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特開2022-126850取引管理装置、取引管理システム、取引管理システムにおける取引管理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022126850
(43)【公開日】2022-08-30
(54)【発明の名称】取引管理装置、取引管理システム、取引管理システムにおける取引管理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20220823BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104776
(22)【出願日】2022-06-29
(62)【分割の表示】P 2021081409の分割
【原出願日】2009-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2008332601
(32)【優先日】2008-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】317010521
【氏名又は名称】株式会社マネースクエアHD
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相葉 斉
(72)【発明者】
【氏名】山本 久敏
(57)【要約】
【課題】簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して行うことができる取引管理装置。
【解決手段】取引管理装置の注文情報生成部16は、買いまたは売りの一方を第一注文価格で行う複数の第一注文と、他方を第二注文価格で行う複数の第二注文とを含む注文情報群を、売買注文申込情報ごとに生成する。注文情報生成部16は、取り引きの行われる価格範囲の情報と、第一注文どうし、及び/又は、第二注文どうしの値幅の値を演算する情報と、第一注文と第二注文との利幅の値を演算する情報とを取得し、価格範囲に、高値側基準価格、及び/又は、安値側基準価格を基準として価格範囲を設定し、高値側基準価格から最も高値の第二注文の注文価格、安値側基準価格から最も安値の第一注文の注文価格が所定の差額となるように設定し、第一注文の第一注文価格、及び/又は、第二注文の第二注文価格を所定の値幅の値、所定の利幅の値に設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売買注文申込情報を取得する注文受付部と、
買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備え、
前記注文情報生成部は、
所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得し、
取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、
前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、
所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、
それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定する
ことを特徴とする取引管理装置。
【請求項2】
前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての取り引きの上限価格、及び/又は、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての取り引きの下限価格を取得し、取得された前記上限価格に対する最も高値の前記第二注文価格が前記所定の差額となり、前記下限価格に対する最も安値の前記第一注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように演算することを特徴とする請求項1に記載の取引管理装置。
【請求項3】
前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、
前記第二注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の取引管理装置。
【請求項4】
前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、
前記第一注文価格及び前記第二注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の取引管理装置。
【請求項5】
前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、
前記第一注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の取引管理装置。
【請求項6】
それぞれの前記注文情報群に対応する取引処理を開始するときに、前記第一注文を有効に設定し、前記第二注文を無効に設定する約定情報生成部を備え、
前記約定情報生成部は、いずれかの前記第一注文が約定された場合に、該第一注文に対応する前記第二注文を有効に設定することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の取引管理装置。
【請求項7】
売買注文申込情報を取得する注文受付部と、
買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備え、
前記注文情報生成部は、
所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得し、
取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、
前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、
所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、
それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定することを特徴とする取引管理システム。
【請求項8】
売買注文申込情報を取得する注文受付部と、
買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備えた取引管理システムにおける取引管理方法であって、
前記注文情報生成部においては、
所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得する第1の手順と、
前記第1の手順において取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、
前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、
所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、
それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定する第2の手順と、
を備えたことを特徴とする取引管理システムにおける取引管理方法。
【請求項9】
コンピュータを請求項1乃至6の何れか一つに記載の取引管理装置として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
売買注文申込情報を取得する注文受付ステップと、
買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付ステップにおいて受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成ステップとを実行することによりコンピュータを取引管理装置として動作させるプログラムであって、
前記注文情報生成ステップは、
所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得する第1ステップと、
取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、
前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、
所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、
それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定する第2ステップと、を含むことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引の管理および支援を行う技術に関する。本発明は、例えば、外国為替等の金融商品の取引を管理および支援する装置等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
外国為替等の金融商品の取引方法として、成行注文および指値注文が知られている。成行注文とは、顧客が注文を行った時に、取扱業者がそのときの価格で取引を行う注文形態である。指値注文とは、予め顧客から売買価格の指定を受けておき、商品価格が指定された価格のときに取引を行う注文形態である。換言すれば、指値注文を受理した取扱業者は、対象となる金融商品が指定された価格まで下がったときにその金融商品を買い、あるいは、指定された価格まで上がったときにその金融商品を売る。金融商品の指値注文を、コンピュータシステムを用いて行う発明が、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-99787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、金融商品の価格は、常に不規則に変動しており、正確に予測することは実質的に不可能である。例えば、指値注文を行う場合に、金融商品の価格が、予め指定された金額の近傍にまで下降したものの、その指定価格に達することなく上昇に転じる場合がある。逆に、金融商品の価格が、予め指定された金額の近傍にまで上昇したものの、その指定価格に達することなく下降に転じる場合もある。さらには、金融商品の価格が下降して、予め指定された金額をよりもさらに安くなってしまう場合がある。逆に、金融商品の価格が上昇して、予め指定された金額をよりもさらに高くなってしまう場合もある。これらの場合には、顧客が、実質的な不利益を被る可能性がある。しかし、上記特許文献1に記載の発明は、このような不利益を回避できない。
【0005】
金融商品の指値注文としては、イフダン注文(if-done-order)
が行われることが多い。イフダン注文とは、順位が定められた2個の取引を同時に注文する、注文形態である。イフダン注文では、順位が高い方の注文(「買い」または「売り」の一方、以下「第一注文」と称する)に対応する取引が成立した後で、自動的に、順位が低い方の注文(「買い」または「売り」の他方、以下「第二注文」と称する)が有効になる。しかし、特許文献1に記載の発明は、イフダン注文の指値注文に対応できない。本願において、注文の「有効」とは、注文に基づく処理が実行中であることを言い、また、「無効」とは、注文に基づく処理が実行中でないことを言う。
【0006】
同一の顧客が、同一の金融商品について、複数のイフダン注文(すなわち、複数ペアの第一および第二注文)を行う場合がある。しかし、特許文献1の発明では、顧客が、これら複数のイフダン注文を、異なる操作によって個別に行う必要があり、したがって、注文の手続が煩雑である。
【0007】
本発明の第1の課題は、簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して行うことができる技術を提供することである。また、本発明の第2の課題は、相場の状況に応じてイフダン注文を自動的に中止させることができる技術を提供することである。これらの課題を解決することにより、システム利用者の利便性を高めることができ、且つ、システム利用者のリスクを低減させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、取引管理装置であって、売買注文申込情報を取得する注文受付部と、買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備え、前記注文情報生成部は、所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得し、取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての取り引きの上限価格、及び/又は、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての取り引きの下限価格を取得し、取得された前記上限価格に対する最も高値の前記第二注文価格が前記所定の差額となり、前記下限価格に対する最も安値の前記第一注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように演算することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、前記第二注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、前記第一注文価格及び前記第二注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記注文情報生成部は、前記高値側基準価格である、前記価格範囲の上限としての上限価格、及び、前記安値側基準価格である、前記価格範囲の下限としての下限価格の双方を取得し、前記第一注文価格のうち、最も高い価格が前記上限価格以下であり、且つ、最も低い価格が前記下限価格以上であるように演算することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、それぞれの前記注文情報群に対応する取引処理を開始するときに、前記第一注文を有効に設定し、前記第二注文を無効に設定する約定情報生成部を備え、前記約定情報生成部は、いずれかの前記第一注文が約定された場合に、該第一注文に対応する前記第二注文を有効に設定することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、取引管理システムであって、売買注文申込情報を取得する注文受付部と、買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備え、前記注文情報生成部は、所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得し、取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、売買注文申込情報を取得する注文受付部と、買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付部に受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成部とを備えた取引管理システムにおける取引管理方法であって、前記注文情報生成部においては、所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得する第1の手順と、前記第1の手順において取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定する第2の手順と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、プログラムであって、コンピュータを請求項1乃至6の何れか一つに記載の取引管理装置として機能させることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、売買注文申込情報を取得する注文受付ステップと、買いまたは売りの一方を第一注文価格で行うための複数の第一注文と、前記買いまたは前記売りの他方を第二注文価格で行うための複数の第二注文とをそれぞれ含む注文情報群を前記注文受付ステップにおいて受信された前記売買注文申込情報ごとに生成する注文情報生成ステップとを実行することによりコンピュータを取引管理装置として動作させるプログラムであって、前記注文情報生成ステップは、所定の高値側基準価格、及び/又は、所定の安値側基準価格を基準として、前記第一注文の取り引き、及び/又は、前記第二注文の取り引きの行われる価格の範囲としての価格範囲の情報と、前記注文情報群を形成する前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの任意の値幅の値を演算するための情報と、それぞれの前記第一注文と該第一注文に対応するそれぞれの前記第二注文との利幅を演算するための情報とを取得する第1ステップと、取得された、前記価格範囲の情報と、前記第一注文どうし、及び/又は、前記第二注文どうしの前記値幅の値を演算するための情報とに基づいて、前記高値側基準価格、及び/又は、前記安値側基準価格を基準として前記価格範囲を設定し、前記高値側基準価格から最も高値の前記第二注文の注文価格が所定の差額となるように設定すると共に、前記安値側基準価格から最も安値の前記第一注文の注文価格が、前記所定の差額と同一の差額となるように設定し、所定の本数の前記第一注文の第一注文価格どうしの値幅、及び/又は、所定の本数の前記第二注文の第二注文価格どうしの値幅を設定し、それぞれの前記第一注文の前記第一注文価格と、それぞれの前記第一注文に対応する前記第二注文の前記第二注文価格との利幅を所定の値に設定する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、2に記載の発明によれば、注文情報生成部において、取得された価格範囲の情報と、第一注文どうし及び第二注文どうしの値幅の値を演算するための情報とに基づいて、第一注文価格及び第二注文価格をそれぞれ設定する。従って、簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して行うことができる。また、それぞれの注文情報群について、第一注文と第二注文とが約定することを繰り返すように設定することにより、リピートイフダン注文が自動的に行われるように設定できる。
【0019】
請求項3~5に記載の発明によれば、上限価格及び下限価格を用いて、自動的に、第一、第二注文価格を設定する。従って、イフダン注文の設定を簡単に行うことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、第一注文が約定された場合に、第二注文を自動的に有効に設定する。したがって、顧客の操作が、簡単である。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、注文情報生成部において、取得された価格範囲の情報と、第一注文どうし及び第二注文どうしの値幅の値を演算するための情報とに基づいて、価格範囲における取り引きを行う第一注文価格及び第二注文価格をそれぞれ演算する。また、それぞれの注文情報群について、第一注文と第二注文とが約定することを繰り返すように設定することにより、リピートイフダン注文が自動的に行われるように設定できる。従って、簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して繰り返し行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、注文情報生成部において、取得された価格範囲の情報と、第一注文どうし及び第二注文どうしの値幅の値を演算するための情報とに基づいて、価格範囲における取り引きを行う第一注文価格及び第二注文価格をそれぞれ演算する。また、それぞれの注文情報群について、第一注文と第二注文とが約定することを繰り返すように設定することにより、リピートイフダン注文が自動的に行われるように設定できる。従って、簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して繰り返し行うことができる。
【0023】
請求項9、請求項10に記載の発明によれば、本発明の装置を、コンピュータによって構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係る取引管理システムの構成を概念的に示すブロック図である。
図2図1に示された取引管理装置に格納される注文テーブルのフィールド定義を示す図である。
図3図1に示された取引管理装置が、トラップリピートイフダン注文を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
図4】(a)はクライアント端末の表示部によって表示される第二入力画面の一例を示す概念図、(b)はクライアント端末の表示部によって表示される確認画面を示す概念図である。
図5A】実施形態に係る取引管理システムで生成される注文情報群を示す表である。
図5B】実施形態に係る取引管理システムで生成される注文情報群を示す表である。
図6A】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図6B】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図7A】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図7B】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図8】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図9】実施形態に係る取引管理システムの動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の一の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本実施形態に係る金融商品取引管理システムの構成を概念的に示すブロック図である。図1に示されたように、金融商品取引管理システム1Aは、金融商品取引管理装置1と、複数のクライアント端末21~2n(この実施形態では、クライアント端末の個数を‘n’とする)を備えている。金融商品取引管理装置1とクライアント端末21~2nとは、WAN(Wide Area Network)としてのインターネット3を介して、相互に通信することができる。本実施形態の金融商品取引管理システム1Aは、金融商品として、外国為替を取扱う。
【0027】
金融商品取引管理装置1は、金融商品の取扱業者によって管理および運用が行われる、サーバコンピュータである。金融商品取引管理装置1は、Webサーバとしての機能と、大容量のデータを保存するデータベースとしての機能とを備える。
【0028】
クライアント端末21~2nは、金融商品の売買を行う個人または法人によって、所持および使用される。端末21~2nは、データ通信機能を有する通信端末である。端末21~2nとしては、パーソナルコンピュータや、携帯電話端末等を使用することができる。
【0029】
クライアント端末21~2nは、操作部211~21nと、表示部221~22nとを備えている。操作部211~21nは、例えばマウスやキーボード等であり、使用者が各種指示を入力するために使用される。表示部221~22nは、操作部211~21nから入力された各種指示や、各種画像を表示する。クライアント端末21~2n、操作部211~21nおよび表示部221~22nは、対応する要素どうしで、同じ構成を有する。したがって、以下の説明では、区別の必要がある場合を除いて、クライアント端末2、操作部21および表示部22と記載される。
【0030】
図1には示されていないが、金融商品取引管理装置1は、少なくとも1個のCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、起動用ブートプログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)と、各種プログラムや各種データ等が格納される補助記憶装置と、データ通信に用いられる通信インターフェース等を、備えている。補助記憶装置は、例えばハードディスクであり、OS(Operating System)用プログラム、複数のアプリケーションプログラム、データベースのデータ等を格納する。ハードディスクに格納されたプログラムやデータは、CPUやハードウェア資源を用いて、各種機能を実現する。但し、これらの機能を、ハードウェアのみによって実現することも可能である。
【0031】
図1に示されたように、金融商品取引管理装置1は、データ・プロセッサ10と、「記憶部」としてのデータベース18とを備える。データ・プロセッサ10は、上述された各プログラムとハードウェア資源とを用いて、様々な機能を実現する。データベース18は、データ・プロセッサ10によって処理される、各種データを保存する。データ・プロセッサ10は、各種データを生成および処理するために、フロントページ配信部11、「注文受付部」としての注文入力受付部12、入出金情報生成部13、約定情報生成部14、口座情報生成部15、注文情報生成部16、データベース(DB)接続部17、価格情報受信管理部19を有している。
【0032】
注文入力受付部12は、売買注文申込情報をクライアント端末2から受信するとともに、金融商品の注文を成立させるために必要な処理を行う。
【0033】
入出金情報生成部13は、クライアント端末2から入出金のリクエストを受信するとともに、このリクエストに基づいて入出金の一覧表を作成する。
【0034】
注文情報生成部16は、注文入力受付部12によって処理された情報に基づいて、成立した注文に関する情報を生成する。本実施形態の「注文」は、成行注文、指値注文に加えて、イフダン注文を含む。
【0035】
本実施形態において、注文情報生成部16は、第一注文を新規の指値注文情報として生成し、第二注文を決済の指値注文情報として生成し、逆指値注文を決済の逆指値注文情報として生成する。第一注文を新規の指値注文情報として生成することにより、注文方法を画一化することができる。この結果、金融商品取引管理システム1Aの情報処理が簡素化され、したがって、システム1Aの構成が簡素化される。加えて、注文方法の画一化は、注文手続を簡素化し、したがって、顧客の利便性を高める。第二注文を決済の指値注文情報として生成することにより、第一注文によって得られた利益を、第二注文によって確定することができる。この結果、注文手続および金融商品取引管理システム1A内の情報処理を簡素化できる。逆指値注文とは、現在の為替レートよりも高い価格での買い注文、又は、現在の為替レートよりも低い価格での売り注文である。予め逆指値注文を行っておいた場合、為替レートが急激に変動したときに自動的に買い取りまたは売却を行うことができ、この結果、損害を最小限に抑えることができる。本実施形態では、逆指値注文を決済の逆指値注文情報として生成するので、逆指値注文を、真に逆指値注文が必要な場合、すなわち顧客の損害を最小限に抑えるための決済手続を行う場合にのみ、実行することができる。この結果、逆指値注文の乱用が防止され、且つ、金融商品取引管理システム1Aの情報処理が簡素化される。
【0036】
約定情報生成部14は、注文情報生成部16に生成された注文に対応する約定処理と、完了した約定処理に関連する情報を顧客のクライアント端末2に送る処理とを行う。本実施形態において、「約定」とは、顧客の注文に対応する取引の成立を意味する。また、「約定処理」とは、顧客の注文に基づいて金融商品の取引を成立させるための手続および処理を意味する。後述するように、この実施の形態では、約定が成立すると、外国為替の売買が行われる。そして、約定情報生成部14の指示に基づいて、口座情報生成部15が売買額に応じて証拠金情報(後述)を変更し、更に、入出金情報生成部13が入出金の一覧表に入金及び出金の状況を記載する。加えて、約定情報生成部14は、約定が成立すると、クライアント端末2の表示部22に約定が成立した旨の文字情報等を表示させ、且つ、売買価格に基づいてクライアント端末の銀行口座の出入金処理を行う。
【0037】
口座情報生成部15は、預かり金残高情報(すなわち、顧客の口座や預かり金額等を特定するための情報)を生成する機能と、生成された預かり金残高情報を証拠金情報(すなわち、注文の約定を実現できることを裏付けるための情報)として管理する機能とを有する。なお、預かり金残高情報は、顧客の実際の預かり金残高と定期的に照合される。実際の預かり金残高に関する情報は、銀行等の金融機関によって提供される。
【0038】
データベース接続部17は、データ・プロセッサ10のデータ形式とデータベース18のデータ形式との間のデータ変換(例えば論理的データ構造と物理的データ構造との相互変換)を行い、さらに、データ・プロセッサ10とデータベース18との間でデータを通信するために必要な処理を行う。
【0039】
データベース18は、金融商品取引管理装置1に使用されるデータを保存する。本実施形態では、データベース18として、リレーショナルデータベースが使用される。但し、大規模なデータ保存やデータ書き換えに適したものであれば、他の種類のデータベース(例えばオブジェクトデータベース)を使用することもできる。データベース18には、注文テーブル181、顧客の口座が存在する金融機関、口座名、残高等の情報を定義する顧客口座情報テーブル182、取引される通貨の組合せ等に関する情報を定義する通貨ペア注文条件テーブル183及びシーケンス番号テーブル184が格納されている。シーケンス番号テーブル184には、注文情報(後述)を区別するためのシーケンス番号が記録される。注文テーブル181の詳細は、後述される。
【0040】
フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22が表示する画像のデータを作成し、且つ、作成された画像データをクライアント端末2に送信する。
【0041】
価格情報受信管理部19は、金融商品取引管理装置1に扱われる金融商品の価格に関連する情報を取得する。さらに、価格情報受信管理部19は、取得された情報をデータ・プロセッサ10が使用するために必要な処理を、実行する。本実施形態では、価格情報受信管理部19は、外国為替の価格に関連する情報を取得して、かかる情報を記憶するとともに、かかる情報の管理を行う。
【0042】
なお、図1には示されていないが、金融商品取引管理装置1は、日時の情報を取得して管理するタイマと、このタイマから取得された日時の情報に基づいて第一注文、第二注文及び逆指値注文の有効期限(後述)を管理する期限管理部とを有する。
【0043】
図2は注文テーブル181のフィールド定義を示している。図2に示されているように、テーブル181は複数のカラムを有している。図2において、‘フィールド名’はそのフィールドの名称を定義し、‘型’は文字、数値、日時等のデータ・タイプを定義し、‘レコード長’はビット長等のデータ長を定義し、‘NOT NULL’は空欄が認められるか否かを定義し、‘デフォルト値’はデフォルト値の有無を定義し、‘備考’はデータの名称を定義する。
【0044】
本実施形態の金融商品取引管理装置1は、リピートイフダン注文を行うことができる。リピートイフダン注文とは、予め定められた第一注文価格および第二注文価格にしたがって、同一種類の金融商品に関連する複数のイフダン注文を繰り返し実行することである。さらに、金融商品取引管理装置1は、一回の売買注文申込(したがって、1個の売買注文申込情報)に基づいて、複数種類のリピートイフダン注文を平行して実行することができる。本願では、このような注文方式を、トラップリピートイフダン注文と称する。第一注文価格および第二注文価格は、リピートイフダン注文毎に異なる。トラップリピートイフダン注文は、トラップトレード注文の一種である。トラップトレード注文とは、金融商品の種類及び商品数は同一であるが取引価格が異なる複数の取り引きを、同時に予約することを意味する。後述のように、本実施形態では、約定情報生成部14が、価格が異なる複数の注文情報群を生成し、これらの注文情報群に含まれる各イフダン注文を有効期限まで繰り返すことによって、トラップリピートイフダン注文を実現する。
【0045】
次に、金融商品取引管理システム1Aがトラップリピートイフダン注文を実行するための手順について説明する。
【0046】
図3は、本実施形態の金融商品取引管理装置1が、トラップリピートイフダン注文に基づく指値注文を成立させる際の、処理手順を示すフローチャートである。以下、図3を参照しながら、注文時の処理手順を説明する。
【0047】
金融商品取引管理システム1Aを利用する場合、顧客は、クライアント端末2を用いて、金融商品取引管理装置1にアクセスする。金融商品取引管理装置1のフロントページ配信部11は、アクセスを行ったクライアント端末2の表示部22に、図4の(a)に示した入力画面40を表示させる。入力画面40において、売買希望通貨ペア選択ボタン401は、取引可能な通貨ペアを画面に表示させるためのボタンである。売買種類選択ボタン402は、最初に約定させる指値注文の売買の種類を画面に表示させるためのボタンである。注文種類選択ボタン403は、選択可能な注文の種類を画面に表示させるためのボタンである。上限価格入力欄404には、最も高い価格帯を設定するための基準価格である、上限価格が入力される。下限価格入力欄405には、最も低い価格帯を設定するための基準価格である下限価格が入力される。注文金額入力欄406には、それぞれの指値注文及び逆指値注文の約定によって売買される通貨(図4では米国ドル)の金額が入力される。トラップ本数選択欄407は、トラップ本数、すなわちポジション・ペアの数を選択するための欄である。本願において、ポジション・ペアとは、買い注文のポジション(すなわち、外貨の持高)と、かかる買い注文で購入された金融商品を販売するための売り注文のポジションとのペアである。利益金額指定欄408は、一つのポジション・ペアに対応する買い注文及び売り注文と約定することで得られる利益の希望金額(日本円)を入力するための欄である。逆指値注文価格入力欄409は、逆指値注文の約定価格、すなわち「逆指値注文情報」を入力するための欄である。イフダン注文選択欄410は、上述のリピートイフダン注文を実行するかどうかを選択するための欄である。有効期限選択ボタン411は、それぞれの指値注文及び逆指値注文の有効期限を選択するための欄である。
【0048】
さらに、入力画面40には、各入力欄及び選択ボタン401~411に入力されたデータに基づいて金融商品取引管理装置1が算出した、トラップ上下幅情報412及び「価格差情報」としてのトラップ値幅情報413が表示される。トラップ上下幅情報412は、上限価格入力欄404に入力された上限価格から下限価格入力欄405に入力された下限価格を引いた額である。トラップ値幅情報413は、トラップ上下幅情報412をトラップ本数選択欄407に入力された本数の値で割った値である。トラップ値幅情報413は、「価格差情報」すなわち隣接する価格帯どうしの価格差として使用される。
【0049】
顧客は、操作部21を操作することにより、入力画面40に表示された注文内容データの選択及び入力を行う(図3のステップS1参照)。図4の(a)は、売買希望通貨ペア選択ボタン401によって米国ドル/日本円(日本円で米国ドルを売買することを意味する)が選択され、売買種類選択ボタン402を用いて「買い」が選択され、注文種類選択ボタン403を用いて「トラップトレード注文」が選択され、上限価格入力欄404に1ドル当たり「112.00」円が入力され、下限価格入力欄405に1ドル当たり「103.00」円が入力され、注文金額入力欄406に「10」万ドルが入力され、トラップ本数選択欄407に「10」本が入力され、利益金額指定欄408に「5.0」万円が入力され、逆指値注文価格入力欄409に1ドル当たり「102.00」円が入力され、イフダン注文選択欄410を用いてリピートイフダン注文を指定する旨が選択され、有効期限選択ボタン411によって「無期限」が選択され、トラップ上下幅情報412として「9.00」円(すなわち、上限価格112.00円から下限価格103.00円を引いた額)が入力され、且つ、トラップ値幅情報413として「0.90」円(すなわち、トラップ上下幅9.00円をトラップ本数10本で割った値)が表示された状態を示している。
【0050】
この状態で選択ボタン414がクリックされると、入力画面40の入力欄及び選択欄401~411で特定されたデータ及び情報412,413を含む売買注文申込情報が、金融商品取引管理装置1に供給される。金融商品取引管理装置1の注文入力受付部12は、入力された売買注文申込情報を確認する。即ち、有効期限選択ボタン411において選択された期限、注文種類選択ボタン403において選択された注文の種類を確認し、さらに、それぞれの注文価格について検査を行う(図3のステップS2参照)。具体的には、トラップ上下幅情報412の価格がトラップ値幅情報413の値にトラップ本数選択欄407の価格を乗じた値以上であるか否かや、逆指値注文価格入力欄409の価格が下限価格入力欄405の価格よりも低いか否か等が、確認される。
【0051】
なお、ステップS2~S9の処理の間、クライアント端末2の表示部22には、入力画面40に代えて、リピートイフダン注文をキャンセルするための注文キャンセルボタンが設けられた第三の入力画面(図示せず)が、表示される。
【0052】
続いて、注文入力受付部12は、検査結果の適否を判断する(図3のステップS3参照)。価格が適正価格と判断された場合(ステップS3の“No”)、口座情報生成部15が、顧客口座情報テーブル182から、その顧客の証拠金情報を取得する。
【0053】
注文入力受付部12は、取得された証拠金情報と注文許容額とを比較し(図3のステップS4参照)、そして、証拠金の額が注文許容額以上であるか否かを判断する(図3のステップS5参照)。
【0054】
ここで、「注文許容額」とは、注文に必要な金額のことである(本明細書において同じ)。即ち、注文許容額は、注文金額入力欄406に入力された金額とトラップ本数選択欄407に入力された注文数とを乗じて得た値である。この実施の形態では、10(万ドル)×10(本)=100(万ドル)であってもよいし、当該値に対する所定の比率の値(例えば、100(万ドル)×0.1=10(万ドル))であってもよいし、予め定められた所定の金額(例えば、一律に10万ドル)であってもよい。
【0055】
注文情報生成部16は、証拠金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)にのみ、後述の「注文情報群」を生成する。これにより、顧客が確実に支払いができる場合にのみ、イフダン注文による指値注文を受け付けることができる。
【0056】
証拠金の額が注文許容額以上である場合(ステップS5の“No”)、注文入力受付部12は、通貨ペア注文条件テーブル183に記録されたデータ等を元に、他の注文条件(すなわち、注文価格以外の条件)と、イフダン注文を受け付けるための各種基準とを、比較する(図3のステップS6参照)。そして、他の条件が、これらの基準を満たしているか否かを判定する(図3のステップS7参照)。
【0057】
他の条件がイフダン注文の基準を満たしていない場合(ステップS7の“Yes”)、注文入力受付部12は入力された注文をエラーとして扱い、注文の受付を拒絶する(ステップS10)。
【0058】
イフダン注文の各種条件が満たされている場合であって(ステップS7の“No”)、注文条件が上述のイフダン注文による指値注文に必要な条件を全て満たしていると判定された場合、フロントページ配信部11は、クライアント端末2の表示部22に、図4の(b)に示したような確認画面50を表示させる。確認画面50には、入力画面40によって入力および選択された注文条件が列記されるとともに、注文ボタン51が表示される。注文ボタン51は、列記された内容で間違いないと判断された場合に、顧客によってクリックされる。
【0059】
顧客が操作部21の操作することにより注文ボタン51がクリックされると、金融商品取引管理装置1の注文情報生成部16は、ステップS1で入力された売買注文申込情報に基づいて注文情報を生成する(図3のステップS8参照)。具体的には、上述したような手順に従って入力された複数のデータを注文価格毎にグループ化し、各グループにシーケンス番号テーブル184のシーケンス番号を割り当てることで、注文情報を生成する(図3のステップS8参照)。そして、シーケンス番号テーブル184に、注文情報に使用されているシーケンス番号を未使用のシーケンス番号と区別するための情報が、付加される。ステップS8の処理を一回行うことにより、複数の注文情報が生成される。これらの注文情報は、それぞれ、同一種類の金融商品に対応するが、指値注文又は逆指値注文の価格が相互に異なる。これらの注文情報は、一つの注文情報群を成す。
【0060】
注文情報生成部16は、生成された注文情報群を、注文テーブル181に記録する(図3のステップS9参照)。注文情報群は、図2に示す各フィールドの定義に基づいて、注文テーブルに記録される。“ord_seq”フィールド181bは、ステップS8で付与されたシーケンス番号の定義である。“cust_seq”フィールド181cは、顧客ごとに定められた顧客番号を記録するためのフィールドである。“style_id”フィールド181dは、商品名を記録するためのフィールドである。“ccy_pair_id”フィールド181eは、通貨ペア毎に定義されたID番号を記録するためのフィールドである。このID番号と通貨ペアとの組合わせは、データベース内に格納されたIDテーブル(図示せず)に記録されている。“ord_amnt”フィールド181fは、注文金額入力欄406に入力された金額を記録するためのフィールドである。“buy_sell_id”フィールド181gは、売買種類選択ボタン402で選択された、売り注文/買い注文の区別を記録するためのフィールドである。“ord_rate”フィールド181hは、上限価格入力欄404、下限価格入力欄405、トラップ上下幅情報412及びトラップ値幅情報413によって決定されたの注文情報の価格を記録するためのフィールドである。“limit_time”フィールド181iは、有効期限選択ボタン411で選択された注文期限を記録するためのフィールドである。“ord_cond”フィールド181jは、注文種類選択ボタン403で選択された、注文の種類を記録するためのフィールドである。“new_close”フィールド181kは、新規注文/決済注文の区別を記録するためのフィールドである。“trap_seq”フィールド181mは、注文種類選択ボタン403でトラップトレードが選択されたか否かの情報を記録するためのフィールドである。“repeat_flag”フィールド181nは、イフダン注文を繰り返し行うか否かの情報を記録するためのフィールドである。なお、図2には示していないが、注文テーブル181には、入力画面40に入力されたデータ、即ち、売買希望通貨ペア選択ボタン401、トラップ本数選択欄407、利益金額指定欄408及び逆指値注文価格入力欄409に入力されたデータを情報を記録するためのフィールドも設けられる。これらのフィールドを用いて、入力画面40に入力されたデータが、全て注文テーブル181に記録される。
【0061】
また、注文情報生成部16は、入力画面40の上限価格入力欄404に入力された上限価格(図4の例では112.00円)及び下限価格入力欄405に入力された下限価格(図4の例では103.00円)を取得し、これらを注文テーブル181に記録する。後述するように、約定情報生成部14は、これら上限価格及び下限価格をそれぞれ上限、下限として定められる価格範囲内に、全ての注文情報群の価格帯を設定する。
【0062】
さらに、注文情報生成部16は、入力画面40のトラップ値幅情報413に表示された情報を取得し、注文テーブル181に記録する。後述するように、約定情報生成部14は、トラップ値幅情報413を注文情報間の価格差として用いることで、それぞれの注文情報群の価格帯を設定する。
【0063】
以上の手順により、本実施の形態におけるトラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け処理は完了する。
【0064】
図5A及び図5Bは、注文情報生成部16によって生成されて注文テーブル181に記録された、注文情報群を示す図である。なお、図5A及び図5Bに示したテーブルは、フロントページ配信部11によって、クライアント端末2の表示部22に表示することができる。
【0065】
図5A及び図5Bに示したように、注文テーブル181には、複数のポジション・ペアに対応する注文情報群が記録される。上述のように、ポジション・ペアの数は、トラップ本数選択欄407に入力された値と一致する。本実施形態では、トラップ本数は、「10」に設定される。従って、図5A及び図5Bの例では、10種類の注文情報群181S1,181S2,・・・181S10が、注文テーブル181に記録されている。
【0066】
1個の注文情報群181Skは、1個の第一注文181tkと、1個の第二注文181ukと、1個の逆指値注文181vkとを含む(k=1,2,・・・,10)。第一注文181tkは、同じ種類の金融商品を同じ価格で指値注文又は逆指値注文するための、買い注文情報である。第二注文181ukは、第一注文181t1の対象となっている金融商品を他の価格で指値注文するための、売り注文情報である。逆指値注文181vkは、これら買い注文情報及び売り注文情報の対象となっている金融商品を更に他の価格で逆指値注文するための情報である。図5Aから解るように、これらの注文情報群は、商品の種類及び個数は同じであるが、注文価格が互いに異なる。
【0067】
注文情報生成部16は、注文テーブル181から上限価格(すなわち、上限価格入力欄404に入力された金額)及び下限価格(すなわち、下限価格入力欄405に入力された金額)の情報を取得する。そして、注文情報生成部16は、全ての第一注文181t1~181t10及び全ての第二注文181u1~181u10の価格を、下限価格以上且つ上限価格以下の価格に設定する。
【0068】
具体的には、第一注文181t1~181t10及び第二注文181u1~181u10のうち、最も価格が高いのは最初の注文情報群181S1の第二注文181u1であり、且つ、最も価格が低いのは10番目の注文情報群181S10の第一注文181t10である。従って、本実施形態では、第二注文181u1は1ドル当たり112.00円以下に設定され、且つ、第一注文181t10は1ドル当たり103.00円以上に設定される。但し、第一注文181t1~181t10のみが上述の価格帯内の値となるように設定されてもよく、或いは、第二注文181u1~181u10のみが上述の価格帯内の値となるように設定されてもよい。本実施形態では、最も高い設定価格が上限価格と一致している必要はなく、且つ、最も低い設定価格が下限価格と一致している必要はない。最も高い設定価格及び最も低い設定価格が上限価格及び下限価格に一致しない場合、上限価格と最も高い設定価格との差額を、最も低い設定価格と下限価格との差額に一致させることができる。例えば、上限価格が112.00円且つ下限価格103.00円である場合(入力欄405,406及び表示欄413参照)、最も高い価格を111.55円に設定し且つ最も低い価格を103.45円に設定することができる。
【0069】
注文情報生成部16は、注文テーブル181から、トラップ値幅情報(すなわち、トラップ値幅情報413に表示された値)を取得する。そして、注文情報生成部16は、下限価格である1ドル当たり103.00円を基準として、全ての注文情報群181S1,181S2,・・・181S10の、全ての第一注文181t1,・・・,181t10及び全ての第二注文181u1,・・・,181u10の注文価格181Gを、設定する。これにより、各注文情報群181S1,181S2,・・・181S10の価格帯が、設定される。
【0070】
具体的には、注文情報生成部16は、注文価格181Gを設定する際に、まず、10番目の注文情報群181S10の第一注文181t10を下限価格である1ドル当たり103.00円に設定する。次に、利益金額指定欄408に入力された金額を注文金額入力欄406に入力された金額で割った値(すなわち、5.0万÷10万=0.5)を演算し、この演算結果を下限価格に加算する。この加算結果、すなわち103.50円が、第二注文181u10の金額に設定される。
【0071】
さらに、注文情報生成部16は、第一注文181t1~181t10の価格及び第二注文181u1~181u10の価格が、それぞれ0.9円(すなわち、トラップ値幅)ずつ変化するように、残りの注文181t1~181t9及び181u1~181u9の注文価格181Gを設定する。
【0072】
例えば、注文情報生成部16は、第一注文181t9を第一注文181t10よりも0.90円高い価格すなわち1ドル当たり103.9円に設定し、且つ、第二注文181u9価格を第二注文181u10よりも0.90円高い価格すなわち1ドル当たり104.4円に設定する。同様に、第一注文101t9,101t8との差、第一注文101t8,101t78との差、・・・、第一注文101t2,101t1との差はそれぞれ0.9円に設定され、且つ、第二注文101u9,101u8との差、第二注文101u8,101u78との差、・・・、第二注文101u2,101u1との差もそれぞれ0.9円に設定される。
【0073】
続いて、注文情報生成部16は、注文情報群181S1~181S10に属する逆指値注文181v1,181v2,・・・,181v10の注文価格181Gを、逆指値注文価格入力欄409に入力された価格(この実施の形態では1ドル当たり102.0円)に設定する。
【0074】
図5A及び図5Bに示したように、第一注文181t1~181v10、第二注文181u1~181u10及び逆指値注文181v1~181v10には、属性情報181A,181B,・・・,181Mが付加される。これら属性情報181A~181Mのうち、注文番号181Aは、注文の通し番号である。顧客番号181Bは、顧客毎に付される番号である。通貨ペア情報181Cは、売買の対象となる通貨の組合せ(例えば、日本円と外貨の組合せ)を識別するための情報である。注文金額情報181Dは、一つの注文に対応する外貨の持高、すなわちポジションの価格を示す情報である。注文時刻情報181Eは、注文が発注された時刻を示す情報である。売買方向情報181Fは、「売り注文」と「買い注文」の区別を識別するためのフラグ情報である。注文価格181Gは、約定価格の情報である。注文有効期限情報181Hは、対応する注文の有効期限を示す情報である。注文種別情報181Iは、注文の種別(例えば、「成行注文」「イフダン注文」「トラップリピートイフダン注文」等の種別)を識別するためのフラグ情報であり、「リピート情報」として機能する。新規/決済情報181Jは、新規注文/決済注文の区別を識別するフラグ情報である。有効/無効情報181Kは、対応する指値注文又は逆指値注文の有効(すなわち、発注済)/無効(すなわち、未発注)を識別するためのフラグ情報である。順位情報181Lは、注文情報の優先順位(後述)を識別するためのフラグ情報である。約定有無情報181Mは、対応する注文が約定されたか否かを識別するためのフラグ情報である。これらの属性情報181A~181Mの値は、入力画面40から入力された情報に基づいて決定され、上述のフィールド定義に基づいて注文テーブル181に記録される。
【0075】
図5Aにおいて、新規/決済情報181Jは、初期設定では、第一注文181t1~181t10については「新規」に設定され、第二注文181u1~181u10及び逆指値注文181v1~181v10については「決済」に設定される。
【0076】
図5Bにおいて、順位情報181Lは、第一注文181t1~181t10は第一順位(すなわち、高い方の優先順位)に設定され、第二注文181u1~181u10及び逆指値注文181v1~181v10は第二順位(すなわち、低い方向優先順位)に設定される。
【0077】
また、有効/無効情報181Kは、初期設定では、「無効」すなわち注文が未成立の状態に設定される。
【0078】
後述するように、各注文情報の有効/無効は取引中に変化し、そのたびに、注文情報生成部16は、注文情報の有効/無効の区別を、注文テーブル181に再書き込みする。この結果、注文テーブル181に書き込まれたデータはイフダン注文の取引の状態に応じて変化し、従って、本実施形態のアプリケーションと、金融商品取引管理装置1上で動作する他のアプリケーションとの親和性を高めることができるとともに、クライアント端末2の表示部22に、注文の有効/無効をリアルタイムに表示することができる。
【0079】
図3のステップS3において、第一希望価格が不適正な価格と判断された場合(ステップS3の“Yes”)と、ステップS5において証拠金の額が注文許容額未満であった場合(ステップS5の“Yes”)には、注文入力受付部12が、入力された注文をエラーとして処理し、注文が拒絶される(図3のステップS10参照)。この場合、図5A及び図5Bに示したような注文情報群181S1~181S10は生成されず、注文の受け付けが拒絶されたことを示す文字情報等がクライアント端末2の表示部22に表示される。
【0080】
注文処理の完了後、金融商品取引管理装置1の価格情報受信管理部19は、定期的に(例えば1分毎或いは1時間毎等の所定周期で)、為替相場の情報を取得し続ける。そして、相場価格と特定ポジションの注文価格とが一致すると、約定情報生成部14が当該ポジションの注文を約定させる。
【0081】
図6Aおよび図6Bは、金融商品取引管理装置1がトラップリピートイフダン注文に基づく指値注文を処理する手順を示すフローチャートである。図7A図7B図8及び図9は、金融商品取引管理装置1がトラップリピートイフダン注文に基づく指値注文の約定処理を行う際の手順を示す概念図である。図7A図7B及び図8において、丸印は一つのポジションに対応する注文情報を示す。以下、これらの図を参照しながら、トラップリピートイフダン注文の処理手順を説明する。
【0082】
注文の受け付け処理の完了した後も、金融商品取引管理装置1の価格情報受信管理部19は、為替相場の情報取得を継続する。
【0083】
図7A及び図7Bに示したように、トラップリピートイフダン注文による指値注文の受け付け処理が完了した時点t1に、約定情報生成部14は、一巡目の注文(すなわち、図5Aおよび図5Bにおいて、注文番号181Aが1000~1029の注文)のうち、第一注文181t1~181t10に関する有効/無効情報181Kの値を、それぞれ“無効”から“有効”に変更する。これにより、第一注文181t1~181t10の買い指値注文が、発注される。このとき、二巡目の注文(すなわち、注文番号181Aが1030以降の注文)に関しては、有効/無効情報181Kが“無効”に設定された状態に維持される。加えて、一巡目の注文のうち、第二注文181u1~181u10及び逆指値注文181v1~181v10についても、有効/無効情報181Kが“無効”に設定された状態に維持される。換言すれば、時点t1において、第二注文181u1~181u10及び逆指値注文181v1~181v10は、無効な注文情報である。
【0084】
図7Aの例では、時点t1に、米国ドルの相場購入価格71が、1ドル当たり107.00円である。ここでは、米国ドルの相場価格が1ドル当たり112.00円まで徐々に上昇する場合を考える。この例では、時点t2に、相場購入価格71が、第一注文181t5の注文価格181Gと同じ値である、1ドル当たり107.50円になる(図6AのステップS21参照)。このとき、約定情報生成部14は、このポジションの第一注文181t5を約定させるための処理を行う(図6AのステップS22参照)。
【0085】
具体的には、第一注文181t5に基づく注文が約定すると、約定情報生成部14は、第一注文181t5に対応する約定有無情報181Mを“無”から“有”に変更する(図9(a)及び(b)参照)。そして、口座情報生成部15が、約定情報生成部14からの指示に基づいて、売買額に応じて証拠金情報(後述)を変更する。さらに、入出金情報生成部13が、入出金の一覧表に、入金や出金の状況を記載する。続いて、約定情報生成部14は、クライアント端末2の表示部22に、約定が成立したことを示す文字情報等を表示させるとともに、売買価格に基づいてクライアント端末2に対応する銀行口座の出入金処理を行う。後述の各約定処理においても、金融商品取引管理装置1は、同様の処理を行う。
【0086】
なお、第一注文181t5に対応する複数回の買い注文において、最初に約定された注文は、注文価格181Gが時点t1の相場購入価格(すなわち、1ドル当たり107.00円)よりも高く、従って、新規の逆指値注文である。一方、第二番目以降に約定された買い注文は、注文価格181Gが、その直前に約定される売り注文すなわち第二注文181u5の注文価格181Gよりも安く、したがって、新規の指値注文である。図7Aに示された他の第一注文181t1~181t4においても、同様である。
【0087】
約定情報生成部14は、第一注文181t5を約定する際にスリッページ(すなわち、注文した価格と約定した価格との価格差)が発生しても、かかる約定を実行する。例えば、約定情報生成部14は、相場価格が、1ドル当たり107.50円と一致する場合だけでなく、1ドル当たり107.50円を超えた場合(例えば1ドル当たり107.70円の場合)でも、約定を行う。後述の各約定処理においても、約定情報生成部14は、同様の処理を行う。
【0088】
さらに、第一注文181t5が約定したとき、約定情報生成部14は、図9の(b)に示したように、第二注文181u5及び逆指値注文181v5の有効/無効情報181Kを、無効から有効に変更する(図6AのステップS23参照)。
【0089】
その後、米国ドルの相場購入価格が、逆指値注文181v5の価格まで下降すると(ステップS24の“Yes”)、後述のような、逆指値注文181v5の約定処理が行われる。上述のように、この実施の形態で、逆指値注文181v5の価格は、1ドル当たり102.50円である。一方、米国ドルの相場販売価格が、逆指値注文181v5の価格まで下降すること無しに、第二注文181u5の価格まで上昇すると(ステップS25の“Yes”及び図7Aの時点t3参照)、約定情報生成部14は、この第二注文181u5に対応する指値注文を約定させる(図6AのステップS26参照)。この実施の形態では、このときの約定価格は、1ドル当たり108.00円である。この約定処理では、第二注文181u5に対応する約定有無情報181Mを“無”から“有”に変更する(図9(c)参照)とともに、逆指値注文181v5を取り消す処理を行う(ステップS26)。具体的には、約定情報生成部14は、かかる逆指値注文をキャンセルするための処理を行い、且つ、キャンセルしたことをクライアント端末2の表示部22に表示させる。さらに、約定情報生成部14は、注文テーブル181の、二巡目に対応する注文情報群の中から、5番目の注文情報群181S5(図示せず)を選択する。そして、約定情報生成部14は、選択された注文情報群181S5の第一注文181t5の有効/無効情報181Kを、“無効”から“有効”に変更する。なお、図6AのステップS25において、米国ドルの相場販売価格72が第二注文51cの価格よりも低い場合に、処理がステップS24に戻ることとすれば、相場販売価格72と逆指値注文の価格との比較を繰り返し行うことができる。
【0090】
図7Aにおいて、相場購入価格71が第一注文181t4の価格と等しくなったとき(時点t4参照)、約定情報生成部14は、第一注文181t4の約定有無情報181Mを“無”から“有”に変更するとともに、第二注文181u4及び逆指値注文181v5の有効/無効情報181Kを“無効”から“有効”に変更する(図9(c)参照)。その後の処理は、上述の注文情報群181S5の場合と、同様である。さらに、相場購入価格71が第一注文181t1~181t3の価格と等しくなったときの処理も、上述の注文情報群181S5の場合と同様である。
【0091】
次に、時点t21から時点t22までの間に相場購入価格71が急変した場合(例えば、相場購入価格71が第一注文181t1の価格と同じ1ドル当たり111.10円まで一気に上昇したような場合)について、図8を用いて説明する。例えば、取引市場の休日の翌営業日の場合や相場価格の暴騰又は暴落が起きた場合に、相場購入価格71が急変する。図8の例は、相場購入価格71が暴騰した場合である。この場合、約定情報生成部14は、第一注文181t1~181t5に対応するステップS21~S23の処理を、ほぼ並行して行なう。これにより、第一注文181t1~181t5に相当する逆指値注文が、ほぼ同時に約定される(ステップS22参照)。加えて、第二注文181u1~181u5の約定有無情報181Mが、“無”から“有”に変更される(ステップS23参照)。さらには、このときの相場購入価格71(すなわち、1ドル当たり111.10円)は第二注文181u2~181u5の価格よりも高いので、約定情報生成部14は、これら第二注文181u2~181u5に係る指値注文を約定させる(図6AのステップS26参照)。この結果、図8の時点t22には、50万ドル分の買い注文と40万ドル分の売り注文が同時に約定されることになる。
【0092】
図7Bは、米国ドルの相場価格が徐々に下降する場合の例である。この場合も、図7Aの場合と同様、ステップS21~S26の処理が行われる。図7Bの場合、第一注文181t6~181t10の最初の約定は、注文価格181Gが時点t1における相場購入価格(即ち1ドル当たり107.00円)よりも低いので、新規の指値注文である。
【0093】
ステップS26の処理が行われると、続いて、全ての注文情報群181S1~181S10に含まれる第一注文181t1~181t10および第二注文181u1~181u10が約定されたか否かが、チェックされる(ステップS27参照)。そして、約定されていない注文情報が存在する場合には(ステップS27の“No”)、口座情報生成部15が、再度顧客口座情報テーブル182の当該顧客の証拠金情報を取得する。そして、注文入力受付部12が、取得された証拠金情報と顧客の注文許容額とを再び対比する(ステップS28参照)。証拠金の額が注文許容額を下回る場合には(ステップS29の“Yes”)、注文許容額以上になるまで処理は保留される。一方、証拠金の額が注文許容額以上である場合(ステップS29の“No”)、注文情報生成部16は、ステップS26で約定された第二注文に対応する注文情報群を、新たに生成する(ステップS30)。このとき、注文情報生成部16は、生成された注文情報群に属する第一注文の有効/無効情報181Kを“有効”に設定し、第二注文及び逆指値注文の有効/無効情報181Kを“無効”に維持する。
【0094】
注文情報生成部16は、上述のステップS9と同様、生成された注文情報群を、注文テーブル181に記録する(ステップS31)。その後、ステップS21以降の処理が繰り返される。
【0095】
このような処理は、全てのポジションに対応する注文情報群がそれぞれ形成され、且つ、ステップS22,S26の処理が全てのポジションに対して実行されるまで、繰り返される(ステップS27の“No”)。そして、全てのポジションに対応する約定処理が行われたとき(ステップS27の“Yes”)、本実施形態の処理が終了する。
【0096】
上述のステップS23の処理の後、米国ドルの相場購入価格71が逆指値注文の価格に達した場合(ステップS24参照)、約定情報生成部14は、対応する逆指値注文の約定を行う(ステップS32参照)。図7Bの例では、時点t12において、相場購入価格71が、逆指値注文181v1の約定価格である1ドル当たり102.50円まで下落している。約定情報生成部14は、例えば、第一注文181t1で米国ドルを購入した後で相場購入価格71が逆指値注文181v1の約定価格まで下落した場合、逆指値注文181v1を約定させることによって、かかる米国ドルを売却する。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動して当面は回復の見込みが無い場合等に、顧客が被る損害を最小限に抑えることができる。
【0097】
約定情報生成部14は、逆指値注文181v1~181v10の約定を行った場合、約定された逆指値注文に対応する注文情報群を特定し、かかる注文情報群に属する第二注文をキャンセルするための処理を行う(図6BのステップS33参照)。約定情報生成部14は、いずれかの逆指値注文181v1~181v10の約定を行った後は、新たな注文情報群の生成(図6AのステップS30参照)を行わない。このために、約定情報生成部14は、未生成の注文情報群に対するキャンセル処理を行う(図6BのステップS34参照)。例えば、第一注文181t1が約定され(図7Aの時点t10参照)、その後で逆指値注文181v1が約定された場合(図7Bの時点12参照)、約定情報生成部14は、時点t12に有効且つ未約定である第二注文181u1をキャンセル処理し(ステップS33参照)、さらに、注文テーブル181に記載された注文情報群から時点t12に未生成の注文情報群を全て注文テーブル181から消去する(ステップS34参照)。続いて、約定情報生成部14は、これらのキャンセル処理が行われたことを、クライアント端末2の表示部22に表示させる。このようなキャンセル処理により、いずれか一つの逆指値注文が約定されたときに、その後の売買を全て中止させることができる。これにより、金融商品の相場が従来の相場よりも大きく変動して当面は回復の見込みがない場合等に、顧客が被る損害を最小限に留めることができる。
【0098】
本実施形態の金融商品取引管理装置1は、クライアント端末2から一度成立した指値注文の価格及び金額の変更の要求があった場合に、かかる要求が不正要求であると判断して入力エラー処理を行う。このエラー処理では、かかる要求に対応する、注文テーブル181のデータの変更、口座情報生成部15及び入出金情報生成部13に関するデータの生成や変更等、金融商品取引管理装置1と金融機関との間のデータ及び信号の通信は、行われない。加えて、このエラー処理では、クライアント端末2の表示部22が、入力エラーの発生を表示する。これにより、価格や金額の頻繁な変更要求による、金融商品売買業者すなわち銀行側の、業務の過大化を防止できる。
【0099】
上述のように、本実施形態のクライアント端末2は、注文のキャンセルを要求するためのボタン(図示せず)を表示することができる。顧客がキャンセルボタンをクリックすると、金融商品取引管理装置1の約定情報生成部14は、キャンセル要求に対応する注文情報群を特定し、特定された注文情報群から約定が未成立の第二注文及び逆指値注文を選択し、さらに、選択された注文のキャンセル処理を行う。図7Aの例において、時点t2と時点t3との間に注文情報群181S5に対するキャンセル要求があった場合、第二注文181u5及び逆指値注文181v5(図示せず)がキャンセルされる。
【0100】
このようなキャンセル処理により、イフダン注文に係る指値注文の取り扱いを簡素化することができる。
【0101】
金融商品取引管理装置1は、キャンセルが要求された注文情報に対応する未生成注文情報群(図6AのステップS30参照)をもキャンセルするように、構成されてもよい。また、何れかの注文情報群に対応するキャンセルが要求されたときに、既に生成された他の注文情報群に対応する注文情報をも全てキャンセルするように、金融商品取引管理装置1を構成してもよい。さらには、何れかの注文情報群に対応するキャンセルが要求されたときに、キャンセル要求に対応する生成済注文情報群、キャンセル要求に対応しない生成済注文情報群及び全ての未生成注文情報群についてキャンセル処理を行うように、金融商品取引管理装置1を構成してもよい。
【0102】
クライアント端末2から受けた注文が通常の成行注文(すなわち、注文した時の相場価格で金融商品の売買を行う取引方法)である場合には、注文情報が生成された直後に(図3のステップS8参照)、約定情報生成部14による約定が行われる。この場合、図3のステップS9の処理や図6A図6Bの処理は行われない。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の金融商品取引管理装置1は、注文価格が互いに異なる複数の注文情報群を生成して、これら注文情報群に係る処理を平行して実行する。従って、本実施形態によれば、簡単な操作で、複数のイフダン注文を平行して行うことができる。さらに、本実施形態によれば、相場の状況に応じて、これらのイフダン注文を自動的に中止することができる。この結果、本実施形態によれば、顧客の利便性を高めるとともに、顧客が被るリスクを低減することができる。
【0104】
本実施形態の金融商品取引管理装置1は、同じ注文情報群に属する第一注文及び第二注文が両方とも約定された後で、かかる注文情報群と同一の注文情報群を再び生成して、実行する。これにより、同一のしたイフダン注文を、繰り返し行うことができる。この結果、本実施形態によれば、顧客は、複雑な注文手続を行うこと無しに、リピートイフダン注文を行うことができる。
【0105】
本実施形態の金融商品取引管理装置1は、スリッページが発生した場合でも、取り引きを行う。したがって、本実施形態では、第一注文181t1~181t10及び第二注文181u1~181u10の約定成立が、容易である。このことも、顧客が被るリスクを低減させる上で、有効である。
【0106】
本実施形態では、第一注文181t1~181t10及び第二注文181u1~181u10が、属性情報として、通貨ペア情報181C、売買方向情報181F、注文金額情報181D、注文種別情報181Iを含む。このため、本実施形態によれば、簡単な処理で、イフダン注文の内容を特定することができる。
【0107】
以上説明した実施形態は本発明の一例であり、本発明が本実施形態に限定されないことは、いうまでもない。
【0108】
例えば、本実施形態は外国為替の売買を行うシステムに本発明を適用する場合を例に採って説明したが、他の金融商品(例えば株式、債券等)を取り扱うシステムにも本発明を適用することができる。
【0109】
また、本実施形態では、買い注文を「第一注文」とし且つ売り注文を「第二注文」とする場合を例に採って説明したが、売り注文を「第一注文」とし且つ買い注文を「第二注文」とする場合にも、本発明を適用することができる。
【0110】
上記実施の形態に係る金融商品取引管理システム1Aでは、約定情報生成部14及び注文テーブル181が、他の構成部と共に、一台のサーバシステム内に設けられていている。しかし、インターネット3に複数台の金融商品取引管理装置1が通信接続されているような場合には、一部の金融商品取引管理装置1には約定情報生成部14及び/又は注文テーブル181を設けないこととしてもよい。この場合、約定情報生成部14及び/又は注文テーブル181が設けられていない金融商品取引管理装置1は、インターネット3を介して、他の金融商品取引管理装置1に設けられた約定情報生成部14及び/又は注文テーブル181を使用すればよい。さらには、全ての金融商品取引管理システム1Aに、約定情報生成部14及び/又は注文テーブル181を設けないことも、可能である。この場合は、外部システム(すなわち、金融商品取引管理装置1以外のシステム)内に約定情報生成部14及び/又は注文テーブル181を設け、金融商品取引管理装置1がこれらを使用すればよい。外部システムは、インターネット3に通信接続されていても良いし、何れかの金融商品取引管理装置1に専用回線で接続されていても良い。
【符号の説明】
【0111】
1A 金融商品取引管理システム
1 金融商品取引管理装置
2、21~2n クライアント端末
12 注文入力受付部(注文受付部)
14 約定情報生成部
16 注文情報生成部
181 注文テーブル
181K 有効/無効情報
19 価格情報受信管理部
181S1~181S10 注文情報群
181t1~181t10 第一注文情報
181u1~181u10 第二注文情報
181v1~181v10 逆指値注文情報
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9