントは、それぞれ配列番号21、22、及び23に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号24、25、及び26に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含み得る。別の実施態様において、抗体又はそのフラグメントは、配列番号27に示される配列を有する7086抗体のVH領域、及び配列番号28に示される配列を有する7086抗体のVL領域を含
み得る。
【0051】
別の例となる抗C5抗体は、米国特許第8,241,628号及び同第8,883,158号にも記載される8110抗体である。一実施態様において、抗体は8110抗体の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含み得る。抗体又はそのフラグメントは、それぞれ配列番号29、30、及び31に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号32、33、及び34に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含み得る。別の実施態様において、抗体は配列番号35に示される配列を有する8110抗体のVH領域、及び配列番号36に示される配列を有する8110抗体のVL領域を含み得る。
【0052】
別の例となる抗C5抗体は、配列番号37に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号38に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む。
【0053】
様々な実施態様において、エクリズマブ、BNJ441のようなエクリズマブ変異体、又は他の抗C5抗体は、用量に依存して1ヶ月に1回、2ヶ月ごとに1回、又は3ヶ月ごとに1回被験体に投与される。別の実施態様において、エクリズマブ、BNJ441のようなエクリズマブ変異体、又は他の抗C5抗体は、2週ごとに1回、週に1回、週に2回、又は週に3回投与される。他の実施態様において、エクリズマブ、BNJ441のようなエクリズマブ変異体、又は他の抗C5抗体は、患者の必要に依存して、週に1回、2週ごとに1回、3週ごとに1回、4週ごとに1回、5週ごとに1回、6週ごとに1回、又は8週ごとに1回投与される。特定の実施態様において、エクリズマブ、BNJ441のようなエクリズマブ変異体、又は他の抗C5抗体は、静脈内(IV)又は皮下(SubQ)投与される。
【0054】
また、抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを薬学的に許容しうる賦形剤とともに含むMGの処置のための医薬組成物が本明細書に提供される。一実施態様において、組成物は、配列番号7に示される配列を有するエクリズマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するエクリズマブのVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む抗体を含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに軽鎖それぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有するCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号7及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。
【0055】
いくつかの実施態様において、抗体はBNJ441の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含む。一実施態様において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ441のVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ441のVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。
【0056】
いくつかの実施態様において、抗体はBNJ421の重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域を含む。一実施態様において、抗体は、配列番号12に示される配列を有するBNJ421のVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びに配列番号8に示される配列を有するBNJ421のVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン
を含む。別の実施態様において、抗体は、それぞれ配列番号19、18、及び3に示される配列を有する重鎖CDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、並びにそれぞれ配列番号4、5、及び6に示される配列を有する軽鎖CDR1CDR2、及びCDR3ドメインを含み、抗体はそれぞれ配列番号12及び配列番号8に示されるアミノ酸配列を有するVH及びVL領域を含む。
【0057】
1. 重症筋無力症を処置する方法
本開示は、C5に特異的に結合する抗体を投与することにより重症筋無力症(MG)に罹患している被験体を処置する方法を提供する。他の実施態様において、被験体は哺乳動物被験体である。
【0058】
本明細書において使用される用語「被験体」及び「患者」は交換可能である。特定の実施態様において、被験体及び/又は患者は哺乳動物である。特定の実施態様によれば、霊長類はヒトを含む。従って、特定の実施態様において、本明細書に記載されるMGに罹患している被験体又は患者はヒトである。
【0059】
特定の実施態様において、MGは難治性全身型重症筋無力症を含む。いくつかの実施態様において、難治性全身型重症筋無力症は、コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)のような重症筋無力症の現在の標準的な治療を受けている間に顕著な全身性脱力又もしくは眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し続けるか、又は臨床的安定を維持するために慢性的な血症交換もしくは慢性的なIVIgを必要とする、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性である被験体又は患者を含むと特徴づけられる。他の実施態様において、難治性全身型重症筋無力症は、コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)のような重症筋無力症の現在の標準的な治療を受けている間に顕著な全身性脱力又もしくは眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し続けるか、又は臨床的安定を維持するために慢性的な血症交換もしくは慢性的なIVIgを必要とする被験体又は患者を含むと特徴づけられる。
【0060】
他の実施態様において、MGは難治性全身型重症筋無力症を含む。いくつかの実施態様において、難治性全身型重症筋無力症は、コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を受けている間に顕著な全身性脱力又もしくは眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し続け、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血症交換もしくは慢性的なIVIgを必要とする、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性である被験体又は患者を含むと特徴づけられる。他の実施態様において、難治性全身型重症筋無力症は、コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を受けている間に顕著な全身性脱力又もしくは眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し続け、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血症交換もしくは慢性的なIVIgを必要とする被験体又は患者を含むと特徴づけられる。
【0061】
本明細書において使用される、臨床的安定を維持するために「慢性的血症交換を必要とする」という句は、最近12ヶ月の間に少なくとも3ヶ月ごとに筋力低下の管理のために定期的に患者に対して血漿交換療法を使用することを指す。
【0062】
本明細書において使用される、臨床的安定を維持するために「慢性的IVIgを必要とする」という句は、最近12ヶ月にわたって少なくとも3ヶ月毎に筋力低下の管理のために定期的に患者に対してIVIg治療を使用することを指す。
【0063】
特定の実施態様において、MGの処置は、MGに関連する1つ又はそれ以上の症状の寛解又は改善を含む。MGに関連する症状としては、筋力低下及び易疲労性が挙げられる。主にMGに影響を受ける筋肉としては、眼及び目蓋の運動、表情、咀嚼、会話、嚥下、呼
吸、頸部運動、及び肢運動を制御する筋肉が挙げられる。
【0064】
他の実施態様において、MGの処置は、MG進行についての臨床マーカーの改善を含む。これらのマーカーとしては、MG日常生活動作プロフィール(MG-ADL)、疾患重症度についての定量的重症筋無力症(QMG)スコア、重症筋無力症コンポジット(MGC)、陰圧吸息力(NIF)、努力肺活量、MGFA介入後状態、及び他の生活の質尺度が挙げられる。特定の実施態様において、MG-ADLは、MGの改善を測定するための主要スコアである。
【0065】
MG-ADLは、MG被験体における関連する症状及び日常生活動作の機能的遂行(ADL)に焦点を当てる8ポイント質問票である(表1を参照のこと)。MG-ADLの8項目は、MGからの影響に関連する眼(2項目)、眼球(3項目)、呼吸器(1項目)、及び粗大運動又は四肢(2項目)の機能障害に続発する障害を評価するために元の13項目QMGの症状に基づくコンポーネントから誘導されたものである。この機能的状態手段において、各回答は0(正常)から3(最も重症)に等級分けされる。総MG-ADLスコアの範囲は0~24である。患者のMG-ADLにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアの3ポイント又はそれ以上の減少だろう。
【0066】
現在のQMGスコアリングシステムは13項目からなる:眼(2項目)、顔面(1項目)、眼球(2項目)、総合的運動(6項目)、軸(1項目)、及び呼吸器(1項目);それぞれ0~3に等級付けされ、3が最も重症である(表2を参照のこと)。総QMGスコアの範囲は0~39である。QMGスコアリングシステムは、MGの治療の客観的な評価であると考えられ、そして指標筋肉群(sentinel muscle groups)の定量的試験に基づく。MGFA調査特別委員会(task force)は、QMGスコアがMGの治療の前向き試験において使用されることを推奨した。患者のQMGにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアの5ポイント又はそれ以上の減少だろう。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
MGCは、MGを有する被験体の臨床状態を測定するための有効な評価ツールである(16)。MGCは、MGにより最も頻繁に影響を受ける10の重要機能領域を評価し、そしてスケールは被験体が報告したアウトカムを組み込んだ臨床的有意性について重み付けされる。表3を参照のこと。MGCは、スクリーニング時、1日目、1~4、8、12、
16、20、及び26週目又はET(来診1~6、8、10、12、14、及び17又はET)に投与される。患者のMGCにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアにおける3ポイント又はそれ以上の減少だろう。
【0070】
【表3】
【0071】
15項目重症筋無力症生活の質15スケール(MG-QOL 15)は、MGを有する被験体に特有の健康に関連する生活の質を評価可能な手段である。表4を参照のこと。MG-QOL15は、機能障害及び身体障害の被験体の感覚、並びに疾患症状が許容される程度についての情報を提供し、そして管理及び説明しやすくするために設計された。総スコアの範囲は0から60である。より高いスコアは、MGに関連する機能不全に対する患者のより高い程度の不満に変換される。MG-QOL 15は被験体により全ての項目が記入される。より高いスコアは、MG関連機能不全の高い程度及び不満を示す。患者のMG-QOL 15における臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアにおける減少だろう。
【0072】
【表4】
【0073】
Neuro-QOL疲労(Fatigue)は、被験体により全ての項目に記入される信頼できる有効な短い19項目の疲労の調査である。より高いスコアはより重い疲労及び活動に対するMGのより大きな影響を示す(表5を参照のこと)。患者のNeuro-QQL疲労スコアにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアにおける減少に反映されるだろう。
【0074】
【表5】
【0075】
EUROQOL(EQ-5D)は、5つの領域: 移動、身の回りの世話、普段の活動、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みにおける健康状態の、被験体により全ての項目に記入される信頼性のある有効な調査である。各領域は3つのレベルを有する:レベル1(
問題なし)、レベル2(いくらかの問題)、及びレベル3(非常に問題)(図2A及び2Bを参照のこと)。EQ VASは。被験体の自己評価した健康を垂直20cm視覚的アナログスケールで記録し、ここで端点は、「100」と印をつけられた「想像可能な最も良い健康状態」、そして0と印をつけられた「想像可能な最も悪い健康状態」とラベルをつけられる。EQ-5Dは、1日目、4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診2、6、8、10、12、14、及び17又はET)に行われる。患者のEQ-5Dにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアにおける増加として反映されるだろう。
【0076】
徐々に重症になるMGを有する被験体は、深刻な呼吸筋力低下を含む致死の可能性がある呼吸性合併症に罹患し得る。呼吸機能は、MG被験体における呼吸不全の証拠について密にモニタリングされ、そして人工呼吸器支援が、努力肺活量(FVC)もしくは陰性吸気流速(Negative Inspiratory Force)(NIF)の段階的測定における一貫した低下の事象、上気道整合性(upper airway integrity)の喪失(口内分泌、嚥下、又は会話を扱う困難性)、又は新たに出現する呼吸不全の状況において推奨される。QMGの試験項目の1つとしてのFVCは、QMGが行われるときに行われる。NIFはNIF計測器を使用して行われる。
【0077】
MG臨床状態はMGFA介入後状態を使用して評価される。MGの改善、変化なし、悪化、増悪及び死亡の状態カテゴリーの変化、さらには軽微症状(Minimal Manifestation)(MM)が評価され得る。
【0078】
特定の実施態様によれば、エクリズマブを投与された患者は減少したMG-ADLを示す。特定の実施態様において、被験体は6ポイントより高い初期MG-ADLスコアを有する。他の実施態様において、被験体は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23ポイントより高い初期MG-ADLスコアを有する。特定の実施態様において、エクリズマブを用いた処置の過程の後、被験体のMG-ADLスコアは、6ポイント未満に減少された。他の実施態様において、MG-ADLスコアは、エクリズマブを用いた処置の後に、少なくとも1ポイント、少なくとも2ポイント、少なくとも3ポイント、少なくとも4ポイント、少なくとも5ポイント、少なくとも6ポイント、少なくとも7ポイント、少なくとも8ポイント、少なくとも9ポイント、少なくとも10ポイント、少なくとも11ポイント、少なくとも12ポイント、少なくとも13ポイント、少なくとも14ポイント、少なくとも15ポイント、少なくとも16ポイント、少なくとも17ポイント、少なくとも18ポイント、少なくとも19ポイント、少なくとも20ポイント、少なくとも21ポイント、少なくとも22ポイント、少なくとも23ポイント、又は少なくとも24ポイント減少した。特定の実施態様において、患者のMG-ADLスコアは、エクリズマブを用いた処置の過程の後に少なくとも1ポイント減少する。他の実施態様において、患者のMG-ADLは、エクリズマブを用いた処置の過程の後に1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24ポイント減少する。
【0079】
特定の実施態様によれば、エクリズマブを用いた処置の過程は26週間続く。他の実施態様によれば、処置の過程は26~52、26~78、26~104、26~130、26~156、26~182、26~208週、又はそれ以上続く。他の実施態様において、処置の過程は、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156、又は182週より長く続く。他の実施態様によれば、処置の過程は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80年、又はそれ以上より長
く続く。特定の実施態様において、処置の過程は被験体の寿命の残りの間続く。
【0080】
特定の実施態様において、処置の過程の間に、MGに関連する1つまたはそれ以上の症状又はスコアは処置の過程の間に改善し、そして処置の間中、改善されたレベルで維持される。例えば、MG-ADLは、C5に特異的に結合する治療用抗体を用いた26週の処置の後に改善し得、その後、処置の期間の間改善されたレベルのままであり、これはC5に特異的に結合する治療用抗体を用いた52週の処置である。C5に結合する治療用抗体の一例はエクリズマブである。
【0081】
特定の実施態様において、改善の最初の徴候は、C5に特異的に結合する治療用抗体を用いた26週の処置により起こる。他の実施態様によれば、改善の最初の徴候は、C5に特異的に結合する治療用抗体を用いた処置の1~26、26~52、52~78、78~104、104~130、130~156、156~182、又は182~208週の間に生じる。他の実施態様において、改善の最初の徴候は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156、又は182週目に生じる。
【0082】
特定の実施態様によれば、改善の最初の徴候は、エクリズマブ又はBNJ441のようなエクリズマブ変異体のようなC5に特異的に結合する結合タンパク質を用いた処置の間に多数の週の間維持される。特定の実施態様によれば、この週の数は少なくとも26である。他の実施態様によれば、この週の数は、1~26、26~52、52~78、78~104、104~130、130~156、156~182、又は182~208である。他の実施態様において、この週の数は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156、又は182である。
【0083】
特定の実施態様によれば、エクリズマブ又はBNJ441、BNJ421、7086、及び8110のような他の抗C5抗体は、MGに罹患している被験体に600と6000mgとの間で投与され得る。他の実施態様によれば、エクリズマブ又はBNJ441、BNJ421、7086、及び8110のような他の抗C5抗体の導入量は、900と1500mgとの間、900と1200mgとの間、900mg、又は1200mgである。他の実施態様によれば、エクリズマブ又はBNJ441、BNJ 421、7086、及び8110のような他の抗C5抗体の維持量は、約600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2500、3000、4000、5000、又は6000mgである。
【0084】
これらの用量は、月に1回、2週間ごとに1回、週に1回、週に2回、又は毎日投与され得る。特定の実施態様によれば、用量は2週間ごとに1回又は週に1回投与される。他の実施態様によれば、エクリズマブは、多段階投薬レジメンでMGに罹患している被験体に投与される。特定の実施態様によれば、多段階投薬レジメンには、2、3、4、6、7、8、9、10、又はそれ以上の段階を有する。特定の実施態様において、各段階はその前の段階よりも高い用量を提供する。
【0085】
特定の実施態様において、エクリズマブ多段階投薬レジメンは2つの段階を有する。第一の段階は導入期である。この段階は週あたり600、900、1200、1500、又
は1800mgの用量を提供する。特定の実施態様において、この段階は、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間続く。他の実施態様において、この段階は2週と6週との間続く。他の実施態様において、段階は5週間続く。特定の実施態様によれば、いずれかの週に投与される用量は前の週よりも高い。他の実施態様において、用量は多数の週の間同じままであり、その後増加される。いくつかの実施態様において、用量は最初の1、2、3、4、5、6、7、8、又は9週間同じままであり、その後増加される。他の実施態様において、用量は最初の4週間同じままである。いくつかの実施態様によれば、エクリズマブ用量は、多数の週の間、600と1200mgとの間、800と1500mgとの間、900と1200mgとの間、900と1100mgとの間、900と1000mgとの間、800と1000mgとの間、800と1100mgとの間、又は800と1200mgとの間で投与され、その後増加される。一実施態様において、エクリズマブ用量は、1日目に約900mgで投与され、続いて7日目に900mg、14日目に900mg、21日目に900mgで投与され、ついで28日目に第五用量のために1200mgに増加され、その後14±2日ごとに1200mgが投与される。
【0086】
一つの特定の実施態様において、エクリズマブ導入期投薬レジメンは、以下のスケジュールで投与される5つの用量を含む:
1日目に900mg;7日目に900mg(1週);14日目に900mg(2週)、21週目に900mg(3週)、及び28日目に1200mg(4週)、その後14±2日ごとに1200mgが投与される。各用量間の実際の日数は、患者のスケジュールにおける予期しない事象に対応するために1又は2日だけ導入の間に変化し得る。
【0087】
この実施態様によれば、エクリズマブ投薬の第二段階は維持期である。エクリズマブ投薬の維持期は、6週と被験体の寿命との間続き得る。他の実施態様によれば、維持期は26~52、26~78、26~104、26~130、26~156、26~182、26~208週間又はそれ以上続く。他の実施態様において、維持期は、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、78、104、130、156、又は182週間より長く続く。他の実施態様によれば、維持期は、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80年間又はそれ以上続く。特定の実施態様において、維持期は被験体の寿命の残りの間続く。
【0088】
特定の実施態様において、エクリズマブ多段階投薬レジメンは第三段階を含む。この第三段階は、MG患者が臨床安定性を維持するために救援手順(rescue procedure)を受けなければならない場合に使用され、そして血漿交換を施すこと及び/又はIVIgの投薬を含む。この段階において、血漿が交換された後、血漿交換で失われた薬物を置き換えるためにエクリズマブの用量が投与される。特定の実施態様によれば、この救援後エクリズマブ用量は、300と1200mgとの間、400と1500mgとの間、500と1000mgとの間、400と800mgとの間、又は500と700mgとの間である。特定の実施態様によれば、この救援後エクリズマブ用量は約600mgである。別の実施態様において、この救援後又は第三段階において、600mgエクリズマブ用量が、プラスマフェレーシスの完了後1時間以内に投与される。別の実施態様において、第三段階において、600mg用量がプラスマフェレーシスの完了後2時間以内に投与される。別の実施態様において、第三段階において、600mg用量がプラスマフェレーシスの完了後3時間以内に投与される。別の実施態様において、第三段階において、600mg用量がプラスマフェレーシスの完了後4時間以内に投与される。別の実施態様において、第三段階において、600mg用量がプラスマフェレーシスの完了後5時間以内に投与される。別の実施態様において、第三段階において、600mg用量がプラスマフェレーシスの完了後6時間以内に投与される。
【0089】
2. 医薬組成物
エクリズマブを、単独で、又は予防薬、治療剤、及び/もしくは薬学的に許容しうる担体と組み合わせて含む医薬組成物が提供される。本明細書に提供されるエクリズマブを含む医薬組成物は、障害もしくは1つもしくはそれ以上のその症状を予防、処置、管理、もしくは寛解させる際の、及び/又は試験において、障害を診断、検出、もしくはモニタリングする際の使用のためのものである。医薬組成物の製剤化は、単独で、又は予防薬、治療剤、及び/もしくは薬学的に許容しうる担体と組み合わせて、当業者に公知である。
【0090】
本明細書において提供されるエクリズマブ又はBNJ441、BNJ 421、7086、及び8110のような他の抗C5抗体の治療有効量又は予防有効量の例となる非限定的な範囲は、600~5000mg、例えば、900~2000mgである。投薬量の値は、軽減しようとする状態の種類及び重症度によって変わり得ることに留意のこと。さらに当然のことながら、いずれかの特定の被験体について、具体的な投薬レジメンは、個々の必要性及び組成物を投与するか又は組成物の投与を監督する人物の専門的判断に従って時間とともに調整され得、そして本明細書に示される投薬量範囲は説明のためのみのものであり、特許請求される方法の範囲又は実施を制限することは意図されない。
【0091】
3. 組み合わせ治療
本明細書において提供される抗C5抗体をまた、MGの処置において有用な1つ又はそれ以上のさらなる薬剤又は治療剤とともに投与することもできる。例えば、さらなる薬剤は、重症筋無力症又は本明細書において提供される抗体により処置される状態を処置するために有用であると当該分野で認められている治療剤であり得る。組み合わせはまた、1つより多くのさらなる薬剤、例えば2つ又は3つのさらなる薬剤を含み得る。
【0092】
様々な実施態様における結合剤は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、薬物、小分子、又は遺伝子物質(例えば、DNA又はRNA)とともに投与される。様々な実施態様において、薬剤は1つもしくはそれ以上のコリンエステラーゼ阻害剤、1つもしくはそれ以上のコルチコステロイド類、及び/又は1つもしくはそれ以上の免疫抑制薬(最も一般的にはアザチオプリン[AZA]、シクロスポリン、及び/又はミコフェノール酸モフェチル[MMF])である。
【0093】
開示を限定することなく、開示の多数の実施態様は説明の目的のために以下に記載される。
【0094】
項目1: 治療有効量の抗補体成分5(C5)抗体又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって、ここで患者は、抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを少なくとも26週間投与される、上記方法。
【0095】
項目2: 治療有効量の抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって、ここで抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントはエクリズマブ又はエクリズマブ変異体であり、そして
ここで患者はエクリズマブ又はエクリズマブ変異体を少なくとも26週間投与される、上記方法。
【0096】
項目3: 患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症
筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;かつ
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与される、項目1又は2に記載の方法。
【0097】
項目4: エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって:
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;そして
患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与される、上記方法。
【0098】
項目5: エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続く、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
項目6: 投薬レジメンが第三段階を更に含む、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
【0100】
項目7: 第三段階は、患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の4時間以内に患者に300mgと1200mgとの間の用量でエクリズマブを投与することを含む、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
【0101】
項目8: 第三段階は、患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の90分以内に患者に600mgと900mgとの間の用量でエクリズマブを投与することを含む、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
項目9: 患者にプラスマフェレーシスを行うこと、及びプラスマフェレーシスの完了の1時間以内に患者に600mgの用量でエクリズマブを投与することを含む、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
項目10: 患者は、26週の処置の後に、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)における臨床的に有意な改善(減少)を経験する、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
項目11: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-ADLスコアにおける少なくとも3ポイントの減少である、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0105】
項目12: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-ADLスコアにおける少なくとも4ポイントの減少である、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0106】
項目13: 患者は、26週の処置の後に定量的重症筋無力症スコア(QMG)において臨床的に有意な改善(減少)を経験する、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
【0107】
項目14: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGにおける少なくとも4ポイントの減少である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
【0108】
項目15: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGスコアにおける少なくとも5ポイントの減少である、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。
【0109】
項目16: 患者は、26週の処置の後に重症筋無力症コンポジット(MGC)スコアにおける臨床的に有意な改善(減少)を経験する、項目1~15のいずれか1項に記載の方法。
【0110】
項目17: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおける少なくとも6ポイントの減少である、項目1~16のいずれか1項に記載の方法。
【0111】
項目18: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおける少なくとも10ポイントの減少である、項目1~17のいずれか1項に記載の方法。
【0112】
項目19: 患者は、26週の処置の後に重症筋無力症生活の質(MG-QOL-15)スコアにより測定して生活の質における臨床的に有意な改善を経験する、項目1~18のいずれか1項に記載の方法。
【0113】
項目20: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも6ポイントの減少である、項目1~19のいずれか1項に記載の方法。
【0114】
項目21: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも11ポイントの減少である、項目1~20のいずれか1項に記載の方法。
【0115】
項目22: 患者は、26週の処置の後にNeuro-QOL疲労スコアにより測定して神経-疲労において臨床的に有意な改善(減少)を経験する、項目1~21のいずれか1項に記載の方法。
【0116】
項目23: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも8ポイントの減少である、項目1~22のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
項目24: 患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも16ポイントの減少である、項目1~23のいずれか1項に記載の方法。
【0118】
項目25: 患者は、26週の処置の後にEQ-5D健康状態スコアにより測定して健康状態において臨床的に有意な改善(増加)を経験する、項目1~24のいずれか1項に記載の方法。
【0119】
項目26: エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者におい
て難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって:
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも2つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する、
上記方法。
【0120】
項目27: エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって:
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも3つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する、
上記方法。
【0121】
項目28: 患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも4つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する、項目1~27のいずれか1項に記載の方法。
【0122】
項目29: 患者は全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLである、項目1~28のいずれか1項に記載の方法。
【0123】
項目30: エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって:
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも3ポイントの減少、QMGにおける少なくとも4ポイントの減少、MGCにおける少なくとも6ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも6ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも8ポイントの減少である、
上記方法。
【0124】
項目31: 患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも4ポイントの減少、QMGにおける少なくとも5ポイントの減少、MGCにおける少なくとも10ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも11ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも16ポイントの減少である、項目1~30のいずれか1項に記載の方法。
【0125】
項目32: エクリズマブは静脈内注入により投与される、項目1~31のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
項目33: エクリズマブは皮下投与される、項目1~32のいずれか1項に記載の方法。
【0127】
項目34: エクリズマブは、配列番号10に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含む、項目1~33のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
項目35: エクリズマブは、配列番号14に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である、項目1~34のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
項目36: エクリズマブは、配列番号12に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である、項目1~35のいずれか1項に記載の方法。
【0130】
項目37: 抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号27に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号28に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、項目1~36のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
項目38: 抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号35に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号36に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む、項目1~
37のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
項目39: 患者は、1年又はそれ以上にわたる2つ又はそれ以上のISTを順番に又は組み合わせて用いた処置に失敗した、項目1~38のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
項目40: 患者は少なくとも1つのISTに失敗し、かつ重症筋無力症の症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする、項目1~39のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
項目41: エクリズマブを患者に投与することを含む、それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法であって:
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、そしてここで患者は、少なくとも2つの免疫抑制剤を用いた処置に以前に失敗したことがあるか、又は少なくとも1つの免疫抑制剤を用いた処置に失敗し、かつ慢性的な血漿交換若しくはIVIgを必要とし、かつ試験登録時にMG-ADL総スコア≧6を有しており;
ここでエクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者はエクリズマブを少なくとも26週間投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、MG-ADL、QMG、及びMGCからなる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも2つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有する、
上記方法。
【0135】
項目42: 患者に投与されるエクリズマブ又はエクリズマブ変異体の治療有効量は、患者の血清中50~100μg/mLの間の濃度に維持される、項目1~41のいずれか1項に記載の方法。
【0136】
項目43: 患者は、少なくとも26週の処置の後に1つ又はそれ以上のISTの投与の中止を経験する、項目1~42のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
項目44: 患者は、少なくとも26週の処置の後にIST投薬の減少を経験する、項目1~43のいずれか1項に記載の方法。
【0138】
項目45: 患者は、少なくとも26の処置の後に、1つ又はそれ以上のIST投薬の減少及び1つ又はそれ以上のISTの中止を経験する、項目1~44のいずれか1項に記載の方法。
【実施例0139】
実施例1: ヒト被験体において重症筋無力症を処置する際のエクリズマブの有効性。
この試験の主要目的は、MGに特有の日常生活動作プロフィール(MG-ADL)における改善に基づいて難治性gMGの処置におけるプラセボと比較したエクリズマブの有効性を評価することである。
【0140】
本試験の副次的目的は以下を含む:
- gMG被験体においてプラセボと比較してエクリズマブの全体的安全性及び忍容性を特徴づける
- 以下を含むさらなる有効性測定によりプラセボと比較してエクリズマブの有効性を評価する:
・ 疾患重症度について定量的MG(QMG)スコア
・ 重症筋無力症コンポジット(MGC)
・ 被験体にとって最も臨床的に有意である主要症状の改善
・ 眼球、呼吸器、四肢及び眼についてのMG-ADLサブカテゴリー
- 生活の質測定でプラセボと比較したエクリズマブの効果を特徴づける
- gMG被験体におけるエクリズマブのPK及びPDを記載する。
【0141】
1.治験計画
1.1 全体的試験設計及び計画
難治性gMGを有する被験体における処置についてのエクリズマブの安全性及び有効性を評価するための、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照、多施設(北米、南米、欧州、アジア太平洋における約100箇所)の約2年の試験が本明細書に記載される。約92人の適格被験体が、2つの処置アーム(1)エクリズマブ注入又は(2)プラセボ注入のうちの1つに1:1比で1日目に無作為に選ばれた。被験体は、安定用量/種類の免疫抑制剤治療(IST)を受け続けてよいが、新しいISTもIST投薬量の増加も試験の間は許可されない。この試験には3つの期間がある:スクリーニング期、試験期、及び経過観察期(この試験を中止するか又は延長試験に参加しない被験体について)。図1を参照のこと。個々の被験体についての全体試験期間は、登録及び経過観察を含めて38週までかかると見積もられる。被験体は、この試験の完了後にエクリズマブを受けるために延長試験(別の治験実施計画書)に参加する期間を与えられ得る。スクリーニング、試験及び経過観察期のついての評価スケジュールを表6に示す。
【0142】
1.1.1. スクリーニング期(2~4週)
スクリーニング来診時に、被験体からインフォームドコンセントを得た後に、被験体は、治療歴の検討、人口動態データ、及び検査室評価についてスクリーニングされる。治療歴の検討は、この治験実施計画書の組み入れ基準において定義されるMG診断、MGのための以前の処置/治療、例えば、胸腺摘除術、コルチコステロイド類を含むIST、IVIg及び血漿交換、各増悪/クリーゼの期間を含むMG増悪又はクリーゼの病歴、各増悪/クリーゼ時に投与された薬物適用、及び各増悪/クリーゼのための処置の確認を含む。
【0143】
全ての組み入れ基準を満たし、かつ除外基準に当てはまらない場合、ワクチン製造者により特定される活性範囲の期間内にすでにワクチン接種されたか又は現在の医療/国のガイドラインに従ってワクチン接種されていない場合、被験体は髄膜炎菌(N. meningitidis)に対するワクチンを接種される。被験体は、治験薬の最初の用量を投与される少なくとも14日前にワクチン接種されなければならず、かつワクチン接種されそしてワクチン接種の少なくとも14日後までに適切な抗生物質により処置されなければならない。図3を参照のこと。
【0144】
コリンエステラーゼ阻害剤及び支持的なISTの使用は、特定の制限下で治験の間許容される(以下の併用薬を参照のこと)。IVIgの休薬期間は無作為化の前4週である。PEについての休薬期間もまた無作為化の前4週である。被験体がスクリーニング期間の間にMGクリーゼを経験する場合、治験依頼者に知らされなければならない。治験依頼者との考察の後に、被験体は治験を継続し得るか、中止し得るか、及びおそらく、後日再スクリーニングされるかについて決定される。
【0145】
【表6】
【0146】
【表7】
【0147】
1.1.2. 無作為化
ワクチン接種され、そしてMG-ADL登録基準、すなわち、無作為化(1日目)にM
G-ADL総スコア≧6を満たし続け、そして各自の治験責任医師(PI)により無作為化についてクリアされた全ての被験体は、1日目に1:1ベースでエクリズマブアーム又はプラセボアームに無作為に選ばれる。無作為化階層化は、以下の4つの群分けに従ってスクリーニング来診時に行われたアメリカ重症筋無力症財団(MGFA)(表7を参照のこと)による臨床分類の評価に基づく:
a. MGFAクラスIIa及びIIIa
b. MGFAクラスIVa
c. MGFAクラスIIb及びIIIb、並びに
d. MGFAクラスIVb
【0148】
1.1.3. 試験期間(26週)
被験体は、IP、エクリズマブ又はプラセボのいずれかを、無作為化並びに以下に記載される治験薬及び投与において記載されるレジメンに従って投与される。各被験体についての処置期間は26週である。被験体は、MGクリーゼの潜在的な徴候及び症状を知らされなければならず、そして症状の発生時にはできるだけ速やかに治験責任医師に連絡するように指導される。症状の発生を治験責任医師が知ってからできるだけ速やかにかつ48時間以内に被験体について評価されるべき臨床増悪を報告するためあらゆる努力がなされる。評価来診時に、治験責任医師又は彼/彼女の被指名人は、この治験実施計画書により特定される評価を行う。治験責任医師は、被験体がこの治験実施計画書により規定される臨床増悪の定義に合うかどうかを決定し、それに従って被験体を処置する。
【0149】
【表8】
【0150】
26週の試験期間を完了した後、被験体は延長試験(別の治験実施計画書)に登録して非盲検エクリズマブを受ける機会を与えられ得る。この試験と延長試験との間の来診間隔は、IP投与の最後(来診17)から2週であるので、IP投薬の中断はない。延長試験に登録した被験体は、この試験の盲検処置割り当てを維持するために、この試験における導入と同様の盲検エクリズマブ導入期を受ける。被験体がいずれかの量のIPを受けた後にこの試験を中止する場合、又はこの試験の完了後に延長試験に入ることを望まない場合、被験体は安全対策のために経過観察来診を完了することが必要となる。
【0151】
1.1.4. 経過観察期(処置後8週)
被験体がいずれかの量のIPを受けた後にこの試験を中止するかもしくは中止する場合
、又はこの試験の完了後に延長試験に入ることを望まない場合、被験体は安全対策のために最後のIP用量投与の8週後に経過観察来診を完了することが必要とされる。被験体がAEのために中止した場合、その事象はそれが解決されるか又はPIの意見で医学的安定になるまで経過観察される。
【0152】
1.2. 標準的治験実施計画書定義
試験及び経過観察期のための略語及び定義を表8に示す。
【0153】
【表9】
【0154】
【表10】
【0155】
1.2.1. 臨床的増悪
この治験実施計画書について、臨床的増悪は以下のとおり定義される:
・ 挿管を必要とするかもしくは術後の抜管を遅らせるほど重篤であるMG由来の脱力として定義されるMGクリーゼを経験する被験体。呼吸不全は呼吸筋の脱力に起因する。重篤な眼球(中咽頭)筋力低下はしばしば呼吸筋力低下を伴うか、もしくは一部の被験体における主要な特徴であり得る;又は
・ 複視もしくは眼瞼下垂以外の個々のMG-ADL項目のいずれか1つでの3もしくは2ポイント悪化したスコアへの有意な症状悪化;又は
・ 処置を行う医師が、救援治療が行われなければ被験体の健康は被験体の健康は危険であると考える被験体(例えば、緊急の状況)。
【0156】
1.2.2. 臨床評価
臨床評価者は訓練を受けてMG-ADL、QMG及びMGCを行う資格を与えられた試験スタッフである。臨床評価者は、神経学者、理学療法士又はPIにより選出された他の試験チームメンバーであり得る。この治験実施計画書のための臨床評価者訓練及び認定は、治験責任医師のミーティングにおいて又は治験依頼者が指定したオンライン訓練ポータル1.2.3を介して行われる。
【0157】
MG評価についての責任
MG評価の責任を表9に挙げる。試験全体を通して、MG評価は、適切に訓練された評価者、好ましくは同じ評価者により1日のほぼ同じ時間に行われるべきである。
【0158】
【表11】
【0159】
1.4. 試験来診手順
1.4.1. スクリーニング来診
(ベースライン前-28日目から-14日目[来診2/1日目])
署名されたインフォームドコンセントフォームを得た後、以下の検査及び評価を、無作為化の2~4週以内にベースライン来診時(来診2/1日目)に行い、この試験への参加について被験体の適格性を決定する:
・ 組み入れ基準及び除外基準を検討する;試験における被験体の認識番号を得て必要な場合は薬物発送を開始するために被験体をIXRSシステムに登録する;医療歴及び人口動態を記録する;MGFA臨床分類を記録する
・ MG病歴を記録する:
a. 治験実施計画書組み入れ基準2番により定義されるとおりMG診断を確認する
b. 初期MG臨床症状を記録する(すなわち、oMG又はgMG)。初期臨床症状がoMGであった場合、gMGの発症までの時間(日付)を記録する
c. 利用可能な場合、診断からの最大MGFA分類を記録する
d. 被験体が診断からこれまでに換気補助を必要としたかどうかを記録する
e. スクリーニング前の2年以内のICU滞在数(日)及び入院に伴ういずれかの換気補助を含む、入院数を記録する
f. 全ての以前のMG増悪の回数及び期間を記録する、又は該当する場合、全ての以前のMG増悪もしくはクリーゼ、各増悪もしくはクリーゼのときに受けた薬物適用/治療、並びに各増悪もしくはクリーゼの処置のための薬物適用/治療の使用を記録する。
・ MG治療状態を記録する(表9を参照のこと)
・ 体重及び身長を測定する
・ 収縮期及び拡張期血圧(BP)、体温、呼吸数(RR)及び心拍数(HR)の評価を含むバイタルサインを測定する
・ 以下の器官/体組織の評価を含む身体検査を完了する:皮膚、頭部、耳、眼、鼻、咽頭、頸部、リンパ節、胸部、心臓、腹部、四肢、筋骨格、及び一般的神経学的検査。
・ 12誘導ECGを行う
・ 診断時からスクリーニングまでのMGのための以前のIST、IVIg、及び/又はPEを含む併用薬、並びにスクリーニング来診前30日以内の他の全ての併用薬を記録する。
・ 適切に訓練された評価者によりMG-ADLを行う。リコール期間は前の7日間である。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを行う;これらは、適切に訓練された評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、投薬はQMG及びMGC試験前の少なくとも10時間は控えられなければならない。
・ MG-QOL15質問票を行って生活の質を評価する。
・ AChR Ab試験のための血液サンプルを得る。
・ 検査室試験(化学及び血液学)のための血液サンプルを得る(表6を参照のこと)
・ 出産する可能性のある全ての女性について妊娠検査(血清)を得る。注:被験体が避妊薬/デバイスを摂取/使用している場合、適切な電子症例報告書(eCRF)頁に薬剤又はデバイスを必ず記録してください(併用薬又は手順)。
・ 全ての組み入れ基準が満たされ、かつ除外基準に全く当てはまらない場合、被験体は、ワクチン製造者により特定される活性範囲の期間内にすでにワクチン接種されていないか又は現在の医療/国のガイドラインに従ってワクチン接種されていない場合、被験体は髄膜炎菌(N. meningitidis)に対するワクチンを接種される。被験体は、治験薬の最初の用量を投与される少なくとも14日前にワクチン接種されなければならず、又はワクチン接種されそしてワクチン接種の少なくとも14日後までに適切な抗生物質により処置されなければならない。
・ 被験体がスクリーニング期の間にMGクリーゼを経験する場合、治験依頼者に知らされなければならない。治験依頼者と検討した後、被験体が治験を継続し得るか、中止するか、そして場合により後日再スクリーニングされるかについて決定が行われる。
【0160】
1.4.2. 試験期
導入期の間の来診間隔(来診2、3、4、5及び6)は毎週(最後の来診の後7±2日ごと)。維持期の間の来診間隔(来診7~17)は2週ごとである(最後の来診から14日± 2日ごと)。予定された来診に戻ることができなかった被験体に、予約を逃した理由を決めるために施設の試験スタッフが連絡を取らなければならない。臨床増悪又はAEが起こったと疑われる場合、被験体は評価のために治験施設に戻るよう強く促される。被験体が検査のために試験施設に来ることができない又は来ない例外的な状況では、被験体は彼又は彼女の地域神経内科医又は医師に会うよう指導されるだろう。この事象において、治験施設は地域医師の検査から書類として関連医療記録を得、そして関連データを必要に応じてeCRFに入力する。
【0161】
【表12】
【0162】
果たされなかった予約が臨床増悪にもAEにも起因するものではなかったということを確実にするために、被験体が来なかった来診に関して情報を得ることは非常に重要であるので、治験実施計画書に特定された経過観察手順を始めるためにあらゆる努力をしなければならない(表6を参照のこと)。経過観察デュー・デリジェンス情報管理(Follow-up due diligence documentation)は、3回の電話連絡、続いて被験体の最後の既知の住所への1回の書留郵便からなる。試験期間を表6及び図6にまとめる。
【0163】
1.4.2.1. 導入期(ベースライン[来診2/1日目] 来診6まで[4週目])
1.4.2.1.1. ベースライン(来診2/1日目)
適格性基準の全てがPIにより確認されると、被験体は1日目に無作為に割り当てられる。以下の検査及び手順はベースライン来診時に完了される(来診2/1日目):
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR及びHRの評価を含めて、バイタルサインを測定する
・ MG治療状態を記録する(表9を参照のこと)
・ あらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのAEを評価し、そして記録する
・ 生活の質を評価するための質問を実施する(MG-QOL 15、Neuro-QOL疲労、及びEuroQoL [EQ-5D])
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは試験全体を通して同じ評価者によりMG-ADLを行う。リコール期間は前の7日間である。最後の来診からの日数が<7であった場合、リコール期間は最後の来診からである。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを行う;これらは訓練された評価者、好ましくは治験を通して同じ評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を服用している場合、投薬はQMG及びMGC試験の前少なくとも10時間は控えられなければならない。
・ コロンビア自殺評価スケール(C-SSRS)を行う
・ 臨床検査試験(化学及び血液学)のために血液サンプルを得る
・ 出産する可能性のある全ての女性について妊娠検査(血清)を得る。
・ PK、PD、遊離C5、及びHAHAアッセイのためにIP注入の5~90分前にベースライン血液サンプルを集める。
・ 髄膜炎(N. meningitis)の徴候及び症状に関して被験体に指導する。IPの最初の投薬前に、IP及び緊急連絡情報を記載した患者安全情報カードを被験体に供与する。
・ IXRSを使用して被験体を無作為化する。
・ セクション4.5に記載されるレジメンに従って約35分間かけてIP注入を投与し、そしてIP注入の終了後1時間被験体を観察する。
・ IP注入完了の少なくとも60分後にPK、PD、及び遊離C5アッセイのためのピーク血液サンプルを集める。
【0164】
1.4.2.1.2. 来診3~5(1~3週)
以下の試験及び手順を完了した:
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR、及びHRの評価を含めてバイタルサインを測定する
・ あらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのあらゆる新しいAE又はAEの変化を評価及び記録する
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体をとおして同じ評価者によりMG-ADLを行う。リコール期間は前の7日間である。最後の来診からの日数は<7であり、リコール期間は最後の来診からである。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを行う;これらは、適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、投薬はQMG及びMGC試験の前少なくとも10時間は控えられなければならない。
・ 来診3(1週)時のみ、PK、PD、及び遊離C5アッセイのためのトラフ(IP注入前)血液サンプルを集める。トラフ血液サンプルはIP注入の5~90分前に採取されるべきである。
・ IP及び緊急連絡情報を記載した患者安全情報カードを被験体が有していることを確実にする
・ IXRSを通じて試験薬物キット割り当てを得る
・ セクション4.5に記載されるレジメンに従って約35分間にわたってIP注入を投与し、そしてIP注入の終了後1時間被験体を観察する。
・ 来診3(1週)にのみ、PK、PD、及び遊離C5アッセイのためのピーク(IP注入後)血液サンプルを集める。ピーク血液サンプルはIP注入の完了の少なくとも60分後に採取されるべきである。
【0165】
1.4.2.1.3. 来診6(4週)
以下の試験及び手順をこの来診時に完了する:
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR、及びHRの評価を含めてバイタルサインを測定する
・ あらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのあらゆる新しいAE又はAEの変化を評価及び記録する
・ 生活の質を評価する質問(MG-QOL 15、Neuro-QOL疲労、及びEQ-5D)を行う
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者によりMG-ADLを行う。リコール期間は前の7日間である。最後の来診からの日数が<7であった場合、リコール期間は最後の来診からとなる。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを行う;これらは適切に訓練された評価者、
好ましくは治験全体を通して同じ評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、QMG及びMGC試験の前少なくとも10時間は投薬を控えなければならない。
・ MGFA介入後状態のベースラインからの変化を評価する(表10を参照のこと)。
・ 臨床検査試験(化学及び血液学)のための血液サンプルを集める。
・ PK、PD、遊離C5、及びHAHAアッセイのためのトラフ血液サンプルをIP注入の5~90分前に集める。
・ IP及び緊急連絡情報を記載した患者安全情報カードを被験体が有していることを確実にする
・ IXRSを通じて試験薬物キット割り当てを得る
・ セクション4.5に記載されるレジメンに従って約35分間にわたってIP注入を投与し、そしてIP注入の終了後1時間被験体を観察する。
・ PK、PD、及び遊離C5アッセイのためのピーク血液サンプルをIP注入の完了の少なくとも60分後に集める。
【0166】
1.4.2.2. 維持期(来診7[6週]試験期間来診17の終了[26週]又は来診の早期終了まで)
維持期の間、被験体は、セクション4.5に記載されるレジメンに従って、2週(14±2日)ごとにIPの注入のために戻る。以下の検査及び手順を来診ごとに完了し、これは来診7(6週)に開始して試験の終了(EOS)、来診17(26週)又は早期終了(ET)まで継続する:
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR、及びHRの評価を含めてバイタルサインを測定する
・ あらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのあらゆる新しいAE又はAEの変化を評価及び記録する
・ IP及び緊急連絡情報を記載した患者安全情報カードを被験体が有していることを確実にする
・ IPを投与し、そしてIP注入の終了後1時間被験体を観察する。PK/PD及び遊離C5アッセイのためのピーク血液サンプリングを除いて、IPは他の検査及び手順の完了後に投与される。
来診8(8週)、来診10(12週)、来診12(16週)、来診14(20週)時に、そしてEOS、来診17(26週)まで、又はETには、維持期について挙げられた前の5つの手順に加えて以下の手順も完了される:
・ 生活の質を評価するための質問を実施する(MG-QOL 15、Neuro-QOL疲労、及びEQ-5D)
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者によりMG-ADLを行う。リコール期間は前の7日である。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを実施する;これらは適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者により、1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、投薬はQMG及びMGC検査の前少なくとも10時間は控えられなければならない。
・ C-SSRSを来診10(12週)及び来診17(26週)/ETにのみ行う。HAHAアッセイのための血液サンプルはIPの注入の5~90分前に集められるべきである。
・ 臨床検査試験(化学及び血液学)のための血液サンプルを得る。
・ 来診10(12週)及び来診17(26週)/ETにのみAChR Ab試験及びHAHAアッセイのための血液サンプルを得る
・ 来診8、10、14及び17/ET(8、12、20、及び26週)にのみIP注入の5~90分前にPK、PD、及び遊離C5アッセイのためのトラフ血液サンプルを集
める
・ 来診8、10、14及び17/ET(8、12、20、及び26週)にのみIP注入の完了の少なくとも60分後にPK、PD、及び遊離C5アッセイのためのピーク血液サンプルを集める
・ 来診17(26週)/ETにのみ体重を測定する
・ 来診17(26週)/ETにのみ12誘導RCGを行う
・ 来診17(26週)/ETにのみMG治療状態(表9を参照のこと)を記録する
・ 来診17(26週)/ETに出産する可能性のある全ての女性について必須の妊娠試験を得る
・ 来診10(12週)及び来診17(26週)/ETにのみMGFA介入後状態のベースラインからの変化を評価する
1.4.2.3. MGクリーゼ又は臨床増悪のための来診
MGクリーゼ又は臨床増悪のための評価来診は、症状の発生を治験責任医師が知ってから48時間以内に可能な限り早く行わなければならない。さらなる評価来診は、治験責任医師の判断で予定に入れられ得る。以下の試験及び手順をこの来診で完了する:
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR、及びHRの評価を含めてバイタルサインを測定する
・ MGのための全ての処置を含めてあらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのあらゆる新しいAE又はAEの変化を評価及び記録する
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者によりMG-ADLを実施する。リコール期間は前の7日間又は最後の来診からのどちらかより早く発生した方である。
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを実施する;これらは適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。
・ AChR Ab試験のための血液サンプルを集める
・ 臨床検査試験(化学及び血液学)のための血液サンプルを集める
・ 臨床増悪の評価について医学的に示される場合、さらなる試験が治験責任医師の判断で行われ得る。
・ クリーゼ又は増悪来診での又はその間のPK、PDのサンプリング:
・ IPが投与されない場合、PK、PD、及び遊離C5アッセイのための1つの血液サンプルを集める
・ 治験実施計画書スケジュールに従って、MGクリーゼ評価来診時又は臨床増悪のための来診時にIPが投与される場合、2つの血液サンプル、トラフ及びピークを、[1]IP注入の5~90分前に、そして[2]IP注入の完了の少なくとも60分後に集める
・ クリーゼ又は臨床増悪のときに被験体がPEを受ける場合、IPの追加用量が投与される。PK、PD、及び遊離C5のための3つの血液サンプルを、[1] PEの5~90分前、[2]PEの60分後かつIPの前、及び[3]IP注入の完了の少なくとも60分後に集める。
・ IP投与:
・ 被験体は、治験実施計画書に明記されたIP投与スケジュールに従ってIP投与を継続する
・ クリーゼ又は臨床増悪来診が治験実施計画書に従う定期的な来診と同時である場合、被験体は治験実施計画書スケジュールに従う定期的に予定を決められたIP投与を受ける
・ 被験体がPEを受ける場合、追加用量(2バイアルIP)が、各PEセッションの後60分以内に投与されなければならない。被験体がPEセッションの日に治験実施計画書で予定を決められた用量を受けるよう予定で決められている場合、予定された用量が
PEの終了後60分以内に投与されるべきである。
【0167】
1.4.2.4 予定外来診
明記された来診以外のさらなる(予定外の)来診は治験責任医師の判断で許可される。手順、試験、及び評価が治験責任医師の判断で行われる。予定外来診が行われる場合、予定外来診で行われるあらゆる試験、手順又は評価はeCRFに記録されなければならない。
【0168】
1.4.3. 安全性経過観察期間(処置後+4週)安全性経過観察期(処置後+8週)
被験体がいずれかの量のIP(エクリズマブ又はプラセボ)を投与された後に試験期間のいずれかの時点で試験を中止するか、又はこの試験の完了後に延長試験に参加することを望まない場合、安全性評価のための経過観察来診がIPの最後の投薬後4週目に必要である。以下の試験及び手順は安全性経過観察来診時に完了される:
・ 収縮期及び拡張期BP、体温、RR、及びHRの評価を含めてバイタルサインを測定する
・ あらゆる新しい薬物適用又は併用薬への変更を記録する
・ 前の来診からのあらゆる新しいAE又はAEの変化を評価し記録する
・ MG-QOL15を実施する
・ 適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者によりMG-ADLを実施する。リコール期間は前の7日である
・ 臨床評価QMG、NIF、及びMGCを実施する;これらは適切に訓練された評価者、好ましくは治験全体を通して同じ評価者により1日のうちのほぼ同じ時間に行われるべきである。被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、投薬はQMG及びMGC試験の前少なくとも10時間は控えられなければならない
・ MGFA介入後状態のベースラインからの変化を評価する(表10を参照のこと)。
【0169】
【表13】
【0170】
被験体がAEのために中止した場合、AEはそれが解決されるまで、又はPIの意見で医学的に安定と決定されるまで追跡される。
【0171】
1.5. 被験体の数
難治性gMGを有する約92人の被験体が、約100の施設において1:1(エクリズマブ:プラセボ)比で無作為化された。無作為化は施設にわたり、そしてMGFA臨床分類(クラスa対クラスb並びにクラスII及びIII対クラスIV)(表7を参照のこと
)に基づいて階層化された。
【0172】
1.6. 処置割り当て
難治性gMGを有する約92人の被験体を無作為化し、46人の被験体はエクリズマブに、そして46人の被験体はプラセボに。全ての患者は、EOS/ET来診まで割り当てられた二重盲検処置のままである。試験処置の開始後に中止した無作為化された被験体は置き換えられない。割り当ては各来診時にIXRSを介して行われる。
【0173】
2. 被験体の選択及び中止
2.1. 被験体組み入れ基準
1. 男性又は女性被験体≧18歳
2. MGの診断は以下の試験により行われなければならない:
・ スクリーニング時に確認される抗AChR Abについての陽性血清学試験、及び
・ 以下のうちの1つ:
a. 単一線維筋電図(SFEMG)又は反復神経刺激により実証される異常な神経筋伝達試験の履歴、又は
b. 陽性抗コリンエステラーゼ試験、例えば、エドロホニウム塩化物試験の履歴、又はc. 被験体は、処置する医師により評価されて経口コリンエステラーゼ阻害剤でMG徴候の改善を示した。
3. スクリーニング時にMGFA臨床分類クラスII~IV。
4. MG-ADL総スコアは、スクリーニング及び無作為化時(1日目)に≧6でなければならない
5. 以下を有する被験体
a. 2つ又はそれ以上のIST* (組み合わせて、又は単剤療法としてのいずれか)を用いて1年又はそれ以上にわたる失敗した処置、すなわち、ISTにもかかわらずADL障害(持続する脱力、クリーゼを経験する、又はISTを許容できない)を有し続ける。又は、
b. 少なくとも1つのISTに失敗し、かつ症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする、すなわち、筋力低下の管理のために直近12ヶ月にわたって定期的に少なくとも3ヶ月ごとにPE又はIVIgを必要とする被験体。
* 免疫抑制剤としては、限定されないが、コルチコステロイド類AZA、MMF、メトトレキサート(MTX)、シクロスポリン、タクロリムス、又はシクロホスファミドが挙げられる。
6. 試験に参加する被験体がAZAを投与されている場合、かれらは≧6ヶ月AZAを続けており、かつスクリーニングの前≧2ヶ月安定用量でなければならない。
7. 試験に参加する被験体が他のIST、すなわち、MMF、MTX、シクロスポリン、タクロリムス、又はシクロホスファミドを投与されている場合、かれらはISTを≧3ヶ月続けており、かつスクリーニングの前≧1ヶ月安定用量でなければならない。
8. 試験に参加する被験体が経口コルチコステロイド類を投与されている場合、彼らはスクリーニングの前≧4週間(28日)安定用量でなければならない。
9. 試験に参加する被験体がコリンエステラーゼ阻害剤を投与されている場合、彼らは、スクリーニングの前≧2週間安定用量でなければならない。
10. 出産する可能性のある女性被験体は、陰性妊娠検査(血清ヒト絨毛性ゴナドトロピン[HCG])を有していなければならない。全ての被験体は試験の間、及び処置の中止の5ヶ月後まで有効で信頼性があり、かつ医学的に認められた避妊レジメンを実施しなければならない。
11. 被験体は書面によるインフォームドコンセントを提出しなければならない。
12. 被験体は試験手順に従うことができ、かつすすんで従わなければならない。
【0174】
2.2. 被験体除外基準
1. 胸腺腫又は胸腺の他の新生物の病歴。
2. スクリーニングの前12ヶ月以内に胸腺摘除術の履歴。
3. 眼筋又は眼周囲筋肉のみに影響を及ぼす脱力(MGFAクラスI)
4. スクリーニングでのMGクリーゼ(MGFAクラスV)
5. 妊娠又は授乳
6. 治験責任医師の意見で臨床的に重大であり、かつ適切な抗生物質で処置されていなかった、いずれかの全身性細菌又は他の感染症
7. 未解決の髄膜炎菌感染
8. 無作為化(1日目)の前4週間以内のIVIgの使用
9. 無作為化(1日目)の前4週間以内のPEの使用
10. スクリーニングの前6ヶ月以内のリツキシマブの使用
11. スクリーニングの前30日以内にいずれか他の治験薬試験への参加、又は他の治験薬剤、デバイス、もしくは手順への曝露
12. エクリズマブを用いた以前の処置を受けたことがある被験体
13. マウスタンパク質又はエクリズマブの賦形剤に対する超感受性
14. 治験責任医師の意見で、試験への被験体の参加を妨げ得るか、被験体にいずれかの追加のリスクを引き起こすか、又は被験体の評価を混乱させるあらゆる医学的状態。
【0175】
2.3. 被験体中止基準
2.3.1. 被験体の治験の中止
被験体はいつでも同意を撤回することが許される。スクリーニング手順を実行する前に被験体が治験参加にすすんで従うことを確実にするためにあらゆる努力がなされるべきであり、そして被験体は、治験の間併用薬の変更に関連する制限について十分に知らされるべきである。治験責任医師は、AEのため、さらには被験体の安全又は幸福の観点から治験実施計画書の順守を妨げる状態又は病気のために被験体の処置を中止するよう選択し得る。試験スタッフは、治験依頼者及び全ての治験中止のそれらの施設モニターにできるだけ早く知らせるべきである。
【0176】
エクリズマブの生殖及び発生試験は行われたことがない;従って、エクリズマブは妊婦に投与されるべきではない。最後の経過観察来診時に、出産可能性のある全ての被験体は、エクリズマブ処置の中止後5ヶ月まで適切な避妊を使用し続けなければならない。被験体が妊娠した場合、IPは即座に中止されなければならず、そして治験依頼者に知らされなければならない。それぞれの妊娠は終わりまで追跡され、そして治験依頼者は結果に関して知らされる。
【0177】
2.3.2. 中止の取扱
被験体が治験を中止するか又は治験を中止させられる場合、治験責任医師は中止理由を記録するものとする。可能な場合はいつも、治験を早期中止した全ての被験体は、評価のスケジュールにより安全性にのためにET来診時に全ての評価を受ける(表6)。安全性評価のための経過観察来診は、IP投与の最後の投薬の8週後に必要である(表6)。
【0178】
被験体がAEのために中止した場合、事象はそれが解決されるか又はPIの意見で被験体が医学的安定であると決定されるまで追跡される。治験実施計画書に明記された安全性経過観察手順を保証するためにあらゆる努力がなされる。
【0179】
最終評価に戻ることができない被験体に、彼らを治験実施計画書に従わせるために施設試験スタッフが連絡を取る。AE又はSAEのために中止した被験体に関する経過観察データを得ることは極めて重大であるので、経過観察デュー・ディリジェンス情報管理は、3回の電話連絡、続いて被験体の最後の住所への1回の書留郵便からなる。いずれの場合
でも、治験実施計画書に明示された安全性経過観察手順に取り組むためにあらゆる努力がなされなければならない。
【0180】
2.3.3. 治験の治験依頼者の終了
Alexion Pharmaceuticals、Inc.又は監督機関は、例えば臨床的又は行政上の理由を含むいずれかの理由でいつでも治験を中止し得る。
【0181】
2.3.4. 治験終了の定義
治験の終了は、最後の患者により完了される最後の来診と定義される。
【0182】
3. 被験体の処置
3.1. 治験薬の記載
エクリズマブ(600mg、900mg又は1200mg)又は適合するプラセボは、表11に示されるレジメンに従って約35分にわたって静脈内投与される。
【0183】
【表14】
【0184】
導入期
エクリズマブ又はプラセボ:4週間毎週(7日±2日ごと)にIPの3つのバイアル(エクリズマブ900mgと等価)、続いて第五用量のために1週間後に4つのバイアルのIP(エクリズマブ1200mgと等価)(来診6/4週)。
【0185】
維持期
エクリズマブ又はプラセボ:4つのバイアルのIP(エクリズマブ1200mgと等価)2週間ごと(14日±2日)。
【0186】
*追加用量
PEが臨床増悪のために実施される場合(この治験実施計画書により定義されるとおり)、追加IP(2バイアル、エクリズマブ又は適合するプラセボ600mgと等価)は、各PEセッションの終了後60分以内に投与される。PEが定期的に予定されたIP投与の日に実施される場合、被験体は定期的に予定された数のバイアル(来診2~4に3バイアル;他の全ての来診時に4バイアル)を各PEセッション後60分以内に投与される。
【0187】
3.2. 併用薬
3.2.1. 許可された薬物適用
3.2.1.1. 対処療法及び支持療法
対処療法及び支持療法は、基礎状態のために治験の過程で許容される。
【0188】
以下の薬物適用は特定の状況及び制限下で許容される。
【0189】
3.2.1.2. コリンエステラーゼ阻害剤
・ スクリーニングの前少なくとも2週間コリンエステラーゼ阻害剤を投与されて治験に登録する被験体について、それらのコリンエステラーゼ阻害剤の用量及びスケジュールは、従わざるを得ない医学的必要がなければ、試験期間全体を通して安定に維持される。現在の疾病間又は他の増悪の他の医学的原因の結果として必要とされるコリンエステラーゼ治療の増加は、許容されるが、投薬は、実行可能な限り早く治験登録時の投薬レベルに戻されるべきであり、そして治験治験依頼者は変更について知らされるべきである。
・ コリンエステラーゼ阻害剤処置は、QMG及びMGC試験の前少なくとも10時間は控えられなければならない。
・ コリンエステラーゼ阻害剤の減少は臨床評価に基づいて考慮され、治験依頼者の承認は、被験体が試験に残留するために用量変更の前に得られなければならない。現在の疾病間又は他医学的原因の結果としての用量増加は許容されるが、用量は実行可能な限り早く治験登録時の用量レベルに戻されるべきであり、そして治験治験依頼者は知らされるべきである。
【0190】
3.2.1.3. 免疫抑制剤
以下の免疫抑制剤は治験の間許容される: コルチコステロイド、AZA、MMF、MTX、タクロリムス、シクロスポリン、又はシクロホスファミド。個々の被験体に使用しようとする免疫抑制剤及びその適切な用量レベルは、処置する医師の裁量による。
・ コルチコステロイド - 経口コルチコステロイド、例えば、プレドニゾンを投与される治験に登録する被験体について、用量/スケジュールは、治験の前4週間は安定でなければならず、かつ二重盲検試験期間全体の間変更されないかもしれない。ステロイド用量の減少又は漸減が臨床評価に基づいて試験期間の間に考慮される場合、被験体が治験に残るために変更の前に治験依頼者の承認を得なければならない。用量レベルがその後増加されなければならない場合、用量レベル増加は、ベースライン時(無作為化処置の開始時)に報告された用量レベルを超えることはできない。
・ 高用量ステロイドは、この治験実施計画書により定義される臨床増悪を経験する被験体に確保されるできである。被験体が臨床増悪のための救援治療を必要とするならば、投与の24時間以内に治験依頼者に知らせるためにあらゆる努力がなされるべきである。
・ AZA、MMF、MTX、タクロリムス、シクロスポリン又はシクロホスファミド
- 上述の免疫抑制剤を投与される治験に登録する被験体について、免疫抑制剤の投薬レジメンは、二重盲検試験期間全体の間に変更されないかもしれない。投薬レジメンの変更が所定の免疫抑制剤に関連する既知の毒性又は副作用のために考慮される場合、被験体が治験に残るために用量変更の前に治験依頼者の承認を得なければならない。異なる免疫抑制剤を、26週の二重盲検試験期間の間は加えることも置き換えることもできない。
【0191】
3.2.1.4. 血漿交換/プラスマフェレーシス(PE)/IVIg
PE又はIVIgの使用は、この治験実施計画書により定義される臨床増悪を経験する被験体に許可される。特定の被験体に使用される救援治療は処置する医師の裁量である。被験体が救援治療を必要とするならば、24時間以内に治験依頼者に知らせるためにあらゆる努力がなされるべきである。
【0192】
PEが救援治療として実施される場合、追加IP(2バイアル)が各PEセッションの終了後60分以内に投与される。通常の(治験実施計画書のスケジュールに従う)IP投
与は、被験体に特有の用量-投与スケジュールに従って継続される。被験体が治験実施計画書で予定された用量をPEセッションの日に投与される予定される場合、予定された用量がPEセッションの終了後60分以内に投与される。
【0193】
3.2.2. 否認される薬物適用
以下の併用薬は治験の間は禁止される:
・ リツキシマブの使用
3.3. 処置順守
被験体へのIPの注入は、被験体が適切な用量を治験の間の適切な時点で投与されることを確実にするために、PI/治験分担医師又は彼らの被指名人(designee)監視下である。
【0194】
許容される間隔内に予定された来診に戻ることができない被験体には、予約に来られなかった理由を決定するために施設試験スタッフにより連絡を取らなければならない。欠けた来診の取扱についての指示はセクション1.4.2に示される。
【0195】
3.4. 無作為化及び盲検化
3.4.1. 無作為化
被験体は1日目に治験責任医師が彼ら適格であると確認したあとで無作為化される。被験体はエクリズマブ注入対プラセボ注入1:1の比で無作為化される。無作為化はIXRSを使用して施設間にわたる。無作為階層化は、以下の4つのグループ分けに従うスクリーニング来診時に評価されたMGFA臨床分類に基づく:
a. MGFAクラスIIa及びIIIa
b. MGFAクラスIVa
c. MGFAクラスIIb及びIIIb、並びに
d. MGFAクラスIVb
MGFA臨床分類を表7に記載する。
【0196】
3.4.2. 盲検化及び非盲検化(Unblinding)
全ての治験被験体、治験施設職員、治験依頼者スタッフ、治験依頼者被指名人、及び治験の実施に直接関わる全てのスタッフは、被験体処置割り当てを隠される。二重盲検はエクリズマブ及びプラセボに同一のIPキット及びラベルを使用することにより維持される。プラセボはエクリズマブと同じ外見を有する。無作為コードはAlmac Clinical Servicesにより維持される。エクリズマブの効果を逆転させる解毒剤はない。
【0197】
従って、非盲検化は所定の事象について患者の処置を計画する際に役立たない。非盲検化は被験体の安全性のためにのみ考慮されるべきである。治験責任医師により非盲検化が必要とみなされる場合、治験責任医師は、IXRSを使用して患者の処置割り当てを非盲検化することができる。治験責任医師は非盲検化の日付、時間及び理由を書き留めなければならない。
【0198】
治験責任医師は、メディカル・モニター(Medical Monitor)に患者が非盲検化されたことを知らせるべきであるが、必ずしもメディカル・モニターに患者の処置割り当てを明かす必要はない。
【0199】
AEが予期しない関連重篤AEである場合、その特定の被験体についてのみ治験依頼者により非盲検化される。試験の進行中の実施に責任を有する人物(例えば、管理、モニター治験責任医師など)及び試験の終わりに結果のデータ解析及び解釈に責任を有する人物、例えばバイオメトリクス職員についてのみ盲検が維持される。非盲検化された情報は、
保健機関、倫理委員会及び/又はIRBに報告する安全性に関与することが必要な人物にのみアクセス可能である。
【0200】
治験責任医師は、非盲検化された情報が安全性の理由のために必要と判断されないかぎり盲検化の情報のみを受け取る。
【0201】
4. 治験薬材料及び管理
4.1. 治験薬
IPの各バイアルは、IV投与用のエクリズマブ300mg又は適合するプラセボを含有する。
【0202】
4.2. 治験薬パッケージング及びラベリング
活性IP、エクリズマブは、Alexionにより単一30mLのバイアルで10mg/mlの濃度の溶液として製造及び供給される。対照薬はAlexion Pharmaceuticals、Inc.により、同じ緩衝剤成分を含むが活性成分を含まない同一30mlバイアル中の適合する滅菌透明無色溶液として製造される。表12を参照のこと。
【0203】
全ての試験薬はバイアルで製造され、キットでパッケージングされ、同一の方法でラベルを付される。
【0204】
IPバイアルは個別にキットにパッケージングされる。バイアル及びキットの両方が治験実施計画書及び地域の規制上の要件に従ってラベリングされる。各キットは、内容物及び薬剤師が被験体番号及びイニシャルを記録するための場所を記載するラベルを有する。
【0205】
試験薬は、連邦政府、州、及び地域の規制に基づく全ての必要な必須書類が受領されると各参加治験施設に発送され開封される(表12)。
【0206】
【表15】
【0207】
4.3. 治験薬貯蔵
IPは連邦政府、州、及び地域の規制に基づく全ての必要な必須書類が受領されると施設に発出される。表12を参照のこと。
【0208】
施設に着荷すると、IPは直ちに輸送クーラーから取り出されて2~8℃の冷蔵条件で貯蔵される。薬剤師は、IPの受領を直ぐに記録し、そしてバイアルが損傷している場合、及び/又は輸送の間に温度の逸脱が起きた場合には販売業者に知らせるべきである。IPは安全でアクセスが制限された貯蔵領域に貯蔵されなければならず、そして温度は毎日モニタリングされなければならない。
【0209】
IPの希釈溶液は2~8℃(36~46°F)で投与の24時間前まで貯蔵され得る。
IPが被験体の来診の4時間前より前に調製された場合、希釈物質は2~8℃で貯蔵されるべきである。溶液は投与前に室温まで昇温されるべきである。材料を周囲気温まで以外に加熱してはならない(例えば、マイクロ波又は他の熱源により)。
【0210】
4.4. 治験薬製造
IPの注入液は無菌技術を使用して製造される。IPの各バイアルは薬物溶液30mL中に活性成分300mg又は適合するプラセボを含有する。
【0211】
バイアルから必要量のIPを抜き取る。推奨された用量を注入バッグに移す。適切な量の(等体積)0.9%塩化ナトリウム注射液、USP;0.45%塩化ナトリウム注射液、USP;水中5%デキストロース注射液、USP;又はリンゲル注射液、USPを注入バッグに加えることによりIPを最終濃度5mg/mLに希釈する。5mg/mL希釈IP溶液の最終体積は、表13に示されるように、600mg用量(2バイアル)について120mL、900mg用量(3バイアル)について180mL、そして1200mg用量(4バイアル)について240mLである。
【0212】
【表16】
【0213】
射液
薬品及び希釈剤の徹底的な混合を確実にするために、希釈されたIP溶液を含有する注入バッグを穏やかに反転させる。治験薬は保存料を含有していないので、バイアル中の未使用の部分を廃棄する。希釈溶液は、投与前に周囲空気に曝すことにより室温まで昇温させるべきである。
【0214】
4.5. 投与
IVプッシュ又はボーラス注射として投与してはいけない
IPはIV注入を介してのみ投与され、そして投与前に最終濃度5mg/mLに希釈されなければならない。投与前に、希釈溶液が冷蔵されている場合、周囲空気に曝すことにより室温まで昇温される。希釈溶液はマイクロ波でも、周囲空気温度以外のいずれの熱源でも加熱してはならない。非経口薬品は、投与前に粒状物質及び変色について視覚的に検査される。
【0215】
希釈されたIPは35分かけて静脈内投与される(25~45分の範囲に及ぶ)。IPが被験体に投与されている間光から注入バッグを保護する必要はない。施設の判断で、希釈されたIPは重力送り、シリンジ型ポンプ、又は注入ポンプにより投与され得る。被験体は注入後1時間モニタリングされる。
【0216】
IPの投与の間にAEが発生する場合、注入は治験責任医師の判断で事象の性質及び重篤度によって遅くされても中止されてもよい。注入の全体の時間は2時間を超えるべきではない。AEは被験体の原資料及びCRFに記録されなければならない。
【0217】
5. 有効性の評価
処置の期間はIP(エクリズマブ又はプラセボ)の最初の注入から始まる。26週の試験期間は、試験評価項目の評価の期間を規定する(表6に明記される、評価スケジュール)。有効性はエクリズマブアウトカムをプラセボアウトカムと比較して評価される。有効性評価項目の統計的分析を以下にまとめ、そして統計的分析計画においてより詳細に記載する。EQ視覚的アナログスケール(VAS)及びアメリカ重症筋無力症財団(MGFA)介入後状態(PIS)を除いて以下に示される全てのスケールについて、スコアがより高いほど機能障害が大きい。
【0218】
5.1. MG日常生活動作プロフィール(MG-ADL)
MG-ADLは、MG被験体において日常生活動作(ADL)の関連症状及び機能的遂行に注目した8ポイント質問票である(表1を参照のこと)。MG-ADLの8項目は、MG由来の効果に関連する、眼(2項目)、眼球(3項目)、呼吸器(1項目)、及び粗大運動又は四肢(2項目)機能障害に続く能力障害を評価するために、元の13項目QMGの症状ベースのコンポーネントから誘導された。この機能的状態手段において、各回答は0(正常)から3(最も重症)まで等級分けされる。総MG-ADLスコアの範囲は0~24である。患者のMG-ADLにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアの3ポイント又はそれ以上の減少だろう。MG-ADLのリコール期間は前の7日である。MG-ADLは、スクリーニング、1日目、1~4、8、10、12、16、20、及び26週又はET(来診2~6、8、10、12、14、及び17、又はET)に適切に訓練された評価者、好ましくは試験全体をとおして同じ評価者により行われる。
【0219】
5.2. QMGスコアリングシステム
現在のQMGスコアリングシステムは13項目からなる:眼(2項目)、顔面(1項目)、眼球(2項目)、粗大運動(6項目)、体軸(1項目)及び呼吸器(1項目);それぞれ0~3に等級分けされ、3が最も重症である(表2を参照のこと)。総QMGスコアの範囲は0~39である。QMGスコアリングシステムは、MGの治療の客観的な評価であると考えられ、そして指標筋群の定量的試験に基づく。MGFA特別調査委員会は、QMGスコアがMGの治療の予測研究において使用されることを推奨した(15)。患者のQMGにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアの4ポイント又はそれ以上の減少だろう。QMGは、スクリーニング、1日目、1~4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診1~6、8、10、12、14、及び17又はET)に実施される。
【0220】
5.3. MGCスコア
MGCはMGを有する被験体の臨床状態を測定するための有効な評価ツールである(16)。MGCは、MGにより最も頻繁に影響を受ける10の重要な機能的領域を評価し、そしてスケールは、被験体により報告されるアウトカムを組み込む臨床的有意性について重み付けされる(表3を参照のこと)。患者のMGCにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアにおける3ポイント又はそれ以上の減少だろう。MGCは、スクリーニング、1日目、1~4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診1~6、8、10、12、14、及び17又はET)に投与される。
【0221】
5.4. 生活の質評価
5.4.1. MG-QOL 15
15項目重症筋無力症生活の質スケール(MG-QOL 15)(図1を参照のこと)は、MGを有する被験体に特有の健康に関連する生活の質評価手段である。MG-QOL15は、機能障害及び能力障害の被験体の認識、並びに疾患症状が忍容される程度についての情報、並びに投与及び解釈のしやすさを提供するように設計された(17)。MG-QOL 15は被験体により全ての項目に記入される。より高いスコアはより高い程度の
MG関連機能不全への不満足を示す。患者のMG-QOL 15における臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアの増加だろう。MG-QOL 15は、スクリーニング、1日目、4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診1~2、6、8、10、12、14、及び17又はET)に実施される。
【0222】
5.4.2. Neuro-QOL疲労
Neuro-QOL疲労は、被験体により全ての項目に記入される、信頼できて有効な短い19項目の疲労の検査である(18)。より高いスコアは、より大きな疲労及び活動に対するMGのより大きな影響を示す(表5を参照のこと)。患者のNeuro-QQLにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアの減少に反映されるだろう。Neuro-QOL疲労は、1日目、4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診2、6、8、10、12、14、及び17又はET)に実施される。
【0223】
5.4.3. EUROQOL (EQ-5D)
EUROQOL (EQ-5D)は、5つの領域:移動、身の回りの世話、普段の活動、痛み/不快感、及び不安/ふさぎ込みの、被験体により全ての項目に記入される健康状態の信頼できる有効な検査である(19)。各領域は3つのレベルを有する:レベル1(問題なし)、レベル2(いくらかの問題)、及びレベル3(非常に問題)(図2A及び2Bを参照のこと)。EQ VASは、被験体の自己評価した健康を垂直20cm視覚的アナログスケールで記録し、ここで端点は、「100」と印をつけられた「想像可能な最も良い健康状態」、そして0と印をつけられた「想像可能な最も悪い健康状態」とラベルをつけられる。患者のEQ-5Dにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアの増加として反映されるだろう。EQ-5Dは、1日目、4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診2、6、8、10、12、14、及び17又はET)に行われる。
【0224】
5.5. 他の有効性評価
5.5.1. 陰性吸気流速NIF及び努力肺活量
重症度の増加するMGを有する被験体は、深刻な呼吸筋脱力を含む潜在的な致死的呼吸器合併症に罹患し得る。呼吸機能は、MG被験体において呼吸不全の証拠について密にモニタリングされ、そして人工呼吸器支援が、努力肺活量(FVC)もしくは陰性吸気流速(NIF)の段階的測定における一貫した低下の事象、上気道整合性の喪失(口内分泌、嚥下、又は会話を扱う困難性)、又は新たに出現する呼吸不全の状況において推奨される。QMGの試験項目の1つとしてのFVCは、QMGが行われる場合に行われる。NIFはNIF計測器を使用して行われた。これはスクリーニング、1日目、1~4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診1~6、8、10、12、14、及び17又はET)に測定される。
【0225】
5.5.2. MGFA介入後状態
MG臨床状態を、MGFA介入後状態を使用して評価した。表10を参照のこと。改善、変化なし、悪化、増悪及びMGにより死亡の状態変化カテゴリー、さらには軽微症状(MM)が、4、12及び26週ET(来診6、10及び17又はET)にPI又は治験全体をとおしてMG被験体の評価において熟練した同じ神経学者により評価され記録される。MMのサブスコア、すなわち、MM-0、MM-1、及びMM-3はこの治験実施計画書において使用されない。
【0226】
6.2. サンプルサイズの決定
試験設計は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照設計である。被験体は無作為に1:1でエクリズマブ又はプラセボに割り当てられる。無作為化階層化変数は、アメリカ重症筋無力症財団(MGFA)によるMG臨床分類に基づいて以下の4つのグループ分けに従う
(クラスIIa及びIIIa、クラスIVa、クラスIIb及びIIIb及びクラスIVb)。
【0227】
サンプルサイズ及び検出力計算(power calculation)過程は以下のとおりである:
・ 1:1無作為化(エクリズマブ:プラセボ)
・ 主要評価項目及び第一副次的評価項目の両方について検出力90%
・ 有意性の両側5%レベル
・ 逸脱率(Drop-out rate)15%
・ 両方の評価項目について、MG-ADLについてのベースラインからの平均変化は、エクリズマブについて4及びプラセボについて1.5、標準偏差3.25と仮定され、QMG総スコアの平均変化は、エクリズマブについて7及びプラセボについて3、標準偏差6と仮定され、そして処置群間の平均順位付け(ranked)差異は3と仮定される。サンプルサイズ計算はt検定に基づくものであった。
【0228】
これらの仮定を用いて、約92人の被験体(46人エクリズマブ及び46人プラセボ)は、26週目に処置差異を検出するために90%検出力を生じる。
【0229】
6.3. 解析対象集団
エクリズマブ群とプラセボ群とを比較するために二重盲検試験期間について分析を行う。分析は有効性、安全性、及びPK/PD分析を含む。
【0230】
6.3.1. 最大の解析対象集団
最大の解析対象集団(FAS)は、主要、副次的、及び三次的有効性解析を行う集団であり、そしてIPに無作為に割り当てられ、かつ少なくとも1用量のIP(エクリズマブ又はプラセボ処置)を受け、かつ少なくとも1回のIP注入後有効性評価を有する全ての被験体からなる。被験体は、彼らが実際に受けた処置にかかわらず、彼らが受けるように無作為に割り当てられた処置に従って有効性を比較される。
【0231】
6.3.2. 治験実施計画書に適合した対象集団
治験実施計画書に適合した(PP)対象集団は、大きな治験実施計画書からの逸脱(major protocol deviations)を有する被験体を除いた最大の解析対象集団(FAS)の集団のサブセットである。大きな治験実施計画書からの逸脱の可能なカテゴリーは、統計解析計画において規定される。治験実施計画書に適合した対象集団は:
・ 大きな治験実施計画書からの逸脱も、有効性に影響を与え得る可能性のある組み入れ/除外基準からの逸脱も有しておらず、
・ 必要な用量の少なくとも80%を投与され、そして26週間治験に参加した被験体、又は臨床増悪(例えば、MGクリーゼ/増悪)のために中止した時まで必要な用量の少なくとも80%を投与された被験体
の全ての被験体を含む。
PP集団は統計解析計画に十分に記載され、そして被験体はデーターベースロックの前に認識された。有効性解析はPPデータ・セットでも行われる。
【0232】
6.7. 有効性解析
注:試験期間の間、ベースラインは、処置群にかかわらず、全ての被験体について処置前の最後の利用可能な評価として定義される。
【0233】
6.7.1. 主要有効性評価項目
主要有効性評価項目は、試験期間の26週目におけるMG-ADLスコアのベースライ
ンからの変化である。主要有効性解析は、全ての被験体について試験期間からの利用可能な26週のデータで行われる。エクリズマブ処置群とプラセボ群との間の統計的に有意な差異(p≦0.05)が26週目にMG-ADL総スコアのベースラインからの変化について観察される場合、治験はその主要有効性目的を満たしたとみなされる。信頼区間及びp値が示される。26週目のMG-ADL総スコアのベースラインからの変化に関する主要解析のために、処置群は、最低ランクスコア解析(すなわち、ランクを用いた共分散[ANCOVA]解析)を使用して処置の効果と比較される。ベースラインMG-ADL総スコア及び無作為化階層化変数もまた、モデルにおける共変量であるべきである。この解析において、ベースラインからの実際の変化は、最高(MG-ADLスコアにおける最良の改善)から最低(MG-ADLスコアにおける最も少ない改善/最も大きい悪化)まで、救援治療を必要としなかった全ての被験体にわたってランク付けされる。ついで、救援治療を必要とした被験体はより低いランクを付与されるだろう。これらのより低いランクは、治験薬の開始(1日目)から救援治療までの時間に基づく。救援治療までの時間が最も短い被験体は、解析において絶対最低ランクを付与され、そして救援治療までの時間が最も長い被験体は、救援治療のない最低ランクの被験体より1つ低いランクを付与される。最終観察繰越法を、救援治療を必要とせず26週目が欠けている患者について26週目のベースラインからの変化の欠測に使用した。
【0234】
26週目のMG-ADL総スコアにおけるベースラインからの実際の変化についての感受性解析も行った。処置群をANCOVA分析を使用して26週におけるMG-ADL総スコアのベースラインからの実際の変化を使用して処置効果と比較した。ベースラインMG-ADL総スコア及び無作為化階層化変数もこのモデルにおける共変量である。26週目でのベースラインからの欠測変化に最終観察繰越法を使用する。
【0235】
26週目のMG-ADL総スコアにおけるベースラインからの実際の変化についての感受性解析も行った。感受性解析において、繰り返し測定モデルを使用して処置群を処置効果及び来診と比較する。ベースラインMG-ADL総スコア、無作為化階層化変数、及び被験体のIST処置状態の指標もこのモデルにおける共変量である。被験体は、被験体が受けるIST処置に基づいて定義されたIST処置状態変数を有する。
【0236】
さらに、26週目のMG-ADL総スコアにおけるベースラインからの変化の要約をISTに失敗した被験体について処置群ごとに作成する。
・ 2つ又はそれ以上のISTを連続して又は組み合わせて用いて1年又はそれ以上にわたる処置に失敗した被験体。
・ 少なくとも1つのISTに失敗し、かつ症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする患者。
【0237】
6.7.2. 副次的有効性解析
他に特に規定されていなければ、副次的有効性解析は試験期間からの利用可能な26週のデータを使用する。エクリズマブ処置をプラセボ処置と比較する副次的有効性解析のための仮説検証を、以下のランク順を用いた閉手順を使用して行う:
1. 26週目のQMG総スコアにおけるベースラインからの変化
2. ベースラインから26週までのMG-ADL総スコアにおける少なくとも3ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない被験体の比率
3. ベースラインから26週までのQMG総スコアにおける少なくとも5ポイントの減少を有し、かつ救援治療の無い被験体の比率
4. 26週目のMGCスコアのベースラインからの変化
5. 26週目のMG-QOL15のベースラインからの変化
仮説検定は、26週目におけるQMG総スコアのベースラインからの最も高いランク(#1)の変化から、MG-QOL-15におけるベースラインからの変化(#5)まで進
行し、そして統計的有意性が評価項目において達成されない場合(p≦0.05)、より低いランクの評価項目は統計的に有意とみなされない。信頼区間及びp値は、閉手順のアウトカムにもかかわらず、記述的目的のために全ての副次的有効性評価項目について示される。
【0238】
ベースラインからの変化を含む副次的評価項目は、特定の副次的評価項目について、主要解析として主要有効性評価項目に記載されたように共分散の最悪例ランク付け解析(worst-case ranked analysis)(ANCOVA)を使用して解析される。ランク付けANCOVAは、処置効果、特定の評価項目についてのベースライン、及び無作為化階層化変数を有する。
【0239】
26週目のQMGにおけるベースラインからの変化についての感受性解析は、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインQMGスコアを用いた反復測定モデルを使用して解析される。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。26週目におけるQMGスコアのベースラインからの実際の変化についての感受性解析もまた行われる。処置群は、26週目におけるWMGスコアのベースラインからの実際の変化を使用してANCOVA解析を使用して処置効果と比較される。ベースラインQMGスコア及び無作為化階層化変数もまたこのモデルにおける共変量である。最終観察繰越法は、26週目の欠測したベースラインからの変化について使用される。
【0240】
26週目におけるMGCのベースラインからの変化についての感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインMGCスコアを用いて反復測定モデルを使用して解析する。無作為化階層化変数もこのモデルにおける共変量である。
【0241】
26週目のMG-QOL-15におけるベースラインからの変化についての感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインMG-QOL-15スコアを用いて反復測定モデルを使用して解析する。無作為化階層化変数はこのモデルにおける共変量である。
【0242】
ベースラインから26週までのMG-ADL総スコアにおける少なくとも3ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない被験体の比率を、プラセボに対してエクリズマブを比較するために、無作為化階層化変数により階層化されたコクラン・マンテル・ヘンツェル検定により解析する。
【0243】
ベースラインから26週までにQMG総スコアにおいて少なくとも5ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない被験体の比率を、プラセボに対してエクリズマブを比較するために、無作為化階層化変数により階層化されたコクラン・マンテル・ヘンツェル検定により解析する。
【0244】
さらなる感受性解析を、様々な副次的評価項目に対するIST処置状態の影響をい評価するために行う。26週目における副次的評価項目(すなわち、QMG、MGC、及びMG-QOL-15)のベースラインからの変化についての感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインスコアを用いて反復測定モデルを使用して解析する。無作為化階層化変量及び被験体のIST処置状態の指標もまたこのモデルにおける共変量である。被験体は、被験体が受けたIST処置に基づいて定義されたIST処置状態変数を有する。
【0245】
さらに、26週目のQMG、MGC、及びMG-QOL-15におけるベースラインからの変化の要約を、ISTに失敗した被験体について処置群ごとに提供する。
・ 2つ又はそれ以上のISTを連続して又は組み合わせて用いる1年又はそれ以上に
わたる処置に失敗した被験体
・ 少なくとも1つのISTに失敗し、かつ症状を制御するために、慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする被験体。
【0246】
6.7.3. 三次的有効性評価項目
試験期間の間の三次的有効性解析は以下を含む:
1. MG-ADL総スコアの減少により測定した応答時間(ベースラインから3ポイントの減少)
2. 26週目のNeuro-QOL疲労におけるベースラインからの変化
3. 26週目におけるEQ-5Dのベースラインからの変化
4. ベースラインで以上なNIFを有する被験体における26週目のNIFのベースラインからの変化
5. ベースラインで異常なFVCを有する被験体における26週目のFVCにおけるベースラインからの変化
6. 特定の項目又はサブカテゴリーについて異常なベースラインスコアを有する被験体において26週目における、MG-ADLの個々の項目におけるベースラインからの変化並びに眼球(項目1、2及び3)、呼吸(項目4)、四肢(項目5及び6)及び眼(項目7及び8)についてのMG-ADLサブカテゴリーにおけるベースラインからの変化
7. 26週目のMGFA介入後状態におけるベースラインからの変化。
【0247】
MG-ADL総スコアに対する応答時間(ベースラインからのMG-ADL3のポイントの減少)について、処置群を、ロバスト分散推定を用いたCox PH回帰を使用して比較する。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。推定はlogハザード比のワルド検定に基づく。
【0248】
生活の質を必要に応じて生活の質手段にまとめ、そして処置群比較を、統計解析計画(SAP)に明示されるように行った。
【0249】
ベースラインからの変化を含む三次評価項目を、特定の三次評価項目について主要解析として主要有効性評価項目について記載されるように最悪例ランク付けANCOVAを使用して解析する。ランク付けANCOVAは、処置効果、特定の評価項目についてのベースライン、及び無作為化階層化変数を有する。
【0250】
ベースラインで異常なNIFを有する被験体についての26週目におけるNIFのベースラインからの変化についての感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインNIFを用いて反復測定モデルを使用して解析した。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。
【0251】
FVCにおけるベースラインからの変化についての感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースラインFVCを用いて反復測定モデルを使用して解析する。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。
【0252】
ベースラインで異常である被験体において26週目におけるMG-ADLの個々の項目及びサブカテゴリーにおけるベースラインからの変化について感受性解析を、処置群を比較するために、処置効果、来診、及びベースライン、並びに解析の規定に応じてベースラインMG-ADLの個々の項目及びサブカテゴリーを用いて反復測定モデルを使用して解析する。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。さらに、全ての最大解析対象集団(FAS)及び全てのPP被験体について、26週目のMG-ADLの個々の項目及びサブカテゴリーにおけるベースラインからの変化についての感受性解析を、解析について規定される場合は、処置効果、来診、及びベースラインMG-ADLの個々
の項目又はサブカテゴリースコアを用いて、反復測定モデルを使用して処置群を比較するために行った。無作為化階層化変数はまたこのモデルにおける共変量である。最後に、同様の感受性解析及び/又は要約を、MG-ADLの個々の項目及びサブカテゴリーにおいて、ベースラインでは正常であり、ベースラインの後に異常になった被験体のサブセットにおいて作成した(被験体の数による)。
【0253】
NIF及びFVCについて正常から異常になった被験体の要約を示す。特定のMG-ADLの個々の項目サブカテゴリーについて正常から異常になった被験体の要約を示す。
【0254】
6.11. 他の統計的問題
6.11.1. 有意性レベル
全ての解析について、エクリズマブ処置群をプラセボ群と比較し、そして他に特に規定がなければ、全ての仮説検証は両側であり、そして有意性0.05である。有効性パラメーターに対する処置効果の見積もりは、効果サイズについて両側95%信頼区間を伴う。
【0255】
6.11.2. 欠測又は無効なデータ
有効性及び安全性解析について、欠測したベースライン後の有効性及び安全性データは、SAPにおいて記載される解析において示されていなければ補完されない。
【0256】
6.11.3. 中間解析
この治験について中間解析は計画されていない。
【0257】
実施例2: 延長試験
難治性gMGを有する被験体においてエクリズマブに長期安全性を評価するために行われた延長試験が本明細書に記載される。他の副次的目的は以下を含む:
・ MG-ADLにより測定した長期有効性の評価
・ 以下を含むさらなる有効性手段による長期有効性の評価:
・ MG、MGC、
・ MG-ADLの個々の項目及びサブカテゴリー
・ 生活の質
・ 難治性gMG患者におけるエクリズマブのPK及びPDの記載。
【0258】
延長試験は4年間続く(FPFV~LPLV)。最初の来診は上記の治験における来診17(26週)の2週以内に発生する。以前の治験の盲検を維持するために、全ての被験体は隠された導入期を受け、続いて非盲検維持期を受ける。これを図6及び7にまとめる。選択された来診で「在宅注入」が、規則に従って治験責任医師の許可を得て行われる。評価、処置、併用薬/禁止薬物は上記の試験のように行われた。
【0259】
延長試験のための組み入れ基準は前の治験の完了であった。除外基準は、前の治験の取りやめ及び妊娠又は妊娠する意志であった。IST処置は、処置する医師の判断で変更することができたが、リツキシマブは禁止された。
【0260】
有効性を、MG-ADL、QMG、MGC、NIF、FVC、QOL、G-QOL15、Neuro-QOL疲労、EQ-5D及びMGFA介入後状態により測定した。
【0261】
実施例3: ECU-MG-301 26週(301)試験及びECU-MG-302延長(302)試験を含むREGAIN試験からの結果
REGAIN試験は、難治性gMGを有する患者におけるエクリズマブの安全性及び有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験である。この試験は、北米、南米、欧州、及びアジアにわたって125人の成人患者を登録し処置した。患者は確認され
たMG診断を有し、抗AChR抗体についての陽性血清学検査を有していた。全ての患者は、以前に少なくとも2つの免疫抑制剤を用いた処置で失敗するか、又は少なくとも1つの免疫抑制剤を用いた処置に失敗し、かつ慢性的な血漿交換もしくはIVIgを必要とし、かつ試験参加の時点でMG-ADL総スコア≧6を有していた。
【0262】
上で考察したように、患者は最初に表7に示されるMGFA臨床分類に従って以下の4つの群に無作為に割り当てられた:
MGFA IIa/IIIa
MGFA IIb/IIIB
MGFA IVa
MGFA IVb
【0263】
スクリーニングでのMGFA分類の概要は以下のとおりであった:クラスIIa 合計25人の患者;クラスIIb 合計22人の患者;クラスIIIa 合計36人の患者;クラスIIIb 合計30人の患者;クラスIVa 合計6人の患者;及びクラスIVb
合計6人の患者。
【0264】
患者を以下のようにプラセボ群に割り当てた: クラスIIa 合計15人(23.8%)の患者;クラスIIb 合計14人(22.2%)の患者;クラスIIIa 合計16人(25.4%)の患者;クラスIIIb 合計13人(20.6%)の患者;クラスIVa 合計2人(3.2%)の患者;及びクラスIVb 合計3人(4.8%)の患者。
【0265】
患者を以下のようにエクリズマブ群に割り当てた:クラスIIa 合計10人(16.1%)の患者;クラスIIb 合計8人(12.9%)の患者;クラスIIIa 合計20人(32.3%)の患者;クラスIIIb 合計17人(27.4%)の患者;クラスIVa 合計4人(6.5%)の患者;及びクラスIVb 合計3人(4.8%)の患者。
【0266】
301試験を完了し、そして302試験に登録した患者の配置を以下の表14に示す。
【0267】
【表17】
【0268】
従って、プラセボ患者の96.8%及びエクリズマブ患者の88.9%が延長試験に進んだ。
【0269】
301試験参加者の人口動態は以下の表15に示されるとおりであった。
【0270】
【表18】
【0271】
治験実施計画書は、臨床増悪を以下のうちの1つを有する被験体として定義する:
1. MGクリーゼ
2. 眼を除くMG-ADLの個々の項目(すなわち、会話、咀嚼、嚥下、呼吸、及び下肢脱力)のうちのいずれか1つにおける悪化として定義される、有意な症状の悪化:
- グレード3への悪化、
- MG-ADLにおける2ポイントの悪化
3. 処置する医師が、救援治療が施されなければ被験体の健康は危険にさらされると考える。
【0272】
救援治療は治験実施計画書において以下のように定義される: PE又はIVIgの使用は、この治験実施計画書により定義される臨床増悪を経験する被験体に許可される。特定の被験体に使用される救援治療は、処置する医師の判断である。
【0273】
PEが救援治療として実施される場合、追加IP(2バイアル)は各PEセッションの終了の60分以内に投与される。通常の(治験実施計画書スケジュールに従う)IP投与は、被験体に特定の用量投与スケジュールに従って継続される。被験体が治験実施計画書で予定された用量をPEセッションの日に受けるよう予定されている場合、予定された用量はPEセッションの終了後60分以内に投与される。
【0274】
治験実施計画書の間に臨床増悪を経験した患者の総数を以下の表16に示す。
【0275】
【表19】
【0276】
救援治療を必要とする臨床増悪を以下の表17に示す:
【0277】
【表20】
【0278】
上記の主要及び副次的評価項目を以下に示されるように使用した:
・ 主要評価項目:
- 26週目のMG-ADL総スコアにおけるベースラインからの変化
・ 副次的評価項目(階層的):
- 26週目のQMG総スコアにおけるベースラインからの変化
- ベースラインから26週までにMG-ADL総スコアにおける≧3ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない被験体の比率
- ベースラインから26週までにQMG総スコアにおける≧5ポイントの減少を有し、かつ救援治療のない被験体の比率
- 26週目の重症筋無力症コンポジット(MGC)総スコアにおけるベースラインからの変化
- 26週目のMG-QoL15におけるベースラインからの変化
【0279】
26週目のMG-ADLスコアにおける1つの主要評価項目。スコアは0~24の範囲に及び、そして3つの眼球項目、1つの呼吸項目、2つの粗大運動又は四肢の項目、及び2つの眼の項目を含む。MG-ADLの臨床的に有意な改善は3ポイント又はそれ以上の減少と定義される。表1を参照のこと。
【0280】
【表21】
【0281】
治験実施計画書全体を終了した患者からの結果を表18に示す。従って、表20に示されるように、エクリズマブ群の中央値はMG-ADLにおいて-4ポイント減少を示した。この結果は、エクリズマブが、患者のMG-ADLスコアにより測定してMG患者における臨床的に有意な改善を生じたということを実証する。
【0282】
表18、19、20、及び21に示されるように統計的目的のためにデータを多数の方法で解析したが、各場合において、エクリズマブ群はMG-ADLにおいて臨床的に有意な改善を生じ、そしてプラセボ群はMG-ADLにおいて臨床的に有意な改善を生じることに失敗した。表18~21を参照のこと。
【0283】
【表22】
【0284】
難治性gMGは、MG-衰弱性の、補体媒介神経筋疾患であるMDの極めて稀な部分であり、患者はひどく疲れ果てる従来の治療を受け、そして不明瞭なスピーチ、嚥下不全及び息詰まり、複視、上肢及び下肢の脱力、身体障害性疲労、呼吸筋脱力に起因する息切れ、並びに呼吸不全エピソードを生じる体中の重度の筋肉脱力を患い続ける。試験では、主要有効性評価項目の患者の報告した評価である重症筋無力症-日常生活動作プロフィール(MG-ADL)総スコアの26週目のベースラインからの変化は、最悪例ランク付け解析により測定して統計的有意性に達しなかった(p=0.0698)。
【0285】
【表23】
【0286】
【表24】
【0287】
次に、QMGスコアを全ての試験参加者について評価した。現在のQMGスコアリングシステムは13項目:眼(2項目)、顔面(1項目)、眼球(2項目)、粗大運動(6項目)、体軸(1項目)及び呼吸(1項目);からなり、それぞれ0~3に等級付けされ、3が最も重篤である(表2を参照のこと)。総QMGスコアの範囲は0~39である。QMGスコアリングシステムは、MGのための治療の客観的評価と考えられており、指標筋群の定量的試験に基づく。MGFA調査特別委員会は、QMGスコアがMGのための治療の前向き研究において使用されることを推奨した。患者のQMGにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアにおける5ポイント又はそれ以上の減少だろう。
【0288】
最大データ対象集団についてのQMGスコアは、エクリズマブ処置群について-5であり、従って救援を必要とせず、試験から脱退しなかった全ての患者について臨床的に有意な改善を生じた。結果については以下の表22及び図11を参照のこと。
【0289】
【表25】
【0290】
次に、MGCスコアを時間をかけて全ての試験参加者について評価した。MGCは、MGを有する被験体の臨床状態を測定するための有効な評価ツールである(16)。MGCは、MGにより最も頻繁に影響を受ける10の重要な機能的領域を評価し、そしてスケールは被験体が報告したアウトカムを組み込む臨床有意性について重み付けされる(表3を参照のこと)。MGCは、スクリーニング、1日目、1~4、8、12、16、20、及び26週又はET(来診1~6、8、10、12、14、及び17又はET)に実施される。総スコアは0~50の範囲に及ぶ。患者のMGCにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアにおける3ポイント又はそれ以上の減少だろう。
【0291】
【表26】
【0292】
最大データ集団についてのMGCスコアは、エクリズマブ処置群において(-10)であり、従って救援を必要とせず試験から脱退もしなかった全ての患者について臨床的に有意な改善を生じた。結果については上の表23を参照のこと。
【0293】
15項目重症筋無力症生活の質スケール(MG-QOL 15)は、MGを有する被験体に特有の健康に関連する生活の質を評価可能な手段である。表4を参照のこと。MG-QOL15は、機能障害及び能力障害の被験体の認識並びに疾患症状が認容される程度についての情報を提供し、かつ実施及び解釈が容易であるように設計された。MG-QOL
15は被験体により全ての項目に記入される。総スコアは0から60の範囲に及び、そしてより高いスコアはMG関連機能不全のより高い程度及び不満足を示す。患者のMGQ
OLにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後のスコアの減少だろう。
【0294】
最大データ集団についてのMG-QOL15中央値スコアはエクリズマブ処置群について(-11.5)であり、従って救援を必要とせず試験から脱退もしていない全ての患者についての臨床的に有意な改善を生じた。結果については表24を参照のこと。
【0295】
【表27】
【0296】
Neuro-QOL疲労は、被験体によって全ての項目が記入される信頼できる有効な短い19項目の疲労検査である。より高いスコアはより高い疲労及び動作に対するMGのより大きな影響を示す(表5を参照のこと)。患者のNeuro-QQL疲労スコアにおける臨床的に有意な改善は、26週の処置の後にスコアにおける減少に反映されるだろう。
【0297】
以下の表25に示されるように、エクリズマブ処置群は、26週の処置の後にそれらのNeuro-QOL疲労スコアにおける臨床的に有意な改善を実現した。
【0298】
【表28】
【0299】
REGAIN試験の有意性の考察
26週目にプラセボと比較したエクリズマブ処置で、定量的重症筋無力症(QMG)総スコアにおけるベースラインからの変化、MG臨床重症度の医師が実施した評価の第一の予め定義された副次的有効性評価項目は、最悪例ランク付け解析により測定して0.0129のp値を達成した。さらに、MG-ADL及びQMGにおけるレスポンダー状態の第二及び第三の予め定義された副次的有効性評価項目は、<0.05のp値を達成した:M
G-ADL総スコアにおいて少なくとも3ポイントの減少を有し、かつエクリズマブ処置でベースラインから26週までに救援治療がなかった患者の比率は、プラセボと比較して0.0229のp値を達成し、そしてQMG総スコアにおいて少なくとも5ポイントの減少を有し、かつエクリズマブ処置でベースラインから26週までに救援治療のなかった患者の比率は、プラセボと比較して0.0018のp値を達成した。
【0300】
REGAIN試験が、エクリズマブで処置された患者においてプラセボと比較してMG-ADL及びQMG測定において臨床的に有意な改善を達成したことは有望である。この大きな前向き登録試験において観察されたQMGに対する効果の大きさは、難治性MG患者の30年より長い臨床調査において前例がない。歩行、会話、嚥下、及び通常の呼吸さえも含む単純な日常動作を行うことを困難にするか又は不可能にする深刻な補体媒介筋力低下を経験し続ける難治性gMG患者の寿命を劇的に改善する可能性を有する治療がMGコミュニティにおいて緊急に必要とされる。
【0301】
予め指定された感受性解析は、主要及び第一副次的評価項目についての結果を認証するために予め定義された。4つの予め定義されたMG-ADL感受性解析のうちの3つはp値<0.05を達成し、これは反復測定を使用したMG-ADLにおけるベースラインからの変化についての主要評価項目周りの感受性解析を含み、26週目のプラセボでの平均変化-2.3に対して26週目のエクリズマブ処置での平均変化-4.2を示し、そしてp値0.0058を達成した。さらに、全ての4つの予め定義されたQMG感受性解析はp値<0.05を達成し、これは反復測定を使用したQMGにおけるベースラインからの変化についての第一の副次的評価項目周りの感受性解析を含み、これは26週目のプラセボでの平均変化-1.6に対して26週目のエクリズマブ処置での平均変化-4.6を示し、そしてp値0.0006を達成した。
【0302】
この試験からの知見は、難治性gMGの根底にある病態生理学に対処する際の補体阻害の軸となる役割を強調する。重要なことには、第一の3つの副次的評価項目及び一連の予め定義された感受性解析を含む全体のデータは、プラセボと比較してエクリズマブで処置された患者について26週にわたる早期かつ持続した実質的な改善を示す。
【0303】
実施例4:難治性重症筋無力症を処置する際の使用のための抗C5抗体
以下の表27は、難治性MGを処置する際に使用され得る抗補体タンパク質C5特異的ヒト化抗体の配列を含む。抗体は、配列番号1における重鎖CDR1、配列番号2における重鎖CDR2、及び配列番号3における重鎖CDR3としてCDRのKabat定義を使用して表27に示される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)を有するエクリズマブのような抗C5抗体であった。エクリズマブ軽鎖CDRは、配列番号4において軽鎖CDR1、配列番号5において軽鎖CDR2、及び配列番号6において軽鎖CDR3として以下に示される。エクリズマブの重鎖可変領域は配列番号7に示され、そしてエクリズマブの軽鎖可変領域は配列番号8に示される。エクリズマブの完全重鎖は以下に配列番号10として示され、そして軽鎖は以下に配列番号11として示される。
【0304】
抗体は、BNJ441として知られ、そして患者における抗体のT1/2を増加させるためのFc領域における変異と組み合わされたCDR領域において選択された変異を有するエクリズマブ変異体であり得る。BNJ441抗体は、配列番号12に示される重鎖可変領域を有し、BNJ441の軽鎖可変領域は配列番号8に示される。BNJ441の完全重鎖は以下に配列番号14として示され、そして軽鎖は以下に配列番号11として示される。
【0305】
抗体は、7086抗体のようなエクリズマブに関連しない抗C5抗体であり得、そしてCDRのKabat定義を使用して表表27に示されるような3つの重鎖相補性決定領域
(CDR)を、配列番号21における重鎖CDR1、配列番号22における重鎖CDR2、及び配列番号23における重鎖CDR3として有し得る。7086抗体軽鎖CDRは、以下に配列番号24における軽鎖CDR1、配列番号25における軽鎖CDR2及び配列番号26における軽鎖CDR3として示される。7086の重鎖可変領域は配列番号27に示され、そして7086の軽鎖可変領域は配列番号28に示される。
【0306】
抗体は、8110抗体のようなエクリズマブに関連のない抗C5抗体であり得、そしてCDRのKabat定義を使用して表27に示される3つの重鎖相補性決定領域(CDR)を、配列番号29における重鎖CDR1、配列番号30における重鎖CDR2、及び配列番号31における重鎖CDR3として有し得る。7086抗体軽鎖CDRは、以下に配列番号32における軽鎖CDR1、配列番号33における軽鎖CDR2及び配列番号34における軽鎖CDR3として示される。8110の重鎖可変領域は配列番号35に示され、そして8110の軽鎖可変領域は配列番号36に示される。
【0307】
抗体は、配列番号37に従う重鎖可変領域アミノ酸配列及び配列番号38に従う軽鎖可変領域アミノ酸配列を含む抗C5抗体又はその抗原結合フラグメントであり得る。
【0308】
実施例5: 難治性全身型重症筋無力症(gMG)患者における筋力及び日常生活動作の両方の、エクリズマブ対プラセボの二重レスポンダー解析:REGAIN試験からの結果
実施例の目的は、エクリズマブに対して臨床的に有意な応答を示した患者における応答の時間経過、並びにMG-ADL及びQMGの両方に対して臨床的に有意な関連する応答を有していた患者の比率を評価することであった。難治性gMGを有する患者は、試験の間をとおしてIST(コルチコステロイド類を含む)の安定用量を受け続けた;患者は盲検エクリズマブ900mgを4週間週に1回、第五週に1200mg、その後2週ごとに1200mg(n=62)又は盲検でプラセボ(n=63)(図12)を受けるように無作為に割り当てられた。
【0309】
重症筋無力症日常動作(MG-ADL)は、医師が指示し、患者が報告するMG特有のADLに関連する症状重症度の尺度であり(Muppidi、Ann. N.Y. Acad. Sci. 1274:114-19 (2012))、そして定量的重症筋無力症(QMG)ツールは、臨床医が報告する筋力の尺度である(Barohn et al.、Ann. N.Y. Acad. Sci. 841:769-72 (1998))。予め特定されたレスポンダー解析は、救援がなくMG-ADL総スコアにおいて≧3ポイントの改善を応答した患者の比率;及び救援がなくQMG総スコアにおいて≧5ポイントの改善を有する患者の比率を含んでいた。ad hoc二重レスポンダー解析において、救援治療なく、MG-ADL総スコアにおけるベースラインからの≧3ポイントの改善及びQMG総スコアにおけるベースラインからの≧5ポイントの改善として定義された。前もって指定されたレスポンダー閾値(すなわち、MG-ADLについて≧3ポイントの改善及びQMGについて≧5ポイントの改善)に加えて、MG-ADLについて≧4、5、6、7、及び8及びQMGについて≧6、7、8、9、及び10の閾値も調べられた。コクラン・マンテル・ヘンツェル(CMH)検定からのP値が、解釈を補助するためのより厳しい基準に提供された。
【0310】
プラセボを投与された患者よりエクリズマブを投与された患者の多くが、上で定義された臨床的に有意な応答を経験し、そしてMG-ADL及びQMG総スコアの両方についてより厳しい閾値に基づいて臨床的に有意な関連する応答も経験した(図13)。26週試験にわたって各評価日に行われたMG-ADLレスポンダー解析を図14に示す(MG-ADLにおいて≧3、5、又は8ポイントの変化を有する患者の比率)。26週試験の間各評価日に行われたQMGレスポンダー解析を図15に示す(QMGにおいて5、7、又
は10ポイントより大きな変化を有する患者の比率)。MG-ADL総スコア及びQMG総スコアの両方において臨床的に有意な応答を達成した患者の実質的な重なりがあった(図16)。応答の分類閾値のそれぞれについて、プラセボ群における患者と比較してエクリズマブ群における改善された患者の比率において>3倍の増加が見られた(図16)。プラセボに対してエクリズマブを投与されたより多くの患者が、MG-ADL及びQMGスコアの両方において26週目に臨床的に有意な応答を達成した(26週:エクリズマブ40% 対 プラセボ13%;名目上P<0.001)(図16)。エクリズマブ処置の利点は最初の2週間以内に明らかとなり(2週:エクリズマブ19% 対 プラセボ6%は二重レスポンダーであった;名目上P=0.0297)、そして26週までの間持続した(全てP≦0.05)(図17)。
【0311】
エクリズマブで処置された3倍ほども多くの難治性gMG患者が、26週までにプラセボ群と比較して筋力及びADLの両方において臨床的に有意な改善を経験した。プラセボ群と比較して、増加した比率の個々の評価レスポンダー(MG-ADL及びQMGの両方において)さらにはエクリズマブ処置患者群において現れた二重レスポンダーは、早期に観察され、そして全体的に試験の間に維持された。
【0312】
図18に示されるように、応答率は、プラセボ処置群患者(12.7%)よりもエクリズマブ処置患者(40.3%)において実質的に高く、エクリズマブで処置された患者における患者評価及び医師評価の両方のアウトカム尺度により臨床的に有意な応答を示した。応答基準を次第に厳しくすると、プラセボに勝るエクリズマブに対する応答の優位性がより顕著となり、オッズ比は10を越える。
【0313】
実施例6: エクリズマブの有効性は、AChR+ 難治性全身型重症筋無力症(gMG)を有する患者において26週を超えて維持される
REGAINを完了した患者は、ECU-MG-302として知られる非盲検延長試験に継続することを許可された。延長試験に参加した各患者は、非盲検エクリズマブ維持処置(2週ごとに1200mg)を受ける前に初期4週盲検導入を受けた。MG-ADL、QMG、MGC、及びMG-QOL15スコア及び安全性を評価した。
【0314】
患者が26週の試験期間にわたって安定MG治療を維持することを必要とされた試験ECU-MG-301と対照的に、コルチコステロイド類及びアセチルコリンエステラーゼ阻害剤(AChI)を含むバックグラウンド免疫抑制剤治療(IST)の調整は試験ECU-MG-302において許可されていた。治験責任医師は、既存のIST/AChIの投薬を変化することができ、既存のIST/AChIを中止することができ、又は新しいIST/AChIを加えることができた。
【0315】
エクリズマブ/エクリズマブ患者(n=56)におけるMG-ADL総スコアは、非盲検ベースラインから52週まで変化なかった。プラセボ/エクリズマブ患者において(n=60)、非盲検ベースラインからのMG-ADL総スコアの急速な改善が、1週目という早期に観察されたMG-ADL総スコアにおけるECU-MG-302ベースラインからの変化で実証された(-1.6 [-2.28、-0.89];p<0.0001)。全体的処置効果の大部分は、盲検導入期の間に4週までに達成され(-2.4 [-3.19、-1.71];p<0.0001)、そして52週まで維持された(-2.7 [-3.73、-1.63];p<0.0001)。QMG、MGC、及びMG-QOL15総スコアにおける変化は、MG-ADLのパターンに類似したパターンに従った(52週目に、QMG:-4.6;P<.0001;MGC:-5.1;P<.0001;及びMG-QOL15:-5.7;P=.005)。類似した応答パターンが、呼吸、眼球、四肢、及び眼のMG-ADLドメインで見られた。エクリズマブの安全性プロフィールは、非盲検延長試験の間中変化しないままであり、そして既知のプロフィールと一致してい
た。
【0316】
全体で65人(55.6%)の患者が、試験の間の彼らのIST使用の変化を報告した。より大きな比率の患者が、用量増加又は≧1のISTの開始よりも用量の減少又は≧1のISTの停止を有していた(表26)。55人(47.0%)の患者は、1つのISTの彼らの日用量を減少させ、そして2人(1.7%)の患者は>1のISTの日用量を減少させた;29人(24.8%)の患者は1つのISTの彼らの日用量を増加させ、そして>1のISTの彼らの用量を増加させた患者はいなかった。19人(16.2%)の患者は既存のISTを停止した;5人(4.3%)の患者は新しいISTを開始した。ISR治療の最も一般的な理由はMG症状の改善であり、42人(35.9%)の患者はIST治療の変更の理由としてMG症状の改善を報告した。相対的に、21人(17.9%)の患者は、IST治療変更の主な理由としてMG症状の悪化を報告した。ISTに対する副作用/不耐容は、13人(11.1%)の患者においてIST治療の変更の理由として報告された。
【0317】
【表29】
【0318】
全体に、延長試験は、試験ECU-MG-301においてエクリズマブを投与された患者が試験ECU-MG-302におけるさらなるエクリズマブ処置の52週の間中それらの改善を持続したということを実証した。試験ECU-MG-301においてプラセボを投与された患者については、エクリズマブ処置の開始後速やかに改善が生じ、そして試験ECU-MG-301におけるエクリズマブ処置患者において観察された効果と同様に、試験ECU-MG-302の52週まで維持された。
【0319】
【表30】
【0320】
【表31】
【0321】
【表32】
【0322】
【表33】
【0323】
引用文献:
以下の参考文献は、参照によりそれら全体として本明細書に加入される:
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図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【配列表】
2022126773000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法で使用するための、エクリズマブを含む医薬組成物であって、前記方法は、患者に治療有効量のエクリズマブを投与することを含み;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者は、重症筋無力症日常生活動作(MG-ADL)スコアにおける少なくとも3ポイントの減少を経験し;そして
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与される、
上記医薬組成物。
【請求項2】
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続く、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
方法は、臨床増悪を経験した患者に血漿交換を行うこと、及び血漿交換の完了の4時間以内に患者に300mgと1200mgとの間の追加用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
方法は、臨床増悪を経験した患者に血漿交換を行うこと、及び血漿交換の完了の90分以内に患者に600mgと900mgとの間の追加用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
方法は、臨床増悪を経験した患者に血漿交換を行うこと、及び血漿交換の完了の1時間以内に患者に600mgの追加用量でエクリズマブを投与することをさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
患者は、26週の処置の後に定量的重症筋無力症スコア(QMG)において臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のQMGスコアにおける少なくとも4ポイントの減少である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
患者は、26週の処置の後に重症筋無力症コンポジット(MGC)スコアにおいて臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMGCスコアにおける少なくとも6ポイントの減少である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
患者は、26週の処置の後に重症筋無力症生活の質(MG-QOL-15)スコアにより測定した生活の質における臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のMG-QOL-15スコアにおける少なくとも6ポイントの減少である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
患者は、26週の処置の後にNeuro-QOL疲労スコアにより測定して神経-疲労における臨床的に有意な改善(減少)を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
患者が経験する臨床的に有意な改善は、26週の処置の後に患者のNeuro-QOLスコアにおける少なくとも8ポイントの減少である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
患者は、26週の処置の後にEQ-5D健康状態スコアにより測定して健康状態において臨床的に有意な改善(増加)を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法で使用するための、エクリズマブを含む医薬組成物であって、前記方法は、エクリズマブを患者に投与することを含み;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
エクリズマブは、1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用して投与され;
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、MG-ADL、QMG、MGC、MG-QOL、及びNeuro-QOLから
なる群より選択される全身型重症筋無力症重症度の少なくとも2つの測定で臨床的に有意な改善(減少)を有し、
患者は、26週の処置の後にMG-ADLスコアにおける少なくとも3ポイントの減少を経験する、
上記医薬組成物。
【請求項16】
それを必要とする患者において難治性全身型重症筋無力症を処置する方法で使用するための、エクリズマブを含む医薬組成物であって、前記方法は、エクリズマブを患者に投与することを含み;
ここで患者は、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合する自己抗体(抗AChR)について陽性であり、かつ抗コリンエステラーゼ阻害剤治療及び免疫抑制剤治療(IST)を含む重症筋無力症の治療を受けている間に顕著な全身性脱力又は眼球徴候及び重症筋無力症の症状を示し、かつ臨床的安定を維持するために慢性的な血漿交換又は慢性的なIVIgを必要とし;
1日目にエクリズマブの900mg導入量を投与すること、7、14、及び21日目にエクリズマブの900mg用量を投与すること、並びに28日目に第五導入用量としてエクリズマブ1200mgを投与することを含む導入期を含む段階的投薬スケジュールを使用してエクリズマブが投与され;
患者は少なくとも26週間エクリズマブを投与され;
エクリズマブ処置の28日の導入期の後に、第五導入用量の14日後にエクリズマブ1200mgを投与すること、及びその後14±2日ごとにエクリズマブ1200mgを投与することを含む維持期が続き;そして
患者は、全身型重症筋無力症重症度の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも3ポイントの減少、QMGの少なくとも4ポイントの減少、MGCにおける少なくとも6ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも6ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも8ポイントの減少である、
上記医薬組成物。
【請求項17】
患者は全身型重症筋無力症の5つの測定において臨床的に有意な改善(減少)を有し、ここで全身型重症筋無力症重症度の5つの測定は、MG-ADLにおける少なくとも4ポイントの減少、QMGの少なくとも5ポイントの減少、MGCにおける少なくとも10ポイントの減少、MG-QOLにおける少なくとも11ポイントの減少、及びNeuro-QOLにおける少なくとも16ポイントの減少である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
エクリズマブは静脈内注入により投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
エクリズマブは皮下投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
エクリズマブは、配列番号10に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
エクリズマブは、配列番号14に従う重鎖アミノ酸配列及び配列番号11に従う軽鎖アミノ酸配列を含むエクリズマブ変異体である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項22】
患者は、1年又はそれ以上にわたる2つ又はそれ以上の免疫抑制治療を順番に又は組み合わせて用いた処置に失敗した、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
患者は少なくとも1つの免疫抑制治療で失敗し、そして症状を制御するために慢性的な血漿交換又はIVIgを必要とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
治療有効量のエクリズマブは患者の血清中50~100μg/mLの濃度で維持される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
患者は、少なくとも26週の処置の後に1つ又はそれ以上の免疫抑制治療の投与の減少を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
患者は、少なくとも26週の処置の後に免疫抑制薬投薬の減少を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項27】
患者は、少なくとも26週の処置の後に、1つ又はそれ以上の免疫抑制薬投薬の減少及び1つ又はそれ以上の免疫抑制治療の中止を経験する、請求項1に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】